JP2021033731A - 被災把握システム、処理装置及びプログラム - Google Patents

被災把握システム、処理装置及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】自然災害による構造物の被害を、高精度かつ早期に把握する技術を提供する。【解決手段】処理装置100はグループ情報10を取得し、特定自然災害による対象構造物への影響を示す指標値データxiを取得し、端末装置200aから対象構造物の実被害データDr(a)を受信し、端末装置200aと異なる端末装置から実被害データDr(b)を受信し、実被害データDr(b)を端末装置200aに送信し、特定自然災害による対象構造物の被害を推定する推定被害データdei及びde’iを、グループ情報10に規定されている構造物グループごとに設定された脆弱性パラメータと指標値データxiとに基づいて計算し、推定被害データdei及びde’iを端末装置200aに送信する。端末装置200aは、処理装置100から受信した実被害データDr(b)及び推定被害データdei及びde’iを表示する。【選択図】図6

Description

本発明は、鉄道構造物のような構造物が、地震のような自然災害によって受けた被災状況を把握する、被災把握システムに関する。
地震によって構造物が被害を受けた可能性がある場合に被害を把握する方法としては、構造物が受けた自然災害の誘因となる計測震度のような指標値データの大きさと、構造物の脆弱性とから被害を推定する方法、または点検作業員が実際に構造物を目視で点検して被害の有無を確認する方法がある。
しかし、地震で停止した鉄道の運行再開を目的とするような被害把握について、指標値データと構造物の脆弱性とから被害を推定する前者の方法には、被害の推定結果の確実性が低いという課題があり、点検作業員が構造物を目視点検する後者の方法には、点検に時間がかかるという課題があった。
これに対し、特許文献1では、構造物が受けた地震動の大きさと実際に現地で確認した被害状況を同時に利用して、被害が確認されていない構造物の被害推定をより高精度に行う装置が開示されている。
また、特許文献2では、モデル構造物が受けた地震動の大きさと実際の被害の相関を用いて、モデル構造物に類似した構造物の被害状況をその構造物が受けた地震動の大きさから推定する方法が開示されている。
特開平11−084017号公報 特開2009−115650号公報
しかし、特許文献1に開示された技術では、被害推定と被害推定結果の表示が単一の装置で行われるため、ユーザである複数の点検作業員及びユーザであり被害の全体把握を行い自然災害後の初動対応等の判断を行う指令員というユーザ間で、最新の実被害の情報及び被害推定の結果を、情報共有することが困難であった。
また、点検作業員が次にどの構造物を点検すれば、構造物全体の被害状況を高精度で把握できるかを判別できないため、構造物の点検の順番に優先順位付けを行うことが困難であった。
さらに、特許文献2に開示された技術では、単一のモデル構造物を用いた被害推定のため、推定精度を上げることが困難であった。
本発明は、指令員が全体の被害状況を高精度かつ早期に把握することを可能にし、点検作業員へ被害把握のために必要な点検の優先順位を提案できる被災把握システムの提供を目的とする。
この発明の被災把握システムは、
処理装置と、前記処理装置と接続する複数の端末装置とを備える被災把握システムであって、
前記処理装置は、
自然災害の種類が定められた特定自然災害による被災状況の把握対象となる複数の対象構造物が、前記特定自然災害に対する脆弱性の程度に応じて複数の構造物グループに分類されたグループ情報を取得するグループ情報取得部と、
前記特定自然災害による前記対象構造物への影響を示すデータであり、前記対象構造物に対応するデータである指標値データを取得する指標値データ取得部と、
前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置から前記対象構造物の実被害データを受信する実被害データ通信部と、
前記特定自然災害による前記対象構造物の被害を推定する推定被害データを、前記グループ情報の前記構造物グループごとに設定された脆弱性パラメータと前記対象構造物に対応する前記指標値データとに基づいて計算し、前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する被害推定部と、
を備え、
前記複数の端末装置の各端末装置は、
前記対象構造物の前記実被害データの入力を受け付け、前記実被害データを前記処理装置に送信する実被害データ受付部と、
前記処理装置から前記対象構造物の推定被害データを受信した場合、受信した前記推定被害データを表示装置に表示する推定被害データ表示部と、
を備える。
前記被害推定部は、
前記対象構造物に対応する前記指標値データと前記実被害データとの組に基づいて前記対象構造物の属する前記構造物グループに設定されている前記脆弱性パラメータを前記構造物グループごとに更新し、更新された前記脆弱性パラメータを用いて前記推定被害データを再計算し、再計算した前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する。
前記被害推定部は、
更新された前記脆弱性パラメータの精度を示す推定精度データを、再計算した前記推定被害データを送信する前記端末装置に送信する。
前記処理装置は、さらに、
点検を推奨する前記対象構造物を提案する点検提案データを生成し、生成した前記点検提案データを、前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する点検提案部を備え、
前記各端末装置は、
前記点検提案データを受信した場合、受信した前記点検提案データを前記表示装置に表示する点検提案データ表示部を備える。
この発明の処理装置は、
複数の端末装置と通信する処理装置であって、
自然災害の種類が定められた特定自然災害による被災状況の把握対象となる複数の対象構造物が、前記特定自然災害に対する脆弱性の程度に応じて複数の構造物グループに分類されたグループ情報を取得するグループ情報取得部と、
前記特定自然災害による前記対象構造物への影響を示すデータであり、前記対象構造物に対応するデータである指標値データを取得する指標値データ取得部と、
前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置から前記対象構造物の実被害データを受信する実被害データ通信部と、
