本発明の第1の態様は、外科用ロボットの一部を覆うための外科用ロボットドレープであって、該外科用ロボットは、少なくとも1つのジョイントを備えた器具と、駆動装置を備えたロボットアームとを含んで構成されており、該駆動装置が、該少なくとも1つのジョイントを選択的に作動させるための機械的駆動を供給するようになっていると共に、該器具と該駆動装置が、該駆動装置からの該機械的駆動を該器具に連結する複数のインターフェースをそれぞれ有しており、前記ドレープは、前記外科用ロボットの前記駆動装置を覆ってその上に無菌境界を画定するカバーと、複数のインターフェースエレメントと、を含んで構成されており、各該インターフェースエレメントは、前記駆動装置の前記インターフェースおよび前記器具の前記インターフェースの両方と係合して、該駆動装置を該器具に連結させることによって該駆動装置から供給された前記機械的駆動を前記ドレープを介して伝達し、該器具の前記少なくとも1つのジョイントを選択的に作動させるようになっていると共に、該複数のインターフェースエレメントが空間的配置により前記カバーに取り付けられることによって、該複数のインターフェースエレメントのそれぞれが該カバーの生地によって他の該複数のインターフェースエレメントのそれぞれに対して分離されていることを特徴とする外科用ロボットドレープである。
前記カバーの前記生地が可撓性とされていることにより、前記複数のインターフェースエレメントのそれぞれが他の該インターフェースエレメントのそれぞれに対して空間的に相対固定されていなくてもよい。
前記カバーの前記生地が可撓性とされていることにより、前記インターフェースエレメントの前記空間的配置が調整可能とされていてもよい。
前記カバーの前記生地が可撓性とされていることにより、前記複数のインターフェースエレメント間で空間的な相対移動が許容されて、それらの前記空間的配置が変わってもよい。
前記インターフェースエレメントの相互に対する前記空間的配置が、前記カバーの構成に依存してもよい。
各前記インターフェースエレメントが、前記駆動装置の前記インターフェースを係合する第1のインターフェース面と、前記器具の前記インターフェースを係合する第2のインターフェース面とを含んで構成されていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントのそれぞれが、前記駆動装置の前記インターフェースおよび前記器具の前記インターフェースと取り外し可能に係合するようになっていてもよい。
各前記インターフェースエレメントについて、該インターフェースエレメントを前記器具の前記インターフェースから取り外すよりも前記駆動装置の前記インターフェースから取り外す方がより大きな力を必要とするように、前記第1のインターフェース面が該駆動装置の該インターフェースの相補的な表面と係合するようになっていると共に、前記第2のインターフェース面が該器具の該インターフェースの相補的な表面と係合するようになっていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つについて、前記第1のインターフェース面が前記駆動装置の前記インターフェースの前記相補的な表面と係合する表面的特徴を含んで構成されていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つについて、前記第2のインターフェース面が前記器具の前記インターフェースの前記相補的な表面と係合する表面的特徴を含んで構成されていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つについて、前記第1のインターフェース面が前記駆動装置の前記インターフェースの前記相補的な表面と係合する前記表面的特徴を含んで構成されていると共に、前記第2のインターフェース面が前記器具の前記インターフェースの前記相補的な表面と係合する前記表面的特徴を含んで構成されていてもよい。
前記第1のインターフェース面の前記表面的特徴が前記駆動装置の前記インターフェースの前記相補的な表面と係合するようになっていることにより、前記ドレープが前記ロボットアームに固定されてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つについて、前記第1のインターフェース面が、前記駆動装置の前記インターフェースの前記相補的な表面と係合する前記表面的特徴としての複数の突起または複数の凹部を含んで構成されていると共に、前記第2のインターフェース面が、前記器具の前記インターフェースの前記相補的な表面と係合する前記表面的特徴としての複数の突起または複数の凹部を含んで構成されていてもよい。
前記少なくとも1つのインターフェースエレメントについて、前記第1のインターフェース面を構成する前記突起または凹部の数が、前記第2のインターフェース面を構成する前記突起または凹部の数よりも大きくされていることにより、該インターフェースエレメントを前記器具の前記インターフェースから取り外すよりも前記駆動装置の前記インターフェースから取り外す方がより大きな力を必要としてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つについて、前記第1のインターフェース面が磁性材料を含んで構成されており、該第1のインターフェース面が、磁気吸引力を介して前記駆動装置の前記インターフェースと係合するようになっていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つについて、前記第2のインターフェース面が磁性材料を含んで構成されており、該第2のインターフェース面が、磁気吸引力を介して前記器具の前記インターフェースと係合するようになっていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つについて、前記第1のインターフェース面が磁性材料を含んで構成されており、該第1のインターフェース面が、磁気吸引力を介して前記駆動装置の前記インターフェースと係合するようになっていると共に、前記第2のインターフェース面が磁性材料を含んで構成されており、該第2のインターフェース面が、磁気吸引力を介して前記器具の前記インターフェースと係合するようになっており、該第1および第2のインターフェース面について、該第2のインターフェース面が該器具の該インターフェースと係合する磁気吸引力よりも強い磁気吸引力を介して該第1のインターフェース面が該駆動装置の該インターフェースと係合するようになっていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つについて、前記第1のインターフェース面が、前記駆動装置の前記インターフェースの一部を形成するラグを収容するガイドスロットを含んで構成されていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つについて、前記第2のインターフェース面が、前記器具の前記インターフェースの一部を形成するラグを収容するガイドスロットを含んで構成されていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つについて、前記第1および第2のインターフェース面が周囲の前記カバーの前記生地に対して相対回転可能とされて、回転駆動を前記駆動装置から前記器具に伝達することによって該器具の少なくとも1つの前記ジョイントを選択的に作動させるようになっており、該少なくとも1つのインターフェースエレメントについて、該第1のインターフェース面の回転が該第2のインターフェース面の回転と連結されるようになっていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つが、前記駆動装置の前記インターフェースと前記器具の前記インターフェースを係合して該駆動装置の線形駆動を該器具に伝達することによって該器具の少なくとも1つの前記ジョイントを選択的に作動させるようになっていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントの少なくとも1つについて、(i)前記第1および第2のインターフェース面が周囲の前記カバーの前記生地に対して相対回転可能とされて、回転駆動を前記駆動装置から前記器具に伝達することによって該器具の第1の前記ジョイントを作動させるようになっており、前記少なくとも1つのインターフェースエレメントについて、該第1のインターフェース面の回転が該第2のインターフェース面の回転と連結されるようになっていると共に、(ii)前記駆動装置の前記インターフェースと前記器具の前記インターフェースを係合して線形駆動を該駆動装置から該器具に伝達することによって該器具の第2の前記ジョイントを作動させるようになっていてもよい。
各前記インターフェースエレメントが前記カバーに直接装着されていてもよい。
各前記インターフェースエレメントが前記カバーの前記生地によって所定位置に保持されていてもよい。
各前記インターフェースエレメントが前記カバーに押し嵌めされることによって、該インターフェースエレメントが該カバーに取り付けられていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントが、前記インターフェースエレメントの第1のサブセットであって、各該インターフェースエレメントが、前記駆動装置の前記インターフェースと前記器具の前記インターフェースを係合することによって機械的駆動を前記ドレープを介して伝達し、該器具の第1の前記ジョイントを作動させるようになっている第1のサブセットと、前記インターフェースエレメントの第2のサブセットであって、各該インターフェースエレメントが、前記駆動装置の前記インターフェースと前記器具の前記インターフェースを係合することによって機械的駆動を前記ドレープを介して伝達し、該器具の第2の前記ジョイントを作動させるようになっている第2のサブセットとを含んで構成されていてもよい。
前記複数のインターフェースエレメントが、該インターフェースエレメントの第3のサブセットを含んで構成されており、各該インターフェースエレメントが、前記駆動装置の前記インターフェースと前記器具の前記インターフェースを係合することによって機械的駆動を前記ドレープを介して伝達し、該器具の第3の前記ジョイントを作動させるようになっていてもよい。
前記ドレープが、前記カバーからそれぞれ形成された第1,第2および第3のポケットを含んで構成されており、各該ポケットが、前記器具の近位部分から突出するそれぞれ対応するラグを収容するようになっていると共に、前記ドレープについて、前記インターフェースエレメントの第1のサブセットが該第1のポケットに取り付けられて、前記インターフェースエレメントの第2のサブセットが該第2のポケットに取り付けられて、さらに前記インターフェースエレメントの第3のサブセットが該第3のポケットに取り付けられるようになっていてもよい。
前記インターフェースエレメントの第1のサブセットが、第1のラグに配置されたそれぞれ対応する前記器具の前記インターフェースと係合するようになっており、前記インターフェースエレメントの第2のサブセットが、第2のラグに配置されたそれぞれ対応する前記器具の前記インターフェースと係合するようになっていると共に、前記インターフェースエレメントの第3のサブセットが、第3のラグに配置されたそれぞれ対応する前記器具の前記インターフェースと係合するようになっていてもよい。
