JP2021028568A - 空調設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射パネルを使用した空調システムにおいて、換気構造を簡単化して天井面をスッキリとさせる。【解決手段】放射パネル1は、放射プレート2とパイプ3とを有しており、パイプ3に熱媒体となる流体を流すことにより、室内が放射冷暖房される。隣り合った放射パネル列の間には空間が空いており、隣り合った放射パネル1の側縁が、吊り具17の水平フランジ19で支持されている。放射パネル1の下面が凹凸に形成されていることにより、放射パネル1と吊り具17との間に、通気空間となる隙間24,25が形成されている。放射パネル1の群の上方を換気用バッファ空間26と成しており、室内の空気は隙間24,25から換気用バッファ空間26に吸引される。放射パネル1と吊り具17との間の空間を通気空間として利用するものであるため、部材点数を減らすことができると共に、見た目もスッキリとさせることができる。【選択図】図6

Description

本願発明は、放射パネルを使用した空調設備及びこれを備えた建物に関するものである。空調設備は、暖房のみ又は冷房のみの単機能のものと、冷暖房を行えるダブル機能のものとの両方を含んでいる。
熱媒体として水のような液体(流体)を使用して、液体で冷却又は加温された放射パネルによって冷房や暖房を行う放射空調設備(放射空調システム)があり、この空調設備は、騒音がなくて快適性に優れる等の利点があって普及しつつある。この放射空調設備では、温度管理は放射パネルに流れる水の温度を管理することで行われるが、室内の換気機能や調湿機能は持たないため、換気手段を併設している。
換気手段は、一般に送気と排気とがセットになっているが、送気口又は排気口を天井部に設けることが一般的であり、その例として特許文献1には、ファン付きの空気送風管を隣り合った放射パネルの間に開口させて、壁面に排気ダクトを開口させることが開示されている。
特許第4079269号公報
送気又は排気をまんべんなく行うという点では、天井面に送気口又は排気口を設けることは合理的である。しかし、特許文献1の構成は、空気送風管はファン付きであるため、空気送風管は天井面の一部にしか開口しておらず、このため、調和空気を室内にまんべんなく行き渡らせる機能に劣ると云える。
また、送気口にしても排気口にしても、従来は平面視で四角形や円形に形成されていて天井部の一部にしか配置されていないが、送気口又は排気口を天井部に設けるためには、隣り合った放射パネルの間に送気口又は排気口が納まる程度の間隔を空けて、送気口又は排気口を配置していない部分はカバーで塞いでいることが普通であるため、送気口又は排気口を設けるために大きなデッドスペースが発生してしまい、結果として、放射パネルの敷設面積が減少してしまって、空調機能を向上できないおそれもあった。
また、送気口又は排気口にしてもカバーにしても、人が顔を上げると視界に入るが、これらは放射パネルとは全く異なる形態でしかも目立つため、人に違和感を与えるおそれもあった。
更に、放射パネルの下方において空気を攪拌すると、境膜伝熱係数が増大して空調効率をアップできることが判っており、従って、換気を利用して空気を攪拌する等して空調効率をアップできると、エネルギーを有効利用できると云えるが、例えば特許文献1のように、空気を空気送風管から真下に吹き出すものでは、換気用の空気は下方に吹き出すだけで放射パネルの下方の空気の攪拌等にはあまり寄与しないため、エネルギーの有効利用の面でまだ改善の余地があった。
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
本願発明は様々な構成を含んでおり、その典型を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明では、空調設備において、
天井部を、平面視四角形の放射パネルを縦横に整列して配置して成る放射パネル群と、隣り合った放射パネルの側縁部を支持する吊り具とを有する構成として、前記吊り具に設けた水平フランジによって前記放射パネルの側縁を下方から支持しており、かつ、前記放射パネルと吊り具との間に、室内の換気のための通気空間を形成している。
