JP2021032867A - 生物粒子測定装置及び生物粒子測定方法 - Google Patents

生物粒子測定装置及び生物粒子測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生物粒子の濃度を精度よく測定する技術の提供。【解決手段】生物粒子測定装置1において測定開始の指示がなされると、試料流体の流れが止められて、深紫外線の照射及び受光信号のサンプリングが開始される(時刻t1)。深紫外線の照射開始直後は、蛍光強度が非常に急速に減衰するため、信号波形の傾きは所定値(負数)よりも小さいが、時間の経過に伴って徐々に減衰が緩やかになり、これに伴って信号波形の傾きは徐々に大きくなり、やがて所定値以上となる(時刻t2)。その後、測定時間が経過すると、深紫外線の照射及び受光信号のサンプリングが終了される(時刻t3)。本実施形態の解析処理においては、時刻t1から時刻t2までの時間帯Δtが割り出され、この時間帯Δtにおける蛍光強度の減衰量がトリプトファン及びチロシンに由来する蛍光成分の減衰量、すなわち生物粒子に対応する減衰量として算出され、これに基づいて濃度判定がなされる。【選択図】図9

Description

本発明は、試料流体に含まれる生物由来の粒子(以下、「生物粒子」と称する。)の濃度や個数を測定する生物粒子測定装置及びその方法に関する。
従来、気体中又は液体中に存在する生物粒子をリアルタイムで検出するための様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1においては、空気中に浮遊する粒子に青色光を照射すると生物粒子の他にも化学繊維の埃等が蛍光を発すること、また、生物粒子の方が埃等よりも蛍光の退色が速く生じることに着目し、生物粒子の蛍光が概ね退色し終えるまでの所定時間にわたり青色光を照射し続け、青色光の照射直後の蛍光強度と照射開始から所定時間経過後の蛍光強度との差を測定することで生物粒子の量を求め、その結果に基づいて生物粒子の濃度を算出する微生物検出装置が開示されている。
特開2011−83214号公報
上記の先行技術においては、生物粒子の蛍光が概ね退色し終えるまでの所定時間にわたり分単位で青色光を照射し続けるため、所定時間内には、埃等についても速度は生物粒子より緩やかではあるが蛍光の退色が進行する。そのため、青色光の照射直後の蛍光強度と照射開始から所定時間経過後の蛍光強度との差により求められた減衰量には、埃等に由来する減衰量が含まれており、この減衰量に基づいて算出された濃度には、埃等に由来する濃度が含まれている。このように、上記の先行技術においては、生物粒子の濃度を算出する上で非生物粒子の影響を避けることが困難である。
そこで、本発明は、生物粒子の濃度を精度よく測定する技術の提供を課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の生物粒子測定装置及び生物粒子測定装置を採用する。なお、以下の括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、本発明の生物粒子測定装置及び生物粒子測定方法は、流体に向けて所定の測定時間にわたり所定の波長の光を照射するとともに、この測定時間の間に流体に含まれる粒子から放出される蛍光を選択的に受光し、当該蛍光の強度に応じた大きさで出力される信号を一定時間毎に取得する。その上で、取得された信号の波形の傾きを算出し、測定時間内における傾きが所定値より小さい時間帯に生じた蛍光強度の減衰量を生物粒子に由来する減衰量であるとして、流体に含まれる生物粒子の濃度を判定するものである。
実験の結果から、所定の波長の光を照射した場合に粒子から放出される蛍光の強度が減衰(減弱)していく速度は、粒子に含まれる蛍光物質が何に由来するものであるかにより異なることが判っている。この態様においては、生物粒子に含まれる特定の物質(例えば、トリプトファン及びチロシン)が指標とされ、また、流体に含まれる生物粒子が粒子群として捉えられ、サンプリングされた信号波形の傾きが所定値より小さい時間帯における蛍光強度の減衰を特定の物質に由来する減衰、すなわち生物粒子に由来する減衰であるとして、生物粒子の濃度が判定される。したがって、この態様によれば、特定の物質以外の影響を受けにくく、生物粒子の濃度を精度よく判定することができる。
好ましくは、生物粒子測定装置及び生物粒子測定方法は、蛍光強度の減衰量と生物粒子の濃度との関係を表す所定の関係式に基づいて、上記の傾きが所定値より小さい時間帯における蛍光強度の減衰量から生物粒子の濃度を判定する。
実験の結果から、蛍光強度の減衰量と生物粒子の濃度との間には一定の比例関係が成立することが導き出されており、この態様においては、生物粒子の濃度判定を行う上で、実験の結果から導き出された比例関係を示す関係式が適用される。したがって、この態様によれば、生物粒子の濃度を一段と精度よく判定することができる。
また、好ましくは、生物粒子測定装置及び生物粒子測定方法は、所定の測定時間にわたり流体の流入及び排出を停止させる。
この態様によれば、流体に含まれる粒子に所定波長の光を連続照射する時間を確保することができるため、生物粒子に含まれる蛍光物質の減衰をより確実に進行させて、生物粒子の濃度をさらに精度よく判定することが可能となる。
なお、生物粒子測定装置及び生物粒子測定方法は、上述した構成に代えて、流体に向けて所定の波長の光を照射し、流体に含まれる粒子から放出される蛍光を選択的に受光して、当該蛍光の強度に応じた大きさで出力される信号を取得した上で、信号の波形の傾きを算出し、傾きが所定値より小さい時間帯を含む場合、又は、傾きが所定値より小さい場合に、蛍光が受光された粒子を生物粒子として計数するものとしてもよい。
この態様によれば、流体における生物粒子濃度が低く、流体に含まれる生物粒子を粒子群として捉えることが困難な場合であっても、受光された蛍光の信号の傾きに応じて生物粒子としての計数がなされるため、生物粒子の計数を精度よく行うことができる。
より好ましくは、生物粒子測定装置及び生物粒子測定方法において、粒子から放出される所定の波長域にある光を透過させることにより、粒子から放出される蛍光以外の光を低減させて所定の波長域にある蛍光を選択的に受光する。
所定の波長の光を照射した場合に粒子から放出される蛍光の波長域は、照射した光により励起される蛍光物質によって様々であるが、この態様によれば、指標とされた生物粒子に含まれる特定の物質(例えば、トリプトファン及びチロシン)に由来する自家蛍光を確実に受光することができるとともに、粒子から放出されるその他の光の影響をできる限り回避することができる。
さらに好ましくは、生物粒子測定装置及び生物粒子測定方法において、トリプトファン及びチロシンの吸収波長域内の所定波長(例えば、280nm)の光を照射するとともに、流体が液体である場合に生じるラマン散乱光の波長より長い波長域(例えば、330〜400nm)にある光を透過させて粒子から放出される蛍光を選択的に受光する。
この態様によれば、250〜300nmに強い吸収帯を持つとともに300〜400nmに強い自家蛍光を持つトリプトファン及びチロシンの性質を利用し、280nmの深紫外線の照射により生物粒子から放出される330〜400nmの波長域にある自家蛍光を確実に受光することができる。また、流体が液体である場合には、例えば、280nmの深紫外線を照射すると水との作用によりラマン散乱光が310nm付近に出現し、254nmの深紫外線を照射すると水との作用によりラマン散乱光が280nm付近に出現するが、280nmの深紫外線の場合には330〜400nmの波長域にある光を透過させ、また、254nmの深紫外線の場合には300〜400nmの波長域にある光を透過させるという具合に、ラマン散乱光の波長より長い波長域にある光を透過させることで、自家蛍光の透過とラマン散乱光の低減を同時に行うことができる。したがって、この態様によれば、生物粒子に由来する自家蛍光をさらに確実に受光することができ、結果として、生物粒子の濃度をさらに精度よく判定することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、生物粒子の濃度を精度よく測定することができる。
