以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず初めに、図1〜3および14を用いて、本実施形態に係る構成について説明する。次に、図4〜11を用いて本実施形態で用いられる各種データ(テーブル)について説明する。最後に、図12および13をベースに、他の図面も参照しながら、本実施形態の処理フローを説明する。
図1に、本実施形態のデマンド制御を行う為のシステム構成を示す。なお、オン明細書におけるデマンド制御とは、省電力のための制御の他、電気料金を削減するための制御を含む。
図1において、本実施形態における電力のデマンド制御(以下、デマンド制御)の対象である建物7には、温度センサ71、照度センサ72、湿度センサ73および人感センサ74の各種センサが設置されている。なお、図1では、各種センサ71〜74をそれぞれ1つしか図示していないが、建物を構成する各エリアにそれぞれ設置することが望ましい。
また、一般的に建物7に対する電力会社からの受電は受電電力量を計測する電力メータ1を介して行っている。デマンド制御処理装置2は、電力メータ1からの受電電力量と、スケジューラシステム6や各種センサ71〜74からのデータを参照しながら、設備コントローラ3に対し、各エリアの空調システム4と照明システム5を制御するための制御指令を出力するものである。
また、デマンド制御処理装置2は、スケジューラシステム6とインターネットなどのネットワークを介して接続されている。但し、デマンド制御処理装置2が、スケジューラシステム6の機能もしくはスケジューラシステム6が記憶しているスケジュールデータを保持してもよい。また、設備コントローラ3の機能も、デマンド制御処理装置2が保持してもよい。また、デマンド制御処理装置2と、後述する電力メータ1、各種センサ71〜74、設備コントローラ3は専用線で接続されることが望ましいが、他のインターネットなどでも構わない。
また、建物7には、設備コントローラ3や制御対象の空調システム4や照明システム5が設置されている。設備コントローラ3は、デマンド制御処理装置2からの制御指令を受けて各エリアの空調システム4と照明システム5の制御を実行する。なお、空調システム4や照明システム5も、図1では1つしか記載していないが、各種センサ71〜74のように各エリアに設置されることが望ましい。また、設備コントローラ3は、建物7に1つ設置してもよいし、複数の空調システム4や照明システム5毎ないし各エリアに設置してもよい。
なお、本実施形態は、他の電力利用のシステムに対する制御や電力以外のデマンド制御にも適用可能である。
図2に、デマンド制御処理装置2の機能構成を示す。デマンド制御処理装置2は、情報処理機能として、設備コントローラ3に対し各エリアの空調システム4と照明システム5を制御するための制御指令(制御信号)を出力する設備制御部21と、電力メータ1で計測した受電電力量を元にデマンド警報の発生を行うデマンド警報部22と、デマンド警報部22を有する。
また、デマンド制御処理装置2は、情報処理機能としてさらにエリア情報記憶部25とエリア対応機器記憶部26と環境ランク設定記憶部27とデマンド制御設定記憶部28と個人情報記憶部29を参照しエリアの制御優先順位を決定する解析処理部23も有する。さらに、電力メータ1と設備コントローラ3とスケジューラシステム6と各種センサ71〜74と、通信接続を可能にする通信I/F部24を有している。
なお、スケジューラシステム6や設備コントローラ3が、デマンド制御処理装置2内に保持される場合、これらとの情報の入出力を通信I/F部33以外の構成を用いてもよい。
また、各種エリアの属性を記憶するエリア情報記憶部25は、エリア優先度関係情報251(図5)を記憶する。エリア対応機器記憶部26は、各エリアと空調システム4と照明システム5を対応付けているエリア毎の対応設備情報261(図9)を記憶する。環境ランク設定記憶部27は、エリア毎の環境ランク適応設定情報271(図8)および各エリアの環境ランクとそのランクでの温度、湿度、照度の設定値示す環境ランク詳細設定情報272(図10)を記憶する。デマンド制御設定記憶部28は、デマンド制御における環境ランク適応パターンの設定情報281(図11)を記憶する。デマンド制御設定記憶部28はさらにデマンド制御が必要であること示す電力量の上限値を記憶する。個人情報記憶部29は、個人優先度関係情報291を記憶する。なお、本実施形態では、各情報を異なる記憶部に記憶しているが、1つの記憶部などに集約してもよい。
