JP2021031600A - 樹脂組成物、樹脂シート及び樹脂シート硬化物 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂シート及び樹脂シート硬化物 Download PDF

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拓郎 松本
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靖夫 宮崎
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裕之 高橋
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恭久 石田
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Abstract

【課題】熱伝導性及び絶縁性に優れる樹脂シート硬化物を作製可能な樹脂組成物を提供する。【解決手段】六方晶窒化ホウ素フィラーを含む無機フィラーと、エポキシ樹脂と、一般式(I)で表される構造単位を有する化合物を含むノボラック樹脂、及び一般式(II)で表される芳香族ジアミン化合物の少なくとも一方と、を含み、前記六方晶窒化ホウ素フィラーの比表面積が2.0m2/g〜5.0m2/gである樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、樹脂シート、及び樹脂シート硬化物に関する。
半導体を用いた電子機器の小型化、大容量化、高性能化等の進行に伴い、高密度に実装された半導体からの発熱量は益々大きくなっている。例えば、パソコンの中央演算装置、電気自動車のモーター等の制御に用いられる半導体装置の安定動作を行う際、放熱のためにヒートシンク、放熱フィン等が不可欠になっており、半導体装置とヒートシンク等とを結合する部材として熱伝導性及び絶縁性を両立可能な部材が求められている。
半導体装置等が実装されるプリント基板等の絶縁材料には有機材料が広く用いられている。一般に、これらの有機材料は、絶縁性は高いものの熱伝導性が低い。半導体装置等の放熱のために、無機セラミックス等の無機材料が用いられる場合もある。これらの無機材料は、優れた熱伝導性を発現するが、その絶縁性は有機材料と比較して十分とは言い難い。
熱伝導性及び絶縁性を両立させるアプローチの一つとして、有機絶縁材料の高熱伝導化が挙げられる。このような材料は、一般に、樹脂と熱伝導性フィラーとを含む。熱伝導性フィラーとしては酸化アルミニウム、シリカ、窒化アルミニウム、六方晶窒化ホウ素(h−BN)等の無機フィラーが用いられることが多い。h−BNフィラーは前記無機フィラーの中でも、特に熱伝導性に優れるため、有機絶縁材料の高熱伝導化に有用な材料として知られている。
熱伝導性に優れる有機絶縁材料は、シート状に成型され、半導体装置とヒートシンクとの間に組み込まれる。そのため、これらの有機絶縁材料はシートの厚さ方向に対して優れた熱伝導性を発現することが好ましい。ここで留意すべきは、h−BNフィラーの異方性である。h−BNフィラーの単粒子は、一般に、鱗片上の形状を有しており、長軸方向の熱伝導率は約200W/(m・K)であるのに対し、短軸方向の熱伝導率は約2W/(m・K)である。
h−BNフィラーの優れた熱伝導性を絶縁放熱シートの設計に活用するためには、鱗片状である単粒子の長軸方向を、できる限りシートの厚さ方向と一致させることが好ましい。しかしながら、一般的なシート成型工程であるカレンダーロール法、ドクターブレード法等を経ると、h−BNフィラーはシートの面方向に平行に配向する傾向、すなわち面配向が誘起される傾向にある。
これまでに、h−BNフィラーの面配向を抑制する手法がいくつか提案されている。具体的には、h−BNフィラーを含む絶縁シートを複数枚積層させ厚さ方向に切断し、次いで、切断面を平面とする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、h−BNフィラー及び高分子化合物の混合物、又はh−BNフィラー、高分子化合物、及び溶剤の混合物に、磁場を印加し、h−BNフィラーを一定方向に配向させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、鱗片状であるh−BNフィラーの単粒子を等方的に凝集させたh−BN凝集粒、及びこれらを用いた樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2011−90868号公報 特開2002−80617号公報 特開2008−189818号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の方法では、シート成型に複雑な工程を要し、コスト面で不利であるため、絶縁放熱シートの放熱性を高める方法としては別の方法が求められている。
