JP2021027828A - ビール様飲料用風味改善剤及びビール様飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビール様飲料の風味を改善することができる添加物を提供すること。【解決手段】2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物を含むビール様飲料用風味改善剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ビール様飲料の風味を改善するために使用するビール様飲料用風味改善剤、及びその使用対象であるビール様飲料に関する。
近年の低価格志向を背景に、麦芽使用比率が低い、または、麦芽を使用しないビール様飲料が数多く市販されている。このように麦芽使用量を低減させたビール様飲料では穀物様香気及びコク感が低減し、酸味が強調されることが多く、風味には未だ改善の余地がある。
また、近年の健康ブームを背景に、低糖質、低カロリー、低アルコール、糖質ゼロ又はノンアルコール等、機能系のビール様飲料が数多く市販されている。例えば、糖質やプリン体の含有量を低減させたビール様アルコール飲料は、その製造工程において活性炭処理等の方法により、糖質やプリン体の除去を行っている。その過程で、ビールらしい風味を維持するために本来必要な成分まで除去されてしまい、穀物様香気及びコク感が低減し、酸味が強調されることがあり、風味には未だ改善の余地がある。
ビールの飲み応えを増強する目的で、麦芽使用量や原麦汁エキス(麦汁の濃醇さを表す指標)を高くしてビールを醸造した場合、アミノ酸やアミノ酸代謝物など、呈味に関する成分が増加し、香気と比較して味の厚みが目立って大きくなることがある。かかる場合、製造されるビールはドリンカビリティに劣ることになり、風味には未だ改善の余地がある。
ビール様飲料は、ビール特有の飲用感である、キレ感を提供することが好ましい。そのため、ビール様飲料の風味は、香気成分により調節することが好ましい。
特許文献1には、実施例1として、ビールに含まれる主要香気成分を分析し、その一つとして、2−アセチル−1−ピロリンを同定したこと記載されている。そして、2−アセチル−1−ピロリンは、ビール様飲料に添加した場合、ナッツ、ポップコーンの香気、ビールらしさを増強したことが記載されている。
特許文献2には、2−アセチル−2−チアゾリンを含むビール様飲料用風味改善剤が記載されている。実施例1において、2−アセチル−1−ピロリンは、ビール様飲料に添加した場合、酸味低下、穀物香、ナッツの香気、ビールらしさを増強したことが記載されている。
非特許文献1に関しては、まず、記載を抜粋し、その後、説明する。
第391頁、下から第15〜13行、要約
「GC−MSの技術を使用して、淡色麦芽及び濃色麦芽中のパンのような芳香特性及び非常に低い風味閾値をする数種類の化合物を初めて同定した。」。
第393頁、第6〜17行、序文
「麦芽を焙燥するかまたは麦汁を煮沸する場合、・・・[中略]・・・今までにまだ知られていない焙煎したような、ポップコーンのような、パンのような芳香を有する化合物が生じる。パンのような芳香特性を有する香気物質は、ビールにとって中心的な重要性がある。この香気物質は麦芽中の芳香の主成分であるが、この香気物質は、加熱殺菌された、高温環境で貯蔵したおよび劣化したビールにおける悪い芳香の原因となることがある。」
第401頁、第12〜24行、ビール中のパンのような芳香成分の特性決定
「パンのような悪い芳香成分は、特に、ビールに熱負荷をかけるかまたはビールを不適切に輸送しかつ貯蔵した場合に検出される。高すぎる温度および長すぎる作用時間での加熱殺菌の場合に、特に際立った「オフフレーバー」の印象が感じられる。図11は、典型的なパンのような悪い芳香を示す「過剰加熱殺菌された」ビールのガスクロマトグラムを示す。特性決定されたプロリン誘導体とほとんど同等の保持時間を示す、官能特性を有するいくつかのクロマトグラム部分が生じることが認められる。分取GC、キャピラリー−GC−NSDおよびキャピラリー−GC−MSを用いて、4種の2−アセチルテトラヒドロピリジンを示準成分として特性決定することができた。」
図1に、非特許文献1の図11である、典型的なパンのような悪い芳香を示す「過剰加熱殺菌された」ビールのガスクロマトグラムを示す。尚、ここでいう加熱殺菌の条件は、80℃で0.5〜20時間である(第393頁、下から第19〜18行)。このように高温で長時間加熱した場合、ビールは熱劣化する。
非特許文献1には、要するに、(1)麦芽を加熱した場合に、ポップコーンのような、パンのような芳香を有する化合物が生じること、(2)上記芳香は、熱負荷をかけたために劣化したビールに感じられる「オフフレーバー」、即ち、異臭であること、及び(3)上記オフフレーバーの分析結果を図11のガスクロマトグラムに示すこと、が記載されている。
ここに図1として示すが、非特許文献1の図11には、オフフレーバーの分析結果として、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及び2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン等が示されている。
