JP2021027386A - 誘電体アンテナ - Google Patents

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JP2021027386A JP2019141103A JP2019141103A JP2021027386A JP 2021027386 A JP2021027386 A JP 2021027386A JP 2019141103 A JP2019141103 A JP 2019141103A JP 2019141103 A JP2019141103 A JP 2019141103A JP 2021027386 A JP2021027386 A JP 2021027386A
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智和 園嵜
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洋 赤井
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Fuminori Satoji
文規 里路
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Takuji Harano
拓治 原野
和彦 中作
Kazuhiko Nakasaku
和彦 中作
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Abstract

【課題】高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有しながら、形状の自由度や生産性に優れる誘電体基板を備えた誘電体アンテナを提供する。【解決手段】誘電体アンテナ1は、誘電体基板2と、誘電体基板2に装着されるアンテナ部材3とを備えてなり、誘電体基板2は、熱可塑性エラストマーに誘電性セラミックス粉末が配合された誘電性エラストマー組成物の射出成形体であり、周波数1GHzおよび温度20℃において、比誘電率が5以上、誘電正接が0.01以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば誘電性エラストマー組成物からなる誘電体基板を備えた誘電体アンテナに関する。
近年、携帯電話、コードレスフォン、RFID等に用いるパッチアンテナ、電波望遠鏡やミリ波レーダ等のレンズアンテナ等の目覚しい普及、衛星通信機器の著しい発達に伴い、通信信号の周波数の高周波化および通信機器の一層の小型化が望まれている。
通信機器は、通信機器内部に組み込まれたアンテナ材料の比誘電率が高くなると、より一層の小型化が図れる。比誘電率は、誘電体内部の分極の程度を示すパラメータである。また、アンテナ材料の誘電正接が小さくなると、低損失になり、高周波化に有利となる。従って、比誘電率が高く、誘電正接が小さいアンテナ材料を使用できれば、高周波化ひいては回路の短縮化および通信機器の小型化が図れる。また、通信機器の使用態様が多様化するにつれて、アンテナ材料には、低温から高温まで電気的特性の変化が少ないことや、形状の自由度に優れること等も求められる。
従来の誘電体アンテナとして、例えば、UHF帯の電波を送受信するための平面アンテナが挙げられる(特許文献1)。特許文献1に示される平面アンテナは、UHF帯の電波を送受信するための平面アンテナであって、導体によって構成されるグランド板と、誘電体によって構成される誘電体層と、導体によって構成されるパッチ素子とを備え、誘電体層が、ポリオレフィン樹脂とグラスファイバー樹脂とを積層し、熱融着することによって形成された積層体として構成されている。
特開2013−89995号公報
上記特許文献1記載の平面アンテナは、高い比誘電率を示し、低誘電正接を有する誘電体アンテナとして形成させることも可能とされているが、特許文献1に示される平面アンテナは、必ずしも形状の自由度に優れたものではなく、また、生産性に優れたものとも言い難い。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有しながら、形状の自由度や生産性に優れる誘電体基板を備えた誘電体アンテナを提供することを目的とする。
本発明の誘電体アンテナは、誘電体基板と、該誘電体基板に装着されるアンテナ部材とを備えてなる誘電体アンテナであって、上記誘電体基板は、熱可塑性エラストマーに誘電性セラミックス粉末が配合された誘電性エラストマー組成物の射出成形体であり、周波数1GHzおよび温度20℃において、比誘電率が5以上、誘電正接が0.01以下であることを特徴とする。
上記誘電体基板の平面視略中央に装着部が設けられ、上記装着部に上記アンテナ部材が装着されていることを特徴とする。
上記誘電体アンテナは、上記誘電体基板および上記アンテナ部材を覆うフィルムを有し、上記フィルムによって、上記誘電体基板と上記アンテナ部材とが一体化されていることを特徴とする。また、上記フィルムが、上記誘電体基板および上記アンテナ部材の少なくとも一方に対して、接着または熱溶着されていることを特徴とする。
上記誘電体基板は、該誘電体基板と上記アンテナ部材を固定する熱かしめ部を有し、上記熱かしめ部によって、上記誘電体基板と上記アンテナ部材とが一体化されていることを特徴とする。
上記熱かしめ部は、上記誘電体基板に装着された上記アンテナ部材の周縁の少なくとも一部を覆うように折り曲げられていることを特徴とする。