次に、特許文献3に開示されているh−BN凝集粒を用いる場合、h−BNフィラーの単粒子のみを使用する場合に比較して、シート中でのh−BNフィラーの面配向を抑制する一定の効果は期待できる。一方で、単粒子を凝集させたことで、樹脂組成物の成型後も、絶縁破壊の起点となりうる空隙を包含し、樹脂シート硬化物の絶縁性が著しく低下する場合がある。また、ラミネート、プレス等の樹脂シート作製工程を経ることで、h−BNフィラーの凝集状態が著しく崩され、十分な熱伝導性を発現しない場合がある。
本開示は上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、熱伝導性及び絶縁性に優れる樹脂シート硬化物を作製可能な樹脂組成物、樹脂シート並びに、熱伝導性及び絶縁性に優れる樹脂シート硬化物を提供することを目的とする。
<1> 六方晶窒化ホウ素フィラーを含む無機フィラーと、
エポキシ樹脂と、
下記一般式(I)で表される構造単位を有する化合物を含むノボラック樹脂、及び下記一般式(II)で表される芳香族ジアミン化合物の少なくとも一方と、
を含み、前記六方晶窒化ホウ素フィラーの比表面積が2.0m/g〜5.0m/gである樹脂組成物。
[一般式(I)中、R及びRは各々独立に水素原子、又はメチル基を表し、mは平均値で1.5〜2.5を表し、nは平均値で1〜15を表す。一般式(II)中、Rは各々独立に水素原子、又はメチル基を表し、Xはメチレン基、硫黄原子、スルホニル基、又はエーテル基を表す。]
<2> 前記六方晶窒化ホウ素フィラーの吸油量は80ml/100g以下である<1>に記載の樹脂組成物。
<3> 前記無機フィラーの含有率は、前記樹脂組成物の全固形分の体積に対して45体積%〜80体積%である<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4> 前記エポキシ樹脂は、固形多官能エポキシ樹脂を含み、前記固形多官能エポキシ樹脂の含有率は、前記エポキシ樹脂の総質量に対して20質量%以上である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5> 前記エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂を含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6> <1>〜<5>のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層を有する樹脂シート。
<7> <6>に記載の樹脂シートを硬化させてなる樹脂シート硬化物。
<8> シートの厚さ方向からX線を照射するX線回折測定にて、前記六方晶窒化ホウ素フィラーの(002)面に由来するピークの強度I(002)と前記六方晶窒化ホウ素フィラーの(100)面に由来するピークの強度I(100)との比であるI(002)/I(100)が20以下である<7>に記載の樹脂シート硬化物。
<9> 熱伝導率が10W/(m・K)以上である<7>又は<8>に記載の樹脂シート硬化物。
<10> 耐電圧が9kV以上である<7>〜<9>のいずれか1つに記載の樹脂シート硬化物。
本開示によれば、熱伝導性及び絶縁性に優れる樹脂シート硬化物を作製可能な樹脂組成物、樹脂シート並びに、熱伝導性及び絶縁性に優れる樹脂シート硬化物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。また、本開示中の技術的思想の範囲内において、当業者による様々な変更及び修正が可能である。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率は、特に断らない限り、当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
<樹脂組成物>
本開示の樹脂組成物は、六方晶窒化ホウ素フィラー(以下、「h−BNフィラー」とも称する。)を含む無機フィラーと、エポキシ樹脂と、下記一般式(I)で表される構造単位を有する化合物を含むノボラック樹脂、及び下記一般式(II)で表される芳香族ジアミン化合物の少なくとも一方と、を含み、前記h−BNフィラーの比表面積が2.0m/g〜5.0m/gである。これにより、樹脂組成物及び後述の樹脂シートを硬化させてなる樹脂シート硬化物は、熱伝導性及び絶縁性に優れる。
一般式(I)中、R及びRは各々独立に水素原子、又はメチル基を表し、mは平均値で1.5〜2.5を表し、nは平均値で1〜15を表す。一般式(II)中、Rは各々独立に水素原子、又はメチル基を表し、Xはメチレン基、硫黄原子、スルホニル基、又はエーテル基を表す。
[無機フィラー]
本開示の樹脂組成物は、h−BNフィラーを含む無機フィラーを含み、h−BNフィラーの比表面積が2.0m/g〜5.0m/gである。本開示の樹脂組成物は、h−BNフィラーを含むことで、樹脂シート硬化物の熱伝導率に優れる。