WO2014/119065号 特開2016−86792号公報
特許文献1に記載されている2−アセチル−1−ピロリンは、これをビール様飲料に添加した場合、ナッツ、ポップコーン様香気が増大する。しかしながら、この場合、増大する香気は主として鼻から直接入る香気である。一方で、口中から鼻腔に抜ける香気は、あまり増大しない。その結果、2−アセチル−1−ピロリンが添加されたビール様飲料は、ビール様飲料の香りが強い一方で、コク感又はボディ感は弱く、酸味が感じられて、ビール様飲料の香味バランスを良好に保つことが困難という問題がある。
一般に、鼻から直接入る香気はトップ香と呼ばれる。これに対し、口中から鼻に抜ける香気は戻り香と呼ばれる。トップ香と戻り香とは、官能として区別することができる。
特許文献2に記載されている2−アセチル−2−チアゾリンは、これをビール様飲料に添加した場合、イオウ化合物特有の香気が付与される。それゆえ、ビール様飲料の香味バランスを維持するためには、2−アセチル−2−チアゾリンの使用量を限定する等の工夫を要するという問題がある。また、2−アセチル−2−チアゾリンにより増大される香気は主としてトップ香であり、戻り香を増大させる効果は少ないものである。
非特許文献1には、熱劣化したビールの「オフフレーバー」を呈する化合物として、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン、2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンが示されている。しかしながら、これらが嗜好性に好ましい穀物香気を呈することも、これらを香味改善に使用することも記載されていない。
本発明の目的は、ビール様飲料の風味を改善することができる添加物を提供することにある。
本発明者らは、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンをビール様飲料に添加した場合、戻り香である穀物香気が増強されること、及びそのことで、ビール様飲料の香味バランスが改善されることを見いだした。
2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンは、互変異性体として2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンを有する。従って、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンをビール様飲料に添加した場合、ビール様飲料には、一般に、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及び2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンが両方とも含有される。それらの存在比率は、周囲のpH環境等に依存して決定される。
2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン、2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンは香気成分である。それゆえ、これらが添加されるビール様飲料のキレ感に悪影響を与えることがない。
本発明は、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物を含むビール様飲料用風味改善剤を提供する。
ある一形態においては、前記ビール様飲料用風味改善剤の風味を改善しようとするビール様飲料が、低カロリービール様アルコール飲料、低糖質ビール様アルコール飲料、糖質ゼロビール様アルコール飲料、低プリン体ビール様アルコール飲料、プリン体ゼロビール様アルコール飲料、又はビール様ノンアルコール飲料である。
ある一形態においては、前記ビール様飲料用風味改善剤の風味を改善しようとするビール様飲料が、非発酵ビール様飲料である。
また、本発明は、風味を改善しようとするビール様飲料に対して上記ビール様飲料用風味改善剤を添加する工程を包含する、ビール様飲料の製造方法を提供する。
ある一形態においては、前記ビール様飲料用風味改善剤は、風味を改善しようとするビール様飲料に含まれる2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度が0.5〜200ppbになる量で添加される。
また、本発明は、風味を改善しようとするビール様飲料に対して前記ビール様飲料用風味改善剤を添加する工程を包含する、ビール様飲料の戻り香を増強する方法を提供する。
また、本発明は、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物のビール様飲料用風味改善剤としての使用を提供する。
また、本発明は、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物を1.0〜200ppbの濃度で含むビール様飲料を提供する。