前記ドレープが、前記カバーから形成されたポケットを含んで構成されており、該ポケットが、前記器具の近位部分から突出するラグを収容するようになっていると共に、該ポケットには少なくとも1つの前記インターフェースエレメントが取り付けられており、該インターフェースエレメントが、前記駆動装置の前記インターフェースと、該ラグに配置された前記器具の前記インターフェースを係合することにより、機械的駆動を該ドレープを介して伝達し、該器具の第1の前記ジョイントを作動させるようになっていてもよい。
前記ドレープが、前記カバーからそれぞれ形成された第1,第2および第3のポケットを含んで構成されており、各該ポケットが、前記器具の近位部分から突出するそれぞれ対応するラグを収容するようになっていると共に、各ポケットには少なくとも1つの前記インターフェースエレメントが取り付けられており、該インターフェースエレメントが、前記駆動装置の前記インターフェースと、それぞれ対応する該ラグに配置された前記器具の前記インターフェースを係合することにより、該器具のそれぞれ対応する前記ジョイントを作動させるようになっていてもよい。
本発明の第2の態様は、ロボット手術を行うための外科用ロボットシステムであって、少なくとも1つのジョイントを備えた器具と、駆動装置を備えたロボットアームとを含んで構成された外科用ロボットであって、該駆動装置が、該少なくとも1つのジョイントを選択的に作動させるための機械的駆動を供給するようになっていると共に、該器具と該駆動装置が、該駆動装置からの該機械的駆動を該器具に連結する複数のインターフェースをそれぞれ有している外科用ロボットと、外科用ロボットドレープであって、前記外科用ロボットの前記駆動装置を覆ってその上に無菌境界を画定するカバーと、複数のインターフェースエレメントと、を含んで構成されており、各該インターフェースエレメントは、該駆動装置の前記インターフェースおよび前記器具の前記インターフェースの両方と係合して、該駆動装置を該器具に連結させることによって該駆動装置から供給された前記機械的駆動を該ドレープを介して伝達し、該器具の前記少なくとも1つのジョイントを選択的に作動させると共に、該複数のインターフェースエレメントが空間的配置により該カバーに取り付けられることによって、該複数のインターフェースエレメントのそれぞれが該カバーの生地によって他の該複数のインターフェースエレメントのそれぞれに対して分離されている外科用ロボットドレープと、を含んで構成されている外科用ロボットシステムである。
以下、本発明を、添付図面を参照しつつ説明する。
図2に、手術を行うための外科用ロボット200の一実施例を示す。ロボット200は、ベース201と、ロボットアーム203と、外科用器具205とを含んで構成されている。ロボットアーム203は、その近位端がベース201に取り付けられている。外科用器具205は、ロボットアーム203の遠位端に取り外し可能に取り付けられている。ベース201は、使用中、ロボット200を適切なアンカーポイントに固定するために利用されてもよい。例えば、ベース201を利用してロボット200を手術室の床や天井に固定してもよい。ロボットアーム203は、全体を207で示された複数のジョイントを備えていてもよい。ロボットアーム203は、複数のジョイントによって、外科的処置を行うオペレータの制御下で、様々な位置や向きへ移動することができる。
外科用ドレープ225は、ロボットアーム203を包むもしくは覆うことによりその上に無菌境界を画定するカバー227を含んで構成されている。カバー227は、可撓性を有していてもよく、それによって、異なる大きさや形状を有する様々なロボットアームの使用に適するようにある程度のコンプライアンスを許容することができる。カバー227は、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の素材で形成され得る。外科用ドレープ225は、ロボット手術中に無菌環境を画成するために使用される。ドレープ外部の環境(外科用器具205を含む)は、外科的処置中は滅菌されることが好ましい。ロボットアーム203は、その大きさや、滅菌に耐性のないモータや駆動装置のような部品を含んでいることが原因で、滅菌することが困難であり、非現実的であることが多い。従って、ドレープ225は、ロボットアーム203を包み、滅菌された外科的環境を維持するために使用される。
外科用器具205は、ロボットアーム203に取り外し可能に接続されていてもよい。これにより、外科用器具205をアーム203から取り外すことができ、外科的処置の合間に滅菌や交換を行うことが可能となる。また、技術者や外科医のようなスタッフが外科的処置中に外科用器具205を交換することもできる。以下でより詳細に説明するとおり、外科用器具205は、無菌境界を維持することができるように、ドレープ225を介してロボットアーム203に接続される。
外科用器具205は、その近位端がロボットアーム203に取り付けられたシャフト209と、シャフト209の遠位端に取り付けられたリスト部材211を含んで構成されている。リスト部材211の他端はエンドエフェクタ213に取り付けられている。リスト部材211は、ジョイント215によってシャフト209に取り付けられており、それによってリスト部材211はシャフト209(ピッチジョイント)の長手方向に対してほぼ横方向となる軸A−A’を中心として、シャフト209に対して旋回可能とされている。外科用器具205は、リスト部材211がさらにジョイント215の軸とシャフト209の長手方向の両方に対して横方向となる第2の軸を中心として旋回し、シャフト209の長手方向に沿って位置する第3の軸を中心に回転するように構成されていてもよい。従って、リスト部材211は3自由度を有していてもよい。エンドエフェクタ213は、それぞれジョイント217,219でリスト部材211に取り付けられた一対のグリップ部221,223を備えており、それによって各顎部がリスト部材211の長手方向に対してほぼ横方向となる軸を中心として、リスト部材211に対して独立して旋回可能とされている。
ここに示される関節は、あくまでも例示であって、外科用器具205は任意の数のジョイントを含んで構成されてもよいことが理解されるべきである。1つ以上のジョイントは、ピッチジョイント、ロールジョイント(外科用器具の長さに略沿った軸を中心とした回転)、またはそれらを組み合わせたものを含んで構成されていてもよい。さらに、エンドエフェクタ213は、一対のグリップ部221,223を備えている必要はなく、代わりにブレードや焼灼器等の外科用器具を備えていてもよい。
ロボットアーム203は、外科用器具のジョイントを選択的に作動させる(例えば、リスト部材211および/またはエンドエフェクタ213のグリップ部221,223を旋回させる)ための駆動装置229を含んで構成されている。駆動装置229は、これらのジョイントを機械的に駆動するようになっていてもよい。駆動装置229は、ロボットアーム203内に収容されてもよい。これにより、外科用器具のコストおよび大きさを低減できるため望ましい。これは、外科用器具が使い捨てである場合に特に重要となり得る。駆動装置229は、直線および/または回転運動を発生させる1つ以上のモータまたはサーボ機構によって動力を供給されてもよい。駆動装置229は、各器具ジョイントを互いに個々に独立して作動させることが可能とされていてもよい。要するに、駆動装置229は、ジョイントを選択的に作動させることができる。駆動装置229は、同時に複数のジョイントを作動させることが可能とされていてもよい。
図3に、器具ジョイントがロボットアーム203の駆動装置229によって駆動される1つの方法を例示する。図3は、リスト部材211と器具シャフト209の間の関節を示している。シャフト209の遠位端は2つの対向するアーム301a,301bを含んで構成されており、アーム301a,301bはシャフト209の本体と協働してクレビス303を形成する。ロッドまたは車軸305は、シャフト209を横切ってその長手方向とほぼ直交する方向に向かって横方向に延び、両アーム301a,301bを通過している。ロッド305は破線A−A’で示されたジョイント215の軸を構成している。ロッド305にはプーリー307が取り付けられている。プーリー307はロッド305に固定的に取り付けられていてもよいし、ロッド305と一体とされていてもよく、それによってロッド305とプーリー307が軸A−A’を中心として一緒に回転する。この場合、ロッド305はクレビス303に対する相対回転が許容されるようにベアリング上でクレビス303に取り付けられていてもよい。あるいは、ロッド305がクレビス303に固定的に取り付けられて、プーリー307とロッド305の相対回転が許容されるように、プーリー307がロッド305に取り付けられていてもよい。プーリー307には、一対の第2の対向するアーム309a,309bが強固に取り付けられており、アーム309a,309bはリスト部材211の一部を形成する。なお、分かりやすさのために、リスト部材211およびエンドエフェクタ213の残りの部分は図面から省略されている。リスト部材211は、例えば、ハウジングを備えていてもよいし、対向するアーム309a,309bに固定可能なケーシングを備えていてもよい。
ケーブルまたは駆動ベルト311は、プーリー307に掛け渡されているか、巻き付けられている。即ち、ケーブル311はプーリー307に接触しており、その周囲の一部に沿って延びている。ケーブル311は、プーリー307に対する横方向の動きを低減するために、プーリー307の溝内に配置されていてもよい。ケーブル311をプーリー307に巻き付けることにより、2本のケーブルセグメント313a,313bが形成される。ケーブルセグメント313a,313bは、プーリー307の対向側面からシャフト209の近位端に向かってそれぞれ延びている。
ジョイント215を作動させてリスト部材211を外科用器具に対して旋回させるには、プーリー307のセグメント313a,313bが往復運動を行う。例えば、セグメント313aがシャフト209の近位端に向かって下方に引かれる場合(矢印D1で示す)、リスト部材211は軸A−A’を中心として矢印P1の方向に旋回する。もしくは、セグメント313bがシャフト209の近位端に向かって下方に引かれる場合(矢印D2で示す)、リスト部材211は軸A−A’を中心としてP1とは逆方向の矢印P2の方向に旋回する。
なお、図3ではリストジョイント215のみが示されているが、外科用器具の他のジョイント(例えば、ジョイント217,219)が類似の方法で駆動可能であることが理解されるべきである。各器具ジョイントは、それぞれのプーリーで駆動されてもよい。各プーリーはそれぞれケーブルを有していてもよい。従って、外科用器具は、各ジョイントを作動させるために個別のケーブルを有していてもよい。例えば、1つのリストジョイントと2つの別々に制御可能なエンドエフェクタを備えた外科用器具は、3つのプーリーと3本のケーブルを含んで構成されていてもよい。
プーリー307に巻き付けられた1本のケーブル311の代わりに、プーリー307の対向側面にそれぞれ固定された2本の別個のケーブルを使用してもよい。この場合、2本のケーブルセグメント313a,313bは2本の異なるケーブルに相当する。従って、この構成では、各ジョイントが1つのプーリーと一対のケーブルによって駆動され、それによって、外科用器具は各ジョイントに対して一対の駆動ケーブルを備えることになってもよい。
駆動装置は、外科用器具内の適切なケーブルを往復運動させることにより、外科用器具の選択されたジョイントを作動させるように動作する。駆動装置は、外科用器具内で適切なプーリーを駆動することによって、選択された1つのジョイントまたは選択された複数のジョイントを作動させるようになっていてもよい。駆動装置と外科用器具は、外科用ドレープ225によって分離されていることから、駆動装置によって生成された機械的駆動は、ドレープを介して外科用器具に連結、または接続される必要がある。図4に、駆動装置がドレープを介して外科用器具に連結され得る1つの方法の実施例を示す。
