JP2021038123A - 被覆肥料 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来知られている構成の被覆肥料よりも、良品率に優れ、肥効成分の初期溶出が抑制可能で、かつ短期間に肥効成分を溶出させることができる被覆肥料を提供すること。【解決手段】水溶性粒状肥料と、前記水溶性粒状肥料を覆う被膜とを含む被覆肥料であって、前記被膜は、2層以上8層以下の層から構成されており、前記被膜を構成する層の少なくとも1つの層は、球状の高吸水性樹脂を含有する、被覆肥料。【選択図】図1

Description

本発明は、水溶性粒状肥料と、上記水溶性粒状肥料を覆う被膜とを含む被覆肥料に関するものである。
近年、水溶性肥料の肥効成分の流亡による環境への影響、農業就労者の高年齢化に伴う省力化等の面から、より省力型で効率の高い肥料、及びその使用法が要求されている。このような背景のもとに、様々な溶出時期調整型の粒状肥料が提案され、実用化されている。上記の溶出時期調整型の粒状肥料の1つの態様として、被覆肥料が挙げられる。被覆肥料は、水溶性肥料の表面を有機系または無機系の被覆資材で被覆することにより、内部の肥効成分の溶出時期を調整するものである。
被覆肥料は、一般的に、施用直後の肥効成分の溶出(以下「初期溶出」と記載することもある)を抑制するとともに、肥効成分の溶出速度を調整することも求められる。
溶出速度を調整する目的で、被覆肥料に高吸水性物質を添加することが知られている。高吸水性物質は、被膜を透過した水を吸水することで膨潤し、肥効成分の溶出を促進する。
特許文献1には、高吸水性物質が添加された粒状肥料を、ウレタン樹脂を含む被膜で被覆した粒状被覆肥料が開示されている。
また、特許文献2には、粒状肥料を、ウレタン樹脂及び高吸水性樹脂を含む被膜で覆った被覆粒状水溶性物質が記載されている。
特開2001−328891号公報 特開2011−178650号公報
昨今、初期溶出を抑制するとともに、肥効成分の溶出速度が速く、短期間で肥効成分が溶出する被覆肥料(例えば7日〜30日で80%以上の肥効成分が溶出する被覆肥料)が求められている。
これに対して、特許文献1及び2には、短期間で肥効成分が溶出する肥料については記載されていない。
また、特許文献1には、高吸水性物質が添加された粒状肥料を、ウレタン樹脂を含む被膜で被覆した粒状被覆肥料を製造するに際して、ウレタン樹脂によるコートを10回以上行うことで、被覆欠陥のない被膜を得ることができる旨記載されているが、本発明者らが検討したところ、被覆肥料における被膜を構成する層の数が10以上の場合は、層の数が少ない場合と比較して、良品率が低くなり、肥効成分の初期溶出の抑制が不十分になる傾向となることが分かった。なお、被覆欠陥を有する被覆肥料が多いほど良品率が低い値を示しやすい。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、従来知られている構成の被覆肥料よりも、良品率に優れ、肥効成分の初期溶出が抑制可能で、かつ短期間に肥効成分を溶出させることができる被覆肥料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究を重ねたところ、被覆肥料における被膜を形成する層を2層以上8層以下とし、かつ、被膜を形成する層の少なくとも1層に球状の高吸水性樹脂を含有させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
<1>
水溶性粒状肥料と、前記水溶性粒状肥料を覆う被膜とを含む被覆肥料であって、
前記被膜は、2層以上8層以下の層から構成されており、前記被膜を構成する層の少なくとも1つの層は、球状の高吸水性樹脂を含有する、被覆肥料。
<2>
前記被膜が、3層以上6層以下の層から構成されている<1>に記載の被覆肥料。
<3>
前記被膜がウレタン樹脂を含有する<1>又は<2>に記載の被覆肥料。
<4>
前記ウレタン樹脂がポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと、ポリオールとを反応させてなるウレタン樹脂である<3>に記載の被覆肥料。
<5>
前記被膜の総質量が、前記被覆肥料の全質量に対して1.0質量%〜12質量%である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の被覆肥料。
<6>
前記高吸水性樹脂の含有量が、前記被膜の総質量に対して0.05質量%〜1.50質量%である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の被覆肥料。
<7>
前記高吸水性樹脂の平均粒子径が5μm〜50μmである<1>〜<6>のいずれか1項に記載の被覆肥料。
本発明によれば、従来知られている構成の被覆肥料よりも、良品率に優れ、肥効成分の初期溶出が抑制可能で、かつ短期間に肥効成分を溶出させることができる被覆肥料を提供することができる。
