JP2021028546A - サーモサイフォン式冷却装置 - Google Patents

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功嗣 三浦
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康光 大見
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Abstract

【課題】冷却対象物を均等に冷却可能なサーモサイフォン式冷却装置を提供する。【解決手段】サーモサイフォン式冷却装置10は、蒸発器13、凝縮器14、ガス配管15、および液配管16を有する冷媒回路12を備える。蒸発器13は、バッテリ11の有する熱を吸熱させて液相冷媒を蒸発させる。凝縮部14は、蒸発器13にて蒸発させた気相冷媒を外気と熱交換させて凝縮させる。蒸発器13は、バッテリ11と冷媒とを熱交換させる複数の冷媒チューブ131を有している。冷媒回路12内に封入される封入冷媒重量Gは、冷媒チューブ131における冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際に、全ての冷媒チューブ131の内部に液相の冷媒が存在するように設定されている。【選択図】図3

Description

本発明は、サーモサイフォン式冷却装置に関する。
従来、特許文献1に、バッテリの冷却に用いられるサーモサイフォン式冷却装置が開示されている。特許文献1のバッテリは、互いに電気的に接続された複数の電池セルを積層配置して形成されている。
特許文献1のサーモサイフォン式冷却装置は、冷媒を蒸発させる蒸発部、および冷媒を凝縮させる凝縮部を有する冷媒回路を備えている。特許文献1の蒸発部は、積層配置された複数の電池セルの側面に接触するように配置されている。さらに、特許文献1の蒸発部の内部には、電池セルの積層方向へ延びる1つの冷媒通路が形成されている。
特許文献1の蒸発部では、凝縮部にて凝縮させた液相の冷媒を、冷媒通路の長手方向一端側に形成された流入口から流入させる。そして、冷媒通路を流通する際に各電池セルから吸熱して蒸発した気相の冷媒を、冷媒通路の長手方向他端側に形成された流出口から流出させている。
特開2015−41418号公報
ところで、特許文献1の蒸発部のように、電池セルの積層方向に延びる冷媒通路を有する蒸発部では、例えば、流入口近傍のように液相の冷媒が比較的多く存在する箇所では、冷媒を蒸発させて電池セルを充分に冷却することができる。しかしながら、気相の冷媒が偏在する箇所では、冷媒を蒸発させることができず、電池セルの冷却が不充分になってしまうことがある。
さらに、複数の電池セルを電気的に接続して形成されるバッテリでは、いずれかの電池セルの性能が低下してしまうと、バッテリ全体としての性能も低下してしまう。このため、複数の電池セルを電気的に接続して形成されるバッテリを冷却する際には、バッテリ全体を均等に冷却することが望ましい。換言すると、全ての電池セルを均等に冷却することが望ましい。
本発明は、上記点に鑑み、冷却対象物を均等に冷却可能なサーモサイフォン式冷却装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載のサーモサイフォン式冷却装置は、蒸発部(13、13a、13b)、および凝縮部(14、14a、14b、14c、14d)を有する冷媒回路(12)を備える。蒸発部は、冷却対象物(111)の有する熱を吸熱させて冷媒を蒸発させる。凝縮部は、蒸発部にて蒸発させた冷媒を凝縮させる。
蒸発部は、冷却対象物と冷媒とを熱交換させる複数の蒸発用熱交換部(131、134)を有している。
冷媒回路内に封入される冷媒の封入量(G)は、蒸発用熱交換部における冷媒の飽和温度が予め定めた基準温度範囲内になっている際に、全ての蒸発用熱交換部の内部に液相の冷媒が存在するように設定されている。
これによれば、蒸発部(13、13a、13b)における冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際に、全ての蒸発用熱交換部(131、134)の内部に液相の冷媒が存在するように、封入量(G)が設定されている。
従って、蒸発部(13、13a、13b)における冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際には、全ての蒸発用熱交換部(131、134)にて、冷媒を蒸発させて、冷却対象物を均等に冷却することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態のサーモサイフォン式冷却装置の模式的な外観斜視図である。 第1実施形態の電池セルの電気的な入出力特性を示すグラフである。 第1実施形態の液容積が最も少なくなっている際のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 第1実施形態の液容積が最も多くなっている際のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 図3のV−V拡大断面図である。 第1実施形態の冷媒の飽和温度の変化に対する飽和ガス密度の変化を示すグラフである。 第1実施形態の冷媒の飽和温度の変化に対する飽和液密度の変化を示すグラフである。 第1実施形態の内容積と封入冷媒重量との関係を示すグラフである。 第1実施形態の各電池セルの均温化がなされる際のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 第2実施形態の液容積が最も少なくなっている際のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 第2実施形態の液容積が最も多くなっている際のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 第3実施形態の液容積が最も多くなっている際のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 第4実施形態のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 第4実施形態の変形例のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 第4実施形態の別の変形例のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 第5実施形態のサーモサイフォン式冷却装置の模式的な外観斜視図である。 液容積が最も少なくなっている際の図16のXVII矢視図である。 第6実施形態のサーモサイフォン式冷却装置の模式的な外観斜視図である。 第7実施形態のサーモサイフォン式冷却装置の模式的な外観斜視図である。 液容積が最も少なくなっている際の図19のXX矢視図である。 第8実施形態のサーモサイフォン式冷却装置の模式的な外観斜視図である。 第9実施形態の変更例の電池セルの電気的な入出力特性を示すグラフである。 第10実施形態の第1変形例のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 第10実施形態の第2変形例のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 第10実施形態の第3変形例のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 第10実施形態の第4変形例のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 他の実施形態の冷媒チューブの変形例を説明する模式的な拡大断面図である。 他の実施形態の冷媒チューブの別の変形例を説明する模式的な拡大断面図である。 他の実施形態の冷媒チューブの別の変形例を説明する模式的な拡大断面図である。 他の実施形態の変形例のサーモサイフォン式冷却装置を示す模式的な側面図である。 図30のXXXI−XXXI断面図である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の実施形態を説明する。各実施形態において先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
図1〜図9を用いて、本発明に係るサーモサイフォン式冷却装置10の第1実施形態を説明する。サーモサイフォン式冷却装置10は、車両走行用の駆動力を走行用電動モータから得る電気自動車に搭載されている。サーモサイフォン式冷却装置10は、電気自動車において、走行用電動モータ等へ電力を供給するバッテリ11を冷却する。従って、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10の冷却対象物は、バッテリ11(すなわち、バッテリ11を形成する電池セル111)である。
