JP2021038387A - 透明熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、透明熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品および成形品の製造方法 - Google Patents

透明熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、透明熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品および成形品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021038387A
JP2021038387A JP2020142434A JP2020142434A JP2021038387A JP 2021038387 A JP2021038387 A JP 2021038387A JP 2020142434 A JP2020142434 A JP 2020142434A JP 2020142434 A JP2020142434 A JP 2020142434A JP 2021038387 A JP2021038387 A JP 2021038387A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
based monomer
resin composition
thermoplastic resin
vinyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020142434A
Other languages
English (en)
Inventor
拓 下澤
Taku Shimozawa
拓 下澤
拓哉 柴田
Takuya Shibata
拓哉 柴田
貴紀 菅
Takanori Suga
貴紀 菅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JP2021038387A publication Critical patent/JP2021038387A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

【課題】耐衝撃性に優れ、高度な透明性、良好な色調を兼ね備え、さらにγ線照射後の全光線透過率の低下率およびγ線照射後の色調変化の少ない透明熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明は、ジエン系単量体(a1)および芳香族ビニル系単量体(a2)の合計を100重量%とした場合に、65重量%より多く80重量%未満のジエン系単量体(a1)と、20重量%より多く35重量%未満の芳香族ビニル系単量体(a2)からなるゴム質重合体(A)の存在下に、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)および芳香族ビニル系単量体(b2)を含有する単量体混合物(B)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(I)と、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(c1)および芳香族ビニル系単量体(c2)を含有する単量体混合物(C)を共重合してなるビニル系共重合体(II)とを配合してなる透明熱可塑性樹脂組成物であって、該熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)粒子の数平均粒子径が0.15〜0.30μmであることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、耐衝撃性に優れ、高度な透明性、良好な色調を兼ね備え、さらにγ線照射後の全光線透過率の低下率およびγ線照射後の色調変化の少ない透明熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ジエン系ゴムなどのゴム質重合体に、(i)スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物と、(ii)アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物と、(iii)メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物と、を共重合したグラフト共重合体を含有して得られる透明ABS樹脂が知られている。この透明ABS樹脂は、(i)耐衝撃性、剛性などの機械強度バランスや、(ii)透明性や、(iii)色調や、コストパフォーマンスなどが優れることから、家電製品、通信関連機器一般雑貨及び医療機器などの用途で幅広く利用されている。
特に、医療機器用途では、(iv)γ線照射後の全光線透過率の低下率、(v)γ線照射後の色調変化の少ない透明熱可塑性樹脂組成物が求められている。
透明熱可塑性樹脂組成物に、耐衝撃性、透明性、良好な色調を発現する手法として、例えば、特許文献1では、屈折率が1.510以上1.520以下のゴム質重合体(r)存在下において、シアン化ビニル系単量体(a3)を実質的に含有しない単量体混合物(a)を、グラフト共重合して得られたグラフト共重合体(A)と、ビニル系共重合体(B)と、を有する熱可塑性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂組成物のアセトン不溶分(C)が、シアン化ビニル系単量体由来単位を実質的に含有せず、熱可塑性樹脂組成物のアセトン可溶分(D)が、シアン化ビニル系単量体由来単位を含み、かつ、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が、アセトン可溶分(D)100質量%に対し、2質量%以上20質量%以下であり、熱可塑性樹脂組成物のジメチルスルホキシド可溶分(E)が、シアン化ビニル系単量体由来単位を含有し、かつ、ジメチルスルホキシド可溶分(E)において、3連子のすべてがシアン化ビニル系単量体由来単位をである割合が、3連子の中央がシアン化ビニル系単量体由来単位である総数に対し、1%未満であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提案されている。
透明熱可塑性樹脂組成物に、押出し成形性、引き裂き強度、傷つき性、透明性を発現する手法として、例えば、特許文献2では、ゴム状重合体と芳香族ビニル系単量体またはそれと共重合可能な他のビニル系単量体とから構成されるゴム強化スチレン系樹脂組成物であって、(1)該ゴム状重合体の重量平均粒子径が0.05〜0.20μm、(2)該組成物中のアセトン可溶部の重量平均分子量が10〜30万、(3)該組成物中の不溶部と可溶部との屈折率との差が0.02未満であることを特徴とする押出し成形性に優れた透明ゴム強化スチレン系樹脂組成物が提案されている。
また、スチレン−ブタジエンゴムを用いた熱可塑性樹脂組成物として以下のものが提案されている。例えば、特許文献3では、透明性、色調安定性、耐衝撃性、流動性を発現する手法として、1μm以上の粒子径が粒子全体の2〜10重量%であり、かつ、0.1μm以下の粒子径が粒子全体の20重量%以下であるような粒子径分布を有する重量平均粒子径0.30〜0.70μmのスチレン−ブタジエンゴム質重合体(r)を特徴とするグラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)を含有する樹脂組成物において、該樹脂組成物の重量に対するゴム質重合体(r)の割合が3〜25重量%であることを特徴とする、透明スチレン系熱可塑性樹脂組成物が提案されている。例えば、特許文献4では、高い透明性を維持する耐衝撃改質剤として、ブタジエン単位を主成分とする重合体(A1)とスチレン単位を主成分とする重合体(A2)とを含有する重合体混合物(A)の存在下に、ビニル単量体成分(b)を重合して得られるグラフト共重合体であり、重合体混合物(A)中のブタジエン単位の含有率が45〜65重量%、スチレン単位の含有率が35〜55重量%であるグラフト共重合体からなる、耐衝撃性向上剤が提案されている。例えば、特許文献5では、流動性、透明性、耐衝撃性を発現する手法として、(A)メチルメタクリレートポリマー、(B)コポリマー、(C)本質的に(C1)(C11)1,3−ジエン50〜100重量%及び(C12)ビニル芳香族モノマー50重量%以下までよりなるモノマー混合物の重合により得られる核50〜80重量%、(C2)核(C1)の存在で(C21)メタクリル酸又はアクリル酸C1〜C8−アルキルエステル40〜100重量%及び(C22)ビニル芳香族モノマー0〜60重量%よりなるモノマー混合物の重合により得られるグラフト外殻20〜50重量%の、グラフトコポリマーの平均粒度(d50)40〜500nmを選択する条件での重合により得られるグラフトコポリマー20〜50重量%及び(D)常用の添加物20重量%まで、からなる混合物を含有する熱可塑性成形材料が提案されている。
しかし、いずれの手法でも、耐衝撃性、透明性、良好な色調、γ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化のバランスが不十分であり、広範囲にわたる用途への適用が制限される場合があった。
国際公開第2018−220961号 特開2002−128848号公報 特開2012−207074号公報 国際公開第2008−026626号 特開平8−73685号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題とするものであり、すなわち、耐衝撃性に優れ、高度な透明性、良好な色調を兼ね備え、さらにγ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化の少ない透明熱可塑性樹脂組成物の提供を目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ビニル系単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体にゴム質重合体含有グラフト共重合体が分散した透明熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体に含有するゴム質重合体が、特定量のジエン系単量体と、特定量の芳香族ビニル系単量体からなるゴム質重合体であり、透明熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体粒子の数平均粒子径が特定の範囲内に存在する場合に、耐衝撃性に優れ、高度な透明性、良好な色調を兼ね備え、さらにγ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化の少ない透明熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の一態様は以下のとおりである。
(1)ジエン系単量体(a1)および芳香族ビニル系単量体(a2)の合計を100重量%とした場合に、65重量%より多く80重量%未満のジエン系単量体(a1)と、20重量%より多く35重量%未満の芳香族ビニル系単量体(a2)からなるゴム質重合体(A)の存在下に、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)および芳香族ビニル系単量体(b2)を含有する単量体混合物(B)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(I)と、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(c1)および芳香族ビニル系単量体(c2)を含有する単量体混合物(C)を共重合してなるビニル系共重合体(II)とを配合してなる透明熱可塑性樹脂組成物であって、該熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)粒子の数平均粒子径が0.15〜0.30μmである透明熱可塑性樹脂組成物。
(2)前記熱可塑性樹脂組成物に含まれるジエン系単量体由来単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位、芳香族ビニル系単量体由来単位、シアン化ビニル系単量体由来単位、およびその他ビニル系単量体由来単位の合計100重量%に対し、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位の含有量が45重量%以下、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が5重量%以下である(1)に記載の透明熱可塑性樹脂組成物。