実施例1−1、実施例1−2、比較例1及び比較例2の、3日後、7日後〜35日後までの7日毎の尿素の溶出率を示した図である。 実施例2及び比較例3の、3日後、7日後〜35日後までの7日毎の尿素の溶出率を示した図である。 実施例3及び比較例4の、3日後、7日後〜35日後までの7日毎の尿素の溶出率を示した図である。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の一例であり、これらの具体的内容に限定はされない。その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、肥効成分の溶出率は、以下の溶出試験によって所定日数経過後の肥効成分の溶出質量を測定し、溶出試験開始前の肥効成分の質量に対する割合を算出したものである。まず、縮分した被覆肥料のうち12.5gを採取して250mlのイオン交換水に投入し、25℃の恒温槽内に保存する。次に、所定日数経過後に被覆肥料を取り出して、水中に溶出した肥効成分を定量し、溶出率を算出する。肥効成分が尿素である場合には、上記定量は全窒素分析計を用いて行う。
本明細書において、溶出試験開始から3日経過するまでの期間を「初期」と記載することもあり、溶出試験開始から3日経過時の溶出率が20%未満である場合を「初期溶出を抑制可能」と表す。
また、「短期溶出型」とは、溶出試験開始後から7日〜30日経過時で、上記の溶出率が80%以上である溶出パターンを指すものとする。
〔1.被覆肥料〕
本発明の被覆肥料は、水溶性粒状肥料と、前記水溶性粒状肥料を覆う被膜とを含む被覆肥料であって、前記被膜は、2層以上8層以下の層から構成されており、前記被膜を構成する層の少なくとも1つの層は、球状の高吸水性樹脂を含有する、被覆肥料である。
以下、本発明の被覆肥料について詳細に説明する。
<水溶性粒状肥料>
本発明の被覆肥料は、水溶性粒状肥料を含む。水溶性粒状肥料は肥効成分として用いられる。水溶性粒状肥料は水溶性であればよく、特に限定されるものではない。水溶性粒状肥料としては、例えば、尿素、塩安、硫安、硝安、塩化カリ、硝酸カリ、硝酸ソーダ、燐安カリ、燐安アンモニア、燐安石灰等が挙げられ、尿素であることが好ましい。なお、水溶性粒状肥料は、上記から選ばれる1種を用いた肥料でもよく、2種以上を用いた複合肥料でもよい。
また、肥料としての性質に大きな影響を与えない範囲であれば、水溶性粒状肥料に、水溶性や不溶性の不純物等を含んでいてもよい。
水溶性粒状肥料の大きさは特に限定されず、一般的に使用されている大きさのものを用いることができる。例えば、農場に既存の機械等を用いて散布する際の利便性から、篩分けによる粒子径が1.0mm〜5.0mmであることが好ましく、より好ましくは、2.0mm〜4.0mmとしてもよい。
水溶性粒状肥料は市販されているものを用いることもできるし、例えば、押出造粒法、圧縮造粒法等の公知の方法で製造することもできる。
<被膜>
本発明の被覆肥料における被膜とは、水溶性粒状肥料を覆う膜である。
本発明の被覆肥料において、被膜は、2層以上8層以下の層により構成されている。すなわち、本発明では、水溶性粒状肥料を覆う2層以上8層以下の積層構造からなる膜の全体を「被膜」と呼んでいる。
本発明の被覆肥料における被膜を構成する層の少なくとも1つの層は、球状の高吸水性樹脂を含有する。
被膜を構成する2〜8つの層は、それぞれ異なる組成の層であっても良いし、すべて同じ組成の層であっても良い。なお、上記「組成」とは、層に含まれる成分及びその含有率のことを示す。
被膜に含まれる高吸水性樹脂が施肥後すぐに水分を吸収してしまうと初期溶出を抑制し難くなる場合があるため、高吸水性樹脂を含有する層の外側(水溶性粒状肥料とは反対側)に、高吸水性樹脂を含有しない層が積層されていることが望ましい。
すなわち、被膜を構成する2層以上の層のうち、最も外側の層(以下、「最外層」と記載することもある。)には高吸水性樹脂を含まない態様が好ましい。
水溶性粒状肥料と高吸水性樹脂を含有する層の間に高吸水性樹脂を含有しない層が形成されていてもよいが、最も水溶性粒状肥料側に形成される層(以下、「最内層」と記載することもある。)が高吸水性樹脂を含有する層であり、最内層の外側に高吸水性樹脂を含有しない層が1層以上積層される態様がより好ましい。
被膜を形成する層は、2層以上8層以下であり、2層以上7層以下であることが好ましく、3層以上6層以下であることがより好ましい。
(ウレタン樹脂)
被膜はウレタン樹脂を含むことが好ましい。
ウレタン樹脂は、特に限定されないが、有機溶媒を使用する必要がない熱硬化型のウレタン樹脂を用いるのが好ましく、特に芳香族ポリイソシアネートと、ポリオールとを反応させてなるウレタン樹脂(芳香族ポリイソシアネートとポリオールとの重付加物)であることが好ましい(すなわち、ウレタン樹脂形成用材料として、芳香族ポリイソシアネートと、ポリオールとを用いてなるウレタン樹脂であることが好ましい)。ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂形成用材料として、芳香族ポリイソシアネート及びポリオールに加えて、これら以外の成分を用いてなるものであっても良いが、製造方法が簡便なことから、ウレタン樹脂形成用材料として、芳香族ポリイソシアネート及びポリオールのみを用いてなるものが好ましい。