また、図14に、デマンド制御処理装置2のハードウエア構成を示す。図2に示すデマンド制御処理装置2における各機能は図14に示すハードウエア構成で実現される。
図14では、バス204を介して、通信装置201、主記憶装置202、補助記憶装置203、制御装置205であるCPU、アダプタ206が互いに接続されている。図2に示す設備制御部21、デマンド警報部22および解析処理部23は、主記憶装置202に展開されるそれぞれ設備制御プログラム221、デマンド警報プログラム222および解析処理プログラム223で実現される。つまり、これら各プログラムに従った処理をCPUで実行することで各装置の機能を実行する。なお、これら3つのプログラムは1つのプログラムとして実現してもよい。この場合、各装置は1つのプログラムに含まれるモジュールとして実現される。また、図13では、各プログラムを主記憶装置202に展開している状態を開示しているが、通常は補助記憶装置203に格納しておき、当該プログラムを実行する際に、主記憶装置202展開する。
また、図2に示すエリア情報記憶部25、エリア対応機器記憶部26、環境ランク設定記憶部27、デマンド制御設定記憶部28および個人情報記憶部29に記憶される各情報は、補助記憶装置203に格納される。また、これら情報はアダプタ206などを介して接続される外部記憶装置に格納してもよい。
さらに、通信装置201は、図2の通信I/F部24の機能を実行するものであり、ネットワークに接続される。
図3に、設備コントローラ3の機能構成を示す。
設備コントローラ3は、デマンド制御処理装置2からの制御指令を受けて各エリアの照明システム5に制御を実行する照明制御部31と、デマンド制御処理装置2からの制御指令を受けて各エリアの空調システム4に制御を実行する空調制御部32と、空調システム4と照明システム5との通信接続を可能にする通信I/F部33の機能を備えている。なお、設備コントローラ3の機能を、デマンド制御処理装置2が保持する場合、通信I/F部33の機能は、デマンド制御処理装置2の通信I/F24が実行する。
以上で、本実施形態に係る構成の説明を終わり、次に、本実施形態で用いられるデータ(テーブル)について説明する。
図4に、スケジューラシステム6内のエリアスケジュールデータ61を示す。
スケジューラシステム6は、従来のスケジューラシステムと同様なシステムであり、エリア名称と、使用時間帯と、使用目的とエリア属性のエリアスケジュールデータ61を保持する。図4の場合は、エリアaの属性は会議室であり9:00〜11:30と13:00〜15:00で使用予定であることが分かる。
なお、エリア名称は、エリアを識別する情報であればよい。また、エリア名称とエリア属性については、共通化してもよい。この場合、エリア名称を「第1会議室」などとし、その中に属性(会議室)を含めるようにする。
図5に、エリア属性毎のデマンド優先度の関係を示すエリア優先度関係情報251を記載する。エリア優先度関係情報251には、エリアの属性毎のエリアデマンド優先度が記録されている。
本実施形態では、エリア優先度関係情報251を用いて、エリアデマンド優先度が高い順のエリアから優先的にデマンド制御を実施する。
図5の場合のデマンド制御優先度は事務室>応接室>社長室となる。このため、個人デマンド優先度を含む他の条件が同じである場合、事務室エリアをこれらのエリアでは最優先にデマンド制御を行う。逆に社長室エリアは現状の制御を維持するようにし、これらのエリアではデマンド制御を最も後に行うことになる。
なお、エリア優先度関係情報251は、属性の代わりにエリアを特定するエリア名称のような識別情報を用いてもよい。つまり、エリア優先度関係情報251は、各エリアのエリアデマンド優先度を特定できる情報を有していればよい。
図6に、スケジューラシステム6内の個人スケジュールデータ62を示す。本実施形態の個人スケジュールデータ62として、建物7に勤務ないし顧客など建物7を利用する者、つまり、各エリアの使用者のスケジュールデータが用いられる。
スケジューラシステム6は、従来のスケジューラシステムと同様なシステムであり、名前、人の属性、スケジュール時間、滞在エリア、デフォルト滞在エリア(以下、デフォルトエリアと称する)の個人スケジュールデータ62を保持する。この個人スケジュールデータ62のうち、スケジュール時間や滞在エリアについては、各使用者やその秘書、または、会議主催者などにより、入力されるものとする。
図6の場合は、鈴木次郎の属性は従業員であり9:00〜10:30はエリアbで会議と13:00〜15:00は外出であることが分かる。言い換えると、滞在エリアがエリアbの場合、滞在時間が9:00〜10:30となる。また、滞在エリアが外出の場合、滞在時間が13:00〜17:00となる。
