JP2021035794A - 姿勢制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】特異点状態でもジンバル追従性を良好にすることができる姿勢制御装置を提供する。【解決手段】複数台の制御モーメントジャイロ(CMG)の各々は、ホイール回転軸を中心にホイールを回転させるホイール制御器16と、ホイールを支持し且つホイール回転軸に対して直交するジンバル回転軸を中心にジンバル機構を回転させるジンバル制御器14と、要求ジンバル角速度に基づきリッカチ方程式の解を算出し、算出された解を線形近似したフィードバック関数を予め設定する線形近似部と、CMGが特定方向の姿勢制御トルクを出力できなくなる特異点又は特異点近傍において、線形近似部で設定されたフィードバック関数によりジンバル制御器のゲインを算出するゲイン算出部13と、ゲイン算出部で算出されたゲインに基づくジンバル機構の回転トルクと、ホイールの回転トルクとに基づき前記姿勢制御トルクを生成する制御トルク生成部18とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、超小型衛星の高速な姿勢制御を行う姿勢制御装置に関する。
従来のこの種の技術として、特許文献1−4に記載された姿勢制御装置が知られている。特許文献1は、4台のコントロールモーメントジャイロ(CMG)を配置した人工衛星用姿勢制御に関し、ジンバル角速度から姿勢制御トルクを出力し、CMGから出力されるトルクの大きさが特異点に近づくに従って小さくなるように制御している。
特許文献2の姿勢変更制御システムは、人工衛星上のシングルジンバルCMGを4台搭載し、CMGの欠点である特異点近傍で大きな出力トルクが得られない点を、異方性重み付け傾斜法で改善している。
特許文献3の人工衛星の姿勢制御装置は、複数台のCMGにより構成され、ジンバル角速度を目標値としてフィードバックループを組むことにより、人工衛星の姿勢制御トルクを発生する。また、目標ジンバル角にフィードバック項を追加することにより、特異点近傍にCMGが停留してしまうことを回避している。
特許文献4のアクチュエータ駆動装置は、複数台のCMGアクチュエータにより、姿勢制御トルクを発生する一方、特異状態に陥った場合には、発生トルクが不足する軸に対してリアクションホイールを併用して姿勢制御トルクを補っている。
特開2009−298345号公報 特開2008−189235号公報 特開2006−240375号公報 特開2013−184537号公報
しかしながら、特許文献1−3においては、特異点状態に陥った場合には、ジンバル角速度指令値が大きくなることがあり、急激な角速度変化や外乱が発生する。その結果、ジンバル追従性が悪化し、制御性能が低下するおそれがある。特許文献4では、特異点状態に陥った場合には、ジンバルにリアクションホイールを併用して姿勢制御トルクを制御していたため、制御が複雑化していた。
本発明の課題は、計算負荷が小さい制御によって特異点状態においてもジンバル追従性を良好にすることができる姿勢制御装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明に係る姿勢制御装置は、複数台の制御モーメントジャイロ(CMG)を備えた姿勢制御装置において、各々のCMGは、ホイール回転軸を中心にホイールを回転させるホイール制御器と、前記ホイールを支持し且つ前記ホイール回転軸に対して直交するジンバル回転軸を中心にジンバル機構を回転させるジンバル制御器と、要求ジンバル角速度に基づきリッカチ方程式(Riccati Equation)解を算出し、算出された解を線形近似したフィードバック関数を予め設定する線形近似部と、CMGが特定方向の姿勢制御トルクを出力できなくなる特異点又は特異点近傍において、前記線形近似部で設定された前記フィードバック関数により前記ジンバル制御器のゲインを算出するゲイン算出部と、前記ゲイン算出部で算出されたゲインに基づく前記ジンバル機構の回転トルクと、前記ホイールの回転トルクとに基づき前記姿勢制御トルクを生成する制御トルク生成部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、線形近似部が、要求ジンバル角速度に基づきリッカチ方程式の解を算出し、算出された解を線形近似したフィードバック関数を予め設定する。