JP2021039043A - 圧力感知素子及び圧力センサ - Google Patents
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Abstract
Description
このような圧力センサは、半導体基板からなる圧力感知素子の一部を裏面からエッチングすることによりダイアフラムを形成し、当該ダイアフラム上に、ダイアフラムの歪みを抵抗の変化として検知するピエゾ抵抗を設けて形成されている。
これによって、圧力が加えられた際のダイアフラムの歪みによるピエゾ抵抗の電気抵抗の変化を検出することで、圧力を測定することが可能となる。
そこで、検出感度及び出力直線性に優れた圧力センサを提供することを目的として、ダイアフラムの表面を一部を残してエッチング加工等により除去することで、ダイアフラム上に、表面が除去され、膜厚が薄くなった部分である溝部と、表面が除去されておらず、溝部と比較して膜厚が厚い部分である略十字状の梁部と、を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この点、特許文献1に記載の圧力センサは、上記のようにダイアフラム上に梁部を略十字状に形成した構成であるところ、ダイアフラムの表面に形成可能な梁部の細さには、上記のような加工精度の問題から限界がある。したがって、圧力センサを小型化していくと、必然的に溝部に対して梁部が太くなり、ダイアフラム面積に対する溝部の面積の割合が小さくなってしまう。この点は、ダイアフラム上に、溝部及び梁部に加えて、ボスが形成された特許文献2に記載の圧力センサにおいても同様である。
半導体基板を用いて形成された圧力感知素子であって、
フレームと、前記フレームに支持されたダイアフラムと、前記ダイアフラムに配置されたピエゾ抵抗と、を備え、
前記ダイアフラムは、
前記ダイアフラムの縁部から前記ダイアフラム中央部方向へと突出する梁部と、
前記ダイアフラムの縁部及び前記梁部から前記ダイアフラムの中央部を含む範囲に形成された単一の溝部と、
を備えることを特徴とする。
前記梁部の形状は、前記ダイアフラムを貫通しない範囲で形成された前記溝部によって区画されることを特徴とする。
前記ピエゾ抵抗は、前記梁部の前記ダイアフラムの縁部側の端部付近に配置されていることを特徴とする。
前記梁部は、前記ダイアフラムの中央部方向へと徐々に幅が狭くなるように形成されていることを特徴とする。
前記ダイアフラムは、前記ダイアフラムの縁部を周回するように形成された外枠部を備えることを特徴とする。
前記ピエゾ抵抗は、前記梁部と前記外枠部との接続部に配置されていることを特徴とする。
請求項1から6のいずれか一項に記載の圧力感知素子を備えることを特徴とする。
前記圧力感知素子が実装される基板と、
圧力の感知対象となる流体を前記圧力感知素子へと導入するノズルと、
を備えることを特徴とする。
実施形態に係る圧力センサ100は、図1に示すように、圧力感知素子1と、回路部2と、基板3と、ノズル4と、を備える。
圧力感知素子1は、図2及び図3に示すように、半導体基板を用いて平面視略正方形状に形成された半導体チップである。なお、本実施形態においては、圧力感知素子1のうちダイアフラム11が形成された側を上面、その反対側を下面と定めて説明する。
また、圧力感知素子1のダイアフラム11には、図2に示すように、4か所にピエゾ抵抗13が備えられている。
圧力感知素子1は、図3及び図4に示すように、下面側中央部が、活性層1aのみが残るように平面視略正方形状にエッチング加工等により除去されている。これによって、圧力感知素子1には、上面側に活性層1aが薄膜状に残存した部分であるダイアフラム11が形成されている。
ダイアフラム11は、図2及び図3に示すように、圧力感知素子1の平面視における縁部付近を除いた部分に、平面視略正方形状に形成され、厚みが薄い部分である溝部111と、溝部111と比較して厚みが厚い部分である外枠部112及び梁部113と、を備える。
溝部111は、図4に示すように、ダイアフラム11上面側の一部が、活性層1aを貫通しない範囲でエッチング加工等により除去された部分であり、外枠部112及び梁部113とは一体的に形成されている。また、外枠部112及び梁部113と比較して、厚みが薄くなるように形成された部分である。