前記特定自然災害による前記対象構造物の被害を推定する推定被害データを、前記グループ情報の前記構造物グループごとに設定された脆弱性パラメータと前記対象構造物に対応する前記指標値データとに基づいて計算し、前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する被害推定部と、
を備える。
前記被害推定部は、
前記対象構造物に対応する前記指標値データと前記実被害データとの組に基づいて前記対象構造物の属する前記構造物グループに設定されている前記脆弱性パラメータを前記構造物グループごとに更新し、更新された前記脆弱性パラメータを用いて前記推定被害データを再計算し、再計算した前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する。
前記被害推定部は、
更新された前記脆弱性パラメータの精度を示す推定精度データを、再計算した前記推定被害データを送信する前記端末装置に送信する。
前記処理装置は、さらに、
点検を推奨する前記対象構造物を提案する点検提案データを生成し、生成した前記点検提案データを、前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する点検提案部を備える。
この発明のプログラムは、
複数の端末装置と通信する処理装置であるコンピュータに、
自然災害の種類が定められた特定自然災害による被災状況の把握対象となる複数の対象構造物が、前記特定自然災害に対する脆弱性の程度に応じて複数の構造物グループに分類されたグループ情報を取得するグループ情報取得処理と、
前記特定自然災害による前記対象構造物への影響を示すデータであり、前記対象構造物に対応するデータである指標値データを取得する指標値データ取得処理と、
前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置から前記対象構造物の実被害データを受信する実被害データ通信処理と、
前記特定自然災害による前記対象構造物の被害を推定する推定被害データを、前記グループ情報の前記構造物グループごとに設定された脆弱性パラメータと前記対象構造物に対応する前記指標値データとに基づいて計算し、前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する被害推定処理と、
を実行させる。
前記被害推定処理では、
前記対象構造物に対応する前記指標値データと前記実被害データとの組に基づいて前記対象構造物の属する前記構造物グループに設定されている前記脆弱性パラメータを前記構造物グループごとに更新し、更新された前記脆弱性パラメータを用いて前記推定被害データを再計算し、再計算した前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する。
前記被害推定処理では、
更新された前記脆弱性パラメータの精度を示す推定精度データを、再計算した前記推定被害データを送信する前記端末装置に送信する。
前記コンピュータに、
点検を推奨する前記対象構造物を提案する点検提案データを生成し、生成した前記点検提案データを、前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する点検提案処理を実行させる。
本発明により、指令員が全体の被害状況を高精度かつ早期に把握することができ、点検作業員へ被害把握のために必要な点検の優先順位を提案できる被災把握システムを提供できる。
実施の形態1の図で、被災把握システム1000のシステム構成図。 実施の形態1の図で、被災把握システム1000の機能ブロック図。 実施の形態1の図で、処理装置100のハードウェア構成図。 実施の形態1の図で、端末装置200のハードウェア構成図。 実施の形態1の図で、グループ情報10を示す図。 実施の形態1の図で、被災把握システム1000による被害推定処理の動作を示すフローチャート。 実施の形態1の図で、被災把握システム1000による点検提案処理の動作を示すフローチャート。 実施の形態1の図で、構造物グループを更にサブグループへ分類する方式における脆弱性パラメータを説明する図。 実施の形態1の図で、構造物グループの組を複数設定して分類する方式における、脆弱性パラメータを説明する図。
実施の形態1.
以下、実施の形態1について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態1の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
以下に実施の形態1で使用する記号をまとめておく。
<インデックス及び送受信されるデータ>
(1)i:iは対象構造物Sを特定するインデックスである。対象構造物SはNs個ある想定である。iは1からNsのいずれかの自然数である。Ns個の対象構造物Sは対象構造物Sから対象構造物SNsと表記できる。
(2)j:jは構造物グループGを特定するインデックスである。構造物グループGはNg個ある想定である。jは1からNgのいずれかの自然数である。Ng個の構造物グループGは構造物グループGから構造物グループGNgと表記できる。
(3)x:xは指標値データである。xは対象構造物Sが受けた自然災害の誘因となる指標値データxである。以下に説明する実施の形態1では、自然災害は地震災害を想定する。指標値データは計測震度を想定し、指標値データxは対象構造物Sが受けた計測震度を想定する。指標値データxは実数である。
(4)de及びde’:de及びde’は推定被害データである。推定被害データde及びde’は、対象構造物Sが今回発生した自然災害により推定される被害を受ける確率である。推定被害データde及びde’は実数である。推定被害データde及びde’はそれぞれ後述の式1及び式4で説明する。
(5)Dr:Drは実被害データである。実被害データDrは、対象構造物Sと、対象構造物Sに被害があるかないかを示す1または0の真偽値の組の集合である。例えば、対象構造物Sと対象構造物Sとに被害があり、対象構造物Sに被害がない場合、Dr(i,真偽値)={(1,1),(2,1),(3,0)}
である。
(6)e:eは脆弱性パラメータθを更新する際の推定精度データである。eは実数である。eは後述の式3で説明する。
(7)Dp:Dpは点検提案データである。点検提案データDpは点検作業員が目視点検すべき対象構造物Sを示す。点検提案データDpは、対象構造物Sのインデックスiの集合である。例えば、対象構造物S,S,Sの点検を提案する点検提案データDpは、
Dp(i)=(1,4,5)
である。
<内部変数>