図4は、全体を401で示した駆動装置と、全体を403で示した外科用器具であり、共に破線の印で示されるように、断面図で示されている。なお、分かりやすさのために、外科用器具403のハウジングまたは外側ケースは図面から省略されている。駆動装置401は、図2に示されるロボットアーム203のような、図示しないロボットアーム内に収容されている。
外科用器具403と駆動装置401は、駆動装置401を包んでその上に無菌境界を画定する外科用ドレープ407によって分離されている。外科用器具403は、ラグ409と、駆動ケーブル415によって駆動されるプーリー411,413を含んで構成されている。駆動ケーブル415は、ラグ409に固定的に取り付けられており、それによってラグ409の動作が駆動ケーブル415の対応する動作を引き起こすようになっている。ラグ409は、外科用器具403の近位端に配置されていてもよく、それによって、外科用器具403がロボットアームに接続可能となる。プーリー411,413は、例えば、外科用器具403のシャフト内に収容されていてもよい。外科用器具403は、さらにプーリー417を備えている。プーリー417は、外科用器具の別の異なるセグメント、例えばリスト内に収容されてもよい。プーリー411が器具シャフトの近位端に配置され、プーリー413がその遠位端に配置されて器具ジョイントを構成するようになっていてもよい。プーリー413は、例えば、図3に示されたプーリー307に相当し得る。従って、プーリー413は、外科用器具403のリストジョイントを構成してもよい。外科用器具403は、さらに、リストの遠位端に取り付けられた図示しないエンドエフェクタを含んでいてもよい。
外科用器具403は、さらなる器具ジョイントを作動させるための追加のプーリーおよびケーブルを含んで構成されていてもよい。本図では、説明のために、1つのジョイントのみが示されている。外科用器具403は、さらに、減速機等を備えていてもよい。
駆動装置401は、外科用器具のラグ409を収容する構成されたソケット419を含んで構成されている。ソケット419は、キャリッジ421の一部を形成する。キャリッジ421は支持ベース423に固定されており、支持ベース423には、穴425が貫通形成されている。駆動装置401は、さらに、矢印427で示されるように、キャリッジ421を二方向に直線的に変位させるためのリニアアクチュエータを含んで構成されている。本実施例では、リニアアクチュエータは、モータ431によって動力を供給されるリードスクリュー429を備えている。リードスクリュー429のねじ山は、穴425内の対応するねじ山と係合して、リードスクリュー429が回転することにより、支持ベース423、ひいてはキャリッジ421が直線運動するようになっている。従って、支持ベース423は、リードスクリュー429のナットとして機能する。リードスクリュー429の回転は、モータ431によって制御されてもよい。
ドレープ407は、カバー433と、複数のインターフェースエレメント435,437を含んで構成されている。本実施例では、ドレープ407は2つのインターフェースエレメントを備えている。インターフェースエレメント435,437は、空間的に配置されてカバー433に固定されており、それによって各インターフェースエレメントはカバー433の生地によって互いに空間的に分離されている。要するに、複数のインターフェースエレメントが共通のプラスチック板によって保持されるのではなく、各インターフェースエレメントがカバー433の生地によって所定の位置に保持される、もしくは固定される。
ドレープ407のインターフェースエレメント435,437は、駆動装置のインターフェースと外科用器具のインターフェースの両方と係合するようになっている。各インターフェースエレメント435,437は、駆動装置のインターフェースを係合する第1のインターフェース面と、外科用器具のインターフェースを係合する第2のインターフェース面を含んで構成されてもよい。第1および第2のインターフェース面は、対向する面であってもよいし、カバー433の対向する側面上にあってもよい。駆動装置のインターフェースは、ドレープ407が駆動装置401に固定された際に、駆動装置401においてインターフェースエレメント435,437に面する部分とされている。本実施例では、駆動装置のインターフェースは、ソケット419の内部の対向面439,441とされている。同様に、外科用器具のインターフェースは、外科用器具403がドレープ407を介して駆動装置401に連結された際に、外科用器具403においてインターフェースエレメント435,437に面する部分とされている。本実施例では、外科用器具のインターフェースは、ラグ409の2つのサブセクション443,445とされている。
あるいは、駆動装置のインターフェースおよび/または外科用器具のインターフェースは、インターフェースエレメントと係合する特定の部品(例えば、スタッド)であってもよい。第1のインターフェース面が、駆動装置のインターフェースの相補的な表面と係合するようになっていてもよいし、第2のインターフェース面が、外科用器具のインターフェースの相補的な表面と係合するようになっていてもよい。これにより、確実な係合が容易になる。本実施例では、外科用器具のインターフェースは相補的な表面を有しておらず、インターフェースエレメント435,437と面しているのはラグ409の外面の両側部分である。以下に、インターフェースエレメントの様々な実施例をより詳細に説明する。
駆動装置401と外科用器具403の両方のインターフェースと係合することにより、インターフェースエレメントは、駆動装置401を、ドレープ407を介して外科用器具403に連結することができる。これにより、駆動装置401によって供給された機械的駆動が、ドレープ407を介して外科用器具403に伝達され、外科用器具403の1つ以上のジョイントを作動させることが可能になる。例えば、リードスクリュー429が回転することにより、キャリッジ421は矢印L1で示した直線方向に移動してもよい。この直線運動がキャリッジ421からドレープ407のインターフェースエレメントを介して外科用器具のインターフェースに伝達され、それによってラグ409の対応する動作を引き起こすようになっている。ラグ409のこの動作により、駆動ケーブル415とプーリー411,413を反時計回り方向に駆動する。プーリー413をこの方向に駆動することにより、外科用器具403のジョイントを駆動し、リストがシャフトに対してP1の方向に相対旋回する。同様に、リードスクリュー429が回転してキャリッジ421をL2の方向に駆動すると、リストがP2の方向に旋回する。
インターフェースエレメントは、カバー433に対する補強エレメントまたは補強構造として機能する。これには利点がある。なぜなら、駆動装置401の動作によりドレープ407は場合によっては大きく変位させられたり、剪断力を受けたりして、インターフェースエレメントがなければカバー433の生地を損傷する可能性があるからである。しかし、駆動装置401は外科用器具403にインターフェースエレメントを介して連結されているため、駆動力はインターフェースエレメントを介して伝達され、カバー433の損傷を防止することができる。カバー433の損傷や破断を防止することは、外科的処置中の無菌バリアを維持するのに役立つため、特に重要となり得る。
カバー433の生地は、適度に可撓性を有していてもよいし、または変形可能とされていてもよい。カバー433は、ある程度の弾性を有していてもよい。生地は、例えば、ポリエチレンであってもよい。ドレープ407の各インターフェースエレメント435,437は、カバー433の生地によって互いに空間的に分離されていることから、カバー433のある一定量の可撓性、コンプライアンスもしくは変形性を許容することにより、エレメントの相対的、空間的配置が調整可能とされる。要するに、各インターフェースエレメントは、他のインターフェースエレメントのそれぞれに対して空間的に固定されていない。インターフェースエレメントの空間的配置それ自体が、カバー433の構成または配置に依存していてもよい。
例えば、ドレープ407を駆動装置のインターフェースに固定した状態でカバー433を広げたり、折り畳んだり、ねじったりした場合、インターフェースエレメントは互いに空間的に相対移動し、それらの空間的配置が変わる可能性がある。別の実施例として、インターフェースエレメントは、ドレープ407が平面状に配置された場合の第1の空間的配置と、ドレープ407が折り畳まれた、または平面状配置が何らかの形に変形した場合の第2の別の空間的配置を有していてもよい。これにより、ドレープ407を様々な異なるロボットアームおよび外科用器具に装着することができるため有利である。例えば、各タイプの外科用ロボットアームは、異なる駆動装置を有する可能性があり、そのために、駆動装置および外科用器具のインターフェースの配置または構成も多様となり得る。しかし、ドレープのインターフェースエレメントの空間的配置が可変であることから、ドレープは様々な異なる駆動装置を覆うよう操作することができる。これは、インターフェースエレメントが剛性のあるプラスチック板で保持される従来技術のシステムでは不可能である場合がある。
別の実施例においては、外科用器具は、近位端に配置された複数のラグを含んで構成されていてもよい。外科用器具は、例えば、3つのラグを含んでいてもよい。各ラグは、それぞれ器具ジョイントに機械的に連結されていてもよい。ラグは、駆動装置によって選択的に駆動することができ、それによって器具ジョイントを選択的に作動させることができる。ドレープは、これらの各ラグに配置された器具インターフェースを係合するインターフェースエレメントを含んで構成されていてもよい。
ドレープ407がロボットアームにどのように固定され得るかの実施例について説明する。外科用ロボットが処置のために準備される際、外科用器具はロボットアームから取り外される。次に、ドレープ407がロボットアーム上に配置されて駆動装置401を含むアームを覆う。ドレープ407は、ドレープ407のインターフェースエレメントを駆動装置のインターフェースに係合させることによって、ロボットアームの所定位置に装着される。インターフェースエレメントは、例えば、スナップ嵌合、押し嵌め、もしくは差し込みによって所定位置に装着されてもよく、それによって、インターフェースエレメントが駆動装置のインターフェースに固定される。ドレープ407がロボットアーム上の所定位置に装着されると、外科用器具が駆動装置に連結されて外科用器具がロボットアームに相対固定される。外科用器具は、ドレープ407のインターフェースエレメントを器具インターフェースに係合させることによって所定位置に装着される。本実施例では、器具のラグを駆動装置のソケット内に配置することもこれに含まれる。インターフェースエレメントは、器具インターフェースを固定的に係合するようになっていてもよい。従って、インターフェースエレメントは、駆動を外科用器具に伝達することに加えて、ドレープ407をロボットアームに固定するように作動することもできる。これにより、ドレープ407をロボットアームに固定するための別個のプレートをドレープ内に設けることなくドレープ407をロボットアームに固定することが可能となり、ドレープ407の部品点数を削減することができるので有利である。例えば、各インターフェースエレメントが突起を含んで構成されており、器具インターフェースに配置された各スロットに嵌め入れられるようになっていてもよい。