図1は、車両に搭載された状態のサーモサイフォン式冷却装置10およびバッテリ11の模式的な外観斜視図である。なお、図1における上下の各矢印は、サーモサイフォン式冷却装置10およびバッテリ11を車両に搭載した状態における上下の各方向を示している。このことは、他の図面においても同様である。本実施形態のバッテリ11は、車両の下方側(具体的には、床下)に配置されている。
バッテリ11は、複数の電池セル111を電気的に直列的あるいは並列的に接続することによって形成された組電池である。電池セル111は、充放電可能な二次電池である。本実施形態では、電池セル111として、リチウムイオン電池を採用している。それぞれの電池セル111は、扁平な直方体形状に形成されている。
さらに、それぞれの電池セル111は、平坦面同士が対向するように、所定の方向に積層配置されている。本実施形態では、図1に示すように、水平方向に4列に積層配置されている。換言すると、本実施形態のバッテリ11は、複数の電池セル111の列毎に4つの集合体に分割されている。そして、4つの電池セル111の集合体は、互いに上下方向に同等の高さに位置付けられている。
次に、図2を用いて、電池セル111の電気的特性について説明する。電池セル111は、図2に示すように、その温度に応じて、充電あるいは放電を行うことのできる電力、すなわち入出力電力が変化する。本実施形態の電池セル111には、入出力電力が略最大となる最適温度範囲が存在する。
そして、電池セル111の温度が、最適温度範囲の下限温度TL(本実施形態では、10℃)よりも低下すると、温度低下に伴って入出力電力が低下してしまう。その理由は、温度低下に伴って、電池セル111の内部抵抗が増加するからである。さらに、電池セル111の温度が、最低下限温度TLmin(本実施形態では、−40℃以下)よりも低下すると、電池セル111は、充電あるいは放電を行うことができなくなってしまう。
ここで、液系電解質を有する二次電池では、電解液が凝固すると、電池の正負極間をリチウムイオンが移動できなくなる。その結果、充電あるいは放電ができなくなってしまう。従って、液系電解質を有する二次電池では、電解液の凝固点を、最低下限温度TLminとしてもよい。
一方、電池セル111の温度が、最適温度範囲の上限温度TH(本実施形態では、40℃)よりも上昇すると、温度上昇に伴って入出力電力が低下してしまう。その理由は、温度上昇に伴って、電池セル111の劣化が進行してしまうからである。さらに、電池セル111の温度が、最高上限温度THmax(本実施形態では、55℃)よりも高くなると、電池セル111は、充電あるいは放電を行うことができなくなってしまう。
また、複数の電池セル111を電気的に接続して形成されたバッテリ11では、入出力電力が最も低い電池セル111によって、バッテリ11全体としての性能が決定される。つまり、バッテリ11では、いずれかの電池セル111の入出力電力が低下してしまうと、バッテリ11全体としての入出力電力も低下してしまう。
従って、最低下限温度TLminは、バッテリ11全体として、充電あるいは放電を行うことのできる最低温度となる。また、最高上限温度THmaxは、バッテリ11全体として、充電あるいは放電を行うことのできる最高温度となる。
このため、バッテリ11を冷却する際には、いずれの電池セル111の温度も最高上限温度THmaxを超えないように、各電池セル111を均等に冷却しなければならない。さらに、バッテリ11を冷却する際には、バッテリ11の劣化を進行させることなく充放電能力を最大に活かすために、全ての電池セル111の温度が最適温度範囲の上限温度TH以下となるように冷却することが望ましい。
また、バッテリ11は、車両の加速時や登坂走行時のように放電量が増加する高負荷走行時や、急速充電時に発熱量が増加する。このため、高負荷走行時や急速充電時には、高い冷却能力でバッテリ11を冷却しなければならない。さらに、夏季には、駐車中であっても、バッテリ11の温度が上昇してしまうことがある。このため、駐車中であっても、バッテリ11は、連続的に冷却されている必要がある。
つまり、バッテリ11を冷却する際には、バッテリ11を形成する電池セル111の発熱量や温度に応じて、適切な冷却能力で連続的に冷却する必要がある。
次に、サーモサイフォン式冷却装置10について説明する。サーモサイフォン式冷却装置10は、図1に示すように、冷媒回路12を備えている。冷媒回路12は、冷媒の蒸発および凝縮により熱移動を行うヒートパイプである。より詳細には、冷媒回路12は、主に気相冷媒が流れる流路と主に液相冷媒が流れる流路が分離されたループ型のサーモサイフォンを形成している。
冷媒回路12には、作動流体である冷媒が所定の圧力で封入されている。これにより、本実施形態の冷媒に想定される温度範囲では、図3、図4等の点ハッチングに示すように、冷媒回路12内に封入された冷媒の少なくとも一部が液相冷媒となる。本実施形態では、冷媒として、蒸気圧縮式の冷凍サイクルに用いられるフロン系冷媒(具体的には、R1234yf)を採用している。
冷媒回路12は、複数の蒸発器13、凝縮器14、ガス配管15、および液配管16を有している。蒸発器13は、複数の電池セル111の有する熱を冷媒に吸熱させて、冷媒を蒸発させる蒸発部である。複数の蒸発器13は、バッテリ11とともに、床下に配置されている。複数の蒸発器13は、冷媒流れに対して互いに並列的に接続されている。
それぞれの蒸発器13は、冷媒チューブ131、液タンク部132、およびガスタンク部133を有している。冷媒チューブ131、液タンク部132、およびガスタンク部133は、いずれも高い熱伝導性を有する金属材料(本実施形態では、アルミニウム合金)で形成されている。冷媒チューブ131、液タンク部132、およびガスタンク部133は、ろう付け接合により一体化されている。
冷媒チューブ131は、車両上下方向および電池セル111の積層方向に広がる薄板矩形状に形成されている。冷媒チューブ131の内部には、図5に示すように、複数の冷媒通路131xが形成されている。複数の冷媒通路131xは、いずれも上下方向に延びている。複数の冷媒通路131xは、互いに並列に形成されている。換言すると、本実施形態の冷媒チューブ131は、1本の幅の広い扁平多穴チューブで形成されている。
複数の冷媒通路の下方側端部には、液タンク部132が接続されている。液タンク部132には、液配管16の流出口が接続されている。液タンク部132は、液配管16から流出した液相冷媒を、冷媒チューブ131に形成された複数の冷媒通路に分配する。
複数の冷媒通路の上方側端部には、ガスタンク部133が接続されている。ガスタンク部133には、ガス配管15の流入口が接続されている。ガスタンク部133は、冷媒チューブ131の内部に形成された複数の冷媒通路から流出した冷媒を集合させて、ガス配管15へ流出させる。つまり、蒸発器13では、液タンク部132側からガスタンク部133側へ、すなわち下方側から上方側へ冷媒を流通させている。
冷媒チューブ131の平坦面には、電気絶縁熱伝導シート17を介して、同じ列に積層配置された複数の電池セル111の1つの面が接触している。電気絶縁熱伝導シート17は、電気絶縁性と高い熱伝導性とを兼ね備えるシリコーン樹脂で形成されている。これにより、冷媒チューブ131の内部を流通する冷媒と電池セル111との間の良好な熱移動が可能になっている。従って、冷媒チューブ131は、蒸発用熱交換部である。
本実施形態では、図1、図3、図4に示すように、冷媒チューブ131の平坦面の両側に電池セル111を接触させている。つまり、1つの冷媒チューブ131の表裏の面にて、2列分の電池セル111の集合体を冷却している。従って、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10は、4つの電池セル111の集合体に対して、2つの蒸発器13を備えている。
さらに、本実施形態では、4つの電池セル111の集合体が、同等の高さに位置付けられている。従って、2つの蒸発器13の冷媒チューブ131について、互いに上下方向に同等の高さに位置付けられている。また、電池セル111の冷媒チューブ131との接触面の反対側の面には、電気端子112が配置されている。
凝縮器14は、蒸発器13にて蒸発させた気相冷媒を外気と熱交換させて凝縮させる凝縮部である。凝縮器14は、車室の前方側の駆動装置室内に配置されている。駆動装置室は、走行用の駆動力を出力するための駆動用装置(例えば、走行用電動モータ)の少なくとも一部が配置される空間を形成している。凝縮器14は、図3、図4に示すように、蒸発器13よりも上方側に配置されている。
本実施形態では、凝縮器14として、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器を採用している。タンクアンドチューブ型の熱交換器は、複数のチューブと一対のタンクを有している。
チューブは、冷媒を流通させる管である。複数のチューブは、間隔を開けて所定の方向に積層配置されている。これにより、複数のチューブは、冷媒と外気とを熱交換させて、冷媒の有する熱を外気へ放熱させる凝縮用熱交換部141を形成する。隣り合うチューブ同士の間に、冷媒と外気との熱交換を促進する熱交換フィンが配置されていてもよい。
