JP2021039323A - 工作用粘土 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願人は、先に、手触り感がさらさらしていてべたつかず、造形し易く、所望の形状を良好に造形できるという優れた特性を備えた粘土を出願している(特開2018−120033号公報;特許文献1)。
工作時に手が粘土の色で染まることを防止することを謳う先行技術として、特開2017−111224号公報(特許文献2)を挙げることができる。
本発明は、特許文献1の粘土の優れた特性(手触り感がさらさらしていてべたつかず造形し易い、所望の形状を良好に造形できる)を保持しつつ、さらに、合成色素の微量の添加により鮮やかで濁りの無い澄んだ色に着色でき、工作時に手が粘土の色に染まることがないという優れた特性を併せ持つ工作用粘土を提供することを目的とする。
[1]構成1
骨材、CMC(糊剤)、塩化カルシウム(CaCl2 )を含有する水性粘土材料に、色素と二酸化珪素(SiO 2)を添加して成ることを特徴とする工作用粘土。
骨材としては、タルクを例示することができ、さらに、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、卵殻等を例示することができる。これらから選ばれた1種以上を骨材として用いてもよい。これらを含有するとき、骨材全体に於けるタルクの量は、例えば、骨材を100質量%としたとき、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上とすることができる。例えば、タルク20質量部、硫酸カルシウム4質量部で、骨材を構成することができる。
CMCは、カルボキシメチルセルロースの略称であり、一般には、そのナトリウム塩が用いられる。CMC(糊剤)としては、食品添加物として用いられているものを好適に用いることができる。CMCとともに、例えば、メチルセルロース、コーンスターチ、マンナン粉、餅米粉、うるち米、多糖類等から選ばれた1種以上を(糊剤として)用いてもよい。これらを用いるとき、糊剤全体に於けるCMCの量は、例えば、糊剤を100質量%としたとき、好ましくは75質量%以上、更に好ましくは85質量%以上である。
二酸化珪素(SiO2 )としては、食品添加物として提供されている非晶質・微粉末状のものを好適に用いることができる。
[2]構成2
構成1に於いて、
前記二酸化珪素に代えて、又は、前記二酸化珪素とともに、珪酸カルシウム(Ca2O4Si)を添加して成ることを特徴とする工作用粘土。
珪酸カルシウム(Ca2O4Si)としては、食品添加物用の非晶質・微粉末状ものを好適に用いることができる。
さらに、粘着抑制成分を含有し、
前記水性粘土材料は、前記骨材が12〜36質量%、前記CMCが4〜12質量%、前記塩化カルシウムが9〜27質量%、前記粘着抑制成分が0.1〜2質量%、水が40〜60質量%の範囲で、合計で100質量%であり、
前記合計で100質量%の水性粘土材料100質量部に対して、前記二酸化珪素及び/又は珪酸カルシウムを0.01質量部〜2質量部添加して成る、
ことを特徴とする工作用粘土。
粘着抑制成分としては、シリコーンオイルを挙げることができる。さらに、グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウムから選ばれた1種以上を含有していてもよい。これらを含有するとき、粘着抑制成分全体に於けるシリコーンオイルの量は、例えば、粘着抑制成分を100質量%としたとき、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上としてもよい。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサンを好適に用いることができる。
なお、本発明の目的を損なわない成分であれば、上記で例示した以外の成分や微量成分を含有していてもよい。例えば、構成1〜構成3の何れかにおいて、さらに、寒天を配合してもよい。寒天を配合すると透明感をさらに高めることかできる。寒天としては、即溶性の粉末状のものを好適に用いることができる。
水性粘土材料の配合としては、例えば、骨材としてタルク20g及び硫酸カルシウム4g、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)8g、塩化カルシウム18g、及び、水49.5gとしたものを例示することができ、さらに、これに、粘着抑制成分としてジメチルポリシロキサン0.5gを配合したものを例示することもできる。
タルク(含水珪酸マグネシウム)としては、例えば、平均粒径が50〜1[μm] 程度のものを好適に用いることができる。また、食品添加物として提供されているものであれば、安全性の面からも好ましい。