インターフェースエレメントは、外科用器具と駆動装置を取り外し可能に係合するように適切に構成されていてもよく、それによって、ドレープを外科用器具とロボットアームとの両方から取り外すことができる。インターフェースエレメントは、駆動装置のインターフェースおよび外科用器具のインターフェースからそれぞれ独立して取り外せるようになっていてもよい。例えば、外科的処置中に外科用器具を交換することが望ましい場合がある。この場合、ドレープをロボットアームに取り付けたまま、外科用器具をドレープから取り外すことができる。処置終了時には、ドレープも取り外すことができ、廃棄または再滅菌することが可能となる。以下に、外科用器具および駆動装置との係合を可能にするインターフェースエレメントの特徴を、より詳細に説明する。
図5に、平面状に配置された外科用ドレープ501の実施例を示す。外科用ドレープ501は、カバー503と、複数のインターフェースエレメント505を含んで構成されている。各インターフェースエレメント505は、駆動装置のインターフェースおよび外科用器具のインターフェースの両方と係合するようになっており、駆動装置によって供給される機械的駆動を、外科用ドレープ501を介して外科用器具に伝達させて、外科用器具の少なくとも1つのジョイントを作動させる。
インターフェースエレメント505は、空間的配置によりカバー503に固定されており、それによって、各インターフェースエレメント505が他のインターフェースエレメントのそれぞれに対してカバー503の生地によって空間的に分離されている。上述したように、カバー503は、インターフェースエレメント505が互いに空間的に固定されないように、可撓性を有していてもよいし、変形可能とされていてもよいし、または柔軟性があってもよい。図示されたインターフェースエレメント505は、単一の外科用器具と連結する単一のロボットアームの1つ以上の駆動装置のインターフェースと係合するためのものである。即ち、カバー503の生地によって空間的に分離されたインターフェースエレメント505は、駆動装置および外科用器具のインターフェースと係合し、1つのロボットアームの駆動装置を1つの外科用器具に連結するようになっている。これにより、駆動装置からの動作を伝達し、外科用器具の1つ以上のジョイントを作動させる。「1つの外科用器具」とは、ドレープ501が様々な異なる外科用器具と共に使用できないということではなく、むしろ、(インターフェースエレメントのセットが複数のロボットアームを複数の外科用器具に同時に連結するのに使用されるのとは対照的に)インターフェースエレメントのセットがロボットアームと外科用器具との間の1対1の連結に使用されるということである。しかしながら、ドレープ501は、インターフェースエレメントの複数のセットを含んで構成されていてもよく、各セットは、1つのロボットアームを1つの外科用器具に連結するのに使用される。このようなドレープは、複数のロボットアームを備えた外科用ロボットと共に使用するのに適している場合がある。
ドレープ501は、駆動装置と、3つのジョイントを備えた外科用器具の間の動作を連結するのに適している場合がある。例えば、複数のインターフェースエレメント505が、(505a,505b,505cで示された)エレメントの3つのサブセットを含んで構成されると考えてもよい。各サブセットが駆動装置および外科用器具のインターフェースと係合し、駆動装置を外科用器具に連結することにより、駆動装置の動作を伝達して、外科用器具の対応する各ジョイントを作動させるようになっていてもよい。この場合、サブセット505aを使用して第1の器具ジョイントを作動させるための動作を伝達し、サブセット505bを使用して第2の器具ジョイントを作動させるための動作を伝達し、そしてサブセット505cを使用して第3の器具ジョイントを作動させるための動作を伝達してもよい。図4を参照すると、例えば、インターフェースエレメントの各サブセットが対応する各外科用器具のラグと係合するようになっていてもよい。もちろん、これはあくまでも例示であって、ドレープ501は、駆動装置から外科用器具に動作を伝達して任意の適切な数のジョイントを作動させるために、任意の適切な数のインターフェースエレメントを含んで構成されていてもよい。
インターフェースエレメントは、ドレープ501の製造工程において、カバー503に対して接着されたり、固定されたり、取り付けられたり、もしくは装着されたりしてもよい。インターフェースエレメントは、例えば、カバー503の生地に対して接着されたり、熱形成されたり、もしくはクリップ留めされたりしてもよい。インターフェースエレメントは、カバー503が熱硬化される前に、カバー503に対して押し込まれたり、もしくはクリップ留めされたりしてもよい。
インターフェースエレメントは、スタッドの形態であってもよい。スタッドは、様々な形態をとることができ、例えば、円盤、ボタン、またはプレートであってもよい。スタッドは、金属製であってもよいし、もしくはPVC、ポリプロピレン、アクリル等の適切な硬質プラスチックで形成されていてもよい。図6に、インターフェースエレメントの様々な実施例を示す。
図6には、様々なインターフェースエレメント601,603,605,607,609,611が示されている。各インターフェースエレメントは、その周囲を囲む一定領域のカバーの生地613に保持された状態で図示されている。各インターフェースエレメントは、第1のインターフェース面(それぞれ615,617,619,621,623,625で示す)と、第2のインターフェース面(インターフェースエレメント609,611のみ、それぞれ627,629で示す)を含んで構成されている。第1のインターフェース面は駆動装置のインターフェースと外科用器具のインターフェースの一方と係合するためのものであり、第2のインターフェース面は、駆動装置および外科用器具のインターフェースの他方と係合するためのものである。
インターフェースエレメントは、例えば、図4に示すように、駆動装置および外科用器具のインターフェースと係合して、ドレープを介して直線運動を伝達するようになっていてもよい。そのため、インターフェースエレメントは、カバーの生地613によって所定位置に固定的に保持されていてもよい。即ち、インターフェースエレメントは、例えば、上述した方法の1つを使用して、カバーの生地613に固定的に取り付けられたり、装着されたりしてもよい。このようなインターフェースエレメントの例が601で示されているものである。インターフェースエレメント601は単純なプラスチックスタッド、もしくは円盤の形態であってもよい。このインターフェースエレメント601は製造が比較的簡単で安価であるという利点を有する。
あるいは、インターフェースエレメントは、駆動装置および外科用器具のインターフェースと係合して、ドレープを介して回転運動を伝達するようになっていてもよい。この場合、駆動装置および外科用器具のインターフェースは、スプールやキャプスタン等の回転エレメントの形態であってもよい。駆動装置のインターフェースは、モータ等の回転アクチュエータによって駆動されてもよい。外科用器具のスプールは、プーリー413,307のようなプーリーを駆動する駆動ケーブルに取り付けられていてもよい。外科用器具のスプールが回転すると、駆動ケーブルの動作を介してプーリーが回転し、外科用器具のジョイントを作動させる。インターフェースエレメントは、第1および第2のインターフェース面が、周囲のカバーの生地613に対して相対回転するように構成されていてもよい。また、インターフェースエレメントは、一方のインターフェース面が回転すると他方のインターフェース面がそれに対応して回転するようになっていてもよい。
作動において、駆動装置は、1つ以上の駆動装置のインターフェースを回転させてもよい。この回転により、係合された各インターフェースエレメントのインターフェース面も回転する。インターフェース面の回転は、係合された外科用器具のインターフェースに伝達され、それによって外科用器具のインターフェースも回転する。このようにして、駆動装置の回転運動をドレープを通して外科用器具に伝達することができる。
回転するインターフェースエレメントの実施例は、全体を609および611で示されているものである。インターフェースエレメント609は、第1および第2のインターフェース面623,627を含んで構成されている。各インターフェース面623,627は、取付板633を貫通して延びる車軸631に装着されている。車軸631は、取付板633に回転可能に固定されており、それらの相対回転を許容するようになっている。取付板633は、カバーの生地613に固定されるか、保持されている。従って、一方のインターフェース面が回転することにより、他方のインターフェース面がそれに対応して回転する。
回転するインターフェースエレメントの別の実施例が611で示されている。インターフェースエレメント611は、ドラム635の一部を形成する第1および第2のインターフェース面625,629を含んで構成されている。ドラム635は、外側ケースまたはフレーム637内に回転可能に装着されている。外側ケース637は、カバーの生地613に固定されるか、保持されている。
また、インターフェースエレメントは、直線運動および回転運動の両方を駆動装置から外科用器具に伝達するように、適切に構成されていてもよい。従って、インターフェースエレメントは、駆動装置および外科用器具のインターフェースと係合した時に、第1および第2のインターフェース面が周囲のカバーの生地613に対して相対回転して、回転駆動を外科用器具に伝達し、また、その係合を利用して駆動装置からの線形駆動をも伝達するようになっていてもよい。インターフェースエレメントは、回転駆動を伝達して第1の器具ジョイントを作動させるとともに、線形駆動を伝達して第2の器具ジョイントを作動させるようになっていてもよい。このようにして、1つのインターフェースエレメントが、動作を伝達して2つのジョイントを作動させることが可能とされていてもよい。
この場合、駆動装置は、リニアアクチュエータと回転アクチュエータの両方を含んで構成されていてもよい。リニアアクチュエータは、例えば図4を参照して説明したように、インターフェースエレメントを介して直線運動を伝達するようになっていてもよい。この直線運動が外科用器具内のケーブルを駆動して、次にプーリーを駆動して器具ジョイントの1つを作動させる。回転アクチュエータは、インターフェースエレメントのインターフェース面を回転させるようになっていてもよい。これにより、外科用器具のインターフェースの対応する回転が生じ、第2のケーブルを駆動して、次に第2の器具ジョイントを作動させる。従って、外科用器具のインターフェースは、直線運動と回転運動の両方を行うようになっている。直線運動は外科用器具内の第1のケーブルとプーリーを駆動し(これにより第1のジョイントが作動する)、回転運動は外科用器具内の第2のケーブルとプーリーを駆動する(これにより第2のジョイントが作動する)。外科用器具のインターフェースは、直線運動可能なラグに回転可能に取り付けられたスプールまたはキャプスタンの形態をとることができる。駆動装置のインターフェースは、リニアアクチュエータによって駆動されるキャリッジに回転可能に取り付けられたスプールまたはキャプスタンの形態をとることができる。
直線運動および回転運動の両方を伝達するようにインターフェースエレメントを構成することは、ドレープのカバーに固定されるのに必要なインターフェースエレメントの数を削減できる可能性があるため、有利である。これは、単一のインターフェースエレメントを介して複数のケーブル(ひいては複数の器具ジョイント)を駆動できる場合があるからである。
