(第1実施形態)
以下、車両用清掃システム及び清掃方法の第1実施形態について説明する。
図1に示す車両10には、前端中央部に第1測距センサ11が設置され、後端中央部に第2測距センサ12が設置されている。第1及び第2測距センサ11,12は、車両10のそれぞれ前方及び後方に向けた所定波長の光の投受光を行う光学センサを用いて構成されるものである。第1及び第2測距センサ11,12は、それぞれ自車と前方対象物及び後方対象物との距離を測定する測距システム(LIDAR等)に用いられ、車両10の高度運転支援や自動運転等を実施するシステムに用いられる。
第1及び第2測距センサ11,12は、それぞれ自身のセンシング面(例えばレンズやカバーガラス等の外表面)11a,12aが車両10の外側に露出する態様となっている。すなわち、測距精度の低下懸念のある雨滴等の異物が各センシング面11a,12aに付着し得るため、車両10には各センシング面11a,12aに付着した異物の除去清掃を行う車両用清掃システム20が搭載されている。
車両用清掃システム20は、第1及び第2清掃装置21a,21bを備える。第1清掃装置21aは、車両10の前端中央部に設置の第1測距センサ11を清掃対象とし、第2清掃装置21bは、車両10の後端中央部に設置の第2測距センサ12を清掃対象としている。
ここで、本実施形態の第1及び第2清掃装置21a,21bは、車両10に一般に搭載されるウォッシャ装置13と協働する構成となっている。ウォッシャ装置13は、タンク13aに貯留された洗浄液Wsをウォッシャポンプ13bの駆動にてウインドシールド等に供給するものであり、本実施形態の第1及び第2清掃装置21a,21bにも洗浄液Wsの供給が可能に構成されている。
図2に示すように、第1及び第2清掃装置21a,21bは、噴射エア生成部22a、洗浄液貯留部22b及び混合出力部22cをそれぞれ備える。噴射エア生成部22aは、エアポンプ23、弁装置24及びチェック弁25を有する。噴射エア生成部22aは、エアポンプ23から供給される圧縮エアCA1を後述する弁装置24及びチェック弁25等の動作にて高圧でパルス状の噴射エアCA2を生成する。洗浄液貯留部22bは、流路切替弁26、チェック弁27、貯留部用ジョイント28及びチャンバ29を有し、噴射エア生成部22aと並設される。洗浄液貯留部22bは、ウォッシャポンプ13bから圧送される洗浄液Wsを流路切替弁26及びチェック弁27を介してチャンバ29に所定量貯留する。混合出力部22cは、混合部用ジョイント30及び噴射ノズル31を有する。混合出力部22cは、噴射エア生成部22aにて生成された噴射エアCA2と洗浄液貯留部22bから導入される洗浄液Wsとを混合部用ジョイント30にて混合させて噴射ノズル31から清掃対象である各センシング面11a,12aに向けて吹付ける。なお、第1及び第2清掃装置21a,21bは同一構成である。そのため、以下において、第1及び第2清掃装置21a,21bの具体構成については共通の説明とする。
噴射エア生成部22aにおいて、エアポンプ23と弁装置24とは接続ホース32aにて互いに接続され、弁装置24とチェック弁25とは接続ホース32bにて互いに接続される。接続ホース32a,32bは、ゴムホース等、可撓性材料にて構成される。なお、後述の接続ホース32c〜32jについても同材料にて構成される。エアポンプ23は、圧縮エアCA1を生成可能な電動のエアポンプにて構成される。弁装置24は、エアポンプ23から連続して供給される圧縮エアCA1を更に高圧かつパルス状(断続状)に変換し、この高圧でパルス状とした噴射エアCA2をチェック弁25側に出力、すなわちチェック弁25を介して混合出力部22c側に出力する。
図3及び図4に示すように、弁装置24は、ベース部材41、カバー部材42、ダイヤフラム43及び付勢バネ44を備える。これら構成部品のうち、ベース部材41の一部、カバー部材42、ダイヤフラム43及び付勢バネ44にて弁本体部40が構成される。以降、ベース部材41が下側、カバー部材42が上側として説明するが、弁装置24の使用時の向きはこれに限定されない。
ベース部材41は、樹脂製であり、上側部分に基台部41a、下側部分に接続部41bを有する。基台部41aは、弁本体部40の筐体の下側部分を構成するものであり、円形状の底壁部41cと、底壁部41cの周縁部分から上方に立設される円環状の側壁部41dとを有する。これに対し、カバー部材42は、弁本体部40の筐体の上側部分を構成するものであり、円形状の上壁部42aと、上壁部42aの周縁部分から下方に延出される円環状の側壁部42bとを有する。ベース部材41とカバー部材42とは、側壁部41dの上端面と側壁部42bの下端面とを互いに対向させて組み付けられている。その際、各部材41,42間でダイヤフラム43の周縁部43xが挟持され、ダイヤフラム43の保持とともに各部材41,42間のシールが図られている。ダイヤフラム43は、自身と基台部41aの底壁部41cと側壁部41dとで形成される空間を弁室45とし、カバー部材42の上壁部42aと側壁部42bとで形成される空間を背圧室46として区画する。
接続部41bは、基台部41aの下面側に設けられ、基台部41aの底壁部41cから一旦下方に延びそこから二股に延びる逆T字状をなしている。接続部41bは、二股に分かれた一方のエアポンプ23側を導入側接続部41e、二股に分かれた他方のチェック弁25側を吐出側接続部41fとしている。導入側接続部41eは、接続ホース32aを用いてエアポンプ23と接続される。導入側接続部41eの内側に形成される導入流路47と、吐出側接続部41fの内側に形成される吐出流路48とはそれぞれ独立しており、基台部41aの底壁部41cにおいて導入流路47及び吐出流路48の各開口部47a,48aがそれぞれ形成される。導入流路47の開口部47aは、ベース部材41の基台部41aにおける底壁部41cの略中央部に位置し、円筒状に突出している。一方、吐出流路48の開口部48aは、底壁部41cの周縁部に位置し、開口部47aよりも低い位置に設定されている。また、開口部48aの開口面積は、開口部47aの開口面積よりも大きくなるように構成されている。
ダイヤフラム43は、可撓性材料にて略円板状に形成され、略中央部において、導入流路47の開口部47aと対向する位置に略円柱状の弁体43aを有する。弁体43aは、導入流路47の開口部47aよりも若干大きい径に設定されている。ダイヤフラム43は、弁体43aと周縁部43xとがともに所定の厚みを有する一方で、弁体43aと周縁部43xとの間が弁体43a及び周縁部43xよりも薄い薄肉部43bとして構成される。つまり、ダイヤフラム43は、固定される周縁部43xに対し薄肉部43bを介して繋がる弁体43aが変位可能に構成される。このような弁体43aの変位動作により、弁体43aは導入流路47の開口部47aと当接又は離間し、エアポンプ23側と弁室45との間で流路の開閉を行う。
カバー部材42は、樹脂製であり、上壁部42aの中央部、すなわち弁体43aと対向する位置に突状部42cを有する。突状部42cは、圧縮コイルバネよりなる付勢バネ44の位置規制用の突部であり、突状部42cにそれぞれ付勢バネ44の上部側が挿入される。付勢バネ44の上端部は上壁部42aに当接する。これに対し、付勢バネ44の下端部は弁体43aに当接する。つまり、付勢バネ44は、上壁部42aを起点として弁体43aを突状部42cにガイドされて下方に付勢、すなわち弁体43aを導入流路47の開口部47a側に向けて付勢する。また、上壁部42aは、突状部42cよりも外側位置において、弁体43aの変位動作が背圧室46内の圧力の影響を受けないように背圧室46とカバー部材42の外部と連通して大気開放された例えば2個の連通孔42dを有する。このように導入流路47の開口部47aを弁体43aにて開閉する弁部40aを含む弁装置24が構成されている。