上記アンテナ部材に貫通孔が形成され、上記誘導体基板に上記貫通孔に挿通されるボス部が形成されており、上記熱かしめ部は、上記貫通孔に挿通された上記ボス部の先端に形成されることを特徴とする。
上記誘電体基板は複数の誘電体基板から構成され、上記誘電体アンテナは、上記複数の誘電体基板の間に上記アンテナ部材が挟まれて、一体化されていることを特徴とする。
上記誘電体アンテナは、上記誘電体基板同士の熱溶着により一体化されていることを特徴とする。
上記誘電体アンテナは、上記誘電体基板と上記アンテナ部材とを固定させる止め具により一体化されていることを特徴とする。
本発明の誘電体アンテナは、誘電体基板と、該誘電体基板に装着されるアンテナ部材とを備えてなり、誘電体基板は、熱可塑性エラストマーに誘電性セラミックス粉末が配合された誘電性エラストマー組成物の射出成形体であり、周波数1GHzおよび温度20℃において、比誘電率が5以上、誘電正接が0.01以下であるので、高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有しながら、形状の自由度や生産性にも優れた誘電体アンテナとなる。
誘電体基板の平面視略中央に装着部が設けられ、その装着部にアンテナ部材が装着されているので、アンテナとしてのバランスが良くなり、高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有する誘電体アンテナが構成される。
誘電体アンテナは、フィルムによって、誘電体基板とアンテナ部材とが一体化されているので、形状の自由度が向上する。また、そのフィルムが、誘電体基板およびアンテナ部材の少なくとも一方に対して、接着または熱溶着されているので、誘電体基板とアンテナ部材の一体化を強固にできる。
誘電体基板は、該誘電体基板とアンテナ部材を固定する熱かしめ部を有し、熱かしめ部によって、誘電体基板とアンテナ部材とが一体化されているので、他の部材を必要とすることなく、誘電体基板とアンテナ部材を一体化でき、形状の自由度がより向上する。
熱かしめ部は、誘電体基板に装着されたアンテナ部材の周縁の少なくとも一部を覆うように折り曲げられているので、誘電体基板とアンテナ部材を安定して固定できる。
アンテナ部材に貫通孔が形成され、誘導体基板に貫通孔に挿通されるボス部が形成されており、熱かしめ部は、貫通孔に挿通されたボス部の先端に形成されるので、ボス部による位置決めを容易としつつ、誘電体基板とアンテナ部材を安定して固定できる。
誘電体基板は複数の誘電体基板から構成され、誘電体アンテナは、複数の誘電体基板の間にアンテナ部材が挟まれて、一体化されているので、より高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有する誘電体アンテナが構成される。
誘電体アンテナは、誘電体基板同士の熱溶着により、または、誘電体基板とアンテナ部材とを固定させる止め具により、一体化されているので、より高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有しながら、形状の自由度にも優れる。
本発明に係る誘電体アンテナの第1実施形態を示す斜視図である。 本発明に係る誘電体アンテナの第2実施形態を示す平面図などである。 本発明に係る誘電体アンテナの第3実施形態を示す斜視図などである。 本発明に係る誘電体アンテナの第4実施形態を示す断面図などである。 本発明に係る誘電体アンテナの第5実施形態を示す断面図などである。 本発明に係る誘電体アンテナの第6実施形態を示す断面図である。 本発明に係る誘電体アンテナの第7実施形態を示す断面図などである。 本発明に係る誘電体アンテナの第8実施形態を示す拡大断面図などである。
本発明に係る誘電体アンテナ(パッチアンテナ)の第1実施形態を図1に基づき説明する。図1は、誘電体基板と、該誘電体基板に装着されるアンテナ部材とを備える誘電体アンテナの斜視図である。図1に示すように、誘電体アンテナ1は、誘電性エラストマー組成物からなる誘電体基板2の上表面中央部に、アンテナとして機能するアンテナ部材3(以下、電極とも言う)が形成されており、アンテナ部材3の所定箇所に通電部材接続部5が設けられている。アンテナ部材3の形成方法として、例えば、金属めっき処理、金属箔の接着などが挙げられる。なお、誘電体基板2の下表面には接地導体4が接合されていてもよい。通電部材接続部5は、増幅回路や発信回路等(図示省略)と電気的に接続されており、通電部材接続部5を介してアンテナ部材3に高周波信号が給電される。なお、通電部材接続部5を設けることなく、アンテナ部材3から延設された給電ライン等を利用する構造も採用できる。
本発明に係る誘電体アンテナは100MHz以上の高周波帯で使用でき、具体的には、500MHz以上や1GHz以上の高周波帯でも使用できる。
図1の誘電体アンテナ1は、誘電体基板2に装着されるアンテナ部材3と、熱可塑性エラストマーに誘電性セラミックス粉末が配合された誘電性エラストマー組成物の射出成形体であり、周波数1GHzおよび温度20℃において、比誘電率が5以上、誘電正接が0.01以下である誘電体基板2とを備える。このように誘電体アンテナ1を構成することで、高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有しながら、形状の自由度や生産性にも優れた誘電体アンテナ1となる。
