JP2021030967A - 電動垂直離着陸機および電動垂直離着陸機の制御装置 - Google Patents

電動垂直離着陸機および電動垂直離着陸機の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】機体全体として保守の回数の増加を抑制する。【解決手段】回転翼30を回転駆動させる駆動用モータ12と駆動用モータを駆動させる駆動部11とを有する複数の電駆動システム10を備える電動垂直離着陸機100、100b、100dの制御装置50、50b、50dは、駆動用モータの劣化状態の指標となるモータ情報と駆動部の劣化状態の指標となる駆動部情報とのうちの少なくとも一方を含む駆動情報を、複数の電駆動システムのそれぞれに対して検出する駆動情報検出部55と、駆動情報の履歴に関する駆動履歴情報を記憶させる記憶制御部56と、記憶された駆動履歴情報を用いて複数の電駆動システムの保守に関する処理を実行する制御部52、52b、52dと、を備える。【選択図】図4

Description

本開示は、電動垂直離着陸機の制御に関する。
近年、ガスタービンエンジンを有する飛行機とは異なる種類の航空機として、電動垂直離着陸機(eVTOL:electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)と呼ばれる有人または無人の航空機の開発が活発化している。電動垂直離着陸機は、モータを有する電駆動システム(EDS:Electric Drive System)を複数備え、複数のモータによって複数の回転翼が回転駆動されることで、機体の揚力や推力を得ている。電駆動システムは、安全性を確保するために、必要に応じて交換や点検がなされることが望ましい。特許文献1には、飛行機のエンジンの排気温度が所定値を超えた場合に、かかるエンジンを交換すべき点が記載されている。
特開2017−159891号公報
電動垂直離着陸機は、飛行機が備えるエンジンおよびプロペラの数と比較して、より多くのモータおよび回転翼が搭載されることがある。また、電動垂直離着陸機には、主に機体の揚力を得るためのリフト用の回転翼や、主に機体の推力を得るためのクルーズ用の回転翼等、互いに異なる役割を持つ複数の回転翼が組み合わせて搭載されることがある。本願発明者らは、このような電動垂直離着陸機において、複数の電駆動システムのそれぞれに対する保守の時期にバラツキが生じ、機体全体として保守の回数が増加するおそれがあることを見出した。このため、機体全体として保守の回数の増加を抑制できる技術が望まれる。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
本開示の一形態によれば、電動垂直離着陸機(100、100b、100d)の制御装置(50、50b、50d)が提供される。この制御装置は、回転翼(30)を回転駆動させる駆動用モータ(12)と前記駆動用モータを駆動させる駆動部(11)とを有する複数の電駆動システム(10)を備える電動垂直離着陸機の制御装置であって、前記駆動用モータの劣化状態の指標となるモータ情報と、前記駆動部の劣化状態の指標となる駆動部情報と、のうちの少なくとも一方を含む駆動情報を、前記複数の電駆動システムのそれぞれに対して検出する駆動情報検出部(55)と、前記駆動情報の履歴に関する駆動履歴情報を記憶させる記憶制御部(56)と、記憶された前記駆動履歴情報を用いて前記複数の電駆動システムの保守に関する処理を実行する制御部(52、52b、52d)と、を備える。
この形態の電動垂直離着陸機の制御装置によれば、駆動用モータの劣化状態の指標となるモータ情報と駆動部の劣化状態の指標となる駆動部情報とのうちの少なくとも一方を含む駆動情報の履歴に関する駆動履歴情報を用いて複数の電駆動システムの保守に関する処理を実行する制御部を備えるので、複数の電駆動システムのそれぞれに対する保守の時期にバラツキが生じることを抑制でき、電動垂直離着陸機の機体全体として保守の回数が増加することを抑制できる。
本開示は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、電動垂直離着陸機、電動垂直離着陸機の制御方法等の形態で実現することができる。
電動垂直離着陸機の外観構成を模式的に示す上面図である。 電動垂直離着陸機の外観構成を模式的に示す側面図である。 電動垂直離着陸機の概略構成を示すブロック図である。 累積負荷平準化処理の手順を示すフローチャートである。 駆動履歴情報の更新処理の手順を示すフローチャートである。 第2実施形態における累積負荷平準化処理の手順を示すフローチャートである。 ローテーション要求処理の手順を示すフローチャートである。 第4実施形態における電動垂直離着陸機の概略構成を示すブロック図である。 第4実施形態におけるローテーション要求処理の手順を示すフローチャートである。 保守要否検出処理の手順を示すフローチャートである。 第5実施形態におけるローテーション要求処理の手順を示すフローチャートである。 第7実施形態における電動垂直離着陸機の概略構成を示すブロック図である。 同時保守要求処理の手順を示すフローチャートである。 同時に保守を行なうべき電駆動システムの決定方法を説明する説明図である。
A.第1実施形態:
図1および図2に示す電動垂直離着陸機100(以下、「eVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)100」とも呼ぶ)は、電気により駆動され、鉛直方向に離着陸可能な有人航空機として構成されている。eVTOL100は、機体20と、複数の回転翼30と、各回転翼30をそれぞれ回転駆動させるための複数の電駆動システム10(以下、「EDS(Electric Drive System)10とも呼ぶ」とを備えている。本実施形態のeVTOL100は、回転翼30とEDS10とをそれぞれ9つずつ備えている。
機体20は、eVTOL100において9つの回転翼30およびEDS10を除いた部分に相当する。機体20は、機体本体部21と、支柱部22と、6つの第1支持部23と、6つの第2支持部24と、主翼25と、尾翼28とを備える。
機体本体部21は、eVTOL100の胴体部分を構成する。機体本体部21は、機体軸AXを対称軸として左右対称の構成を有する。本実施形態において、「機体軸AX」とは、機体重心位置CMを通り、eVTOL100の前後方向に沿った軸を意味している。また、「機体重心位置CM」とは、乗員が搭乗していない空虚重量時におけるeVTOL100の重心位置を意味している。機体本体部21の内部には、図示しない乗員室が形成されている。
支柱部22は、鉛直方向に延びる略柱状の外観形状を有し、機体本体部21の上部に固定されている。本実施形態において、支柱部22は、鉛直方向に見てeVTOL100の機体重心位置CMと重なる位置に配置されている。支柱部22の上端部には、6つの第1支持部23の一方の端部がそれぞれ固定されている。6つの第1支持部23は、それぞれ略棒状の外観形状を有し、鉛直方向に垂直な面に沿って延びるように、互いに等角度間隔で放射状に配置されている。各第1支持部23の他方の端部、すなわち支柱部22から遠ざかる位置にある端部には、それぞれ回転翼30とEDS10とが配置されている。6つの第2支持部24は、それぞれ略棒状の外観形状を有し、互いに隣り合う第1支持部23他方の端部(支柱部22と接続されていない側の端部)同士を接続している。
主翼25は、右翼26と左翼27とにより構成されている。右翼26は、機体本体部21から右方向に延びて形成されている。左翼27は、機体本体部21から左方向に延びて形成されている。尾翼28は、機体本体部21の後端部に形成されている。右翼26と左翼27と尾翼28とには、それぞれ回転翼30とEDS10とが1つずつ配置されている。