(3)前記熱可塑性樹脂組成物において、γ線照射後のラジカル発生量が1.3×1018個/g未満である(1)または(2)に記載の透明熱可塑性樹脂組成物。
(4)前記熱可塑性樹脂組成物のジメチルスルホキシド可溶分が、シアン化ビニル系単量体由来単位を含有し、かつ、ジメチルスルホキシド可溶分において、3連子の全てがシアン化ビニル系単量体由来単位である割合が、3連子の中央がシアン化ビニル系単量体由来単位である総数に対し、1モル%未満であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の透明熱可塑性樹脂組成物。
(5)前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、さらにジヒドロオキサフォスファフェナントレン系リン化合物(III)を0.02〜0.2重量部を配合することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の透明熱可塑性樹脂組成物。
(6)ジエン系単量体(a1)および芳香族ビニル系単量体(a2)の合計を100重量%とした場合に、65重量%より多く80重量%未満のジエン系単量体(a1)と、20重量%より多く35重量%未満の芳香族ビニル系単量体(a2)からなるゴム質重合体(A)の存在下に、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)および芳香族ビニル系単量体(b2)を含有する単量体混合物(B)をグラフト共重合してグラフト共重合体(I)を得る工程、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(c1)および芳香族ビニル系単量体(c2)を含有する単量体混合物(C)を共重合してビニル系共重合体(II)を得る工程、ならびに少なくとも前記グラフト共重合体(I)と前記ビニル系共重合体(II)を混合する工程、を備える透明熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、該透明熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)粒子の数平均粒子径が0.15〜0.30μmである透明熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の透明熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
(8)(6)に記載の製造方法で得られる透明熱可塑性樹脂組成物を成形する成形品の製造方法。
本発明により、耐衝撃性に優れ、高度な透明性、良好な色調を兼ね備え、さらにγ線照射後の全光線透過率の低下率およびγ線照射後の色調変化の少ない透明熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
メタクリル酸メチル−スチレン−アクリロニトリル共重合体の13C−NMRのスペクトルチャートのニトリル基に対応したシグナル部分の拡大図の一例。
本発明の透明熱可塑性樹脂組成物は、後述するグラフト共重合体(I)と後述するビニル系共重合体(II)を配合してなる。グラフト共重合体(I)を配合することにより、透明熱可塑性樹脂組成物の成形性を向上させ、成形品の耐衝撃性を向上させることができる。また、ビニル系共重合体(II)を配合することにより、透明熱可塑性樹脂組成物の流動性を向上させ、成形品透明性、色調を向上させることができる。本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を構成するグラフト共重合体(I)は、ジエン系単量体(a1)および芳香族ビニル系単量体(a2)の合計を100重量%とした場合に、65重量%より多く80重量%未満のジエン系単量体(a1)と、20重量%より多く35重量%未満の芳香族ビニル系単量体(a2)からなるゴム質重合体(A)の存在下に、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)および芳香族ビニル系単量体(b2)を含有する単量体混合物(B)をグラフト共重合して得られる。
ゴム質重合体(A)を構成するジエン系単量体(a1)としては、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、透明熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性をより向上させる観点から、1,3−ブタジエンが好ましい。
ゴム質重合体(A)を構成する芳香族ビニル系単量体(a2)としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレンなどが挙げられ、これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、透明熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形品の全光線透過率および剛性をより向上させる観点から、スチレンが好ましい。
本発明におけるゴム質重合体(A)はジエン系単量体(a1)および芳香族ビニル系単量体(a2)の合計100重量%に対して、65重量%より多く80重量%未満のジエン系単量体(a1)と、20重量%より多く35重量%未満の芳香族ビニル系単量体(a2)を共重合して得られる。ジエン系単量体(a1)が65重量%以下であり、芳香族ビニル系単量体(a2)が35重量%以上の場合、ゴム質重合体(A)のガラス転移温度が高くなるため、成形品の耐衝撃性が低下する。ジエン系単量体(a1)が67重量%より多く、芳香族ビニル系単量体(a2)が33%未満であることが好ましい。一方、ジエン系単量体(a1)および芳香族ビニル系単量体(a2)の合計100重量%に対して、ジエン系単量体(a1)が80重量%以上であり、芳香族ビニル系単量体(a2)が20重量%以下の場合、熱可塑性樹脂の透明性を得るために、後述する単量体混合物(B)およびビニル系共重合体(II)中の(メタ)アクリル酸エステル系単量体またはシアン化ビニル系単量体の含有量が多くなるため、成形品のγ線照射後の全光線透過率の低下率およびγ線照射後の色調変化が大きくなる。ジエン系単量体(a1)が77重量%未満、芳香族ビニル系単量体(a2)が23%より多いことが好ましい。
ゴム質重合体(A)の体積平均粒子径は、成形品の耐衝撃性をより向上させるという観点から、0.15μm以上であることが好ましく、透明熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形品の全光線透過率、色調を向上させるという観点から、0.30μm以下であることが好ましい。なお、ゴム質重合体(A)の体積平均粒子径は、ゴム質重合体(A)ラテックスを水に分散させ、レーザ散乱回折法粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
ゴム質重合体(A)の重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、溶液連続重合法などの任意の方法を用いることができる。これらの中でも、ゴム質重合体(A)の粒子径を所望の範囲に容易に調整することができること、重合時の除熱により重合安定性を容易に調整することができることから、乳化重合法がより好ましい。
本発明において使用するグラフト共重合体(I)は、前記ゴム質重合体(A)の存在下に、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)および芳香族ビニル系単量体(b2)を含有する単量体混合物(B)をグラフト共重合して得られる。
グラフト共重合体(I)を構成するゴム質重合体(A)および単量体混合物(B)の合計100重量%に対して、成形品の耐衝撃性をより向上させるという観点から、ゴム質重合体(A)の含有量は、30重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましい。一方、透明熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形品の耐衝撃性、全光線透過率をより向上させるという観点から、ゴム質重合体(A)の含有量は、グラフト共重合体(I)を構成するゴム質重合体(A)および単量体混合物(B)の合計100重量%に対して、70重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましい。
単量体混合物(B)中の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)としては、例えば、炭素数1〜6のアルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが好ましい。炭素数1〜6のアルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルは、さらに水酸基やハロゲン基などの置換基を有してもよい。炭素数1〜6のアルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)として、これらを2種以上含有してもよい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)の中でも、成形品の透明性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。なお、「(メタ)」とは、「メタ」があってもよく、なくてもよい。例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を示す。
単量体混合物(B)中の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)の含有量は、成形品の全光線透過率、色調を向上させる観点から、単量体混合物(B)の合計100重量%に対して、40重量%以上が好ましく、45重量%以上がより好ましい。一方、ビニル系単量体混合物(B)中の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)の含有量は、成形品の全光線透過率、色調、γ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化をより向上させる観点から、単量体混合物(B)の合計100重量%に対して、60重量%以下が好ましく、55重量%以下がより好ましい。
単量体混合物(B)中の芳香族ビニル系単量体(b2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレンなどが挙げられる。芳香族ビニル系単量体(b2)として、これらを2種以上含有してもよい。芳香族ビニル系単量体(b2)の中でも、透明熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形品の全光線透過率、γ線照射後の低下率、γ線照射後の色調変化、および剛性をより向上させる観点から、スチレンが好ましい。
単量体混合物(B)中の芳香族ビニル系単量体(b2)の含有量は、透明熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形品の全光線透過率、γ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化、および剛性をより向上させる観点から、ビニル系単量体混合物(B)の合計100重量%に対して、35重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましい。一方、単量体混合物(B)中の芳香族ビニル系単量体(b2)の含有量は、成形品の耐衝撃性および全光線透過率を向上させる観点から、55重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
また、前述の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)と芳香族ビニル系単量体(b2)と共重合可能な他の単量体は、前述の(b1)、(b2)以外のビニル系単量体であって、本発明の効果を損なわないものであれば特に制限はない。他の単量体としては、具体的には、シアン化ビニル系単量体(b3)、不飽和脂肪酸、アクリルアミド系単量体、マレイミド系単量体などが挙げられ、これらを2種以上含有してもよい。
単量体混合物(B)中のシアン化ビニル系単量体(b3)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙げられる。シアン化ビニル系単量体(b3)として、これらを2種以上含有してもよい。シアン化ビニル系単量体(b3)の中でも、成形品の耐衝撃性をより向上させる観点から、アクリロニトリルが好ましい。