CMGが特定方向の姿勢制御トルクを出力できなくなる特異点又は特異点近傍において、ゲイン算出部は、線形近似部で設定されたフィードバック関数によりジンバル制御器のゲインを算出する。制御トルク生成部は、ゲイン算出部で算出されたゲインに基づくジンバルモータの回転トルクと、ホイールモータの回転トルクとに基づき姿勢制御トルクを生成するので、特異点状態においてもジンバル追従性を良好にすることができる。かかる構成によって、計算負荷の小さい制御方式を搭載した姿勢制御装置を搭載することができる。
本発明の第1実施形態に係る姿勢制御装置の構成ブロック図である。 第1実施形態に係る姿勢制御装置のCMG機構部を示す図である。 第1実施形態に係る姿勢制御装置の4つのCMGの配置図である。 第1実施形態に係る姿勢制御装置における積分型最適サーボの要求ジンバル角速度への出力角速度の追従性能を示す図である。 一般的な積分型最適サーボの構成図である。 第1実施形態に係る姿勢制御装置における積分型最適サーボの構成図である。 リッカチ方程式の解構造を示す図である。 リッカチ方程式の解を求める代わりに解を線形近似した場合のブロック構成図である。 リッカチ方程式の解を線形近似しない場合と線形近似した場合の計算量の比較を示す図である。 ホイールの2段階制御時の衛星の姿勢変更を示す図である。 ホイールの2段階制御時のホイール回転数の変化を示す図である。 一般的な特異値指標を示す図である。 第1実施形態に係る姿勢制御装置の特異値指標を示す図である。 ジンバル駆動量の偏り低減制御がない場合の4つのCMGの駆動量を示す図である。 ジンバル駆動量の偏り低減制御がある場合の4つのCMGの駆動量を示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係る姿勢制御装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る姿勢制御装置の構成ブロック図である。姿勢制御装置は、CMGシステム1、衛星構体31、センサ32、姿勢決定部33を備えている。CMGシステム1は、図2に示すCMG機構部を制御するCMGコントローラから構成されている。
図2に示すCMG機構部において、円板状のホイール19は、ホイール回転軸20を中心としてホイール回転軸20の周りをホイールモータ17により回転する。ホイールモータ17は、例えば、ブラシレスDCモータを適用することができる。ブラシレスDCモータを用いることで、モータの回転速度を電流量により制御でき、制御性が改善する。
ホイール回転軸20にはジンバル機構21が接続され、ジンバル機構21は、ホイール回転軸20に直交するジンバル回転軸22を中心としてジンバル回転軸22の周りをジンバルモータ15により回転する。ジンバルモータ15は図示しないフレームに接続され、このフレームは衛星に固定される。ジンバルモータ15は、例えば、エンコーダ付きDCサーボモータを適用することができる。DCサーボモータを用いることで、脱調の心配がなく、ジンバルの角速度を大きくすることができ、出力トルクが大きくなる。
CMG機構部は、ホイール回転軸20の周りを一定角速度で回転するホイール19をジンバル回転軸22の周りに回転させることにより、ホイール回転軸20とジンバル回転軸22とに直交する方向にジャイロトルクを出力する。
図3は、第1実施形態に係る4つのCMGを搭載した姿勢制御装置の配置図である。姿勢制御装置は、衛星構体31の三軸を制御するために4つのCMG1−1〜1−4を配置している。4つのCMG1−1〜1−4は、基台23上の四隅に配置され、ジャイロトルクが互いに異なる方向に発生するように配置されている。また、配置された4つのCMG1−1〜1−4の内側にPCM(Phase Change Material)材料から形成されたPCM部材24を配置している。PCM部材24により各CMG1−1〜1−4の温度上昇を抑制するとともに、伝熱経路として利用する。姿勢制御装置は、4つのCMG1−1〜1−4により衛星構体31の姿勢を制御する。