第1実施形態における生物粒子測定装置の概略構成図である。 第1実施形態における受光器の構成を示す図である。 第1実施形態における測定ユニットの構成を示す機能ブロック図である。 第1実施形態における生物粒子測定処理の手順例を示すフローチャートである。 第1実施形態におけるデータ解析処理の手順例を示すフローチャートである。 トリプトファン及びチロシンの吸光スペクトルを示すグラフである。 メチロバクテリウム属細菌の菌液に対する深紫外線の照射前後における細菌の自家蛍光スペクトルを示すグラフである。 シュードモナス属細菌の菌液に対する深紫外線の照射前後における細菌の自家蛍光スペクトルを示すグラフである。 深紫外線の照射前後の時間の経過に伴う蛍光強度の変化を示すグラフである。 蛍光強度減衰量と生物粒子濃度との関係を示すグラフである。 第1実施形態の変形例における検出ユニットの構成を示す図である。 第1実施形態の変形例におけるデータ解析処理の手順例を示すフローチャートである。 第2実施形態における生物粒子測定装置の概略構成図である。 第2実施形態における受光器の構成を示す図である。 第2実施形態におけるデータ解析処理の手順例を示すフローチャートである。 第2実施形態における2つの受光器により受光された蛍光に対応する蛍光受光信号の分布の一例を比較して示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は好ましい例示であり、本発明はこの例示に限定されるものではない。
〔生物粒子測定装置の構成:第1実施形態〕
図1は、第1実施形態における生物粒子測定装置1の構成を簡略的に示す図である。発明の理解を容易とするために、図1においては一部の構成の図示を省略している。なお、生物粒子測定装置とは、生物粒子の濃度や個数を測定する装置の一態様であり、これを生物粒子測定装置とするのか生物粒子測定器とするのかは、単なる呼称の違いに過ぎない。
図1に示されるように、生物粒子測定装置1は、大きくみると検出ユニット2及び測定ユニット3から成る。このうち、検出ユニット2は、試料流体に所定波長の光を照射し、試料流体に含まれる粒子P、すなわち生物粒子及び非生物粒子と照射光との相互作用により生じる各種の光を検出する部分である。また、測定ユニット3は、検出ユニット2による光の照射や受光を制御するとともに、受光信号に基づいて試料流体に含まれる生物粒子の濃度を測定する部分である。生物粒子測定装置1においては、検出ユニット2と測定ユニット3とが連携することにより、生物粒子の濃度を測定することができる。なお、以下の説明においては、検出ユニット2及び測定ユニット3によりなされる一連の処理を総括して「測定」と称する場合がある。
ところで、微生物をはじめとする生物粒子の細胞の成分には、タンパク質が含まれる。食品や医療等の様々な分野においては紫外線が殺菌に利用されているが、これは、タンパク質が280nm付近(250〜300nm)に強い吸収帯を持ち、この波長域の紫外線を照射するとタンパク質の分解が進むという原理を応用したものである。より具体的には、タンパク質の構成物質の中でも、アミノ酸の一種であるトリプトファン及びチロシンは、280nm(250〜300nm)付近に強い吸収帯を持つとともに300〜400nmに強い自家蛍光を持つことが広く知られている。トリプトファン及びチロシンは、吸収帯の波長域の紫外線を照射すると、その直後には自家蛍光が励起されて強い自家蛍光を発するが、その一方で、紫外線の照射によりトリプトファン及びチロシンの光分解も同時に進行するため、時間の経過とともに自家蛍光の強度が減衰していく。
検出ユニット2は、上述したトリプトファン及びチロシンの性質を利用して、試料流体に含まれる粒子Pから生じる蛍光の検出を行うものである。なお、トリプトファン及びチロシンの吸光スペクトルや深紫外線の照射前後における細菌の励起及び蛍光スペクトルについては、別の図面を用いてさらに後述する。
検出ユニット2は、発光器10、照射用レンズ20、フローセル30、受光器100等で構成されている。発光器10は、例えば、UV−Cの波長領域の光を発する深紫外LED(DUV−LED)であり、照射光をフローセル30に向けて出射する。本実施形態においては、トリプトファン・チロシンの吸収効率を最大限に高めるため、照射光の波長として280nmが採用されている。照射光の光路上には、照射用レンズ20が設けられている。照射用レンズ20は、例えば、コリメーターレンズ、両凸レンズ、シリンドリカルレンズ等の光学レンズで構成されており、発光器10が出射した照射光の広がり角を平行以下に調整してフローセル30の内部に集光する。フローセル30は、石英やサファイア等の透明な材料で筒状に形成されており、その内部が試料流体の流路となる。
フローセル30の上流側(図1におけるフローセル30の下側)は、工場設備等の試料流体が流れるパイプから分岐させた配管に接続されており、試料流体はこの配管を介してフローセル30に流し込まれる。また、フローセル30の下流側(図1におけるフローセル30の上側)に接続された配管の端部は、排出弁34により塞がれている。排出弁34は、試料流体の排出及び流量を制御するバルブであり、排出弁34が開くことにより、試料流体はフローセル30の外部へ排出される。第1実施形態においては、試料流体の流入を停止させつつ排出弁34を閉じた状態、すなわち試料流体の流れが止められた状態で測定が行われる。排出弁34の開口面積を増減させることにより、流量を制御することができる。また、ビーカーなどの容器内の試料流体を測定する場合には、排出弁の下流側にポンプ(不図示)を設ける。ポンプは、試料流体の流入を制御する機器であり、この場合には、試料流体はポンプの動作によりフローセル30に流し込まれる。
試料流体が流し込まれた状態のフローセル30に向けて、発光器10から照射光が出射されると、照射光は照射用レンズ20により集光されてフローセル30に入射する。これにより、フローセル30内部の所定の位置に、試料流体に含まれる粒子Pから生じる光を検出するための検出領域が形成される。そして、照射光が生物粒子の細胞内のトリプトファンやチロシンにより吸収されると、トリプトファンやチロシンの自家蛍光が励起され、300〜400nmの波長域の蛍光が高い強度で放出されることとなる。
また、フローセル30を介して発光器10とは反対側の位置、すなわち照射光の光軸に対して前方の位置には、受光器100が設けられている。受光器100は、所定の波長域の蛍光を透過させる光学フィルタ64や蛍光を受光するための受光素子70等で構成されており、検出領域を通過する粒子Pと照射光との相互作用により生じる光を選択的に受光した上で、受光量に応じた大きさの電気信号(受光信号)を出力する。なお、受光器100は、照射光の光軸に対して側方の位置に設けてもよい。また、受光器100の詳細な構成については、次の図面を参照しながら詳しく後述する。
測定ユニット3は、記憶部200、操作入力部210、制御部220、信号処理部230、解析部240、結果出力部250等で構成されている。このうち、制御部220は、検出ユニット2を構成する機器の動作を制御するものであり、発光器10による照射光の出射、排出弁34の開閉、受光器100による受光を制御する。また、信号処理部は、受光器100から出力される電気信号の処理を行う。なお、測定ユニット3の詳細な構成については、別の図面を参照しながら詳しく後述する。
図2は、第1実施形態における受光器100の構成を示す図である。