請求項2の発明は請求項1の展開例であり、この発明では、
前記天井部の上方の天井裏空間の全体を、前記通気空間に連通した換気用バッファ空間と成しており、前記バッファ空間に、換気のための送気ダクト又は排出ダクトを開口させている。
請求項3の発明は、請求項1又は2を具体化したもので、
前記吊り具は、前記水平フランジから上向きに立ち上がった垂直部を有している一方、
前記各放射パネルは、平行な2端面が凹凸形状端面となるように下面が凹凸面になっていて、多数枚の放射パネルが、前記凹凸形状端面が前記吊り具の垂直部と対向するようにして配置されており、前記放射パネルの凹凸形状端面と吊り具の垂直部との間に間隔を空けることにより、前記放射パネルの下面の凹凸形状を利用して前記通気空間が形成されている。
請求項4の発明も請求項1又は2を具体化したもので、この発明では、
前記吊り具は、前記水平フランジから上向きに立ち上がった垂直部を有している一方、
前記放射パネルの下面は平坦面になっており、放射パネルの端面と吊り具の垂直部との間に間隔を空けると共に、放射パネルの下面と吊り具の垂直部との間にスペーサを介在させることにより、前記通気空間を形成している。なお、下面が平坦面になっている放射パネルには、多数の小穴が空いている形態(パンチングメタル仕様)も含まれる。
本願発明は建物も含んでおり、この建物は、請求項5のとおり、請求項1〜4のうちのいずれかに記載した空調設備を備えている。
本願発明は、放射パネルと吊り具との間に形成された通気空間を送気口又は排気口として使用するものであるため、送気口又は排気口を天井面の広い範囲にわたって形成できる。このため、室内にまんべんなく送気したり、室内からまんべんなく排気したりすることを簡単に実現できて、換気性能の向上に貢献できる。
また、空調設備に必須の要素である放射パネルと吊り具とを利用して送気口や排気口を形成するものであるため、部材を省略したり減らしたりして、コスト削減にも貢献できる。また、隣り合った放射パネルの群の間に広い間隔を空ける必要がなくなるため、それだけ放射パネルの配置面積を広くすることも可能であり、これにより、空調性能の向上も可能になる。
更に、吊り具は、隣り合った放射パネルの間の隙間を下方から見えなくする目地材の機能も有しているが、吊り具は、放射パネルを吊支できるだけの幅があれば足りるため、天井面をスッキリとさせて美観を向上できる。すなわち、隣り合った放射パネルの群の間に広幅で帯状の長いカバーを配置することを廃止可能であり、このため、美観を向上させることが可能になる。
更に、通気空間を送気口に利用する場合は、空気が放射パネルの下面に沿って流れてから下方に方向変換し、逆に、通気空間を排気口に利用する場合は、室内の空気が放射パネルの下面に沿って流れてから通気空間に流入する傾向を呈することになり、いずれにしても、換気に伴って空気が放射パネルの下面に沿って流れることにより、放射パネルの下方の空気を攪拌して境膜伝熱係数が大きくすることができるため、空調効率を向上できる。
請求項2のように、天井裏空間の全体を換気用バッファ空間として利用すると、構造を簡単にしてコスト抑制に一層貢献できる。また、室内の隅々に送気したり、室内の隅々から排気したりすることが一層確実になるため、室内をむらなく換気することを、簡単に実現できる。
請求項3の構成では、放射パネルの下面の凹凸を利用して通気空間を形成できるため、通気空間を形成するための特段の部材は必要でなく、このため、コスト抑制効果に優れている。
放射パネルについては、フラットな下面のものを欲するユーザーもあるが、請求項4の構成を採用すると、平板方式やパンチングメタル方式のような下面がフラットな放射パネルについても簡単に通気空間を形成できるため、適用対象を拡大できる。