一対のタンクは、複数のチューブの積層方向に延びる有底筒状に形成されている。一対のタンクは、それぞれ、複数のチューブの両端部に接続されている。一対のタンクの内部には、複数のチューブへ冷媒を分配する分配空間、あるいは複数のチューブから流出した冷媒を集合させる集合空間が形成されている。
ガス配管15および液配管16は、蒸発器13と凝縮器14とを接続する冷媒配管である。ガス配管15は、蒸発器13で蒸発した気相冷媒を流通させて、凝縮器14へ導く冷媒配管である。液配管16は、凝縮器14で凝縮した液相冷媒を流通させて、蒸発器13へ導く冷媒配管である。
ガス配管15には、リリーフ弁18が配置されている。リリーフ弁18は、ガス配管15の凝縮器14の入口側に配置されている。リリーフ弁18は、凝縮器14の入口側の冷媒圧力が予め定めた基準開弁圧力KP以上となった際に開いて、冷媒回路12内の冷媒を外部へ放出させる開放弁である。基準開弁圧力KPは、バッテリ11の充放電が禁止される運転条件を想定して決定されている。
本実施形態のリリーフ弁18では、具体的に、基準開弁圧力KPにおける冷媒の飽和温度である基準圧力飽和温度TKPが、最高上限温度THmax以上の値(具体的には、60℃)となるように、基準開弁圧力KPが設定されている。
次に、サーモサイフォン式冷却装置10の冷媒回路12に封入される冷媒の封入量(すなわち、封入冷媒重量G)について説明する。
サーモサイフォン式冷却装置10において、電池セル111を均等に冷却するためには、全ての冷媒チューブ131にて冷却能力を発揮させる必要がある。冷媒チューブ131にて発揮される冷却能力は、冷媒チューブ131にて冷媒が蒸発する際にバッテリ11から吸熱する気化潜熱量によって定義することができる。
従って、全ての冷媒チューブ131にて冷却能力を発揮させるためには、電池セル111の温度変化によらず、全ての冷媒チューブ131の全ての冷媒通路131x内に液相冷媒が存在している必要がある。換言すると、サーモサイフォン式冷却装置10に要求される冷却能力の変化によらず、全ての冷媒チューブ131の全ての冷媒通路131x内に液相冷媒が存在している必要がある。
冷媒回路12内の液相冷媒の液容積VL(m3)は、以下数式F1で定義される。
VL=(G−ρg×V)/(ρL−ρg) …(F1)
Gは、冷媒回路12へ封入された封入冷媒重量(kg)である。ρgは、飽和気相冷媒の飽和ガス密度(kg/m3)である。ρLは、飽和液相冷媒の飽和液密度(kg/m3)である。Vは、冷媒回路12の内容積(m3)である。内容積Vは、蒸発器13の内容積、凝縮器14の内容積、ガス配管15の内容積、液配管16の内容積の合算値である。
また、一般的な冷媒では、図6のグラフに示すように、容積一定とした場合、飽和温度の上昇に伴って、飽和気相冷媒の飽和ガス密度ρg(kg/m3)が上昇する物性を有する。さらに、図7のグラフに示すように、容積一定とした場合、飽和温度の上昇に伴って、飽和液相冷媒の飽和液密度ρL(kg/m3)が低下する物性を有する。なお、図6、図7のグラフは、本実施形態の冷媒の物性を示している。
そこで、図6、図7に示される冷媒の物性を数式F1に適用する。これにより、全ての冷媒チューブ131における冷媒の飽和温度が予め定めた基準温度範囲内になっている際に、全ての冷媒通路131x内に液相冷媒を存在させることのできる封入冷媒重量Gの範囲を求めることができる。具体的には、図8の網掛けハッチング領域内で、冷媒回路12の内容積に応じて封入冷媒重量Gを決定すればよい。
本実施形態では、基準温度範囲を、−40℃以上、かつ、60℃以下に設定している。つまり、本実施形態の基準温度範囲の最低温度TRLは、図2に示すように、最低下限温度TLmin以下に設定されている。また、基準温度範囲の最高温度TRHは、図2に示すように、リリーフ弁18の基準開弁圧力KPにおける冷媒の基準圧力飽和温度TKP以上に設定されている。
また、本実施形態では、蒸発用熱交換部である冷媒チューブ131における冷媒の飽和温度が最低温度TRLから最高温度TRHへ上昇するに伴って、液容積VLが単調増加するように、封入冷媒重量Gを設定している。従って、基準温度範囲内で冷媒の飽和温度が変化すると液容積VLが変化する。
さらに、本実施形態では、図3に示すように、基準温度範囲内で液容積VLが最も少なくなっている際の冷媒の液面が、全ての蒸発器13の冷媒チューブ131の内部に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定している。
より詳細には、複数の冷媒チューブ131のうち、下端部が最も上方側に配置された冷媒チューブ131を最上方側蒸発用熱交換部と定義する。さらに、冷媒回路12のうち、最上方側蒸発用熱交換部の下端部よりも下方側の部位の内容積を最上方側蒸発部下容積Va2と定義する。
この時、基準温度範囲内で最も少なくなっている際の液容積VLが、最上方側蒸発部下容積Va2よりも多くなるように封入冷媒重量Gを設定している。図3では、最上方側蒸発部下容積Va2は、冷媒回路12のうち二点鎖線L1よりも下方側の部位の内容積となる。
なお、本実施形態では、前述の如く、全ての冷媒チューブ131が上下方向に同等の高さに位置付けられている。従って、いずれの冷媒チューブ131を、最上方側蒸発用熱交換部としてもよい。
さらに、本実施形態では、図4に示すように、基準温度範囲内で液容積VLが最も多くなっている際の冷媒の液面が、凝縮器14の凝縮用熱交換部141よりも下方側に位置付けられるように設定している。
より詳細には、冷媒回路12のうち、凝縮器14の凝縮用熱交換部141の下端部よりも下方側の部位の容積を凝縮部下容積Vb1と定義する。この時、基準温度範囲内で最も多くなっている際の液容積VLが、凝縮部下容積Vb1以下となるように封入冷媒重量Gを設定している。図4では、凝縮部下容積Vb1は、冷媒回路12のうち二点鎖線L2よりも下方側の部位の内容積となる。
これに加えて、本実施形態では、図4に示すように、基準温度範囲内で液容積VLが最も多くなっている際の冷媒の液面が、全ての蒸発器13の冷媒チューブ131の内部に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定している。
より詳細には、複数の冷媒チューブ131のうち、上端部が最も下方側に配置された冷媒チューブを最下方側蒸発用熱交換部と定義する。さらに、冷媒回路12のうち、最下方側蒸発用熱交換部の上端部よりも下方側の部位の内容積を最下方側蒸発部下容積Vc2と定義する。
この時、基準温度範囲内で最も多くなっている際の液容積VLが、最下方側蒸発部下容積Vc2以下となるように封入冷媒重量Gを設定している。図4では、最下方側蒸発部下容積Vc2は、冷媒回路12のうち二点鎖線L3よりも下方側の部位の内容積となる。
なお、本実施形態では、前述の如く、全ての冷媒チューブ131が上下方向に同等の高さに位置付けられている。従って、いずれの冷媒チューブ131を、最下方側蒸発用熱交換部としてもよい。
次に、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10の作動について説明する。サーモサイフォン式冷却装置10では、バッテリ11が発熱すると、蒸発器13の冷媒チューブ131内の液相冷媒がバッテリ11の発熱させた熱を吸熱して蒸発する。これにより、バッテリ11が冷却されて、バッテリ11の温度上昇が抑制される。
蒸発器13の冷媒チューブ131にて蒸発した気相冷媒は、液相冷媒との比重差によって、冷媒チューブ131内の複数の冷媒通路を下方側から上方側へ流れる。そして、蒸発器13のガスタンク部133に集合する。ガスタンク部133に集合した冷媒は、ガス配管15介して、蒸発器13よりも上方側に配置された凝縮器14へ流入する。
凝縮器14へ流入した気相冷媒は、外気へ放熱して凝縮する。凝縮器14にて凝縮した液相冷媒は、重力の作用によって、液配管16を介して、下方側に配置された蒸発器13の液タンク部132へ流入する。液タンク部132へ流入した液相冷媒は、冷媒チューブ131内の複数の冷媒通路へ分配されて、バッテリ11から吸熱して再び蒸発する。
以上の如く、サーモサイフォン式冷却装置10では、圧縮機やポンプのような冷媒の輸送装置を必要となることなく、冷媒の相変化を利用して、冷媒を自然循環させることができる。これにより、バッテリ11の廃熱を連続的に外気へ放熱させることができる。その結果、サーモサイフォン式冷却装置10によれば、効率的に、かつ、連続的にバッテリ11の冷却を行うことができる。
さらに、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、蒸発器13の冷媒チューブ131における冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際に、全ての冷媒通路131x内に液相冷媒が存在するように、封入冷媒重量Gが設定されている。
従って、冷媒チューブ131における冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際には、全ての冷媒チューブ131にて、冷媒を蒸発させて、冷却対象物である電池セル111を均等に冷却することができる。