溝部111は、図2及び図3に示すように、外枠部112及び梁部113からダイアフラム11の中央部を含む範囲の全面にわたって形成される単一の溝であって、溝部111の全面が均一な厚みで形成されている。
溝部111は、図2及び図3に示すように、ダイアフラム11とフレーム12との境界から間隔を空けて、ダイアフラム11の縁部を残すように形成されている。すなわち、ダイアフラム11の縁部には溝部111が形成されず、ダイアフラム11の縁部を周回するように配置された、溝部111と比較して厚みが厚い部分である外枠部112が備えられている。
図2及び図3に示すように、略正方形状に形成されたダイアフラム11の各辺の中央部付近には、ダイアフラム11の縁部からダイアフラム11の中央部方向へと突出するように配置された、溝部111と比較して厚みが厚い部分である4つの梁部113が備えられている。
4つの梁部113は、上述したように活性層1aにエッチング加工等によって溝部111が形成されることによって区画され、ダイアフラム11の中央部方向へ突出する形状が形成される。また、4つの梁部113は、図2及び図3に示すように、ダイアフラム11の中央部付近において交わることなく、それぞれ独立して形成されている。
また、梁部113は、それぞれ、図2及び図3に示すように、ダイアフラム11中央部方向へと平面視における幅が徐々に狭くなるように形成されている。
圧力感知素子1は、図3及び図4に示すように、下面側中央部のみが平面視略正方形状にエッチング加工等により除去されており、圧力感知素子1の縁部は、活性層1a、支持層1c及び絶縁層1bの3層が残存し、ダイアフラム11と比べて厚みが厚くなるように形成されている。当該部分がフレーム12である。
圧力感知素子1は、図2に示すように、ダイアフラム11に配置されたピエゾ抵抗13を備える。
ピエゾ抵抗13は、各梁部113のダイアフラム11の縁部側の端部付近、具体的には、各梁部113と外枠部112との接続部と重なる位置に、梁部113毎に1つずつ、計4つ備えられている。
なお、ピエゾ抵抗13は、必ずしもその全体がダイアフラム11上に位置している必要はなく、図2に示すように、一部がフレーム12上に位置していてもよい。このような場合においても、その他の一部がダイアフラム11上に位置していれば、本発明においては、ピエゾ抵抗13はダイアフラム11に配置されているものとする。ただし、少なくともピエゾ抵抗13の中心が、ダイアフラム11上に位置していることが好ましい。
回路部2は、図1に示すように、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)21と、ワイヤ22と、を備える。
回路部2は、4つのピエゾ抵抗13を接続してホイートストンブリッジを構成し、ピエゾ抵抗13に電圧を印加することで、ダイアフラムの撓み量に応じて発生する応力に比例したピエゾ抵抗13の電気抵抗率によって生じる出力電位差から、圧力を計測する。また、ASIC21においては、センサ出力の校正や、駆動電圧範囲の変更等、種々の調整がなされる。
なお、このような圧力センサにおける回路部の構成は周知の技術であることから、詳細な説明は省略する。
基板3は、図1に示すように、圧力感知素子1及び回路部2がその一面に固定される板状の部材であり、後述のノズル4と共に、圧力センサ100の外側のケースとなる。
図1に示すように、圧力感知素子1は、基板3上に、その下面側において接続され、圧力感知素子1のダイアフラム11及びフレーム12と、基板3とによって囲まれた空洞が形成されている。また、基板3には、当該空洞を介して圧力感知素子1の下面側が大気と接触するように、圧力感知素子1の直下に貫通孔31が設けられている。
これによって、ダイアフラム11の上面側に存在する検出対象となる流体の圧力に応じて、ダイアフラム11の上面側と下面側との間に圧力差が生じ、ダイアフラム11が撓むこととなる。
ノズル4は、図1に示すように、基板3上に設置された圧力感知素子1及び回路部2を覆うようにして備えられ、圧力感知素子1によって圧力が感知される流体を取り込む取込口41を備える。
基板3とノズル4とによって、取込口41によって外部と繋がり、内部に圧力感知素子が配置された空間が形成され、当該空間内に取込口41から導入された流体の圧力が、圧力感知素子1によって感知されることとなる。