実施形態に係る建物の室内の斜視図である。 建物を図1と同じ方向から見た断面図である。 (A)は放射パネルの平面図、(B)は(A)のB−B視図である。 図3の IV-IV視断面図である(放射プレートとパイプの断面表示は省略している。)。 天井部の部分的な平面図である。 (A)は図5のA−A視断面図、(B)は図5のB−B視断面図、(C)は図5のC−C視断面図である。 (A)は第2実施形態の要部縦断正面図、(B)は第3実施形態の要部縦断正面図である。 (A)は第4実施形態の要部縦断側面図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)は第5実施形態の要部縦断側面図である。 (A)は第6実施形態の断面図、(B)は第7実施形態の断面図である。 第8実施形態を示す図で、(A)は模式的な正面図、(B)は模式的な平面図である。 第9実施形態の要部断面図である。
(1).第1実施形態
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1〜図6に示す第1実施形態を説明する。図1,2で建物と空調設備との概略を表示しているが、これらの図のとおり、室の天井部は、前後左右(縦横)に整列して配置された多数枚の放射パネル1を備えている。
放射パネル1は、図3に明示するように長方形の形態であり、長辺を互いに当接させた状態で前後に選べて配置することによって放射パネル列を形成し、左右に隣り合った放射パネル列の間には、ある程度の間隔(隙間、空間)が空いている。
本実施形態では、上記のとおり、方向を特定するため前後・左右の文言を使用するが、放射パネル1の短辺に沿った方向を前後方向、放射パネル1の長辺に沿って方向を左右方向として定義している(これらの方向は、説明のための便宜的なものである。)。正面視は前後方向から見た状態であり、側面視は左右方向から見た状態である。念のため、図1,3に方向を明記している。
図3,図4に示すように、放射パネル1は、前後方向に並列配置された6枚の放射プレート2と、その上面に装着されたパイプ3とで構成されている。放射プレート2は左右長手の細長い形態であり、放射パネル1としても左右長手の長方形に形成されている。各放射プレート2には、半円状の下向き突条4が左右に並んで3列形成されている。従って、各放射プレート2の下面が側面視で凹凸形状になっていると共に、放射パネル1としても側面視で凹凸形状になっており、放射パネル1の短辺の端面1a(図3参照)は、凹凸形状端面1aになっている。
図4のとおり、各放射プレート2において、前後の長手側縁のうち一方の長手側縁は段上がり部2aになって、他方の長手側縁側縁は段落ち部2bになっており、前後に隣り合った段上がり部2aと段落ち部2bとを重ね合わせることにより、放射パネル1は全体として1枚板のような外観を呈している。
他方、パイプ3は平面視でジグザグに曲げられており、パイプ3の直線部が、各放射プレート2における中央部の下向き突条4に嵌まっている。各放射プレート2における中央部の下向き突条4には、パイプ3を抱持する上向きリブ5を形成している。従って、パイプ3は、上向きリブ5を弾性変形させて下向き突条4に嵌め込まれる(強制嵌合される。)。
パイプ3のうちU形に曲がった部分は、下向き突条4の上に露出している。また、パイプ3の一端部3aと他端部3bとは、図3のとおり、放射プレート2の一短辺部と平行に延びるように曲げられており、一端部3aと他端部3bとは反対方向に向いている。そして、前後に隣り合った一方の放射パネル1におけるパイプ3の一端部3aと、他方の放射パネル1におけるパイプ3の他端部3bとが、図3及び図5に点線で表示したジョイントパイプ6で接続されている。
パイプ3には、前後長手の押さえフレーム7が上から重なっている。押さえフレーム7は下向きに開口したコ字形の形態であり(図2参照)、その前後側板に切り開き係合溝8を飛び飛びで複数形成している一方、放射プレート2の前後長手側縁には、切り開き係合溝8に嵌合する係合リブ9を一体に形成しており、係合リブ9の先端縁に形成した爪を切り開き係合溝8の段部に係合させることにより、押さえフレーム7によってパイプ3を放射プレート2に押さえ保持すると共に、6枚の放射プレート2を1枚板状に連結している。
押さえフレーム7のうちパイプ3に当たる部分は、下向き開口の台形状に切欠いている。押さえフレーム7は、放射パネル1の左右両端寄り部位と左右中間部とに3本配置しており、中間部に位置した押さえフレーム7における天板の前後両端寄り部位の下面に、ナット10を溶接によって固定している。なお、押さえフレーム7の配置本数は任意に設定できる。