インターフェースエレメントのインターフェース面は、駆動装置および外科用器具のインターフェースと係合する際にインターフェースエレメントを補助する表面的特徴を備えていてもよい。表面的特徴は、駆動装置および外科用器具のインターフェースにおける相補的な表面的特徴と整合、嵌合または接続するようなものであってもよい。表面的特徴は、駆動装置および外科用器具のインターフェースに対して、インターフェースエレメントをしっかりと保持するようなものであってもよい。しかしながら、表面的特徴は、しかるべき手動力によって、インターフェースエレメントを駆動装置および外科用器具のインターフェースの両方から取り外し可能とするようなものであってもよい。手動力は、不意にぶつかること等が原因の小さな力によってはインターフェースエレメントが外れることがない(従って、手術中にドレープおよび/または外科用器具が誤って外れることはない)程度の強さに相当してもよいが、ドレープを手動でロボットアームおよび/または外科用器具から取り外すのを妨げるほど強くはない。
インターフェースエレメントの表面的特徴は、駆動装置および外科用器具のインターフェースにおける相補的な特徴と嵌合して、押し嵌めまたはスナップ嵌合を形成してもよい。このような表面的特徴の実施例を603に示す。
インターフェースエレメント603の第1のインターフェース面617は、その平面に対して略横向きに延びる複数の突起647を含んで構成されている。突起647は、駆動装置および外科用器具のインターフェースにおける対応する溝または凹部と嵌合するようになっている。突起647は、所定位置に押し嵌めまたはスナップ嵌合されてもよい。本実施例では、突起647はラグの形態をとっているが、他の形態、例えば突条とされていてもよいことが理解されるべきである。あるいは、インターフェース面は、駆動装置および外科用器具のインターフェースにおける対応する突起と嵌合する溝または凹部を含んで構成されていてもよい。インターフェースエレメントは、一方のインターフェース面が突起を備えており、他方のインターフェース面が凹部/溝を備えていてもよい。
インターフェースエレメント605は、ガイドスロット639の形態とされた表面的特徴を含んで構成されている。ガイドスロット639は、その一方の端部に設けられた開口641を通じてピンまたはラグが嵌め入れられるようになっている。ピンは、いったんガイドスロット639に入ると、ガイドスロット639に対して横方向に移動することが防止されるような形状とされていてもよい。従って、ピンは、開口641を通じてガイドスロット639に出入りすることだけが可能とされている。ピン/ラグは、駆動装置および外科用器具のインターフェースに取り付けられていてもよい。これにより、インターフェースエレメントを駆動装置のインターフェースに取り付けるには、使用者がインターフェースエレメント605の一方のインターフェース面619のガイドスロット639を駆動装置のピンの上でスライドさせればよい。外科用器具のインターフェース上のピンは、インターフェースエレメントの対向するインターフェース面のガイドスロット内にスライドさせることができる。このようにして、ガイドスロットおよびピンは、駆動装置および外科用器具のインターフェースに対して、インターフェースエレメントをしっかりと保持することが可能となる。また、各インターフェース面は、複数のピン/ラグを嵌め入れるための複数のガイドスロットを含んで構成されていてもよい。あるいはまた、インターフェースエレメントがピン/ラグを備えており、ガイドスロットが駆動装置および外科用器具のインターフェースに設けられていてもよいことが理解されるべきである。インターフェースエレメントは、一方のインターフェース面がガイドスロットを備えており、他方のインターフェース面がピン/ラグを備えていてもよい。
インターフェースエレメントを駆動装置および外科用器具のインターフェースに対して(例えば、表面的特徴を利用して)機械的に嵌合させる代わりに、インターフェースエレメントは、磁気的接続を利用して、これらのインターフェースと係合してもよい。磁気的接続の場合、インターフェースエレメントのインターフェース面は磁性材料で形成されてもよいし、磁性材料を含んで構成されてもよい。外科用器具および/または駆動装置のインターフェースも磁性または電磁性を有していてもよく、インターフェースエレメントの極性とは反対の極性とされる。あるいは、一方のインターフェース面のみが磁性材料を含んで構成されてもよい。即ち、インターフェースエレメントは、一方のインターフェース面が磁気的接続によって外科用器具と駆動装置の一方のインターフェースと係合するとともに、他方のインターフェース面が機械的接続によって外科用器具と駆動装置の他方のインターフェースと係合するようになっていてもよい。
インターフェースエレメントにおける、駆動装置のインターフェースの相補的な表面と嵌合するインターフェース面と、外科用器具のインターフェースの相補的な表面と嵌合するインターフェース面について、外科用器具からインターフェースエレメントを取り外すよりも駆動装置から取り外す方がより大きな手動力を必要とするように構成してもよい。このようにして、インターフェースエレメントを、外科用器具のインターフェースに対してよりも、駆動装置のインターフェースに対してより強固に取り付ける、または係合させることができる。即ち、インターフェース面は、インターフェースエレメントと外科用器具のインターフェースを手動で取り外しても、インターフェースエレメントと駆動装置のインターフェースが係合したままになるように構成されてもよい。これにより、ドレープをロボットアームに取り付けたままで、使用者(例えば、看護師または技術者)が外科用器具をドレープから取り外すことができるため、有利である。従って、ロボットアーム上の無菌境界を維持しながら、外科的処置中に外科用器具を交換することが可能となる。
インターフェースエレメントを外科用器具よりも駆動装置に対してより確実に取り付ける1つの方法は、インターフェースエレメントの2つのインターフェース面を異なる表面的特徴を持たせることである。即ち、外科用器具のインターフェースと嵌合するインターフェース面が、駆動装置のインターフェースと嵌合するインターフェース面とは異なる特徴を有していてもよいということである。
例えば、表面的特徴が突起(例えば、ラグおよび/または突条)の形態をとる場合には、駆動装置のインターフェースと嵌合するインターフェース面が、外科用器具のインターフェースと嵌合するインターフェース面よりも多くの突起を有していてもよい。これにより、インターフェースエレメントが、外科用器具のインターフェースよりも駆動装置のインターフェースに対してより強固に取り付けられると言うことができる。あるいは、インターフェースエレメントが、駆動装置とインターフェース面を磁気的接続によって係合する場合には、インターフェースエレメントは、インターフェース面と駆動装置のインターフェース間の磁気的接続が、インターフェース面と外科用器具のインターフェース間の磁気的接続よりも大きいか、または強くなるように構成されていてもよい。
あるいは、インターフェースエレメントは、環状体もしくはリングの形態とされていてもよい。リングは、様々な形状をとることが可能であり、例えば、円形または卵形であってもよい。リングは、ひし形とされていてもよい。このようなインターフェースエレメントの実施例が607に示されている。インターフェースエレメント607は、環状体643を含んで構成されており、環状体643は、内部ウィンドウ645と接する、またはその境界を定める、もしくは画定する。環状体643は、押し嵌めによってカバーの生地に装着されていてもよく、それによって環状体643は環状体643の内部領域においてカバーを貫通する。従って、内部ウィンドウ645は、カバーの表面を貫通する通路を画定する開口部となり得る。環状体643は、駆動装置および外科用器具のインターフェースと係合して、駆動装置を外科用器具に連結させることができる。環状体643は、例えば、駆動装置および外科用器具のインターフェースに設けられた円形の溝等の相補的な表面と係合、または嵌合してもよい。
開口部645を使用して、駆動装置からドレープを介して外科用器具へ延びるケーブルを収容する、または通してもよい。ケーブルは、例えば、器具シャフトの遠位端に取り付けられた器具に動力を供給するための動力ケーブルであってもよい。ケーブルは、ロボットアームから開口部645を通じて外科用器具へ延びることができる。従って、外科用ロボットが外科的処置を行うために準備された際に、開口部645により、ケーブルはドレープを通じて外科用器具に接続されることが可能となる。これは、ケーブルを無菌環境となるドレープの外部にそって設置することなくロボットアームと外科用器具の間の電気的接続を許容するので有利である。
環状体またはリングは、駆動装置および外科用器具のインターフェースの一方、または両方が開口部を実質的に封止、あるいは閉塞するように、駆動装置および外科用器具のインターフェースと係合するようになっていてもよい。例えば、図4を参照すると、外科用器具のラグ409はインターフェースエレメント435,437の環状体と実質的に同一平面上にあるため、各開口部は実質的に閉鎖されている。しかしながら、ドレープによって形成される無菌境界は気密である必要はないため、開口部は必ずしも完全に閉鎖される必要はない。
上述の本実施例では、外科用ドレープは、使用者が操作してロボットアームを覆うことができるように、平面状の構成で形成されるものとして説明した。
別の実施例では、ドレープは、外科用器具および/または駆動装置への取り付けにより適した形状または構成となるように製造されてもよい。このようなドレープの実施例を図7に示す。
図7に、ロボットアームを包むカバー703を含んで構成された外科用ドレープ701を示す。ロボットアームは、ロボットアームの駆動装置を備えている。分かりやすさのために、カバー703の一部のみが図示されている。ドレープ701は、さらに、カバー703の生地から形成されたポケット705を含んで構成されている。上述したように、カバー703の生地は可撓性を有していてもよい。カバー703は、それ自体が、ポケット705と一体形成されたシートまたは平坦部711を備えていてもよい。ポケット705は、カバー703の平面に対して略横方向に延びる側壁713を含んで構成されている。ポケット705は、さらに、カバー703の平坦部711と略平行で側壁713と一体形成されたベース715を備えている。
本実施例では、ポケット705は全体として直方体形状であるが、これはあくまでも例示であり、ポケットの形状はドレープの製造者によって全面的に設定可能であることが理解されるべきである。ポケットは、例えば、立方体状であってもよいし、円筒形状であってもよい。
ポケット705には、インターフェースエレメント707,709が固定されており、各インターフェースエレメント707,709が、駆動装置のインターフェースと外科用器具のインターフェースの両方と係合するようになっている。インターフェースエレメント707,709は、上述したように、カバー703の生地によって互いに空間的に分離されている。本実施例では、インターフェースエレメント707,709は、ポケット705の対向する側、特に、ポケット705の対向する側壁713に固定されている。インターフェースエレメント707,709は、本明細書に記載された何れのタイプであってもよい。各インターフェースエレメント707,709は、同一のタイプであってもよいし、異なるタイプであってもよい。