9つの回転翼30のうちの6つは、各第2支持部24の端部に配置され、主に機体20の揚力を得るためのリフト用回転翼31として構成されている。9つの回転翼30のうちの3つは、右翼26と左翼27と尾翼28とにそれぞれ配置され、主に機体20の推力を得るためのクルーズ用回転翼32として構成されている。各回転翼30は、それぞれの回転軸を中心として、互いに独立して回転駆動される。各回転翼30は、互いに等角度間隔で配置された3つのブレード33をそれぞれ有する。
9つのEDS10は、各回転翼30をそれぞれ回転駆動させるための駆動装置として構成されている。9つのEDS10のうちの6つは、それぞれリフト用回転翼31を回転駆動させる。9つのEDS10のうちの3つは、それぞれクルーズ用回転翼32を回転駆動させる。
図3に示すように、各EDS10は、駆動部11と、駆動用モータ12と、ギアボックス13と、回転数センサ14と、電流センサ15と、電圧センサ16とを有する。また、eVTOL100は、さらに、バッテリ40と、コンバータ42と、分配器44と、制御装置50と、記憶装置62と、機体通信部64と、報知部66とを備えている。なお、図3では、図示の便宜上、eVTOL100が備える9つの回転翼30およびEDS10のうち、2つの回転翼30およびEDS10を代表して示している。
駆動部11は、図示しないインバータ回路と、かかるインバータ回路を制御する図示しないコントローラとを含む電子機器として構成されている。インバータ回路は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等のパワー素子により構成され、コントローラから供給される制御信号に応じたデューティ比により駆動用モータ12に駆動電圧を供給する。コントローラは、制御装置50と電気的に接続されており、制御装置50からの指令に応じてインバータ回路に制御信号を供給する。
駆動用モータ12は、本実施形態ではブラシレスモータにより構成され、駆動部11のインバータ回路から供給される電圧および電流に応じた回転運動を出力する。なお、ブラシレスモータに代えて、誘導モータやリラクタンスモータ等の任意のモータにより構成されていてもよい。
ギアボックス13は、駆動用モータ12と回転翼30とを物理的に接続している。ギアボックス13は、図示しない複数のギアを有し、駆動用モータ12の回転を減速して回転翼30へと伝達する。なお、ギアボックス13が省略されて駆動用モータ12に回転翼30の回転軸が直接的に接続されていてもよい。
回転数センサ14は、駆動用モータ12に設けられており、駆動用モータ12の回転数を測定する。電流センサ15と電圧センサ16とは、それぞれ駆動部11と駆動用モータ12との間に設けられており、駆動電流と駆動電圧とをそれぞれ測定する。各センサ14〜16による測定結果は、駆動部11を介して、後述する制御装置50の駆動情報検出部55へと出力される。
バッテリ40は、リチウムイオン電池により構成され、eVTOL100における電力供給源として機能する。バッテリ40は、主に、各EDS10がそれぞれ有する駆動部11へと電力を供給して各駆動用モータ12を駆動させる。なお、リチウムイオン電池に代えて、ニッケル水素電池等の任意の二次電池により構成されていてもよく、バッテリ40に代えて、またはバッテリ40に加えて、燃料電池や発電機等の任意の電力供給源が搭載されていてもよい。
コンバータ42は、バッテリ40と接続されており、バッテリ40の電圧を降圧してeVTOL100が備える図示しない補機類や制御装置50へと供給する。分配器44は、バッテリ40の電圧を各EDS10が備える駆動部11へと分配する。
制御装置50は、記憶部51とCPU(Central Processing Unit)とを備えるマイクロコンピュータであり、ECU(Electronic Control Unit)として構成されている。記憶部51は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有する。CPUは、記憶部51に予め記憶されている制御プログラムを実行することにより、制御部52、駆動情報検出部55、および記憶制御部56として機能する。
制御部52は、eVTOL100の全体動作を制御する。eVTOL100の全体動作としては、例えば、垂直離着陸動作や飛行動作等が該当する。垂直離着陸動作および飛行動作は、設定された航空経路情報に基づいて実行されてもよく、乗員の操縦により実行されてもよく、後述する外部装置500が備える外部制御部510からの指令に基づいて実行されてもよい。制御部52は、eVTOL100の動作において、各EDS10が有する駆動用モータ12の回転数および回転方向等を制御する。また、制御部52は、eVTOL100全体として保守回数の増加を抑制するための処理として、劣化の度合いが大きいEDS10への要求出力を、劣化の度合いが小さいEDS10への要求出力よりも小さくする処理(以下、「累積負荷平準化処理」と呼ぶ)を実行する。累積負荷平準化処理についての詳細な説明は、後述する。
駆動情報検出部55は、各EDS10のそれぞれに対する駆動情報を検出する。駆動情報には、駆動用モータ12の劣化状態の指標となるモータ情報と、駆動部11の劣化状態の指標となる駆動部情報とが含まれる。モータ情報には、例えば、各EDS10がそれぞれ有する回転数センサ14により測定された情報(駆動用モータ12の回転数)が該当する。駆動部情報には、例えば、各EDS10がそれぞれ有する電流センサ15および電圧センサ16により測定された情報(駆動電流値、駆動電圧値)が該当する。なお、駆動情報は、これらの情報に限らず、図示しないトルクセンサ、温度センサ、振動センサ等により測定された情報が含まれていてもよく、これらの情報のうちの一部の情報であってもよい。これらの情報は、各EDS10の駆動部11を介して駆動情報検出部55に送信される。
記憶制御部56は、後述するように、駆動情報の履歴に関する駆動履歴情報の更新処理を実行する。本実施形態の記憶制御部56は、eVTOL100が備える記憶装置62に、更新された駆動履歴情報を記憶させる。駆動履歴情報は、EDS10の劣化の度合いと相関がある情報であり、例えば、EDS10の累積駆動時間、駆動用モータ12の累積回転数、駆動用モータ12の累積駆動電流等の累積負荷値等が該当する。EDS10の累積駆動時間は、例えば、所定以上の駆動電流値が計測された時間であってもよい。
記憶装置62は、ROMとRAMとを有するメモリとして構成され、記憶制御部56の指示に応じて駆動履歴情報を記憶する。
機体通信部64は、無線通信を行なう機能を有し、外部装置500が備える外部通信部520とeVTOL100との間で情報の送受信を行なうとともに、制御装置50と通信可能に構成されている。無線通信としては、例えば、民間用VHF(Very High Frequency)無線通信や、4G(第4世代移動体通信システム)や5G(第5世代移動体通信システム)等の電気通信事業者が提供する無線通信や、IEEE802.11規格に従った無線LAN通信等が該当する。また、例えば、USB(Universal Serial Bus)や、IEEE802.3規格に従った有線通信であってもよい。なお、外部装置500としては、例えば、各EDS10の保守の記録等を行うサーバ装置等の管理および制御用のコンピュータが該当する。かかる管理・制御用コンピュータは、例えば、航空管制室に配置されているサーバ装置であってもよく、また、各EDS10の保守を行う保守作業員がeVTOL100の運用場所に持ち込んだパーソナルコンピュータであってもよい。
報知部66は、制御装置50からの指示に従って報知を行う。本実施形態において、報知部66は、乗員室に搭載されて文字や画像等を表示する表示装置や、音声や警告音等を出力するスピーカ等により構成され、視覚情報や聴覚情報によって乗員に各種情報を報知する。
図4に示す累積負荷平準化処理は、eVTOL100の起動スイッチがオンされると、制御装置50において繰り返し実行される。
駆動情報検出部55は、駆動情報を検出する(ステップS110)。記憶制御部56は、駆動履歴情報の更新処理を実行する(ステップS120)。