そして、図2に示すように、天井スラブ11から垂下した第1吊りボルト12で中間支持フレーム13を吊支し、中間支持フレーム13に固定された第2吊りボルト14で押さえフレーム7が吊支されている。従って、第2吊りボルト14は、押さえフレーム7に固定したナット10に螺合しており、他のナット15で上から固定されている。
放射プレート2は、アルミ等の金属や樹脂を材料にした押し出し加工品を採用しているが、樹脂を材料にした射出成形品や、金属ダイキャスト品、金属焼結加工品、或いは板金加工品など、様々な素材・態様のものを採用できる。放射パネル1を1枚の放射プレート2で構成することも可能であるし、複数枚の放射プレート2で構成する場合、その枚数は任意に前提できる。パイプ3も同様であり、金属や樹脂の単層品の他に、金属と樹脂との積層品も採用できる。金属層を樹脂層で内外から挟んだ3層構造品を採用すると、耐腐食性や結露防止の効果が優れていて好適である。
(2).吊支構造
前後に並んだ多数の放射パネル1によって放射パネル列が構成されており、複数列の放射パネル列が左右に並んでいるが、図5や図6(A)(B)に示すように、左右に隣り合った放射パネル列の間には間隔(空間)が空いており、この箇所に吊り具(Tバー)17を配置している。また、吊り具17は、左右の右の端に位置した放射パネル1の外側にも配置されている。
図6に明示するように、吊り具17は、垂直部18とその下端に一体に繋がった左右の水平フランジ19とを有しており、水平フランジ19によって放射パネル1の縁部が下方から支持されている。従って、水平フランジ19は放射パネル1を吊支する機能と、放射パネル1の間の隙間を塞ぐ目地の機能とを有している。吊り具17はアルミ等の金属又は合成樹脂を材料にした押し出し加工品を採用しているが、板金加工品なども採用できる。
吊り具17における垂直部18の上端には厚肉部20が形成されており、前後長手の中間吊り板21の下端に形成した抱持部22で厚肉部20を抱持し、中間吊り板21を、第3吊りボルト23及びナット10によって中間支持フレーム13に吊支している。中間吊り板21を使用せずに、吊り具17を中間支持フレーム13にて直接吊支することも可能である。また、中間支持フレーム13を使用せずに、押さえフレーム7や吊り具17を、第1吊りボルト12で吊支することも可能である(これらの場合は、吊り具17の上端に、水平片などの吊りボルト固定部を設ける必要がある。)。
放射プレート2の凹凸形状端面1aと吊り具17の垂直部18との間には、ある程度の間隔(例えば、数mm〜十数mm)の第1隙間24が空いている。また、放射プレート2の下面は側面視で凹凸になっているため、吊り具17の水平フランジ19に載るのは下向き突条4の下端のみであり、従って、放射プレート2の短辺部と吊り具17の水平フランジ19との間には、前後に並んだ下向き突条4で区切られた多数の第2隙間25が形成されており、第1隙間24と第2隙間25とは互いに連通している。この第1隙間24と第2隙間25とにより、換気のための通気空間が形成されている。なお、第1隙間24の存在により、施工誤差が吸収される。
図2に示すように、壁際に位置した放射パネル1の横には胴縁11aが配置されており、吊り具17における片側の水平フランジ19は胴縁11aに下方から当たっている。吊り具17は、1つの水平フランジ19しかないL形に形成することも可能である。
放射パネル1からなる天井部の上方の天井裏空間は、通気空間(24,25)にだけ連通した換気用バッファ空間26になっている。そして、図2のとおり、本実施形態では、天井部の通気空間(24,25)は排気口に利用しており、換気用バッファ空間26に、排気装置27の吸引ダクト28を開口させている。また、室内には送気口ユニット29を配置しており、送気口ユニット29と送気装置30とが送気ダクト31で接続されている。