ポケット705は、カバー703の一部を形成する。ポケット705は、ドレープ701の製造中に形成されてもよく、インターフェースエレメント707,709の取り付け前または後に形成されてもよい。ポケット705は、例えば、適切に形成された型上にドレープ/カバーを熱形成することによって形成されてもよい。ポケット705は、それ自体が、ドレープ701の永続的な特徴とされていてもよい。これは、カバー703が可撓性/変形性を有していないということではなく、使用者がカバーを操作することによって初めてポケットが形成される場合とは対照的に、ポケット705がドレープ701に元々備わっている特徴であるということである。
ポケット705は、外科用器具および/または駆動装置の部品を収容する、または格納するようになっていてもよく、それによって、外科用器具や駆動装置の各インターフェースがインターフェースエレメント707,709と係合することができる。ポケット705は、外科用器具の一部を収容し、ロボットアームの駆動装置の一部に係合する、または収容されてもよい。あるいは、ポケット705は、駆動装置の一部を収容し、外科用器具の一部に係合する、または収容されてもよい。例えば、再び図4を参照すると、ポケットは、外科用器具のラグ409を収容し、かつ駆動装置のキャリッジ421に収容されるようになっていてもよい。このようにして、ポケット705は、キャリッジ421内に位置して、インターフェースエレメント707,709が駆動装置のインターフェースと係合する(そして、それによってドレープをロボットアームに取り付ける)ことを可能にする。そして、外科用器具のラグ409は、ポケット705内に位置して、インターフェースエレメント707,709がさらに外科用器具のインターフェースと係合することを可能にし、それによって、外科用器具が駆動装置に連結される。
カバー内にポケットを形成することにより、ドレープが実質的に歪んだり変形したりすることなく、インターフェースエレメントが駆動装置および外科用器具の各インターフェースと係合することが可能となり得る。これは、カバーにかかる応力を低減し、それによってドレープが使用中に損傷する可能性を低減するのに有益である場合がある。また、外科的処置のためにロボットアームを準備する際、使用者が駆動装置および外科用器具のインターフェースをより簡単に位置決めすることが可能となり得る。
本実施例では、ドレープ701は、ポケット705に取り付けられた2つのインターフェースエレメント707,709を含んで構成されているが、これはあくまでも例示であり、ドレープは任意の適切な数のインターフェースエレメントを備えてもよいことが理解されるべきである。例えば、ドレープは、(例えば、2つ、3つ、あるいはそれ以上の)インターフェースエレメントのセットを含んで構成されていてもよい。この場合、インターフェースエレメントの第1のサブセットが、駆動装置および外科用器具のインターフェースとそれぞれ係合して、第1の器具ジョイントを作動させるための駆動装置の動作を伝達するようになっていると共に、インターフェースエレメントの第2のサブセットが、駆動装置および外科用器具のインターフェースとそれぞれ係合して、第2の器具ジョイントを作動させるための駆動装置の動作を伝達するようになっている。一般に、ドレープは、駆動装置の動作を伝達してN個の器具ジョイントを駆動するために、インターフェースエレメントのN個のサブセットを形成する複数のインターフェースエレメントを備えていてもよい。
別の実施例では、ドレープは、カバーから形成された複数のポケットを含んで構成されていてもよい。図8に、このようなドレープの実施例を示す。本実施例では、外科用ドレープ801は、カバー809から形成された3つのポケット803,805,807を含んで構成されている。ドレープ801は、また、複数のインターフェースエレメント811,813,815,817,819,821を備えている。インターフェースエレメント811,813はポケット803に取り付けられており、インターフェースエレメント815,817はポケット805に取り付けられていると共に、インターフェースエレメント819,821はポケット807に取り付けられている。
第1のポケットに取り付けられた各インターフェースエレメントは、駆動装置および外科用器具の各インターフェースと係合して、駆動装置からの動作を伝達し、第1の器具ジョイントを作動させるためのものである。第2のポケットに取り付けられた各インターフェースエレメントは、駆動装置および外科用器具の各インターフェースと係合して、駆動装置からの動作を伝達し、第2の器具ジョイントを作動させるためのものである。同様に、第3のポケットに取り付けられた各インターフェースエレメントは、駆動装置および外科用器具の各インターフェースと係合して、駆動装置からの動作を伝達し、第3の器具ジョイントを作動させるためのものである。従って、ドレープのインターフェースエレメントの第1のサブセットは、第1のポケットに取り付けられて機械的駆動を伝達し、第1のジョイントを作動させる。ドレープのインターフェースエレメントの第2のサブセットは、第2のポケットに取り付けられて機械的駆動を伝達し、第2のジョイントを作動させる。そして、ドレープのインターフェースエレメントの第3のサブセットは、第3のポケットに取り付けられて機械的駆動を伝達し、第3のジョイントを作動させる。
例えば、外科用器具は、3つのラグを含んで構成されており、各ラグが、駆動装置の動作に反応して選択的に駆動されて、対応する器具ジョイントを作動させるようになっていてもよい。各ラグは、図4に示したものと同様の形態であってもよい。第1のポケットが1つ目のラグを収容し、第2のポケットが2つ目のラグを収容し、第3のポケットが3つ目のラグを収容するようになっている。図8では、3つのポケットのみが示されているが、ドレープは、任意の適切な数のポケットを含んで構成されてもよいことが理解されるべきである。
本明細書において、複数のインターフェースエレメントを含んで構成された外科用ドレープの様々な実施例が記載される。外科用ドレープ上の複数のインターフェースエレメントは必ずしも全てが同じものである必要はないことが理解されるべきである。即ち、インターフェースエレメントは、それぞれ同じタイプ(例えば、上述したタイプのうちの1つ)のものであってもよいし、そうでなくてもよい。カバーに固定された各インターフェースエレメントのタイプは全面的に設定可能であることが理解されるべきである。これにより、例えば、ドレープは、インターフェースエレメント603および/または605のような表面的特徴を備えた1つ以上のインターフェースエレメントと、インターフェースエレメント609および/または611のように回転可能な1つ以上のインターフェースエレメントとを含んで構成されていてもよい。また、インターフェースエレメントは、異なる第1および第2のインターフェース面を有していてもよい。従って、インターフェースエレメントは、例えば、磁性を有する1つのインターフェース面と、ガイドスロットを有する1つのインターフェース面を備えていてもよい。
上記の説明は、外科用器具のインターフェースおよび駆動装置のインターフェースに言及している。外科用器具のインターフェースは、インターフェースエレメントが外科用器具と係合する際に、インターフェースエレメントに面する外科用器具の一部を指す。それは、インターフェースエレメントが外科用器具と係合する際に、外科用器具においてインターフェースエレメントと合致する表面または部分となり得る。同様に、駆動装置のインターフェースは、インターフェースエレメントが駆動装置と係合する際に、インターフェースエレメントに面する駆動装置の一部を指す。外科用器具および/または駆動装置のインターフェースは、それらが係合するインターフェースエレメントの表面に対して相補的な表面を含んで構成されていてもよい。あるいは、外科用器具および/または駆動装置のインターフェースは、インターフェースエレメントと嵌合するように特別に設計されていない表面を有していてもよい。外科用器具および/または駆動装置のインターフェースは、より大きな表面と一体形成された、またはその一部を形成するような表面であってもよい。この場合、外科用器具および/または駆動装置のインターフェースは、インターフェースエレメントに面するそのような表面のサブセクション、または一部を指す。
ドレープは、さらに、インターフェースエレメントが駆動装置のインターフェースと係合できるように、使用者がロボットアームに対してドレープを正確に位置決めするのを補助するガイド構造を含んで構成されていてもよい。ガイド構造は、駆動装置および外科用器具のインターフェースのいずれにも係合しなくてもよい。要するに、ガイド構造は、駆動装置からの駆動を外科用器具に提供するように作用するのではなく、インターフェースエレメントが駆動装置のインターフェースと係合できるように、使用者がドレープを位置決めすることがより容易に可能となるように機能する。これは、インターフェースエレメントが、裏板とは対照的にドレープの生地によって保持されるドレープに有利である。このようなドレープでは、ドレープの全体的な大きさに比べてインターフェースエレメントが比較的小さいために、ドレープを容易に位置決めすることが困難である場合がある。ガイド構造がどのようにロボットアームに接続されるかを説明する前に、まず、ロボットアームの遠位端の実施例について説明する。
図9に、外科用ロボットの一部を形成するロボットアーム901の遠位端を示す。ロボットアーム901は、例えば、図2に示されたロボットアーム203と同様とされていてもよい。ロボットアーム901は、外科用器具915に取り付けられる取付ブロック903を含んで構成されている。ここでは、分かりやすさのために、外科用器具915がロボットアーム901から取り外された状態で図示されている。また、外科用器具915は、ロボットアーム901と比較して縮尺されずに示されている。外科用器具915は、その近位端にハウジング917を備えており、その遠位端にエンドエフェクタ919(ここでは、一対のグリップ部として示されている)を備えている。ハウジング917とエンドエフェクタ919の間には、長手状のシャフト921が延在している。
取付ブロック903は、終端面907を含んで構成されている。終端面907の平面は、ロボットアーム901または取付ブロック903の長手方向に対して略横向きであってもよい。終端面907は、ロボットアーム901の最遠位点であってもよく、ロボットアーム901の端部を規定していてもよい。取付ブロック903は、さらに、ロボットアーム901の長手方向に沿って延びる平坦面913を含んで構成されている。平坦面913は、終端面907に対して略横向きであってもよい。平坦面913は、外科用器具の近位端に取り付けられた器具のハウジング917と嵌合または接続するようになっていてもよい。取付ブロック903は、溝部または谷部905を画定している。溝部905は、ロボットアーム901の終端に開口または口923を有している。溝部905の断面はU字形状とされている。溝部905は、外科用器具の近位端を収容することを目的としている。外科的処置におけるロボット使用中は、ロボットアーム901は外科用ドレープに覆われている。ドレープのカバーは、取付ブロック903および溝部905の上に位置する。ドレープは、ロボットアーム901上に無菌境界を画定するように作動する。