また、デフォルトエリアがエリアfである為、スケジュール設定されていない10:30〜13:00と15:00以降はエリアfにいると分かる。つまり、10:30〜13:00と15:00以降がデフォルトエリアへの滞在時間を示す。
ここで、個人スケジュールデータ62の他の態様として、デフォルトエリアへの滞在時間を、個人スケジュールデータに記録してもよい。さらに、使用者等が、滞在エリアとしてデフォルトエリアおよび滞在時間を入力した場合でも、個人スケジュールデータの滞在エリアとデフォルトエリアを比較することで、デフォルトエリアに滞在する予定かを判断できる。
なお、名前の代わりもしくはそれに追加して、従業員番号のような個人を識別する個人識別情報を用いてもよい。
本実施形態では、個人スケジュールデータ62に、デフォルトエリアを使用者個人と対応付けて記憶しているが、個人スケジュールデータ62に所属部署を追加し、所属部署とデフォルトエリアを対応付けて記憶した所属部署データテーブルを用意し、使用者がデフォルトエリアを登録していない場合は所属部署を用いて、所属部署に対応したデフォルトエリアを求め、求めたデフォルトエリアを使用者のデフォルトエリアとしても良い。
このようにしてデフォルトエリアを求めることにより、実際の使用者の位置情報をより正確に求めることが可能となり、使用者のスケジュール入力負荷を低減することも可能となる。
図7に、人の属性毎のデマンド優先度の関係を示す個人優先度関係情報291を記載する。個人優先度関係情報291は、個人の属性毎の個人デマンド優先度が記録されている。
本実施形態では、個人優先度関係情報291を用いて、エリアデマンド優先度など他の条件が同じである場合、個人デマンド優先度が高い順の人のいるエリアから優先的にデマンド制御を実施することになる。図7の場合の個人デマンド優先度は、従業員>役員>VIPとなる。このため、他の条件が同じであれば、従業員がいるエリアを最優先で制御することになる。
また、職位だけでなく健康上理由により配慮が必要な人等の属性を元に個人デマンド優先度の決定も可能である。このために、属性として健康配慮者を設け、個人デマンド優先度を適宜設定可能とする。
さらに、異なる属性の個人が複数滞在するエリアについては、個人デマンド優先度が最も低い属性を当該エリアの個人の属性とする。
図8に、エリア毎の環境ランク適応設定情報271を示す。この環境ランク適応設定情報271は、環境ランク設定記憶部27に記憶される。
この環境ランク適応設定情報271は、デフォルトで各エリアに適応する環境ランクを示している。環境ランクは、各種センサ71〜74で検知したデータを参照して設定された環境ランクに合致するように設備制御を行うために利用される。この設備制御を行うためには、図10の環境ランク詳細設定情報272も用いられる。なお、図8の場合は、エリアaには環境ランクはAを適応することになる。
図9に、エリア毎の対応設備情報261を示す。この対応設備情報261は、エリア対応機器記憶部26に記憶されている。この設備情報により、各エリアに紐づく空調システム4と照明システム5を特定することが可能になる。
図10に、環境ランク詳細設定情報272を示す。この環境ランク詳細設定情報272は、環境ランク設定記憶部27に記憶される。
図10に示す例の場合、環境ランクAは4月〜6月と10月〜11月は温度b℃、湿度bb%、照度bbblxになるよう制御し、7月〜9月は温度a℃、湿度aa%、照度aaalxになるよう制御することを意味する。この環境ランク詳細設定情報を用いることで、各種センサ71〜74で検知したデータを参照して制御することが可能になる。
図11に、デマンド制御における環境ランク適応パターンの設定情報281を示す。この設定情報281は、デマンド制御設定記憶部28に記憶される。
図11示す例の場合、警報無し(通常時)の時は、環境ランクAに設定されたエリアaはそのままランクAの制御を行う。警報が発生し、レベルが1だった場合のエリアaの環境ランクは環境ランクAではなく環境ランクBの制御を適用する。
以上で、本実施形態で用いられるデータ(テーブル)について説明を終わり、次に本実施形態の処理フローを説明する。
図12は、デマンド制御の手順を示すフローチャートの例である。本フローは、デマンド制御処理装置2の各構成で実行される。また、図13が、図12のフローチャートでの処理を適用した建物(平面図)の一例である。