(1)k:kは実被害の真偽値が判明している構造物Sに付与されるインデックスであり、自然数である。例えば、ある特定の構造物グループに含まれる対象構造物Sが、対象構造物S、S,Sの3つ存在し、対象構造物S、Sの真偽値がわかっており、対象構造物Sの真偽値が不明の場合、Sk=1=S、Sk=2=Sである。kは、構造物グループごとに、現在までに真偽値としての実被害データが得られている対象構造物SがNd個あることを想定した際に、実被害データである真偽値が得られている対象構造物Sを特定するインデックスである。
(2)θ及びθ’:θ及びθ’は脆弱性パラメータである。脆弱性パラメータθ及びθ’は、構造物グループGごとに与えられた被害関数のパラメータである。被害関数は後述の式1及び式4で説明する。脆弱性パラメータθ及びθ’は実数である。
(3)draj,k:draj,kは全実被害データである。全実被害データdraj,kは、構造物グループGに属する対象構造物Sの、1または0の真偽値である。例えば、構造物グループGに属する対象構造物Sが対象構造物Sから構造物Sであり、対象構造物Sに被害があり、対象構造物Sに被害があるかどうかの情報がなく、対象構造物Sに被害がない場合、
全実被害データdra1,1=対象構造物S1の真偽値1、
全実被害データdra1,2=対象構造物S3の真偽値0、
である。実被害の不明な対象構造物Sは全実被害データdraj,kには含まれない。
(4)ε:εは推定残差である。推定残差εは脆弱性パラメータθを推定する際の、式1で後述する推定被害データf(x、θ)と全実被害データdraj,kとの残差である。推定残差εは実数である。推定残差εについては、後述の式2で説明する。
<パラメータ>
(1)μ:μは被害関数を正規分布の累積分布関数とした場合の標準偏差である。μは実数である。
(2)θinit,j:θinit,jは脆弱性パラメータθの初期値である。θinit,jは実数である。
(3)εth:εthは脆弱性パラメータを更新する際の推定誤差εの閾値である。εthは実数である。
(4)θmax:θmaxは脆弱性パラメータθが取り得る最大値である。θmaxは実数である。
(5)θmin:θminは脆弱性パラメータθが取り得る最小値である。θminは実数である。
(6)eth:ethは被害推定処理を終了するための推定精度データeの閾値である。ethは実数である。
以下の実施の形態1では、自然災害として地震災害、指標値データxとして構造物が受けた計測震度を例として、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
***構成の説明***
図1は、自然災害の被災状況を把握する被災把握システム1000のシステム構成図である。
図2は、被災把握システム1000の備える処理装置100及び端末装置200の機能ブロック図である。
図3は、処理装置100のハードウェア構成図である。
図4は、端末装置200のハードウェア構成図である。
図1に示すように、被災把握システム1000は、処理装置100と、複数の端末装置200を備えている。処理装置100は、対象構造物Sの被災状況を推定し、また、次に点検すべき対象構造物Sを提案する。端末装置200は、地震による被災状況の把握対象となる対象構造物Sを目視点検する作業員、及び被災状況の全体把握を行う指令所の指令員が利用する。処理装置100と複数の端末装置200とは、通信ネットワーク300を介して互いに通信可能である。
<処理装置100>
図2及び図3を参照して処理装置100を説明する。処理装置100は、コンピュータである。処理装置100は、プロセッサ110を備える。処理装置100は、プロセッサ110の他に、主記憶装置120、補助記憶装置130、入出力IF140、及び通信IF150といった、他のハードウェアを備える。プロセッサ110は、信号線160を介して、他のハードウェアと接続され、他のハードウェアを制御する。なお、インタフェースをIFと表記している。
処理装置100は、機能要素として、指標値データ取得部111、実被害データ通信部112、被害推定部113、点検提案部114及びグループ情報取得部115を備えている。指標値データ取得部111、実被害データ通信部112、被害推定部113、点検提案部114及びグループ情報取得部115の機能は、プログラム131により実現される。
プロセッサ110は、プログラム131を実行する装置である。プログラム131は、指標値データ取得部111、実被害データ通信部112、被害推定部113、点検提案部114及びグループ情報取得部115の機能を実現するプログラムである。プロセッサ110は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ110の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
主記憶装置120は記憶装置である。主記憶装置120の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
補助記憶装置130は、データを不揮発的に保管する記憶装置である。補助記憶装置130は、グループ情報10及びプログラム131を記憶している。補助記憶装置130の具体例は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)である。また、補助記憶装置130は、SD(登録商標)(Secure Digital)メモリカード、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記録媒体であってもよい。
入出力IF140は、各装置からデータが入出力されるポートである。入出力IF140は、各種機器が接続され、各種機器とプロセッサ110がデータを入出力するポートである。図3では、入出力IF140には、表示装置141及び入力装置142が接続されている。通信IF150はプロセッサ110が各端末装置200と通信するための通信ポートである。
プログラム131は、指標値データ取得部111、実被害データ通信部112、被害推定部113、点検提案部114及びグループ情報取得部115の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程を、コンピュータに実行させるプログラムである。また、被災把握方法は、コンピュータである処理装置100がプログラム131を実行することにより行われる方法である。プログラム131は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて提供されてもよいし、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