また、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、基準温度範囲の最高温度TRHとして、最高上限温度THmax以上の値に設定された基準圧力飽和温度TKPを採用している。従って、バッテリ11が充電あるいは放電を行うことができる温度範囲内では、電池セル111を確実に均等に冷却することができる。
また、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、基準温度範囲の最低温度TRLとして、最低下限温度TLminを採用している。従って、バッテリ11が充電あるいは放電を行うことができる温度範囲内では、電池セル111を確実に均等に冷却することができる。
つまり、本実施形態のように基準温度範囲を設定することで、実際のバッテリ11に想定される温度範囲(すなわち、冷却対象物の実使用温度範囲)では、確実に、電池セル111を均等に冷却することができる。実使用温度範囲は、バッテリ11が充電あるいは放電を行うことのできる温度範囲内で選定されるからである。
また、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、冷媒チューブ131における冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際に、液容積VLが最上方側蒸発部下容積Va2よりも多くなるように封入冷媒重量Gを設定している。
これによれば、冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際に、確実に、全ての冷媒チューブ131の内部に液相冷媒を存在させることができる。従って、電池セル111を、確実に、均等に冷却することができる。
また、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、冷媒チューブ131における冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際に、液容積VLが凝縮部下容積Vb1以下となるように封入冷媒重量Gを設定している。
これによれば、冷媒の飽和温度の変化に伴って液容積VLが増加しても、凝縮器14内に液冷媒が滞留してしまうことがない。つまり、封入冷媒重量Gが不必要に多くなって、凝縮器14の熱交換性能を損なうことがない。
また、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、冷媒チューブ131における冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際に、液容積VLが最下方側蒸発部下容積Vc2以下となるように封入冷媒重量Gを設定している。
これによれば、各電池セル111の温度ばらつきを解消して、各電池セル111を均温化させることができる。さらに、液相冷媒が冷媒チューブ131に過剰に供給されてしまうことを抑制して、電池セル111の温度が不必要に低下してしまうことを抑制することができる。
より詳細には、図9に示すように、一方の冷媒チューブ131に接触している電池セル111が相対的に高温になっており、他方の冷媒チューブ131に接触している電池セル111が相対的に低温になっている状態を考える。この状態では、一方の冷媒チューブ131内の冷媒が高温になっている電池セル111から吸熱して蒸発しやすい。
この際、液容積VLが最下方側蒸発部下容積Vc2以下となっているので、いずれの冷媒チューブ131内にも上方側に気相冷媒が存在する空間が形成される。これにより、一方の冷媒チューブ131から流出した気相冷媒の一部を、他方の冷媒チューブ131内の上方側の空間へ流入させることができる。
そして、相対的に温度の低い他方の冷媒チューブ131内の上方側の空間へ流入した気相冷媒は、凝縮して液相冷媒となる。これにより、他方の冷媒チューブ131内の冷媒の飽和温度が、一方の冷媒チューブ131内の飽和温度に近づく。その結果、各電池セル111を均温化させることができる。
また、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10の蒸発器13では、冷媒が冷媒チューブ131内の冷媒通路を下方側から上方側へ流通させている。これによれば、液相冷媒を下方側から冷媒チューブ131内へ流入させるので、液容積VLを調整することによって、全ての冷媒チューブ131内に容易に液相冷媒を存在させることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図10に示すように、蒸発器13の配置を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、それぞれの蒸発器13の位置が上下方向に異なっている。
本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10においても、冷媒回路12に封入される封入冷媒重量Gは、第1実施形態と同様に決定されている。つまり、図10に示すように、基準温度範囲内で液容積VLが最も少なくなっている際の冷媒の液面が、全ての蒸発器13の冷媒チューブ131の内部に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定している。
より詳細には、本実施形態では、複数の冷媒チューブ131のうち、下端部が最も上方側に配置された最上方側冷媒チューブ131aを最上方側蒸発用熱交換部と定義する。さらに、冷媒回路12のうち、最上方側冷媒チューブ131aの下端部よりも下方側の部位の容積を最上方側蒸発部下容積Va2と定義する。
この時、基準温度範囲内で最も少なくなっている際の液容積VLが、最上方側蒸発部下容積Va2よりも多くなるように封入冷媒重量Gを設定している。図10では、最上方側蒸発部下容積Va2は、冷媒回路12のうち、二点鎖線L4よりも下方側の部位の内容積となる。
さらに、本実施形態では、図11に示すように、基準温度範囲内で液容積VLが最も多くなっている際の冷媒の液面が、全ての蒸発器13の冷媒チューブ131の内部に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定している。
より詳細には、本実施形態では、複数の冷媒チューブ131のうち、上端部が最も下方側に配置された最下方側冷媒チューブ131bを最下方側蒸発用熱交換部と定義する。さらに、冷媒回路12のうち、最下方側蒸発用熱交換部の上端部よりも下方側の部位の内容積を最下方側蒸発部下容積Vc2と定義する。
この時、基準温度範囲内で最も多くなっている際の液容積VLが、最下方側蒸発部下容積Vc2よりも多くなるように封入冷媒重量Gを設定している。図11では、最下方側蒸発部下容積Vc2は、冷媒回路12のうち二点鎖線L5よりも下方側の部位の内容積となる。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10によれば、効率的に、かつ、連続的にバッテリ11の冷却を行うことができる。さらに、冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際には、冷却対象物である電池セル111を均等に冷却することができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図12に示すように、凝縮部として複数の凝縮器14(本実施形態では、2つの凝縮器14)を採用している。複数の凝縮器14は、冷媒流れに対して互いに並列的に接続されている。さらに、本実施形態では、それぞれの凝縮器14の位置が上下方向に異なっている。
本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10においても、冷媒回路12に封入される封入冷媒重量Gは、基本的に第1実施形態と同様に決定されている。本実施形態では、基準温度範囲内で液容積VLが最も多くなっている際の冷媒の液面が、図12に示すように、全ての凝縮器14の凝縮用熱交換部141よりも下方側に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定している。
より詳細には、本実施形態では、複数の凝縮器14の凝縮用熱交換部141のうち、下端部が最も下方側に配置されたものを最下方側凝縮用熱交換部141aと定義する。さらに、冷媒回路12のうち、最下方側凝縮用熱交換部141aの下端部よりも下方側の部位の容積を最下方側凝縮部下容積Vb2と定義する。
この時、基準温度範囲内で最も多くなっている際の液容積VLが、最下方側凝縮部下容積Vb2以下となるように封入冷媒重量Gを設定している。図12では最下方側凝縮部下容積Vb2は、冷媒回路12のうち、二点鎖線L6よりも下方側の部位の内容積となる。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10によれば、効率的に、かつ、連続的にバッテリ11の冷却を行うことができる。さらに、冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際には、冷却対象物である電池セル111を均等に冷却することができる。