本実施形態に係る圧力センサ100は、圧力感知素子1のダイアフラム11に、厚みが薄い部分である溝部111と、溝部111と比較して厚みが厚い部分である複数の梁部113と、を備える。
これに対し、本実施形態によれば、ダイアフラム11上面側の中央部を含む範囲に一続きに溝部111を形成し薄くすることで感度を向上させつつ、溝部111が形成されず、厚みが厚い部分である梁部113を、ダイアフラムの縁部から突出するように残すことで、出力の直線性の低下も防止できる。
これに対し、本実施形態によれば、ダイアフラム11上面側の中央部を含む範囲に一続きに溝部111が形成されており、特許文献1及び2に記載の圧力センサと比較して、溝部111の形状が単純であることから、圧力感知素子1が小型化された場合にも、加工精度の限界を原因とするダイアフラム11における溝部111の面積の減少を抑制できる。
上記実施形態においては、圧力感知素子1の下面側中央部が平面視略正方形状にエッチング加工等により除去され、ダイアフラム11が平面視略正方形状に形成された場合につき説明したが、ダイアフラムの形状はこれに限られない。
例えば、図5に示す変形例1に係る圧力感知素子1Aのように、圧力感知素子1Aの下面側中央部を平面視略円形状にエッチング加工等により除去し、ダイアフラム11Aにつき、平面視略円形状に形成してもよい。
また、この場合、ダイアフラム11A上の溝部111Aの形状につき、ダイアフラム11A全体の形状に合わせ、梁部113Aに面していない部分が円弧をなすように形成してもよい。
例えば、上記においては、圧力感知素子1のダイアフラム11の下面側の空洞に大気を導入し、圧力感知素子1の下面側が大気と接触するようにした上で、上面側に圧力を測定する対象となる流体を導入する場合につき説明したが、基板3に貫通孔31を設けることなく、圧力感知素子1のダイアフラム11及びフレーム12と、基板3とによって囲まれた空洞を低真空とするようにしてもよい。また、上記とは反対に、圧力感知素子1のダイアフラム11の上面側の空間を大気で満たし、又は低真空とした上で、下面側の空洞内に圧力を測定する対象となる流体が導入されるようにしてもよい。
以下の実施例及び比較例に係る圧力センサを用意した。
[(1) 圧力感知素子の構成:図6に示す圧力感知素子1B]
・層構造:活性層(Si)5.0μm、支持層(Si)625μm及びその間の絶縁層(SiO2)の3層
・圧力感知素子サイズ:平面視各辺1.0mmの略正方形
・ダイアフラムサイズ:平面視各辺0.426mmの略正方形(各角を丸めた形状)
・ダイアフラム厚み:梁部及び外枠部5.0μm、溝部3.5μm(溝部深さ1.5μm)
・ピエゾ抵抗サイズ:平面視各辺60μmの略正方形
・梁部形状:図6に示すように根元から先端部へと徐々に幅が狭くなる形状、外枠部からの突出長0.085mm(対向する梁部間の間隔0.25mm)
・外枠部:幅0.003mm、ダイアフラムの縁部を周回するように形成
・ダイアフラム面積(Sd):0.212mm2
・溝部面積(St):0.132mm2
・St/Sd=0.62
[(2) 回路部の構成]
図11に示す通り。
この場合、ダイアフラムが受けた圧力(応力)により各ピエゾ抵抗(Rn)が変化し、圧力に応じて下記計算式でVoutを出力することとなる。
Vout=(V+)−(V−)
=[R4/(R1+R4)xVDD]−[R2/(R2+R3)xVDD]
図7に示す圧力感知素子1Cのように、梁部の突出長を0.135mm(対向する梁部間の間隔0.15mm)としたものである。この場合、ダイアフラム面積(Sd):0.212mm2、溝部面積(St):0.118mm2、St/Sd=0.56となる。なお、その他の構成は実施例1と同様である。
図8に示す圧力感知素子1Dのように、梁部がダイアフラムの中央部で接続されるようにしたものである。この場合、ダイアフラム面積(Sd):0.212mm2、溝部面積(St):0.049mm2、St/Sd=0.23となる。なお、その他の構成は実施例1と同様である。
図9に示す圧力感知素子1Eのように、ダイアフラムの中央部付近に溝部を形成せず、一辺0.12mmの略正方形の四つの角を丸めた形状に形成された厚みが梁部及び外枠部と同一(5.0μm)となる部分(ボス114)を備えたものである。この場合、ダイアフラム面積(Sd):0.212mm2、溝部面積(St):0.118mm2、St/Sd=0.56となる。なお、その他の構成は実施例1と同様である。