送気ダクト31は換気用バッファ空間26を通っているが、壁を貫通させるなどして、換気用バッファ空間26を通らない構成とすることも可能である。また、排気装置27にしても送気装置30にしても、換気用バッファ空間26に配置することも可能である。
(3).第1実施形態のまとめ
本実施形態は、吊り具17の箇所の空間を排気口に利用しているため、室内に開口した専用の排気ダクトなどは不要であり、このため、天井部をスッキリとさせることができると共に、コストの抑制にも貢献できる。また、各吊り具17の箇所が排気口になるため、天井部の広い範囲に亙って排気口が形成されており、その結果、室内全体をまんべんなく換気できる。
また、排気口を構成する第2隙間25は横向きに開口しているため、室内の空気は、図6(B)に矢印で示すように、放射パネル1の下面に沿って水平方向に流れてから第2隙間25に吸引される傾向を呈する。つまり、室内の空気が、放射パネル1の下面を舐めるようにして流れてから第2隙間25に吸引される。
従って、放射パネル1の下方の空気が攪拌されて、境膜伝熱係数を大きくすることができる。すなわち、放射パネル1の下方に空気の淀みがあると、境膜の存在によって伝熱性が低下し、結果として空調効率が低下することがあるが、本実施形態では、排気される空気によって境膜が破壊されることにより、放射パネル1の下方の空気の境膜伝熱係数が大きくなるのであり、これにより、空調効率を向上できるのである。通気空間を送気口(吐出口)として利用する場合も同様である。
(4).他の実施形態
次に、図7,8に表示している他の実施形態を説明する。図7(A)に示す第2実施形態では、第1隙間24に、不織布等の通気性素材からなるフィルター32を介在させている。この場合は、通気空間を送気口に使用した場合に、天井裏空間に存在していたホコリが室内に飛散することを防止できる。また、風切り音の発生も防止できる。フィルター32を遮蔽部材に置き換えると、通気空間でなくすることができる。従って、天井部の通気空間の開口面積の調節を簡単に行える。
図7(B)に示す第3実施形態では、吊り具17の垂直部18に中空部33を形成して、中空部33から空気を横向きに噴出させている。このため、中空部33の側板には、第2隙間25に開口した送気穴34が空いている。放射プレート2の凹凸形状端面1aは、吊り具17の垂直部18に当接又は密接させている。この実施形態では、空気の直進性が高いため、空気を放射プレート2の下面に沿って流す機能が高くなっている。
図8では、放射パネル1の放射プレート2を平板に形成して、これに、パイプ保持部35を一体に形成した場合の実施形態を示している。このうち(A)(B)に示す第4実施形態では、放射プレート2と吊り具17の水平フランジ19との間に、ブロック状のスペーサ36を適宜間隔で多数配置している。スペーサ36は、脱落しないように接着等で固定している。
(A)(B)に示す第4実施形態では、スペーサ36は角形のブロック状に形成されているが、(C)に示す第5実施形態では、スペーサ36は側面視で波形に形成されている。勿論、スペーサ36は他の形態にすることも可能である。更に、スペーサ36を吊り具17に一体に形成することも可能である。
図9(A)に示す第6実施形態では、放射パネル1の下面の溝部に、照明装置としてLEDチップ37を多数配置している。このように構成すると、隣り合った放射パネル1の間に照明装置を設けるための大きな間隔を空ける必要はないため、放射パネル1の側方に通気空間を形成したことと相まって、天井部のスッキリ感を一層向上させることができる。
図9(A)に示す第7実施形態では、吊り具17の下面に、照明装置の例として有機EL板38を配置して、面発光式照明に構成している。この例でも、天井部のスッキリ感を一層向上させることができる。LEDチップ37と有機EL板38とを併有することも可能である。
図10に示す第8実施形態では、排気と送気とを天井部で行っている。すなわち、6列の放射パネル1の群を有する天井部において、左右の端から2番目と3番目の放射パネル列の間の部分を送気及び照明のための広幅間隔部39に設定して、この広幅間隔部39に、角形や円形等の送気口40を前後方向に適宜個数配置すると共に、送気口40の間に灯具(図示せず)を配置して、送気口40には送気ダクト41を接続している一方、放射パネル1を吊り具17で吊支している箇所は、排気口と成している。この実施形態でも、天井裏空間は、その全体が排気用の換気用バッファ空間26になっている。