図2及び図4を参照して端末装置200を説明する。端末装置200もコンピュータである。端末装置200は処理装置100と同様の構成であるので、処理装置100と異なる点を説明し、共通する説明は省略する。端末装置200は、タブレット端末のような可搬端末装置であってもよい。端末装置200は、プロセッサ210を備える。端末装置200は、プロセッサ210の他に、主記憶装置220、補助記憶装置230、入出力IF240、及び通信IF250といった、他のハードウェアを備える。プロセッサ210は、信号線260を介して、他のハードウェアと接続され、他のハードウェアを制御する。
端末装置200は、機能要素として、実被害データ受付部211、推定被害データ表示部212、実被害データ表示部213及び点検提案データ表示部214を備えている。実被害データ受付部211、推定被害データ表示部212、実被害データ表示部213及び点検提案データ表示部214の機能は、プログラム231により実現される。プログラム231は補助記憶装置230に記憶されている。
端末装置200の利用者である点検作業員は、地震後に対象構造物Sを目視で確認して、対象構造物Sの被害の有無を、端末装置200に入力できる。また、指令所に設置された端末装置200の利用者である司令員は、対象構造物Sの実被害または被害の推定結果を、端末装置200によって把握することができる。このため、司令員は、端末装置200によって得られた情報を、鉄道の場合は列車の運行再開、工場の場合は工場の操業再開、自動販売機の場合は被害箇所への修復作業員の派遣、等を行う際の判断材料に用いることができる。
図5は、グループ情報10を示す。グループ情報10は、自然災害の種類が定められた特定自然災害による被災状況の把握対象となる複数の対象構造物Sが、特定自然災害に対する脆弱性の程度に応じて複数の構造物グループGに分類された情報である。この実施の形態1では、上記で述べたように特定自然災害は地震である。図5では、対象構造物S(i=1,2....16)が、構造物グループG(j=1,2,3)に分類されている例を示している。グループ情報10の設定は、プロセスP101の説明で詳しく説明する。
***動作の説明***
図6は、被災把握システム1000による被害推定処理の動作を示すフローチャートである。図6を参照して、被災把握システム1000による被害推定処理の動作を説明する。図6では、処理装置100の動作をプロセスP101からプロセスP106として示し、端末装置200の動作をプロセスP111からプロセスP114として示している。プロセスP101はP101と表記する場合がある。他のプロセスも同様である。図6では複数の端末装置200の代表として、端末装置200aを示している。
<プロセスP101:グループ情報10の設定を取得>
プロセスP101において、グループ情報取得部115は、自然災害の種類が定められた特定自然災害による被災状況の把握対象となる複数の対象構造物が、特定自然災害に対する脆弱性の程度に応じて複数の構造物グループに分類されたグループ情報10を取得する。具体的には以下のようである。
グループ情報10は、例えば、ファイルの形式である。管理者は、入力装置142を用いてグループ情報10をグループ情報取得部115に入力する。これによりグループ情報取得部115はグループ情報10を取得する。入力装置142は、例えばグループ情報10を格納している記憶装置である。グループ情報10は管理者が予め作成した情報である。なお、プロセスP101において、管理者はキーボードのような入力装置142を用いてグループ情報取得部115によりグループ情報10を作成し、グループ情報取得部115に入力しても良い。この場合、グループ情報取得部115はグループ情報10の作成機能を持つ。グループ情報10は補助記憶装置130に格納される。
<グループ情報10の作成>
被災把握システム1000の管理者は、被害把握の対象となる構造物を対象構造物S(i=1〜N)を決定する。グループ情報10を示す図5の例では、管理者が対象構造物として対象構造物Sから対象構造物S16を決定した状態を示す。対象構造物Sは、被災状況を把握する対象となる、住家、工場、倉庫、店舗、自動販売機、鉄橋、鉄柱または線路のような構造物である。但し、線路のように連続的に延長する構造物であっても、複数の部分に分割することで、部分である単一構造物の集合として取り扱うことができる。図5の対象構造物Sから対象構造物S11は、線路を5つの単一構造物に分割した状態を示している。
管理者は、地震に対する脆弱性の程度に応じて、対象構造物Sをどれか1つの構造物グループG(j=1〜N)に分類する。図5では、対象構造物Sから対象構造物S16を、管理者が構造物グループGから構造物グループGの3つのグループに分類した状態を示す。脆弱性の程度は、指標値データxの大きさに対する被害確率の関数である被害関数でモデル化される。管理者は、各構造物グループGを、構造物グループGに分類される対象構造物Sの被害確率が50%となる指標値データxの値(以下「脆弱性パラメータθ」という。)で,パラメータ付けする。
図5に示すように、構造物グループGには脆弱性パラメータはθが対応付けられ、構造物グループGには脆弱性パラメータはθが対応付けられ、構造物グループGには脆弱性パラメータはθが対応付けられている。被害関数については後述する式1で説明する。なお、脆弱性パラメータθは耐震設計の成果物から求めても良いし、以下に述べるように脆弱性パラメータθは実被害を反映して最適値に更新されるので、過去の地震被害を参考に、管理者はおおよその値に設定しても良い。
同一の構造物グループGに属する対象構造物Sが被害を受ける確率は式1に示す被害関数fで計算される。ここで「同一の構造物グループGに属する対象構造物Sが被害を受ける確率」は、推定被害データdeである。
dei=f(x,θ) (式1)
式1において、xは対象構造物Sが受けた指標値データの大きさである。上記のように、指標値データは計測震度である。θは構造物グループGごとに管理者によって初期値が与えられたパラメータである脆弱性パラメータである。推定被害データdeは、対象構造物Sが被害を受ける確率である。
被害関数f(x,θ)は、値域を0%〜100%とするxの単調増加関数であり、xがθに等しい場合に50%となる関数である。例えば、xについての、平均がθで標準偏差がμの正規分布の累積分布関数である。脆弱性パラメータθは以降のプロセスにおける処理で変化するが、管理者は、脆弱性パラメータθを初期値としてθinit、jに設定しておくとする。