まず、ステップS1において、デマンド警報部22は電力メータ1を監視し、電力量が所定の閾値に達したことを検知した場合、監視結果に応じたデマンド警報を発生する。監視結果に応じたデマンド警報とは、どの程度電力削減を行うべきかをレベルに分けている情報である。本実施形態では、より削減量を増えるにつれ、レベルが「警報なし」「警報Lv1」「警報Lv2」「警報Lv3」となる。このデマンド警報のレベルは、電力量が上限値からどの程度超えているか、もしくは直前の電力量の伸びにより定めるものとする。
なお、本実施形態では、閾値として、デマンド制御設定記憶部28に記憶されている上限値を用いる。但し、本閾値や上限値は、デマンド制御が必要であること示す値であればよい。また、デマンド警報部22は電力量の変化から記憶された上限値に達することを予測される場合に、警報を発生してもよい。
次に、ステップS2において、解析処理部23は、デマンド警報が発生した場合に警報レベルのチェックを行う。警報レベルのチェックとは、ステップS1で発生さえた警報のレベルを特定する。そして、特定された警報レベルに応じた環境パターンランクを、環境ランク適応パターンの設定情報281を用いて特定する。
次に、ステップS3において、解析処理部23はスケジューラシステム6に接続し、エリアスケジュールデータ61および個人スケジュールデータ62を取り込む。そして、解析処理部23は、ステップS3で取り込んだ情報を参照し、基準時間に人がいない不在エリアを特定する。図13の例では、エリアcが0人のため、本エリアを不在エリアとして特定する。
また、不在エリアの特定には、個人スケジュールデータ62のデフォルトエリアも用いる。図6に示す例では、エリアeは滞在エリアが記録されていない。しかし、山田一郎は13:00以前の滞在エリアが記録されていないため、これらの時間帯はデフォルトエリアに滞在していると判断する。鈴木次郎、田中三郎についても、同様にスケジュール時間が記録されていないスケジュール時間はデフォルトエリアに滞在すると判断する。
なお、基準時間とは、本ステップを実行する時間ないし不在エリアを特定するための基準となる時間である。また、基準時間には滞在を示す場合であっても、基準時間から予め定めた時間後(例:5分後)に予約があるエリアについては、滞在と判断する。
次に、ステップS4において、解析処理部23は、S3で特定された不在エリアに実際には使用者が滞在していないかを確認する。これは、スケジュールに未入力のまま会議を行ったり、予定以上に当該エリアに滞在していることに対する対策である。具体的には、解析処理部23は、ステップS3で特定された不在エリアの人感センサ74のデータを用いて滞在エリアかを判断し、滞在エリアと不在エリアを識別することになる。
この結果、滞在エリアでない(NO)の場合はS5に進み、在席エリアである(YES)の場合はS6に進む。なお、本ステップはスキップし、S3の結果をそのまま利用して、滞在エリアか不在エリアかを判断してもよい。
次に、S5において、設備制御部21は、解析処理部23からの不在エリアを特定する情報を受信する。そして、通信I/F部24を介して設備コントローラ3へ、不在エリアの設備をOFFにするための制御指令を出力する。この結果、設備コントローラ3は、不在エリアの空調システム4および照明システム5の電源をOFFにする。
また、ステップS6において、解析処理部23は、ステップS5の設備OFF制御の結果、電力の上限値を下回ったかを判断する。つまり、警報が復旧し、警報レベルが「警報なし」となったかを判断する。復旧した場合(YES)、ステップS15に進み、処理を終了する。復旧せず警報Lv1〜3のいずれかである場合(NO)、ステップS7に進む。
ステップS7において、解析処理部23は、ステップS4で識別された各不在エリアに対して、設備OFF制御を実行したかを確認する。設備OFF制御を行っていない不在エリアがあれば(NO)、ステップS4に戻り、処理を繰り返す。各不在エリアに設備OFF制御を行っていれば(YES)、ステップS8に進む。
なお、本実施形態では、不在エリアに設備OFF制御を行うごとに、ステップS6の警報復旧を確認しているが、各不在エリアに対する設備OFF制御をまとめて行ってから、ステップS6を判断してもよい。
次に、ステップS8において、設備制御部21は、解析処理部23から受付けた共用部を特定する情報に基づいて、共用部に対するデマンド制御を行う。このように、共用部に対するデマンド制御を優先的に実行する理由は、エリア優先度関係情報251の共有部のエリアデマンド優先度が1であることに基づく。図13の例では、解析処理部23は、エリアgを共用部として特定する。