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図13に示すように、開閉弁21を追加した例を説明する。開閉弁21は、液配管16を流通する液相冷媒の流量を調整する流量調整部である。本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、開閉弁21が液配管16を閉じることによって、開閉弁21の上方側に凝縮器14にて凝縮させた液相冷媒を貯液することができる。
より具体的には、開閉弁21は、制御装置22から出力される制御電圧によって、その作動が制御される電磁弁である。制御装置22は、CPU、ROMおよびRAM等を含むマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。制御装置22の入力側には、凝縮器14から流出した液相冷媒の液温度T1を検出する液温度センサ23が接続されている。
さらに、本実施形態では、冷媒回路12のうち、開閉弁21よりも上方側であって、開閉弁21を閉じた際に、液相冷媒を貯液可能な容積を貯液容積Vdと定義する。本実施形態では、冷媒回路12のうち、開閉弁21よりも上方側であって、かつ、凝縮器14の冷媒入口よりも下方側の部位の容積が貯液容積Vdとなる。図13では、貯液容積Vdは、冷媒回路12のうち二点鎖線L7から二点鎖線L8へ至る範囲の内容積となる。
この時、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、第1実施形態と同様に定義される最下方側蒸発部下容積Vc2が、第1実施形態と同様に定義される最上方側蒸発部下容積Va2と貯液容積Vdとの合算値よりも大きく設定されている。
また、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、基準温度範囲内で最も少なくなっている液容積VLが、最上方側蒸発部下容積Va2と貯液容積Vdとの合算値よりも多くなるように封入冷媒重量Gを設定している。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10の作動について説明する。本実施形態の制御装置22は、液温度センサ23によって検出された液温度T1に基づいて、開閉弁21よりも下方側に存在する液相冷媒の液面が、全ての蒸発器13の冷媒チューブ131の内部に位置付けられるように、開閉弁21の作動を制御する。
換言すると、制御装置22は、開閉弁21の作動を制御して、開閉弁21よりも下方側に存在する液相冷媒の下方側液容積VL1が、最下方側蒸発部下容積Vc2以下となるように、開閉弁21よりも上方側に貯えられる液相冷媒の貯液量を調整している。その他の作動は、第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10によれば、効率的に、かつ、連続的にバッテリ11の冷却を行うことができる。さらに、冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際には、冷却対象物である電池セル111を均等に冷却することができる。
さらに、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、制御装置22が開閉弁21の作動を制御することによって、図1実施形態の図9を用いて説明した、各電池セル111の均温化効果を得ることができる。
また、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、最下方側蒸発部下容積Vc2が、最上方側蒸発部下容積Va2と貯液容積Vdとの合算値よりも大きく設定されている。さらに、基準温度範囲内で最も少なくなっている液容積VLが、最上方側蒸発部下容積Va2と貯液容積Vdとの合算値よりも多くなるように封入冷媒重量Gを設定している。
従って、制御装置22が開閉弁21の作動を制御することによって、確実に、開閉弁21よりも下方側に存在する液相冷媒の液面を、全ての蒸発器13の冷媒チューブ131の内部に位置付けることができる。
なお、本実施形態では、冷媒回路12に1つの凝縮器14を配置した例を説明したが、第3実施形態で説明したように、複数の凝縮器14を有していてもよい。
例えば、図14に示す変形例のように、2つの凝縮器14を備え、双方の凝縮器14から流出した液相冷媒の流れを合流させる合流部の下流側に開閉弁21を配置してもよい。この場合は、開閉弁21よりも上方側であって、かつ、双方の凝縮器14の冷媒入口よりも下方側の部位の容積が貯液容積Vdとなる。
また、例えば、図15に示す変形例のように、2つの凝縮器14を備え、双方の凝縮器14から流出した液相冷媒の流れを合流させる合流部の上流側に開閉弁21を配置してもよい。この場合は、開閉弁21よりも上方側であって、かつ、開閉弁21の上流側に配置された一方の凝縮器14の冷媒入口よりも下方側の部位の容積が貯液容積Vdとなる。
なお、図14、図15では、図示の明確化のために、制御装置22および液温度センサ23の図示を省略している。
(第5実施形態)
本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10aでは、図16に示すように、冷媒回路12aを備えている。冷媒回路12aは、環状に接続された管状部材で形成されている。冷媒回路12aは、第1実施形態の冷媒回路と同様にループ型のサーモサイフォンを形成している。冷媒回路12aを形成する管状部材は、高い熱伝導性を有する金属材料(本実施形態では、アルミニウム合金)で形成されている。
本実施形態の冷媒回路12aを形成する管状部材は、機能に応じて蒸発部13a、凝縮部14a、ガス配管部15a、および液配管部16aに大別される。
蒸発部13aは、複数の電池セル111の有する熱を冷媒に吸熱させて、冷媒を蒸発させる。蒸発部13aは、冷媒回路12aのうち蒸発熱拡散板19に接合された部位である。蒸発部13aは、冷媒を下方側から上方側へ流通させるように、折り曲げられた形状に形成されている。つまり、蒸発部13aは、入口側から出口側へ向かって、下方側から上方側へ斜めに延びる部位を組み合わせた形状に形成されている。
蒸発熱拡散板19は、高い熱伝導性を有する金属材料(本実施形態では、アルミニウム合金)で形成されている。蒸発熱拡散板19は、薄板矩形状に形成されている。蒸発部13aは、蒸発熱拡散板19の一方の平坦面に、ろう付け接合されている。蒸発熱拡散板19の他方の平坦面には、第1実施形態と同様の電気絶縁熱伝導シートを介して、積層配置された複数の電池セル111の1つの側面が接触している。
従って、本実施形態の蒸発部13aでは、蒸発熱拡散板19を介して、複数の電池セル111の有する熱を冷媒に吸熱させる。また、本実施形態では、図17に示すように、電池セル111側から水平方向に蒸発熱拡散板19を見たときに、蒸発部13aと電池セル111が重合する部位に、主に電池セル111と冷媒とを熱交換させる蒸発用熱交換部134が区画形成される。
本実施形態の蒸発部13aの形状では、それぞれの電池セル111の同等の位置に蒸発用熱交換部134を配置することができない。これに対して、蒸発熱拡散板19では、複数の電池セル111の有する熱を内部に拡散させることができる。本実施形態では、蒸発部13aと電池セル111との間に蒸発熱拡散板19を介在させることによって、複数の電池セル111の有する熱を、蒸発用熱交換部134に均等に伝達しようとしている。
凝縮部14aは、蒸発部13aにて蒸発させた気相冷媒を外気と熱交換させて凝縮させる。凝縮部14aは、冷媒回路12aのうち凝縮熱拡散板20に接合された部位である。凝縮部14aは、蒸発部13aよりも上方側に配置されている。凝縮部14aは、入口側から出口側へ向かって、上方側から下方側へ斜めに延びる部位を組み合わせた形状に形成されている。
凝縮熱拡散板20は、蒸発熱拡散板19と同種の金属材料で形成されている。凝縮熱拡散板20は、薄板矩形状に形成されている。凝縮部14aは、凝縮熱拡散板20の一方の平坦面に、ろう付け接合されている。凝縮熱拡散板20の他方の平坦面には、凝縮部14aを流通する冷媒と外気との熱交換を促進する熱交換フィン20aが配置されている。
ガス配管部15aは、冷媒回路12aのうち蒸発部13aの最上方側に位置付けられる出口部と凝縮部14aの最上方側に位置付けられる入口部とを接続する部位である。液配管部16aは、冷媒回路12aのうち凝縮部14aの最下方側に位置付けられる出口部と蒸発部13aの最上方側に位置付けられる入口部とを接続する部位である。また、サーモサイフォン式冷却装置10aでは、リリーフ弁18を廃止している。
そこで、本実施形態では、基準温度範囲の最高温度TRHを最高上限温度THmaxに設定している。
本実施形態では、図17に示すように、基準温度範囲内で液容積VLが最も少なくなっている際の冷媒の液面が、全ての蒸発用熱交換部134の内部に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定している。さらに、準温度範囲内で液容積VLが最も少なくなっている際の冷媒の液面が、凝縮部14aよりも下方側に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定している。