なお、後述するように、ウレタン樹脂は芳香族ポリイソシアネートとポリオールをウレタン樹脂形成用材料として用い、これらを混合することで、芳香族ポリイソシアネート中のイソシアネート基とポリオール中の水酸基とを反応させ、ウレタン結合を生じさせることによって得ることができる。このため、被覆肥料の製造条件、方法によっては、被膜内に未反応のウレタン樹脂形成用材料が残留することがある。本明細書の「ウレタン樹脂」や「ウレタン樹脂のみ」とは、上記のような未反応のウレタン樹脂形成用材料を含んでいてもよいものとする。
=芳香族ポリイソシアネート=
ウレタン樹脂形成用材料として用いられるポリイソシアネート成分としては、芳香族ポリイソシアネートが好ましい。
芳香族ポリイソシアネートとは、芳香環及び2以上のイソシアネート基を有する化合物である。芳香族ポリイソシアネートが有する芳香環の数は1つであっても、2つ以上であっても良い。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等、あるいはこれらの変性体、例えば、ウレア変性体、二量体、三量体、ポリマー、カルボジイミド体、アロハネート変性体、ビュレット変性体、などが挙げられる。これらは2種類以上を併せて使用することができ、また、工業的に使用されるいわゆる「粗製」ポリイソシアネートであってもよい。
ウレタン樹脂形成用材料は、被膜形成の際に水溶性粒状肥料へ塗布する場合を考慮すると、芳香族ポリイソシアネートの中でも液状のものを用いるのが好ましい。
芳香族ポリイソシアネートは、25℃における粘度が250mPa・s以下であることが好ましく、150mPa・s以下であることがより好ましい。具体的には、例えば、液状のMDI(構造異性体:2,2’−MDI、2,4−MDI、4,4’−MDIの混合物)、及びポリメリックMDIを好ましい例として挙げることができる。
なお、本明細書において「粘度」とは、調温装置付きのB型粘度計(BROOKFIELD VISCOMETER DV2T)を用いて、25℃で得た値を用いた。
ポリメリックMDIは、MDIと多量体のポリイソシアネートの混合物である。ポリメリックMDI中に存在するMDIの割合は、室温〜後述する被覆温度における粘度が過度に高くならない(好ましくは25℃において250mPa・s以下となる)のであれば特に限定されるものでない。また、MDIには、2,2’−MDI、2,4’−MDI、及び4,4’−MDIの3種類の異性体が存在するが、これらの存在比は特に限定されるものではない。
=ポリオール=
ウレタン樹脂形成用材料として用いられるポリオールは、1つの分子内に2つ以上の水酸基を有する化合物であり、特に限定されるものではないが、脂肪族系のポリオールが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ひまし油、ひまし油の誘導体等が挙げられる。
ひまし油誘導体としては、例えば、ひまし油の一部が加水分解したもの、又はひまし油と上記ポリオール、もしくは後述するアミン系ポリオールとのエステル交換体を挙げることができる。
ポリオールは液状であることが好ましく、天然物由来で適当な粘度を有し、溶媒等が不要で塗布し易いことから、ひまし油、又はひまし油誘導体を用いることが好ましい。
ポリオールは、芳香族ポリイソシアネートが有するイソシアネート基とポリオールが有する水酸基によるウレタン結合形成反応で触媒として作用し、かつ架橋剤としても作用するアミン系ポリオールを混合して用いるのが望ましい。
アミン系ポリオールは特に限定されるものではないが、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられ、また、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6―ヘキサンジアミンのようなアミン化合物にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド等を付加した付加体が挙げられる。前記付加体の中でもイソシアネート成分との反応が穏やかで、混合や塗布等の作業性が良好なことから、N,N,N’,N’−テトラキス[2−ヒドロキシプロピル]エチレンジアミンを用いるのが好ましい。
上記ポリオールの粘度は、被覆が困難でなければよく、特に限定されるものではない。また、前述したようにひまし油、又はひまし油誘導体を用いる場合は、例えば、25℃において1000mPa・s〜1300mPa・sであることが好ましい。
ウレタン結合形成反応における芳香族ポリイソシアネートとポリオールの混合比は特に限定されるものではないが、芳香族ポリイソシアネート中のイソシアネート基とポリオール中の水酸基のモル比が、イソシアネート基/水酸基=0.5〜2.0とすることが好ましく、0.5〜1.5とすることがより好ましく、0.6〜1.3とすることがさらに好ましい。上記モル比を0.5〜2.0とすることによって、イソシアネート基と水酸基の反応によるウレタン結合の形成が十分となり、ウレタン樹脂を含む被膜による初期溶出の抑制効果が得られやすい。