そして、設備制御部21は、環境ランク適応設定情報271により、エリアgの環境ランクをDと特定する。特定されると、設備制御部21は、環境ランク詳細設定情報272の環境ランクDに対応し、該当する適用時期の温度、湿度、照度に合わせた制御指令を、通信I/F部24を介して設備コントローラ3に送信する。この制御指令は、温度センサ71、照度センサ72、湿度センサ73の検知データを用いて生成される。
なお、ステップS4においてエリアgが不在エリアとして特定されている場合は、既に設備OFF制御を実行されているため、エリアgを本ステップS8の対象外とする。
次に、設備制御部21は、ステップS9、S10において、ステップS6、7と同様の処理を行う。つまり、共用部へのデマンド制御により上限値を下回っているかの確認を繰り返し実行する。この結果、上限値を下回らない場合、ステップ11へ進む。
次に、ステップS11において、解析処理部23は、不在エリアと共用部を除いた各エリア以外のデマンド制御優先順位を決定する。
そのためにまず、解析処理部23は、不在エリアと共用部を除いた各エリアを特定する。これは、共用部を除く滞在エリアを特定することになる。
次に、特定された滞在エリアのデマンド制御の優先順位(以下、デマンド制御優先順位)を算出する。このために、ステップS3で取得したエリアスケジュールデータ61および個人スケジュールデータ62を用いて、特定された滞在エリアに滞在している使用者を特定する。この結果から、特定された滞在エリアの滞在人数を特定する。なお、この滞在している使用者の特定は、ステップS3と同じように、デフォルトエリアの情報も用いて実行される。
また、特定された使用者の属性を、個人スケジュールデータ62で特定する。そして、属性に対応する個人デマンド優先度を、個人優先度関係情報291を用いて特定する。なお、上述のとおり、滞在人数が複数の場合、その中で最も低い個人デマンド優先度を採用する。
さらに、エリア優先度関係情報251を用いて、特定された滞在エリアのエリアデマンド優先度を特定する。以上により、特定された滞在エリアの「滞在人数」「個人デマンド優先度」「エリアデマンド優先度」が特定されたことになる。
そして、解析処理部23は、デマンド制御の優先順位を、(1)「エリアデマンド優先度」、(2)「個人デマンド優先度」、(3)「滞在人数」の順で定める。この処理例を、図13を用いて説明する。
まず、(1)「エリアデマンド優先度」が最も高い(数値が小さい)エリアとして、属性が事務室を示す「エリアe」および「エリアf」が抽出される。なお、エリア優先度関係情報251では、共有部のエリアデマンド優先度が1であり、事務室の2より数値が小さい。しかし、ステップS8で共用部として、デマンド制御が済んでいるため、事務室の2が最も高いと判断される。
なお、「エリアc」は、ステップS3〜S5で不在エリアとして、設備OFF制御済のため対象から外れる。図13では、デマンド制御優先順位を1と記載しておく。また、エリアgもステップS8で共用部として、デマンド制御が済んでいるため、対象から外れている。図13ではデマンド制御優先順位を2と記載しておく。(1)の結果、抽出されたエリアが複数あるため、次の処理に進む。
次に、各エリアに滞在する(2)「個人デマンド優先度」が最も高い(数値が小さい)エリアとして、属性が従業員である「エリアe」および「エリアf」がそのまま残る形になる。ここでも抽出されたエリアが複数あるため、次の処理に進む。
最後に、(3)各エリアの「滞在人数」を用いて、デマンド制御優先順位を算出する。つまり、「エリアe」の滞在人数が10人であり、「エリアf」の滞在人数が15人である。このため、より人数が少ない「エリアe」のデマンド制御優先順位を3とする(不在エリアと共有部以外では最上位)。また、「エリアf」のデマンド制御優先順位が4となる。
次に、まだデマンド制御優先順位が算出されていない「エリアa」「エリアb」「エリアd」についての算出を行う。これらは先にデマンド制御優先順位が4まで決まっているので、5以降の数値が付与される。
これらの中で、(1)「エリアデマンド優先度」が最も高い「エリアa」「エリアb」を抽出する。
次に、(2)「個人デマンド優先度」を用いて、「エリアa」を抽出する。つまり、「エリアa」の滞在使用者は従業員のみのため、個人デマンド優先度は1と特定される。このため、VIPが滞在し個人デマンド優先度が3である「エリアb」よりもデマンド制御優先順位を高く設定する。つまり、「エリアa」のデマンド制御優先順位を5とし、「エリアb」は6とする。
そして、最後に残った「エリアd」のデマンド制御優先順位を7とする。なお、「エリアd」は(1)「エリアデマンド優先度」が最も低い(数値が大きい)エリアであり、社長室が1つしかないため、上述した処理に先立って、デマンド制御優先順位を最下位の7としてもよい。