図1において、略矩形板状の誘電体基板2の平面視略中央に略矩形凹状の装着部2aが設けられ、装着部2aに略矩形板状のアンテナ部材3が装着されている。このように誘電体アンテナ1が構成されることで、アンテナとしてのバランスが良くなり、高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有する誘電体アンテナ1が構成される。図1の構成において、誘電体基板2とアンテナ材料3との一体化は、例えば、エポキシ樹脂系の接着用フィルムを間に介在させて行う。
以下には、誘電体基板2の詳細について説明する。本発明に用いる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系(略称TPS/SBC)、オレフィン系(TPO)、アルケン系、塩化ビニル系(TPVC)、ウレタン系(TPU)、エステル系(略称TPEEまたはTPC)、アミド系(TPAE)、フッ素系などを用いることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スチレン系熱可塑性エラストマーとは、ハードセグメントであるポリスチレンブロックを端部に持ち、ソフトセグメントがポリスチレンブロックに挟まれた分子構造を有するブロック共重合体である。ソフトセグメントの違いによって、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体などが知られている。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、単純にゴム粒子を樹脂中に分散させたブレンド型、反応時にハードセグメントとソフトセグメントとを段階的に重合させたインプラント型、混合機でオレフィン樹脂と未加硫ゴムと加硫剤とを同時に反応させながら高温混練した動的架橋型などを用いることができる。これらの中でも、動的架橋型は、ゴム粒子を細かく分散させて高いゴム弾性を実現できるため好ましい。
動的架橋型TPO(TPV)は、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂といったオレフィン樹脂チップを、エチレンプロピレンゴム(EPDM)やニトリルゴムチップと混合し、さらに硫黄やパーオキサイドといった架橋剤とともに押出し混練機で混練反応させたものである。これらの中でも、耐熱耐久性に優れることからPP樹脂とEPDMとを含むオレフィン系熱可塑性エラストマーがより好ましい。動的架橋型TPO(TPV)としては、例えば、ミラストマー(三井化学株式会社製)、サーリンク(東洋紡社製)、エクセリンク(JSR株式会社製)などの市販品を用いることができる。
ウレタン系熱可塑性エラストマーは、ジイソシアネートと短鎖ジオールからなるハードセグメントと、ジイソシアネートと短鎖ジオールからなるソフトセグメントとのブロック共重合体である。市販品として、例えば、エラストラン(BASFジャパン社製)などを用いることができる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとして芳香族ポリエステル、ソフトセグメントとして脂肪族ポリエーテルまたは脂肪族ポリエステルからなるエステル−エーテル型またはエステル−エステル型のマルチブロック共重合体である。市販品として、例えば、ペルプレン(東洋紡社製)、ハイトレル(東レ・デュポン社製)、プリマロイ(三菱化学社製)などを用いることができる。
アミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてポリアミド、ソフトセグメントとしてポリエーテルまたはポリエステルからなるブロック共重合体である。また、フッ素系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてフッ素樹脂、ソフトセグメントとしてフッ素ゴムからなるブロック共重合体である。市販品として、例えば、ダイエル(ダイキン工業社製)などを用いることができる。
上記の熱可塑性エラストマーの中でも、ゴム弾性、低誘電正接、低比重、電気絶縁性、耐寒性に優れることから、オレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーにオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる場合、アンテナ部材(銅材)との接触による樹脂劣化対策(銅害対策)として、誘電性エラストマー組成物に重金属不活性化剤を添加することが好ましい。重金属不活性化剤の添加量は、例えば、誘電性エラストマー組成物全体に対して0.1〜1.0質量%である。重金属不活性化剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ CDA−1、CDA−6、CDA−10(ADEKA社製)などを用いることができる。
本発明に用いる熱可塑性エラストマーの硬度は、デュロメータA硬度(JIS K 6253)が15度〜80度であることが好ましい。この範囲内のものを用いることで、誘電体基板に適度な柔軟性を持たせることができ、丸めたり折り曲げたりすることが可能となる。より好ましくは、デュロメータA硬度が15度〜75度であり、さらに好ましくは、デュロメータA硬度が15度〜70度である。また、本発明に用いる熱可塑性エラストマーは、比重が1.00g/cm以下であることが好ましく、0.95g/cm以下であることがより好ましい。これにより、アンテナ部品などの軽量化が図れる。