(h−BNフィラー)
h−BNフィラーとしては、h−BNの単粒子、及びこれを凝集させた凝集粒子が挙げられる。h−BNフィラーとしては、樹脂シート硬化物の熱伝導性の観点から、凝集粒子を含むことが好ましい。
h−BNフィラーの比表面積は2.0m/g〜5.0m/gである。h−BNフィラーの比表面積が2.0m/g以上であることにより、樹脂シート硬化物は熱伝導性に優れる傾向にあり、h−BNフィラーの比表面積が5.0m/g以下であることにより、樹脂シート硬化物は絶縁性に優れる傾向にあり、さらに樹脂組成物調製時の混練性に優れる傾向にある。
特に、h−BNフィラーが凝集粒子を含む場合、h−BNフィラーの比表面積が2.0m/g以上であることにより、撹拌等の樹脂組成物の調製工程、シート成型工程等でのh−BNフィラーの加圧変形が生じにくく、h−BNフィラーの凝集状態が著しく崩れることが抑制される。そのため、シート構造体の厚さ方向にh−BNフィラーを含む連続した熱伝導路が好適に形成され、樹脂組成物及び樹脂シートを用いて得られる樹脂シート硬化物の熱伝導性により優れる傾向にある。また、h−BNフィラーが凝集粒子を含む場合、h−BNフィラーの比表面積が5.0m/g以下であることにより、凝集したh−BNフィラーの内部の空隙、凝集したh−BNフィラー間の空隙等をエポキシ樹脂等で埋めきることができ、絶縁破壊の起点となりうる空隙が抑制される。そのため、樹脂組成物及び樹脂シートを用いて得られる樹脂シート硬化物の絶縁性により優れる傾向にある。
以上の点から、h−BNフィラーが凝集粒子を含む場合に、凝集粒子の凝集状態が著しく崩れることの抑制、及び、凝集したh−BNフィラーの内部の空隙等をエポキシ樹脂等で埋めることを好適に両立できるため、樹脂組成物及び樹脂シートを用いて得られる樹脂シート硬化物は、熱伝導性及び絶縁性により優れる。
本開示において、h−BNフィラーの比表面積は、窒素ガスを用いたガス吸着法により測定して得られる値である。
h−BNフィラーの比表面積は2.2m/g〜4.8m/gであることが好ましく、2.4m/g〜4.6m/gであることがより好ましく、3.0m/g〜4.5m/gであることがさらに好ましい。
h−BNフィラーの吸油量は、樹脂シート硬化物の絶縁性の観点から、90ml/100g以下であることが好ましく、85ml/100g以下であることがより好ましく、80ml/100g以下であることがさらに好ましく、75ml/100g以下であることが特に好ましい。
また、h−BNフィラーの吸油量は、50ml/100g以上であってもよく、55ml/100g以上であってもよく、60ml/100g以上であってもよく、65ml/100g以上であってもよい。
本発明者らは、h−BNフィラーの吸油量が十分に小さければ、エポキシ樹脂等にh−BNフィラーを高充填しても、凝集したh−BNフィラーの内部の空隙、凝集したh−BNフィラー間の空隙等をエポキシ樹脂等で好適に埋めることができ、樹脂シート硬化物の絶縁性をより向上できると期待し、鋭意検討を重ねた。その結果、前述の比表面積を有し、かつ吸油量が80ml/100g以下であるh−BNフィラーを使用することで、より優れた熱伝導性及び絶縁性を有する樹脂シート硬化物を作製可能な樹脂組成物が得られることを見出した。さらに、吸油量が80ml/100g以下であると、エポキシ樹脂等との混練性に優れ、h−BNフィラーを使用した場合に樹脂組成物に空隙が残存することを好適に抑制できる。
本開示において、h−BNフィラーの吸油量は以下の方法により求められる値である。まず、100mlのポリカップにh−BNフィラーを20g分取し、フタル酸ビス(2ーエチルヘキシル)(例えば、富士フイルム和光純薬株式会社製)を連続的に添加しながら薬匙で混ぜ合わせる。全体の形態がパテ状になり、表面に照りが見られた点を終点とし、下記式より吸油量を算出する。
h−BNフィラーの吸油量 (ml/100g)=100×[フタル酸ジオクチルの添加量(g)/フタル酸ジオクチルの密度(g/ml)]/h−BNフィラーの分取量(g)
h−BNフィラーの体積平均粒子径としては特に制限はなく、成型性の観点から、レーザー回折法で求められる体積平均粒子径は100μm以下であることが好ましく、熱伝導性の観点から10μm〜100μmであることがより好ましく、絶縁性の観点から10μm〜60μmであることがさらに好ましい。
レーザー回折法によりフィラーの体積平均粒子径を求める方法としては、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社製、LS230)を用いて測定する方法が挙げられる。具体的には、エタノール等の有機溶剤を用いて、超音波分散機等でh−BNフィラーを分散する。この分散液の粒子径分布を測定することで、h−BNフィラーの体積平均粒子径の測定が可能になる。