<プロセスP102:指標値データxの取得>
プロセスP102において、指標値データ取得部111は、特定自然災害による対象構造物への影響を示すデータであり、対象構造物に対応するデータである指標値データxを取得する。
具体的には以下のようである。地震が発生しその後に地震動が終息したタイミングで、指標値データ取得部111は、対象構造物Sの近傍に設置された観測装置による計測震度の観測結果、あるいは外部機関から配信される対象構造物が受けた推定値を、指標値データxとして取得する。つまり、指標値データxは実際の観測値でも良いし推定値でも良い。
<プロセスP103:指標値データxのみによる被害推定>
被害推定部113は、特定自然災害による対象構造物Sの被害を推定する推定被害データdeを、グループ情報10の構造物グループGごとに設定された脆弱性パラメータθと対象構造物Sに対応する指標値データxとに基づいて計算する。つまり、被害推定部113は式1によって推定被害データdeを計算する。被害推定部113は、推定被害データdeを複数の端末装置200のうち少なくとも一つの端末装置200に送信する。実施の形態1では、被害推定部113は、推定被害データdeを全部の端末装置200に送信するとする。被害推定部113は、式1の被害関数と、プロセスP102で取得した指標値データxとを用いて、対象構造物Sごとの推定被害データdeを計算し、計算した推定被害データdeをすべての端末装置200に送信する。
<プロセスP111:推定被害を表示>
プロセスP111において、推定被害データ表示部212は、処理装置100から対象構造物Sの推定被害データdeを受信した場合、受信した推定被害データdeを表示装置241に表示する。
<プロセスP112:点検作業員から実被害データを受け付け>
複数の端末装置の各端末装置は、対象構造物の実被害データの入力を受け付け、実被害データを処理装置100に送信する。具体的には以下のようである。タブレット端末のような携帯可能な端末装置200を携帯する点検作業員は、対象構造物を目視点検して被害の有無を確認する。点検作業員は、点検結果である実被害データDrを端末装置200の実被害データ受付部211に入力する。実被害データ受付部211は点検作業員による実被害データDrの入力により、実被害データDrを受け付ける。
点検作業員は、端末装置200aを携帯しているとする。対象構造物Sから対象構造物Sのうち、対象構造物Sと対象構造物Sとは被害があり、対象構造物Sの被害の有無は確認できず、対象構造物Sに被害がないとする。
この場合、点検作業員は、実被害データ受付部211に、
Dr(a)={(1,1),(2,1),(4,0)}
を、入力する。端末装置200aの実被害データ受付部211は、点検作業員から実被害データDr(a)を入力されることによって実被害データDr(a)を受け付ける。実被害データ受付部211は、受け付けた実被害データDr(a)を処理装置100に送信する。処理装置100はDr(a)に対象構造物Sの被害を示すデータがないことによって、対象構造物Sの被害状況が未確認であることを知る。
<プロセスP104:実被害データDrを取得>
処理装置100の実被害データ通信部112は、複数の端末装置200のうち少なくとも一つの端末装置200から対象構造物の実被害データを受信する。実被害データ通信部112は、受信した実被害データを、複数の端末装置200のうち実被害データの送信元の端末装置とは異なる端末装置に送信する。処理装置100では、プロセスP112からプロセスP106の繰り返しの中で現在までに得られているすべての実被害データDrを併せて、集合である実被害データDrのすべての要素(i及び真偽値)を、全実被害データdraj,kとする。
処理装置100は、ある端末装置200から受信した実被害データDrを、実被害データDrの送信元の端末装置200とは異なる端末装置200に送信する。実被害データDrを送信する端末装置200は1台でも良いし、複数台でも良いし、実被害データDrの送信元の端末装置200以外の全部の端末装置200でも良い。あるいは実被害データDrの送信元の端末装置200を含め全部の端末装置200に送信しても良い。
図6の具体例で説明すれば以下のようである。端末装置200が端末装置200aと図示していない端末装置200bとの2台であるとする。処理装置100の実被害データ通信部112は、端末装置200aとは異なる端末装置200bから実被害データDr(b)を受信した場合、実被害データDr(b)を端末装置200aに送信する。図6のプロセスP104は、この状態を示している。
<プロセスP113:実被害の表示>
実被害データ表示部213は、処理装置100が他の端末装置から受信した対象構造物の実被害データを処理装置100から受信した場合、実被害データを表示装置241に表示する。
つまり、端末装置200aの実被害データ表示部213は、プロセスP104で処理装置100の実被害データ通信部112によって送信された実被害データDr(b)を、表示装置241に表示する。
<プロセスP105:実被害を反映した被害推定>
被害推定部113は、対象構造物に対応する指標値データと実被害データとの組に基づいて対象構造物の属する構造物グループに設定されている脆弱性パラメータを構造物グループごとに更新する。そして、被害推定部113は、更新された脆弱性パラメータを用いて推定被害データを再計算し、再計算した推定被害データを複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する。また、被害推定部113は、更新された脆弱性パラメータの精度を示す推定精度データeを、再計算した推定被害データを送信する端末装置に送信する。
具体的には以下のようである。
被害推定部113は、構造物グループGごとに、以下の式2で計算される推定残差εが、推定残差閾値εth以下となるθのうちθの最大値をθmax,jとし、θの最小値をθmin,jとする。
Figure 2021033731
但し、θmax,jがθmax以上の場合はθmax,jの値をθmaxとし、θmin,jがθmin以下の場合はθmin,jの値をθminに変更する。また、被害推定部113は、最大値θmax,jと最小値θmin,jとの和の二等分の平均値を、更新された脆弱性パラメータθ’とする。式2において、被害推定部113は、全実被害データdraj,kが真の場合は100%と解釈し、偽の場合は0%と解釈する。なお、xは実被害データが取得されている対象構造物Sに対応する指標値データであり、実施の形態1の冒頭で述べたとおりである。
次に、以下の式3で、被害推定部113は推定精度データeを計算する。