図10に示す圧力感知素子1Fのように、ダイアフラムに溝部を設けず、ダイアフラム全体の厚みを3.5μmとしたものである。この場合、ダイアフラム面積(Sd):0.212mm2、溝部面積(St):0mm2、St/Sd=0となる。なお、その他の構成は実施例1と同様である。
図10に示す圧力感知素子1Fのように、ダイアフラムに溝部を設けず、ダイアフラム全体の厚みを5.0μmとしたものである。この場合、ダイアフラム面積(Sd):0.212mm2、溝部面積(St):0mm2、St/Sd=0となる。なお、その他の構成は実施例1と同様である。
上記実施例及び比較例に係る圧力センサについて、以下の条件下で、スパン電圧(mV)及び出力直線性(%FS)を算出した。
・気温:常温(25°C)
・電源電圧:3.3V
・印加圧力:0〜10kPa(圧力感知素子下面(支持層側)より印加)
・スパン電圧 :10kPa印加時出力
・出力直線性:ワースト値
試験の結果を図12及び図13に示す。
実施例1及び2と比較例3及び4との比較から、ダイアフラム上に、梁部を残して溝部を形成することで、感度と出力直線性とを両立できることが分かる。
すなわち、ダイアフラム全体の厚みを3.5μmとした比較例3と比較した場合、実施例1及び2は、僅かなSpan電圧の低下と引き換えに、出力直線性が大きく向上している。また、ダイアフラム全体の厚みを5.0μmとした比較例4と比較した場合、実施例1は、出力直線性が僅かに向上するとともに感度が大きく向上し、実施例2も、出力直線性はほぼ同等で、感度が大きく向上している。
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F 圧力感知素子
11、11A、11B、11C、11D、11E、11F ダイアフラム
111、111A、111B、111C、111D、111E、111F 溝部
112、112A、112B 外枠部
113、113A、113B、113C、113D 梁部
12、12A、12B フレーム
13 ピエゾ抵抗
Claims (8)
- 半導体基板を用いて形成された圧力感知素子であって、
フレームと、前記フレームに支持されたダイアフラムと、前記ダイアフラムに配置されたピエゾ抵抗と、を備え、
前記ダイアフラムは、
前記ダイアフラムの縁部から前記ダイアフラム中央部方向へと突出する梁部と、
前記ダイアフラムの縁部及び前記梁部から前記ダイアフラムの中央部を含む範囲に形成された単一の溝部と、
を備えることを特徴とする圧力感知素子。 - 前記梁部の形状は、前記ダイアフラムを貫通しない範囲で形成された前記溝部によって区画されることを特徴とする請求項1に記載の圧力感知素子。
- 前記ピエゾ抵抗は、前記梁部の前記ダイアフラムの縁部側の端部付近に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力感知素子。
- 前記梁部は、前記ダイアフラムの中央部方向へと徐々に幅が狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の圧力感知素子。
- 前記ダイアフラムは、前記ダイアフラムの縁部を周回するように形成された外枠部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の圧力感知素子。
- 前記ピエゾ抵抗は、前記梁部と前記外枠部との接続部に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の圧力感知素子。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載の圧力感知素子を備えることを特徴とする圧力センサ。
- 前記圧力感知素子が実装される基板と、
圧力の感知対象となる流体を前記圧力感知素子へと導入するノズルと、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の圧力センサ。
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