本発明に用いる誘電性セラミックス粉末は、チタン酸金属塩で、Sm、Nd、La等の希土類を少なくとも1種類以上と、Ba、Sr、Ca、Mg、Co、Pd、Zn、Be、Bi等から選ばれた1種または2種以上の金属元素を配合したセラミックス粉末が好ましい。Sm、Nd、La等の希土類は、比誘電率の温度変化を小さくする温度特性の改善に寄与し、Ba、Sr等の金属元素は誘電率を高め、誘電正接を小さくするなど、誘電特性の向上に寄与するので好ましい。より好適な誘電性セラミックス粉末としては、Ti−Ba−Sm−La−Bi系のチタン酸バリウム・サマリウム・ランタン系セラミックス粉末である。
誘電性セラミックス粉末の平均粒子径は0.01μm〜100μm程度が好ましい。平均粒子径が0.01μmより小さい場合、粉末の取り扱いが困難であり好ましくない。100μmより大きい場合、成形体内での誘電特性のばらつきを引き起こすおそれがあるので好ましくない。より好ましい範囲は、0.1μm〜20μm程度である。
また、高周波域に使用される誘電体アンテナ等の電子部品材料は高誘電率かつ低誘電正接が求められており、本発明に用いる誘電体基板は、周波数1GHzおよび温度20℃において、比誘電率が5以上、誘電正接が0.01以下である。誘電体基板の比誘電率が5よりも小さいと、電子部品材料内を伝播する波長の短縮効果が少ないため、製品の小型化ができないおそれがある。また、誘電正接が0.01よりも大きいと、高周波領域で使用される場合、電子部品材料内の損失が大きくなるおそれがある。誘電体基板は、好ましくは比誘電率が6以上、誘電正接が0.005未満であり、より好ましくは、比誘電率が6以上、誘電正接が0.003以下である。なお、比誘電率の上限は特に限定されないが、例えば10以下である。
誘電性セラミックス粉末の配合割合は、射出成形可能であり、誘電体基板の比誘電率を5以上、誘電正接を0.01以下に維持できる量であればよい。誘電性エラストマー組成物の比誘電率の温度係数αを−1500×10−6<α<−300×10−6の範囲にできることが好ましい。さらに、誘電性エラストマー組成物の比誘電率の温度係数αを−1500×10−6<α<−650×10−6の範囲にできることがより好ましく、−1000×10−6<α<−650×10−6の範囲にできることがさらに好ましい。具体的には、誘電性セラミックス粉末は、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、100重量部〜500重量部配合される。誘電性セラミックス粉末が、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、100重量部未満であると、誘電性セラミックス粉末の種類によっては比誘電率が5未満となることが懸念される。また、誘電性セラミックス粉末が、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、500重量部を超えると、誘電性エラストマー組成物を用いて誘電体基板を形成する際に射出成形が困難となるおそれがある。配合量としてより好ましくは、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、誘電性セラミックス粉末が200重量部〜400重量部配合される。この範囲とすることで、誘電体基板に柔軟性を付与できるとともに、比誘電率をより向上させることができる。配合量としてさらに好ましくは、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、誘電性セラミックス粉末が200重量部〜300重量部配合される。
本発明に用いる誘電性エラストマー組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で(1)エラストマーとセラミックス粉末の界面の親和性や接合性を向上させ、機械的強度を改良するために、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコニアアルミネート系カップリング剤等のカップリング剤を、(2)電極形成性を改良するために、タルク、ピロリン酸カルシウム等の微粒子性充填剤を、(3)熱安定性を一層改善するために酸化防止剤を、(4)耐光性を改良するために紫外線吸収剤等の光安定剤を、(5)難燃性を一層改善するためにハロゲン系、リン系、無機水酸化物系もしくは膨張化黒鉛等の難燃助剤を、(6)耐衝撃性を改良するために耐衝撃性付与剤を、(7)着色するために染料、顔料などの着色剤を、(8)物性を調整するために可塑剤、硫黄やパーオキサイド等の架橋剤を、(9)加硫を進めるための加硫促進剤をそれぞれ配合することができる。
また、本発明に用いる誘電性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内でガラスファイバー、チタン酸カリウムウィスカ等のチタン酸アルカリ金属繊維、酸化チタン繊維、ホウ酸マグネシウムウィスカやホウ酸アルミニウムウィスカ等のホウ酸金属塩系繊維、ケイ酸亜鉛ウィスカやケイ酸マグネシウムウィスカ等のケイ酸金属系繊維、カーボンファイバ、アルミナ繊維、アラミド繊維等の各種有機または無機の充填剤を併用できる。