=θmax,j−θmin,j (式3)
次に、被害推定部113は、すべての対象構造物Sについて、更新された脆弱性パラメータθ’を用いて、以下の式4から、更新された推定被害データde’を計算する。
de’i=f(x,θ’) (式4)
被害推定部113は、更新された推定被害データde’及び推定精度データeを、それぞれの端末装置200に送信する。端末装置200に推定精度データeを送信することで、端末装置200が推定被害データde’の精度を知ることができる効果がある。
<プロセスP114:更新された推定被害の表示>
端末装置200の推定被害データ表示部212は、推定被害データde’を受信した場合、表示装置241に推定被害データde’を表示する。
<プロセスP106:収束判定>
被害推定部113は、全ての構造物グループGについて、式3で得られる推定精度データeが、あらかじめ定められた収束パラメータethの値以下の場合、つまり、e≦ethの場合、処理を終了する。それ以外の場合、つまり、e>ethの場合、処理はプロセスP112に戻る。このようにして、被害推定部113は、更新された脆弱性パラメータの精度が閾値を超える場合には、更新された脆弱性パラメータの精度が閾値以下になるまで、指標値データと実被害データ通信部112によって新たに受信される実被害データとの組に基づき脆弱性パラメータの更新を繰り返えす。
図6に説明した以上の手順によって、実被害データが得られていない対象構造物Sに対しても、精度の高い推定被害データを提供可能となる。
図7は、被災把握システム1000における点検提案処理の手順を示すフローチャートである。図7を参照して被災把握システム1000における点検提案処理の手順を説明する。
処理装置100の点検提案部114は、点検を推奨する対象構造物Sを提案する点検提案データDpを生成し、生成した点検提案データDpを、複数の端末装置200のうち少なくとも一つの端末装置200に送信する。各端末装置200の点検提案データ表示部214は、処理装置100から点検提案データDpを受信した場合、受信した点検提案データDpを表示装置241に表示する。
具体的には以下のようである。
プロセスP201において、点検提案部114は、処理装置100が指標値データxを取得(プロセスP102)した後、または、処理装置100が実被害データDrを取得(プロセスP104)した後に点検提案データDpを生成し、点検提案データDpを端末装置200へ送信する。点検提案データDpを送信する端末装置200は1台でも良いし、複数台でも良いし、全部の端末装置200でも良い。点検提案部114は、実被害データを得ることで推定精度データeを小さくできる見込みのある対象構造物Sのインデックスiを持つ点検提案データDpを生成し、通信IF150を介して端末装置200へ送信する。
プロセスP211において、点検提案データDpを受信した端末装置200の点検提案データ表示部214は、点検提案データDpを表示装置241に表示する。
***点検提案データDpの効果***
プロセスP101、P102,P103,P104、P105,P106、P111、P112,P113及びP114からなる被害推定処理において、処理装置100が指標値データxを取得(プロセスP102)した後、または、処理装置100が実被害データDrを取得(プロセスP104)した後に、点検提案部114が、構造物グループGごとに、何れの対象構造物Sを目視点検すれば推定精度データeをより小さくできるか、点検提案データDpを生成する。
この点検提案データDpによって、点検提案データDpを受信した端末装置200からプロセスP112で新たに送信される実被害データDrを得ることによって、処理装置100では推定精度データeを小さくすることで収束判定(プロセスP106)を早めることができる。よって、より早期に被害状況を把握することが可能となる。
具体的には、ある構造物グループGについて、目視点検した対象構造物が無い場合は、点検提案部114は、最も大きな指標値データとなる対象構造物Sのインデックスを持つ点検提案データDpを生成し提案する。そうすることで、もし提案された構造物に被害が無いことが確認できれば、θmin,jの値を大きくすることができるので、eの値を小さくすることができる。
また、ある構造物グループGについて、目視点検した全ての対象構造物に対して被害が無いことが確認できていれば、点検提案部114は、実被害データが得られている対象構造物の指標値データよりも大きな指標値データとなる対象構造物Sのインデックスを持つ点検提案データDpを生成し提案する。そうすることで、もし提案された構造物に被害が無いことが確認できれば、θmin,jの値を大きくすることができるので、eの値を小さくすることができる。
同様に、ある構造物グループGについて、目視点検した全ての対象構造物に対して被害が有ることが確認できていれば、点検提案部114は、実被害データが得られている対象構造物の指標値データよりも小さな指標値データとなる対象構造物Sのインデックスを持つ点検提案データDpを生成し提案する。そうすることで、もし提案された構造物に被害が有ることが確認できれば、θmax,jの値を小さくすることができるので、eの値を小さくすることができる。
また、ある構造物グループGについて、目視点検した対象構造物に対して被害が有る場合と無い場合とが確認できていれば、点検提案部114は、被害が有る対象構造物の指標値データの最小値と被害が無い対象構造物の指標値データの最大値との中間の指標値データが対応付けられた対象構造物Sのインデックスを持つ点検提案データDpを生成し提案すればよい。その場合、被害の有無にかかわらず、eの値を半分程度に小さくすることができる。
***実施の形態1の効果***
(1)実施の形態1の被災把握システム1000では、端末装置200が推定被害を表示(プロセスP111、プロセスP114)し、及び実被害を表示(プロセスP113)する。よって、実施の形態1の被災把握システム1000によれば、指令所の指令員は、端末装置200によって、被害の全体状況を高精度かつ早期に把握できる。
(2)実施の形態1の被災把握システム1000では、被害推定部113は、更新される脆弱性パラメータθの精度を示す推定精度データeが閾値以下になるまで、脆弱性パラメータθの更新を繰り返す。よって、より精度の高い推定被害データを得ることができる。
(3)実施の形態1の被災把握システム1000では、上記に述べた「点検提案データDpの効果」を得ることができる。