上述したように、フローセル30の内部に形成された検出領域を粒子P(生物粒子及び非生物粒子)が通過すると、粒子Pと照射光との相互作用により、粒子Pから蛍光や散乱光が放出される。また、試料流体が液体である場合には、水によるラマン散乱光も生じる。検出領域で生じるこれらの光が、受光器100に入射する。さらに、受光器100が照射光の光軸に対して前方の位置に設けられている場合には、検出領域で粒子Pに作用することなくフローセル30を透過した照射光もまた、受光器100に入射する。なお、受光器100が照射光の光軸に対して側方の位置に設けられている場合には、検出領域で粒子Pに作用することなくフローセル30を透過した照射光は、受光器100には入射しない。
受光器100において光が入射する位置には、光学フィルタ64が配置されている。光学フィルタ64は、例えば、バンドパスフィルタである。本実施形態においては、300〜400nmに強い自家蛍光を持つトリプトファン及びチロシンを指標とするため、これに対応して、330〜380nmの光を透過させるバンドパスフィルタが採用されている。試料流体が液体である場合には、280nmの光を照射すると、ラマン散乱光が310nm付近に出現するため、光学フィルタ64の透過波長帯を330〜380nmに設定することにより、この波長域の蛍光を透過させつつ、ラマン散乱光をカットすることができる。なお、光学フィルタ64の透過波長帯はこれに限定されない。例えば、上限を拡げて330〜400nmに設定することも可能である。
光学フィルタ64を透過した光、すなわち蛍光の光路上には、受光用レンズ66が配置されている。蛍光は、受光用レンズ66により集光されて、蛍光用受光素子70に入射する。蛍光用受光素子70は、例えば、フォトダイオード(PD、半導体光学素子)又はフォトマルチプライヤーチューブ(PMT、光電子増倍管)であり、受光した光の強度(光量)に応じた大きさの電圧値により電気信号を出力する。なお、蛍光用受光素子70により出力された電気信号は、測定ユニット3の信号処理部230に入力される。
また、受光器100に入射した光が蛍光用受光素子70に到達するまでの光路は、遮光壁62で覆われている。遮光壁62は、例えば、筒状をなす構造物である。遮光壁62により、蛍光以外の光が蛍光用受光素子70に入射することを防止することができる。
図3は、第1実施形態における測定ユニット3の構成を示す機能ブロック図である。
測定ユニット3は、例えば、記憶部200、操作入力部210、制御部220、信号処理部230、解析部240、結果出力部250等で構成されている。説明の便宜のため、ここでは、生物粒子測定装置1を利用する際の流れに沿って各機能を説明する。
操作入力部210は、画面やボタン等の操作手段をユーザに提供するとともに、操作手段を介してユーザによりなされる操作を受け付ける。ユーザは、操作手段を介して、測定開始の操作や、測定に関するタイマ(例えば、指定時刻に測定を実行させるタイマや、測定を定期的に繰り返し実行させるタイマ)の設定等の操作を行うことができる。操作入力部210は、測定開始の操作を受け付けると、制御部220に対し測定の開始を指示する。なお、操作入力部210は、インターネットや無線LAN等のネットワークを介してなされる遠隔操作を受け付ける構成としてもよい。
制御部220は、検出ユニット2を構成する各種の機器に関し、測定に関わる動作を制御する。制御部220は、例えば、排出弁34の開閉を制御する流体制御部222と、発光器10による照射光の出射の開始及び終了(連続照射時間)を制御する照射制御部224と、受光器100による受光の開始及び終了を制御する受光制御部226と、受光器100から出力される電気信号のサンプリングを制御する測定制御部228を有している。
信号処理部230は、測定制御部228の指示により電気信号のサンプリングが開始されてから終了されるまでの間、受光器100から出力される電気信号を受信し、これらの信号に対して必要とされる処理を行う。信号処理部230は、例えば、増幅部232及びA/D変換部234を有している。増幅部232は、受信した電気信号を所定の増幅率で増幅する。また、A/D変換部234は、増幅部232により増幅された電気信号(アナログ信号)を所定の間隔をおいて(一定時間毎に)サンプリングしデジタル信号に変換する。A/D変換部234により変換されたデジタル信号は、記憶部200に記憶される。
生物粒子測定装置1に電源が投入されると、受光器100により受光が開始されて電気信号が出力され増幅部232に入力されることとなるが、この時点では未だA/D変換部234によるサンプリングは開始されない。その後、測定開始の指示がなされると、先ず、流体制御部222が、排出弁34を閉状態に切り替えて試料流体の排出口を閉鎖し、試料流体の流入を停止させる。これにより、フローセル30の内部における試料流体の流れを止めて安定させる。その上で、照射制御部224が、発光器10に照射光の出射を開始させる。これにより、フローセル30に向けて照射光が出射され、これに応じて試料流体に含まれる粒子Pの蛍光物質が照射光にμ秒オーダで反応し、照射光の出射開始とほぼ同時に蛍光を発する(なお、以下の説明においては、粒子Pの蛍光物質が照射光に反応して蛍光を発する、出射開始からμ秒経過後のタイミングを「照射直後」と称することとする。)。
これらの準備が整った直後に、測定制御部228の指示を受けA/D変換部234が受光器100から出力され増幅部232で増幅された電気信号のサンプリングを開始する。サンプリングは、予め設定された測定時間(例えば、30秒)にわたり、所定の間隔をおいて(例えば、100〜500ms毎に)実行される。サンプリングされたデータは、後述する信号処理部230を経て記憶部200に記憶される。なお、照射光の出射と電気信号のサンプリングは同時に開始してもよいし、照射光を安定させるために敢えて両者の開始タイミングをずらし、照射光の出射を開始してから極めて短時間の経過後に電気信号のサンプリングを開始してもよい。
その後、測定時間が経過すると、測定制御部228が電気信号のサンプリングを終了するとともに、照射制御部224が発光器10に照射光の出射を終了させ、流体制御部222が排出弁34を開状態に切り替えてフローセル30の内部に滞留されていた試料流体を外部へ排出させる。
記憶部200は、いわゆる記憶領域(メモリ)であり、例えば、測定データ記憶部202及び事前記憶部204を有している。測定データ記憶部202は、A/D変換部234により変換されたデジタル信号を記憶する。これにより、信号波形をサンプリングしたデータが記憶される。測定データ記憶部202は、サンプリングされた信号波形の他に、判定結果等を記憶することも可能である。一方、事前記憶部204には、発明者により実験を通じて見出された、サンプリングしたデータに基づいて生物粒子濃度を判定する上で必要とされる情報が予め記憶されている。なお、発明者により見出された情報については、別の図面を用いてさらに後述する。
解析部240は、サンプリングの結果として測定データ記憶部202に記憶されたデータを解析し、その解析結果に事前記憶部204に予め記憶されたデータを踏まえて生物粒子の濃度を判定する。なお、解析部240により実行される具体的な処理の内容については、別の図面を参照しながら詳しく後述する。
結果出力部250は、解析部240による判定結果を出力する。判定結果の出力は、画面への数値(文字)やマーク(画像)の表示により行ってもよいし、スピーカを用いて結果に応じた態様による音声の出力により行ってもよい。また、プリンタへの出力やネットワークを介した他のデバイスへの送信により行うことも可能である。
〔生物粒子測定処理〕
図4は、第1実施形態における生物粒子測定処理の手順例を示すフローチャートである。