単量体混合物(B)中のシアン化ビニル系単量体(b3)の含有量は、成形品のγ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化、色調を向上させる観点から、単量体混合物(B)の合計100重量%に対して、15重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、0重量%がさらに好ましい。
不飽和脂肪酸としては、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ブテン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。アクリルアミド系単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。マレイミド系単量体としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
グラフト共重合体(I)のアセトン可溶分の重量平均分子量は特に制限はないが、50,000以上が好ましく、60,000以上がより好ましい。グラフト共重合体(I)のアセトン可溶分の重量平均分子量が50,000以上であれば、成形品の耐衝撃性をより向上させることができる。一方、グラフト共重合体(I)のアセトン可溶分の重量平均分子量は120,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましい。グラフト共重合体(I)のアセトン可溶分の重量平均分子量が120,000以下であれば、透明熱可塑性樹脂組成物の流動性をより向上させることができる。
ここで、グラフト共重合体(I)のアセトン可溶分の重量平均分子量は、グラフト共重合体(I)からアセトン不溶分を濾過した濾液をロータリーエバポレーターで濃縮することにより採取したアセトン可溶分について、約0.03gをテトラヒドロフラン約15gに溶解した約0.2重量%の溶液を作製する。この溶液を用いて測定したGPCクロマトグラムから、ポリメタクリル酸メチルを標準物質として換算することにより求めることができる。なお、GPC測定は、下記条件により測定することができる。
測定装置:Waters2695
カラム温度:40℃
検出器:RI2414(示差屈折率計)
キャリア溶離液流量:0.3ml/分(溶媒:テトラヒドロフラン)
カラム:TSKgel SuperHZM−M(6.0mmI.D.×15cm)、TSKgel SuperHZM−N(6.0mmI.D.×15cm)直列(いずれも東ソー(株)製)。
グラフト共重合体(I)のグラフト成分(アセトン不溶分)とゴム質重合体(A)との屈折率の差が0.03以下であることが好ましく、0.01以下であることがより好ましい。グラフト共重合体(I)のグラフト成分(アセトン不溶分)とゴム質重合体(A)との屈折率の差を0.03以下に抑えることで、成形品の透明性、色調を向上させることができる。
ここで、ゴム質重合体(A)の屈折率は、以下の方法で測定することができる。
150mlのメタノールを300r/minで攪拌した状態で、乳化状態のゴムラテックスを10ml添加し、その後10重量%に調整した硫酸を20ml加えることにより、ゴム質重合体(r)の析出物を得た。ゴム質重合体(r)の析出物を60℃で5時間減圧乾燥させた後、230℃に設定した加熱プレスにより加熱加圧し、厚み30±5μmのフィルムを作製した。得られたフィルムを測定サンプルとして、1−ブロモナフタレンを少量滴下し、光源としてナトリウムランプD線を用い、測定温度を23℃とした条件下で、アッベ屈折率計を用いて屈折率を測定した。
グラフト共重合体(I)のグラフト成分の屈折率は、主に原料となるビニル系単量体の組成に依存するため、ビニル系単量体の種類や組成比を適宜選択することにより、屈折率を所望の範囲にすることができる。特に、乳化重合法により、高分子量体転換率を95%以上にする場合、グラフト成分の組成は、ビニル系単量体混合物(B)の組成とほぼ同等となる。
グラフト共重合体(I)のグラフト成分の屈折率は、ビニル系単量体の屈折率と含有量から推測することができる。例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルの共重合体の場合には、下記式によりグラフト共重合体(I)のグラフト成分の屈折率を推測することができる。
nD(G)=(1.595×MS/100)+(1.490×MM/100)+(1.510×MA/100)
ここで、nD(G)はグラフト共重合体(I)のグラフト成分の屈折率を表し、MSはスチレン含有量(重量%)を表し、MMはメタクリル酸メチル含有量(重量%)、MAはアクリロニトリル含有量(重量%)を表す。1.595はポリスチレンの屈折率を表し、1.490はポリメタクリル酸メチルの屈折率を表し、1.510はポリアクリロニトリルの屈折率を表す。なお、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリルの屈折率は、アッベ屈折率計にて測定することができる。
また、グラフト共重合体(I)のグラフト成分の屈折率は、グラフト共重合体(I)をアセトンに溶解し、アセトン可溶分を濾過した残渣を乾燥することにより得られるグラフト成分について、アッベ屈折率計にて測定することができる。
グラフト共重合体(I)の製造方法は、ゴム質重合体(A)の重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、溶液連続重合法などの任意の方法を用いることができる。これらの中でも、ゴム質重合体(A)の粒子径を所望の範囲に容易に調整することができること、重合時の除熱により重合安定性を容易に調整することができることから、乳化重合法がより好ましい。
グラフト共重合体(I)を乳化重合法により製造する場合、ゴム質重合体(A)とビニル系単量体混合物(B)の仕込み方法は、特に限定されない。例えば、これら全てを初期一括仕込みとしてもよいし、共重合体組成の分布を調整するために、ビニル系単量体混合物(B)の一部を連続的に仕込んでもよいし、ビニル系単量体混合物(B)の一部または全てを分割して仕込んでもよい。ここで、ビニル系単量体混合物(B)の一部を連続的に仕込むとは、ビニル系単量体混合物(B)の一部を初期に仕込み、残りを経時的に連続して仕込むことを意味する。また、ビニル系単量体混合物(B)を分割して仕込むとは、ビニル系単量体混合物(B)を、初期仕込みより後の時点で仕込むことを意味する。
グラフト共重合体(I)を乳化重合法により製造する場合、乳化剤として各種界面活性剤を添加してもよい。各種界面活性剤としては、カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型などのアニオン系界面活性剤が特に好ましく、アニオン系界面活性剤を2種以上組み合わせてもよい。なお、ここで言う塩としては、たとえば、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
カルボン酸塩型の乳化剤としては、例えば、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリル酸塩、ミスチリン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ロジン酸塩、ベヘン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩などが挙げられる。
硫酸エステル塩型の乳化剤としては、例えば、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。
スルホン酸塩型の乳化剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩縮合物などが挙げられる。
グラフト共重合体(I)を乳化重合法により製造する場合、必要に応じて開始剤を添加してもよい。開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ系化合物、水溶性の過硫酸カリウムなどが挙げられ、これらを2種以上組み合わせてもよい。また、開始剤としてレドックス系重合開始剤を用いてもよい。
過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルイソプロピルカルボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクテート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロへキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。過酸化物のなかでも、クメンハイドロパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロへキサンが特に好ましく用いられる。
アゾ系化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、1−t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンタンなどが挙げられる。アゾ系化合物のなかでも、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリルが特に好ましく用いられる
グラフト共重合体(I)を製造するために用いられる開始剤の添加量は、特に制限はないが、グラフト共重合体(I)の重量平均分子量を前述の範囲に調整しやすいという観点から、ゴム質重合体(A)とビニル系単量体混合物(B)との合計100重量部に対して、0.1重量部以上0.5重量部以下が好ましい。
グラフト共重合体(I)を製造する場合、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤を使用することにより、グラフト共重合体(I)の重量平均分子量およびグラフト率を所望の範囲に容易に調整することができる。連鎖移動剤としては、例えば、(i)n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタンなどのメルカプタン、(ii)テルピノレンなどのテルペンなどが挙げられ、これらを2種以上組み合わせてもよい。連鎖移動剤のなかでも、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
グラフト共重合体(I)を製造するために用いられる連鎖移動剤の添加量は、特に制限はない。グラフト共重合体(I)の重量平均分子量およびグラフト率を前述の範囲に調整しやすいという観点から、グラフト共重合体(I)を製造するために用いられる連鎖移動剤の添加量は、ゴム質重合体(A)とビニル系単量体混合物(B)の合計100重量部に対して0.1重量部以上が好ましく、より好ましくは0.2重量部以上であり、0.5重量部以下が好ましく、より好ましくは0.4重量部以下である。
グラフト共重合体(I)を乳化重合により製造する場合、重合温度に特に制限はないが、グラフト共重合体(I)の重量平均分子量および分散度を前述の範囲に調整しやすいという観点、乳化安定性の観点から、40℃以上70℃以下が好ましい。
グラフト共重合体(I)を乳化重合法により製造する場合、グラフト共重合体ラテックスに凝固剤を添加して、グラフト共重合体(I)を回収することが一般的である。凝固剤としては、酸または水溶性塩が好ましく用いられる。
凝固剤として用いる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸などが挙げられる。凝固剤として用いる水溶性塩としては、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウムなどが挙げられ、これらを2種以上組み合わせてもよい。成形品の色調を向上させる観点から、熱可塑性樹脂組成物中に乳化剤を残存させないことが好ましい。このため、乳化剤としてアルカリ脂肪酸塩を用い、酸凝固させ、次いで、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリで中和することにより、乳化剤を除去することが好ましい。
本発明において使用するビニル系共重合体(II)は、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(c1)および芳香族ビニル系単量体(c2)を含有する単量体混合物(C)を共重合して得られる。
単量体混合物(C)は、さらに、前述の(c1)、(c2)と共重合可能な他の単量体をさらに含有してもよい。
単量体混合物(C)中の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(c1)としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)として例示したものが挙げられ、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。