ウレタン結合形成反応における上記アミン系ポリオールの使用量は特に限定されるものではないが、通常、ウレタン樹脂形成用材料である芳香族ポリイソシアネート及びポリオールの総量に対して0.01質量%〜30質量%となるように用いられる。アミン系ポリオールの使用量を0.01質量%以上とすることで、ウレタン結合形成反応が十分に進行し、30質量%以下とすることで、架橋反応が早すぎることによる被膜の不均化が生じにくくなる。
被膜を構成する層が2層以上である場合、上記ウレタン樹脂は、被膜を構成するいずれの層にも含まれることが好ましい。この場合、各層に含まれるウレタン樹脂の化学構造は異なっていてもよい。すなわち、ウレタン樹脂の形成に用いられる芳香族ポリイソシアネートやポリオールといったウレタン樹脂形成用材料の種類や配合比が異なっていてもよい。
(高吸水性樹脂)
本発明の被覆肥料は、被膜を構成する層の少なくとも1つの層に球状の高吸水性樹脂を含有する。
高吸水性樹脂としては、球状のもの以外にも、例えば鋭角部分を有する不定形のものなどがあるが、本発明では球状のものを用いる。
被覆肥料の被膜中の高吸水性樹脂が鋭角部分を有する不定形な粒子であった場合、該鋭角部分で被膜が薄膜化しやすく、肥効成分の初期溶出の抑制効果が得られにくい場合があると考えられる。一方、本発明では球状の高吸水性樹脂を用いているため、被膜の局所的な薄膜化が抑制され、初期溶出を効果的に抑制できると推察される。
また、高吸水性樹脂は、被膜を透過した水を吸水することで膨潤し、被膜を水や肥効成分が透過しやすくすることで水溶性粒状肥料の溶出を促進するものであるが、高吸水性樹脂を球状とすることによって、理由は定かではないが、初期に溶出を抑制し、溶出が開始された後は、水溶性粒状肥料の溶出がより促進され、短期溶出型の溶出パターンが得られやすくなる。
なお、本発明において高吸水性樹脂は粒子の群であり、ここでの「粒子」とは、特に記載がない場合は、凝集していない一次粒子も、凝集体である二次粒子も含むものとする。
−円形度係数−
本明細書において、高吸水性樹脂が「球状」であるとは、下記円形度係数が0.7以上であることを表す。
円形度係数は、高吸水性樹脂の粒子100個について下記式(1)により円形度係数をそれぞれ算出し、それらを平均した値を用いるものとする。なお、下記式(1)は、一次粒子に対して用いられる算出式である。
円形度係数=4π×(一次粒子の粒子投射図の面積)/(一次粒子の粒子投射図の輪郭の長さ)・・・式(1)
式(1)中の「一次粒子の粒子投射図の面積」及び「一次粒子の粒子投射図の輪郭の長さ」は、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製VHX)で得られた一次粒子の粒子投影図より算出した値を用いている。
本発明における高吸水性樹脂は、円形度係数が0.7以上であり、0.8以上であることが好ましく、0.85以上であることがより好ましい。
本発明における円形度係数は上述の通り高吸水性樹脂の粒子100個の平均値であり、この値が上記範囲を逸脱しない範囲においては、高吸水性樹脂中に上記式(1)により算出される円形度係数が0.7未満の一次粒子や、複数が凝集した二次粒子等を少量含んでいてもよい。
高吸水性樹脂は、上記式(1)により算出される円形度係数が0.7以上である一次粒子が、高吸水性樹脂全体に対して70質量%以上含まれることが好ましく、85質量%以上含まれることがより好ましく、90質量%以上含まれることが更に好ましく、95質量%以上含まれることが特に好ましい。
−吸水量−
高吸水性樹脂の吸水量は、特に限定されるものではないが、水を吸収することで乾燥体積の5倍以上に膨潤する樹脂であることが好ましく、例えば、吸水倍率が100(g/g)以上であることが好ましく、より好ましくは250〜330、さらに好ましくは280〜330としてもよい。
なお、高吸水性樹脂の吸水倍率は、日本工業規格(JIS−K−7223)に準じて求めることができる。
高吸水性樹脂は、上記の通り球状であれば特に限定することはなく、公知のものを用いることができる。例えば、アクリル酸塩系重合体(例えば、住友精化(株)製のアクアキープ10SH−NF)や澱粉(例えば、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、甘藷澱粉、可溶性澱粉)等が挙げられるが、吸水量や膨張率の点からアクリル酸塩系重合体を用いるのが好ましい。
本発明に用いられる高吸水性樹脂の平均粒子径は特に限定されないが、5μm〜50μmが好ましく、10μm〜40μmがより好ましく、15μm〜35μmが更に好ましい。
高吸水性樹脂の粒度分布は特に限定されないが、1μm〜150μmであることが好ましい。粒度分布は狭い方が所望の溶出パターンを達成する上で好適であることから、より好ましくは10μm〜75μmである。