この実施形態では、外気は送気口40から下方に吹き下ろしてから、室内で方向変換して吊り具17の箇所から排気される。従って、室内には対流のような空気の流れが形成される。また、送気口40の面積は小さい一方、吊り具17の箇所の通気空間の総和は大きいため、送気口40から吹き下ろす空気の流速は通気空間から排出される空気の流速よりも遥かに大きくなっている。従って、送気口40から吹き下ろした空気は、送気口40の近くの通気空間に吸引されるようなことはなくて、室内に広く行きわたる。
この実施形態では、枝分かれした排気ダクト42を換気用バッファ空間26に延出しており、換気用バッファ空間26の複数箇所で排気を吸引している。ある程度以上の面積があると、このように排気ダクト42の先端を換気用バッファ空間26の複数箇所に開口させるのが好ましいといえる。排気ダクト42を1本のみの構造にして、換気用バッファ空間26の中央部に開口させることも可能である。
図10の実施形態では、天井裏空間の全体を排気のためのバッファ空間26に構成しているが、天井裏空間を、吸気用バッファ空間と排気用バッファ空間とに区分して、吸気と排気とを天井部から行うことも可能である。この場合は、吸気は、吊り具17の箇所の通気空間から噴出する。また、当然ながら吸気用バッファ空間と排気用バッファ空間との境界は、シール部材で区画されている。
吊り具17の箇所に通気空間を形成するにおいては、通気空間の総和は、部屋の容積に応じて適切な値に設定しておくのが好ましいといえる。従って、放射パネル1の端面を塞ぐ必要があるが、この点、図11に第9実施形態として示すように、放射パネル1の端面に粘着テープ(或いは接着テープ)43で貼り付けておくことにより、通気空間を簡単に塞ぐことができる。放射パネル1の端面と吊り具17の垂直部18との間に、スポンジ状等の圧縮変形する弾性シール材を挟み込んでもよい。
以上、本願発明の実施形態を何例か説明したが、本願発明は、他にも様々に具体化できる。例えば、放射パネルの下面を凹凸形状に形成する場合は、多数のリブを下向き突設した形態や、角形の凹凸が連続した形態、或いは波形の形態など、様々な凹凸形状を採用できる。放射パネル1は平面視正方形であってもよいし、パイプは、例えば、平面視渦巻き形状に形成することも可能である。更に、放射プレートとパイプとを別体に形成せずに、放射プレートに液体通路(流体通路)を一体に形成する(内蔵する)ことも可能である。
本願発明は、放射パネル方式の空調設備に具体化できる。従って、産業上利利用できる。
1 放射パネル
1a 凹凸形状端面
2 放射プレート
3 パイプ
4 下向き突条
7 押さえフレーム
11 天井スラブ(天井基礎)
12 第1吊りボルト
13 中間支持フレーム
14 第2吊りボルト
17 吊り具(Tバー)
18 垂直部
19 水平フランジ
21 中間吊り板
23 第3吊りボルト
24 通気空間を構成する第1隙間
25 通気空間を構成する第2隙間
26 換気用バッファ空間
27 排気装置
28 吸引ダクト
29 送気口ユニット
30 送気装置
31 送気ダクト
本願発明は、放射パネルを使用した空調設備に関するものである。空調設備は、暖房のみ又は冷房のみの単機能のものと、冷暖房を行えるダブル機能のものとの両方を含んでいる。
本願発明の空調設備は、請求項1のとおり、
天井部を、平面視四角形の放射パネルが縦横に整列して配置された放射パネル群で構成して、前記天井部の上方の天井裏空間の全体を排気用バッファ空間と成しており、
前記天井部に、室内の空気を前記バッファ空間に排出する通気空間と、空気を室内に送る送気口とが形成されている」
という基本構成において、
「前記通気空間は、前記放射パネルとこれを支持する吊り具の水平フランジとの間に形成されている一方、
前記送気口は、前記通気空間が形成されている部位よりも隣り合った放射パネルの間隔が広い広幅空間部に形成されて、前記送気口に送気ダクトが接続されている」
という特徴を備えている。