図2に示すように、チェック弁25は、弁ケース25a、弁体25b、付勢バネ25c及びシールリング25dを備える。弁ケース25aは、導入側接続部25eと吐出側接続部25fとを有し、導入側接続部25eの内側の導入流路25xと吐出側接続部25fの内側の吐出流路25yとがそれぞれ弁ケース25a内の弁室25zと連通して構成される。導入側接続部25eは、弁装置24の吐出側接続部41fと接続ホース32bを用いて相互に接続される。吐出側接続部25fは、混合部用ジョイント30の第1導入側接続部30aと接続ホース32cを用いて相互に接続される。
弁ケース25a内の弁室25zでは、導入流路25xの開口部周りにシールリング25dが固定され、球状の弁体25bがシールリング25dに密着するように付勢バネ25cにて付勢される。すなわち、チェック弁25は、導入流路25x側からの流体の流入圧力が所定圧力以上になると弁体25bが付勢バネ25cの付勢力に抗して動作し閉弁から開弁状態に切り替わり、弁装置24の噴射エアCA2を混合出力部22cの混合部用ジョイント30側に出力する。
洗浄液貯留部22bに用いる流路切替弁26は、第1ケース部材51、第2ケース部材52及びダイヤフラム53を備える。第1ケース部材51は、樹脂製であり、略有底円筒状の第1筒状本体部51aの底部側から第1導入側接続部51bが延び、周壁部側から第1吐出側接続部51cが延びて構成されている。第1導入側接続部51bは、ウォッシャポンプ13bから延びる接続ホース32dと接続される。第1筒状本体部51aの内側には第1弁室51xが設けられ、第1弁室51xを介して第1導入側接続部51bの内側の第1導入流路51yと第1吐出側接続部51cの内側の第1吐出流路51zとが連通可能となっている。第1弁室51x内における第1導入流路51yの開口部51dは、第1筒状本体部51aの底部側から円筒状に突出している。第2ケース部材52は、樹脂製であり、略有底円筒状の第2筒状本体部52aの周壁部側から第2導入側接続部52bが延び、底部側から第2吐出側接続部52cが延びて構成されている。第2筒状本体部52aの内側には第2弁室52xが設けられ、第2弁室52xを介して第2導入側接続部52bの内側の第2導入流路52yと第2吐出側接続部52cの内側の第2吐出流路52zとが連通可能となっている。第2弁室52x内における第2吐出流路52zの開口部52dは、第2筒状本体部52aの底部側から円筒状に突出している。これら第1及び第2ケース部材51,52は、流体の導入及び吐出の設定が逆であるものの、形状としては互いに同様に構成されている。
そして、第1及び第2ケース部材51,52は、各筒状本体部51a,52aの開口端面が対向するようにして互いに組み付けられる。この場合、各筒状本体部51a,52aの底部側に設けられる第1導入側接続部51bと第2吐出側接続部52cとは、一直線上に並び、互いに逆方向を向く。各筒状本体部51a,52aの周壁部側に設けられる第1吐出側接続部51cと第2導入側接続部52bとは、互いに平行に並び、同様な方向を向く。また、第1及び第2ケース部材51,52の組み付けの際、各筒状本体部51a,52aの開口端面間でダイヤフラム53の周縁部53xが挟持され、ダイヤフラム53の保持とともに各部材51,52間のシールを図り、更に第1及び第2弁室51x,52xを区画する。
ダイヤフラム53は、可撓性材料にて略円板状に形成され、略中央部において、第1導入流路51y及び第2吐出流路52zの開口部51d,52dと対向する位置に略円柱状の弁体53aを有する。弁体53aは、各開口部51d,52dよりも若干大きい径に設定されている。ダイヤフラム53は、弁体53aと周縁部53xとがともに所定の厚みを有する一方で、弁体53aと周縁部53xとの間が弁体53a及び周縁部53xよりも薄い薄肉部53bとして構成される。つまり、ダイヤフラム53は、固定される周縁部53xに対し薄肉部53bを介して繋がる弁体53aが変位可能に構成される。弁体53aは、第1導入流路51y及び第2吐出流路52zの各開口部51d,52dからともに離間する中立位置から、第2吐出流路52zの開口部52dに当接して第1導入流路51yの開口部51dのみ離間する位置、又は第1導入流路51yの開口部51dに当接して第2吐出流路52zの開口部52dのみ離間する位置に変位する。
すなわち、弁体53aが第2吐出流路52zの開口部52dを閉塞、かつ第1導入流路51yの開口部51dを開放する1次側開弁状態(2次側閉弁状態)では、第1導入流路51yと第1吐出流路51zとが第1弁室51xを介して互いに連通する。また、弁体53aが第1導入流路51yの開口部51dを閉塞、かつ第2吐出流路52zの開口部52dを開放する2次側開弁状態(1次側閉弁状態)では、第2導入流路52yと第2吐出流路52zとが第2弁室52xを介して互いに連通する。ダイヤフラム53は、1次側流路と2次側流路とを相補的に開閉するように動作する。
チェック弁27は、噴射エア生成部22aのチェック弁25と同様のものである。すなわち、チェック弁27は、弁ケース27a、弁体27b、付勢バネ27c及びシールリング27dを備え、導入側接続部27eの内側の導入流路27xと吐出側接続部27fの内側の吐出流路27yとがそれぞれ弁ケース27a内の弁室27zと連通して構成される。導入側接続部27eは、流路切替弁26の第1吐出側接続部51cと接続ホース32eを用いて相互に接続される。吐出側接続部27fは、貯留部用ジョイント28の導入側接続部28aと接続ホース32fを用いて相互に接続される。チェック弁27は、導入流路27x側からの流体の流入圧力が所定圧力以上になると弁体27bが付勢バネ27cの付勢力に抗して動作し閉弁から開弁状態に切り替わり、ウォッシャポンプ13bから流路切替弁26を介して圧送される洗浄液Wsを貯留部用ジョイント28側に出力する。
貯留部用ジョイント28は、例えばY型ジョイントであり、導入側接続部28aと吐出側接続部28bと中継接続部28cとを備える。貯留部用ジョイント28は、吐出側接続部28bと中継接続部28cとが一直線上に設けられ、導入側接続部28aが吐出側接続部28b寄りに斜めに設けられている。導入側接続部28a、吐出側接続部28b及び中継接続部28cの内側の導入流路28x、吐出流路28y及び中継流路28zは互いに連通している。中継接続部28cはチャンバ29の入出力接続部29eと接続ホース32gを用いて相互に接続され、吐出側接続部28bは流路切替弁26の第2導入側接続部52bと接続ホース32hを用いて相互に接続される。
チャンバ29は、貯留ケース29a、ピストン29b及び付勢バネ29cを備え、更にピストン29bの外周部に円環状のパッキン29dを備える。貯留ケース29aは、略有底円筒状をなし、一方の端面側に入出力接続部29eを有している。貯留ケース29aの内側には、ピストン29bが貯留ケース29aの軸方向に移動可能に収容されている。また、ピストン29bは、パッキン29dにて貯留ケース29aの内周面に液密に当接しつつ移動可能となっている。すなわち、ピストン29bは、入出力接続部29eの内側の入出力流路29xと連通する貯留ケース29aの内側の貯留室29yを区画しその容積を大小させるように構成されている。なお、貯留ケース29aの他方の端面側には、ピストン29bの背圧を大気開放する連通孔29fが設けられている。
このようなチャンバ29は、流路切替弁26の第1吐出側接続部51c側から圧送されるウォッシャポンプ13bからの洗浄液Wsにより付勢バネ29cの付勢力に抗してピストン29bが後退し、貯留室29yの容積が拡大する。すなわち、チャンバ29は、貯留室29y内に所定量の洗浄液Wsを貯留する。その後、洗浄液Wsの圧送が停止すると、チャンバ29では、付勢バネ29cの付勢力にてピストン29bが押し出され、貯留室29yの容積が縮小する。すると、貯留室29yにて貯留した洗浄液Wsが流路切替弁26の第2導入側接続部52b側に吐出され、その先の噴射ノズル31からの噴射に用いられるようになっている。なお、チャンバ29のより詳細な動作については、流路切替弁26の動作とともに後述する。