単量体混合物(C)中の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(c1)の含有量は、成形品の全光線透過率、色調を向上させる観点から、ビニル系共重合体(II)を構成する単量体混合物の合計100重量%に対して、40重量%以上が好ましく、45重量%以上がより好ましい。一方、単量体混合物(C)中の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(c1)の含有量は、成形品の全光線透過率、色調、γ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化をより向上させる観点から、ビニル系共重合体(II)を構成する単量体混合物の合計100重量%に対して、60重量%以下が好ましく、55重量%以下がより好ましい。
芳香族ビニル系単量体(c2)としては、芳香族ビニル系単量体(b2)として例示したものが挙げられ、スチレンが好ましい。
単量体混合物(C)中の芳香族ビニル系単量体(c2)の含有量は、透明熱可塑性樹脂組成物の流動性、成形品の全光線透過率、γ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化、および剛性をより向上させる観点から、ビニル系共重合体(II)を構成する単量体混合物の合計100重量%に対して、35重量%以上であり、40重量%以上が好ましい。一方、単量体混合物(C)中の芳香族ビニル系単量体(c2)の含有量は、成形品の耐衝撃性および全光線透過率を向上させる観点から、ビニル系共重合体(II)を構成する単量体混合物の合計100重量%に対して、55重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
また、前述の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(c1)、芳香族ビニル系単量体(c2)、と共重合可能な他の単量体は、前述の(c1)、(c2)以外のビニル系単量体であって、本発明の効果を損なわないものであれば特に制限はない。他の単量体として、具体的には、シアン化ビニル系単量体(c3)、不飽和脂肪酸、アクリルアミド系単量体、マレイミド系単量体などが挙げられ、これらを2種以上含有してもよい。
単量体混合物(C)中のシアン化ビニル系単量体(c3)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙げられ、シアン化ビニル系単量体(c3)として、これらを2種以上含有してもよい。シアン化ビニル系単量体(c3)の中でも、成形品の耐衝撃性をより向上させる観点から、アクリロニトリルが好ましい。
単量体混合物(C)中のシアン化ビニル系単量体(c3)の含有量は、成形品の耐衝撃性をより向上させる観点から、単量体混合物(C)の合計100重量%に対して、2重量%以上が好ましく、より好ましくは3重量%以上である。一方、ビニル系共重合体(II)を構成する単量体混合物中のシアン化ビニル系単量体(c3)の含有量は、成形品のγ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化、色調を向上させる観点から、15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。
不飽和脂肪酸としては、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ブテン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。アクリルアミド系単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。マレイミド系単量体としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
ビニル系共重合体(II)の重量平均分子量は70,000以上であることが好ましく、80,000以上であることがより好ましい。ビニル系共重合体(II)の重量平均分子量を70,000以上とすることにより、成形品の耐衝撃性をより向上させることができる。一方、ビニル系共重合体(II)の重量平均分子量は250,000以下が好ましく、200,000以下がより好ましい。ビニル系共重合体(B)の重量平均分子量を200,000以下とすることにより、透明熱可塑性樹脂組成物の流動性をより向上させることができる。重量平均分子量が70,000以上200,000以下の範囲にあるビニル系共重合体(II)は、例えば、後述する開始剤や連鎖移動剤を用いることなどにより、容易に製造することができる。
ここで、ビニル系共重合体(II)の重量平均分子量は、ビニル系共重合体(II)約0.03gをテトラヒドロフラン約15gに溶解した約0.2重量%の溶液を用いて測定したGPCクロマトグラムから、ポリメタクリル酸メチルを標準物質として換算することにより求めることができる。なお、GPC測定は、下記条件により測定することができる。
測定装置:Waters2695
カラム温度:40℃
検出器:RI2414(示差屈折率計)
キャリア溶離液流量:0.3ml/分(溶媒:テトラヒドロフラン)
カラム:TSKgel SuperHZM−M(6.0mmI.D.×15cm)、TSKgel SuperHZM−N(6.0mmI.D.×15cm)直列(いずれも東ソー(株)製)。
ビニル系共重合体(II)は、前述のゴム質重合体(A)との屈折率の差が0.03以下であることが好ましく、0.01以下であることがより好ましい。ビニル系共重合体(II)の屈折率とゴム質重合体(A)の屈折率との差を0.03以下に抑えることにより、成形品の全光線透過率、色調を向上させることができる。
ビニル系共重合体(II)の屈折率は、主に原料となるビニル系単量体の組成に依存するため、ビニル系単量体の種類や組成比を適宜選択することにより、屈折率を所望の範囲にすることができる。なお、ビニル系共重合体(II)の屈折率は、ビニル系単量体の屈折率と含有量から推測することができ、例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルの共重合体の場合には、下記式によりビニル系共重合体(II)の屈折率を推測することができる。
nD(II)=(1.595×MS/100)+(1.490×MM/100)+(1.510×MA/100)
ここで、nD(II)はビニル系共重合体(II)の屈折率を表し、MSはスチレン含有量(重量%)を表し、MMはメタクリル酸メチル含有量(重量%)を表し、MAはアクリロニトリル含有量(重量%)を表す。1.595はポリスチレンの屈折率を示し、1.490はポリメタクリル酸メチルの屈折率を示し、1.510はポリアクリロニトリルの屈折率を示す。なお、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリルの屈折率は、いずれもアッベ屈折率計にて測定することができる。
また、ビニル系共重合体(II)の屈折率は、アッベ屈折率計にて、測定することができる。
ビニル系共重合体(II)の重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、連続溶液重合法の任意の方法を用いることができ、これらを2種以上組み合わせてもよい。これらの中でも、重合制御の容易さ、後処理の容易さを考慮すると懸濁重合法が最も好ましい。
懸濁重合に用いられる懸濁安定剤としては、硫酸バリウムおよび水酸化マグネシウムなどの無機系懸濁安定剤や、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体などの有機系懸濁安定剤などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらのなかでも、色調安定性の面で有機系懸濁安定剤が好ましい。
ビニル系共重合体(II)の懸濁重合に使用される開始剤としては、グラフト共重合体(I)の開始剤として例示したものを挙げることができる。また、ビニル系共重合体(II)の重量平均分子量の調整を目的として、グラフト共重合体(I)に用いられる連鎖移動剤として例示したメルカプタン、テルペンなどの連鎖移動剤を使用することも可能である。懸濁重合ではビニル系共重合体(II)のスラリーが得られ、次いで脱水、乾燥を経て、ビーズ状のビニル系共重合体(II)が得られる。
ビニル系共重合体(II)を製造する場合、適宜開始剤や連鎖移動剤を使用してもよい。開始剤および連鎖移動剤としては、グラフト共重合体(I)の製造方法において例示したものと同じ開始剤および連鎖移動剤が挙げられる。
ビニル系共重合体(II)を製造するために用いられる開始剤の添加量に特に制限はないが、ビニル系共重合体(II)の重量平均分子量を前述の範囲に調整しやすいという観点から、ビニル系共重合体(II)を構成する単量体混合物の合計100重量部に対して、0.01重量部以上0.05重量部以下が好ましい。
ビニル系共重合体(II)を製造するために用いられる連鎖移動剤の添加量は、特に制限はないが、ビニル系共重合体(II)の重量平均分子量を前述の範囲に調整しやすいという観点から、ビニル系単量体混合物(II)の合計100重量部に対して、0.01重量部以上0.40重量部以下が好ましい。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物の「透明」とは、角板成形品(縦50mm、横40mm、厚さ3mm)を東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを使用して、得られた角板成形品の全光線透過率が80%以上であることを言う。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)粒子の数平均粒子径は0.15〜0.30μmである。グラフト共重合体(I)粒子の数平均粒子径が0.15μm未満であると、成形品の耐衝撃性が低下する。一方、グラフト共重合体(I)粒子の数平均粒子径が0.30μmより大きいと、成形品の全光線透過率が低下する。0.15〜0.25μmがより好ましい。
透明熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)粒子の数平均粒子径は、ISO3167:2002で規定された多目的試験片A形(全長150mm、試験部の幅10mm、厚さ4mm)の狭い部分を約60nmの厚さに薄切りし、四酸化オスミウムで染色した試料を透過型電子顕微鏡(倍率:15,000倍、観察範囲:5μm×5μm)にて観察を行い、グラフト共重合体粒子を無作為に100個選択し、粒子の最大寸法および最小寸法を測定し、その数平均値を算出することで得られる。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(I)およびビニル系共重合体(II)の合計100重量部に対して、成形品の耐衝撃性向上の観点から、グラフト共重合体(I)20重量部以上、ビニル系共重合体(II)80重量部以下が好ましい。一方、透明熱可塑性樹脂組成物の流動性および成形品の全光線透過率、色調および剛性の観点から、グラフト共重合体(I)およびビニル系共重合体(II)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(I)60重量部以下、ビニル系共重合体(II)40重量部以上が好ましい。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物は、ジエン系単量体由来単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位、芳香族ビニル系単量体由来単位、シアン化ビニル系単量体由来単位、およびその他ビニル系単量体由来単位の合計100重量%に対し、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位の含有量が45重量%以下、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が5重量%以下であることが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位の含有量は、30重量%以上が好ましく、シアン化ビニル系単量体由来単位は、含有しなくてもよい。
透明熱可塑性樹脂組成物中のジエン系単量体由来単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位、芳香族ビニル系単量体由来単位、シアン化ビニル系単量体由来単位、およびその他ビニル系単量体由来単位の合計100重量%に対し、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位の含有量が45重量%以下であればγ線照射の際の(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来のラジカル発生量を抑制することができ、成形品のγ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化をより向上させることができる。また、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が5重量%以下であれば、シアン化ビニル系単量体由来のラジカルを抑制することができ、成形品のγ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化をより向上させることができる。