請求項2の発明は請求項1の展開例であり、この発明では、
「前記広幅間隔部に前記送気口と灯具とが配置されている」
という構成になっている。
請求項3の発明は、請求項1又は2を具体化したもので、
「前記バッファ空間のうち前記通気空間の近傍に、排気ダクトの先端を臨ませている」
という構成になっている。
本願発明は、放射パネルと吊り具との間に形成された通気空間を排気口として使用するものであるため、排気口を天井面の広い範囲にわたって形成できる。このため、室内からまんべんなく排気したりすることを簡単に実現できて、換気性能の向上に貢献できる。
また、空調設備に必須の要素である放射パネルと吊り具とを利用して排気口を形成するものであるため、部材を省略したり減らしたりして、コスト削減にも貢献できる。また、隣り合った放射パネルの群の間に広い間隔を空ける必要がなくなるため、それだけ放射パネルの配置面積を広くすることも可能であり、これにより、空調性能の向上も可能になる。
更に、通気空間を設けている箇所では、吊り具は、隣り合った放射パネルの間の隙間を下方から見えなくする目地材の機能も有しているが、吊り具は、放射パネルを吊支できるだけの幅があれば足りるため、天井面をスッキリとさせて美観を向上できる。すなわち、隣り合った放射パネルの群の間に広幅で帯状の長いカバーを配置することを廃止可能であり、このため、美観を向上させることが可能になる。
更に、通気空間を排気口に利用するにおいて、室内の空気が放射パネルの下面に沿って流れてから通気空間に流入する傾向を呈することになり、換気に伴って空気が放射パネルの下面に沿って流れることにより、放射パネルの下方の空気を攪拌して境膜伝熱係数が大きくすることができるため、空調効率を向上できる。
また、天井裏空間の全体を換気用バッファ空間として利用するものであるため、構造を簡単にしてコスト抑制に一層貢献できる。また、室内の隅々に送気したり、室内の隅々から排気したりすることが一層確実になるため、室内をむらなく換気することを、簡単に実現できる。
実施形態に係る建物の室内の斜視図である。 建物を図1と同じ方向から見た断面図である。 (A)は放射パネルの平面図、(B)は(A)のB−B視図である。 図3の IV-IV視断面図である(放射プレートとパイプの断面表示は省略している。)。 天井部の部分的な平面図である。 (A)は図5のA−A視断面図、(B)は図5のB−B視断面図、(C)は図5のC−C視断面図である。 (A)は第2実施形態の要部縦断正面図、(B)は参考例の要部縦断正面図である。 (A)は第3実施形態の要部縦断側面図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)は第4実施形態の要部縦断側面図である。 (A)は第5実施形態の断面図、(B)は第6実施形態の断面図である。 第7実施形態を示す図で、(A)は模式的な正面図、(B)は模式的な平面図である。 第9実施形態の要部断面図である。
放射パネル1からなる天井部の上方の天井裏空間は、通気空間(24,25)にだけ連通した換気用バッファ空間26になっている。そして、図2のとおり、天井部の通気空間(24,25)は排気口に利用しており、換気用バッファ空間26に、排気装置27の吸引ダクト28を開口させている。参考として、室内には送気口ユニット29を配置しており、送気口ユニット29と送気装置30とが送気ダクト31で接続されているが、実際にはこれらは使用しない。
送気装置30を換気用バッファ空間26に配置することも可能である。
(4).他の実施形態
次に、図7,8に表示している他の実施形態を説明する。図7(A)に示す第2実施形態では、第1隙間24に、不織布等の通気性素材からなるフィルター32を介在させている。本実施形態では、風切り音の発生も防止できる。フィルター32を遮蔽部材に置き換えると、通気空間でなくすることができる。従って、天井部の通気空間の開口面積の調節を簡単に行える。