混合出力部22cに用いる混合部用ジョイント30は、例えばT型ジョイントであり、導入側に第1導入側接続部30aと第2導入側接続部30bとを備え、吐出側に吐出側接続部30cを備える。混合部用ジョイント30は、第1導入側接続部30aと吐出側接続部30cとが一直線上に設けられ、第2導入側接続部30bが各接続部30a,30cに対して直交するように設けられている。第1及び第2導入側接続部30a,30bの内側の第1及び第2導入流路30x,30yと吐出側接続部30cの内側の吐出流路30zとは互いに連通している。第1導入側接続部30aは、上述したように噴射エア生成部22aと接続される。第2導入側接続部30bは、洗浄液貯留部22bの流路切替弁26の第2吐出側接続部52cと接続ホース32iを用いて相互に接続される。吐出側接続部30cは、噴射ノズル31と接続ホース32jを用いて相互に接続される。
そして、第1及び第2清掃装置21a,21bに備えられる噴射ノズル31は、自身の噴射口31aがそれぞれ図1に示す第1及び第2測距センサ11,12のセンシング面11a,12aに向けられて配置される。噴射ノズル31からは、洗浄液貯留部22bから混合出力部22cに供給された所定量の洗浄液Wsが弁装置24及びエアポンプ23側で生成される高圧でパルス状の噴射エアCA2とともに噴射され、気液混合流体Xとして各センシング面11a,12aの好適範囲に対して吹付けられる。
図1に示すように、第1及び第2清掃装置21a,21bの各エアポンプ23と、ウォッシャ装置13のウォッシャポンプ13bとは、車両10に搭載の各種ECU(Electronic Control Unit)、すなわち上位ECU100、前側ECU101及び後側ECU102により制御される。上位ECU100、前側ECU101及び後側ECU102は、車両用清掃システム20の制御装置として該清掃システム20に含まれる。前側ECU101は、第1清掃装置21aのエアポンプ23及びウォッシャポンプ13bを制御する機能を含み、後側ECU102は、第2清掃装置21bのエアポンプ23を制御する機能を含む。上位ECU100は、前側ECU101及び後側ECU102の統括制御を行う。車両用清掃システム20として、第1及び第2清掃装置21a,21bとウォッシャ装置13とは、相互に連携した制御が行われる。
本実施形態の動作及び作用について説明する。
[弁装置24の単体の動作について]
図4に示すように、弁装置24の非作動状態においては、弁部40aが完全な閉弁状態、すなわちダイヤフラム43の弁体43aが導入流路47の開口部47aを密閉状態としている。
エアポンプ23の駆動にて圧縮エアCA1が連続的に供給されると、付勢バネ44の付勢による弁体43aの閉弁状態の維持作用にて、弁装置24の導入流路47及び接続ホース32aを含む導入側の圧力P1が上昇する(図11参照)。導入側の圧力P1は、図3に示すように、弁体43aに作用する面積S1分の部位、すなわち開口部47aの面積分の比較的狭い部位に作用する。弁体43aに作用する押上力F1は、導入側の圧力P1と面積S1との積、F1=P1×S1である。そして、導入側の閉弁状態の圧力P1は、エアポンプ23の吐出圧力P0よりも十分に高い圧力まで高められる。ここで、上記エアポンプ23の吐出圧力P0は、エアポンプ23自体の吐出口を締め切った(エアポンプ23からの吐出流量がゼロ)の場合の吐出圧力ではなく、エアポンプ23と噴射ノズル31とを接続ホース32aで直接接続した場合にエアポンプ23を駆動したときの接続ホース32a内の圧力である(以下、単に「エアポンプ23の吐出圧力P0」と称する)。
また、導入側の圧力P1の上昇に伴い、弁部40aにおいては、図5に示すように、弁体43aと開口部47aとの間に僅かな隙間を生じさせて、弁室45に圧縮エアCA1の一部を漏れCAxとして僅かに漏出させる構成となっている。すなわち、弁室45は、下流側の吐出流路48及び接続ホース32bの先にチェック弁25を有するため、弁室45内の圧力P2についても徐々に上昇する。弁室45内の圧力P2は、図3に示すように、ダイヤフラム43の薄肉部43bに作用する面積S2分の部位、すなわち開口部47aの面積を除く薄肉部43b全体(厳密には弁体43aの周縁部を含む)の面積分の比較的広い部位に作用する。薄肉部43bに作用する押上力F2は、弁室45内の圧力P2と面積S2との積、F2=P2×S2である。圧力P2が作用する薄肉部43bの面積S2は圧力P1が作用する弁体43aの面積S1よりも広いため、圧力P2が圧力P1より低くても押上力F2としての影響力は大である。
そして、導入側の圧力P1と弁室45内の圧力P2とがともに高まりエアポンプ23の吐出圧力P0よりも十分に高い所定圧力になると、弁体43a側の押上力F1と薄肉部43b側の押上力F2とを合算したダイヤフラム43の押上力「F1+F2」が付勢バネ44の付勢力に基づく所定押付力を上回る。すると、図6に示すように、ダイヤフラム43全体が大きく変位し、弁部40aが開弁状態になる。つまり、弁体43aが開口部47aから離間し、導入流路47と弁室45及び吐出流路48とが導通状態となる。開弁直前の導入側の圧力P1は、エアポンプ23の吐出圧力P0よりも十分に高められており、開弁により導入流路47側の高圧の圧縮エアCA1が一気に弁室45を経て吐出流路48に流れる。吐出側の圧力P3は急増し(図11参照)、吐出流路48からチェック弁25、更にはそれより下流側の混合出力部22cの噴射ノズル31に向けて高圧の噴射エアCA2が出力される。
一方で、導入側の圧力P1は急減し(図11参照)、やがてダイヤフラム43が開弁から閉弁に切替わる。つまり、弁室45内の圧力P2も低下していき、両圧力P1,P2に基づくダイヤフラム43の押上力「F1+F2」よりも付勢バネ44の付勢力に基づく所定押付力が勝り、弁部40aの弁体43aが導入流路47の開口部47aを閉塞する。吐出側の圧力P3は十分に低くなり、導入側の圧力P1は再び上昇に転じる。導入側の圧力P1は、漏れCAxによりダイヤフラム43が開弁するまで再び高められる。そして、上記の繰り返しにより、高圧でパルス状の噴射エアCA2が弁装置24を含む噴射エア生成部22aにおいて生成される(図11参照)。
[車両用清掃システム20の動作について]
図2に示すように、車両用清掃システム20の第1及び第2清掃装置21a,21bの非動作状態において、噴射エア生成部22aの弁装置24は、弁部40aが閉弁状態であり、弁体43aが導入流路47を閉塞している(図4参照)。また、噴射エア生成部22aのチェック弁25及び洗浄液貯留部22bのチェック弁27についても閉弁状態である。また、洗浄液貯留部22bの流路切替弁26は、弁体53aが中立位置にある。チャンバ29は、ピストン29bが最も押し出した状態にあり、貯留室29yに洗浄液Wsが貯留されていない。
そして、上位ECU100において、第1及び第2測距センサ11,12の各センシング面11a,12aに対する雨滴等の異物の付着に基づき、若しくは異物の有無にかかわらず所定時間毎に、対応する第1及び第2清掃装置21a,21bに清掃指令が生じると、前側及び後側ECU101,102を通じて、各清掃装置21a,21bのエアポンプ23及びウォッシャ装置13のウォッシャポンプ13bが順次駆動される。
図11に示すように、本実施形態では例えば、先にウォッシャポンプ13bが所定期間T1の駆動が行われ、次いでそのウォッシャポンプ13bの停止後に、エアポンプ23の所定期間T2の駆動が行われる。
すなわち、清掃指令に基づいて先ず、時間t1から時間t2まで所定期間T1、ウォッシャポンプ13bが駆動される。ウォッシャポンプ13bの駆動に基づき、図7に示すようにウォッシャポンプ13bから洗浄液Wsが圧送されると、洗浄液貯留部22bの流路切替弁26のダイヤフラム53が2次側に撓み、第1導入流路51yの開口部51dを開放、かつ第2吐出流路52zの開口部52dを閉塞するように弁体53aが変位し、流路切替弁26が1次側開弁状態となる。流路切替弁26を経た洗浄液Wsは、次いでチェック弁27を開弁させ、更に貯留部用ジョイント28の導入流路28x及び中継流路28zを介してチャンバ29に導入される。また、チェック弁27を経た洗浄液Wsは、貯留部用ジョイント28の吐出流路28y側から流路切替弁26の第2導入流路52yにも導入される。