無機フィラーは、h−BNフィラー表面の凹凸を隙間なく充填し、絶縁性を向上させる、熱伝導性を維持する等を目的にh−BNフィラー以外のその他のフィラーを含んでいてもよい。その他のフィラーとしては、酸化ベリリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の絶縁性を有する無機化合物が挙げられる。その他のフィラーは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
その他のフィラーの粒子形状としては特に制限はなく、球形状、丸み状、破砕状、りん片状、及び凝集粒子などが挙げられる。
無機フィラーの体積平均粒子径としては特に制限はなく、成型性の観点から、レーザー回折法で求められる体積平均粒子径は100μm以下であることが好ましい。また、充填性の観点から、異なる粒度分布を示す無機フィラーを複数使用することが好ましい。例えば、無機フィラーがその他のフィラーを含む場合、その他のフィラーの体積平均粒子径としては、凝集したh−BNフィラー間の空隙等に位置し、熱伝導性を好適に高める観点から、0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.2μm〜5μmであることがより好ましい。
無機フィラーの含有率は、熱伝導性及び接着性の観点から、樹脂組成物の全固形分の体積に対して40体積%〜85体積%であることが好ましく、45体積%〜80体積%であることがより好ましく、熱伝導性の観点から、55体積%〜80体積%であることがさらに好ましい。体積基準での無機充填材の含有量が上記範囲内にあると、硬化前である樹脂シートは柔軟性を有し、硬化後である樹脂シート硬化物は熱伝導性に優れる傾向にある。
無機フィラーの総体積に対するh−BNフィラーの含有率は、成型性の観点から、50体積%〜95体積%であることが好ましく、充填性の観点から、60体積%〜95体積%であることがより好ましく、熱伝導性の観点から、70体積%〜95体積%であることがさらに好ましい。
[エポキシ樹脂]
本開示の樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む。また、熱伝導性の観点から、エポキシ樹脂は、固形多官能エポキシ樹脂を含むことが好ましい。なお、本開示において「多官能」とは、一分子中の官能基数が3以上であることを示す。一般に、エポキシ樹脂をはじめとする種々の絶縁材料の熱伝導性はフォノンに強く依存するため、これらの材料の高熱伝導化を達成するには、フォノン散乱を低減させる分子設計が求められる。フォノン散乱を低減させる方法の一つとして、固形多官能エポキシ樹脂の使用が挙げられる。この理由は、格子運動の調和性をもたらす共有結合を硬化物中に高密度に配することで、フォノン散乱の低減が見込めるためである。
固形多官能エポキシ樹脂の具体例としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼンノボラック型エポキシ樹脂、及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。分岐構造の観点からトリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、架橋密度の観点から、構造単位に反応性末端を有する分岐構造を有するトリフェニルメタン型エポキシ樹脂がさらに好ましい。固形多官能エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂が固形多官能エポキシ樹脂を含む場合、固形多官能エポキシ樹脂の含有率は、エポキシ樹脂の総質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。固形多官能エポキシ樹脂の含有率は、エポキシ樹脂の総質量に対して60質量%以下であってもよい。
エポキシ樹脂は、熱伝導性及び絶縁性により優れる樹脂シート硬化物を得る観点から、液状エポキシ樹脂を含むことが好ましい。前述の固形多官能エポキシ樹脂を使用する場合、架橋密度を上げることで樹脂シート硬化物の熱伝導性に寄与する一方で、樹脂組成物の軟化点の上昇、脆弱性等を招く場合がある。ここで、液状エポキシ樹脂を使用することで、樹脂組成物の軟化点の低下に加え、基材等の貼り付け対象物の表面形状への追随性に優れる傾向にあり、絶縁破壊が好適に抑制される傾向にある。
本開示において液状とは、融点又は軟化点が室温未満であることを示す。
液状エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型/F型混合エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。液状エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