ある一形態においては、前記ビール様飲料が、非発酵ビール様ノンアルコール飲料又は発酵ビール様低アルコール飲料である。
また、本発明は、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物を1.5〜200ppbの濃度で含み、麦芽を使用しないか、25%未満の麦芽使用比率を有するビール様飲料を提供する。
ある一形態においては、前記25%未満の麦芽使用比率を有するビール様飲料が、低糖質ビール様飲料又は低プリン体ビール様飲料である。
また、本発明は、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物を5.0〜200ppbの濃度で含み、50%以上の麦芽使用比率を有するビール様飲料を提供する。
ある一形態においては、前記50%以上の麦芽使用比率を有するビール様飲料がビールである。
本発明のビール様飲料用風味改善剤が添加されることで、ビール様飲料の戻り香である穀物香気が増強される。その結果、本発明のビール様飲料用風味改善剤が添加されたビール様飲料は、コク感が増強され、酸味が低減され、香味バランスが改善されている。また、本発明のビール様飲料用風味改善剤が添加されたビール様飲料は、ドリンカビリティが向上している。
非特許文献1の図11である、典型的なパンのような悪い芳香を示す「過剰加熱殺菌された」ビールのガスクロマトグラムである。
本発明の風味改善剤はビール様飲料の風味を改善するために使用される。風味とは香り及び味わいをいう。改善とは一般的な消費者の嗜好に合うように改変することをいう。
ビール様飲料とは、ビールを想起させる風味を有する飲料の全てを指していう。ビール様飲料には、発酵過程を経て製造される発酵ビール様飲料、及び発酵過程を経ないで製造される非発酵ビール様飲料が含まれる。例えば、発酵ビール様飲料には、デンプン原料を糖化して糖液を得、これにホップを添加し、酵母で発酵させたアルコール飲料が一例として挙げられる。デンプン原料としては、麦芽、及び大麦、米、とうもろこし等の穀物類、穀物類から分離したデンプンなどが使用される。ビール様飲料の具体例には、ビール、発泡酒、雑酒、リキュール類、スピリッツ類、低アルコール飲料、ノンアルコール飲料などであって、ビールを想起させる風味を有するものが含まれる。
風味を改善する対象であるビール様飲料は、例えば、ビール、発泡酒及び発泡性リキュール等の発酵ビール様アルコール飲料である。発酵ビール様アルコール飲料は、醸造を行う際の麦芽使用比率又は原麦汁エキスに依存して、香気と味のバランスが最適化されないことがある。例えば、麦芽使用比率又は原麦汁エキスを低減して醸造を行った場合、得られるビール様飲料は、穀物様香気及びコク感が低減し、酸味が強調されることが多い。また、例えば、麦芽使用比率又は原麦汁エキスを高くして醸造を行った場合、得られるビール様飲料は、香気と比較して、味の厚みが大きくなることがあり、製造されるビールはドリンカビリティに劣ることになる。
ビール様飲料を醸造する際のデンプン原料における麦芽使用比率は、例えば、10重量%以下、10〜25重量%、25〜50重量%であってよい。強い穀物感を必要とする場合は、麦芽使用比率は50重量%以上にしてもよい。但し、アミノ酸やアミノ酸代謝物を抑制する観点から、麦芽使用比率は80重量%以下にすることが好ましい。
ある一形態において、ビール様飲料を醸造する際のデンプン原料における麦芽使用比率は、25重量%未満であってよく、デンプン原料に麦芽を使用しなくてもよい。上記麦芽使用比率は、1重量%以上25重量%未満であってもよい。また、上記麦芽使用比率は、50〜100重量%であってよく、50〜80重量%であってもよい。
風味を改善する対象として好ましいビール様飲料は、低糖質ビール様アルコール飲料、糖質ゼロビール様アルコール飲料、低プリン体ビール様アルコール飲料、プリン体ゼロビール様アルコール飲料、低カロリービール様アルコール飲料及びカロリーゼロビール様アルコール飲料等のいわゆる機能系のビール様アルコール飲料である。これらは、低糖質化、低カロリー化又は低プリン体化される過程で適切な風味を実現するのに必要な香味物質が除去されてしまい、コク感又はビールらしい風味が減少していることが多いからである。
また、ビール様アルコール飲料には、飲用水に、麦汁、麦芽エキス、糖類、香料及びエタノールなどを加えることによりビールらしい風味及び味質に仕上げたものもある。発酵工程を行わないか、発酵工程を行う場合でも、実質的な量のアルコールを生成させない程度に制限したビール様アルコール飲料は、以下、「非発酵ビール様アルコール飲料」という。
非発酵ビール様アルコール飲料はデンプン原料を発酵させることなく製造され、発酵感が不足し、アルコールの刺激臭又はアルコール感が強いという問題がある。それゆえ、非発酵ビール様アルコール飲料は風味を改善する対象として好ましい。
また、ビール風味炭酸飲料等のビール様ノンアルコール飲料はデンプン原料を発酵させることなく製造され、コク感及びビールらしい風味に乏しく、麦汁臭を呈することが多い。それゆえ、ビール様ノンアルコール飲料も風味を改善する対象として好ましい。