CMGシステム1は、制御器11、特異点回避部12、ゲイン算出部13、ジンバル制御器14、ジンバルモータ15 ホイール制御器16 ホイールモータ17 制御トルク生成部18を備えている。
制御器11は、姿勢決定部33からのクォータニオン姿勢角速度と要求姿勢角とに基づき要求トルクを生成する。姿勢制御則にはクォータニオンフィードバックを用いる。なお、クォータニオン(四元数)は姿勢表現方法の一種である。そして、クォータニオンフィードバックは姿勢角誤差を表すクォータニオンと衛星角速度にそれぞれ比例ゲイン、微分ゲインをかけて、要求トルクを与えるものである。
また、制御器11は、クォータニオンフィードバック制御により生成した要求トルクに対して、ローパスフィルタにより高域周波数成分を除去することで急激な姿勢への変化を抑制する。
特異点回避部12は、制御器11からの要求トルクに基づきステアリング則により要求ジンバル角速度を求めるとともに、CMGに特有の特異点を回避する。制御器11の要求トルクを実現するためには要求ジンバル角速度を求める必要があり、その逆運動学の式はステアリング則と呼ばれている。ステアリング則には、Bong Wieらの提案するGeneralized SR inverseを用いる。また、ステアリング則により、CMGに特有の特異点を回避することができる。
ゲイン算出部13は、特異点回避部12で得られた要求ジンバル角速度に適した、ジンバル制御器14内に有する積分型コントローラのゲイン(以下、ゲインと称する。)を算出する。
ジンバル制御器14は、積分型コントローラを含む積分型最適サーボを用いる。積分型コントローラは、最適制御の一種であり、積分器を有する。ジンバル制御器14は、ゲイン算出部13で得られた要求ジンバル角速度に適したゲインによりジンバルモータ15を回転制御する。
図4に、積分型最適サーボの要求ジンバル角速度への出力角速度の追従性能を示す。図4に示すように、要求ジンバル角速度に対して出力角速度の良好な追従性能を得ることができる。また、ジンバルモータ15は、急激な正転逆転を繰り返すため、慣性力による外乱が生じると考えられるが、この外乱を積分型最適サーボの積分器により補償することができる。
図5は、一般的な積分型最適サーボの構成図である。CMGが特異点状態にある場合に、ステアリング則によりヌル運動やトルク誤差が生成されるが、その時の要求ジンバル角速度に最適なゲインを設定する必要がある。
図5に示す一般的な積分型最適サーボでは、重み設定部41が各CMGの駆動量の重みを設定する。ゲイン算出部42は、制御開始前に1度だけ要求ジンバル角速度に適したゲインを算出するのみである。
これに対して、第1実施形態の姿勢制御装置では、制御周期毎に、要求ジンバル角速度に最適なゲインを再計算する。第1実施形態では、図6に示すように、重み設定部25、ゲイン算出部13、ジンバル制御器14、ジンバルモータ15がフィードバックループを構成している。
重み設定部25は、4つのCMGの内の駆動量の多いに対して要求ジンバル角速度の重みを増やす処理を行う。この場合、4つのCMGの内の駆動量の平均とそのCMGとの比により重みを調整する。
ゲイン算出部13は、重み設定部25で重みが設定された要求ジンバル角速度に最適なゲインを3×3のリッカチ方程式の解を求めることにより決定する。
この場合、ジンバル制御器14内の積分器の二次形式の評価関数Jを最小化するように制御入力を求める。評価関数Jは以下の式で表される。
Figure 2021035794
Figure 2021035794
は偏差である。
Figure 2021035794
Figure 2021035794
は制御入力である。
Figure 2021035794
は重みである。
評価関数を最小にするために、リッカチ方程式を用いる。リッカチ方程式は、以下の式で表される。
Figure 2021035794