液状エポキシ樹脂の含有率は、エポキシ樹脂の総質量に対して、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。液状エポキシ樹脂の含有率は、エポキシ樹脂の総質量に対して40質量%以上であってもよい。
本開示の樹脂組成物は、樹脂シート硬化物としたときの熱伝導性及び絶縁性により優れる観点から、固形多官能エポキシ樹脂及び液状エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
固形多官能エポキシ樹脂及び液状エポキシ樹脂の合計含有率は、エポキシ樹脂の総質量に対して、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
固形多官能エポキシ樹脂と、液状エポキシ樹脂との質量比率(液状エポキシ樹脂/固形多官能エポキシ樹脂)は、0.5〜1.5であってもよく、0.8〜1.2であってもよい。
また、本発明において、エポキシ樹脂は、固形多官能エポキシ樹脂及び液状エポキシ樹脂以外のその他のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
[硬化剤]
本開示の樹脂組成物は、硬化剤を含む。硬化剤は、下記一般式(I)で表される構造単位を有する化合物を含むノボラック樹脂、及び下記一般式(II)で表される芳香族ジアミン化合物の少なくとも一方を含む。また、硬化剤は、下記一般式(I)で表される構造単位を有する化合物を含むノボラック樹脂を含むことが好ましい。
一般式(I)中、R及びRは各々独立に水素原子、又はメチル基を表し、mは平均値で1.5〜2.5を表し、nは平均値で1〜15を表す。一般式(II)中、Rは各々独立に水素原子、又はメチル基を表し、Xはメチレン基、硫黄原子、スルホニル基、又はエーテル基を表す。
また、これらの硬化剤にイミダゾール、トリフェニルホスフィン、またこれらに側鎖を持たせた置換体等の硬化触媒などを用いることができる。
共有結合を硬化物中に高密度に配して熱伝導性を高める観点から、硬化物は、水酸基当量がより小さいノボラック樹脂を含むことが好ましく、そのため、前記ノボラック樹脂の水酸基当量は小さいことが好ましい。一般式(I)で表される構造単位を有するノボラック樹脂では、mは平均値で2.5以下となっており、ノボラック樹脂の水酸基当量は適切に小さい。一方で、硬化物が脆くなりすぎることを抑制する観点から、一般式(I)で表される構造単位を有するノボラック樹脂では、mは平均値で1.5以上である。
一般式(I)で表される構造単位を有するノボラック樹脂では、熱伝導性と、硬化物の強度とのバランスの観点から、mは平均値で1.7〜2.2であることが好ましい。
水酸基の価数であるmは平均値であればよく、例えばノボラック樹脂の原料として一価のフェノールと二価のレゾルシノールを等モル併用して、平均価数を1.5〜2.5に調整してもよい。
また、合成したノボラック樹脂が分子量の異なる樹脂混合物であり、このノボラック樹脂では平均値としてnが1〜15であってもよく、分子量の異なるノボラック樹脂を混合して平均値としてnを1〜15に調整してもよい。
なお、前記一般式(I)で表される構造単位を有するノボラック樹脂は、分子内に一般式(I)で表される構造単位を有しているものであれば、さらに他の構造を有していてもよい。改質の目的で例えば、フェノール化合物に由来する骨格として、アルキルフェノール骨格、アラルキル骨格、キサンテン骨格等のフェノール化合物の縮合環構造などが分子内に存在してもよい。また、一般式(I)で表される構造単位を有するノボラック樹脂は、ランダム重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
硬化剤は、改質のために、その他のノボラック樹脂、単核で二価以上の水酸基を有するフェノール化合物(モノマー)、アラルキル樹脂等を含んでいてもよい。フェノール性水酸基の価数が高くなるほど水酸基当量は小さくなるため、熱伝導性の観点では好ましい一方、架橋密度が高くなりすぎて硬化物が脆くなりやすい傾向にある。これに対して、硬化剤が前記モノマーを含んでいると、硬化物が脆くなるのが抑えられる。前記モノマーを含む硬化剤は、硬化剤にモノマーを添加するか、あるいは硬化剤の合成時に未反応モノマーを残留させることにより得られる。
単核で二価以上の水酸基を有するフェノール化合物であるモノマーとしては、一般式(I)で表される構造単位を有するノボラック樹脂を合成する際に用いた原料のフェノール化合物であることが好ましい。また、前述のモノマーは、別の単核フェノール化合物を含んでもよい。
単核で二価以上の水酸基を有するフェノール化合物であるモノマーとしては、特に限定されず、ジヒドロキシベンゼンが挙げられ、より具体的には、カテコール、レゾルシノール及びヒドロキノンが挙げられ、この3種の中では酸化されにくいレゾルシノールが好ましい。
(その他の成分)