高吸水性樹脂の最大粒子径は、被覆欠陥抑制の観点から被覆しやすくする、被膜の厚み(被膜を構成する各層の膜厚の合計)よりも小さくすることが好ましい。高吸水性樹脂の最大粒子径は、例えば、150μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは100μm以下としてもよい。
本明細書における高吸水性樹脂の「平均粒子径」、「最大粒子径」、及び「粒度分布」は、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製SALD−2200)を用いて求めた。測定は、付属セル中で高吸水性樹脂をイソプロパノール(溶媒)に分散させ、光散乱強度が50%前後となる濃度で行った。なお、上記の測定では一次粒子及び二次粒子を区別せずに測定するものとする。
高吸水性樹脂の含有量は、被膜の総質量に対して、0.01質量%〜2.50質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.03質量%〜2.00質量%、更に好ましくは0.05質量%〜1.50質量%、特に好ましくは0.05質量%〜1.20質量%としてもよい。0.01質量%以上とすることで、球状の高吸水性樹脂を加えたことによる水溶性粒状肥料の溶出促進効果が得られる。また、2.50質量%以下とすることで、過剰の溶出促進効果を抑え、初期溶出を適度に抑制することが可能となる。
(添加剤)
本発明の被覆肥料の被膜は、本発明の性質を損なわない範囲で、被膜形成時の作業性の向上及び肥効調整の補助的手段などの観点で、被膜の外側の表面や、被膜内部に、有機系や無機系の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤の例としては、界面活性剤、パラフィンワックス、タルク、ケイソウ土、シリカ、硫黄粉末等が挙げられる。
被膜の総質量(高吸水性樹脂を含む、被膜の各層の合計値を表す)は、被覆肥料の全質量に対して1.0質量%〜20質量%であることが好ましく、2.0質量%〜15質量%であることがより好ましく、3.0質量%〜12質量%であることが更に好ましい。
被膜の総質量を被覆肥料の全質量に対して1.0質量%以上とすることによって、初期溶出を抑制し、被膜の膜厚が薄いことによる被覆欠陥の発生を抑制する効果が得られやすい。また、被膜の総質量を被覆肥料の全質量に対して20質量%以下とすることで、短期溶出型の溶出パターンが得られやすくなる。また、高吸水性樹脂の含有量を抑えた低コストで、短期溶出型の溶出パターンを有する被覆肥料を得るのであれば、被膜の総質量を被覆肥料の全質量に対して1.0〜12質量%とするのがより好ましい。
なお、被覆肥料の全質量に対する被膜の総質量の割合を被覆率とも呼ぶ。
被覆率(%)=(被膜の総質量/被覆肥料の全質量)×100
被膜の膜厚は所望の溶出パターンが達成されるのであれば特に限定されないが、例えば、好ましくは10μm〜250μm、より好ましくは30μm〜200μm、50μm〜150μmとしてもよい。
なお、上記膜厚とは、各層の膜厚の合計を被膜の膜厚とする。
被膜を構成する各層の厚みは特に限定されず、被膜の膜厚によって適宜変更できるが、例えば、5.0μm〜30μmとすると被覆のし易さの点から好ましい。
被膜の透水性は、水分子の被膜の透過しやすさを示す透湿度で表すことが可能である。透湿度の値が小さいと水溶性の肥料成分が溶出し難くなり、大きいと溶出しやすくなる。
透湿度は所望の溶出パターンに応じて決定されればよく、特に限定されるものではないが、短期溶出型、かつ初期溶出抑制型の被覆肥料においては、例えば、温度40℃、湿度90%の条件下において、80g〜250g/(m・day・25μm)の範囲内であるとしてもよく、より好ましくは80g〜170g/(m・day・25μm)としてもよい。なお、当該透湿度は、日本工業規格(JIS−Z−0208)に準じて求めることが可能である。
本発明の被覆肥料は、シグモイド型の被覆肥料であることが好ましい。
〔2.被覆肥料の製造方法〕
以下、本発明の被覆肥料の製造方法について説明する。本発明の被覆肥料の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、下記工程1〜工程3を含む製造方法が好ましく挙げられる。また、被膜を構成する層が複数である場合には、さらに工程4を含むことが好ましい。
工程1:水溶性粒状肥料を流動状態又は転動状態にする工程
工程2:流動状態又は転動状態にある該水溶性粒状肥料上に芳香族ポリイソシアネート、ポリオール、及び球状の高吸水性樹脂を供給する工程
工程3:該水溶性粒状肥料を流動状態又は転動状態に維持し、被膜を構成する層(第1層)を形成させる工程
工程4:流動状態又は転動状態にある該水溶性粒状肥料上に芳香族ポリイソシアネート及びポリオールを供給し、被膜を構成する層(第2層以降の層)を形成させる工程
(工程1)
上記工程1について説明する。
工程1では、水溶性粒状肥料を流動状態又は転動状態にする。水溶性粒状肥料を流動状態又は転動状態にすることによって、工程2及び工程3において、また工程4を有する場合においては工程4において、比較的均一な膜厚で被膜を形成させることができる。