ここで、流路切替弁26では、1次側とともに2次側にも洗浄液Wsが流入するが、ダイヤフラム53において弁体53a及び薄肉部53bに洗浄液Wsの送給圧力が作用する1次側と、薄肉部53bのみに洗浄液Wsの送給圧力が作用する2次側との圧力バランスにて1次側開弁状態が維持される。つまり、2次側閉弁状態が維持されるため、チャンバ29では、洗浄液Wsによるピストン29bの付勢バネ29cの付勢力に抗する後退動作が行われ、貯留室29yやその周囲の接続ホース32h,32g,32f、流路切替弁26の第2弁室52x等に十分な洗浄液Wsが貯留される。また、2次側閉弁状態が維持されていることから、チャンバ29を含む上述の流路に十分な洗浄液Wsが貯留された状態でウォッシャポンプ13bの駆動が継続しても、これ以上の洗浄液Wsの貯留が抑制可能である。換言すれば、周囲温度、駆動電圧、洗浄液Wsの粘度等々の都度変化を踏まえてウォッシャポンプ13bを余分に駆動するようにすれば、都度同量の洗浄液Wsの貯留が可能である。
次いで、ウォッシャポンプ13bの停止に基づき、図8に示すように洗浄液Wsの圧送が停止すると、チェック弁27が閉弁状態となる。すなわち、チャンバ29側から見て、流路切替弁26の1次側及び2次側の両方の流路が開放されていたものが、流路切替弁26の1次側の流路が閉塞、2次側の流路のみ開放される状態に切り替わる。チャンバ29では、付勢バネ29cの付勢力を受けるピストン29bが押出動作を開始する。流路切替弁26では、1次側に洗浄液Wsの送給圧力がなくなる一方で、2次側にはチャンバ29からピストン29bの押出動作に基づく洗浄液Wsの送給圧力が作用することで、2次側開弁状態に切り替わる。つまり、流路切替弁26では、ダイヤフラム53が1次側に撓み、第1導入流路51yの開口部51dを閉塞、かつ第2吐出流路52zの開口部52dを開放するように弁体53aが変位し、2次側開弁状態、1次側閉弁状態となる。
これら動作により、チャンバ29から押し出された洗浄液Wsは、チェック弁27にて流路切替弁26の1次側に戻ることなく、流路切替弁26の2次側を介して混合出力部22cに導出される。この場合、混合部用ジョイント30の導入流路30x及び吐出流路30zを含む混合流路33に所定量の洗浄液Wsが充填され、噴射エア生成部22aからの噴射エアCA2の供給を待つ。このように混合流路33に洗浄液Wsを充填させる起点となる本実施形態のウォッシャポンプ13bの駆動は、噴射ノズル31から直接洗浄液Wsを噴射させて異物の除去清掃を行う一般的な使用目的と異なり、駆動期間や駆動電力等を抑えることが可能で、使用する洗浄液Wsも非常に少量に抑えることが可能である。なお、混合流路33への洗浄液Wsの充填量は、チャンバ29の貯留室29yの大きさ変更等で容易に設定可能である。
次いで、図11に示すように、ウォッシャポンプ13bの停止後の時間t3から時間t4までの所定期間T2の間、エアポンプ23が駆動される。エアポンプ23の駆動に基づきエアポンプ23から圧縮エアCA1が供給されると、上述した弁装置24の図4から図6に示す動作が行われ、エアポンプ23の吐出圧力P0よりも高圧でパルス状の噴射エアCA2が生成される。なお、図9に示す状態は、エアポンプ23の駆動に基づき、弁装置24がエアポンプ23の吐出圧力P0よりも十分に高い圧力まで圧縮エアCA1の圧力を高めている図5にて示す完全開弁前の状態である。図10に示す状態は、弁装置24が図6にて示す完全開状態となって、エアポンプ23の吐出圧力P0よりも十分に高い圧力としたエアを噴射エアCA2として出力している状態である。そして、これらの動作を繰り返して弁装置24にて生成される高圧でパルス状の噴射エアCA2は、チェック弁25を介して混合出力部22cに導入される。
このとき、図10に示すように、混合出力部22cの混合流路33には洗浄液Wsが充填されているため、高圧でパルス状の噴射エアCA2が混合流路33に導入されると、この噴射エアCA2とこの噴射エアCA2にて小粒径に離散した洗浄液Wsとが混合された気液混合流体Xが噴射ノズル31の噴射口31aから噴射される。洗浄液Wsと噴射エアCA2とが混合された気液混合流体Xは、図1に示す第1及び第2測距センサ11,12の各センシング面11a,12aに対して吹付けられる。
つまり、本実施形態では、単に洗浄液Wsのみ、単に噴射エアCA2のみを吹付ける態様と異なり、高圧の噴射エアCA2自身及びこの噴射エアCA2により小粒径に離散される洗浄液Wsを速い速度で各センシング面11a,12aに吹き付けることが可能である。これにより、各センシング面11a,12aに付着し得る雨滴等の異物の効果的な除去清掃が可能であり、測距精度の良好維持に貢献できる。しかも、エアポンプ23の吐出圧力P0よりも十分に高圧の噴射エアCA2が生成可能なため、エアポンプ23に小型のものを使用して実現可能である。
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態の車両用清掃システム20の各清掃装置21a,21bは、噴射エア生成部22aにおいて、エアポンプ23から供給される圧縮エアCA1を用いてエアポンプ23の吐出圧力P0よりも高い圧力まで蓄圧し、その蓄圧後に下流側に吐出するように弁装置24が動作することで、高圧でパルス状の噴射エアCA2が生成される。つまり、異物除去性能の向上する噴射エアCA2の生成をエアポンプ23の大型化を図らなくとも実現することができる。また、洗浄液貯留部22b及び混合出力部22cを備えて、噴射エア生成部22aにて生成した高圧でパルス状の噴射エアCA2に洗浄液Wsを混合させることで、高圧でパルス状の噴射エアCA2と小粒径に離散した洗浄液Wsとの混合した気液混合流体Xが各測距センサ11,12のセンシング面11a,12aに向けて高圧・高速で吹付けられる。これらにより、各センシング面11a,12aに付着した異物の除去清掃を少量の洗浄液Wsにより向上させることができる。また、噴射エアCA2に混合させる洗浄液Wsを洗浄液貯留部22bにて一旦貯留しながら供給するようにしているため、ウォッシャポンプ13bによる直接供給と比べて、清掃に必要な少量で定量の洗浄液Wsを安定して供給することができる。換言すると、洗浄液Wsが少量で済む分、ウォッシャポンプ13bの小駆動(短時間の駆動)のみでの対応するのは、周囲温度、駆動電圧、洗浄液Wsの粘度等々の都度変化から洗浄液Wsの安定供給が懸念されるが、本実施形態のようにチャンバ29に一旦貯留する構成としたことで、都度変化を吸収することが可能となる。そのため、都度同量の洗浄液Wsの供給が可能となり、清掃力の安定性の向上に寄与できる。
(2)噴射エア生成部22aにおいて、弁装置24の弁部40aは、圧縮エアCA1の導入流路47を弁体43aにより閉弁し、エアポンプ23から供給される圧縮エアCA1をエアポンプ23の吐出圧力P0よりも高い圧力まで蓄圧する。また、弁部40aとチェック弁25とは補助機構としても機能し、上述の蓄圧時に導入流路47側から圧縮エアCA1の漏れCAxを生じさせて漏れ側(弁室45等)にて蓄圧を行う。次いで、導入流路47側及び漏れ側(弁室45等)にて蓄圧した両圧力P1,P2に基づいて弁体43aを開弁させて、導入流路47側にて蓄圧した圧縮エアCA1を吐出流路48に出力する。そして、その後再び導入流路47側にて蓄圧可能に弁体43aを閉弁復帰させるように構成される。このようなエアポンプ23、弁装置24及びチェック弁25にて、高圧でパルス状の噴射エアCA2を生成することができる。