透明熱可塑性樹脂組成物中のジエン系単量体由来単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位、芳香族ビニル系単量体由来単位、シアン化ビニル系単量体由来単位、およびその他ビニル系単量体由来単位の合計100重量%に対する(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位の含有量およびシアン化ビニル系単量体由来単位の含有量は、以下の方法により求めることができる。
透明熱可塑性樹脂組成物について、230℃に設定した加熱プレスにより作製した厚み30±5μmのフィルムについて、FT−IR分析を行い、FT−IRのスペクトルチャートに現れる下記ピークの強度比から事前に作製した検量線よりシアン化ビニル系単量体由来単位のピークの有無およびシアン化ビニル系単量体由来単位の含有量を定量することができる。以下に、単位とピークの関係を記載する。
ジエン系単量体由来単位:C=Cに帰属される960cm−1のピーク。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位:エステルのカルボニル基C=O伸縮振動に帰属される1730cm−1のピークの倍音ピークである3460cm−1のピーク。
芳香族ビニル系単量体由来単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク。
シアン化ビニル系単量体由来単位:C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物のγ線照射後のラジカル発生量は、成形品のγ線照射後の全光線透過率の低下率、γ線照射後の色調変化をより向上させる観点から、1.3×1018個/g未満であることが好ましい。ラジカル発生量は、ESR(電子スピン共鳴装置)を用いて測定することができる。
ESRの測定条件は以下の通りである。
装置:BRUKER社製 EMXplus
測定温度:室温
中心磁場:351.6mT
磁場掃引範囲:40mT)
変調:100kHz、0.2mT
マイクロ波:9.86GHZ、0.1mW
掃引時間:80s×4times
時定数:163.84ms
データポイント数:2000points
キャビティ:Super−high−Q。
ラジカル発生量は(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位の含有量に比例し、γ線照射後の全光線透過率の低下率を大きくするが、そのラジカルは数日でほぼ消滅する。その後、シアン化ビニル系単量体由来のラジカルに移行し全光線透過率の回復率を低下させる経時変化が観測されている。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物は、ジメチルスルホキシド可溶分がシアン化ビニル系単量体由来単位を含有し、かつ、ジメチルスルホキシド可溶分において、3連子の全てがシアン化ビニル系単量体由来単位である割合が、3連子の中央がシアン化ビニル系単量体由来単位である総数に対し、1モル%未満であることが好ましい。ここで、ジメチルスルホキシド可溶分がシアン化ビニル系単量体由来単位を含むとは、後述するジメチルスルホキシド可溶分成分について、13C−NMR分析を行った際、シアン化ビニル系単量体に由来するC≡Nの炭素に帰属される122ppmにピークが存在することを意味する。ジメチルスルホキシド可溶分がシアン化ビニル系単量体由来単位を含有することにより成形品の耐衝撃性が向上するため好ましい。
一方、「3連子」とは、単量体が共重合した際の共重合体において連続した3つの単量体由来単位を示す。シアン化ビニル系単量体由来単位の3連子とは、シアン化ビニル系単量体由来単位が3つ連続して共重合体に導入されたことを示す。シアン化ビニル系単量体由来単位の3連子の一般式は、下記式(1)によって表現することができる。
Figure 2021038387
(一般式(1)において、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す)
また、「ジメチルスルホキシド可溶分において、3連子の全てがシアン化ビニル系単量体由来単位である総数に対し、1モル%未満である」とは、ジメチルスルホキシド可溶分に存在する3連子の中で、シアン化ビニル系単量体由来単位が3連子の中央に存在する総数に対し、その両隣もシアン化ビニル系単量体由来単位である割合が1モル%未満であることを意味する。
ジメチルスルホキシド可溶分がシアン化ビニル系単量体由来単位を含有する場合、成形品の耐衝撃性が向上する。また、ジメチルスルホキシド可溶分において、3連子の全てがシアン化ビニル系単量体由来単位である割合が、3連子の中央がシアン化ビニル系単量体由来単位である総数に対し、1モル%未満の場合、成形品の透明性、色調が向上する。
シアン化ビニル系単量体由来単位の3連子は、上記式(1)で表されるセグメントである。かかるセグメントを有する共重合体が高温にさらされた場合、着色の原因となる下記式(2)に示す分子内環化反応が進みやすい。このため、ジメチルスルホキシド可溶分において、3連子の全てがシアン化ビニル系単量体由来単位割合が、3連の中央がシアン化ビニル系単量体由来単位である総数に対し、1モル%未満とすることにより、着色を抑制することができる。
Figure 2021038387
(一般式(2)において、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す)
ここで、ジメチルスルホキシド可溶分におけるシアン化ビニル系単量体由来単位のNMRにおけるピークの有無、またシアン化ビニル系単量体由来単位の3連子の割合は以下の方法により求めることができる。まず、透明熱可塑性樹脂組成物約10gに重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d)50mlを加え、70℃の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8000r/min(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、ジメチルスルホキシド可溶分を得る。ジメチルスルホキシド可溶分を試料として、NMRのスペクトルチャートに現れるシアン化ビニル系単量体由来単位のC≡Nの炭素に帰属される122ppmのピークの有無を確認した。また、13C−NMRに現れるシアン化ビニル系単量体由来単位のC≡Nの炭素のシグナルシフトが隣接モノマー種の違いで若干異なることを利用し、シアン化ビニル系単量体由来単位のC≡Nの炭素の3連子の割合をそのシグナル積分値から定量し、3連子の中央がシアン化ビニル系単量体由来単位である総数のうち、シアン化ビニル系単量体由来単位の3連子の割合をモル%で算出する。なお、3連子の中央がシアン化ビニル系単量体由来単位である例としては、−A−A−A−,−A−A−S−,−A−A−M−,−S−A−S−,−M−A−M−,―S−A−M−が挙げられる。(ここで、「S」はスチレン単量体由来単位を示し、「M」はメタクリル酸メチル単量体由来単位を示し、「A」はアクリロニトリル単量体由来単位を示す)
3連子の中央がシアン化ビニル系単量体由来単位である総数のうち、シアン化ビニル系単量体由来単位の3連子の割合(モル%)は、[−A−A−A−のピーク強度]/[−A−A−A−,−A−A−S−,−A−A−M−,−S−A−S−,−M−A−M−,−S−A−M−のピーク強度]×100と定義される。
3連子の組み合わせとピーク位置は下記の通りである。
−A−A−A−:119.4〜120.0ppm
−A−A−S−,−A−A−M−,−S−A−S−,−M−A−M−,−S−A−M−:120.0〜123.8ppm
13C−NMR測定条件は以下の通りである。
装置:日本電子(株)製 ECZR−600型
測定法:single 13C pulse with inverse gated H decoupling
プローブ:SuperCOOL開放型
観測周波数:150.9MHz
溶媒:DMSO−d
濃度:100mg/0.6ml(試料/DMSO−d
化学シフト基準:MeSi
温度:110℃
観測幅:37900Hz
データ点:32768
flip angle:45°(5.25μs)
pulse delay time:5.0s
積算回数:12988回。
本発明形態の透明熱可塑性樹脂組成物は、前記透明熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、ジヒドロオキサフォスファフェナントレン系リン化合物(III)を0.02〜0.2重量部を配合することが好ましい。
ジヒドロキサフォスファフェナントレン系リン化合物(III)としては、下記一般式(3)で示される化合物である。例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド、8−クロロ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド、8−t−ブチル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド等が挙げられる。中でも、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイドが好ましく用いられる。
Figure 2021038387
(一般式(3)において、R1およびR2は水素原子、ハロゲン基、または炭素数1〜6のアルキル基を表す)
ジヒドロキサフォスファフェナントレン系リン化合物(III)の含有量が0.02重量部以上であれば、成形品の全光線透過率、色調、耐γ線照射後の全光線透過率の低下率をより向上させることができる。一方、ジヒドロキサフォスファフェナントレン系リン化合物(III)の含有量が0.2重量部以下であれば、成形品のγ線照射後の全光線透過率の低下率を抑制できる。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ジヒドロキサフォスファフェナントレン系リン化合物(III)以外のリン系化合物やその他の酸化防止剤を含んでよい。
フェノール系化合物としては、例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3’,5’)−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル−s−トリアジン2,4,6(1H,2H,3H)−トリオン、1,1,4−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等の2,4,5−または2,4,6−3フェノール類、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物等が挙げられる。中でも、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましく用いられる。
フェノール系化合物の含有量は、特に制限はないが、透明熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜0.1重量部が好ましい。フェノール系化合物の含有量が透明熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.01重量部以上であれば成形品の色調が向上する。一方、0.1重量部以下であれば、成形品のγ線照射後の全光線透過率の低下率が抑制される。
ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル、{4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニル}N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス−{N−メチル−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニル)}セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。中でも、(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートが好ましく用いられる。