水溶性粒状肥料を流動化又は転動化する装置は、特に限定されるものではないが、回転ドラム等の装置を好適に使用することができる。また、この時、装置内の温度を予め被覆温度程度に維持し、工程2の前に水溶性粒状肥料を加熱してもよい。被覆温度は使用するウレタン樹脂、高吸水性樹脂、及び水溶性粒状肥料の融点によって決定されればよく、特に限定するものではないが、例えば20℃〜150℃であり、好ましくは40〜100℃である。
(工程2)
上記工程2について説明する。
工程2では、流動状態又は転動状態にある該水溶性粒状肥料上に芳香族ポリイソシアネート、ポリオール、及び高吸水性樹脂を供給する。供給時、芳香族ポリイソシアネート及びポリオールは液状であることが好ましい。供給時、該水溶性粒状肥料は転動状態又は流動状態が維持されているものとする。
供給方法は効率良く分散及び供給できれば特に限定されず、例えば、噴霧や滴下が挙げられるが、これらに限られない。芳香族ポリイソシアネート、ポリオール、及び高吸水性樹脂を供給した後、被覆温度を維持しながら流動状態又は転動状態を保つことによって、水溶性粒状肥料上にウレタン樹脂及び高吸水性樹脂を含む層を形成することが可能となる。
芳香族ポリイソシアネート及びポリオールは、所望のウレタン樹脂が得られるのであれば、それぞれ独立に水溶性粒状肥料上に供給しても良いし、予め一部または全部の成分を混合した後に供給しても良い。また、芳香族ポリイソシアネートとポリオールとは、混合すると反応を開始しウレタン結合を形成する。従って、予め上記の2成分を混合すると、場合によっては、水溶性粒状肥料を被覆する前にウレタン結合形成反応が進行し、粘度が高くなってしまう場合があることから、芳香族ポリイソシアネートとポリオールとは、別々の供給装置から供給するのが好ましい。この場合、供給するタイミングは同時でも、順に供給するものでも、供給を開始するタイミングをずらして供給し、一部同時に供給する工程を有するものでもよい。
高吸水性樹脂は球状であるため、予め芳香族ポリイソシアネート又はポリオールに分散させた分散液を調製し、当該分散液を供給するのが好ましい。また、芳香族ポリイソシアネート中のイソシアネート基は水分と反応するため、高吸水性樹脂は芳香族ポリイソシアネートの供給装置とは異なる供給装置から供給するのが好ましい。すなわち工程2は、芳香族ポリイソシアネートを含む樹脂液Aと、ポリオール及び高吸水性樹脂を含む樹脂液Bとを、転動状態又は流動状態の水溶性粒状肥料上に供給する工程であることが好ましい。
また、特に好ましい供給方法として、上記樹脂液Aと、上記樹脂液Bとを圧縮空気を用いた二流体ノズルによって、水溶性粒状肥料上に噴霧することによって良好な層(被膜を構成する層)を形成させることが可能である。
また、高吸水性樹脂は、必要に応じて予め分級を行なって大径品を除去してもよい。分級の方法は公知の手法を用いればよいが、例えば篩い分けを行なうのが簡便である。
(工程3)
上記工程3について説明する。
工程3では、該水溶性粒状肥料を流動状態又は転動状態に維持し、被膜を構成する層(第1層)を形成させる。
工程3は、被覆温度を維持したまま、所定時間水溶性粒状肥料を転動状態又は流動状態とすることで、該水溶性粒状肥料上に被膜を形成する層(第1層)を形成する工程であることが好ましい。この時にかかる時間は、芳香族ポリイソシアネート、ポリオール、及び高吸水性樹脂を添加する量や、形成されるウレタン樹脂の硬化温度に依存するため特に限定されるものではない。
被膜を構成する層が2層以上である場合は、ウレタン樹脂の硬化は完全硬化である必要はなく、ある程度ウレタン樹脂の粘着性が弱まれば工程4を行なってもよい。また、被膜が1層のみである場合は、当該工程3でウレタン樹脂を完全に硬化させるのが望ましく、この時にかかる時間は例えば10分〜30分としてもよい。
(工程4)
上記工程4について説明する。
工程4では、流動状態又は転動状態にある該水溶性粒状肥料上に芳香族ポリイソシアネート及びポリオールを供給し、被膜を構成する層(第2層以降の層)を形成させる。
被膜を構成する層が2層以上である場合、工程2及び工程3において形成した層の表面にさらに芳香族ポリイソシアネート及びポリオールを供給し、被覆温度にて所定時間転動状態又は流動状態を維持することで、被膜を構成する層(第2層以降の層)を形成する。当該工程4を複数回行い、2層以上の層を形成してもよい。ただし、本発明の被覆肥料の被膜を構成する層の数は最大でも8であるため、工程4を行う回数の上限は7回である。
また、被覆肥料の被膜を構成する層のうち、最外層を形成する場合は、前述した工程3と同様に、最外層のウレタン樹脂を完全に硬化させる為に被覆温度での流動状態又は転動状態を、約10分〜30分間程度維持させることが好ましい。
以下、本発明の実施例を記載する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
実施例及び比較例の被覆肥料の調製に用いた使用材料について説明する。
<粒状尿素>