生物粒子測定処理は、生物粒子測定装置1に設けられた操作手段を介して測定開始を指示する操作がなされた場合、又は、タイマ設定されていた測定開始の時刻に至った場合に、測定ユニット3が1回の測定に対して実行する処理である。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS10:測定ユニット3は、先ず、データ収集処理を実行する。この処理では、制御部220が検出ユニット2を制御することにより試料流体、照射光、受光の準備を整えた上で、予め設定された測定時間にわたり所定の間隔をおいて(一定時間毎に)信号処理部230が電気信号のサンプリングを実行し、サンプリングしたデータを測定データ記憶部202に記憶させる。このようにして、データ収集処理の実行によりサンプリングデータが収集される。
ステップS20:測定ユニット3は、次に、データ解析処理を実行する。この処理では、解析部240が上記のステップS10で収集されたデータの解析を行い、この解析結果と事前記憶部204に予め記憶されている情報とに基づいて、生物粒子に関する判定を行う。なお、データ解析処理の具体的な内容については、次の図面を参照しながら詳しく後述する。
ステップS30:そして、測定ユニット3は、解析結果出力処理を実行する。この処理では、上記のステップS20で実行されたデータ解析処理の結果、すなわち生物粒子に関する判定結果を、結果出力部250が文字や画像、音声等により出力する。なお、判定結果は、ネットワークを介して転送してもよい。
なお、上記の手順例はあくまで一例として挙げたものであり、その他のステップを併せて実行してもよい。例えば、解析結果出力処理の後に、測定終了後処理として、測定制御部228による検出ユニット2に対する制御の切り替え(照射光の出射の終了、試料流体の排出)や、測定データ記憶部202からのサンプリングされた信号波形データの消去等を行うことも可能である。
〔データ解析処理:第1実施形態〕
図5は、第1実施形態におけるデータ解析処理の手順例を示すフローチャートである。
データ解析処理は、上述した生物粒子測定処理の過程で測定ユニット3の解析部240が実行する処理である。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS100:解析部240は、測定データ記憶部202に記憶されたサンプリングデータを読み出し、サンプリングされた信号波形の傾きを算出する。信号波形の傾きは、信号波形を微分することにより算出してもよいし、連続する2個のサンプリングデータ(N回目のサンプリング及びその直前のN−1回目のサンプリングの各データ)から蛍光強度の差(減衰量)を求めることにより算出してもよい。或いは、その他の方法により算出してもよい。
ステップS110:解析部240は、上記のステップS100で算出された信号波形の傾きが所定値より小さい時間帯Δtを導出する。ここで、傾きの所定値とは、発明者により実験を通じて見出された値であり、言うなれば、トリプトファン及びチロシンの分解が終了したとみられる時点における蛍光強度の減衰速度(減衰の進行度合い)に対応する値(負数)である。
本実施形態においては、傾きが所定値より小さい(勾配が急である)時間帯Δtがあれば、この時間帯Δtにおける蛍光強度の減衰はトリプトファン及びチロシンに由来する蛍光成分に因るものである、すなわち、この時間帯Δtには蛍光を発する粒子群に生物粒子が含まれていると判定する。これに対し、傾きが所定値以上である(勾配が緩やかである)時間帯における蛍光強度の減衰は、媒質に含まれるその他の蛍光成分(非生物粒子に由来する蛍光成分)に因るものである、すなわち、この時間帯には、蛍光を発する粒子群に生物粒子が含まれていないと判定する。また、蛍光強度が所定の大きさに達しない場合には、媒質に含まれるその他の蛍光成分であるとみなし、蛍光を発する生物粒子が含まれていないと判定する。なお、深紫外線の照射前後の時間の経過に伴う蛍光強度の変化については、別の図面を用いてさらに後述する。
ステップS120:解析部240は、上記のステップS110で割り出された、信号波形の傾きが所定値より小さい時間帯Δtにおける蛍光強度の減衰量を算出する。これにより、トリプトファン及びチロシンに由来する蛍光成分の減衰量、すなわち生物粒子に対応する減衰量が算出される。
ステップS130:解析部240は、事前記憶部204に予め記憶されている蛍光強度減衰量と生物粒子濃度との関係を示すデータに基づいて、上記のステップS120で算出された蛍光強度の減衰量から生物粒子の濃度を判定する。なお、蛍光強度減衰量と生物粒子濃度との関係については、別の図面を用いてさらに後述する。
〔トリプトファン及びチロシンの吸光スペクトル〕
図6は、トリプトファン及びチロシンの吸光スペクトルを示すグラフである。このグラフから、トリプトファン及びチロシンは、いずれも280nm付近の波長の光(深紫外線)をよく吸収する性質を有していることが分かる。
〔トリプトファン及びチロシンの励起/蛍光スペクトル〕
図7は、メチロバクテリウム属細菌による菌液、より正確にはMethylobacterium extorquens(NBRC15911)を用いて作製した菌液に対して深紫外線を照射する前後における細菌の自家蛍光スペクトルを、分光蛍光光度計にて測定した結果を示すグラフである。
なお、図7及び図8において、(A)は深紫外線の照射前(照射直後)における状態を示しており、(B)は深紫外線の照射後、より正確には照射してから所定時間の経過時における状態を示している。また、各グラフの横軸は蛍光波長、縦軸は励起波長を示しており、分布の濃淡は蛍光強度を示している。そして、(A)において励起波長及び蛍光波長ともに300nmの座標から右上がりに延び、(B)において励起波長及び蛍光波長ともに280nmの座標から右上がりに延びる淡い直線は、照射光を表しており、(A)及び(B)において、照射光を示す直線の下側で右上がりに延びる淡い直線は、ラマン散乱光を表している。
図7に示されるように、深紫外線の照射前においては、280nmの励起光に対し、約300〜400nmにおいて高い強度の蛍光が検出されており、特に約320〜350nmにおいて非常に高い強度の蛍光が検出されている。この蛍光は、細菌に含まれるトリプトファン及びチロシンに由来する自家蛍光である。これに対し、深紫外線の照射後においては、約300〜400nmにおいては殆ど蛍光が検出されていない。照射前後におけるこの変化は、深紫外線の照射によってトリプトファン及びチロシンが光分解されて、これらの物質に由来する自家蛍光が概ね消失したことを表している。
また、深紫外線の照射後においては、約400〜500nmにおいて強度の低い蛍光が検出されているが、この蛍光は、細菌に含まれるフラビンその他の物質に由来する自家蛍光である。これに対し、深紫外線の照射前においては、この波長域では傾向が殆ど検出されていない。照射前後におけるこの変化は、深紫外線の照射によってフラビンその他の物質の自家蛍光特性が変異し、深紫外線の照射前より自家蛍光強度が増強したことを表している。
図8は、シュードモナス属細菌による菌液、より正確にはPseudomonas fluorescence(ATCC17386)を用いて作製した菌液に対して深紫外線を照射する前後における細菌の自家蛍光スペクトルを、分光蛍光光度計にて測定した結果を示すグラフである。
図8に示されるように、深紫外線の照射前においては、280nmの励起光に対し、約300〜400nmにおいて高い強度の蛍光が検出されており、特に約305〜375nmにおいては非常に高い強度の蛍光が検出されている。この蛍光は、細菌に含まれるトリプトファン及びチロシンに由来する自家蛍光である。また、280nm付近及び400nm付近の励起光に対し約430〜500nmにおいて強度の低い蛍光が検出されているが、これらは蛍光菌や緑膿菌等が特異的に持つピオベルジンに由来する自家蛍光である。
これに対し、深紫外線の照射後においては、約300〜400nmにおける蛍光の強度が非常に低くなっている。照射前後におけるこの変化は、深紫外線の照射によってトリプトファン及びチロシンが光分解され、これらの物質に由来する自家蛍光が大幅に減衰したことを表している。また、深紫外線の照射後においては、約400〜520nmにおいて、深紫外線の照射前に検出されたピオベルジンに由来する自家蛍光以外にも強度の低い蛍光が検出されている(照射前よりも分布の面積が拡がっている)。照射前後におけるこの変化は、深紫外線の照射によって細菌に含まれるフラビンその他の物質の自家蛍光特性が変異し、深紫外線の照射前より自家蛍光強度が増強したことを表している。