本発明に用いる誘電体基板は、例えば自動車に搭載される各種アンテナの誘電体基板として用いられる。自動車のアンテナは多様な形状のものがあり、その誘電体基板には良好な柔軟性が求められる。本発明に用いる誘電体基板の硬度は、デュロメータA硬度(JIS K 6253)が50度以上80度未満であることが好ましい。この範囲内のものを用いることで、誘電体基板に良好な柔軟性を持たせることができ、丸めたり折り曲げたりすることが可能となる。より好ましくは、デュロメータA硬度が60度以上80度未満であり、さらに好ましくは、デュロメータA硬度が60度以上70度以下である。
以上を考慮して、誘電体基板の特に好ましい形態は、誘電体アンテナに使用され、熱可塑性エラストマーに誘電性セラミックス粉末が配合された誘電性エラストマー組成物からなる誘電体基板であって、上記熱可塑性エラストマーが、オレフィン系熱可塑性エラストマーであり、ポリプロピレン樹脂とEPDMとを含み、上記誘電性エラストマー組成物において、上記誘電性セラミックス粉末が、上記熱可塑性エラストマー100質量部に対して、200〜400質量部配合され、上記誘電性エラストマー組成物は、−30℃〜85℃の温度範囲において、20℃を基準とする該誘電性エラストマー組成物の比誘電率の温度係数α(単位:1/℃)が−1500×10−6より大きく、かつ、−300×10−6未満であり、上記誘電体基板は、上記誘電性エラストマー組成物の射出成形体であり、周波数1GHzおよび温度20℃において、比誘電率が5以上、誘電正接が0.003以下であり、デュロメータA硬度が50度以上80度未満である。
誘電体基板は一般的な熱可塑性樹脂用の射出成形機を用い、射出成形によって成形される。上記誘電性エラストマー組成物を構成する各材料を、必要に応じて、ヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダーなどにて混合した後、二軸混練押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレットを得ることができる。なお、充填材の投入は、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用してもよい。この成形用ペレットを用いて射出成形により誘電体基板を成形する。
本発明において、上述の誘電性エラストマー組成物を用いることで、加硫工程や後加工を省略することができ、低コストで、従来の誘電性エラストマー組成物(熱硬化性エラストマー組成物)と同等の機能を提供することができる。また、射出成形が可能となり、複雑な形状にも対応でき、形状自由度が向上できる。また、熱硬化性エラストマー組成物に起因するゴム臭のような不快な臭いを軽減できる。
以下には、アンテナ部材3(電極)について説明する。誘電体基板2の表面に設けられる電極は、銅箔であることが好ましく、より好ましくはめっき処理を施した銅箔である。銅箔としては、35μm程度の厚さの電解銅箔を用いるのが好ましい。銅箔の上に処理するめっき材料は、アンテナとして機能する導電性を保持できれば特に限定されないが、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などがある。その中で、耐酸化性、導電性などに優れることから、Ni、Agが好ましい。コスト的に有利で工業的に利用しやすいことからNiが特に好ましい。めっきの厚みは、0.1μm〜5μmが好ましく、さらに好ましくは0.5μm〜3μmである。めっき厚が0.1μm未満では、耐酸化性の向上が少なく、めっき厚が5μmより大きいと、めっき厚が不均一になるおそれがある。
めっき処理は、無電解めっき法、電気めっき法、またはこれらの併用がある。特に、無電解めっき法が簡便であり、めっき層の厚さを均一に形成しやすいので好ましい。無電解めっき法は、次亜燐酸塩などの還元浴に硫酸ニッケル、醋化剤、安定剤、pH緩衝剤、外観調整剤、分散助剤などを分散させて得られるめっき液を約80℃以上に加熱して、このめっき液に金属板を浸漬することにより、めっき層を形成する方法である。なお、無電解めっきは、金属板のめっき形成部分を脱脂、酸洗いした後にめっき処理する。
次に、本発明に係る誘電体アンテナの第2実施形態を図2に基づき説明する。図2(a)は、その誘電体アンテナの平面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図であり、図2(c)は、斜視図である。なお、各部材の構成について、上記第1実施形態と同様のものについてはその詳細な説明を省略する。
図2に示すように、誘電体アンテナ11は、誘電体基板12と、アンテナ部材13と、フィルム14とを有している。図2において、略矩形板状の誘電体基板12の平面視略中央に略矩形凹状の装着部12aが設けられ、その装着部12aに略矩形板状のアンテナ部材13が内装されて装着されている。フィルム14は、誘導体アンテナ11の一端面側に設けられ、誘電体基板12、および装着部12aに装着されたアンテナ部材13の表面を覆っている。フィルム14によって誘電体基板12とアンテナ部材13とが分離されることなく一体化されている。フィルム14で一体化することで、誘電体アンテナ11はより曲がり易くなり、形状の自由度が向上する。また、アンテナ部材13は誘電体基板12とフィルム14間に内包されるため、形状を変化させた際にアンテナ部材13が分離することを好適に防げる。