ジヒドロキサフォスファフェナントレン系リン化合物以外のリン系化合物としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス‘2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト等のペンタエリスリトール型ジホスファイト化合物が挙げられる。中でも、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく用いられる。
その他の酸化防止剤として硫黄系化合物が挙げられ、例えば、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミスチリル3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物には、効果を損なわない範囲で、例えば、ガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスビーズ、ガラスフレーク、アルミナ、アルミナ繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、ステンレス繊維、ウィスカ、チタン酸カリウム繊維、ワラステナイト、アスベスト、ハードクレー、焼成クレー、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウムおよび鉱物などの無機充填材;シリコーン化合物などの衝撃改質剤;ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系またはサリシレート系などの紫外線吸収剤;高級脂肪酸、酸エステル、酸アミド系または高級アルコールなどの滑剤および可塑剤;モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびエチレンワックスなどの離型剤;各種難燃剤;難燃助剤;亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤;リン酸、リン酸一ナトリウム、無水マレイン酸、無水コハク酸などの中和剤;核剤;アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤;顔料、染料などの着色剤、ブルーイング剤などを配合することができる。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物の製造方法に特に制限はないが、生産性の観点から、前述のグラフト共重合体(I)、ビニル系共重合体(II)および必要に応じてその他成分を溶融混練する方法が好ましい。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物は、任意の成形方法により成形することができる。成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形、ガスアシスト成形などが挙げられ、射出成形が好ましく用いられる。射出成形時のシリンダー温度は210℃以上320℃以下が好ましく、金型温度は30℃以上80℃以下が好ましい。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物は、任意の形状の成形品として広く用いることができる。成形品としては、例えば、フィルム、シート、繊維、布、不織布、射出成形品、押出成形品、真空圧空成形品、ブロー成形品、他の材料との複合体などが挙げられる。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物は、高い全光線透過率、良好な色調を兼ね備え、さらにγ線照射後の全光線透過率の低下率およびγ線照射後の色調変化の少ない透明熱可塑性樹脂組成物を得ることができることから、家電製品、通信関連機器、一般雑貨および医療関連機器などの用途として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、実施例における評価方法について説明する。
(1)ゴム質重合体(A)の体積平均粒子径
ゴム質重合体(A)のラテックスを水媒体で希釈、分散させた後、レーザ散乱回折法粒度分布測定装置“LS 13 320”(ベックマン・コールター(株))により粒子径分布を測定した。その粒子径分布より、ゴム質重合体(A)の体積平均粒子径を算出した。
(2)透明熱可塑性樹脂組成物中におけるグラフト共重合体(I)の数平均粒子径
各実施例および比較例により得られた、ISO3167:2002で規定された多目的試験片A形(全長150mm、試験部の幅10mm、厚さ4mm)の狭い部分を約60nmの厚さに薄切りし、四酸化オスミウムで染色した試料を透過型電子顕微鏡(倍率:15,000倍、観察範囲:5μm×5μm)にて観察を行い、グラフト共重合体粒子を無作為に100個選択し、粒子の最大寸法および最小寸法を測定し、その数平均値を算出した。
(3)重量平均分子量
約0.03gをテトラヒドロフラン約15gに溶解した約0.2重量%の溶液を作製する。この溶液を用いて測定したGPCクロマトグラムから、ポリメタクリル酸メチルを標準物質として換算することにより求めることができる。
グラフト共重合体(I)のアセトン可溶分およびビニル系共重合体(II)約0.03gをそれぞれテトラヒドロフラン約15gに溶解した約0.2重量%の溶液を作製する。この溶液を用いて測定したGPCクロマトグラムから、ポリメタクリル酸メチルを標準物質として換算することにより、重量平均分子量算出した。なお、GPC測定は下記条件により測定した。
機器:Waters2695
カラム温度:40℃
検出器:RI2414(示差屈折率計)
キャリア溶離液流量:0.3ml/分(溶媒:テトラヒドロフラン)
カラム:TSKgel SuperHZM−M(6.0mmI.D.×15cm)、TSKgel SuperHZM−N(6.0mmI.D.×15cm)直列(いずれも東ソー(株)製)。
(4)透明熱可塑性樹脂組成物中の(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびシアン化ビニル系単量体由来単位の含有量
透明熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いて、230℃に設定した加熱プレスにより作製した厚み30±5μmのフィルムについて、FT−IR分析を行い、FT−IRのスペクトルチャートに現れる下記ピークの強度比から事前に作製した検量線より、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびシアン化ビニル系単量体由来単位の含有量を定量した。以下に、単位とピークの関係を記載する。
ジエン系単量体単位:C=Cに帰属される960cm−1のピーク。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位:エステルのカルボニル基C=O伸縮振動に帰属される1730cm−1のピークの倍音ピークである3460cm−1のピーク。
芳香族ビニル系単量体由来単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク。
シアン化ビニル系単量体由来単位:C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク。
(5)透明熱可塑性樹脂組成物のジメチルスルホキシド可溶分におけるシアン化ビニル系単量体由来単位のピークの有無、またシアン化ビニル系単量体由来単位の3連子の割合
透明熱可塑性樹脂組成物約10gに重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d)50mlを加え、70℃の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8000r/min(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、ジメチルスルホキシド可溶分を得る。ジメチルスルホキシド可溶分を試料として、NMRのスペクトルチャートに現れるシアン化ビニル系単量体由来単位のC≡Nの炭素に帰属される122ppmのピークの有無を確認した。また、13C−NMRに現れるシアン化ビニル系単量体由来単位のC≡Nの炭素のシグナルシフトが隣接モノマー種の違いで若干異なることを利用し、シアン化ビニル系単量体由来単位のC≡Nの炭素の3連子の割合をそのシグナル積分値から定量し、3連子の中央がシアン化ビニル系単量体由来単位である総数のうち、シアン化ビニル系単量体由来単位の3連子の割合をモル%で算出した。図1にスチレン−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体の13C−NMRのスペクトルチャートのC≡Nの炭素の拡大図の一例を示す。図1に記載する大文字S、M、Aは、それぞれ、スチレン単量体由来単位、メタクリル酸メチル単量体由来単位、アクリロニトリル単量体由来単位を示す。
3連子の中央がシアン化ビニル系単量体由来単位である総数のうち、シアン化ビニル系単量体由来単位の3連子の割合(モル%)は、[−A−A−A−のピーク強度]/[−A−A−A−,−A−A−S−,−A−A−M−,−S−A−S−,−M−A−M−,−S−A−M−のピーク強度]×100と定義される。
3連子の組み合わせとピーク位置は下記の通りである。
−A−A−A−:119.4〜120.0ppm
−A−A−S−,−A−A−M−,−S−A−S−,−M−A−M−,−S−A−M−:120.0〜123.8ppm
13C−NMR測定条件は以下の通りである。
装置:日本電子(株)製 ECZR−600型
測定法:single 13C pulse with inverse gated H decoupling
プローブ:SuperCOOL開放型
観測周波数:150.9MHz
溶媒:DMSO−d
濃度:100mg/0.6ml(試料/DMSO−d
化学シフト基準:MeSi
温度:110℃
観測幅:37900Hz
データ点:32768
flip angle:45°(5.25μs)
pulse delay time:5.0s
積算回数:12988回。
(6)透明性(ヘイズ、全光線透過率)
各実施例および比較例により得られた透明熱可塑性樹脂組成物ペレットを80℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、シリンダー温度を230℃に設定した住友重機械工業(株)製SE−50DU成形機内に充填し、即時に厚さ3mmの角板成形品を成形した。東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを使用して、得られた角板成形品のヘイズ、全光線透過率を測定した。
(7)色調(YI値)
各実施例および比較例により得られた透明熱可塑性樹脂組成物ペレットを80℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、シリンダー温度を230℃に設定した住友重機械工業(株)製SE−50DU成形機内に充填し、即時に厚さ3mmの角板成形品を成形した。得られた角板成形品各5個について、JIS K7103(1971年制定)に準拠してYI値を測定し、その数平均値を算出した。
(8)耐衝撃性(シャルピー衝撃強度)
各実施例および比較例により得られた透明熱可塑性樹脂組成物ペレットを80℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、シリンダー温度を230℃に設定した住友重機械工業(株)製SE−50DU成形機内に充填し、ISO3167:2002で規定された多目的試験片A形(全長150mm、試験部の幅10mm、厚さ4mm)を作製した。得られた試験片を用いてISO179−1:2010に従って、シャルピー衝撃強度を測定した。8個の試験片についてシャルピー衝撃強度を測定し、その数平均値を算出した。
即時に厚さ4mmのダンベル試験片を成形した。得られたダンベル試験片各5個について、ISO179に準拠した方法でシャルピー衝撃強度を測定し、その数平均値を算出した。
(9)耐γ線評価
各実施例および比較例により得られた厚さ3mmの角板試験片をコーガアイソトープ(株)にて37.5kGyの強度でγ線照射を実施し、照射24時間後のサンプルの全光線透過率およびYIを測定した。
(10)γ線照射後の透明熱可塑性樹脂組成物中のラジカル発生量
各実施例および比較例により得られた厚さ3mmの角板試験片をコーガアイソトープ(株)にて37.5kGyの強度でγ線照射を実施し、照射後のサンプルをESR(電子スピン共鳴装置)を用いてラジカル発生量を測定した。
ESRの測定条件は以下の通りである。
装置:BRUKER社製 EMXplus
測定温度:室温
中心磁場:351.6mT
磁場掃引範囲:40mT)
変調:100kHz、0.2mT
マイクロ波:9.86GHZ、0.1mW
掃引時間:80s×4times
時定数:163.84ms