粒子径2.0mm〜4.0mmの尿素を用いた。
<高吸水性樹脂>
(球状高吸水性樹脂1)
球状高吸水性樹脂1として、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物の粉体(アクアキープ 10SH−NF(住友精化株式会社製))を用いた。
当該粉体を走査型電子顕微鏡とデジタルマイクロスコープにて観測したところ、球状高吸水性樹脂1の円形度係数は0.86であった。また、レーザー回折式粒度分布計で粒子径を測定した結果、最大粒子径:138μm、平均粒子径:27μm、粒度分布:13μm〜138μmであった。
(球状高吸水性樹脂2)
球状高吸水性樹脂1を75μmのフィルターを用いて分級し、大径品を除去したものを球状高吸水性樹脂2とした。
球状高吸水性樹脂2を走査型電子顕微鏡とデジタルマイクロスコープにて観測したところ、球状高吸水性樹脂2の円形度係数は0.86であった。また、レーザー回折式粒度分布計で粒子径を測定した結果、最大粒子径:44μm、平均粒子径:25μm、粒度分布:16μm〜44μmであった。
(不定形高吸水性樹脂)
不定形高吸水性樹脂としては、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物の粉体を用いた。
当該粉体を走査型電子顕微鏡とデジタルマイクロスコープにて観測したところ、粒子には不規則な凹凸や欠け、角等が見られる形状であることが確認された(球状ではないことが確認された)。レーザー回折式粒度分布計で粒子径を測定した結果、最大粒子径:138μm、平均粒子径:27μm、粒度分布:1μm〜138μmであった。
[実施例1−1]
粒状尿素(1kg)を直径300mmのドラム型転動被覆装置に仕込み、25rpm(rotations per minute)で転動させながら、熱風発生機により粒状尿素の温度を60℃に保持した。
次に、被膜の第1層を形成させるために、成分1(25℃の粘度が50mPa・sでイソシアネート基含有率が32質量%のポリメリックMDI)と成分2(ひまし油と、N,N,N’,N’−テトラキス[2−ヒドロキシプロピル]エチレンジアミンを8:2の質量比で加熱混合した溶液)とを、イソシアネート基/水酸基=0.60(モル比)となるように準備し、それぞれ別の供給口から装置内へ供給して混合を行った(成分1と成分2の合計は15.17g)。また、この供給時、球状高吸水性樹脂1(0.23g)も同時に装置内へ投入した。
次に、5分毎に3回、上記の成分1と成分2を、第1層と同様の比率、合計13.2gになるように準備し、それぞれ別の供給口から装置内へ供給・混合して、第2層〜第4層を形成させた。
最後に、第1層目と同様の成分1と成分2を、イソシアネート基/水酸基=0.80(モル比)となるように準備し(成分1と成分2の合計は11.00g)、それぞれ別の供給口から装置内へ供給し、30分間転動させて、第5層を形成し、該粒状尿素上の被膜を硬化させた。これを常温(約25℃)まで冷却し、目的の被覆肥料1−1を得た。
被覆肥料1−1の被膜を構成する層は5層であった。
上記ポリメリックMDIとしては、ルプラネートM5S(BASF社製)を用い、上記N,N,N’,N’−テトラキス[2−ヒドロキシプロピル]エチレンジアミンとしては、T0781(東京化成工業製)を用いた。
[実施例1−2]
球状高吸水性樹脂1の代わりに、球状高吸水性樹脂2を用いた以外は実施例1と同様の製造法にて、被覆肥料1−2を得た。
被覆肥料1−2の被膜を構成する層は5層であった。
[実施例2]
被膜の第1層を形成させるために、前記成分1と成分2の合計量を14.53g、球状高吸水性樹脂1を0.87g用いた以外は、実施例1−1と同様にして被覆肥料2を得た。
被覆肥料2の被膜を構成する層は5層であった。
[実施例3]
被膜の第1層を形成させるために、前記成分1と成分2の合計量を15.38g、球状高吸水性樹脂1を0.02g用いた以外は、実施例1−1と同様の製造法にて被覆肥料3を得た。
被覆肥料3の被膜を構成する層は5層であった。
[比較例1]
粒状尿素(1kg)を直径300mmのドラム型転動被覆装置に仕込み、25rpmで転動させながら、熱風発生機により粒状尿素の温度を70℃に保持した。
次に、熱風の送風を停止し、球状高吸水性樹脂1(0.23g)を加えた。
次に、送風を停止し、転動させた状態で、3分毎に2回、前記成分1と成分2が実施例1−1の第1層目と同様の比率、合計4.90gになるように準備し、それぞれ別の供給口から装置内へ供給し、混合した。
次に、熱風発生機による送風を再開し、3分毎に10回、前記成分1と成分2を実施例1−1の第1層目と同様の比率、合計4.50gになるように準備し、それぞれ別の供給口から装置内へ供給し、混合した。
次に、3分毎に2回、実施例1−1の第5層目と同様の比率、合計5.60gになるように準備し、それぞれ別の供給口から装置内へ供給し、混合した。
上記工程終了後、送風しながら10分間転動させて、被膜を硬化させた。これを常温(約25℃)まで冷却し、比較被覆肥料1を得た。
比較被覆肥料1の被膜を構成する層は14層であった。
[比較例2]