(3)洗浄液貯留部22bを構成するチャンバ29は、貯留ケース29a、ピストン29b及び付勢バネ29cを用いた簡素な構成で実現することができる。また、貯留した洗浄液Wsの導出をチャンバ29自身に備える付勢バネ29cの付勢力を用いる構成としていることで、洗浄液Wsの流路以外でのチャンバ29の独立性が高く、チャンバ29の配置自由度が高くできる等の効果が期待できる。
(4)洗浄液貯留部22bを構成する流路切替弁26は、ウォッシャポンプ13b及びチャンバ29間の1次側流路と、チャンバ29及び混合出力部22c間の2次側流路とが共通のダイヤフラム53にて相補的に開閉可能で、1つの弁として構成されるものである。そして、洗浄液貯留部22bは、ウォッシャポンプ13b側からの洗浄液Wsの供給時、その供給停止時、チャンバ29からの洗浄液Wsの導出時といった時々の流路の切り替えを、流路切替弁26及びチェック弁27の2つの弁を用いる簡素な構成で実現することができる。
(5)噴射エア生成部22aにおける弁装置24の下流側にチェック弁25が備えられることで、弁部40aの下流側での蓄圧(圧力P2の上昇)をより確実に行うことができる。
(6)ウォッシャポンプ13bを駆動する期間T1の終了時よりもエアポンプ23を駆動する期間T2の終了時が後になるような制御が行われる。つまり、各センシング面11a,12aに洗浄液Wsが残ると異物になり得るため、ウォッシャポンプ13bの駆動よりエアポンプ23の駆動が後で終わるようにすることで、後に噴射エアCA2のみを各センシング面11a,12aに対して吹付けることが可能となる。これにより、各センシング面11a,12a上に洗浄液Wsが残ることを抑制することができる。
(第2実施形態)
以下、車両用清掃システム及び清掃方法の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1及び第2清掃装置21a,21bのチャンバ29の構成及びこれに関する動作が上記第1実施形態と若干異なる。以下、その相違点を中心に説明する。
図12に示すように、本実施形態のチャンバ29は、付勢バネ29cを省略する一方で、貯留ケース29aの他方の端面側にエア導入用接続部29gを設け、付勢バネ29cの付勢力による動作から、エアポンプ23からの圧縮エアCA1の圧力による動作に変更している。エア導入用接続部29gの内側に導入流路29zは、ピストン29bの背面側の空間、すなわち洗浄液Wsを貯留する貯留室29yとはピストン29b自身を挟んだ反対側の空間と連通している。
また、エアポンプ23と弁装置24との間の圧縮エアCA1の流路とチャンバ29とが例えばT型ジョイントよりなるエア分岐ジョイント34を用いて相互に接続することが行われる。エア分岐ジョイント34は、導入側接続部34aと第1及び第2吐出側接続部34b,34cとを備え、導入側接続部34aと第1吐出側接続部34bとが一直線上に、これらに対して第2吐出側接続部34cが直交する構成である。導入側接続部34aの内側の導入流路34xと第1及び第2吐出側接続部34b,34cの内側の第1及び第2吐出流路34y,34zとは互いに連通している。なお、エアポンプ23と弁装置24との間を繋ぐ上記第1実施形態で用いた接続ホース32aは接続ホース32a1,32a2と2分割とされ、導入側接続部34aは接続ホース32a1を用いてエアポンプ23に、第1吐出側接続部34bは接続ホース32a2を用いて弁装置24にそれぞれ接続される。第2吐出側接続部34cは、接続ホース32kを用いてチャンバ29のエア導入用接続部29gと接続される。接続ホース32a1,32a2,32kについても上述同様、ゴムホース等、可撓性材料にて構成される。
本実施形態の動作及び作用について説明する。
[車両用清掃システム20の動作について]
図11に示すように、本実施形態においても例えば、先にウォッシャポンプ13bが所定期間T1の駆動が行われ、次いでそのウォッシャポンプ13bの停止後に、エアポンプ23の所定期間T2の駆動が行われる。
先ず、ウォッシャポンプ13bの駆動に基づき、図13に示すようにウォッシャポンプ13bから洗浄液Wsが圧送されると、洗浄液貯留部22bの流路切替弁26のダイヤフラム53が2次側に撓み、流路切替弁26が1次側開弁状態、2次側閉弁状態に維持されるのは上記第1実施形態と同様である。流路切替弁26を経た洗浄液Wsは、チェック弁27及び貯留部用ジョイント28を介してチャンバ29に導入される。チャンバ29では、洗浄液Wsによるピストン29bの後退動作が行われ、貯留室29yやその周囲の接続ホース32h,32g,32f、流路切替弁26の第2弁室52x等に十分な洗浄液Wsが貯留される。なお、付勢バネ29cを省略する分、チャンバ29の貯留室29yを大きく構成可能なため、洗浄液Wsの貯留量の増量、又は上記第1実施形態と同様の貯留量とする場合、チャンバ29の小型化が図れる。また、ピストン29bの後退に付勢バネ29cの付勢力が作用しないため、後退に要する圧力は小さくて済む。
次いで、ウォッシャポンプ13bの停止に基づき、図14に示すように洗浄液Wsの圧送が停止すると、チェック弁27が閉弁状態となるのは上記第1実施形態と同様である。一方、異なる動作として、本実施形態のチャンバ29は、付勢バネ29cが省略されて、後のエアポンプ23からの圧縮エアCA1の圧力を受けてピストン29bの押出動作を行う構成のため、現時点ではピストン29bの押出動作は行われない。また、流路切替弁26では、1次側に洗浄液Wsの送給圧力がなくなるものの、2次側にもチャンバ29からの洗浄液Wsの送給圧力が作用しないため、ダイヤフラム53では例えば撓みが戻り、弁体53aが中立位置となる。この場合、弁体53aと第2吐出流路52zの開口部52dとの間に僅かな隙間が生じるものの、洗浄液Wsが第2弁室52xから第2吐出流路52z側に大きく漏出することはない。
次いで、エアポンプ23の駆動に基づきエアポンプ23から圧縮エアCA1が供給されると、上述した弁装置24の図4から図6に示す動作が行われ、エアポンプ23の吐出圧力P0よりも高圧でパルス状の噴射エアCA2が生成されるのは上記第1実施形態と同様である。なお、図15に示す状態は、エアポンプ23の駆動に基づき、弁装置24がエアポンプ23の吐出圧力P0よりも十分に高い圧力まで圧縮エアCA1の圧力を高めている図5にて示す完全開弁前の状態である。図16に示す状態は、弁装置24が図6にて示す完全開状態となって、エアポンプ23の吐出圧力P0よりも十分に高い圧力としたエアを噴射エアCA2として出力している状態である。そして、これらの動作を繰り返して弁装置24にて生成される高圧でパルス状の噴射エアCA2は、チェック弁25を介して混合出力部22cに導入される。
また、図15に示すように、エアポンプ23からの圧縮エアCA1の一部は、チャンバ29にも供給され、ピストン29bの押圧動作に用いられる。ピストン29bの押圧動作が開始されると、その押出動作に基づく洗浄液Wsの送給圧力にて流路切替弁26では2次側開弁状態に切り替わり、所定量の洗浄液Wsが流路切替弁26の2次側を介して混合出力部22cの混合流路33に導出され充填される。
そして、図16に示すように、高圧でパルス状の噴射エアCA2が混合流路33に導入されると、上記第1実施形態と同様に、この噴射エアCA2とこの噴射エアCA2にて小粒径に離散した洗浄液Wsとが混合された気液混合流体Xが噴射ノズル31から噴射されるようになっている。これにより、本実施形態においても、図1に示す各測距センサ11,12のセンシング面11a,12a上に付着し得る異物の効果的な除去清掃が行われるものとなっている。
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態においても、上記第1実施形態の効果(1),(2),(4)〜(6)と同様の効果を得ることができる。
(2)洗浄液貯留部22bを構成する本実施形態のチャンバ29は、貯留ケース29a及びピストン29bを用い、貯留した洗浄液Wsの導出をエアポンプ23からの圧縮エアCA1の一部を用いる構成である。そのため、付勢バネ29cを省略した簡素な構成で実現することができる。