図5に示すように、本実施形態における駆動履歴情報の更新処理において、記憶制御部56は、駆動情報検出部55により検出された駆動情報を、駆動履歴情報用の値に変換する(ステップS210)。本実施形態では、駆動履歴情報用の値として、回転数センサ14により測定された駆動用モータ12の回転数と、電流センサ15により測定された駆動電流値とが統合された履歴情報を用いる。かかる履歴情報は、例えば、駆動用モータ12の回転数と駆動電流値とを所定の演算式に代入することにより統合されてもよい。かかる演算式は、例えば、駆動用モータ12の回転数よりも駆動電流値の方が劣化の度合いをより反映させるように重み付けされる式であってもよい。なお、駆動履歴情報用の値は、これらに限らず、任意の複数種類の駆動情報が統合された履歴情報であってもよく、EDS10の劣化速度に対応するように変換された変換値としての情報であってもよい。複数の駆動情報が統合された履歴情報を用いることにより、記憶装置62のメモリを節約できる。また、変換値を用いることにより、駆動情報とEDS10の劣化速度が線形関係でない場合においても、EDS10の劣化の度合いをより適切に示すことができる。また、駆動履歴情報用の値として、検出された駆動情報がそのまま用いられてもよい。換言すると、ステップS210が省略されてもよい。
記憶制御部56は、記憶装置62に記憶されている駆動履歴情報の値に、今回の駆動履歴情報の値を加算する(ステップS220)。ステップS220が実行されることにより、記憶装置62に記憶されている駆動履歴情報が更新され、記憶される。本実施形態では、駆動用モータ12の累積回転数と累積駆動電流との情報が統合された駆動履歴情報が更新され、記憶される。以上により、駆動履歴情報の更新処理は完了する。
図4に示すように、制御部52は、ステップS120において更新されて記憶された駆動履歴情報を用いて、複数のEDS10のうち最も劣化の度合いが大きいEDS10を特定する(ステップS130)。最も劣化の度合いが大きいEDS10は、最も累積負荷値が大きいため、複数のEDS10のうち最も早く保守の時期を迎えることが推定される。EDS10に対する保守としては、EDS10の交換、EDS10の構成部品の交換、EDS10の定期点検が該当する。
制御部52は、最も劣化の度合いが大きいEDS10に共働するEDS10を特定する(ステップS140)。共働するEDS10とは、互いに共働してeVTOL100の揚力や推力を発生させるEDS10を意味している。共働するEDS10には、例えば、互いに同じ方向に推力を発生するEDS10が該当する。互いに共働するEDS10への要求出力は、互いに同程度に設定されていることが想定される。ステップS140において特定される共働するEDS10とは、最も劣化の度合いが大きいEDS10の機能と類似する機能を有し、最も劣化の度合いが大きいEDS10の近くに配置されて共働システムとなり得るEDS10を意味している。ステップS140において、制御部52は、1つのEDS10を共働するEDS10として特定してもよく、複数のEDS10を共働するEDS10として特定してもよい。ステップS140において特定される共働するEDS10は、ステップS130において特定された最も劣化の度合いが大きいEDS10よりも、劣化の度合いが小さい。
制御部52は、共働するEDS10の駆動余力を算出する(ステップS150)。かかる駆動余力は、最も劣化の度合いが大きいEDS10における負荷低減可能量に相当する。
制御部52は、ステップS130で特定された最も劣化の度合いが大きいEDS10への要求出力を小さくする(ステップS160)。かかる要求出力は、ステップS150で算出された駆動余力に応じて設定される。ステップS160において、制御部52は、かかる要求出力をゼロに設定してもよい。
制御部52は、ステップS140で特定された共働するEDS10への要求出力を大きくする(ステップS170)。ステップS160およびステップS170により、最も劣化の度合いが大きいEDS10への要求出力が、共働するEDS10への要求出力よりも小さくなる。各EDS10では、それぞれの要求出力に応じて駆動用モータ12が駆動され、各回転翼30が回転駆動される。以上により、累積負荷平準化処理は完了する。
以上説明した第1実施形態のeVTOL100によれば、制御部52が、劣化の度合いが大きいEDS10への要求出力を、劣化の度合いが小さいEDS10への要求出力よりも小さくする累積負荷平準化処理を実行するので、複数のEDS10における累積負荷値の平準化を図ることができる。このため、複数のEDS10のうち比較的早く保守の時期を迎えることが推定されるEDS10に対する保守の時期を遅らせることができる。したがって、例えば、劣化の度合いの大きいEDS10に対する保守の時期を、他のEDS10に対する保守の時期に合わせることができる。このように、本実施形態のeVTOL100によれば、記憶された駆動履歴情報を用いて複数のEDS10の保守に関する処理として、累積負荷平準化処理を実行することにより、複数のEDS10のそれぞれに対する保守の時期にバラツキが生じることを抑制できるので、eVTOL100全体として保守回数の増加を抑制できる。
また、最も劣化の度合いが大きいEDS10への要求出力を、かかるEDS10に共働する他のEDS10への要求出力よりも小さくするので、複数のEDS10のうち最も早く保守の時期を迎えることが推定されるEDS10に対する保守の時期を遅らせることができる。このため、eVTOL100全体として保守の時期を効果的に遅らせることができるので、eVTOL100全体として保守回数の増加をより抑制できる。
また、駆動履歴情報として、複数の駆動情報が統合された履歴情報を用いるので、記憶装置62のメモリを節約できる。また、制御装置50がeVTOL100に搭載されており、また、記憶装置62に駆動履歴情報を記憶させるので、累積負荷平準化処理の実行中における外部装置500との通信を省略でき、通信障害等に起因して累積負荷平準化処理の中断等が発生することを抑制できる。
B.第2実施形態:
図6に示すように、第2実施形態のeVTOL100は、制御部52が実行する累積負荷平準化処理において、ステップS130〜ステップS170に代えてステップS130a〜ステップS180aが実行される点において、第1実施形態のeVTOL100と異なる。装置構成を含めた他の構成は第1実施形態のeVTOL100と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
制御部52は、ステップS120において更新されて記憶された駆動履歴情報を用いて、複数のEDS10のうち最も劣化の度合いが小さいEDS10を特定する(ステップS130a)。最も劣化の度合いが小さいEDS10は、最も累積負荷値が小さいため、複数のEDS10のうち最も遅く保守の時期を迎えることが推定されるEDS10に相当する。
制御部52は、ステップS130aにおいて特定された最も劣化の度合いが小さいEDS10とは異なる他のEDS10を特定する(ステップS140a)。ステップS140aにおいて、制御部52は、1つのEDS10を特定してもよく、複数のEDS10を特定してもよい。ステップS140aにおいて特定されるEDS10は、ステップS130において特定された最も劣化の度合いが小さいEDS10よりも劣化の度合いが大きく、負荷を平準化すべきEDS10に相当する。最も劣化の度合いが小さいEDS10とは異なる他のEDS10は、第1実施形態の累積負荷平準化処理において特定された「共働するEDS10」と同様のEDS10であってもよい。
制御部52は、ステップS140aにおいて特定された他のEDS10に対する要求出力として、最も劣化の度合いが小さいEDS10の要求出力を最大限にして定格運転すると仮定した場合における、他のEDS10に対する要求出力を算出する(ステップS150a)。