フィルム14の材料としては、例えば、ポリオレフィン系のエラストマーフィルムなどが挙げられる。誘導体アンテナ11全体としての柔軟性を損ないにくく、誘電体基板12およびアンテナ部材13との接着が良好な材料が好ましい。例えば、誘電体基板12およびアンテナ部材13(の保護層)の少なくともいずれか一方の材料と同種の材料が好ましい。また、フィルム14の厚さは、例えば、200μm以下である。また、アンテナ部材13の厚さは、例えば、12μm〜50μmである。図2に示す例では、フィルム14の厚さは、アンテナ部材13の厚さよりも小さくなっている。なお、誘電体基板12の厚さは、例えば、1mm〜3mmである。フィルム14は、誘電体基板12およびアンテナ部材13の少なくとも一方に対して、接着または熱溶着されている。
ここで、アンテナ部材13には誘電体基板12と線膨張係数が異なる材料が採用される場合があり、フィルム14の材料は誘電体基板12と同種材料を使用しやすい。誘電体基板12とフィルム14との材料を同種のエラストマーとし、これらを熱溶着することで溶着箇所の線膨張係数が同等となり、熱溶着後の剥がれなどを防止できる。このような点に加えて、作業性にも優れることから、フィルム14は、誘電体基板12に対してのみ、熱溶着されている構成とすることが好ましい。
アンテナ部材13は、例えば、銅箔、ポリイミド樹脂製などの保護層内に銅箔、エッチング部が装備されたフレキシブルプリントサーキット(FPC;Flexible Printed Circuits)などのプリント基板(PCB;Printed Circuit Board)、絶縁被覆層内に銅箔、通電部材などが装備されたフレキシブルフラットケーブル(FFC;Flexible Flat Cable)として形成される。
次に、本発明に係る誘電体アンテナの第3実施形態を図3に基づき説明する。図3(a)は、その誘電体アンテナの製造過程を示す断面図であり、図3(b)は、製造後の誘電体アンテナの斜視図である。なお、各部材の構成について、上記第1実施形態と同様のものについてはその詳細な説明を省略する。
図3に示すように、誘電体アンテナ21は、誘電体基板として複数の略矩形板状の誘電体基板22、22を有し、複数の誘電体基板22、22の平面視略中央の装着部22a、22a間に、略矩形板状のアンテナ部材23を挟み込んだ構造となっている。2つの誘電体基板22、22の装着部22a、22a間にアンテナ部材23を挟んだ状態で(図3(a)上段)、誘電体基板22、22同士に圧力をかけつつ、各誘電体基板22、22の周縁部同士を熱溶着させることにより、2つの誘電体基板22、22とアンテナ部材23とが分離されることなく一体化される。
具体的には、各誘電体基板22、22の周縁部が、アンテナ部材23に対して熱かしめされることにより、その周縁部が熱かしめ部22bとなる。熱かしめ部22bによって、誘電体基板22、22とアンテナ部材23は固定される。図3の形態のように、熱かしめ部22bによってアンテナ材料23を挟んで一体化することで、誘電体アンテナ21は、より曲がり易くなり、形状の自由度が向上する。また、アンテナ部材23は誘電体基板22、22間に内包されるため、形状を変化させた際にアンテナ部材23が分離することを好適に防げる。
誘電体基板22、22の厚さは、例えば、1mm〜3mmであり、アンテナ部材の厚さは、例えば、12μm〜50μmである。なお、誘電体基板22、22の各厚さは互いに同じでも、異なっていてもよい。例えば、一方の誘電体基板が内側となるように丸めて使用する場合には、一方の(内側となる)誘電体基板の厚さを小さくすることで、アンテナ部材23の分離を防ぎつつ、加工性を向上できる。
次に、本発明に係る誘電体アンテナの第4実施形態を図4に基づき説明する。図4(a)は、その誘電体アンテナの断面図であり、図4(b)は、斜視図である。なお、各部材の構成について、上記第1実施形態と同様のものについてはその詳細な説明を省略する。
図4に示すように、誘電体アンテナ31は、略矩形板状の誘電体基板32の平面視略中央に略矩形凹状の装着部32aが設けられ、装着部32aに略矩形板状のアンテナ部材33が内装されて装着されている。このアンテナ部材33に対して誘電体基板32を熱かしめさせることにより、誘電体基板32とアンテナ部材33とが分離されることなく一体化されている。具体的には、誘電体基板32は、装着部32aの開口周縁に、誘電体基板32とアンテナ部材33とを固定させる、略リップ状の熱かしめ部32bを有している。熱かしめ部32bは、開口周縁の全周にわたって連続して設けられている。熱かしめ部32bは、熱が加えられつつ、誘電体基板32に装着されたアンテナ部材33の周縁を覆うように折り曲げられて形成される。
このように誘電体アンテナ31が構成されることで、誘電体アンテナ31は、より曲がり易くなり、形状の自由度が向上する。また、アンテナ部材33は露出した状態で固定されるため、フィルムなどの存在がなく、誘電率が変動しないので、高精度な通信が要求される(狭い帯域幅を要求される)用途に好適である。ただし、アンテナ部材の表面における酸化膜の生成や異物の付着がアンテナ特性の劣化(ばらつき大)を引き起こす。一般的にアンテナ部材が外気にさらされることは好ましくないため、誘電体アンテナの周囲にカバーを設けるなどして異物の侵入を防ぎ、湿気がこもらないようにするなどして、錆発生の対策を施すことが好ましい。
なお、図4の形態では、熱かしめ部32bを装着部32aの開口周縁の全周に形成したが、これに限らず、アンテナ部材33の周縁の一部を覆うように装着部32aの開口周縁に断続的に形成してもよい。その場合、各熱かしめ部32bを周方向に均等な間隔で配置してもよく、不均等な間隔で配置してもよい。