このように、図7及び図8に示されるグラフから、細菌にはトリプトファン及びチロシンに由来する約320〜350nmをピークとした非常に強い自家蛍光が存在すること、また、これらの自家蛍光が深紫外線(280nm付近の紫外線)の照射により消失又は大幅に減衰することが分かる。なお、励起光は280nmに限定されず、トリプトファン及びチロシンの吸収波長域の波長であればよい。
〔深紫外線の照射による蛍光強度の変化〕
図9は、深紫外線の照射前後の時間の経過に伴う蛍光強度の変化を示すグラフである。以下、時系列に沿って説明する。
時刻t0:蛍光の受光が既に開始されている。この時点では、深紫外線が未だ照射されていないため、受光される蛍光の強度は非常に低い。
時刻t1:測定開始の指示がなされると、試料流体の流れが止められ、深紫外線の照射が開始される。そして、深紫外線の照射開始と同時又はその直後に、受光信号のサンプリングが開始される。サンプリングは、予め設定された測定時間(例えば、30秒)にわたり所定の間隔をおいて(例えば、100〜500ms毎に)実行される。
トリプトファン及びチロシンに由来する蛍光成分は、蛍光強度が減衰する速度が非常に速いため、深紫外線の照射開始直後は、サンプリングされた受光信号の信号波形の傾きは所定値(負数)よりも小さく急勾配となるが、時間の経過に伴い、蛍光強度が減速する速度は徐々に落ちていき、これに伴って信号波形の傾きが徐々に大きくなり勾配が緩やかになっていく。
時刻t2:サンプリングされた受光信号の信号波形の傾きが所定値以上となる。したがって、解析処理においては、時刻t1から時刻t2までの時間帯が、信号波形の傾きが所定値より小さい時間帯Δtとして割り出され、この時間帯Δtにおける蛍光強度減衰量が、トリプトファン及びチロシンに由来する蛍光成分の減衰量、すなわち生物粒子に対応する減衰量として算出される。
時刻t3:深紫外線の照射及び受光信号のサンプリングが終了される。これに伴い、受光される蛍光の強度が深紫外線の照射開始前のレベルに低下する。なお、時刻t2から時刻t3までの時間帯における蛍光強度減衰量は、非生物粒子に由来する蛍光成分の減衰量として扱われる。
なお、上記の測定時間は、記憶領域の容量や消費電力との兼ね合い等を考慮した上で、トリプトファン及びチロシンが深紫外線の照射により十分に分解される長さに設定すればよい。
〔蛍光強度減衰量と生物粒子濃度との関係〕
図10は、トリプトファン及びチロシンに由来する蛍光強度の減衰量と生物粒子の濃度との関係を示すグラフである。
このグラフは、濃度の異なる細菌懸濁試料に対し、280nmの励起光を照射する前後における蛍光スペクトルを分光蛍光光度計にて測定した結果に基づいて割り出された、330〜380nmの蛍光強度の減衰量と生物粒子の濃度との関係を表している。測定においては、R2A寒天培地にて23℃で7日間培養したMethylobacterium extorquens(NBRC15911)及び純水を用いて作製した3つの濃度(約1×10個/mL、約1×10個/mL、約1×10個/mL)による細菌懸濁試料を用いた。また、励起光を照射する前後とは、より正確には、励起光の照射開始直後、及び、照射開始から30秒経過した時点(30秒にわたり連続照射された後)のことであり、蛍光強度減衰量はこれら2つの時点での測定結果の差分から算出されている。なお、分光蛍光光度計は、日本分光株式会社の型式FP−8500を用いた。また、励起光の照射は、照射強度29.4mW/cm(WD=10mm)で行った。
各濃度の細菌懸濁試料における蛍光強度減衰量は、約1×10個/mLの細菌懸濁試料においては53882.1であり、約1×10個/mLの細菌懸濁試料においては5038.59であり、約1×10個/mLの細菌懸濁試料においては484.54であった。これらの結果は、蛍光強度減衰量をyとし、生物粒子濃度をxとすると、「y=0.0037x1.0231」という関係式で表すことができる(決定係数R=1)。このように、発明者による実験の結果として、蛍光強度の減衰量と生物粒子の濃度との間には一定の比例関係が成り立っていることが導き出された。解析処理においては、上記の関係式に基づいて、時間帯Δtにおける蛍光強度の減衰量から生物粒子の濃度が判定される。
〔第1実施形態の優位性〕
以上のように、第1実施形態の生物粒子測定装置1は、試料流体に含まれる生物粒子を粒子群として捉えて、生物粒子の濃度を判定するものである。第1実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
(1)蛍光強度を示す信号波形の傾きが所定値より小さい時間帯Δtにおける蛍光強度減衰量をトリプトファン及びチロシンに由来する蛍光成分に因るものとし、時間帯Δtにおける蛍光強度の減衰量から上記の関係式に基づいて生物粒子の濃度が判定されるため、非生物粒子に由来する蛍光の影響を受けにくく、生物粒子の濃度の判定精度を向上させることができる。
(2)生物粒子中のトリプトファン及びチロシンが分解されるような殺菌処理(例えば、紫外線殺菌)が施された流体を対象として測定を行うと、施された殺菌処理によって自家蛍光の減衰が既に進んでいるため、測定時間内に減衰の傾きが所定値より小さい時間帯が生じない場合もあり、その場合には、流体に生物粒子が含まれていないと判定されることとなる。したがって、殺菌処理の前後で測定を行うことにより、殺菌処理が施される前の流体に含まれていたであろう生物粒子の活性状態に関する判別が可能となる。
(3)1つの照射光により、トリプトファン及びチロシンに由来する自家蛍光物質の励起と光分解の両方が行われ、複数種類の発光器を設ける必要がないため、生物粒子測定装置1の製造コストを抑制することができるとともに、生物粒子測定装置1を小型化することができる。
(4)トリプトファン及びチロシンが指標とされ、これらの物質が深紫外線の照射により十分に分解される時間が連続照射時間として予め設定されるため、測定対象とする試料流体毎に異なる連続照射時間を設定する必要が無い。したがって、生物粒子測定装置1の汎用性を高めることができる。
(5)生物粒子測定装置1を濁度計と組み合わせることにより、生物粒子の濃度及び全ての粒子(生物粒子及び非生物粒子)の濃度の両方を把握することができる。
〔第1実施形態の変形例〕
生物粒子測定装置1は、上述した構成に限定されず、種々の変形を加えて実施することが可能である。
例えば、受光器100に光学ミラー、さらなる受光用レンズ及び散乱光用受光素子を設け、粒子Pから放出される散乱光以外の光は光学ミラーを透過させて光学フィルタ64に向かわせつつ、粒子Pから放出される散乱光は光学ミラーで反射させ、散乱光をさらなる受光用レンズにより集光して散乱光用受光素子に入射させる構成としてもよい。このような構成とすることにより、蛍光を発する粒子のみならず、蛍光を発しない粒子も含めた粒子(粒子群)全体を測定することが可能となる。
また、例えば、試料流体の濃度が低い場合には、国際公開第2004/029589号に開示されているようなL字型の形状をなすフローセルを用いて、試料流体を低速で流しながら、流路の延長方向から蛍光を受光し、個々の粒子におけるトリプトファン及びチロシン由来の蛍光強度を測定することで、精度よく生物粒子を計数することができる。この変形例の概要を、図11及び図12を参照しながら説明する。
図11は、変形例における検出ユニットの構成を簡略化して示す図である。図11中(A)は、検出ユニットの斜視図であり、図11中(B)は、検出ユニットを正面側からみた垂直断面図(図11中(A)に示したB−B切断線に沿う断面図)である。なお、図11においては、一部の構成の図示を省略し、位置関係を理解する上で必要となる最低限の構成のみを図示している。