その他のサーモサイフォン式冷却装置10aの構成および作動は、第1実施形態で説明したサーモサイフォン式冷却装置10と同様である。従って、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10aにおいても、第1実施形態と同様に、効率的に、かつ、連続的にバッテリ11の冷却を行うことができる。さらに、冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際には、冷却対象物である電池セル111を均等に冷却することができる。
(第6実施形態)
本実施形態では、第5実施形態で説明したサーモサイフォン式冷却装置10aに対して、図18に示すように、第4実施形態と同様の開閉弁21、制御装置22、温度センサ23を追加した例を説明する。開閉弁21は、液配管部16aを流通する液相冷媒の流量を調整する流量調整部である。その他の構成は、第5実施形態と同様である。また、作動については、第4実施形態と同様である。
従って、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10aでは、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、第5実施形態と同様に、効率的に、かつ、連続的にバッテリ11の冷却を行うことができるとともに、冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際には、冷却対象物である電池セル111を均等に冷却することができる。さらに、各電池セル111の均温化効果を得ることができる。
(第7実施形態)
本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10bでは、図19に示すように、単管12bを備えている。単管12bは、両端部が閉塞された管状部材である。本実施形態の単管12bは、いわゆる単管型のサーモサイフォンを形成している。
単管型のサーモサイフォンでは、管状部材の一端側が他端側よりも上方に配置される。さらに、単管型のサーモサイフォンでは、管状部材の内部を、液相冷媒と気相冷媒が対向して流れる。より詳細には、管状部材の長手方向垂直断面では、管状部材の内部空間の上方側を気相冷媒が流通し、内部空間の下方側を液相冷媒が流通している。
本実施形態の単管12bは、機能に応じて蒸発部13b、凝縮部14b、接続部15bに大別される。
蒸発部13bは、複数の電池セル111の有する熱を冷媒に吸熱させて、冷媒を蒸発させる。蒸発部13bは、単管12bの下方側の蒸発熱拡散板19に接合された部位である。本実施形態では、図20に示すように、電池セル111側から水平方向に蒸発熱拡散板19を見たときに、蒸発部13bと電池セル111が重合する部位に、主に電池セル111と冷媒とを熱交換させる蒸発用熱交換部134が区画形成される。
凝縮部14bは、蒸発部13aにて蒸発させた気相冷媒を外気と熱交換させて凝縮させる。凝縮部14bは、単管12bの上方側の凝縮熱拡散板20に接合された部位である。従って、凝縮部14bは、蒸発部13bよりも上方側に配置されている。接続部15bは、単管12bのうち蒸発部13bの最上方側部と、凝縮部14bの最下方側部とを接続する部位である。
本実施形態では、図20に示すように、基準温度範囲内で液容積VLが最も少なくなっている際の冷媒の液面が、全ての蒸発用熱交換部134の内部に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定している。さらに、準温度範囲内で液容積VLが最も少なくなっている際の冷媒の液面が、凝縮部14aよりも下方側に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定している。
その他のサーモサイフォン式冷却装置10bの構成および作動は、第5実施形態で説明したサーモサイフォン式冷却装置10aと同様である。従って、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10bにおいても、第5実施形態と同様に、効率的に、かつ、連続的にバッテリ11の冷却を行うことができる。さらに、冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際には、冷却対象物である電池セル111を均等に冷却することができる。
(第8実施形態)
本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10bでは、第7実施形態に対して、図21に示すように、複数の蒸発部13bを有している。さらに、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10では、それぞれの蒸発部13bの位置が上下方向に異なっている。
本実施形態においても、基準温度範囲内で液容積VLが最も少なくなっている際の冷媒の液面が、全ての蒸発用熱交換部134のうち、最も上方側に位置付けられる蒸発用熱交換部の内部に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定している。その他のサーモサイフォン式冷却装置10aの構成および作動は、第7実施形態と同様である。
従って、本実施形態のサーモサイフォン式冷却装置10bにおいても、第7実施形態と同様に、効率的に、かつ、連続的にバッテリ11の冷却を行うことができる。さらに、冷媒の飽和温度が基準温度範囲内になっている際には、冷却対象物である電池セル111を均等に冷却することができる。
(第9実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、基準温度範囲の最高温度TRHおよび最低温度TRLを変更した例を説明する。
上述の実施形態で説明したように、最高温度TRHおよび最低温度TRLは、実際のバッテリ11に想定される温度範囲で、全ての蒸発用熱交換部内に液相冷媒が存在させることができるように、決定されていればよい。
このため、基準温度範囲の最高温度TRHは、冷却対象物の実使用温度範囲の最高値よりも高い値に設定されていることが望ましい。また、最低温度TRLは、冷却対象物の実使用温度範囲の最低値よりも低い温度に設定されていることが望ましい。
そこで、最高温度TRHの第1変更例として、図22に示すように、最高温度TRHを、第5実施形態と同様の最高上限温度THmaxに設定してもよい。また、第1実施形態と同様に、最高温度TRHを、リリーフ弁18の基準開弁圧力KPにおける冷媒の基準圧力飽和温度TKPに設定する際に、基準圧力飽和温度TKPが最高上限温度THmaxより低い値になっていてもよい
ここで、リリーフ弁18を備えるサーモサイフォン式冷却装置10では、リリーフ弁18が開くと、冷媒回路12内の冷媒が外部へ放出されてしまう。つまり、リリーフ弁18が開くと、バッテリ11を冷却することができなくなってしまう。
このため、一般的に、バッテリ11を使用する際には、リリーフ弁18が開く前に、安全装置等を作動させて充放電を禁止する。換言すると、一般的に、バッテリ11を使用する際には、蒸発器13における冷媒の飽和温度が上昇しても基準圧力飽和温度TKPへ到達する前に、充放電を禁止する。従って、最高温度TRHを、基準圧力飽和温度TKPに設定すれば、確実に、実使用温度範囲の最高値よりも高いとすることができる。
また、図22に示すように、最適温度範囲と想定される温度範囲であっても、温度変化に伴って入出力電力が変化する電池セルが採用される場合もある。
このような電池セルが採用された際の第2変形例として、最低温度TRLを、バッテリ11が予め定めた基準電力以上の入出力電力となる基準下限温度TL1以下に設定してもよい。また、最高温度TRHを、バッテリ11が予め定めた基準電力以上の入出力電力となる基準上限温度TH1以上に設定してもよい。この場合は、実使用温度範囲におけるバッテリ11に要求される最小の入出力電力を基準電力としてもよい。
(第10実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、凝縮部を変更した例を説明する。凝縮部の変形例として、例えば、第1実施形態の凝縮器14あるいは第4実施形態の凝縮熱拡散板20に向けて外気を送風する外気ファンを追加してもよい。さらに、第1実施形態の凝縮器14あるいは第4実施形態の凝縮熱拡散板20に送風される外気の風量を調整するシャッタ機構を追加してもよい。
また、図23に示す第1変形例のように、凝縮部として、水−冷媒熱交換器14cを採用してもよい。水−冷媒熱交換器14cは、冷媒回路12を循環する冷媒を流通させる冷媒通路と、冷却水回路30を循環する冷却水を流通させる冷却水通路を有している。水−冷媒熱交換器14cは、冷媒通路を流通する冷媒と冷却水通路を流通する冷却水とを熱交換させる。
冷却水回路30は、水−冷媒熱交換器14cとラジエータ31との間で冷却水を循環させる。ラジエータ31は、冷却水と外気とを熱交換させる。さらに、冷却水回路30には、水−冷媒熱交換器14cの冷却水通路から流出した冷却水をラジエータ31へ圧送する水ポンプ32が配置されている。これにより、水−冷媒熱交換器14cでは、冷媒の有する熱を冷却水に放熱させて、冷媒を凝縮させることができる。