次に、本発明に係る誘電体アンテナの第5実施形態を図5に基づき説明する。図5(a)は、その誘電体アンテナの断面図であり、図5(b)は、斜視図である。なお、各部材の構成について、上記第1実施形態と同様のものについてはその詳細な説明を省略する。
図5に示すように、誘電体アンテナ41は、誘電体基板42と、アンテナ部材43と、止め具44(ピン)とを有している。図5において、略矩形板状の誘電体基板42の平面視略中央の装着部42aに、略矩形板状をしたアンテナ部材43が載置されている。誘電体基板42とアンテナ部材43とは、略円柱状の止め具44によって、分離されることなく一体化されている。
略円柱状の止め具44は、円柱状の本体部44aと、該本体部44aから軸方向外側に向かってなだらかに拡径するテーパ状の頭部44bとを備えている。止め具44は、円柱状の本体部44aがアンテナ部材43を貫通して誘電体基板42内に打ち込まれるとともに、頭部44bは、アンテナ部材43上に突出している。特に、円柱状の本体部44aの直径よりも径が大きい頭部44bがアンテナ部材43上に位置することで、誘電体基板42とアンテナ部材43とが分離されることなく一体化される。このように、誘電体アンテナ41を構成することで、誘電体アンテナ41の形状の自由度が向上する。
なお、図5の形態では、略矩形板状のアンテナ部材43の四隅にそれぞれ位置するように止め具44が設けられているが、この配置や数は限定されず、アンテナ部材43の形状によっても適宜変更できる。
次に、本発明に係る誘電体アンテナの第6実施形態を図6に基づき説明する。図6(a)は、その誘電体アンテナの断面図であり、図6(b)は、斜視図である。なお、各部材の構成について、上記第1実施形態と同様のものについてはその詳細な説明を省略する。
図6に示すように、誘電体アンテナ51は、誘電体基板として複数の略矩形板状の誘電体基板52、52と、アンテナ部材53と、止め具54(ピン)とを有しており、複数の誘電体基板52、52の平面視略中央の装着部52a、52a間に、略矩形板状のアンテナ部材53を挟んだ構造となっている。2つの誘電体基板52、52とアンテナ部材53を積層した状態で、止め具54をその積層体(2つの誘電体基板およびアンテナ部材)に貫通させて固定することで、誘電体基板52、52とアンテナ部材53とが分離されることなく一体化される。このように、誘電体アンテナ51を構成することで、誘電体アンテナ51は、より高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有しながら、誘電体アンテナ51の形状の自由度が向上する。
また、アンテナ部材53を挟み込んだ複数の誘電体基板52、52にかける圧力を調整することで、アンテナ部材53を挟み込んだ複数の誘電体基板52、52の厚さを管理できる。
次に、本発明に係る誘電体アンテナの第7実施形態を図7に基づき説明する。図7(a)は、その誘電体アンテナの製造過程を示す断面図であり、図7(b)は、製造後の誘電体アンテナの斜視図である。なお、各部材の構成について、上記第1実施形態と同様のものについてはその詳細な説明を省略する。
図7に示すように、誘電体アンテナ61において、略矩形板状の誘電体基板62の平面視略中央の装着部62aに、略矩形板状のアンテナ部材63が載置されている。アンテナ部材63に対して誘電体基板62を熱かしめすることにより、誘電体基板62とアンテナ部材63とが分離されることなく一体化されている。
この熱かしめについて、図7(a)を用いて詳しく説明する。図7(a)に示すように、誘電体基板62の一端面には、直立した略円柱状のボス部62cが形成されている。アンテナ部材63には貫通孔63aが形成されており、その貫通孔63aに誘電体基板62のボス部62cが挿通されることで、誘電体基板62上でアンテナ部材63が位置決めされる。この状態(図7(a)の上段)では、ボス部62cの頭部がアンテナ部材63の端面から突出している。この状態において、ボス部62cの頭部に熱が加えられつつ、誘電体基板62側に向けて押し潰されることにより、略円柱状のボス部62cの頭部は、突出高さが減少するとともに直径が増大し、例えばリベットの頭部状と化す。そして、アンテナ部材63上に拡径した熱かしめ部62bが形成されることで、誘電体基板62とアンテナ部材63とが分離されることなく一体化される。
このように誘電体アンテナ61が構成されることで、誘電体アンテナ61は、より曲がり易くなり、形状の自由度がより向上する。なお、図7の形態では、略矩形板状のアンテナ部材63の四隅にそれぞれ位置するようにボス部62cおよび熱かしめ部62bが設けられるが、この配置や数は限定されず、アンテナ部材63の形状によっても適宜変更できる。
次に、本発明に係る誘電体アンテナの第8実施形態を図8に基づき説明する。図8(a)は、その誘電体アンテナの拡大断面図であり、図8(b)は、誘電体アンテナ全体の斜視図である。なお、各部材の構成について、上記第1実施形態と同様のものについてはその詳細な説明を省略する。