また、風味を改善する対象として好ましいビール様飲料は、低糖質ビール様アルコール飲料、糖質ゼロビール様アルコール飲料、低プリン体ビール様アルコール飲料、プリン体ゼロビール様アルコール飲料、低カロリービール様アルコール飲料及びカロリーゼロビール様アルコール飲料等のいわゆる機能系のビール様アルコール飲料である。これらは、低糖質化、低カロリー化又は低プリン体化される過程で適切な風味を実現するのに必要な香味物質が除去されてしまい、コク感又はビールらしい風味が減少していることが多いからである。
ある一形態において、風味を改善する対象として好ましいビール様飲料は低糖質ビール様飲料である。低糖質ビール様飲料とは、糖質含有量が1.0g/100ml以下のビール様飲料をいう。低糖質ビール様飲料は、糖質又は香気成分の含有量が低いため、コク感及びビールらしい風味に乏しいからである。低糖質ビール様飲料は、低糖質ビール様アルコール飲料であってよい。
ある一形態において、風味を改善する対象として好ましいビール様飲料は低プリン体ビール様飲料である。低プリン体ビール様飲料とは、プリン体含有量が0.5mg/100ml以下のビール様飲料をいう。低プリン体ビール様飲料は、プリン体又は香気成分の含有量が低いため、コク感及びビールらしい風味に乏しいからである。低プリン体ビール様飲料は、低プリン体ビール様アルコール飲料であってよい。
ある一形態において、風味を改善する対象として好ましいビール様飲料はビール様低アルコール飲料である。ビール様低アルコール飲料とは、アルコールを含み、アルコール含有量が1.0vol/vol%未満のビール様飲料をいう。ビール様低アルコール飲料は、アルコール含有量が低いため、コク感及びビールらしい風味に乏しいからである。ビール様低アルコール飲料は、発酵ビール様低アルコール飲料であってよい。発酵ビール様低アルコール飲料は、例えば、発酵ビール様アルコール飲料から膜蒸留法によりアルコールを除去させて製造することができる。
本発明のビール様飲料用風味改善剤は2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物を含有する。本発明のビール様飲料用風味改善剤は、風味を改善しようとするビール様飲料に適量添加される。そのことにより、ビール様飲料の戻り香である穀物香気が増強され、コク感又はビールらしい風味が付与又は増強され、香味バランスが向上したビール様飲料が製造される。
前記風味改善剤の添加量の最適範囲は、風味改善の対象とするビール様飲料の種類又は目標とする呈味レベルによって異なる。一般には、ビール様飲料に含まれる上記2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度が0.25ppb以上、好ましくは0.5ppb以上、より好ましくは5〜200ppbの範囲になるように、適宜調節される。2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度が0.25ppb未満であると風味改善効果が不十分となる。2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度は200ppbまで検証を行ったが、この上限を超えた場合でも、不快な香味が生成する、又は香味バランスが崩れる兆候は認められない。但し、1ppmを超えると、先行非特許文献1にある通り、加熱したパン様のオフフレーバーとなる。
例えば、風味改善の対象とするビール様飲料が非発酵ビール風味炭酸飲量又は発酵ビール様低アルコール飲料である場合、前記風味改善剤の添加量は、ビール様飲料に含まれる上記2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度が0.25〜300ppb、好ましくは1.0〜200ppb、より好ましくは3.0〜200ppbの範囲になる量である。
また、例えば、風味改善の対象とするビール様飲料が、麦芽を使用しないか、25%未満の麦芽使用比率を有するものである場合、前記風味改善剤の添加量は、ビール様飲料に含まれる上記2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度が0.25〜300ppb、好ましくは1.5〜200ppb、より好ましくは3.0〜200ppbの範囲になる量である。
麦芽を使用しないか、25%未満の麦芽使用比率を有するビール様飲料の具体例としては、低糖質発泡酒等の低糖質ビール様飲料、低プリン体新ジャンル発泡性リキュール等の低プリン体ビール様飲料、及び前記機能系のビール様アルコール飲料が挙げられる。
また、例えば、風味改善の対象とするビール様飲料が50%以上の麦芽使用比率を有するものである場合、前記風味改善剤の添加量は、ビール様飲料に含まれる上記2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度が0.25〜300ppb、好ましくは5.0〜200ppb、より好ましくは9.0〜200ppbの範囲になる量である。
50%以上の麦芽使用比率を有するビール様飲料の具体例としては、発酵ビール様アルコール飲料、中でも、ビール等が挙げられる。