なお、ここでは(1)「エリアデマンド優先度」、(2)「個人デマンド優先度」、(3)「滞在人数」の3つのパラメータを用いたが、すべてを用いず、これらのうち、少なくとも1つを用いてもよい。また、その判断順序を変えて、デマンド制御優先順位を決定してもよい。
また、デマンド制御優先順位の決定は、以下のとおり行ってもよい。「滞在人数」×「個人デマンド優先度」×「エリアデマンド優先度」を計算し、数値の少ないものデマンド制御優先順位を高くする(デマンド制御を優先的に行う)。もしくはこれら「滞在人数」「個人デマンド優先度」「エリアデマンド優先度」それぞれに、設定した係数をかけ計算してもよいし、これらの和を用いてもよい。この計算は、「滞在人数」「個人デマンド優先度」「エリアデマンド優先度」が示す数値に応じたデマンド制御優先順位を算出できればよい。また、これらのパラメータのうち、少なくとも1つを用いて算出してもよい。
次に、ステップS12において、設備制御部21は、デマンド制御優先順位に従って、任意の数のエリアについての制御指令を出力する。
このために、まずステップS11で決定されたデマンド制御優先順位が3〜7の4エリアから上位の2エリアを特定する。つまり、デマンド制御優先順位が3の「エリアe」と同じく4の「エリアf」を特定する。
次に、環境ランク適応設定情報271を用いて、「エリアe」と「エリアf」の環境ランクを特定する。そして、特定された環境ランクに対応する環境ランク詳細設定情報272の設定情報を特定し、これに即した制御指令を生成し、通信I/F部24を介して設備コントローラ3に制御指令を出力する。この結果、設備コントローラ3は制御指令に応じて空調システム4や照明システム5をデマンド制御することになる。
次に、解析処理部23では、ステップS6やS9と同様にして、警報が復旧したかを判断する。復旧しない場合(NO)はステップS14に進み、復旧した場合(YES)はステップS15に進む。
次に、ステップS14において、設備制御部21は、次にデマンド制御優先順位が高い任意数のエリアについての制御指令を出力する。
このためにまず、ステップS12で特定され、デマンド制御が実行されたエリアの次にデマンド制御優先順位が高い任意数のエリアを特定する。この例では、デマンド制御優先順位が5、6である「エリアa」と「エリアb」を特定する。
そして、特定された各エリアに対して、ステップS12と同様に、環境ランクに対応する設定情報を特定し、これに即した制御指令を生成し、通信I/F部24を介して設備コントローラ3に制御指令を出力する。この結果、設備コントローラ3は制御指令に応じて空調システム4や照明システム5をデマンド制御することになる。次に、ステップS13に戻り、同様の処理を繰り返す。なお、ステップS12およびS13の任意の数とは適宜設定可能であり、ステップS12とS13で異なる数でも構わない。
この結果、警報が復旧した場合、ステップS15において、設備制御部21は通常時の制御に復旧させる。この通常時の制御への復旧は、デマンド制御が実行されているエリアのうち、デマンド制御優先順位が低い順に行われる。そして、通常時の制御を行っても上限値を超えない場合、次にデマンド制御優先順位が低いエリアを通常時の制御に復旧させていく。また、あるエリアを通常時の制御に復旧させた場合、上限値を超える場合、デマンド制御優先順位がそれ以上高いエリアのデマンド制御は維持する。
なお、これらの通常時の制御に復旧させるエリアは1エリアずつでもよいし、複数としてもよい。
また、通常時の制御への復旧とは、環境ランク適用パターンの設定情報281の警報レベルが、「警報無し(通常時)」と同様の制御を行うための制御指令を用いることになる。
ここで、本実施形態では、ステップS11で各エリアのデマンド制御優先順位を決定してから、ステップS12を実行している。しかし、ステップS11でデマンド制御優先順位が未確定のエリアがあっても、上位のデマンド制御優先順位が決まっていればステップS12に進んでもよい。
またさらに、ステップS12で任意数のエリアに対する制御指令を出力している。しかし、各エリアに対する制御指令を生成しデマンド制御を行い、上限値を下回った(警報が復旧)場合に、デマンド制御優先順位を低い順に、通常時の制御への復旧を行ってもよい。
以上、本実施形態によれば、人感センサなどの機器のみに頼ることなく、スケジューラを用いてより正確にエリアへの滞在を確認できる。このため、人とエリア(建物)に状態に即したデマンド制御が可能になる。