(第3実施形態)
以下、車両用清掃システムの第3実施形態について説明する。本実施形態では、第1及び第2清掃装置21a,21bの洗浄液貯留部22bの構成及びこれに関する動作が上記第1実施形態と異なる。以下、その相違点を中心に説明する。
図2で示した上記第1実施形態の洗浄液貯留部22bは、流路切替弁26、チェック弁27、貯留部用ジョイント28及びチャンバ29の個々の部品を各接続ホース32e,32f,32g,32hにて接続して構成されていた。これに対し、図17及び図18に示す本実施形態の洗浄液貯留部22bは、上記第1実施形態の洗浄液貯留部22bと同様の機能を有するものを1ユニットの洗浄液貯留装置60aとして構成した。
具体的に本実施形態の洗浄液貯留装置60aは、図18に示すように、略有底円筒状のケース本体61と、ケース本体61の開口部を閉塞する蓋部材62とを備えており、ケース本体61の底部中央に導入側接続部61aと、蓋部材62の中央部に吐出側接続部62aとを有する。導入側接続部61aと吐出側接続部62aとは、ケース本体61の軸方向に沿って互いに反対方向に延びている。導入側接続部61aは、ウォッシャポンプ13bから延びる接続ホース32dと接続され、吐出側接続部62aは、混合部用ジョイント30の第2導入側接続部30bと接続される。
導入側接続部61aの内側の導入流路61xは、ケース本体61内において後述のピストン70にて区画される貯留室65と連通し、吐出側接続部62aの内側の吐出流路62xは、蓋部材62の内側中央からケース本体61の底部近くまで軸方向に沿って延びる内側筒部62bを通じて貯留室65と連通している。内側筒部62b(吐出流路62x)の開口部62cと導入流路61xの開口部61bとの間には、略円板状のゴムシート等よりなる弁体66が開口部62c,61b間で変位可能に配置される。
弁体66は、フランジ部66aを有する。弁体66には、フランジ部66aの吐出側接続部62a側に対して当接するようにワッシャ67が装着される。また、内側筒部62bの先端部には、ワッシャ68が装着される。ワッシャ67,68は、同一の構成のものであり、円環状をなすとともに貫通孔67a,68aを有する。ワッシャ68は、内側筒部62bの先端部の外周面に設けた係止部62dに対して導入側接続部61a側にて当接する。これらワッシャ67,68間には、付勢バネ69が介在している。付勢バネ69は、内側筒部62bの係止部62dに係止するワッシャ68を起点とし、弁体66をワッシャ67を通じて付勢する。
ワッシャ68の吐出側接続部62a側においては、円環状のピストン70が内側筒部62b周りに配置される。ピストン70は、円環状のゴムパッキン71と、ゴムパッキン71の吐出側接続部62a側に配置されるワッシャ72とを有して構成される。ピストン70は、自身のワッシャ72と蓋部材62との間に内側筒部62b周りに配置される付勢バネ73が介在する。付勢バネ73は、ピストン70をワッシャ68側に対向するように、すなわちワッシャ68の貫通孔68aから流入してくる洗浄液Ws(図19(a)参照)に対向するように付勢する。ピストン70を構成するゴムパッキン71の縦断面(軸方向断面)において、洗浄液Wsの流入圧を受ける部分である受圧部71aは、そのワッシャ68側に向けて二股に分岐した逆Y字状をなしている。受圧部71aは、ケース本体61の内周面と内側筒部62bの外周面とのそれぞれに対しても密着し、洗浄液Wsからの圧力を受けつつ両周面間からの洗浄液Wsの漏れを抑制している。
導入流路61xの開口部61bからウォッシャポンプ13bによる洗浄液Wsの流入のない状況では、弁体66は、付勢バネ69の付勢力を受けて導入流路61xの開口部61bを閉塞する。このとき、内側筒部62bの開口部62cは、弁体66にて閉塞されず開放状態である。また、ピストン70は、付勢バネ73の付勢力を受け、受圧部71aが内側筒部62bの係止部62dに当接する位置に配置される。この場合、ピストン70により区画される貯留室65の容積は最小である。
一方、図19(a)に示すように、ウォッシャポンプ13bの駆動により洗浄液Wsが圧送されると、導入流路61xの開口部61bを閉塞していた弁体66が付勢バネ69の付勢力に抗して押し上げられるように変位し、開口部61bを十分な開放状態、内側筒部62bの開口部62cを閉塞する。導入流路61xの開口部61bから流入してきた洗浄液Wsは、ワッシャ67の貫通孔67aを介して奥側に進み、内側筒部62bの開口部62cから漏れることなく更にワッシャ68の貫通孔68aを介してピストン70のある奥側に進む。ピストン70は、洗浄液Wsの圧力を受けて付勢バネ73の付勢力に抗して後退し、ピストン70の後退とともに貯留室65の容積が拡大する。そして、ピストン70(ワッシャ72)が蓋部材62の規制壁62eに当接する位置まで後退することで貯留室65の容積が最大となり、洗浄液貯留装置60a内に一定量の洗浄液Wsが貯留されるようになっている。
更に、ピストン70が後退して一定量の洗浄液Wsが貯留された状態でウォッシャポンプ13bの駆動が停止すると、導入流路61xの開口部61bからの洗浄液Wsの流入圧も無くなり、図19(b)に示すように、弁体66は、導入流路61xの開口部61bを閉塞する状態に復帰し、開口部61bから導入流路61x側への洗浄液Wsの逆流が抑制される。一方で、弁体66の復帰とともに内側筒部62bの開口部62cが開放状態になるため、付勢バネ73の付勢力を受けているピストン70は、貯留室65内に貯留された洗浄液Wsを押し出す。このとき、導入流路61x側の開口部61bが閉塞状態となっていることで、洗浄液Wsは、ピストン70の押出動作により内側筒部62bの開口部62cから吐出流路62xを介して吐出される。なお、ピストン70の押出動作や上記した後退動作が円滑に行われるよう、蓋部材62に設けた連通孔62fを通じてピストン70の背面側の空間が大気開放されている。
このように本実施形態の洗浄液貯留装置60aは、ウォッシャポンプ13bの駆動に基づき一定量の洗浄液Wsを貯留し、ウォッシャポンプ13bの駆動停止に基づき一定量の洗浄液Wsを混合出力部22c側に吐出するように動作する。つまり、本実施形態の洗浄液貯留装置60aは、上記第1実施形態の洗浄液貯留部22bと同様の動作を行いながらも、弁体66の動作に基づく流路61x,62xの開閉を切り替える流路切替弁としての機能、導入流路61x側への洗浄液Wsの逆流を抑制するチェック弁としての機能、更にはピストン70の動作に基づく洗浄液Wsの貯留や押し出しを行うチャンバとしての機能が1ユニットに備えられて構成されている。
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態では、上記第1実施形態と同様の効果を得ながらも、洗浄液貯留部22bとして1ユニット化された洗浄液貯留装置60aを用いて構成したことで、簡素なシステム構成とすることができる。
(2)本実施形態の洗浄液貯留装置60aでは、容易に作製可能な円板シート状の弁体66を用いて構成することができる。
(第4実施形態)
以下、車両用清掃システムの第4実施形態について説明する。本実施形態では、洗浄液貯留装置60bの構成が上記第3実施形態の洗浄液貯留装置60aと若干異なる。以下、その相違点を中心に説明する。
図18で示した上記第3実施形態で用いた略円板シート状の弁体66と付勢バネ69とを用いて流路切替弁とチェック弁としての機能とを持たせていた。これに対し、図20に示す本実施形態の洗浄液貯留装置60bは、その弁体66と付勢バネ69とをダイヤフラム75に置き換え、ピストン70周りについては同様に構成した。