球状高吸水性樹脂1の代わりに、不定形高吸水性樹脂を用いた以外は実施例1−1と同様の製造法にて比較被覆肥料2を得た。
比較被覆肥料2の被膜を構成する層は5層であった。
[比較例3]
球状高吸水性樹脂1の代わりに、不定形高吸水性樹脂を用いた以外は実施例2と同様の製造法にて比較被覆肥料3を得た。
比較被覆肥料3の被膜を構成する層は5層であった。
[比較例4]
球状高吸水性樹脂1の代わりに、不定形高吸水性樹脂を用いた以外は実施例3と同様の製造法にて比較被覆肥料4を得た。
比較被覆肥料4の被膜を構成する層は5層であった。
[良品率の評価]
実施例1−1、比較例1、及び比較例2で得られた被覆肥料について、良品率の測定を行った。縮分した被覆肥料のうち10gを採取して、予め希釈したインキ(S−1(赤),シヤチハタ社製)希釈液(2.5g/250ml純水)を、被覆肥料が完全に浸漬するまで加え25℃で1時間静置し、その後、該被覆肥料をろ過回収した。続いて該被覆肥料に付着したインキを水洗後、インキで着色された被覆肥料および肥効成分を溶出し終えた被覆肥料を取り除き、着色されなかった被覆肥料の質量(非着色被覆肥料の質量)から良品率を算出した。
なお、良品率は以下の式で求めた。
良品率(%)={(非着色被覆肥料の質量)g/10g}×100
結果を表1に示す。
Figure 2021038123
表1より、被膜を構成する層が5層の実施例1−1、及び比較例2の被覆肥料が95%以上の高い良品率を示した。一方、被膜を構成する層が14層の比較例1の被覆肥料の良品率は、上記の実施例1−1及び比較例2より低くなった。
[尿素溶出試験]
上記実施例及び比較例で作製した被覆肥料を縮分して溶出試験を行った。溶出試験は、まず、縮分した被覆肥料のうち12.5gを採取して250mlのイオン交換水に投入し、25℃の恒温槽内に保存した。所定日数経過後に被覆肥料を取出し、水中に溶出した尿素を全窒素分析計で定量して、溶出率を求めた。経過日数と尿素の溶出率の関係を表2と図1〜3に記載した。
溶出率は、溶出試験開始3日後、7日後、14日後、21日後、28日後、及び35日後に測定した。また、溶出率が90%を超えた時点で、溶出試験を終了した。
なお、下記表2中、「高吸水性樹脂の添加率」とは、被膜の総質量に対する高吸水性樹脂の含有量を表す。「被覆率」とは、被覆肥料の全質量に対する、高吸水性樹脂を含む被膜の総質量の割合(%)を表す。
Figure 2021038123
表2より、実施例1−1、実施例1−2、実施例2及び実施例3はいずれも3日経過時の溶出率が20%未満となったことから、初期溶出の抑制が可能であることが分かった。
高吸水性樹脂の添加率が同じ実施例1−1、実施例1−2、比較例1及び比較例2を比較すると、実施例1−1及び1−2の方が、比較例1及び比較例2よりも初期溶出を抑制できることが分かった。また、表1に示した良品率より、良品率の最も低い比較例1は、実施例1−1及び比較例2よりも初期溶出の抑制が不十分になることが分かった。
実施例2と比較例3、及び実施例3と比較例4についても、同様に実施例の方が比較例に対して初期溶出を抑制する効果が高いことが分かった。
実施例1−1、実施例1−2、実施例2及び実施例3はいずれも28日経過時の溶出率が80%を超えており、短期溶出型の溶出パターンを示した。
また、図1〜3より、実施例1−1、実施例1−2、実施例2及び実施例3の被覆肥料は、比較例1〜4よりも初期溶出を抑制しているにも関わらず、溶出が始まってからの速度が優れており、よりシグモイド型の溶出曲線を示す被覆肥料であることが分かった。

Claims (7)

  1. 水溶性粒状肥料と、前記水溶性粒状肥料を覆う被膜とを含む被覆肥料であって、
    前記被膜は、2層以上8層以下の層から構成されており、前記被膜を構成する層の少なくとも1つの層は、球状の高吸水性樹脂を含有する、被覆肥料。
  2. 前記被膜が、3層以上6層以下の層から構成されている請求項1に記載の被覆肥料。
  3. 前記被膜がウレタン樹脂を含有する請求項1又は2に記載の被覆肥料。
  4. 前記ウレタン樹脂がポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートと、ポリオールとを反応させてなるウレタン樹脂である請求項3に記載の被覆肥料。
  5. 前記被膜の総質量が、前記被覆肥料の全質量に対して1.0質量%〜12質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の被覆肥料。
  6. 前記高吸水性樹脂の含有量が、前記被膜の総質量に対して0.05質量%〜1.50質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の被覆肥料。
  7. 前記高吸水性樹脂の平均粒子径が5μm〜50μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の被覆肥料。
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