ロボットアーム901は、ドレープを介して外科用器具に駆動を供給するための駆動装置を含んで構成されている。駆動装置は、ロボットアーム901内に収容されていてもよい。本実施例では、駆動装置は、溝部905の側壁から突出するキャリッジ909を含んで構成されている。キャリッジ909は、図示しないリニアアクチュエータに取り付けられていてもよい。リニアアクチュエータは、矢印911で示されるように、キャリッジ909をロボットアーム901の長手方向に沿って二方向に駆動することができる。キャリッジ909は、図4を参照して説明したように、外科用器具の近位端に配置されたラグを収容するようになっていてもよい。ラグは、例えば、ハウジング917内に配置されていてもよく、それによって、ハウジング917が取付ブロック903の平坦面913と整合した時に、外科用器具のラグが駆動装置のキャリッジ909に収容され得る。ラグがキャリッジ909に収容されると、キャリッジ909の直線運動がラグの対応する動作を引き起こし、外科用器具に駆動を伝達する。ロボットアーム901は、外科用器具に駆動を供給するために複数のキャリッジ(例えば、3つ)を備えていてもよく、それによって、上述したように、複数の器具ジョイントを選択的に作動させる。
ドレープのガイド構造は、ロボットアーム901の取付ブロック903に取り付けられるようになっていてもよい。ガイド構造が取付ブロック903に取り付けられると、ドレープのインターフェースエレメントが駆動装置のインターフェース付近に位置決めされる。これにより、使用者がインターフェースエレメントを駆動装置に接続できるようになる。
図10に、ドレープのカバー1021(一部分のみが示されている)に取り付けられたガイド構造1001の実施例を示す。ガイド構造1001は、全体を1017で示した収納構成と、全体を1019で示した動作構成の両方で図示されている。ガイド構造1001は、収納構成1017および動作構成1019の間で変形可能である。ガイド構造1001は、例えば、看護師または外科医によって、手動で変形可能とされていてもよい。ガイド構造1001は、ドレープが収納される時(例えば、製造後および/または販売前)に、収納構成1017とされてもよい。ドレープは、外科的処置で使用されていない時に、収納されてもよい。ドレープは、外科用ロボットのオペレータ、またはドレープの供給者によって収納されてもよい。収納構成1017においては、ガイド構造1001は、平坦、または平面状であってもよい。これにより、ドレープを平坦に梱包するか、または平坦な形態に折り畳むことが可能になる。これは、ドレープをより効率的に梱包できるため有利である。これにより、例えば、少ない梱包量でドレープを販売のために梱包することが可能となり得る。
動作構成1019においては、ガイド構造1001は、ロボットアームに取り付けられて、ドレープのインターフェースエレメントを駆動装置のインターフェースに対して係合するために位置決めするようになっている。動作構成1019においては、ガイド構造1001は、1019で示すように、折り曲げられた配置であってもよい。これにより、以下でより詳細に説明するように、ドレープでロボットアームを確実に覆うのを補助し得る。
ガイド構造1001は、第1のセグメント1013と第2のセグメント1015を含んで構成されている。第1および第2のセグメント1013,1015は、収納構成1017および動作構成1019の間で構造を変形させるために、互いに関節式に連結されている。第1および第2のセグメント1013,1015は、例えば、互いにヒンジ式または旋回式に接続されていてもよい。ガイド構造1001が収納構成1017にある時は、第1および第2のセグメント1013,1015は同一平面上にある。その結果、ガイド構造1001は平坦、または平面状となる。平面状であるとは、2つのセグメント間の角度が、例えば15度もしくは10度、あるいは5度等より小さいことを意味し得る。ガイド構造1001は、収納構成1017にある時は、小さな湾曲、または撓みを呈していてもよい。ガイド構造1001が動作構成1019にある時は、第1および第2のセグメント1013,1015は同一平面を占有せず、互いに平行でない。第1および第2のセグメント1013,1015間の角度は、例えば、45度より大きくてもよいし、60度より大きくてもよい。本実施例では、第1および第2のセグメントは互いに横向き、または直交している。横向きとは、2つのセグメント間の角度が、例えば70度、80度または85度よりも大きいことを意味し得る。
第1および第2のセグメント1013,1015は、それぞれ1003a,1003bで示される外側側壁を規定する周辺部を有する。第1のセグメントは、さらに、2つの対向する面1005a,1007aを備えており、第2のセグメントは、さらに、2つの対向する面1005b,1007bを備えている。
ガイド構造1001は、カバー1021の一方の表面もしくは側面から突出するように、カバー1021に取り付けられてもよい。ガイド構造1001は、カバー1021において、ロボットアームに面する側面もしくは表面に取り付けることができる。即ち、ガイド構造1001は、カバー1021において、非無菌環境に整合する表面に取り付けられていてもよい。このような表面が1025で示されている。ガイド構造1001は、多くの方法でカバー1021に取り付け可能であり、例えば、クリップ留め、成形、接着、熱形成もしくは熱融着されてもよい。ガイド構造1001は、ドレープの製造中にカバー1021に取り付けられてもよい。ガイド構造1001は、インターフェースエレメントの取り付け前もしくは後に取り付けられてもよい。
ガイド構造1001は、カバー1021に取り付けられて閉ループ構造を形成する。即ち、ガイド構造1001は、閉ループ状に形成される。ループは、(例えば、ガイド構造1001が動作構成1019にある時に)非平面状であってもよい。ガイド構造1001は、収納構成1017にある時は、リングまたは環体状に形成されてもよい。ガイド構造1001は、ひし形状であってもよい。
ガイド構造1001は、インターフェースエレメント1009を取り囲む、または柵で仕切っている。従って、インターフェースエレメント1009は、ガイド構造1001で画定された境界内に配置されている。ガイド構造1001は、さらに、カバー1021の生地も取り囲む、もしくはその境界を定めている(この場合、ガイド構造1001は、カバー1021における1011で示された領域またはサブセクションを取り囲んでいる)。即ち、カバー1021の一部がガイド構造1001で画定された境界内に配置されている。この部分は、ガイド構造1001によって形成された閉ループの内部である。従って、ガイド構造1001は、インターフェースエレメント1009を取り付けたカバーのサブセクション1011の輪郭を描いている。
囲まれたインターフェースエレメントは、図7および図8に示されるような1つ以上のポケットによってカバーに取り付けられてもよい。この場合、ガイド構造は、1つ以上のポケット(ひいては、インターフェースエレメント)を囲む、または取り囲んでいる。ガイド構造は、1つ以上のポケット含んで構成されたカバーの一部もしくはサブセクションの輪郭を成している。インターフェースエレメント(そして、もし存在すれば、ポケット)は、収納構成の平面視において、リング状のガイド構造の内部に配置されている。
ガイド構造1001は、動作構成1019にあるとき、ロボットアームの駆動装置の一部を形成する駆動装置のインターフェースに対して、インターフェースエレメント1009を相対的に位置決めするようになっている。この位置決めを行うために、ガイド構造1001は、インターフェースエレメント1009を駆動装置のインターフェースに対して位置決めするように、ロボットアームに取り付けられるようになっている。ガイド構造1001の第1および第2のセグメント1013,1015の両方が器具アームの取付ブロックに接続可能とされている。2つのセグメント1013,1015は、ロボットアームの取付ブロックの各表面(例えば、面907,913)にそれぞれ接続されてもよい。
図11に、ガイド構造1001がどのようにロボットアーム901に取り付けられるかの実施例を示す。ロボットアーム901の取付ブロックは、破線で示されており、それがドレープ(分かりやすさのため、その一部のみが示されている)によって覆われていることを示している。同様に、説明のため、ドレープの1つのインターフェースエレメント1009のみが示されている。ガイド構造1001がロボットアーム901に取り付けられた時、インターフェースエレメント1009がロボットアームの駆動装置のキャリッジ909付近に位置決めされることが分かる。すると、使用者は、インターフェースエレメント1009を所定位置に移動させることによって、インターフェースエレメント1009をロボットアームの駆動装置に係合させることができる。これは、上述したように、ドレープのカバーが可撓性を有することで可能となり得る。
第1のセグメント1013は平坦面913に取り付けられ、第2のセグメント1015は終端面907に取り付けられる。第1および第2のセグメント1013,1015は、ロボットアーム901の所定位置に引っ掛けられてもよい。あるいは、第1および第2のセグメント1013,1015は、ロボットアーム901の所定位置に押し嵌め、スナップ嵌合、もしくはクリップ留めされてもよい。ガイド構造1001は、面1005a,1005bを介してロボットアーム901に接続されてもよい。従って、面1005a,1005bは、ロボットアームインターフェース面と呼ぶことができる。例えば、面1005a,1005bが表面的特徴(例えば、突条および/またはラグ)を含んで構成されており、それがロボットアームの面907,913における相補的な特徴(例えば、溝)と係合するようになっていてもよい。あるいは、面1005a,1005bが溝または凹部を含んで構成されており、それが取付ブロック903における突条/ラグと係合するようになっていてもよい。
あるいは、ガイド構造1001は、ロボットアームに摺動可能に係合するようになっていてもよい。ガイド構造1001は、第1および第2のセグメント1013,1015の一方が、ロボットアーム上の相補的な表面と摺動可能に係合するように構成されていてもよい。第1および第2のセグメント1013,1015の他方は、ロボットアームに対して押し嵌めまたはクリップ留めされてもよい。例えば、第1のセグメント1013が、溝部905の周囲に沿って延びる(図9において925で示された)溝と摺動可能に係合するようになっていてもよい。溝925は、溝部905の側壁に配置されていてもよい。溝925は、取付ブロックの平坦面913と平行な方向に延びていてもよい。
ガイド構造1001は、その周辺部によって定義される形状が変形可能となるように、動作構成にある時に弾性的に変形可能とされていてもよい。ガイド構造1001は、溝925と摺動可能に係合できる圧縮構成と、溝925と係合できない拡張構成との間で変形可能とされていてもよい。拡張構成は、ガイド構造1001の直径が溝部905の幅よりも大きいものとされていてもよい。ガイド構造1001は、拡張構成に付勢されてもよい。第1および第2のセグメント1013,1015の一方または両方を、弾性的に変形可能とすることができる。
ガイド構造1001をロボットアームと摺動可能に係合させるために、使用者は、第1のセグメント1013の対向するアームをまとめて強く握って、第1のセグメント1013が溝925内に嵌め込み可能とされる圧縮構成に変形させてもよい。これにより、第1のセグメント1013を溝925内に差し込むことができる。ガイド構造1001がいったん溝925内に嵌め込まれると、拡張構成への弾性的な付勢により、ガイド構造1001は溝925内で確実に保持される。
ガイド構造は、溝に摺動可能に係合するように構成された第1のセグメントの外側側壁から突出する表面的特徴を含んで構成されていてもよい。このような表面的特徴の実施例を図12に示す。各ガイド構造1201,1203は、(1205,1207で示された)第1のセグメントと、(1209,1211で示された)第2のセグメントをそれぞれ含んで構成されている。ガイド構造1201,1203は、収納構成で図示されている。分かりやすさのため、ドレープのカバーは図示を省略する。