制御部52は、ステップS130aにおいて特定されたEDS10に対して定格運転となるような要求出力を設定し、ステップS140aにおいて特定された他のEDS10とのそれぞれに対して、ステップS150aにおいて算出された要求出力を設定する(ステップS180a)。このようにすることで、劣化の度合いが最も小さいEDS10への要求出力を、劣化の度合いが大きいEDS10への要求出力よりも小さくできる。ステップS180aにより、各EDS10では、それぞれの要求出力に応じて駆動用モータ12が駆動され、各回転翼30が回転駆動される。以上により、累積負荷平準化処理は完了する。
以上説明した第2実施形態のeVTOL100によれば、第1実施形態のeVTOL100と同様な効果を奏する。加えて、制御部52が、劣化の度合いが最も小さいEDS10への要求出力を、劣化の度合いが大きいEDS10への要求出力よりも大きくする累積負荷平準化処理を実行する。このため、複数のEDS10のうち比較的遅く保守の時期を迎えることが推定されるEDS10を積極的に稼動させて、比較的早く保守の時期を迎えることが推定される他のEDS10の負荷を低減させるので、かかる他のEDS10に対する保守の時期を遅らせることができる。例えば、複数のEDS10のうちの1つを交換したために、かかるEDS10の累積負荷値が他のEDS10の累積負荷値と比較して大幅に小さい状態となった場合においても、複数のEDS10の累積負荷値を平準化することにより、複数のEDS10のそれぞれに対する保守の時期にバラツキが生じることを抑制できる。このため、eVTOL100全体として保守回数の増加を抑制できる。
C.第3実施形態:
図7に示すように、第3実施形態のeVTOL100は、累積負荷平準化処理に代えてまたは累積負荷平準化処理に加えて、劣化の度合いが大きいEDS10と劣化の度合いが小さいEDS10とを入れ替える要求を発信する処理(以下、「ローテーション要求処理」と呼ぶ)を実行する点において、第1実施形態のeVTOL100と異なる。装置構成を含めた他の構成は第1実施形態のeVTOL100と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。なお、第3実施形態では、各EDS10の駆動履歴情報とともに各EDS10の識別情報が記憶装置62に記憶される。
ローテーション要求処理は、eVTOL100の起動スイッチがオンされると、制御装置50において繰り返し実行される。
駆動情報検出部55は、駆動情報を検出する(ステップS110)。記憶制御部56は、駆動履歴情報の更新処理を実行する(ステップS120)。制御部52は、ステップS120において更新されて記憶された駆動履歴情報を用いて、複数のEDS10のうち最も劣化の度合いが大きいEDS10を特定する(ステップS130)。ステップS110〜S130の処理は、第1実施形態の累積負荷平準化処理におけるステップS110〜S130と同様に実行される。
制御部52は、ステップS120において更新されて記憶された駆動履歴情報を用いて、複数のEDS10のうち最も劣化の度合いが小さいEDS10を特定する(ステップS130a)。ステップS130aは、第2実施形態におけるステップS130aと同様に実行される。なお、ステップS130aの実行後にステップS130が実行されてもよい。
制御部52は、ステップS130において特定されたEDS10と、ステップS130aにおいて特定されたEDS10とを入れ替える要求を発信する(ステップS190)。以下の説明では、かかる要求を「ローテーション要求」とも呼ぶ。ローテーション要求は、特定された2つのEDS10の搭載位置を物理的に入れ替える要求であってもよく、配線の接続状態の切り替え等により、EDS10と回転翼30との組み合わせを電気的に切り替える要求であってもよい。また、特定された2つのEDS10の搭載位置を物理的に入れ替える場合には、EDS10同士のローテーションに限らず、EDS10と、かかるEDS10が回転駆動させる回転翼30とをセットにして、かかるセット同士が入れ替えられてもよい。ローテーション要求の発信は、報知部66を介してeVTOL100の乗員や保守作業員に対して発信されてもよく、機体通信部64を介して外部装置500に対して発信されてもよい。ステップS190の実行により、ローテーション要求処理は完了する。ローテーション要求の発信により、eVTOL100の乗員や保守作業員等により、劣化の度合いが大きいEDS10と劣化の度合いが小さいEDS10とのローテーションが実行されることが期待される。
以上説明した第3実施形態のeVTOL100によれば、制御部52がローテーション要求処理を実行して、劣化の度合いが大きいEDS10と劣化の度合いが小さいEDS10とを交換させるローテーション要求を発信する。これによってローテーションが実行されると、複数のEDS10における将来的な累積負荷値のバラツキを抑制でき、劣化の度合いが大きいEDS10に対する保守の時期を遅らせることができる。このように、第3実施形態のeVTOL100によれば、記憶された駆動履歴情報を用いて複数のEDS10の保守に関する処理としてローテーション要求処理を実行することにより、複数のEDS10のそれぞれに対する保守の時期にバラツキが生じることを抑制できるので、eVTOL100全体として保守回数の増加を抑制できる。
また、劣化の度合いが最も大きいEDS10と劣化の度合いが最も小さいEDS10とを交換させるローテーション要求を発信するので、複数のEDS10のうち最も早く保守の時期を迎えることが推定されるEDS10に対する保守の時期と、複数のEDS10のうち最も遅く保守の時期を迎えることが推定されるEDS10に対する保守の時期とを互いに近付けることができる。このため、例えば、特定の搭載位置のEDS10の劣化の度合いが特に大きい場合においても、複数のEDS10のそれぞれに対する保守の時期にバラツキが生じることを効果的に抑制できる。
また、ローテーション要求の発信により、複数のEDS10における将来的な累積負荷値のバラツキを抑制できるので、例えば、EDS10および回転翼30の搭載数が少ないために共働するEDS10が無いまたは少ないeVTOL100においても、各EDS10のそれぞれに対する保守の時期にバラツキが生じることを効果的に抑制できる。また、各EDS10の駆動履歴情報とともに各EDS10の識別情報が記憶装置62に記憶されるので、ローテーションの実行後においても、複数のEDS10の駆動履歴情報を適切に管理できる。その他、第3実施形態のeVTOL100によれば、第1実施形態のeVTOL100と同様な効果を奏する。
D.第4実施形態:
図8に示す第4実施形態のeVTOL100bは、制御装置50に代えて制御装置50bを備える点において、第3実施形態のeVTOL100と異なる。制御装置50bが有する制御部52bは、各EDS10のそれぞれに対する保守要否を検出する処理(以下、「保守要否検出処理」と呼ぶ)をさらに実行し、保守要否検出処理の処理結果に応じてローテーション要求処理を実行する。その他の構成は第3実施形態のeVTOL100と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
制御装置50bは、保守要否検出部57bをさらに有する。保守要否検出部57bは、記憶装置62に記憶された駆動履歴情報を用いて、各EDS10のそれぞれに対する保守要否を検出する。
図9に示す第4実施形態のローテーション要求処理では、保守要否検出処理の処理結果に応じてローテーション要求が発信される。
図10に示す保守要否検出処理は、eVTOL100bの起動スイッチがオンされると、制御装置50bにおいて繰り返し実行される。
駆動情報検出部55は、駆動情報を検出する(ステップS110)。記憶制御部56は、駆動履歴情報の更新処理を実行する(ステップS120)。ステップS110およびS120の処理は、第1実施形態の累積負荷平準化処理におけるステップS110およびS120と同様に実行される。