本開示の樹脂組成物は、h−BNフィラーを含む無機フィラー、エポキシ樹脂、及び硬化剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、硬化促進剤、カップリング剤、分散剤及び有機溶剤が挙げられる。
(樹脂組成物の製造方法)
本開示の樹脂組成物は、前述の各成分を混合することで得られる。製造方法としては、通常行なわれる樹脂組成物の製造方法を特に制限なく用いることができる。例えば、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を単独で使用、又は適宜組み合わせて使用することができる。
[樹脂シート]
本開示の樹脂シートは、前述の本開示の樹脂組成物を含む樹脂組成物層を有する。また、本開示の樹脂シートの樹脂組成物層は、未硬化体であっても、半硬化体であってもよい。
樹脂シートは支持体上に樹脂組成物を含む樹脂組成物層を設けたものであってもよい。支持体に特に制限はなく、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム、銅箔、アルミ箔等の金属支持体などが挙げられる。
支持体は、樹脂組成物層の一方の面にのみ配置されていてもよく、両方の面に配置されていてもよい。
樹脂組成物層の厚さは特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱抵抗の観点からはより薄い方が好ましく、また絶縁性の観点からはより厚い方がよい。熱抵抗と絶縁性とを両立する観点から、樹脂組成物層の厚さは、70μm〜300μmであることが好ましく、100μm〜250μmであることがより好ましい。
(樹脂シートの製造方法)
本開示の樹脂シートは、例えば、前述の樹脂組成物をシート状に成型することで得ることができる。
本開示の樹脂シートは、支持体に対して樹脂組成物を塗布し、塗布された樹脂組成物を乾燥し、支持体上に樹脂組成物層を形成することで得てもよい。樹脂組成物の塗布方法、及び乾燥方法については特に制限なく通常用いられる方法を適宜選択することができる。例えば、塗工方法はコンマコータ、ダイコータ等を用いた塗工、ディップ塗工などが挙げられる。
乾燥方法としては、バッチ処理の場合には箱型温風乾燥機、塗工機との連続処理の場合には多段式温風乾燥機等が使用できる。
支持体がプラスチックフィルム等の絶縁性支持体である場合、絶縁性支持体に対して、必要に応じてプライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理、離型処理等の表面処理を行ってもよい。支持体が金属支持体等の導電性支持体である場合、導電性支持体に対して、プライマー塗布、カップリング処理、UV処理、エッチング処理、離型処理等の表面処理を行ってもよい。特に金属箔と樹脂組成物を含む樹脂組成物層との密着性を求める場合、研磨処理面上、電解箔による粗化面上に樹脂組成物層を設けることが好ましい。
樹脂シートが半硬化体の場合、半硬化する方法としては、特に制限はなく通常用いられる方法を適宜選択することができ、例えば、樹脂組成物を加熱処理することで樹脂組成物が半硬化される。
前記樹脂シートを半硬化した後に、樹脂シートを2枚以上重ね合わせ、加熱しながら加圧して、樹脂シートを熱圧着させてもよい。加圧方法には特に制限がなく、熱プレス、熱ロール、ラミネータ等の手段が挙げられる。
[樹脂シート硬化物]
本開示の樹脂シート硬化物は、前述の本開示の樹脂シートを硬化させてなる。これにより、本開示の樹脂シート硬化物は、熱伝導性及び絶縁性に優れる。
本開示の樹脂シート硬化物は、熱伝導性の観点から、シートの厚さ方向からX線を照射するX線回折測定にて、h−BNフィラーの(002)面に由来するピークの強度I(002)とh−BNフィラーの(100)面に由来するピークの強度I(100)との比であるI(002)/I(100)が30以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。かかるピーク強度の比は、h−BNフィラーの長軸方向がシート面方向と一致する場合に大きくなる。
本開示の樹脂シート硬化物は、熱伝導率が10W/(m・K)以上であることが好ましく、11W/(m・K)以上であることがより好ましい。
本開示の樹脂シート硬化物は、耐電圧が5kV以上であることが好ましく、7kV以上であることがより好ましく、9kV以上であることがさらに好ましい。
樹脂シート硬化物のピーク強度の比、熱伝導率及び耐電圧は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(樹脂シート硬化物の製造方法)
本開示の樹脂シート硬化物は、前述の本開示の樹脂シートを硬化させることで得られる。これにより熱伝導性及び絶縁性に優れる樹脂シート硬化物を得ることができる。樹脂シートを硬化する方法としては、特に制限はなく通常用いられる方法を適宜選択することができ、例えば、加熱処理することで樹脂シートを硬化できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