風味を改善しようとするビール様飲料に本発明の風味改善剤を添加する場合、そのタイミングに制限はなく、ビール様飲料の製造工程における適当な工程で添加することができる。例えば、発泡酒に添加する場合には、麦汁煮沸後の冷却工程、発酵工程又は熟成工程等任意の工程でよいが、添加する工程が前工程であればあるほど、風味改善剤中の各成分の濃度の消長が考えられるため、後発酵工程の終了後が望ましい。また、リキュール類に添加する場合には、税法上、主発酵終了前に添加する必要があるため、主発酵開始前及び主発酵終了直前に添加することが望ましい。
以下の実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<実施例1>
風味を改善する対象として市販の非発酵ビール風味炭酸飲料(即ち、非発酵ビール様ノンアルコール飲料、以下「市販品1」という。)を準備した。市販品1中の、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンを分析したところ、不検出であった。2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン(以下「ATHP」と記載することがある。)の分析方法を以下に説明する。
<ATHP分析法>
20gのビールテイスト飲料に50μLの内部標準溶液(4μg/mLのATHP安定同位体)および、200μLのギ酸および10mLの蒸留水を加え、OASIS MCX 500mg/6ml(Waters)へ負荷した。
5mLの1%ギ酸水で、カラムを洗浄後、5mLの2%アンモニア-メタノールで溶出し、溶出液を蒸留水で2倍希釈したのち、LC/MS/MSにて分析した。
LC/MS/MS(AB-SCIEX社製5500QTRAP)を使用し、カラムはACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm、2.1×100mm(waters)を用いて分離した。移動相条件はA液:10mM 炭酸水素アンモニウム、B液:アセトニトリルにて、(B%,t):(10%、1min)、(50%、6min)、ATHPのトラジションは126→84(コリジョンエナジー:23V)として分析した。定量は、標準品を添加して作成した検量線を使用して行った。
風味改善剤として2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンを準備した。この風味改善剤を市販品1に所定量添加し、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンの濃度を所定量に調整して、ビール様炭酸飲料を製造した。そして、製造したビール様アルコール飲料を4℃に調温した後、専門評価者によって、その風味の官能評価を行った。その際、風味改善剤を添加していない市販品1を対照として使用し、評価値は、3名の専門評価者の平均値を採用した。評価項目及び評価基準は次の通りである。官能評価の結果を表1に示す。
評価項目
Figure 2021027828
評価基準
Figure 2021027828
[表1]
Figure 2021027828
<比較例1>
風味改善剤として、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンの代わりに2−アセチル−1−ピロリンを使用すること以外は実施例1と同様にして、ビール様アルコール飲料を製造し、官能検査を行った。結果を表2に示す。
[表2]
Figure 2021027828
<実施例2>
風味を改善する対象として市販の発酵ビール様アルコール飲料である、新ジャンル発泡性リキュール(以下「市販品2」という。)を準備した。市販品2は糖質含有量が0.4〜0.9g/100ml、プリン体含有量が0〜0.66mg/100ml、カロリー量が26kcal/100mlである。市販品2の糖質含有量、プリン体含有量、カロリー量は通常のビール様飲料より低く、市販品2は低糖質低プリン体低カロリービール様アルコール飲料である。
市販品1の代わりに市販品2を使用すること以外は実施例1と同様にして、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンの風味改善機能を試験した。結果を表3に示す。
[表3]
Figure 2021027828
<比較例2>
風味改善剤として、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンの代わりに2−アセチル−1−ピロリンを使用すること以外は実施例2と同様にして、ビール様アルコール飲料を製造し、官能検査を行った。結果を表4に示す。
[表4]
Figure 2021027828
<実施例3>
風味を改善する対象として、市販の低糖質発泡酒(以下、「市販品3」という。)を準備した。市販品3の糖質含有量、カロリー量は通常のビール様飲料より低く、市販品3は低糖質低カロリービール様アルコール飲料である。
ノンアルコールビール1の代わりに市販品3を使用すること以外は実施例1と同様にして、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンの風味改善機能を試験した。結果を表5に示す。
[表5]