保守要否検出部57bは、ステップS120において更新されて記憶された駆動履歴情報が部品交換条件を満たすか否かを特定する(ステップS310)。部品交換条件は、EDS10の構成部品の交換が推奨される程度にEDS10が劣化していると推定され得る条件として、予め設定されて記憶装置62に記憶されている。本実施形態における部品交換条件は、「駆動履歴情報としての累積負荷値が予め定められた部品交換閾値以上である」との条件である。かかる部品交換閾値は、例えば、駆動用モータ12の累積駆動時間の閾値、駆動用モータ12の累積回転数の閾値、駆動用モータ12の累積駆動電流の閾値等であってもよい。
保守要否検出部57bは、駆動履歴情報が部品交換条件を満たすと特定された場合(ステップS310:YES)、部品交換「要」を検出する(ステップS330)。ステップS330の実行により、保守要否検出処理は完了する。
保守要否検出部57bは、駆動履歴情報が部品交換条件を満たさないと特定された場合(ステップS310:NO)、駆動履歴情報が定期点検条件を満たすか否かを特定する(ステップS320)。定期点検条件は、EDS10の定期点検の実施が推奨される程度にEDS10が劣化していると推定され得る条件として、予め設定されて記憶装置62に記憶されている。本実施形態における定期点検条件は、「駆動履歴情報としての累積負荷値が予め定められた定期点検閾値以上である」との条件である。定期点検閾値は、部品交換閾値よりも低い値に設定されている。すなわち、本実施形態におけるEDS10では、定期点検が実行された後、さらなる駆動を経た後に部品交換が実行されることとなる。
保守要否検出部57bは、駆動履歴情報が定期点検条件を満たすと特定された場合(ステップS320:YES)、定期点検「要」を検出する(ステップS340)。ステップS340の実行により、保守要否検出処理は完了する。
保守要否検出部57bは、駆動履歴情報が定期点検条件を満たさないと特定された場合(ステップS320:NO)、保守「不要」を検出する(ステップS350)。制御部52bは、ステップS350の後、保守が不要である旨の通知を行なってもよい。保守が不要である旨の通知は、報知部66を介してeVTOL100bの乗員に対して発信される通知であってもよく、機体通信部64を介して外部装置500に対して発信される通知であってもよい。ステップS350の実行により、保守要否検出処理は完了する。
図9に示すように、制御部52bは、保守要否検出処理の結果を用いて、複数のEDS10のうちの少なくとも1つについて保守要求があるか否かを特定する(ステップS105b)。EDS10の保守要求が無いと特定された場合(ステップS105b:NO)、ステップS300に戻る。
他方、EDS10の保守要求があると特定された場合(ステップS105b:YES)、すなわち保守対象となるEDS10が存在する場合、制御部52bは、保守要否検出処理のステップS120において更新されて記憶された駆動履歴情報を読み込む(ステップS125b)。制御部52bは、ステップS125bにおいて読み込まれた駆動履歴情報を用いて、保守対象のEDS10を除く他のEDS10のうち最も劣化の度合いが大きいEDS10を特定する(ステップS130b)。ステップS130bは、第3実施形態におけるステップS130と同様に実行される。
制御部52bは、ステップS125bにおいて読み込まれた駆動履歴情報を用いて、保守対象のEDS10を除く他のEDS10のうち最も劣化の度合いが小さいEDS10を特定する(ステップS132b)。ステップS132bは、第3実施形態におけるステップS130aと同様に実行される。なお、ステップS132bの実行後にステップS130bが実行されてもよい。
制御部52bは、保守要否検出処理のステップS330またはステップS340において保守「要」と検出されたEDS10に対する保守要求の発信とともに、ステップS130bにおいて特定されたEDS10とステップS132bにおいて特定されたEDS10とを入れ替えるローテーション要求を発信する(ステップS190b)。保守要求およびローテーション要求は、報知部66を介してeVTOL100bの乗員に対して発信されてもよく、機体通信部64を介して外部装置500に対して発信されてもよい。ステップS190bの実行により、ローテーション要求処理は完了する。
本実施形態において、部品交換閾値および定期点検閾値は、本開示における「第1閾値」にそれぞれ対応する。
以上説明した第4実施形態のeVTOL100bによれば、第3実施形態のeVTOL100と同様な効果を奏する。加えて、記憶された駆動履歴情報を用いて複数のEDS10のそれぞれに対する保守要否を検出する保守要否検出部57bをさらに備えるので、複数のEDS10のそれぞれに対する保守時期を適切に判断できる。また、保守要否検出部57bは、駆動履歴情報としての累積負荷値が予め定められた閾値以上であるEDS10に対して保守が必要であると検出するので、保守要否を精度良く検出できる。また、部品交換と定期点検とが互いに区別されて保守要否が検出されるので、複数のEDS10のそれぞれに対する部品交換時期と定期点検時期とを適切に判断できる。
また、ローテーション要求処理において、複数のEDS10のうちの少なくとも1つについて保守要求がある場合にローテーション要求を発信するので、保守対象のEDS10に対して保守を実施する際にEDS10のローテーションをまとめて実施できる。このため、ローテーションを効率的に実施できるので、保守回数の増加をより抑制できる。
E.第5実施形態:
図11に示すように、第5実施形態のeVTOL100bは、制御部52bが実行するローテーション要求処理において、ステップS130bとステップS132bとステップS190bとに代えて、ステップS130cとステップS132cとステップS190cとが実行される点において、第4実施形態のeVTOL100bと異なる。装置構成を含めた他の構成は第4実施形態のeVTOL100bと同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
制御部52bは、保守要否検出処理のステップS120において更新されて記憶された駆動履歴情報を読み込む(ステップS125b)。制御部52bは、ステップS125bにおいて読み込まれた駆動履歴情報を用いて、保守対象のEDS10を除く他のEDS10のうち最も劣化の度合いが大きい一部のEDS10のグループを特定する(ステップS130c)。本実施形態において、複数のEDS10は、一部のEDS10から成る複数のグループに予め区分されている。なお、EDS10のグループは、予め区分されずにステップS130cにおいて特定されてもよく、また、互いに共働するEDS10によって構成されていてもよい。例えば、機体20の右側に位置する3つのリフト用回転翼31をそれぞれ回転駆動させる3つのEDS10の劣化の度合いが大きい場合には、ステップS130cにおいて、かかる3つのEDS10がグループとして特定されてもよい。
制御部52bは、保守対象のEDS10を除く他のEDS10のうち劣化の度合いが小さい一部のEDS10のグループを特定する(ステップS132c)。上記の例において、機体20の左側に位置する3つのリフト用回転翼31をそれぞれ回転駆動させる3つのEDS10の劣化の度合いが小さい場合には、ステップS132cにおいて、かかる3つのEDS10がグループとして特定されてもよい。なお、ステップS132cで特定されるグループに含まれるEDS10の数は、ステップS130cにおいて特定されるグループに含まれるEDS10の数と同じである。また、ステップS132cの実行後にステップS130cが実行されてもよい。
制御部52bは、保守要否検出処理のステップS330またはステップS340において保守「要」と検出されたEDS10に対する保守要求の発信とともに、ステップS130cにおいて特定されたEDS10のグループと、ステップS132cにおいて特定されたEDS10のグループとを入れ替えるローテーション要求を発信する(ステップS190c)。ステップS190cの実行により、ローテーション要求処理は完了する。上記の例においては、劣化の度合いが大きい3つのEDS10と、劣化の度合いが小さい3つのEDS10との搭載位置等がローテーションされることが期待される。