冷却水回路30の冷却水としては、エチレングリコール水溶液、ジメチルポリシロキサンを含む液体、不凍液、クーラント等を採用することができる。
また、図24に示す第2変形例のように、凝縮部として、水−冷媒熱交換器14cを採用してもよい。第2実施例の冷却水回路30では、水ポンプ32を作動させることによって、水−冷媒熱交換器14cとチラー44との間で冷却水を循環させる。
チラー44は、冷媒回路12を循環する冷媒を流通させる冷媒通路と、蒸気圧縮式の冷凍サイクル40の低圧冷媒を流通させるサイクル用冷媒通路とを有している。チラー44は、冷媒通路を流通する冷媒とサイクル用冷媒通路を流通する冷凍サイクル用の低圧冷媒とを熱交換させる。
冷凍サイクル40は、圧縮機41、放熱器42、膨張弁43、およびチラー44を有している。圧縮機41は、冷凍サイクル用の冷媒を圧縮して吐出する。放熱器42は、圧縮機41から吐出された高圧冷媒と外気とを熱交換させる。膨張弁43は、放熱器42にて放熱した冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる。チラー44は、膨張弁43にて減圧された低圧冷媒と冷却水とを熱交換させる。
これにより、チラー44では、冷凍サイクル40の低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって、冷却水を冷却する。そして、水−冷媒熱交換器14cでは、冷媒の有する熱を冷却水に放熱させて、冷媒を凝縮させることができる。
また、図25に示す第3変形例のように、凝縮部として、冷媒−冷媒熱交換器14dを採用してもよい。冷媒−冷媒熱交換器14dは、冷媒回路12を循環する冷媒と冷凍サイクル40の低圧冷媒とを熱交換させる。冷媒−冷媒熱交換器14dでは、冷凍サイクル40の低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって、冷媒を冷却して凝縮させることができる。
また、図26に示す第4変形例のように、凝縮部として、冷媒−冷媒熱交換器14dを採用してもよい。図26に示す冷凍サイクル40は、冷媒−冷媒熱交換器14dに加えて、空調用蒸発器45を備えている。冷媒−冷媒熱交換器14dと空調用蒸発器45は、冷凍サイクル40において、冷媒流れに対して並列的に接続されている。
空調用蒸発器45は、空調用膨張弁44bにて減圧された低圧冷媒と空調対象空間である車室内へ送風される送風空気とを熱交換させる。空調用蒸発器45は、送風空気を冷却する冷却用の熱交換器である。
さらに、図26に示す冷凍サイクル40は、放熱器42から流出した冷媒の流れを分岐する分岐部を有している。冷凍サイクル40では、分岐部から冷媒−冷媒熱交換器14dへ至る冷媒通路に、冷却用開閉弁46aおよび冷却用膨張弁44aを配置している。さらに、分岐部から空調用蒸発器45へ至る冷媒通路に、空調用開閉弁46bおよび空調用膨張弁44bを配置している。
冷却用膨張弁44aは、分岐部にて分岐された一方の冷媒を減圧させて、冷媒−冷媒熱交換器14d側へ流出させる。冷却用開閉弁46aは、分岐部から冷媒−冷媒熱交換器14dへ至る冷媒通路を開閉する電磁弁である。空調用膨張弁44bは、分岐部にて分岐された他方の冷媒を減圧させて、空調用蒸発器45側へ流出させる。空調用開閉弁46bは、分岐部から空調用蒸発器45へ至る冷媒通路を開閉する電磁弁である。
これによれば、冷却用開閉弁46aを開き、空調用開閉弁46bを閉じた際には、第3実施例と同様に、冷媒回路12を循環する冷媒を凝縮させることができる。さらに、空調用開閉弁46bを開くことによって、車室内の冷房を行うこともできる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
冷却対象物としてのバッテリ11の構成は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。例えば、バッテリ11は、蒸発器13および蒸発部13a、13bとともに、トランクルームの下方側や、駆動装置室内に配置されていてもよい。
また、第1実施形態では、電池セル111を4列に積層配置したバッテリ11を採用した例を説明したが、電池セル111の配列は4列に限定されない。電池セル111は1列に積層配置されていてもよいし、複数列に積層配置されていてもよい。
また、第1実施形態では、電池セル111の電気端子112を、冷媒チューブ131との接触面の反対側の面に配置した例を説明したが、これに限定されない。例えば、電気端子112を、電池セル111の上面に配置してもよい。
また、サーモサイフォン式冷却装置10、10a、10bの冷却対象物は、バッテリ11に限定されない。例えば、インバータ、モータジェネレータ、充電器のように作動時に発熱する電気機器であってもよい。
サーモサイフォン式冷却装置10、10a、10bの構成は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、第1実施形態で説明した蒸発器13では、冷媒チューブ131の平坦面の両面で、積層配置された電池セル111を冷却しているが、片面で冷却してもよい。そして、第1実施形態のように電池セル111を4列に配置した場合は、4つの蒸発器13を採用すればよい。
また、蒸発器13の数量は、電池セル111の配列数等に応じて適宜決定すればよい。例えば、電池セル111が1列あるいは2列に積層配置されている場合は、1つの蒸発器13にてバッテリ11を冷却するようにしてもよい。例えば、電池セル111が3列あるいは6列に積層配置されている場合は、3つの蒸発器13にてバッテリ11を冷却するようにしてもよい。
また、3つ以上の蒸発器13を備える場合は、第2実施形態と同様に、最低温度TRLにおける冷媒の液面が、最上方側冷媒チューブ131aの内部に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定すればよい。複数の蒸発器13は、並列的に接続されたものに限定されず、直列的に接続されていてもよい。複数の蒸発器13の配置は、バッテリ11の配置に応じて適宜決定すればよい。
また、第1実施形態で説明した蒸発器13の冷媒チューブ131は、1本の幅の広い多穴チューブで形成されたものに限定されない。
例えば、図27に示すように、複数本の扁平単穴チューブを組み合わせて形成された冷媒チューブ131cを採用してもよい。この場合は、それぞれの扁平単穴チューブが、蒸発用熱交換部を形成する。なお、図27〜図29は、第1実施形態で説明した図5に対応する図面である。
さらに、図27には、1本の扁平単穴チューブの表裏に、それぞれ1つの電池セル111を配置した例を図示しているが、これに限定されない。例えば、比較的幅広の扁平単穴チューブを採用し、1本の扁平単穴チューブの表裏に、それぞれ複数の電池セル111を接触させるように配置してもよい。
例えば、図28に示すように、複数本の扁平多穴チューブを組み合わせて形成された冷媒チューブ131dを採用してもよい。この場合は、それぞれの扁平多穴チューブが、蒸発用熱交換部を形成する。
さらに、図28には、1本の扁平多穴チューブの表裏に、それぞれ1つの電池セル111を配置した例を図示しているが、これに限定されない。例えば、比較的幅広の扁平多穴チューブを採用し、1つの扁平多穴チューブの表裏に、それぞれ複数の電池セル111を接触させるように配置してもよい。
例えば、図29に示すように、1本の幅広の扁平単穴チューブで形成された冷媒チューブ131eを採用してもよい。そして、図23に示すように、冷媒チューブ131eの表裏に、それぞれ同じ列に積層配置された全ての電池セル111を接触させるように配置してもよい。
また、凝縮器14の数量は、単数であっても複数であってもよい。3つ以上の凝縮器14を備える場合は、第3実施形態と同様に、最高温度TRHにおける冷媒の液面が、最下方側凝縮用熱交換部141aよりも下方側に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定すればよい。
また、液配管16として、図30、図31に示す、いわゆる落とし配管を採用してもよい。落とし配管は、蒸発器13の液タンク部132との接続部に、上方側へ延びる直線部161が形成されるように湾曲させた配管である。これによれば、例えば、車両の傾斜時、急加速時、急停車時であっても、直線部161に貯えられた液相冷媒を確実に蒸発器13へ流入させることができる。
さらに、液配管16を複数の蒸発器13に接続する際に、直線部161を形成するための湾曲させた部位を撓ませることで、複数の蒸発器13の位置関係に起因する寸法公差を吸入することができる。
また、サーモサイフォン式冷却装置10、10a、10bの冷媒は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。例えば、冷媒として、別のフロン系冷媒(例えば、R134a)を採用してもよい。さらに、フロン系冷媒に限定されることなく、プロパン、アルコール等の熱媒体を採用してもよい。