なお、実施の形態1では、特定自然災害として地震を想定した。しかし、特定自然災害として、豪雨または強風のような災害を想定しても良い。豪雨を対象とした場合は雨量、強風災害を対象とした場合は風速をそれぞれ指標値データとすることができる。地震、豪雨または強風のような自然災害以外の自然災害に対しても、実施の形態1の適用が可能である。
また、特定自然災害として地震を想定した場合であっても、計測震度以外の、加速度、速度、変位、加速度応答、速度応答、変位応答、SI値、リアルタイム震度等の地震動が構造物へ与える揺れの大きさを示す値を指標値データとして、実施の形態1の適用が可能である。
また、前回の自然災害発生の場合に最終結果として得られた更新後の脆弱性パラメータの値、全実被害データの値、指標値データの値等を外部記憶装置に記録して、次回の自然災害発生の場合に利用することで、脆弱性パラメータの値を、逐次高精度なものへ学習する実施形態も可能である。
また、対象構造物S及び構造物グループGの数は、任意の大きさとする実施形態が可能である。
また、構造物グループを更にサブグループへ分類する実施形態も可能である。具体例は図8で後述する。その場合、例えば、そのサブグループに含まれる対象構造物の脆弱性パラメータをθ+θj,jmとする。
ここで、jmは構造物グループGに含まれるサブグループを特定するインデックスである。θj,jmは各構造物グループ内のサブグループの違いを特徴づける脆弱性パラメータである。このように構造物グループを細分化する事で被害状況をより高精度に推定できる効果がある。
図8は、上記で構造物グループを更にサブグループへ分類する方式を具体例で説明する図である。図8に示すグループ情報は、構造物グループとして、対象構造物S1から対象構造物S6を有する例である。図8では、対象構造物S1から対象構造物S4がサブグループ1に含まれ、対象構造物S5及び対象構造物S6がサブグループ2に含まれる。サブグループ1に含まれる対象構造物S1から対象構造物S4の脆弱性パラメータは、θj=1+θj=1,jm=1となる。またサブグループ2に含まれる対象構造物S5,S6の脆弱性パラメータはθj=1+θj=1,jm=2となる。
また、グループ情報10のような構造物グループの組を複数設定し、各対象構造物は各構造物グループの組についてそれぞれで分類する実施形態も可能である。具体例は図9で後述する。
その場合、例えば、各対象構造物の脆弱性パラメータを
θ j1+θ j2+…+θ jn…+θ jA (式5)
とする。ここで、θ j1,θ j2,..,θ jn,..,θ jAは、それぞれその対象構造物を含む各構造物グループの組を特徴づける脆弱性パラメータである。Aは構造物グループの組の数である。nはそのうちのどれかを特定するインデックスである。
jnはその構造物グループの組のなかでどの構造物グループに含まれるかを特定するインデックスである。
このように構造物グループを複数設定する事で被害状況をより高精度に推定できる効果がある。
図9は、グループ情報10のような構造物グループの組を複数設定し、各対象構造物は各構造物グループの組についてそれぞれで分類する方式を具体例で説明する図である。図9では、グループ情報10を組1、グループ情報20を組2のように設定して、構造物グループの組を複数設定、すなわち二組設定している。各対象構造物は各構造物グループの組について、それぞれで分類する。つまり、対象構造物S1から対象構造物S6は、グループ情報10に属し、かつ、グループ情報20にも属するように分類される。その場合、例えば、各対象構造物の脆弱性パラメータは、上記の式5、つまり、
θ j1+θ j2+…+θ jn…+θ jA
で計算される。図9のグループ情報10には、構造物グループ1と構造物グループ2が設定されている。グループ情報10では、上記のn及びjnの定義によって、構造物グループ1の脆弱性パラメータはθ jnについては組1によってn=1、構造物グループ1によってjn=1であるのでθ である。
構造物グループ2の脆弱性パラメータはn=1、jn=2であるのでθ である。同様に、グループ情報20では、構造物グループ1の脆弱性パラメータはθ であり、構造物グループ2の脆弱性パラメータはθ である。このとき、例えば、対象構造物Sの脆弱性パラメータθ(1)は、
θ(1)=θ +θ
と計算される。また、例えば対象構造物Sの脆弱性パラメータθ(2)は、
θ(2)=θ +θ
と計算される。
また、構造物グループは、地域的な影響を考慮する為に場所の違いでグループ分けを行う実施形態や、降雨、降雪又はこれまでに受けた地震動による地盤の脆弱化や液状化現象の起こりやすさを考慮したグループ分けを行う実施形態が可能である。このようにグループ分けを行う事で被害状況をより高精度に推定できる効果がある。
また、各構造物グループについて全壊と半壊等の多段階の被害状況に個別の脆弱性パラメータを対応付ける実施形態も可能である。このように被害状況を細分化する事で被害状況をより高精度に推定できる効果がある。
10,20 グループ情報、100 処理装置、110 プロセッサ、111 指標値データ取得部、112 実被害データ通信部、113 被害推定部、114 点検提案部、115 グループ情報取得部、120 主記憶装置、130 補助記憶装置、131 プログラム、140 入出力IF、141 表示装置、142 入力装置、150 通信IF、160 信号線、200 端末装置、210 プロセッサ、211 実被害データ受付部、212 推定被害データ表示部、213 実被害データ表示部、214 点検提案データ表示部、220 主記憶装置、230 補助記憶装置、231 プログラム、240 入出力IF、241 表示装置、242 入力装置、250 通信IF、260 信号線、300 通信ネットワーク、1000 被災把握システム。

Claims (12)

  1. 処理装置と、前記処理装置と接続する複数の端末装置とを備える被災把握システムであって、
    前記処理装置は、
    自然災害の種類が定められた特定自然災害による被災状況の把握対象となる複数の対象構造物が、前記特定自然災害に対する脆弱性の程度に応じて複数の構造物グループに分類されたグループ情報を取得するグループ情報取得部と、
    前記特定自然災害による前記対象構造物への影響を示すデータであり、前記対象構造物に対応するデータである指標値データを取得する指標値データ取得部と、
    前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置から前記対象構造物の実被害データを受信する実被害データ通信部と、