具体的に本実施形態の洗浄液貯留装置60bは、図20に示すように、先ずケース本体61が円筒状をなすとともに、吐出側に上記第3実施形態で用いた蓋部材62、導入側に蓋部材63がそれぞれ用いられる。蓋部材62,63は、ケース本体61の各開口部をそれぞれ閉塞している。蓋部材62は、上記第3実施形態と同様、吐出側接続部62a、吐出流路62x、内側筒部62b等を有する。蓋部材63は、中央部に導入側接続部63aを有し、内側が導入流路63xとなっている。蓋部材63の内側面における導入流路63xの開口部63bは、蓋部材62の内側筒部62bに対向するように筒状に突出している。また、蓋部材63の内側面において、開口部63bとケース本体61との中間位置には筒状の保持壁部63cが設けられている。保持壁部63cは、軸方向中間部付近に設けた保持溝63dにダイヤフラム75の周縁部75xを嵌合させて保持している。ダイヤフラム75は、中心部に弁体75aを有し、弁体75aと周縁部75xとの間が薄肉部75bとなっている。ダイヤフラム75の弁体75aは、内側筒部62b(吐出流路62x)の開口部62cと導入流路63xの開口部63bとの間で変位可能に配置される。
また、保持壁部63cの保持溝63d(ダイヤフラム75の周縁部75xの保持部分)よりも基端側の部分には、径方向に貫通する貫通流路76が設けられ、更にこの貫通流路76と連通して保持壁部63cの外周面とケース本体61の内周面との間に周面流路77が設けられている。周面流路77には、ダイヤフラム75の周縁部75xの外周面から可動片部75cが突出している。可動片部75cは、基端部(径方向内側部)よりも先端部(径方向外側部)が下流側に向くように傾斜しており、その先端部がケース本体61の内周面に当接している。本実施形態での洗浄液Wsの貯留室65は、周面流路77内に突出する可動片部75cより下流側で、ピストン70とダイヤフラム75とで区画される空間である。因みに、本実施形態では、内側筒部62bの係止部62d(図18参照)は省略され、ピストン70の押出し側の位置規制は、ピストン70を構成するゴムパッキン71の受圧部71aが保持壁部63cの先端部と当接することにより行われる。
導入流路63xの開口部63bからウォッシャポンプ13bによる洗浄液Wsの流入のない状況では、ダイヤフラム75の弁体75aは、内側筒部62bの開口部62cと導入流路63xの開口部63bとの間の中間位置にあり、両開口部62c,63bを積極的に閉塞していない状態である。また、ピストン70は、付勢バネ73の付勢力を受け、受圧部71aが保持壁部63cの先端部に当接する位置に配置される。この場合、ピストン70により区画される貯留室65の容積は最小である。
一方、図21(a)に示すように、ウォッシャポンプ13bの駆動により洗浄液Wsが圧送されると、ダイヤフラム75の弁体75aが押し上げられるように変位し、導入流路63xの開口部63bを十分な開放状態とし、内側筒部62bの開口部62cを閉塞する。導入流路63xの開口部63bから流入してきた洗浄液Wsは、ダイヤフラム75により一旦径方向外側に向かい貫通流路76及び周面流路77を経て、内側筒部62bの開口部62cから漏れることなくピストン70のある奥側に進む。その際、周面流路77に突出する可動片部75cは、導入流路63x側からピストン70側に流れようとする場合、自身の先端部がケース本体61の内周面から離間して流路を開とする。ピストン70は、洗浄液Wsの圧力を受けて後退し、ピストン70の後退とともに貯留室65の容積が拡大する。そして、ピストン70(ワッシャ72)が蓋部材62の規制壁62eに当接する位置まで後退することで貯留室65の容積が最大となり、洗浄液貯留装置60b内に一定量の洗浄液Wsが貯留されるようになっている。
更に、ピストン70が後退して一定量の洗浄液Wsが貯留された状態でウォッシャポンプ13bの駆動が停止すると、導入流路63xの開口部63bからの洗浄液Wsの流入圧も無くなる。またこのとき、付勢バネ73の付勢力を受けているピストン70は、貯留室65内に貯留された洗浄液Wsを押し出そうとし、ダイヤフラム75の弁体75aを反対側に変位させる。すると、図21(b)に示すように、弁体75aが導入流路63xの開口部63bを閉塞状態とする。またこのとき、周面流路77に突出する可動片部75cの先端部がケース本体61の内周面に密着し、この流路を閉とする。これらにより、開口部63bから導入流路63x側への洗浄液Wsの逆流が抑制される。一方で、ダイヤフラム75の弁体75aの変位にて内側筒部62bの開口部62cが開放状態となって、洗浄液Wsは、ピストン70の押出動作により内側筒部62bの開口部62cから吐出流路62xを介して吐出される。
このように本実施形態の洗浄液貯留装置60bにおいても、ウォッシャポンプ13bの駆動に基づき一定量の洗浄液Wsを貯留し、ウォッシャポンプ13bの駆動停止に基づき一定量の洗浄液Wsを混合出力部22c側に吐出するように動作する機能を有しつつ、上記第3実施形態と同様、流路切替弁の機能、チェック弁の機能、チャンバの機能が1ユニットに備えられて構成されている。
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を得ながらも洗浄液貯留部22bとして1ユニット化された洗浄液貯留装置60bを用いて構成したことで、簡素なシステム構成とすることができる。
(2)本実施形態の洗浄液貯留装置60bでは、ダイヤフラム75を用いることで、弁体を付勢する付勢バネを省略して構成することができる。
(第5実施形態)
以下、車両用清掃システムの第5実施形態について説明する。本実施形態では、洗浄液貯留装置60cの構成が上記第4実施形態の洗浄液貯留装置60bと若干異なる。以下、その相違点を中心に説明する。
図20で示した上記第4実施形態で用いたダイヤフラム75を用いて流路切替弁とチェック弁の機能を持たせていた。これに対し、図22に示す本実施形態の洗浄液貯留装置60cは、ダイヤフラム75をアンブレラ弁80に置き換え、ピストン70周りについては同様に構成した。
具体的に本実施形態の洗浄液貯留装置60cは、図22に示すように、円筒状のケース本体61と、ケース本体61の各開口部をそれぞれ閉塞する蓋部材62,63とが用いられる。ケース本体61の内周面には、アンブレラ弁80を保持するための軸直交方向(径方向)に沿う板状をなす保持壁部61cが設けられている。アンブレラ弁80は、軸部80aと、軸部80aの一端に可動円板部80bとを有する。保持壁部61cは、中央部に設けた保持孔61dにアンブレラ弁80の軸部80aを嵌合させて保持している。また、保持壁部61cには、保持孔61d(アンブレラ弁80の軸部80aの保持部分)の周囲に開口部61eが設けられている。開口部61eは、導入流路63xと連通しており実質的な導入流路63xの開口部として機能する。アンブレラ弁80の可動円板部80bは、内側筒部62b(吐出流路62x)の開口部62cと、導入流路63xと連通の開口部61eとの間で変位可能に配置される。このときの可動円板部80bの変位は、軸部80aと連結する可動円板部80bの中央部が支点となり、外周部が保持壁部61cに当接又は離間する態様である。本実施形態での洗浄液Wsの貯留室65は、保持壁部61c及びアンブレラ弁80の可動円板部80bとピストン70とで区画される空間である。
導入流路63xと連通の開口部61eからウォッシャポンプ13bによる洗浄液Wsの流入のない状況では、アンブレラ弁80の可動円板部80bは、内側筒部62bの開口部62cと、導入流路63xと連通の開口部61eとをそれぞれ閉塞しているものの、積極的な閉塞状態ではない。また、ピストン70は、付勢バネ73の付勢力を受け、最も押出し位置に配置される。この場合、ピストン70により区画される貯留室65の容積は最小である。
一方、図23(a)に示すように、ウォッシャポンプ13bの駆動により洗浄液Wsが圧送されると、アンブレラ弁80の可動円板部80bの外周部が押し上げられるように変位し、導入流路63xと連通の開口部61eを開放状態とし、内側筒部62bの開口部62cを十分な閉塞状態とする。導入流路63xと連通の開口部61eから流入してきた洗浄液Wsは、内側筒部62bの開口部62cから漏れることなくピストン70のある奥側に進む。ピストン70は、洗浄液Wsの圧力を受けて後退し、ピストン70の後退とともに貯留室65の容積が拡大する。そして、ピストン70(ワッシャ72)が蓋部材62の規制壁62eに当接する位置まで後退することで貯留室65の容積が最大となり、洗浄液貯留装置60c内に一定量の洗浄液Wsが貯留されるようになっている。