変形例においては、フローセル30がL字型の形状をなしており、内部に屈曲した流路31を有している。流路31は、試料流体が流し込まれる流入口32から延びる第1流路31Aと、試料流体が排出される排出口33から第1流路31Aと直交する方向に延びて第1流路31Aの端部に接続しつつ第1流路31Aの端部を少し超えた位置まで延びる第2流路31Bとからなる。また、受光器100は、第1流路31Aの延長線上の位置に設けられ、発光器10からは、第1流路31Aが延びる方向にある程度の幅を有した照射光が出射される。照射光が第1流路31Aに入射すると、第1流路31A内の所定の位置に照射領域L及び検出領域Mが形成されるが、照射光の入射位置は、検出領域Mの中心が受光器100の受光軸上に位置するように設計されている。
フローセル30を上記の形状とすることで、受光用レンズ66の集光角θを最大限に利用して高精度に受光を行うことができる。また、照射光に幅を持たせることにより、第1流路31Aを流れる粒子Pに対する深紫外線の照射時間を確保することができ、生物粒子内のトリプトファン及びチロシンに由来する自家蛍光を減衰させることが可能となる。そして、受光器100を第1流路31Aの延長線上の位置に設けることで、検出領域Mを通過する粒子Pから生じる光を、試料流体の流れに対して前方の位置で(流れの正面側から)受光させることができる。変更例においては、試料流体の流れを止めることなく低速で流しながら受光及び測定が行われるが、このとき、蛍光用受光素子70からは粒子Pが動いていても静止しているように見えるため、試料流体の流れを止める場合と比較すれば時間は短くなるものの、個々の粒子Pに基づく信号波形を多少の時間の幅をもって測定することができる。そして、この信号波形の傾きが所定値より小さい時間帯が含まれるか否かに基づいて、生物粒子数の計数を行うことが可能となる。
図12は、変形例におけるデータ解析処理の手順例を示すフローチャートである。
このデータ解析処理は、信号波形の傾きを算出し(ステップS200)、傾きが所定値より小さい時間帯Δtを導出する(ステップS210)ところまでは、上記の第1実施形態(図5)と同様である。変形例においては、これらの手順を実行した上で、傾きが所定値より小さい時間帯Δtが含まれるか否かを確認し、時間帯Δtが含まれる場合には、受光された粒子Pを生物粒子として計数する(ステップS220)。
なお、この変形例においては、時間帯Δtを導出せずに、信号波形の傾きが所定値より小さい場合に、受光された粒子Pを生物粒子として計数してもよい。
〔生物粒子測定装置の構成:第2実施形態〕
図13は、第2実施形態における生物粒子測定装置301の構成を簡略的に示す図である。発明の理解を容易とするために、図13においては一部の構成の図示を省略している。第2実施形態は、試料流体に含まれる生物粒子を粒子単位で検出して、生物粒子の個数を計数するものである。なお、図1に示された第1実施形態における生物粒子測定装置1の構成と共通する部分については、その説明を省略する。
図13に示されるように、生物粒子測定装置301は、大きくみると検出ユニット302及び測定ユニット303から成る。検出ユニット302は、発光器及び受光器のペアを2組備えている点、及び、試料流体にフローセル30の内部を一定の流速で流動させた状態で(試料流体の流れを止めることなく)検出が行われる点において、上述した生物粒子測定装置1における検出ユニット2と大きく異なっている。
発光器及び受光器の2組のペアのうち、1組目は、フローセル30の上流側(図13におけるフローセル30の下側)を挟む位置に設けられており、2組目は、フローセル30の下流側(図13におけるフローセル30の上側)を挟む位置に設けられている。また、フローセル30に流し込まれる試料流体の流速は、上流側の発光器10Aによる深紫外線の照射を受けた生物粒子内のトリプトファン及びチロシンが十分に分解されるような速度(例えば、10mL/分)に設定されている。試料流体の流速及び照射光の照射は、制御部320(具体的には、制御部320が有する流体制御部及び照射制御部)により制御される。なお、上流側の発光器10Aと下流側の発光器10Bとの間の位置に、さらなる発光器10を設けてもよい。これにより、1組目のペアにより形成される第1検出領域を通過した生物粒子が2組目のペアにより形成される第2検出領域を通過するまでの間に、生物粒子内のトリプトファン及びチロシンの分解をより確実に進行させて、自家蛍光をより確実に減衰させることが可能となる。
フローセル30を介して発光器10とは反対側の位置、すなわち照射光の光軸に対して前方の位置には、フローセル30を通過した照射光を遮蔽する遮光器50が設けられている。遮光器50は、例えば、ビームダンパ又はビームトラップである。なお、本実施形態においては、試料流体を常に流動させるため、フローセル30の下流側に接続された配管の端部に排出弁は設けられていない。
2つの受光器110(110A,110B)は、いずれも照射光の光軸に対して側方の位置に設けられている。上流側の検出領域(第1検出領域)を通過する粒子P、すなわち深紫外線の照射を受けた直後の粒子Pから放出される蛍光は、上流側の第1受光器110Aにより受光される。また、下流側の検出領域(第2検出領域)を通過する粒子P、すなわち深紫外線の照射を受けてから時間が経過した後の粒子Pから放出される蛍光は、下流側の第2受光器110Bにより受光される。そして、2つの受光器110A,110Bにより出力される電気信号は、いずれも信号処理部230により処理される。
ところで、受光器110は、生物粒子測定装置1における受光器100とは異なり、光学フィルタ64の手前側又は背後側に受光用レンズ40を有していてもよい。受光器110の詳細な構成については、次の図面を参照しながら詳しく後述する。
このように、検出ユニット302の構成は、生物粒子測定装置1における検出ユニット2とは異なっており、これに応じて測定ユニット303内の構成もまた、生物粒子測定装置1における測定ユニット3とは異なっている。具体的には、測定ユニット303の構成のうち、制御部320、信号処理部330、解析部340が、それぞれ測定ユニット3における制御部220、信号処理部230、解析部240と異なっている。
制御部320は、発光器10による照射光の出射、試料流体の流速、受光器110による受光を制御する。信号処理部330は、2つの受光器110から出力される2系統の電気信号の処理を行う。解析部340は、処理された2系統の電気信号に基づいて粒子Pを粒子単位で生物粒子と非生物粒子とに分別計数する。なお、解析部340により実行される具体的な処理の内容については、別の図面を参照しながら詳しく後述する。
図14は、第2実施形態における受光器110の構成を示す図である。図14中(A)は、生物粒子測定装置の低コスト化を可能とする構成であり、図14中(B)は、生物粒子のより高精度な検出を可能とする構成である。図14中(A)の構成は、図14中(B)の構成の一部をなくして簡易化したものであるため、ここでは、図14中(B)の構成について詳しく説明する。なお、図2に示された第1実施形態における受光器100の構成と共通する部分については、その説明を省略する。
受光器110において光が入射する位置には、受光用レンズ40が配置されている。受光器110に入射した光は、受光用レンズ40により集光されて、光学ミラー60に入射する。光学ミラー60は、例えば、ダイクロイックミラーであり、所定のカットオフ波長(例えば、300nm)未満の光を反射させる一方で、所定のカットオフ波長以上の光を透過させる。粒子Pから放出される散乱光は照射光と同一の波長を有するため、このような光学ミラー60を配置することにより、粒子Pから放出される散乱光を反射させつつ、粒子Pから放出される蛍光を含むその他の光は透過させることができる。