Figure 2021027828
<実施例4>
風味を改善する対象として麦芽使用比率50%以上の市販のビール(以下「市販品4」という。)を準備した。
市販品1の代わりに市販品4を使用すること以外は実施例1と同様にして、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンの風味改善機能を試験した。結果を表6に示す。
[表6]
Figure 2021027828
<実施例5>
風味を改善する対象として低糖質発泡酒(以下「製造品1」という。)を準備した。製造品1は、麦芽使用比率を25%未満に調製して、常法にしたがい製造した。
市販品1の代わりに製造品1を使用すること以外は実施例1と同様にして、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンの風味改善機能を試験した。結果を表7に示す。
[表7]
Figure 2021027828
<参考例>
風味を改善する対象として市販品1を準備した。風味改善剤として、WO2014/119065号に記載の2−アセチル−1−ピロリン、特開2016−86792号公報に記載の2−アセチル−2−チアゾリン、及び本発明で使用する2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンを準備した。
3種類の風味改善剤を市販品1の100mlに20ppbずつ添加して、3種類のビール様炭酸飲料を製造した。そして、製造したビール様炭酸飲料を4℃に調温した後、専門評価者が官能試験を行い、ビール様炭酸飲料の香調を比較した。官能試験は、3名の専門評価者が官能した香調を表現する形態にて行った。試験結果を表8に示す。
Figure 2021027828
2−アセチル−1−ピロリン、2−アセチル−2−チアゾリンを添加したビール様炭酸飲料は、トップ香が強く、戻り香が弱いのに対し、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンを添加したビール様炭酸飲料は、トップ香が弱く、戻り香が強いという香気の特徴が確認された。

Claims (13)

  1. 2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物を含むビール様飲料用風味改善剤。
  2. 風味を改善しようとするビール様飲料が、低カロリービール様アルコール飲料、低糖質ビール様アルコール飲料、糖質ゼロビール様アルコール飲料、低プリン体ビール様アルコール飲料、プリン体ゼロビール様アルコール飲料、又はビール様ノンアルコール飲料である、請求項1に記載のビール様飲料用風味改善剤。
  3. 風味を改善しようとするビール様飲料が、非発酵ビール様飲料である、請求項1に記載のビール様飲料用風味改善剤。
  4. 風味を改善しようとするビール様飲料に対して請求項1に記載のビール様飲料用風味改善剤を添加する工程を包含する、ビール様飲料の製造方法。
  5. 前記ビール様飲料用風味改善剤は、風味を改善しようとするビール様飲料に含まれる2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物の濃度が0.5〜200ppbになる量で添加される請求項4に記載のビール様飲料の製造方法。
  6. 風味を改善しようとするビール様飲料に対して請求項1に記載のビール様飲料用風味改善剤を添加する工程を包含する、ビール様飲料の戻り香を増強する方法。
  7. 2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物のビール様飲料用風味改善剤としての使用。
  8. 2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物を1.0〜200ppbの濃度で含むビール様飲料。
  9. 前記ビール様飲料が、非発酵ビール様ノンアルコール飲料又は発酵ビール様低アルコール飲料である、請求項8に記載のビール様飲料。
  10. 2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物を1.5〜200ppbの濃度で含み、麦芽を使用しないか、25%未満の麦芽使用比率を有するビール様飲料。
  11. 前記25%未満の麦芽使用比率を有するビール様飲料が、低糖質ビール様飲料又は低プリン体ビール様飲料である、請求項10に記載のビール様飲料。
  12. 2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジン及びその互変異性体である2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジンから成る群から選択される少なくとも一種の2−アセチルテトラヒドロピリジン化合物を5.0〜200ppbの濃度で含み、50%以上の麦芽使用比率を有するビール様飲料。
  13. 前記50%以上の麦芽使用比率を有するビール様飲料がビールである、請求項12に記載のビール様飲料。
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