データポイント数:2000points
キャビティ:Super−high−Q。
(製造例1)グラフト共重合体(I−1)
20Lの反応容器に、体積平均粒子径が0.17μm、スチレン含有量が30重量%のスチレン−ブタジエンゴム質重合体ラテックス(JSR株式会社製“J2898”)50重量部(固形分換算)、純水13.2重量部、無水ブドウ糖0.48重量部、ピロリン酸ナトリウム0.26重量部および硫酸第一鉄0.01重量部の混合物、オレイン酸カリウム0.4重量部および純水12.5重量部の混合物、および純水104.3重量部を仕込み、60℃まで昇温し、撹拌下、メタクリル酸メチル10.5重量部、スチレン9.5重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.1重量部の混合物(i)を1時間かけて初期添加した。次いで、クメンハイドロパーオキサイド0.24重量部、オレイン酸カリウム1.4重量部および純水10重量部の開始剤混合物を4時間かけて連続滴下した。同時に並行して、メタクリル酸メチル15.8重量部、スチレン14.2重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.16重量部の単量体混合物を3時間かけて連続添加した。単量体混合物追添加後、1時間保持して重合を終了させた。重合終了後、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物の乳化分散体をグラフト共重合体ラテックス100重量部に対して、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物固形分で0.12重量部添加した。得られたグラフト共重合体ラテックスを1.5重量%硫酸で凝固した後、水酸化ナトリウムで中和し、洗浄、遠心分離、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(I−1)を得た。
(製造例2)グラフト共重合体(I−2)
体積平均粒子径が0.23μm、スチレン含有量が30重量%のスチレン−ブタジエンゴム質重合体ラテックス(JSR株式会社製“J2898”)を用いた以外は、製造例1と同様な方法でグラフト共重合体(I−2)を得た。
(製造例3)グラフト共重合体(I−3)
体積平均粒子径が0.27μm、スチレン含有量が30重量%のスチレン−ブタジエンゴム質重合体ラテックス(JSR株式会社製“J2898”)を用いた以外は、製造例1と同様な方法でグラフト共重合体(I−3)を得た。
(製造例4)グラフト共重合体(I−4)
20Lの反応容器に体積平均粒子径が0.08μm、スチレン含有量が25重量%のスチレン−ブタジエンゴム質重合体ラテックス(JSR株式会社製“J2108”)50重量部(固形分換算)を仕込み、1.5重量%の酢酸水溶液を2重量部添加し、25℃で5分間攪拌することで粒子を肥大化させ、体積平均粒子径が0.17μmのラテックスを得た。続いて、純水13.2重量部、無水ブドウ糖0.48重量部、ピロリン酸ナトリウム0.26重量部および硫酸第一鉄0.01重量部の混合物、オレイン酸カリウム0.4重量部および純水12.5重量部の混合物、および純水104.3重量部を仕込み、60℃まで昇温し、撹拌下、メタクリル酸メチル11.3重量部、スチレン8.7重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.1重量部の混合物(i)を1時間かけて初期添加した。次いで、クメンハイドロパーオキサイド0.24重量部、オレイン酸カリウム1.4重量部および純水10重量部の開始剤混合物を4時間かけて連続滴下した。同時に並行して、メタクリル酸メチル16.9重量部、スチレン13.1重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.16重量部の単量体混合物を3時間かけて連続添加した。単量体混合物追添加後、1時間保持して重合を終了させた。重合終了後、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物の乳化分散体をグラフト共重合体ラテックス100重量部に対して、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物固形分で0.12重量部添加した。得られたグラフト共重合体ラテックスを1.5重量%硫酸で凝固した後、水酸化ナトリウムで中和し、洗浄、遠心分離、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(I−4)を得た。
(製造例5)グラフト共重合体(I−5)
20Lの反応容器に、体積平均粒子径が0.17μm、スチレン含有量が30重量%のスチレン−ブタジエンゴム質重合体ラテックス(JSR株式会社製“J2898”)50重量部(固形分換算)、純水13.2重量部、無水ブドウ糖0.48重量部、ピロリン酸ナトリウム0.26重量部および硫酸第一鉄0.01重量部の混合物、オレイン酸カリウム0.4重量部および純水12.5重量部の混合物、および純水104.3重量部を仕込み、60℃まで昇温し、撹拌下、メタクリル酸メチル9.9重量部、スチレン9.3重量部、アクリロニトリル0.8重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.1重量部の混合物(i)を1時間かけて初期添加した。次いで、クメンハイドロパーオキサイド0.24重量部、オレイン酸カリウム1.4重量部および純水10重量部の開始剤混合物を4時間かけて連続滴下した。同時に並行して、メタクリル酸メチル14.9重量部、スチレン13.9重量部、アクリロニトリル1.2重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.16重量部の単量体混合物を3時間かけて連続添加した。単量体混合物追添加後、1時間保持して重合を終了させた。重合終了後、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物の乳化分散体をグラフト共重合体ラテックス100重量部に対して、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物固形分で0.12重量部添加した。得られたグラフト共重合体ラテックスを1.5重量%硫酸で凝固した後、水酸化ナトリウムで中和し、洗浄、遠心分離、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(I−5)を得た。
(製造例6)グラフト共重合体(I−6)
体積平均粒子径が0.08μm、スチレン含有量が30重量%のスチレン−ブタジエンゴム質重合体ラテックス(JSR株式会社製“J2898”)を用いた以外は、製造例1と同様な方法でグラフト共重合体(I−6)を得た。
(製造例7)グラフト共重合体(I−7)
体積平均粒子径が0.49μm、スチレン含有量が30重量%のスチレン−ブタジエンゴム質重合体ラテックス(JSR株式会社製“J2898”)を用いた以外は、製造例1と同様な方法でグラフト共重合体(I−7)を得た。
(製造例8)グラフト共重合体(I−8)
20Lの反応容器に体積平均粒子径が0.25μm、スチレン含有量が35重量%のスチレン−ブタジエンゴム質重合体ラテックス(JSR株式会社製“J0510”)50重量部(固形分換算)、純水13.2重量部、無水ブドウ糖0.48重量部、ピロリン酸ナトリウム0.26重量部および硫酸第一鉄0.01重量部の混合物、オレイン酸カリウム0.4重量部および純水12.5重量部の混合物、および純水104.3重量部を仕込み、60℃まで昇温し、撹拌下、メタクリル酸メチル9.8重量部、スチレン10.2重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.1重量部の混合物(i)を1時間かけて初期添加した。次いで、クメンハイドロパーオキサイド0.24重量部、オレイン酸カリウム1.4重量部および純水10重量部の開始剤混合物を4時間かけて連続滴下した。同時に並行して、メタクリル酸メチル14.7重量部、スチレン15.3重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.16重量部の単量体混合物を3時間かけて連続添加した。単量体混合物追添加後、1時間保持して重合を終了させた。重合終了後、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物の乳化分散体をグラフト共重合体ラテックス100重量部に対して、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物固形分で0.12重量部添加した。得られたグラフト共重合体ラテックスを1.5重量%硫酸で凝固した後、水酸化ナトリウムで中和し、洗浄、遠心分離、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(I−8)を得た。
(製造例9)グラフト共重合体(I−9)
20Lの反応容器に体積平均粒子径が0.30μmのポリブタジエンゴム質重合体ラテックス50重量部(固形分換算)、純水13.2重量部、無水ブドウ糖0.48重量部、ピロリン酸ナトリウム0.26重量部および硫酸第一鉄0.01重量部の混合物、オレイン酸カリウム0.4重量部および純水12.5重量部の混合物、および純水104.3重量部を仕込み、60℃まで昇温し、撹拌下、メタクリル酸メチル15重量部、スチレン5重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.1重量部の混合物(i)を1時間かけて初期添加した。次いで、クメンハイドロパーオキサイド0.24重量部、オレイン酸カリウム1.4重量部および純水10重量部の開始剤混合物を4時間かけて連続滴下した。同時に並行して、メタクリル酸メチル22.5重量部、スチレン7.5重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.16重量部の単量体混合物を3時間かけて連続添加した。単量体混合物追添加後、1時間保持して重合を終了させた。重合終了後、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物の乳化分散体をグラフト共重合体ラテックス100重量部に対して、p−クレゾール・ジシクロペンタジエン・イソブチレンの反応生成物固形分で0.12重量部添加した。得られたグラフト共重合体ラテックスを1.5重量%硫酸で凝固した後、水酸化ナトリウムで中和し、洗浄、遠心分離、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(I−9)を得た。
上述のグラフト重合体の製造条件及び測定結果を、表1に示す。
Figure 2021038387
(製造例10)ビニル系共重合体(II−1)
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、純水1800重量部を反応容器中に仕込み、反応容器中の気相を窒素ガスで置換し、撹拌下、70℃に保った。単量体が完全に重合体に転化するまで反応を続けた後、水酸化ナトリウム20重量部と純水2000重量部を加え、70℃で2時間撹拌した後、室温にまで冷却することで懸濁重合用媒体となるメタクリル酸メチル−アクリルアミド二元共重合体水溶液を得た。
20Lのオートクレーブに前記メタクリル酸メチル−アクリルアミド二元共重合体水溶液6重量部を純水165重量部に溶解した溶液を入れて400回転/minで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、メタクリル酸メチル49.5重量部、スチレン46.5重量部、アクリロニトリル4重量部、t−ドデシルメルカプタン0.03重量部およびアゾビスイソブチロニトリル0.32重量部の単量体混合物を、反応系を撹拌しながら30分間かけて初期添加し、70℃にて共重合反応を開始した。続いて150分間かけて槽内を100℃に昇温し、到達後30分間100℃に保温した後、冷却し、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行って、ビーズ状ビニル系共重合体(II−1)を得た。
(製造例11)ビニル系共重合体(II−2)
メタクリル酸メチルの添加部数を52.8重量部、スチレンの添加部数を47.2重量部およびアクリロニトリルの添加部数を0重量部に変更したこと以外は製造例10と同様にしてビニル系共重合体(II−2)を製造した。
(製造例12)ビニル系共重合体(II−3)
メタクリル酸メチルの添加部数を53.1重量部、スチレンの添加部数を42.9重量部およびアクリロニトリルの添加部数を4重量部に変更したこと以外は製造例10と同様にしてビニル系共重合体(II−3)を製造した。
(製造例13)ビニル系共重合体(II−4)