光学ミラー60を透過した光の光路上には、光学フィルタ64が配置されている。光学フィルタ64は、第1実施形態と同一のものであり、光学フィルタ64の透過波長帯の蛍光を透過させつつ、ラマン散乱光をカットすることができる。光学フィルタ64を透過した光、すなわち蛍光は、受光用レンズ66により集光されて、蛍光用受光素子70に入射する。蛍光用受光素子70は、第1実施形態と同一のものであり、蛍光用受光素子70により出力された電気信号は、測定ユニット303の信号処理部330に入力される。また、光学ミラー60の透過側から蛍光用受光素子70までの光路は、遮光壁62で覆われている。
一方、光学ミラー60により反射された光、すなわち散乱光の光路上には、受光用レンズ82が配置されている。散乱光は、受光用レンズ82により集光されて、散乱光用受光素子90に入射する。散乱光用受光素子90は、例えば、フォトダイオード(PD、半導体光学素子)又はフォトマルチプライヤーチューブ(PMT、光電子増倍管)であり、受光した光の強度(光量)に応じた大きさの電圧値により電気信号を出力する。なお、散乱光用受光素子90により出力された電気信号は、測定ユニット303の信号処理部330に入力される。なお、光学ミラー60の反射側から散乱光用受光素子90までの光路に対しても、光学ミラー60の透過側から蛍光用受光素子70までの光路と同様に遮光壁を設けてもよい。
このように、受光器110においては、粒子Pから放出される蛍光及び散乱光が受光され、それぞれに対応して出力される電気信号が信号処理部330に入力されて増幅された後にデジタル信号に変換される。そこで、以下の説明においては、受光器110の蛍光用受光素子70から出力された電気信号に対応するデジタル信号を「蛍光受光信号」と称し、受光器110の散乱光用受光素子90から出力された電気信号に対応するデジタル信号を「散乱光受光信号」と称することとする。
なお、図14中(B)の構成を簡易化した図14中(A)の構成においては、光学ミラー60、受光用レンズ82及び散乱光用受光素子90が設けられていないため、受光器110にこの構成を採用した場合には、受光器110に入射した光は、受光用レンズ40により集光されて光学フィルタ64に進み、光学フィルタ64を透過波長帯の蛍光が透過すると、受光用レンズ66により集光されて、蛍光用受光素子70に入射する。また、この受光器110においては、入射した光が蛍光用受光素子70に到達するまでの光路が全て遮光壁62で覆われている。
〔データ解析処理:第2実施形態〕
図15は、第2実施形態におけるデータ解析処理の手順例を示すフローチャートである。このデータ解析処理は、測定ユニット303の解析部340が実行する処理であり、受光器110を図14に示される2種類のうちいずれの構成とした場合にも適用することができる。
先ず、受光器110を図14中(A)に示される簡易版の構成とした場合に解析部340が実行する処理を、手順例に沿って説明する。
ステップS300:解析部340は、第1受光器110Aから出力されて信号処理部330により処理された蛍光受光信号に基づいて、第1検出領域を通過した蛍光を発する粒子の個数(第1蛍光粒子数)を計数する。より具体的には、解析部340は、蛍光受光信号の波高値(電圧値)が閾値を超えている場合に第1蛍光粒子数を1加算することで、第1蛍光粒子数を計数する。第1蛍光粒子数は、深紫外線が照射される前(深紫外線の照射直後)、すなわち蛍光強度の減衰前における蛍光を発する粒子の全体個数として扱われる。
ステップS310:解析部340は、第2受光器110Bから出力されて信号処理部330により処理された蛍光受光信号に基づいて、第2検出領域を通過した蛍光を発する粒子の個数(第2蛍光粒子数)を計数する。より具体的には、解析部340は、蛍光受光信号の波高値(電圧値)が閾値を超えている場合に第2蛍光粒子数を1加算することで、第2蛍光粒子数を計数する。第2蛍光粒子数は、深紫外線が照射されてから生物粒子内のトリプトファン及びチロシンが十分に分解された後における蛍光を発する粒子、すなわち非生物粒子の全体個数として扱われる。
ステップS320:解析部340は、上記のステップS300で計数された第1蛍光粒子数と上記のステップS310で計数された第2蛍光粒子数との差を求めることにより、生物粒子数を計数する。なお、計数された生物粒子数に基づいて、単位溶液当たりの生物粒子数を算出することにより、生物粒子濃度の判定を行ってもよい。
次に、受光器110を図14中(B)に示される構成とした場合に解析部340が実行する処理を、手順例に沿って説明する。
ステップS300:解析部340は、第1受光器110Aから出力されて信号処理部330により処理された蛍光受光信号及び散乱光受光信号に基づいて、第1検出領域を通過した蛍光を発する粒子の個数(第1蛍光粒子数)を計数する。より具体的には、解析部340は、蛍光受光信号の波高値が蛍光に対し設定された閾値を超えており、かつ、蛍光受光信号と同期する散乱光受光信号の波高値が散乱光に対し設定された閾値を超えている場合に、第1蛍光粒子数を1加算することで、第1蛍光粒子数を計数する。ここでの第1蛍光粒子数は、深紫外線が照射される前(深紫外線の照射直後)、すなわち蛍光強度の減衰前における所定の粒径以上の蛍光を発する粒子の全体個数として扱われる。
ステップS310:解析部340は、第2受光器110Bから出力されて信号処理部330により処理された蛍光受光信号及び散乱光受光信号に基づいて、第2検出領域を通過した蛍光を発する粒子の個数(第2蛍光粒子数)を計数する。より具体的には、解析部340は、蛍光受光信号の波高値が蛍光に対して設定された閾値を超えており、かつ、蛍光受光信号と同期する散乱光受光信号の波高値が散乱光に対して設定された閾値を超えている場合に、第2蛍光粒子数を1加算することで、第2蛍光粒子数を計数する。ここでの第2蛍光粒子数は、深紫外線が照射されてから生物粒子内のトリプトファン及びチロシンが十分に分解された後における所定の粒径以上の蛍光を発する粒子の個数、すなわち所定の粒径以上の非生物粒子の個数として扱われる。
ステップS320:解析部340は、上記のステップS300で計数された第1蛍光粒子数と上記のステップS310で計数された第2蛍光粒子数との差を求めることにより、生物粒子数を計数する。なお、計数された生物粒子数に基づいて、単位溶液当たりの生物粒子数を算出することにより、生物粒子濃度の判定を行ってもよい。
図16は、第2実施形態における2つの受光器110による受光された蛍光に対応する蛍光受光信号の分布の一例を比較して示す図である。
図16中(A):第1受光器110Aからの蛍光受光信号の分布の一例を示している。第1受光器110Aにより受光される蛍光は、深紫外線が照射される前(深紫外線の照射直後)における蛍光を発する粒子、すなわち生物粒子及び非生物粒子に由来するものである。この時点では、生物粒子中のトリプトファン及びチロシンが未だ分解されていないため、信号の波高値(電圧値)が閾値Vthを超える回数(粒子の個数)が多い。
図16中(B):第2受光器110Bからの蛍光受光信号の分布の一例を示している。第2受光器110Bにより受光される蛍光は、深紫外線が照射されてから生物粒子内のトリプトファン及びチロシンが十分に分解された後における蛍光を発する粒子、すなわち非生物粒子に由来するものである。第2掲出領域を通過する時点では、生物粒子内のトリプトファン及びチロシンに由来する自家蛍光は消失又は大幅に減衰しているため、信号の波高値(電圧値)が閾値Vthを超えるのは非生物粒子に由来する蛍光分であり、その回数(粒子の個数)は、図16中(A)における場合よりも大幅に減少している。
〔第2実施形態の優位性〕
以上のように、第2実施形態の生物粒子測定装置301は、試料流体に含まれる生物粒子を粒子単位で検出して、生物粒子の濃度を判定するものである。第2実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