更に、ピストン70が後退して一定量の洗浄液Wsが貯留された状態でウォッシャポンプ13bの駆動が停止すると、導入流路63xと連通の開口部61eからの洗浄液Wsの流入圧も無くなる。またこのとき、付勢バネ73の付勢力を受けているピストン70は、貯留室65内に貯留された洗浄液Wsを押し出そうとし、アンブレラ弁80の可動円板部80bを反対側に変位させる。すると、図23(b)に示すように、可動円板部80bが導入流路63xと連通の開口部61eを閉塞状態とし、開口部61eから導入流路63x側への洗浄液Wsの逆流が抑制される。一方で、洗浄液Wsからの圧力を可動円板部80bが受けることでアンブレラ弁80自身も軸方向に押し込まれ、内側筒部62bの開口部62cが開放状態となる。洗浄液Wsは、ピストン70の押出動作により内側筒部62bの開口部62cから吐出流路62xを介して吐出される。
このように本実施形態の洗浄液貯留装置60cにおいても、ウォッシャポンプ13bの駆動に基づき一定量の洗浄液Wsを貯留し、ウォッシャポンプ13bの駆動停止に基づき一定量の洗浄液Wsを混合出力部22c側に吐出するように動作する機能を有しつつ、上記第4実施形態と同様、流路切替弁の機能、チェック弁の機能、チャンバの機能が1ユニットに備えられて構成されている。
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を得ながらも、洗浄液貯留部22bとして1ユニット化された洗浄液貯留装置60cを用いて構成したことで、簡素なシステム構成とすることができる。
(2)本実施形態の洗浄液貯留装置60cでは、アンブレラ弁80を用いることで、弁体を付勢する付勢バネを省略して構成することができる。
(第6実施形態)
以下、車両用清掃システムの第6実施形態について説明する。本実施形態では、第1及び第2清掃装置21a,21bの接続構成の変更及び使用部品を省略した上記第1又は第2実施形態の簡略構成版である。以下、その相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図24に示すように、チェック弁25の吐出側接続部25fと貯留部用ジョイント28の中継接続部28cとが接続ホース32cで接続されるとともに、流路切替弁26の第2吐出側接続部52cと噴射ノズル31とが接続ホース32iで接続されて構成される。そのため、上記第1実施形態で用いたチャンバ29、混合部用ジョイント30、接続ホース32g,32jの省略が可能であり、上記第2実施形態に対しては更に、エア分岐ジョイント34、接続ホース32kの省略が可能である。
そして、このような構成としたことで、流路切替弁26、接続ホース32h、貯留部用ジョイント28、接続ホース32c及びチェック弁25等を連通する流路全体がチャンバ(貯留室)として機能し、ウォッシャポンプ13bの駆動に基づく一定量の洗浄液Wsの貯留が行われる。また、この洗浄液Wsが貯留される流路は、弁装置24からの噴射エアCA2も流れるため、貯留部用ジョイント28が混合部用ジョイントとしても機能し、洗浄液Wsと噴射エアCA2とが混合された気液混合流体Xが噴射ノズル31から噴射可能である。つまり、本実施形態では、流路切替弁26、接続ホース32h、貯留部用ジョイント28、接続ホース32c及びチェック弁25等の接続部分が上記第1又は第2実施形態の洗浄液貯留部22bと混合出力部22cとを兼用し、簡略版として構成される。
なお、図24で示した接続態様の第1清掃装置21a(又は第2清掃装置21b)を複数組、例えば図25に示すように4組で構成する場合、流路切替弁26の第1導入側接続部51bに接続する接続ホース32dを一括して1つのウォッシャポンプ13bに接続し、ウォッシャポンプ13bを共通化して構成することもできる。噴射ノズル31から気液混合流体Xを噴射するタイミングはエアポンプ23の駆動タイミングであり、1つのウォッシャポンプ13bの駆動による洗浄液Wsの貯留動作を一括で行うことができるためである。
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態では、上記第1実施形態と同様の効果を得ながらも、上記第1実施形態で用いたチャンバ29、混合部用ジョイント30、接続ホース32g,32jを省略でき、簡素なシステム構成とすることができる。
(2)図25のように複数組の清掃装置21a(,21b)に対して1つのウォッシャポンプ13bから洗浄液Wsを一括供給する接続構成とすることで、簡素なシステム構成とすることができる。
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・噴射エア生成部22a、洗浄液貯留部22b及び混合出力部22cの構成を適宜変更してもよい。
例えば、噴射エア生成部22aにおいて、弁装置24とチェック弁25とを一体的に構成してもよい。また、弁装置24を直列に2個接続し下流側の弁装置24をチェック弁として機能させれば、チェック弁25を省略することもできる。また、弁装置24のダイヤフラム43の弁体43aの他にもう1個弁体を設けて吐出流路48の開口部48aを開閉するようにすれば新たに設ける弁体がチェック弁として機能するため、チェック弁25の省略はもとより、弁装置24も1個で済む。
また、噴射エア生成部22aにおいて、弁装置24を省略し、エアポンプ23の駆動に基づいて生成した圧縮エアCA1を噴射エアCA2として噴射ノズル31からの気液混合流体Xの噴射に直接的に用いてもよい。この構成においても、清掃対象に付着した異物の除去清掃を少量の洗浄液Wsにより向上させることが可能である。また、噴射エアCA2に混合させる洗浄液Wsを洗浄液貯留部22bにて一旦貯留しながら供給するようにしているため、ウォッシャポンプ13bによる直接供給と比べて、清掃に必要な少量の洗浄液Wsを安定して供給することが可能である。
また、洗浄液貯留部22bにおいて、貯留部用ジョイント28をチャンバ29と一体的に、又はチェック弁27と一体的に、又は流路切替弁26と一体的に構成してもよい。また、流路切替弁26とチェック弁27とを一体的に構成してもよい。また、流路切替弁26を1次側の機能部分と2次側の機能部分とを分離した2つの弁等で構成してもよい。
また、混合出力部22cにおいて、噴射ノズル31と混合部用ジョイント30とを一体的に構成してもよい。また、混合部用ジョイント30を噴射エア生成部22aのチェック弁25と一体的に、又は洗浄液貯留部22bの流路切替弁26と一体的に構成してもよい。
また、上記の他、噴射エア生成部22a、洗浄液貯留部22b及び混合出力部22cの構成を適宜変更してもよい。
・ウォッシャポンプ13b及びエアポンプ23の連携制御について、互いの駆動タイミングを適宜変更してもよい。上記実施形態では、ウォッシャポンプ13bを駆動した後、エアポンプ23を駆動させたが、例えばエアポンプ23を駆動している間にウォッシャポンプ13bを駆動させてもよい。なお、この場合であっても、ウォッシャポンプ13bの駆動終了時よりもエアポンプ23を駆動終了時が後とする制御が好ましい。
・測距センサ11,12は、車両10の前端中央部と車両10の後端中央部にそれぞれ配置されているものであったが、車両10の左右側面に配置されているものであってもよい。
・測距センサ11,12(センシング面11a,12a)を清掃対象としたが、これに限らない。例えば車両10の周囲を撮像するカメラ、これら光学センサ以外のセンサ、センサ以外で、例えば図1に示すヘッドライト15、テールランプ16、ミラー17等を清掃対象としてもよい。