実施例及び比較例中に記載するエポキシ樹脂、硬化剤、無機フィラー及びその他の成分の略号を以下に示す。
(エポキシ樹脂)
TPM−Ep:トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(エポキシ当量:168g/eq)
BisAF−Ep:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂/ビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物(エポキシ当量:165g/eq)
(硬化剤)
ReN:レゾルシノールノボラック樹脂(水酸基当量:62g/eq)
(無機フィラー)
試作フィラーA〜H:以下の表1に示す物性を有するh−BNフィラー(凝集粒子を含む)
Al−1:酸化アルミニウム(体積平均粒子径:3μm)
Al−2:酸化アルミニウム(体積平均粒子径:0.4μm)
(その他の成分)
TPP:トリフェニルホスフィン
PAM:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
CHN:シクロヘキサノン
実施例及び比較例にて用いた支持体及び銅箔は以下の通りである。
(支持体)
PETフィルム:片面離型処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製、A53、厚さ:50μm)
銅箔:電解銅箔(福田金属箔粉製、CFT−9D(A)−35−SV)
<実施例1>
(樹脂組成物の調製)
TPM−Ep(6.6部)、BisAF−Ep(6.6部)、ReNのCHN溶液(固形分50%)(9.8部)、試作フィラーA(55.8部)、Al−1(12.6部)、Al−2(12.6部)、TPP(0.2部)、PAM(0.1部)及びCHN(34.8部)を混合及び撹拌した。次いで、常温で塗工可能な粘度(2Pa・s〜8Pa・s)となるように混合物にCHNを添加し、混合及び撹拌し、樹脂組成物を調製した。
なお、樹脂組成物の全固形分の体積に対する無機フィラーの含有率は、67体積%であり、無機フィラーの総体積に対するh−BNフィラーの含有率は、80体積%であった。
(樹脂シートの作製)
得られた樹脂組成物を、コンマコータ法に基づき、厚さ約130μmとなるようPETフィルムの離型面上に塗布した後、加熱乾燥させることで、樹脂シートIを得た。
次いで樹脂シートIを10cm角に2枚切出し、樹脂面を内側に向けて2枚重ね合わせ、真空熱プレス(熱板120℃、圧力10MPa、真空度≦1kPa、処理時間5分)により熱圧着し、樹脂組成物層の厚さが約200μmである半硬化状態の樹脂シートとして樹脂シートIIを得た。
(樹脂シート硬化物の作製)
得られた樹脂シートIIの両面からPETフィルムを剥がし、両面を銅箔の粗化面側で挟み、真空熱プレス(熱板温度180℃、真空度≦1kPa、圧力10MPa、処理時間10分)で圧着及び硬化を行い、その後ボックス型オーブン中で、160℃で30分、190℃で2時間の二次硬化を行い、樹脂シート硬化物Iを得た。また、得られた樹脂シートIIの両面からPETフィルムを剥がし、樹脂シートIIを3枚重ね合わせ、両面を銅箔の粗化面側で挟み、真空熱プレス(熱板温度180℃、真空度≦1kPa、圧力15MPa、処理時間10分)で圧着及び硬化を行い、その後ボックス型オーブン中で、160℃で30分、190℃で2時間の二次硬化を行い、樹脂シート硬化物IIを得た。
<実施例2>
実施例1で用いた試作フィラーAを試作フィラーBに置き換え樹脂組成物を調製し、樹脂シート及び樹脂シート硬化物を得た。
<実施例3>
実施例1で用いた試作フィラーAを試作フィラーCに置き換え樹脂組成物を調製し、樹脂シート及び樹脂シート硬化物を得た。
<実施例4>
実施例1で用いた試作フィラーAを試作フィラーDに置き換え樹脂組成物を調製し、樹脂シート及び樹脂シート硬化物を得た。
<実施例5>
実施例1で用いた試作フィラーAを試作フィラーEに置き換え樹脂組成物を調製し、樹脂シート及び樹脂シート硬化物を得た。
<比較例1>
実施例1で用いた試作フィラーAを試作フィラーFに置き換え樹脂組成物を調製し、樹脂シート及び樹脂シート硬化物を得た。
<比較例2>
実施例1で用いた試作フィラーAを試作フィラーGに置き換え樹脂組成物を調製し、樹脂シート及び樹脂シート硬化物を得た。
<比較例3>
実施例1で用いた試作フィラーAを試作フィラーHに置き換え樹脂組成物を調製し、樹脂シート及び樹脂シート硬化物を得た。
(配向度の評価)
各実施例及び比較例で作製した樹脂シート硬化物IIの両面の銅箔をエッチングにより除去し、X線回折測定装置(PANanalytical製、Empyrean)を使用してX線回折測定を実施した。h−BNフィラーの(002)面及び(100)面に由来するピークの強度I(002)及びI(100)をそれぞれ読み取り、ピーク強度比I(002)/I(100)を算出し、配向度とした。