図7(B)に示す参考例では、吊り具17の垂直部18に中空部33を形成して、中空部33から空気を横向きに噴出させている。このため、中空部33の側板には、第2隙間25に開口した送気穴34が空いている。放射プレート2の凹凸形状端面1aは、吊り具17の垂直部18に当接又は密接している。この参考例では、空気の直進性が高いため、空気を放射プレート2の下面に沿って流す機能が高くなっている。
図8(A)(B)に示す第3実施形態では、スペーサ36は角形のブロック状に形成されているが、(C)に示す第4実施形態では、スペーサ36は側面視で波形に形成されている。勿論、スペーサ36は他の形態にすることも可能である。更に、スペーサ36を吊り具17に一体に形成することも可能である。
図9(A)に示す第実施形態では、放射パネル1の下面の溝部に、照明装置としてLEDチップ37を多数配置している。このように構成すると、隣り合った放射パネル1の間に照明装置を設けるための大きな間隔を空ける必要はないため、放射パネル1の側方に通気空間を形成したことと相まって、天井部のスッキリ感を一層向上させることができる。
図9(B)に示す第実施形態では、吊り具17の下面に、照明装置の例として有機EL板38を配置して、面発光式照明に構成している。この例でも、天井部のスッキリ感を一層向上させることができる。LEDチップ37と有機EL板38とを併有することも可能である。
図10に示す第実施形態では、排気と送気とを天井部で行っている。すなわち、6列の放射パネル1の群を有する天井部において、左右の端から2番目と3番目の放射パネル列の間の部分を送気及び照明のための広幅間隔部39に設定して、この広幅間隔部39に、角形や円形等の送気口40を前後方向に適宜個数配置すると共に、送気口40の間に灯具(図示せず)を配置して、送気口40には送気ダクト41を接続している一方、放射パネル1を吊り具17で吊支している箇所は、排気口と成している。この実施形態でも、天井裏空間は、その全体が排気用の換気用バッファ空間26になっている。
吊り具17の箇所に通気空間を形成するにおいては、通気空間の総和は、部屋の容積に応じて適切な値に設定しておくのが好ましいといえる。従って、放射パネル1の端面を塞ぐ必要があるが、この点、図11に第実施形態として示すように、放射パネル1の端面に粘着テープ(或いは接着テープ)43で貼り付けておくことにより、通気空間を簡単に塞ぐことができる。放射パネル1の端面と吊り具17の垂直部18との間に、スポンジ状等の圧縮変形する弾性シール材を挟み込んでもよい。

Claims (5)

  1. 天井部を、平面視四角形の放射パネルを縦横に整列して配置して成る放射パネル群と、隣り合った放射パネルの側縁部を支持する吊り具とを有する構成として、前記吊り具に設けた水平フランジによって前記放射パネルの側縁を下方から支持しており、
    かつ、前記放射パネルと吊り具との間に、室内の換気のための通気空間を形成している、
    空調設備。
  2. 前記天井部の上方の天井裏空間の全体を、前記通気空間に連通した換気用バッファ空間と成しており、前記バッファ空間に、換気のための送気ダクト又は排出ダクトを開口させている、
    請求項1に記載した空調設備。
  3. 前記吊り具は、前記水平フランジから上向きに立ち上がった垂直部を有している一方、
    前記各放射パネルは、平行な2端面が凹凸形状端面となるように下面が凹凸面になっていて、多数枚の放射パネルが、前記凹凸形状端面が前記吊り具の垂直部と対向するようにして配置されており、前記放射パネルの凹凸形状端面と吊り具の垂直部との間に間隔を空けることにより、前記放射パネルの下面の凹凸形状を利用して前記通気空間が形成されている、
    請求項1又は2に記載した空調設備。
  4. 前記吊り具は、前記水平フランジから上向きに立ち上がった垂直部を有している一方、
    前記放射パネルの下面は平坦面になっており、放射パネルの端面と吊り具の垂直部との間に間隔を空けると共に、放射パネルの下面と吊り具の垂直部との間にスペーサを介在させることにより、前記通気空間を形成している、
    請求項1又は2に記載した空調設備。
  5. 請求項1〜4のうちのいずれかに記載した空調設備を備えている建物。
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