メタクリル酸メチルの添加部数を46.2重量部、スチレンの添加部数を45.8重量部およびアクリロニトリルの添加部数を8重量部に変更したこと以外は製造例10と同様にしてビニル系共重合体(II−4)を製造した。
(製造例14)ビニル系共重合体(II−5)
メタクリル酸メチルの添加部数を45.5重量部、スチレンの添加部数を50.5重量部およびアクリロニトリルの添加部数を4重量部に変更したこと以外は製造例10と同様にしてビニル系共重合体(II−5)を製造した。
(製造例15)ビニル系共重合体(II−6)
メタクリル酸メチルの添加部数を72重量部、スチレンの添加部数を24重量部およびアクリロニトリルの添加部数を4重量部に変更したこと以外は製造例10と同様にしてビニル系共重合体(II−6)を製造した。
(製造例16)ビニル系共重合体(II−7)
メタクリル酸メチルの添加部数を0重量部、スチレンの添加部数を72重量部、アクリロニトリルの添加部数を28重量部およびt−ドデシルメルカプタンの添加部数0.1重量部に変更したこと以外は製造例10と同様にしてビニル系共重合体(II−7)を製造した。
(製造例17)ビニル系共重合体(II−8)
住友化学社製メタクリル樹脂“スミペックスLG”を使用した。
(製造例18)ジヒドロオキサフォスファフェナントレン系リン化合物(III−1)
三光株式会社製“9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド”を使用した。
(実施例1〜9、比較例1〜5)
上記製造例1〜9で調製したグラフト共重合体(I−1〜9)、製造例10〜17で調製したビニル系共重合体(II−1〜8)、および製造例18のジヒドロオキサフォスファフェナントレン系リン化合物(III−1)をそれぞれ表2で示した配合比で配合し、さらに添加剤としてジステアリル3,3’−ジオジプロピオネート0.14重量部を加え、ヘンシェルミキサーで、23℃で混合した後、得られた混合物を40mmφ押出機により、押出温度230℃でガット状に押出し、ペレット化した。次いで得られたペレットを用いて、成形温度230℃、金型温度40℃で射出成形し、評価用の試験片を作製した。これら試験片について各物性を測定した結果を表3に示す。
Figure 2021038387
Figure 2021038387
実施例1〜9に示すとおり、本発明の透明熱可塑性樹脂組成物により、高い全光線透過率、良好な色調を兼ね備え、さらにγ線照射後の全光線透過率の低下率およびγ線照射後の色調変化が小さい成形品を得ることができる。一方、比較例1は、透明熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)粒子の数平均粒子径が0.15μm未満だったため、成形品の耐衝撃性が劣るものであった。比較例2は熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)粒子の数平均粒子径が0.30μmよりも大きかったため、成形品の全光線透過率が劣るものであった。比較例3は、ゴム質重合体(A)中のジエン系単量体(a1)の含有量が65重量%以下、芳香族ビニル系単量体(a2)の含有量が35重量%以上であったため、成形品の耐衝撃性が劣るものであった。比較例4は、ゴム質重合体(A)中のジエン系単量体(a1)の含有量が80重量%以上、芳香族ビニル系単量体(a2)の含有量が20重量%以下であったため、γ線照射後の全光線透過率の低下率およびγ線照射後の色調変化が劣るものであった。比較例5は、芳香族ビニル系化合物およびシアン化ビニル系化合物からなるビニル系共重合体(II−7)と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるビニル系共重合体(II−8)を使用しているため、成形品の耐衝撃性が劣るものであった。
本実施形態の透明熱可塑性樹脂組成物および成形品は、家電製品、通信関連機器一般雑貨及び医療機器などの用途、とりわけ医療機器用途で幅広く利用することができる。

Claims (8)

  1. ジエン系単量体(a1)および芳香族ビニル系単量体(a2)の合計を100重量%とした場合に、65重量%より多く80重量%未満のジエン系単量体(a1)と、20重量%より多く35重量%未満の芳香族ビニル系単量体(a2)からなるゴム質重合体(A)の存在下に、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)および芳香族ビニル系単量体(b2)を含有する単量体混合物(B)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(I)と、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(c1)および芳香族ビニル系単量体(c2)を含有する単量体混合物(C)を共重合してなるビニル系共重合体(II)とを配合してなる透明熱可塑性樹脂組成物であって、該熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)粒子の数平均粒子径が0.15〜0.30μmである透明熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂組成物に含まれるジエン系単量体由来単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位、芳香族ビニル系単量体由来単位、シアン化ビニル系単量体由来単位、およびその他ビニル系単量体由来単位の合計100重量%に対し、(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来単位の含有量が45重量%以下、シアン化ビニル系単量体由来単位の含有量が5重量%以下である請求項1に記載の透明熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂組成物において、γ線照射後のラジカル発生量が1.3×1018個/g未満である請求項1または請求項2に記載の透明熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂組成物のジメチルスルホキシド可溶分が、シアン化ビニル系単量体由来単位を含有し、かつ、ジメチルスルホキシド可溶分において、3連子の全てがシアン化ビニル系単量体由来単位である割合が、3連子の中央がシアン化ビニル系単量体由来単位である総数に対し、1モル%未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の透明熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、さらにジヒドロオキサフォスファフェナントレン系リン化合物(III)を0.02〜0.2重量部を配合することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の透明熱可塑性樹脂組成物。
  6. ジエン系単量体(a1)および芳香族ビニル系単量体(a2)の合計を100重量%とした場合に、65重量%より多く80重量%未満のジエン系単量体(a1)と、20重量%より多く35重量%未満の芳香族ビニル系単量体(a2)からなるゴム質重合体(A)の存在下に、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(b1)および芳香族ビニル系単量体(b2)を含有する単量体混合物(B)をグラフト共重合してグラフト共重合体(I)を得る工程、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル系単量体(c1)および芳香族ビニル系単量体(c2)を共重合してビニル系共重合体(II)を得る工程、ならびに少なくとも前記グラフト共重合体(I)と前記ビニル系共重合体(II)を混合する工程、を備える透明熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、該透明熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)粒子の数平均粒子径が0.15〜0.30μmである透明熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の透明熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
  8. 請求項6に記載の製造方法で得られる透明熱可塑性樹脂組成物を成形する成形品の製造方法。
JP2020142434A 2019-08-30 2020-08-26 透明熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、透明熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品および成形品の製造方法 Pending JP2021038387A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019158069 2019-08-30
JP2019158069 2019-08-30

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021038387A true JP2021038387A (ja) 2021-03-11

Family

ID=74848296

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020142434A Pending JP2021038387A (ja) 2019-08-30 2020-08-26 透明熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、透明熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品および成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021038387A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6519709B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物の製造方法、成形品及び成形品の製造方法
JP2018053216A (ja) メタクリル系樹脂及びその製造方法
JP2024052793A (ja) 透明熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、透明熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品および成形品の製造方法
JP2022059643A5 (ja)
US10858510B2 (en) Transparent graft copolymers based on acrylate soft phases
ES2760916T3 (es) Composición de resina termoplástica, procedimiento para producir la misma y artículo moldeado de la misma
JP2021038387A (ja) 透明熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、透明熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品および成形品の製造方法
JP6111770B2 (ja) 透明スチレン系熱可塑性樹脂組成物の製造方法
KR102535966B1 (ko) 스티렌계 열가소성 수지 조성물, 스티렌계 열가소성 수지 조성물의 제조 방법, 성형품 및 성형품의 제조 방법
JP6707817B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法
JP2012207074A (ja) 透明スチレン系熱可塑性樹脂組成物
JP2021169570A (ja) 透明熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JPH08127626A (ja) 高ニトリル含有ビニル系共重合体およびその製造方法
JP5547828B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び押出成形体
JP6376020B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JP2017165918A (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JP2019137769A (ja) 熱可塑性樹脂組成物および成形品
JPH11166089A (ja) 耐熱性樹脂組成物