(熱伝導率の評価)
各実施例及び比較例で作製した樹脂シート硬化物IIの両面の銅箔をエッチングにより除去した。続いて、銅箔を除去した樹脂シート硬化物IIから10mm角のサンプルを切り出し、カーボンスプレーを使用して、切り出したサンプルの両面を黒化処理した。NETZSCH社製Nanoflash LFA447型を用いて、フラッシュ法により黒化処理したサンプルの厚さ方向の熱拡散率(mm/s)を測定した。この熱拡散率の値と密度(g/cm)と比熱(J/g・K)との積から熱伝導率[W/(m・K)]を算出した。
(耐電圧の評価)
各実施例及び比較例で作製した樹脂シート硬化物Iの片側の銅箔面に、直径20mmの丸パターンをエッチングにより形成した。同サンプルを不活性フロリナート(3M製、FC3283)に浸漬した状態で耐電圧試験機(KIKUSUI製、TOS8700)を用いて耐電圧を測定した。2.0kVから10.0kVまで0.5kVずつ昇圧した。この際、各電圧で20秒保持した。20秒間絶縁破壊することない最も高い電圧を耐電圧とした。
各実施例及び比較例について、配向度及び耐電圧、熱伝導率の結果を表2に示す。表2中、「N.M.」は、未測定を意味する。
実施例1〜実施例5の樹脂シート硬化物は耐電圧5kV以上、熱伝導率10W/(m・K)以上であり、さらに実施例1〜実施例4では、樹脂シート硬化物は耐電圧9kV以上であった。
一方で比較例3の樹脂シート硬化物は優れた熱伝導性を有していたが、耐電圧が5kV未満であり、絶縁性が十分でなかった。
これらの結果から、比表面積が大きいh−BNフィラーを用いた場合に、シート成型工程を経てもh−BNフィラーの凝集状態が崩れ難く優れた熱伝導性を発現したと考えられる。また、比較例3のように、吸油量が大きいh−BNフィラーを用いた場合に、樹脂シート硬化物中に空隙が残存し、絶縁破壊の起点となったため、絶縁性が悪化したと考えられる。
また、比較例1及び比較例2の樹脂シート硬化物は、絶縁性は良好であったが、熱伝導性は10W/(m・K)未満であり、熱伝導性は十分でなかった。
比較例1及び比較例2にて使用したh−BNフィラーは吸油量が十分に小さいためシート成型工程を経て、絶縁破壊の起点となるボイドを消失させることができたため、絶縁性が良好であったと考えられる。しかしながら、配向度の値も考慮すると、これらのh−BNフィラーの比表面積が小さいために、シート成型工程においてh−BNフィラーの凝集状態が崩れ、樹脂シート硬化物の熱伝導性が損なわれたと考えられる。

Claims (10)

  1. 六方晶窒化ホウ素フィラーを含む無機フィラーと、
    エポキシ樹脂と、
    下記一般式(I)で表される構造単位を有する化合物を含むノボラック樹脂、及び下記一般式(II)で表される芳香族ジアミン化合物の少なくとも一方と、
    を含み、前記六方晶窒化ホウ素フィラーの比表面積が2.0m/g〜5.0m/gである樹脂組成物。

    [一般式(I)中、R及びRは各々独立に水素原子、又はメチル基を表し、mは平均値で1.5〜2.5を表し、nは平均値で1〜15を表す。一般式(II)中、Rは各々独立に水素原子、又はメチル基を表し、Xはメチレン基、硫黄原子、スルホニル基、又はエーテル基を表す。]
  2. 前記六方晶窒化ホウ素フィラーの吸油量は80ml/100g以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記無機フィラーの含有率は、前記樹脂組成物の全固形分の体積に対して45体積%〜80体積%である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂は、固形多官能エポキシ樹脂を含み、
    前記固形多官能エポキシ樹脂の含有率は、前記エポキシ樹脂の総質量に対して20質量%以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層を有する樹脂シート。
  7. 請求項6に記載の樹脂シートを硬化させてなる樹脂シート硬化物。
  8. シートの厚さ方向からX線を照射するX線回折測定にて、前記六方晶窒化ホウ素フィラーの(002)面に由来するピークの強度I(002)と前記六方晶窒化ホウ素フィラーの(100)面に由来するピークの強度I(100)との比であるI(002)/I(100)が20以下である請求項7に記載の樹脂シート硬化物。
  9. 熱伝導率が10W/(m・K)以上である請求項7又は請求項8に記載の樹脂シート硬化物。
  10. 耐電圧が9kV以上である請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の樹脂シート硬化物。
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