CMCとしては、例えば、ダイセルファインケム株式会社製の「CMCダイセル(同社の登録商標)の品番2200,2260;何れも高純度品でエーテル化度0.8〜1.0」や、日本製紙株式会社製の「サンローズ(SUNROSEは同社の登録商標)の品種F」、或いは、第1工業製薬株式会社製の「セロゲン(同社の登録商標)3H,4H,BSH−6,BSH−12,F3H,F−BSH−12,F−6HS9」等が該当するか、又は部分的に該当する。また、食品添加物として提供されているものであれば安全性の面からも好ましい。エーテル化度は、好ましくは0.60〜1.00、更に好ましくは、0.65〜0.95の範囲を好適に用いることができる。
実施例(5例)と比較例(5例)の工作用粘土をそれぞれ作成して、それぞれの特性を評価した。
(1)実施例1
微粉末状の二酸化珪素(SiO2 ) 0.1[g](平均粒径15[μm]以下)
骨材−1:タルク(含水珪酸マグネシウム) 20[g]
(商品名:食添タルクS−1,平均粒径8.7[μm])
骨材−2:硫酸カルシウム 4[g]
(商品名:食品添加物硫酸カルシウム,物質名:硫酸カルシウム二水和物)
CMC(糊剤): 8[g]
(商品名:セロゲンFシリーズ(食品工業用),物質名:カルボキシメチルセルロースナトリウム,25℃・1%水溶液での粘度:約3000[mPa・s])
塩化カルシウム:塩化カルシウム 18[g]
(商品名:RS(塩化カルシウム),物質名:塩化カルシウム二水和物)
水:水 49.5[g]
を、配合し、さらに、
色素:合成色素「商品名:食用赤色106号」
(三栄源エフエフアイ(株)製)
を、微量添加して、練り合わせた。
記
(a)着色
×:粘土の色が鮮やかでない, ○:粘土の色が鮮やかである
(b)澄み(濁り無し)
×:粘土に色むらや濁りがある, ○:粘土に濁りが無く透明感がある
(c)色移り
×:工作時に手が粘土の色に染まる, ○:工作時に手が粘土の色に染まらない
(d)手触り感
×:手に付着してべとべとする, ○:さらさらしている
(e)造形性
×:脆く壊れて造形できない ○:造形可能
ここで、評価対象の造形物としては、薄片状の部位を有するトリケラトプス(ジュラ期の生物)類似の動物像で、幅が5mm程度のサイズのものとした。
(f)伸展性(造形前の塊状物の両端を持って引っ張ったとき切れた長さ)
×:長さ≦50cm, ○:1m<長さ
(2)比較例1
二酸化珪素(SiO2 )を含有させない他は、実施例1と同じ材料・同じ配合で、工作用粘土を作成した。
実施例1に、さらに、
シリコーンオイル(粘着抑制成分) 0.5[g]
(信越化学株式会社,商品名:KF−96ADFシリーズ,物質名:ジメチルポリシロキサン,25℃での動粘度:約150[mm2/s])
を添加して、同様に作成した。
(4)比較例2
二酸化珪素(SiO2 )を含有させない他は、実施例2と同じ材料・同じ配合で、工作用粘土を作成した。
(5)実施例3(寒天添加)
実施例1に、さらに、
寒天粉末 0.3[g](即溶性)
を添加して、同様に作成した。
(6)比較例3
二酸化珪素(SiO2 )を含有させない他は、実施例3と同じ材料・同じ配合で、工作用粘土を作成した。
(7)実施例4(水少なめ)
水を「42[g]」(少なめ)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
(8)比較例4
二酸化珪素(SiO2 )を含有させない他は、実施例4と同じ材料・同じ配合で、工作用粘土を作成した。
(9)実施例5(水多め)
水を「58[g]」(多め)とした他は、実施例1と同じ材料・配合で、工作用粘土を作成した。
(10)比較例5
二酸化珪素(SiO2 )を含有させない他は、実施例5と同じ材料・同じ配合で、工作用粘土を作成した。
上記第1の水性粘土材料に、さらに、ジメチルポリシロキサン(粘着抑制成分)0.1〜2質量%を添加して合計で100質量%としたものを、第2の水性粘土材料とした場合も、略同様の結果を得た。
上記第1の水性粘土材料に、二酸化珪素(SiO2 )の微粉末とともに、さらに、寒天粉末を微少量(例:実施例2に於いて0.4〜0.2[g]程度)添加した場合は、透明感がさらに増すという良好な結果を得た。
同様に、ジメチルポリシロキサンとともに、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコールの1種以上を用いて実施例1と同様に配合した場合も、良好な結果を得た。
また、塩化カルシウムを配合することによって、本発明の目的に好適な粘土を得られるとともに、防腐効果や防黴効果を得られた。
また、表の評価には示さなかったが、タルクを配合することにより、剥離性、硬化性、軟化防止、付着防止に、良好な結果を得た。
また、硫酸カルシウムを配合することにより、抗菌効果を得られた。
なお、澄んだ度合(透明感)に関し、珪酸カルシウムは、若干、二酸化珪素よりも劣っていたが、従来の工作用粘土に比較すると、十分に澄んだ透明感であった。
寒天は、二酸化珪素とともに、透明感を相乗的に高める効果があった。
[1]構成1