Peは解である。
Figure 2021035794

Figure 2021035794

re+fを0〜10000まで変えたときのリッカチ方程式の解構造を調べる。
図7にリッカチ方程式の解構造を示す。3×3=9個の曲腺は、上記Pの3×3=9個の数値に対応する。リッカチ方程式の解は、計算量が大きく、リアルタイム処理には向かない。
そこで、実施経緯形態では、ゲインを変えていった際のリッカチ方程式の解構造が線形近似、あるいは二次関数で近似できることに着目した。
ここで、上記の解は、以下の式に示すように、y=ar+bにより線形近似(直線近似)できる。
Figure 2021035794
このため、第1実施形態の姿勢制御装置は、図8に示すように、要求ジンバル角速度に基づきリッカチ方程式の解を算出し、算出された解を線形近似したフィードバック関数を予め設定する線形近似部13aを備える。
このため、ゲイン算出部13は、線形近似部13aの線形近似したフィードバック関数を用いてゲインを算出するので、制御周期毎にリッカチ方程式の解を求める必要がなくなる。このため、図9に示すように、線形近似なしの計算時間に比べて、線形近似した場合の計算時間は、約73.3%と大幅に低減することができる。
ホイール制御器16は、要求ホイール角速度に基づきホイールモータ17を回転制御する。制御トルク生成部18は、ジンバルモータ15の回転トルクとホイールモータ17の回転トルクとに基づき制御トルクを生成する。衛星構体31は、飛翔体であり、例えば、人工衛星の構体もしくは運動方程式上の人工衛星全体構成であり、制御トルク生成部18で生成された制御トルクに基づき回転運動する。
センサ32は、衛星構体31の回転運動を検知し、姿勢情報として姿勢決定部33に出力する。センサ32は、外界センサとして太陽センサが用いられ、内界センサとしてジャイロセンサが用いられる。姿勢決定部33は、センサ32からの姿勢情報に基づきクォータニオン姿勢角速度を求め、クォータニオン姿勢角速度を制御器11に出力する。
図10に、ホイール19の2段階制御時の衛星構体31の姿勢変更を示す。図11に、ホイール19の2段階制御時のホイール回転数の変化を示す。
ホイール制御器16は、図10に示すように、衛星構体31を第1の姿勢から第2の姿勢に変更する際に、図11に示すように、衛星構体31の姿勢変更中には、ホイール19の駆動回転数を最大値に設定し、衛星構体31が第2の姿勢の目標値近傍になったときに駆動回転数を最大値から所定の回転数に低下させる。即ち、2段階制御を行うことにより、姿勢制定時のトルク分解能を向上させることができる。
なお、図12に、比較例として一般的な特異値指標を示した。図13に、実施例として第1実施形態に係る姿勢制御装置の特異値指標を示した。図12に示す一般的な特異値指標はほぼゼロであるが、図13に示す第1実施形態の特異値指標はゼロよりも十分に大きい値となる。これにより、特異点状態においてもジンバル追従性を良好にすることができる。
図14に、ジンバル駆動量の偏り低減制御がない場合の4つのCMGの駆動量を示す。図14では、ジンバル駆動量は、CMG1−1,1−3が小さく、CMG1−2,1−4が大きく、ジンバル駆動量の偏りがある。
このため、各々のCMGに設けられた重み設定部25により、ジンバルの総駆動量が多いCMGの重みを増すことにより駆動量の偏り低減制御を行う。これにより、図15に示すように、4つのCMG1−1〜1−4の駆動量の差は、小さくなり、ジンバル駆動量の偏りを低減できる。
このように第1実施形態に係る姿勢制御装置によれば、線形近似部13aが、要求ジンバル角速度に基づきリッカチ方程式の解を算出し、算出された解を線形近似したフィードバック関数を予め設定する。CMGが特定方向の姿勢制御トルクを出力できなくなる特異点又は特異点近傍において、ゲイン算出部13は、線形近似部13aで設定されたフィードバック関数によりジンバル制御器14のゲインを算出する。制御トルク生成部18は、ゲイン算出部13で算出されたゲインに基づくジンバルモータ15の回転トルクと、ホイールモータ17の回転トルクとに基づき姿勢制御トルクを生成するので、特異点状態においてもジンバル追従性を良好にすることができる。
1,1−1〜1−4 CMGシステム
11 制御器
12 特異点回避部
13,42 ゲイン算出部
14 ジンバル制御器
15 ジンバルモータ
16 ホイール制御器
17 ホイールモータ
18 制御トルク生成部
19 ホイール
20 ホイール回転軸
21 ジンバル機構
22 ジンバル回転軸
23 基台
24 PCM部材
25,41 重み設定部
31 衛星構体
32 センサ
33 姿勢決定部

Claims (3)

  1. 飛翔体に搭載され、複数台の制御モーメントジャイロ(CMG)を備えた姿勢制御装置において、
    各々のCMGは、
    ホイール回転軸を中心にホイールを回転させるホイール制御器と、
    前記ホイールを支持し且つ前記ホイール回転軸に対して直交するジンバル回転軸を中心にジンバル機構を回転させるジンバル制御器と、
    要求ジンバル角速度に基づきリッカチ方程式の解を算出し、算出された解を線形近似したフィードバック関数を予め設定する線形近似部と、
    CMGが特定方向の姿勢制御トルクを出力できなくなる特異点又は特異点近傍において、前記線形近似部で設定された前記フィードバック関数により前記ジンバル制御器のゲインを算出するゲイン算出部と、
    前記ゲイン算出部で算出されたゲインに基づく前記ジンバル機構の回転トルクと、前記ホイールの回転トルクとに基づき前記姿勢制御トルクを生成する制御トルク生成部と、
    を備えることを特徴とする姿勢制御装置。
  2. 前記ホイール制御器は、前記飛翔体を第1の姿勢から第2の姿勢に変更する際に、前記飛翔体の姿勢変更中には、前記ホイールの駆動回転数を最大値に設定し、前記飛翔体が前記第2の姿勢の目標値近傍になったときに前記駆動回転数を前記最大値から所定の回転数に低下させることを特徴とする請求項1記載の姿勢制御装置。
  3. 前記飛翔体は、人工衛星であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の姿勢制御装置。

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Title
石川和男,坂本登: ""コントロールモーメントジャイロの最適姿勢制御—中心安定多様体アプローチ—"", 計測自動制御学会論文集, vol. 第50巻,第10号, JPN6023033616, 18 October 2014 (2014-10-18), JP, pages 731 - 738, ISSN: 0005132567 *

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