    前記特定自然災害による前記対象構造物の被害を推定する推定被害データを、前記グループ情報の前記構造物グループごとに設定された脆弱性パラメータと前記対象構造物に対応する前記指標値データとに基づいて計算し、前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する被害推定部と、
    を備え、
    前記複数の端末装置の各端末装置は、
    前記対象構造物の前記実被害データの入力を受け付け、前記実被害データを前記処理装置に送信する実被害データ受付部と、
    前記処理装置から前記対象構造物の推定被害データを受信した場合、受信した前記推定被害データを表示装置に表示する推定被害データ表示部と、
    を備える被災把握システム。
  2. 前記被害推定部は、
    前記対象構造物に対応する前記指標値データと前記実被害データとの組に基づいて前記対象構造物の属する前記構造物グループに設定されている前記脆弱性パラメータを前記構造物グループごとに更新し、更新された前記脆弱性パラメータを用いて前記推定被害データを再計算し、再計算した前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する請求項1に記載の被災把握システム。
  3. 前記被害推定部は、
    更新された前記脆弱性パラメータの精度を示す推定精度データを、再計算した前記推定被害データを送信する前記端末装置に送信する請求項2に記載の被災把握システム。
  4. 前記処理装置は、さらに、
    点検を推奨する前記対象構造物を提案する点検提案データを生成し、生成した前記点検提案データを、前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する点検提案部を備え、
    前記各端末装置は、
    前記点検提案データを受信した場合、受信した前記点検提案データを前記表示装置に表示する点検提案データ表示部を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被災把握システム。
  5. 複数の端末装置と通信する処理装置であって、
    自然災害の種類が定められた特定自然災害による被災状況の把握対象となる複数の対象構造物が、前記特定自然災害に対する脆弱性の程度に応じて複数の構造物グループに分類されたグループ情報を取得するグループ情報取得部と、
    前記特定自然災害による前記対象構造物への影響を示すデータであり、前記対象構造物に対応するデータである指標値データを取得する指標値データ取得部と、
    前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置から前記対象構造物の実被害データを受信する実被害データ通信部と、
    前記特定自然災害による前記対象構造物の被害を推定する推定被害データを、前記グループ情報の前記構造物グループごとに設定された脆弱性パラメータと前記対象構造物に対応する前記指標値データとに基づいて計算し、前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する被害推定部と、
    を備える処理装置。
  6. 前記被害推定部は、
    前記対象構造物に対応する前記指標値データと前記実被害データとの組に基づいて前記対象構造物の属する前記構造物グループに設定されている前記脆弱性パラメータを前記構造物グループごとに更新し、更新された前記脆弱性パラメータを用いて前記推定被害データを再計算し、再計算した前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する請求項5に記載の処理装置。
  7. 前記被害推定部は、
    更新された前記脆弱性パラメータの精度を示す推定精度データを、再計算した前記推定被害データを送信する前記端末装置に送信する請求項6に記載の処理装置。
  8. 前記処理装置は、さらに、
    点検を推奨する前記対象構造物を提案する点検提案データを生成し、生成した前記点検提案データを、前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する点検提案部を備える請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の処理装置。
  9. 複数の端末装置と通信する処理装置であるコンピュータに、
    自然災害の種類が定められた特定自然災害による被災状況の把握対象となる複数の対象構造物が、前記特定自然災害に対する脆弱性の程度に応じて複数の構造物グループに分類されたグループ情報を取得するグループ情報取得処理と、
    前記特定自然災害による前記対象構造物への影響を示すデータであり、前記対象構造物に対応するデータである指標値データを取得する指標値データ取得処理と、
    前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置から前記対象構造物の実被害データを受信する実被害データ通信処理と、
    前記特定自然災害による前記対象構造物の被害を推定する推定被害データを、前記グループ情報の前記構造物グループごとに設定された脆弱性パラメータと前記対象構造物に対応する前記指標値データとに基づいて計算し、前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する被害推定処理と、
    を実行させるプログラム。
  10. 前記被害推定処理では、
    前記対象構造物に対応する前記指標値データと前記実被害データとの組に基づいて前記対象構造物の属する前記構造物グループに設定されている前記脆弱性パラメータを前記構造物グループごとに更新し、更新された前記脆弱性パラメータを用いて前記推定被害データを再計算し、再計算した前記推定被害データを前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する請求項9に記載のプログラム。
  11. 前記被害推定処理では、
    更新された前記脆弱性パラメータの精度を示す推定精度データを、再計算した前記推定被害データを送信する前記端末装置に送信する請求項10に記載のプログラム。
  12. 前記コンピュータに、
    点検を推奨する前記対象構造物を提案する点検提案データを生成し、生成した前記点検提案データを、前記複数の端末装置のうち少なくとも一つの端末装置に送信する点検提案処理を実行させる請求項9から請求項11のいずれか1項に記載のプログラム。
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