(1)試料流体に含まれる粒子が粒子群としてではなく粒子単位で検出されるため、トリプトファン及びチロシンを有する粒子の個数、すなわち生物粒子数を精度よく計数することができ、計数結果に基づいて生物粒子濃度を精度よく判定することができる。
(2)試料流体を流動させた状態で深紫外線が照射されるため、試料流体が受ける深紫外線の総量は、第1実施形態における場合よりも少ない。したがって、深紫外線の照射により試料流体に含まれる非生物粒子に由来する蛍光強度の減衰を抑制することができ、非生物粒子による影響をできるだけ回避して生物粒子数の計数、ひいては計数結果に基づく濃度の判定を精度よく行うことが可能となる。
(3)生物粒子中のトリプトファン及びチロシンが分解されるような殺菌処理(例えば、紫外線殺菌)が施された流体を対象として測定を行うと、施された殺菌処理によって自家蛍光の減衰が既に進んでいるため、生物粒子が計数されない場合も有り得る。したがって、殺菌処理が施される前の流体に含まれていたであろう生物粒子に対する殺菌効果を確認することができる。
(4)従来の生物粒子測定装置においては、出射する光の直進性や光線束の絞り易さ、単位面積当たりの光強度の上げやすさ等から、発光器は半導体レーザダイオードで構成されるのが一般的であるが、半導体レーザダイオードは非常に高価であり、深紫外線の波長域のものについては製造が困難であることから、さらに高コストとなる。これに対し、本発明の実施形態においては、発光器10がLEDで構成されているため、従来の構成と比較して、発光器10に要する製造コストを大幅に削減することができ、生物粒子測定装置を非常に低コストで製造することが可能となる。
〔第2実施形態の変形例〕
生物粒子測定装置301は、上述した構成に限定されず、種々の変形を加えて実施することが可能である。
例えば、生物粒子測定装置301に設けられる発光器及び受光器のペアを1組のみとし、深紫外線の照射前(照射直後)における蛍光を発する粒子を生物粒子として扱い、この粒子の計数を行ってもよい。
このような構成とした場合には、深紫外線を照射する前後における蛍光を発する粒子数の変化を捉えることができないため、蛍光を発する非生物粒子も生物粒子として計数されることから、上述した生物粒子測定装置301の構成と比較すると、偽陽性が高くなり、生物粒子と非生物粒子と分別性能(ひいては生物粒子の濃度の判定精度)は劣る。しかしながら、生物粒子のおおよその個数を計数可能な測定装置を非常に簡易な構成により実現することができるため、生物粒子測定装置を小型化して非常に低コストで製造することが可能となる。
1 生物粒子測定装置
2 検出ユニット
3 測定ユニット
10 発光器
20 照射用レンズ(照射光学系)
30 フローセル
34 排出弁
62 遮光壁
64 光学フィルタ
66 受光用レンズ(受光光学系)
70 蛍光用受光素子
100 受光器
200 記憶部
220 制御部
230 信号処理部
240 解析部

Claims (12)

  1. 流体に向けて所定の測定時間にわたり所定の波長の光を照射する発光手段と、
    前記流体に含まれる粒子から放出される蛍光を選択的に受光し、当該蛍光の強度に応じた大きさの信号を出力する蛍光受光手段と、
    前記蛍光受光手段により出力される信号を前記測定時間にわたり一定時間毎に取得する信号取得手段と、
    前記信号取得手段により取得された前記信号の波形の傾きを算出し、前記測定時間内における前記傾きが所定値より小さい時間帯に生じた蛍光強度の減衰量を生物粒子に由来する減衰量であるとして、前記流体に含まれる生物粒子の濃度を判定する判定手段と
    を備えた生物粒子測定装置。
  2. 請求項1に記載の生物粒子測定装置において、
    前記判定手段は、
    蛍光強度の減衰量と生物粒子の濃度との関係を表す所定の関係式に基づいて、前記時間帯における蛍光強度の減衰量から生物粒子の濃度を判定することを特徴とする生物粒子測定装置。
  3. 請求項1又は2に記載の生物粒子測定装置において、
    前記流体の流れを制御し、前記所定の測定時間にわたり前記流体の流入及び排出を停止させる流体制御手段をさらに備えたことを特徴とする生物粒子測定装置。
  4. 流体に向けて所定の波長の光を照射する発光手段と、
    前記流体に含まれる粒子から放出される蛍光を選択的に受光し、当該蛍光の強度に応じた大きさの信号を出力する蛍光受光手段と、
    前記蛍光受光手段により出力される信号を取得する信号取得手段と、
    前記信号取得手段により取得された前記信号の波形の傾きを算出し、前記傾きが所定値より小さい時間帯を含む場合、又は、前記傾きが所定値より小さい場合に、前記粒子を生物粒子として計数する計数手段と
    を備えた生物粒子測定装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の生物粒子測定装置において、
    前記蛍光受光手段は、
    前記粒子から放出される所定の波長域にある光を透過させるフィルタを有しており、前記フィルタにより、前記粒子から放出される蛍光以外の光を低減させて前記波長域にある蛍光を選択的に受光することを特徴とする生物粒子測定装置。
  6. 請求項5に記載の生物粒子測定装置において、
    前記発光手段は、
    トリプトファン及びチロシンの吸収波長域内の所定波長の光を照射し、
    前記蛍光受光手段は、
    前記フィルタにより前記流体が液体である場合に生じるラマン散乱光の波長より長い波長域にある光を透過させて前記粒子から放出される蛍光を選択的に受光することを特徴とする生物粒子測定装置。
  7. 流体に向けて所定の測定時間にわたり所定の波長の光を照射する間に、前記流体に含まれる粒子から放出される蛍光を選択的に受光し、当該蛍光の強度に応じた大きさで出力される信号を一定時間毎に取得する受光工程と、
    前記取得された前記信号の波形の傾きを算出し、前記測定時間内における前記傾きが所定値より小さい時間帯に生じた蛍光強度の減衰量を生物粒子に由来する減衰量であるとして、前記流体に含まれる生物粒子の濃度を判定する判定工程と
    を含む生物粒子測定方法。
  8. 請求項7に記載の生物粒子測定方法において、
    前記判定工程では、
    蛍光強度の減衰量と生物粒子の濃度との関係を表す所定の関係式に基づいて、前記時間帯における蛍光強度の減衰量から生物粒子の濃度を判定することを特徴とする生物粒子測定方法。
  9. 請求項7又は8に記載の生物粒子測定方法において、
    前記受光工程では、
    前記所定の測定時間にわたり前記流体の流入及び排出を停止させることを特徴とする生物粒子測定方法。
  10. 流体に向けて所定の波長の光を照射し、前記流体に含まれる粒子から放出される蛍光を選択的に受光して、当該蛍光の強度に応じた大きさで出力される信号を取得する受光工程と、
    前記取得された前記信号の波形の傾きを算出し、前記傾きが所定値より小さい時間帯を含む場合、又は、前記傾きが所定値より小さい場合に、前記粒子を生物粒子として計数する計数工程と
    を含む生物粒子測定方法。
  11. 請求項7から10のいずれかに記載の生物粒子測定方法において、
    前記受光工程では、
    前記粒子から放出される所定の波長域にある光を透過させることにより、前記粒子から放出される蛍光以外の光を低減させて前記波長域にある蛍光を選択的に受光することを特徴とする生物粒子測定方法。
  12. 請求項11に記載の生物粒子測定方法において、
    前記受光工程では、
    トリプトファン及びチロシンの吸収波長域内の所定波長の光を照射するとともに、前記流体が液体である場合に生じるラマン散乱光の波長より長い波長域にある光を透過させて前記粒子から放出される蛍光を選択的に受光することを特徴とする生物粒子測定方法。
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