また、第1実施形態では、図4に示すように、基準温度範囲内で液容積VLが最も多くなっている際の冷媒の液面が、全ての蒸発器13の冷媒チューブ131の内部に位置付けられるように封入冷媒重量Gを設定した例を説明したが、これに限定されない。
基準温度範囲内で液容積VLが最も多くなっている際の冷媒の液面が、全ての蒸発器13の冷媒チューブ131よりも高くなっていてもよい。この場合は、各電池セル111の温度が、各電池セル111が配置された雰囲気温(第1実施形態では、外気温)に近づくように均温化を図ることができる。
10、10a、10b サーモサイフォン式冷却装置
11、111 バッテリ、電池セル
13 蒸発器(蒸発部)
13a、13b 蒸発部
14 凝縮器(凝縮部)
14a、14b 凝縮部
14c、14d 水−冷媒熱交換器、冷媒−冷媒熱交換器(凝縮部)
15、15a ガス配管、ガス配管部(冷媒配管)
15b 接続部(冷媒配管)
16、16a 液配管、液配管部(冷媒配管)

Claims (14)

  1. 冷却対象物(111)の有する熱を吸熱させて冷媒を蒸発させる蒸発部(13、13a、13b)、および前記蒸発部にて蒸発させた前記冷媒を凝縮させる凝縮部(14、14a、14b、14c、14d)を有する冷媒回路(12)を備えるサーモサイフォン式冷却装置であって、
    前記蒸発部は、前記冷却対象物と前記冷媒とを熱交換させる複数の蒸発用熱交換部(131、134)を有し、
    前記冷媒回路内に封入される前記冷媒の封入量(G)は、前記蒸発用熱交換部における前記冷媒の飽和温度が予め定めた基準温度範囲内になっている際に、全ての前記蒸発用熱交換部の内部に液相の前記冷媒が存在するように設定されているサーモサイフォン式冷却装置。
  2. 前記冷却対象物は、二次電池(111)であり、
    前記基準温度範囲の最高温度(TRH)は、前記二次電池が充電あるいは放電を行うことのできる最高上限温度(THmax)以上に設定されている請求項1に記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  3. 前記冷却対象物は、二次電池(111)であり、
    前記基準温度範囲の最高温度(TRH)は、前記二次電池が予め定めた基準電力以上の充電あるいは放電を行うことのできる基準上限温度(TH1)に設定されている請求項1または2に記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  4. 前記冷媒の圧力が予め定めた基準開弁圧力(KP)以上となった際に開いて、前記冷媒回路内から前記冷媒を放出させる開放弁(18)を備え、
    前記基準温度範囲の最高温度(TRH)は、前記基準開弁圧力(KP)における前記冷媒の基準圧力飽和温度(TKP)以上に設定されている請求項1ないし3のいずれか1つに記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  5. 前記冷却対象物は、二次電池(111)であり、
    前記基準温度範囲の最低温度(TRL)は、前記二次電池が充電あるいは放電を行うことのできる最低下限温度(TLmin)以下に設定されている請求項1ないし4のいずれか1つに記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  6. 前記冷却対象物は、二次電池(111)であり、
    前記基準温度範囲の最低温度(TRL)は、前記二次電池が予め定めた基準電力以上の充電あるいは放電を行うことのできる基準下限温度(TL1)に設定されている請求項1ないし5のいずれか1つに記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  7. 前記複数の蒸発用熱交換部のうち、下端部が最も上方側に配置されたものを最上方側蒸発用熱交換部(131a)と定義し、
    前記冷媒回路のうち、前記最上方側蒸発用熱交換部の下端部よりも下方側の部位の内容積を最上方側蒸発部下容積(Va2)と定義し、
    前記冷媒回路内に存在する液相の前記冷媒の容積を液容積(VL)と定義したときに、
    前記封入量(G)は、前記蒸発部における前記冷媒の飽和温度が前記基準温度範囲内になっている際に、前記液容積(VL)が前記最上方側蒸発部下容積(Va2)よりも多くなるように設定されている請求項1ないし6のいずれか1つに記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  8. 前記複数の蒸発用熱交換部のうち、上端部が最も下方側に配置されたものを最下方側蒸発用熱交換部(131b)と定義し、
    前記冷媒回路のうち、前記最下方側蒸発用熱交換部の上端部よりも下方側の部位の内容積を最下方側蒸発部下容積(Vc2)と定義し、
    前記冷媒回路内に存在する液相の前記冷媒の容積を液容積(VL)と定義したときに、
    前記封入量(G)は、前記蒸発部における前記冷媒の飽和温度が前記基準温度範囲内になっている際に、前記液容積(VL)が前記最下方側蒸発部下容積(Vc2)以下となるように設定されている請求項1ないし7のいずれか1つに記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  9. 前記凝縮部は、前記冷媒を放熱させる凝縮用熱交換部(141)を有し、
    前記冷媒回路のうち、前記凝縮用熱交換部(141)の下端部よりも下方側の部位の内容積を凝縮部下容積(Vb1)と定義し、
    前記冷媒回路内に存在する液相の前記冷媒の容積を液容積(VL)と定義したときに、
    前記封入量(G)は、前記蒸発部における前記冷媒の飽和温度が前記基準温度範囲内になっている際に、前記液容積(VL)が前記凝縮部下容積(Vb1)以下となるように設定されている請求項1ないし8のいずれか1つに記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  10. 前記凝縮部は、前記冷媒を放熱させる複数の凝縮用熱交換部(141)を有し、
    前記複数の凝縮用熱交換部のうち、下端部が最も下方側に配置されたものを最下方側凝縮用熱交換部(141a)と定義し、
    前記冷媒回路のうち、前記最下方側凝縮用熱交換部の下端部よりも下方側の部位の容積を最下方側凝縮部下容積(Vb2)と定義し、
    前記冷媒回路内に存在する液相の前記冷媒の容積を液容積(VL)と定義したときに、
    前記封入量(G)は、前記蒸発部における前記冷媒の飽和温度が前記基準温度範囲内になっている際に、前記液容積(VL)が前記最下方側凝縮部下容積(Vb2)以下となるように設定されている請求項1ないし9のいずれか1つに記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  11. 前記冷媒回路は、前記凝縮部にて凝縮させた前記冷媒を前記蒸発部へ導く液配管(16、16a)、および前記液配管を流通する前記冷媒の流量を調整する流量調整部(21)を有し、
    前記複数の蒸発用熱交換部のうち、下端部が最も上方側に配置されたものを最上方側蒸発用熱交換部(131a)と定義し、
    前記冷媒回路のうち、前記最上方側蒸発用熱交換部の下端部よりも下方側の部位の内容積を最上方側蒸発部下容積(Va2)と定義し、
    前記複数の蒸発用熱交換部のうち、上端部が最も下方側に配置されたものを最下方側蒸発用熱交換部(131b)と定義し、
    前記冷媒回路のうち、前記最下方側蒸発用熱交換部の上端部よりも下方側の部位の内容積を最下方側蒸発部下容積(Vc2)と定義し、
    前記冷媒回路のうち、前記流量調整部より上方側であって液相の前記冷媒を貯液可能な容積を貯液容積(Vd)と定義したときに、
    前記最下方側蒸発部下容積(Vc2)は、前記最上方側蒸発部下容積(Va2)と前記貯液容積(Vd)との合算値よりも大きく設定されている請求項1ないし10のいずれか1つに記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  12. 前記流量調整部よりも下方側に存在する液相の前記冷媒の容積を下方側液容積(VL1)と定義したときに、
    前記流量調整部は、前記下方側液容積(VL1)が前記最下方側蒸発部下容積(Vc2)以下となるように、前記冷媒の流量を調整する請求項11に記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  13. 前記冷媒回路内に存在する液相の前記冷媒の容積を液容積(VL)と定義したときに、
    前記封入量(G)は、前記蒸発部における前記冷媒の飽和温度が前記基準温度範囲内になっている際に、前記液容積(VL)が前記最上方側蒸発部下容積(Va2)と前記貯液容積(Vd)との合算値よりも多くなるように設定されている請求項11または12に記載のサーモサイフォン式冷却装置。
  14. 前記蒸発部は、前記冷媒を下方側から上方側へ流通させる請求項1ないし13のいずれか1つに記載のサーモサイフォン式冷却装置。
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