以上説明した第5実施形態のeVTOL100bによれば、第4実施形態のeVTOL100bと同様な効果を奏する。加えて、複数のEDS10のうち劣化の度合いが大きい一部のEDS10のグループと、複数のEDS10のうち劣化の度合いが小さい一部のEDS10のグループとを入れ替えるローテーション要求を発信するので、劣化の度合いが大きい複数のEDS10に対する保守の時期をそれぞれ遅らせることができる。したがって、複数のEDS10のそれぞれに対する保守の時期にバラツキが生じることをより抑制でき、eVTOL100b全体として保守回数の増加をより抑制できる。
F.第6実施形態:
第6実施形態のeVTOL100は、図7に示すローテーション要求処理において、航空経路の履歴に関する経路履歴情報をさらに用いて各EDS10の劣化の度合いをそれぞれ検出する点において、第3実施形態のeVTOL100と異なる。装置構成を含めた他の構成は第3実施形態のeVTOL100と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
記憶装置62は、駆動履歴情報として、eVTOL100の航空経路の履歴に関する経路履歴情報を記憶している。かかる経路履歴情報は、eVTOL100の乗員により設定された航空経路情報の履歴として記憶されていてもよく、外部装置500から受信されて記憶されていてもよく、eVTOL100が有する図示しないカメラやレーダ等により取得される航空経路情報の履歴として記憶されていてもよい。なお、航空経路毎に、各EDS10の駆動負荷、例えば駆動用モータ12の回転数や駆動時間は、互いに異なる。また、同一の航空経路においては、各EDS10の駆動負荷は、ほぼ同じになる。
制御部52は、図7に示すステップS130およびステップS130aにおいて、経路履歴情報を用いて、各EDS10の駆動負荷履歴を示す駆動負荷情報をそれぞれ検出し、検出された駆動負荷情報を用いて各EDS10の劣化の度合いをそれぞれ検出する。制御部52は、複数のEDS10のうち最も劣化の度合いが大きいEDS10を特定し(ステップS130)、複数のEDS10のうち最も劣化の度合いが小さいEDS10を特定する(ステップS130a)。制御部52は、ステップS130において特定されたEDS10と、ステップS130aにおいて特定されたEDS10とを入れ替えるローテーション要求を発信し(ステップS190)、ローテーション要求処理が完了する。
以上説明した第6実施形態のeVTOL100によれば、第3実施形態のeVTOL100と同様な効果を奏する。加えて、航空経路の履歴に関する経路履歴情報をさらに用いて各EDS10の劣化の度合いをそれぞれ検出するので、eVTOL100の運用状況に応じたEDS10の劣化の度合いを精度良く検出できる。例えば、右翼26に搭載されるEDS10に比べて左翼27に搭載されるEDS10の駆動負荷が大きい場合等、特定のEDS10の駆動負荷が大きくなるような航空経路を定期的に飛行するような場合においても、EDS10の劣化の度合いを精度良く検出できる。したがって、EDS10の劣化の度合いに応じてより効果的にローテーションの要求を発信できる。
G.第7実施形態:
図12に示す第7実施形態のeVTOL100dは、制御装置50bに代えて制御装置50dを備える点と、ローテーション要求処理に代えてまたはローテーション要求処理に加えて、複数のEDS10のうちのいずれかのEDS10の保守を行なう際に同時に保守を行なうべきEDS10に対する保守要求を発信する処理(以下、「同時保守要求処理」と呼ぶ)を実行する点において、第4実施形態のeVTOL100bと異なる。他の構成は第4実施形態のeVTOL100bと同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
制御装置50dは、同時保守検出部58dをさらに有する。同時保守検出部58dは、記憶装置62に記憶された駆動履歴情報を用いて、複数のEDS10のうちのいずれかのEDS10の保守を行なう際に同時に保守を行なうべきEDS10の有無を検出する。
図13に示すように、本実施形態における同時保守要求処理は、図10に示す保守要否検出処理を含んで構成されている。図13に示す同時保守要求処理は、eVTOL100dの起動スイッチがオンされると、制御装置50dにおいて繰り返し実行される。
制御部52dは、保守要否検出処理の結果を用いて、複数のEDS10のうちの少なくとも1つについて保守要求があるか否かを特定する(ステップS105b)。ステップS105bは、第4実施形態のローテーション要求処理におけるステップS105bと同様に実行される。EDS10の保守要求が無いと特定された場合(ステップS105b:NO)、ステップS300に戻る。
他方、EDS10の保守要求があると特定された場合(ステップS105b:YES)、すなわち保守対象となるEDS10が存在する場合、制御部52dは、保守要否検出処理のステップS120において更新されて記憶された駆動履歴情報を読み込む(ステップS125b)。ステップS125bは、第4実施形態のローテーション要求処理におけるステップS125bと同様に実行される。
同時保守検出部58dは、ステップS125bにおいて読み込まれた駆動履歴情報を用いて、保守対象のEDS10を除く他のEDS10のうち、保守対象のEDS10と同時に保守を行なうべきEDS10の有無を検出する(ステップS410d)。ステップS410dは、図10に示す保守要否検出処理のステップS310〜ステップS350と同様に、保守として部品交換と定期点検とが区別されるとともに閾値を用いて実行されてもよい。
図14を用いて、保守対象のEDS10と同時に保守を行なうべきEDS10の決定方法について説明する。図14では、EDS10に対する保守として、部品交換および定期点検のうち部品交換の例を代表して示している。図14において、縦軸は駆動履歴情報を示しており、横軸はEDS10の使用期間を示している。駆動履歴情報は、例えば、駆動用モータ12の累積駆動時間、駆動用モータ12の累積回転数、駆動用モータ12の累積駆動電流等の累積負荷値であってもよい。かかる累積負荷値は、任意の複数種類の駆動情報が統合された値やEDS10の劣化速度に対応するように変換された値であってもよい。EDS10の使用期間は、EDS10の駆動の有無に関わらず、EDS10が機体20に取り付けられてから現在までの経過時間を意味している。かかる使用期間は、例えば、各EDS10の駆動部11内に、バッテリ40に接続されると自動でカウントアップを開始するタイマーが設けられ、かかるタイマーの情報が制御装置50dに送信されることにより特定されてもよい。
第1閾値は、保守要否検出処理において適用される部品交換閾値を示している。保守要否検出処理では、駆動履歴情報の値が第1閾値以上であるEDS10に対して保守が必要であると検出される。第2閾値は、同時保守要求処理において適用される部品交換閾値を示している。同時保守要求処理では、駆動履歴情報の値が第2閾値以上であるEDS10に対して、保守要否検出処理において保守が必要であると検出された保守対象EDSの保守と同時に保守を行なうべきであると検出される。第2閾値は、第1閾値よりも小さい値であり、予め定められて記憶装置62に記憶されている。第2閾値は、例えば、第1閾値の8割程度の大きさの値に設定されていてもよい。
駆動履歴情報の値が第1閾値には満たないものの第2閾値以上であるEDS10は、今後比較的早く駆動履歴情報の値が第1閾値以上となることが推定される。このため、第2閾値以上であるEDS10に対し、保守のタイミングを前倒しにして、保守対象のEDS10の保守の実施と同じタイミングで保守を実施させることにより、eVTOL100d全体として保守回数の増加を抑制できる。ステップS410dでは、保守対象のEDS10と同時に保守を行なうべき全てのEDS10が特定される。