骨材、CMC(糊剤)、塩化カルシウム(CaCl2 )を含有する水性粘土材料に、二酸化珪素(SiO 2)を添加して成り、二酸化珪素(SiO 2 )の添加量が前記水性粘土材料100質量部に対して0.01〜2質量部であることを特徴とする工作用粘土。
又は、
骨材、CMC(糊剤)、塩化カルシウム(CaCl 2 )を含有する水性粘土材料に、色素と二酸化珪素(SiO 2 )を添加して成り、二酸化珪素(SiO 2 )の添加量が前記水性粘土材料100質量部に対して0.01〜2質量部であることを特徴とする工作用粘土。
骨材としては、タルクを例示することができ、さらに、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、卵殻等を例示することができる。これらから選ばれた1種以上を骨材として用いてもよい。これらを含有するとき、骨材全体に於けるタルクの量は、例えば、骨材を100質量%としたとき、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上とすることができる。例えば、タルク20質量部、硫酸カルシウム4質量部で、骨材を構成することができる。
CMCは、カルボキシメチルセルロースの略称であり、一般には、そのナトリウム塩が用いられる。CMC(糊剤)としては、食品添加物として用いられているものを好適に用いることができる。CMCとともに、例えば、メチルセルロース、コーンスターチ、マンナン粉、餅米粉、うるち米、多糖類等から選ばれた1種以上を(糊剤として)用いてもよい。これらを用いるとき、糊剤全体に於けるCMCの量は、例えば、糊剤を100質量%としたとき、好ましくは75質量%以上、更に好ましくは85質量%以上である。
二酸化珪素(SiO2 )としては、食品添加物として提供されている非晶質・微粉末状のものを好適に用いることができる。
[2]構成2
構成1に於いて、
前記二酸化珪素に代えて、又は、前記二酸化珪素とともに、珪酸カルシウム(Ca2O4Si)を添加して成ることを特徴とする工作用粘土。
珪酸カルシウム(Ca2O4Si)としては、食品添加物用の非晶質・微粉末状ものを好適に用いることができる。
さらに、粘着抑制成分を含有し、
前記水性粘土材料は、前記骨材が12〜36質量%、前記CMCが4〜12質量%、前記塩化カルシウムが9〜27質量%、前記粘着抑制成分が0.1〜2質量%、水が40〜60質量%の範囲で、合計で100質量%である、
ことを特徴とする工作用粘土。
粘着抑制成分としては、シリコーンオイルを挙げることができる。さらに、グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウムから選ばれた1種以上を含有していてもよい。これらを含有するとき、粘着抑制成分全体に於けるシリコーンオイルの量は、例えば、粘着抑制成分を100質量%としたとき、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上としてもよい。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサンを好適に用いることができる。
なお、本発明の目的を損なわない成分であれば、上記で例示した以外の成分や微量成分を含有していてもよい。例えば、構成1〜構成4の何れかにおいて、さらに、寒天を配合してもよい。寒天を配合すると透明感をさらに高めることかできる。寒天としては、即溶性の粉末状のものを好適に用いることができる。
水性粘土材料の配合としては、例えば、骨材としてタルク20g及び硫酸カルシウム4g、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)8g、塩化カルシウム18g、及び、水49.5gとしたものを例示することができ、さらに、これに、粘着抑制成分としてジメチルポリシロキサン0.5gを配合したものを例示することもできる。
Claims (3)
- 骨材、CMC、塩化カルシウムを含有する水性粘土材料に、色素と二酸化珪素を添加して成ることを特徴とする工作用粘土。
- 請求項1に於いて、
前記二酸化珪素に代えて、又は、前記二酸化珪素とともに、珪酸カルシウムを添加して成ることを特徴とする工作用粘土。 - 請求項2に於いて、
さらに、粘着抑制成分を含有し、
前記水性粘土材料は、前記骨材が12〜36質量%、前記CMCが4〜12質量%、前記塩化カルシウムが9〜27質量%、前記粘着抑制成分が0.1〜2質量%、水が40〜60質量%の範囲で、合計で100質量%であり、
前記合計で100質量%の水性粘土材料100質量部に対して、前記二酸化珪素及び/又は珪酸カルシウムを0.01質量部〜2質量部添加して成る、
ことを特徴とする工作用粘土。
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JP2018120033A (ja) * | 2017-01-23 | 2018-08-02 | 有限会社アドバンス | 工作用粘土 |
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