第1のセグメント1205の外側側壁1213は、表面的特徴としての複数のラグ1215を有している。ラグ1215は、外側側壁1213に対して横方向に延びている。ガイド構造1201がロボットアームに取り付けられる時、ラグ1215はロボットアーム上に設けられた溝(例えば、溝925)内に嵌め入れられる。ラグ1215は、使用者がガイド構造1201をロボットアームに正確に取り付けるのを補助するガイドピンとして機能し得る。
第1のセグメント1207の外側側壁1217は、表面的特徴としてのリブ1219を有している。リブ1219は、外側側壁1217の周囲を周方向に延びている。ガイド構造1203がロボットアームに取り付けられる時、リブ1219はロボットアーム上に設けられた溝(例えば、溝925)内に嵌め入れられる。あるいは、ガイド構造1203が、複数のリブを含んで構成されており、ロボットアーム上の複数の溝とそれぞれ係合するようになっていてもよい。
あるいは、ガイド構造は、第2のセグメントが、溝部に沿って周方向に延びる(図9において927で示された)溝と摺動可能に係合するようになっていてもよい。溝927は、溝部の口923付近に配置されてもよい。溝927は、終端面907と平行な方向に延びていてもよい。この場合、第1のセグメントは、ロボットアームに押し嵌め、またはクリップ留めされるようになっていてもよい。第2のセグメントは、それ自体が、外側側壁1003bから突出する表面的特徴を備えていてもよい。これらの表面的特徴は、図12を参照して上述したように、ラグまたはリブの形態であってもよい。あるいは、ガイド構造は、その側壁において、溝または凹部の形態とされた表面的特徴を備えており、溝部905内に突出する突起と係合するようになっていてもよい。
上記実施例では、第1および第2のセグメントが、ロボットアームの対応する表面とそれぞれ係合するようになっている。ガイド構造がロボットアームの複数の表面と係合することにより、ドレープがより確実にロボットアームを包むことができるので有利である。ガイド構造1001では、使用者がより簡単にドレープのインターフェースエレメント1009を駆動装置と係合できるよう補助するために、第1のセグメント1013がロボットアームに取り付けられる。第2のセグメント1015は、ロボットアームの終端面907に取り付けられて(または溝927内に配置されて)、ドレープがアームを包むよう操作するのを補助する。ドレープは、第2のセグメントを介して取り付けられることなくロボットアームの終端部上で操作することもできるが、そのようなドレープがロボットアームに保持されるのは確実性において劣る場合がある。
ガイド構造の第1および第2のセグメントは、ガイド構造が動作構成にある時に、互いに連結する、あるいは接続するようになっていてもよい。第1および第2のセグメントは、ガイド構造を動作構成に確実に保持するために、互いにクリップ留めされるようになっていてもよい。第1および第2のセグメントを互いにロックする方法の実施例を、図13に示す。
図13には、ガイド構造1301の側面図が、1303で示された収納構成と、1305で示された動作構成で示されている。第1および第2のセグメント(それぞれ1307と1309で示す)の間のピボット接続されている部分を中心とした、ガイド構造1301の一部のみが示されている。分かりやすさのため、ガイド構造1301の残りの部分およびドレープは図示を省略する。
第1および第2のセグメント1307,1309は、それぞれ1311,1313で示すインターロックインターフェースを含んで構成されている。インターロックインターフェース1311,1313は、ガイド構造1301が動作構成1305にある時に、互いに係合して第1および第2のセグメント1307,1309を相互固定するようになっている。インターロックインターフェース1311,1313は、ガイド構造1301が収納構成1303にある時には互いに係合しない。インターロックインターフェース1311,1313は、ガイド構造1301が収納構成1303にある時には、互いに横向きであってもよい。
本実施例では、インターロックインターフェース1311,1313は、互いに押し嵌め、あるいはスナップ嵌合されるようになっている。インターロックインターフェース1311は、キノコ頭の形状とされた突起を含んで構成されており、その突起がインターロックインターフェース1313の一部を形成する凹部と連結、または嵌合するようになっている。ここで図示されている突起はあくまでも例示であって、インターロックインターフェースは、互いにロック可能な任意の適切な相補的表面であってもよいことが理解されるべきである。
インターロックインターフェースは、解除可能にロックされるようになっていてもよい。即ち、第1および第2のセグメントは、適切な手動力によって、動作構成から収納構成に変形可能とされていてもよい。適切な手動力とは、使用者によってインターロックインターフェースを手動でロック解除できる程度に小さなものであってもよいが、インターロックインターフェースが不意に、例えば、使用者が外科的処置中に誤ってガイド構造にぶつかってしまった場合に、ロック解除されることがない程度に充分大きなものである。
図13では、一対のインターロックインターフェースのみが示されているが、ガイド構造は、ガイド構造の反対側に、第2の一対のインターロックインターフェースを含んで構成されてもよいことが理解されるべきである。第1および第2の一対のインターロックインターフェースは、ガイド構造が収納構成と動作構成との間で変形する際に、ガイド構造が旋回する旋回軸上、またはその近位に設けられていてもよい。
別の実施例においては、ガイド構造は、収納構成にある時に、第1および第2のセグメントが平行ではあるが平面状ではないように構成されていてもよい。第1および第2のセグメントは、例えば、積み重ねられた配置とされていてもよい。即ち、ガイド構造が収納構成にある時に、第1および第2のセグメントの一方が他方の上に折り返されるということである。従って、ガイド構造が収納構成にある時に、第1および第2のセグメントが合致していてもよい。これにより、第1および第2のセグメントが平行でかつ平面状である場合の実施例と比較して、ガイド構造が収納構成にある時に、その表面積が小さくなって、ドレープを収納および梱包するために折り畳みやすくなる場合がある。
上述した実施例においては、ガイド構造は、互いに相対旋回可能な第1および第2のセグメントを含んで構成されているが、ガイド構造は、閉ループ構造を形成する単一のセグメントを含んで構成されていてもよい。セグメントは、ガイド構造が収納構成と動作構成との間で変形を許容されるように、弾性または可撓性を有していてもよい。ガイド構造は、収納構成と動作構成との間で弾性変形可能とされていてもよく、それによって、ガイド構造は、(セグメントが平面状、平坦、もしくは水平となる)収納構成に付勢される。このようなガイド構造は、上述した実施例において示されたような、ロボットアームに取り付けられるための表面的特徴を含んで構成されていてもよい。さらに、上述した実施例においては、ガイド構造は、複数のドレープのインターフェースエレメントを囲んでいるが、ガイド構造は、単一のインターフェースエレメントを駆動装置に対して相対的に位置決めするために、同様に好適に使用可能であることが理解されるべきである。従って、ガイド構造は、単一のインターフェースエレメントを囲む、または取り囲んでもよい。
図14には、別の実施例としてのガイド構造1401が示されている。ガイド構造1401は外科用ドレープ1403のカバーに取り付けられたたが形状である。分かりやすさのため、カバーの一部のみが図示されている。ガイド構造1401は、開ループ状とされている。即ち、ガイド構造1401は、上述した実施例に示されたような閉ループを形成しない。ガイド構造1401は、円弧状、または三日月状の構造であってもよいし、半円形状とされていてもよい。ガイド構造1401は、上述したガイド構造の第1のセグメントに類似していてもよい。
たが形状は、外側側壁1409を構成する周辺部を有している。ガイド構造1401は、さらに、対向する面1411,1413を含んで構成されており、対向する面1411,1413のうちの一方のみ(本実施例では、面1411)を介してカバーに取り付けられていてもよい。ガイド構造1401は、非無菌環境に整合するカバー1415側に取り付けられてもよい。他方の対向する面(1413)は、ガイド構造1401をロボットアームに取り付けるのに使用されてもよい。面1413は、それ自体が、ロボットアームインターフェース面と呼ぶことができる。
たが形状は、カバーの生地と、カバーに固定された複数のインターフェースエレメント1405を囲んでいる。即ち、ドレープのインターフェースエレメント1405は、たが形状の境界内においてカバー上に配置されている。インターフェースエレメント1405は、例えば、たが形状の平面視において、たが形状の内側にある。従って、たが形状は、ドレープカバー1407における、インターフェースエレメント1405を含むサブセクションまたは部分の境界を定めている。たが形状は、複数のインターフェースエレメント1405が固定されたドレープカバー1407の一部の輪郭を成していてもよい。たが形状は、図8を参照して上述した1つ以上のポケットを含んで構成された、カバーの生地を囲んでいてもよい。従って、たが形状は、1つ以上のポケットを形成するカバーの生地の輪郭を成していてもよい。
ガイド構造が複数のインターフェースエレメントに対して相対的に位置決めされることによって、ガイド構造がロボットアームに取り付けられる際に、複数のインターフェースエレメントが係合のために駆動装置のインターフェースに対して位置決めされる。従って、ガイド構造がロボットアームに取り付けられる際に、インターフェースエレメントは駆動装置のインターフェース付近に配置、または位置決めされる。ガイド構造は、図11および図12を参照して説明したいずれかの実施例に従ってロボットアームに取り付けられるようになっていてもよい。例えば、ガイド構造は、ロボットアームに設けられた相補的表面(例えば、溝925または927)と摺動可能に係合してもよい。この場合、外側側壁1409はロボットアーム上の相補的表面と係合する表面的特徴を有していてもよい。あるいは、ガイド構造は、ロボットアームに押し嵌め、スナップ嵌合、またはクリップ留めできるような表面的特徴をロボットアームインターフェース面1413上に備えていてもよい。
ガイド構造1401は開ループ構造として示されているが、閉ループ形状とされていてもよい。従って、ガイド構造は、環体もしくはリングの形態であってもよい。ガイド構造は、剛性を有していてもよい。即ち、ガイド構造が、収納構成と動作構成との間で変形可能とされておらず、単一の構成のみを有していてもよい。ガイド構造はまた、単一のインターフェースエレメントとカバーの生地を囲んでいてもよい。
出願人はこれによって、ここに記載の各個別の特徴および2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを別々に開示しており、そのような特徴または特徴の組み合わせが当業者の共通の一般的な知識に照らして全体として本明細書に基づいて実施されることが可能な程度に開示している。なお、そのような特徴または特徴の組み合わせが本明細書に開示される問題を解決するかどうかは関係がなく、またかかる具体的記載が特許請求の範囲を限定するものでもない。出願人は、本発明の態様は、このような個々の特徴または特徴の組み合わせから成ってもよいことを示している。以上の説明に鑑みて、種々の改変が本発明の範囲内でなされ得ることは当業者にとって明らかであろう。