図13に示すように、保守対象のEDS10と同時に保守を行なうべきEDS10が無いと検出された場合(ステップS410d:NO)、制御部52dは、保守要否検出処理において保守「要」と検出された保守対象のEDS10に対する保守要求のみを発信し(ステップS420d)、同時保守要求処理は完了する。
他方、保守対象のEDS10と同時に保守を行なうべきEDS10が有ると検出された場合(ステップS410d:YES)、すなわち、駆動履歴情報の値が第2閾値以上であるEDS10が有ると検出された場合、制御部52dは、保守対象のEDS10に対する保守要求とともに、同時に保守を行なうべきEDS10に対する保守要求を発信する(ステップS430d)。以下の説明では、かかる要求を「同時保守要求」とも呼ぶ。ステップS430dの実行により、同時保守要求処理は完了する。同時保守要求は、例えば、乗員室に搭載された表示装置に複数のEDS10の搭載位置が示されている場合に、保守対象のEDS10が赤色のランプで示され、同時に保守を行なうべきEDS10がオレンジ色のランプで示されてもよい。同時保守要求の発信により、eVTOL100dの乗員や保守作業員等により、保守対象のEDS10に対する保守の実施と同じタイミングにおいて、同時に保守を行なうべき全てのEDS10に対する保守が実施されることが期待される。
以上説明した第7実施形態のeVTOL100dによれば、制御部52dが同時保守要求処理を実行して、保守対象のEDS10の保守を行なう際に同時に保守を行なうべきEDS10に対して同時保守要求を発信する。これにより、今後比較的早い時期に保守が必要となることが推定されるEDS10に対する保守のタイミングを前倒しにして、保守対象のEDS10に対する保守の実施と同じタイミングで保守を実施できる。すなわち、保守対象のEDS10の保守を実施する際に他のEDS10の保守をまとめて実施できる。このように、第7実施形態のeVTOL100dによれば、記憶された駆動履歴情報を用いて複数のEDS10の保守に関する処理として同時保守要求処理を実行することにより、複数のEDS10のそれぞれに対する保守の時期にバラツキが生じることを抑制できるので、eVTOL100d全体として保守回数の増加を抑制できる。
また、保守要否検出処理において特定のEDS10に対する保守要求が検出された場合に、同時に保守を行なうべきEDS10の有無を検出するので、保守要否検出処理において更新された駆動履歴情報を用いて同時に保守を行なうべきEDS10の有無を検出できる。このため、検出精度の低下を抑制でき、また、eVTOL100d全体として保守回数の増加をより抑制できる。また、駆動履歴情報としての累積負荷値が予め定められた閾値以上であるEDS10に対して同時に保守を行なうべきであると検出するので、同時に保守を行なうべきEDS10の有無を精度良く検出できる。
H.他の実施形態:
H−1.他の実施形態1:
上記第1、2実施形態の累積負荷平準化処理は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、制御部52は、複数のEDS10のそれぞれの累積負荷値に所定以上の乖離がある場合に、累積負荷値の平準化を行なってもよい。換言すると、複数のEDS10における劣化の度合いのバラツキが大きい場合に、累積負荷値の平準化を行なってもよい。より具体的には、例えば、劣化の度合いのバラツキが所定の閾値以上であるか否かを判定し、所定の閾値以上であると判定された場合に累積負荷値の平準化を行なってもよい。また、例えば、最も劣化の度合いが大きいEDS10の劣化の度合いが予め定めた閾値を超えた場合に、累積負荷値の平準化を行なってもよい。また、例えば、複数のEDS10を、共働するEDS10から成る複数のグループに区分し、かかるグループ内の各々の累積負荷値に応じて要求出力の重み付けを行うことにより、かかるグループ内において累積負荷値の平準化を行なってもよい。また、例えば、第6実施形態のローテーション要求処理と同様に、航空経路の履歴に関する経路履歴情報をさらに用いて各EDS10の劣化の度合いをそれぞれ検出してもよい。また、例えば、最も劣化の度合いの大きいEDS10や最も劣化の度合いの小さいEDS10の要求出力を調整することに代えて、任意の劣化度合いのEDS10に対して要求出力を調整することにより、劣化の度合いが大きいEDS10への要求出力を劣化の度合いが小さいEDS10への要求出力よりも小さくしてもよい。このような構成によっても、上記第1、2実施形態と同様な効果を奏する。
H−2.他の実施形態2:
上記第3〜6実施形態のローテーション要求処理は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、制御部52、52bは、複数のEDS10のそれぞれの累積負荷値に所定以上の乖離がある場合に、ローテーション要求を発信してもよい。換言すると、複数のEDS10における劣化の度合いのバラツキが大きい場合に、ローテーション要求を発信してもよい。より具体的には、例えば、劣化の度合いのバラツキが所定の閾値以上であるか否かを判定し、所定の閾値以上であると判定された場合にローテーション要求を発信してもよい。また、例えば、最も劣化の度合いが大きいEDS10の劣化の度合いが予め定めた閾値を超えた場合に、ローテーション要求を発信してもよい。このような構成によれば、ローテーションの要求が過度に高い頻度で発信されることを抑制でき、より効率的にローテーションが実施されることが期待できる。また、例えば、最も劣化の度合いの大きいEDS10と最も劣化の度合いの小さいEDS10とを入れ替えることに代えて、任意の劣化度合いの2以上のEDS10を対象として、劣化の度合いが大きいEDS10と劣化の度合いの小さいEDS10とを入れ替えるローテーション要求を発信してもよい。このような構成によっても、上記第3〜6実施形態と同様な効果を奏する。
H−3.他の実施形態3:
上記第4〜7実施形態において実行されていた保守要否検出処理は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、部品交換と定期点検とが互いに区別されずに保守要否が検出されてもよい。また、例えば、ステップS310において、部品交換条件に代えてEDS10全体を交換する条件が用いられてもよい。また、複数種類の駆動情報に基づく駆動履歴情報を用いて保守要否が検出されてもよく、駆動履歴情報に加えてEDS10の使用期間に関する情報が組み合わされて保守要否が検出されてもよい。また、例えば、第1閾値としての部品交換閾値や定期点検閾値に代えて、または、第1閾値に加えて、所定の駆動履歴情報に基づいて、部品交換条件や定期点検条件が設定されている態様であってもよい。かかる態様においては、例えば、所定期間における駆動用モータ12の累積駆動電流の増加幅が所定以上であること等、所定期間における駆動情報の変動値が部品交換条件や定期点検条件として設定されていてもよい。このような構成によっても、上記第4〜7実施形態と同様な効果を奏する。
H−4.他の実施形態4:
上記第7実施形態の同時保守要求処理は、保守要否検出処理を含んで構成されていたが、保守要否検出処理が省略された態様であってもよい。かかる態様においては、例えば、eVTOL100dの乗員や保守作業員等がEDS10の異常を発見して、異常が発見されたEDS10の保守を行なう際に、かかるEDS10と同時に保守を行なうべき他のEDS10の有無が検出されてもよい。また、第7実施形態の同時保守要求処理において、第2閾値に代えて、または、第2閾値に加えて、所定の駆動履歴情報に基づいて、同時に保守を行なうべき部品交換条件や定期点検条件が設定されている態様であってもよい。このような構成によっても、上記第7実施形態と同様な効果を奏する。
H−5.他の実施形態5:
上記各実施形態の制御装置50、50b、50dは、eVTOL100、100b、100dに搭載されていたが、外部装置500に搭載されて用いられる態様であってもよい。かかる態様においては、eVTOL100、100b、100dに搭載される制御装置(制御装置50、50b、50dとは別の制御装置)に接続された機体通信部64と外部通信部520との間で制御信号の送受信が行なわれてもよい。すなわち一般には、制御装置50、50b、50dは、eVTOL100、100b、100dが備える機体通信部64と通信可能な外部通信部520をさらに備え、eVTOL100、100b、100dの外部に存在していてもよい。かかる構成によれば、外部装置500において複数のeVTOL100、100b、100dに対する累積負荷平準化処理、保守要否検出処理、ローテーション処理および同時保守要求処理を制御できる。
H−6.他の実施形態6:
上記各実施形態におけるeVTOL100、100b、100dの構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、記憶装置62が省略されて、外部装置500が備える図示しないメモリに、駆動履歴情報が記憶される態様であってもよい。かかる態様において、記憶制御部56は、機体通信部64と外部通信部520とを介して駆動履歴情報を外部装置500のメモリに記憶させてもよい。また、例えば、各EDS10は、駆動履歴情報を記憶可能な記憶装置をそれぞれ有していてもよく、外部通信部520と通信可能な通信装置をそれぞれ有していてもよい。各EDS10に搭載された記憶装置に駆動履歴情報が記憶されることにより、EDS10のローテーションが実行された場合においても、複数のEDS10の駆動履歴情報を容易に管理できる。より具体的には、各EDS10の駆動履歴情報とともに識別情報を制御装置50等に送信することを省略でき、記憶装置62等において各EDS10の識別情報を記憶することを省略できる。また、例えば、各EDS10は、それぞれ駆動部11を有していたが、共通の駆動部11により複数の駆動用モータ12がそれぞれ駆動されてもよい。また、例えば、回転翼30とEDS10とは、9つに限らず任意の複数であってもよく、任意の位置に搭載されていてもよい。また、例えば、リフト用回転翼31とクルーズ用回転翼32とに代えてティルトロータにより構成されていてもよい。また、例えば、eVTOL100、100b、100dは、有人航空機に代えて無人航空機として構成されていてもよい。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
10…EDS(電駆動システム)、11…駆動部、12…駆動用モータ、30…回転翼、50、50b、50d…制御装置、52、52b、52d…制御部、55…駆動情報検出部、56…記憶制御部、100、100b、100d…eVTOL(電動垂直離着陸機)

Claims (11)

  1. 回転翼(30)を回転駆動させる駆動用モータ(12)と前記駆動用モータを駆動させる駆動部(11)とを有する複数の電駆動システム(10)を備える電動垂直離着陸機(100、100b、100d)の制御装置(50、50b、50d)であって、
    前記駆動用モータの劣化状態の指標となるモータ情報と、前記駆動部の劣化状態の指標となる駆動部情報と、のうちの少なくとも一方を含む駆動情報を、前記複数の電駆動システムのそれぞれに対して検出する駆動情報検出部(55)と、
    前記駆動情報の履歴に関する駆動履歴情報を記憶させる記憶制御部(56)と、
    記憶された前記駆動履歴情報を用いて前記複数の電駆動システムの保守に関する処理を実行する制御部(52、52b、52d)と、
    を備える、電動垂直離着陸機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動垂直離着陸機の制御装置において、
    記憶された前記駆動履歴情報を用いて前記複数の電駆動システムのそれぞれに対する保守要否を検出する保守要否検出部(57b)をさらに備える、
    電動垂直離着陸機の制御装置。
  3. 請求項2に記載の電動垂直離着陸機の制御装置において、
    前記駆動履歴情報は、累積負荷値を含み、
    前記保守要否検出部は、前記累積負荷値が予め定められた第1閾値以上である前記電駆動システムに対して保守が必要であると検出する、
    電動垂直離着陸機の制御装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電動垂直離着陸機の制御装置において、
    前記制御部は、前記処理として、劣化の度合いが大きい前記電駆動システムへの要求出力を、前記劣化の度合いが小さい前記電駆動システムへの要求出力よりも小さくする累積負荷平準化処理を実行する、
    電動垂直離着陸機の制御装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電動垂直離着陸機の制御装置において、
    前記制御部は、前記処理として、劣化の度合いが大きい前記電駆動システムと、前記劣化の度合いが小さい前記電駆動システムと、を入れ替える要求を発信するローテーション要求処理を実行する、
    電動垂直離着陸機の制御装置。
  6. 請求項5に記載の電動垂直離着陸機の制御装置において、
    前記制御部は、前記ローテーション要求処理において、前記複数の電駆動システムのうち前記劣化の度合いが大きい一部の前記電駆動システムのグループと、前記複数の電駆動システムのうち前記劣化の度合いが小さい一部の前記電駆動システムのグループと、を入れ替える要求を発信する、
    電動垂直離着陸機の制御装置。
  7. 請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の電動垂直離着陸機の制御装置において、
    前記駆動履歴情報は、航空経路の履歴に関する経路履歴情報を含み、
    前記制御部は、
    前記経路履歴情報を用いて、前記複数の電駆動システムの駆動負荷履歴を示す駆動負荷情報をそれぞれ検出し、
    検出された前記駆動負荷情報を用いて前記複数の電駆動システムの前記劣化の度合いをそれぞれ検出する、
    電動垂直離着陸機の制御装置。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の電動垂直離着陸機の制御装置において、
    前記複数の電駆動システムのうちのいずれかの前記電駆動システムの保守を行なう際に同時に保守を行なうべき他の前記電駆動システムの有無を、記憶された前記駆動履歴情報を用いて検出する同時保守検出部(58d)をさらに備え、
    前記制御部は、前記処理として、同時に保守を行なうべき前記他の電駆動システムが有ると検出された場合に、前記他の電駆動システムに対する保守要求を発信する同時保守要求処理を実行する、
    電動垂直離着陸機の制御装置。
  9. 請求項3に従属する請求項8に記載の電動垂直離着陸機の制御装置において、
    前記同時保守検出部は、前記保守要否検出部により前記電駆動システムの保守が必要であると検出された場合に、前記累積負荷値が、前記第1閾値よりも小さい予め定められた第2閾値以上である前記他の電駆動システムに対して、同時に保守を行なうべきであると検出する、
    電動垂直離着陸機の制御装置。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の電動垂直離着陸機の制御装置において、
    前記電動垂直離着陸機が備える機体通信部(64)と通信可能な外部通信部(520)をさらに備え、前記電動垂直離着陸機の外部に位置する外部装置(500)に搭載される、
    電動垂直離着陸機の制御装置。
  11. 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の電動垂直離着陸機の制御装置を備える、
    電動垂直離着陸機。
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