図8に示すように、誘導体アンテナ71は、誘電体基板として複数の略矩形板状の誘電体基板72、72と、アンテナ部材73と、略係止部材状の止め具74(ピン)とを有しており、複数の誘電体基板72、72の平面視略中央の装着部(図示省略)間に、略矩形板状のアンテナ部材73を挟んだ構造となっている。2つの誘電体基板72、72とアンテナ部材73を積層した状態で、止め具74をその積層体(2つの誘電体基板およびアンテナ部材)に貫通させて固定することで、誘電体基板72、72とアンテナ部材73とが分離されることなく一体化される。このように、誘電体アンテナ71を構成することで、誘電体アンテナ71は、より高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有しながら、誘電体アンテナ71の形状の自由度が向上する。
略係止部材状の止め具74は、円柱状の本体部74aと、本体部74aの一端側に位置し、該本体部74aの直径よりも径が大きい略円板状の頭部74bと、本体部74aの他端側に位置し、該本体部74aの直径よりも径が大きい部分を有する略鉤状の係止部74cとを備える。略係止部材状の止め具74は、略円柱状の本体部74aが複数の誘電体基板72の貫通孔72aおよびアンテナ部材73の貫通孔73aを貫通するととともに、略円板状の頭部74bは、一方の誘電体基板72の端面の外側に密着し、且つ、略鉤状の係止部74cは、他方の誘電体基板72の端面の外側に密着する。つまり、頭部74bと係止部74cで、2つの誘電体基板72、72およびアンテナ部材73を挟むことで、複数の誘電体基板72、72とアンテナ部材73とが分離されることなく一体化される。このように誘電体アンテナ71が構成されることで、形状の自由度がより向上する。
以上、本発明に係る誘電体アンテナとして、第1実施形態から第8実施形態について説明したが、誘導体アンテナの形態はこれらに限定されない。また、上記実施形態では、アンテナ部材は、銅箔、FPC、PCB、FFCとして説明したが、これ以外にも、例えば銅板などの通電部材を用いることができる。
実施例1〜4、比較例1
オレフィン系熱可塑性エラストマー(製品名:三井化学社製、ミラストマー4010NS)とセラミックス粉末(共立マテリアル社製、HF−120D:チタン酸バリウム・サマリウム・ランタン系セラミックス粉)、さらに重金属不活性化剤(ADEKA社製、アデカスタブ CDA−1)をそれぞれ混合し、二軸溶融押出し機を用いて押出して造粒して、ペレットを得た。得られたペレットを射出成形機に供給して、射出成形し、50mm×50mm×1mmの矩形板状の誘電体基板を2枚得た。また、ポリイミド樹脂製の保護層内に銅箔・通電部材を有するFPCのアンテナ部材(35mm×35mm×100μm)を用意した。得られた誘電体基板の平面視略中央の装着部間に、アンテナ部材を挟み込み、誘電体基板同士に圧力をかけつつ、各誘電体基板の周縁部同士を熱溶着させることで一体化して、誘導体アンテナ(図3参照)を得た。
また、誘電体基板の評価のため、得られたペレットを射出成形機に供給して、射出成形し、φ25mm×t1.5mmの円柱状試験片を得た。
実施例5〜8、比較例2〜3
オレフィン系熱可塑性エラストマー(製品名:三井化学社製、ミラストマー4010NS)とセラミックス粉末(共立マテリアル社製、ST−2:チタン酸ストロンチウム系セラミックス粉)、さらに重金属不活性化剤(ADEKA社製、アデカスタブ CDA−1)をそれぞれ混合し、二軸溶融押出し機を用いて押出して造粒して、ペレットを得た。得られたペレットを射出成形機に供給して、射出成形し、実施例1と同形状の誘導体基板を得た。この誘電体基板と、実施例1と同じアンテナ部材を用いて、実施例1と同様の一体化工程により誘導体アンテナ(図3参照)を得た。なお、比較例3は射出成形できなかったため、誘電体アンテナは制作していない。
また、誘電体基板の評価のため、比較例3以外については、得られたペレットを射出成形機に供給して、射出成形し、φ25mm×t1.5mmの円柱状試験片を得た。
実施例9
ポリエステル系熱可塑性エラストマー(製品名:東洋紡社製、ペルプレンP−30B)とセラミックス粉末(共立マテリアル社製、ST−2:チタン酸ストロンチウム系セラミックス粉)をそれぞれ混合し、二軸溶融押出し機を用いて押出して造粒して、ペレットを得た。得られたペレットを射出成形機に供給して、射出成形し、実施例1と同形状の誘導体基板を得た。この誘電体基板と、実施例1と同じアンテナ部材を用いて、実施例1と同様の一体化工程により誘導体アンテナ(図3参照)を得た。
また、誘電体基板の評価のため、得られたペレットを射出成形機に供給して、射出成形し、φ25mm×t1.5mmの円柱状試験片を得た。
比較例4
EPDMと、セラミックス粉末(共立マテリアル社製、HF−120:チタン酸バリウム・ネオジウム系セラミックス粉)と、加硫促進剤および加工助剤等とをそれぞれ混合し、加熱圧縮成形にてシート材を得た後、打ち抜き加工にて50mm×50mm×1mmの矩形板状の誘電体基板を2枚得た。なお、加硫条件は、それぞれ170℃×30分である。この誘電体基板と、実施例1と同じアンテナ部材を用いて、実施例1と同様の一体化工程により誘導体アンテナ(図3参照)を得た。
また、誘電体基板の評価のため、上記誘電体基板と同様の条件の加熱圧縮成形にて得られたシート材から、φ25mm×t1.5mmの円柱状試験片を得た。
得られた各円柱状試験片を用いて、1GHz帯で20℃での比誘電率を容量法により測定した。容量法に用いた測定装置はRF impedance/material analyzer HP4291B(アジレント・テクノロジー社製)、電極はHP16453A(アジレント・テクノロジー社製)をそれぞれ用いた。また、得られた各円柱状試験片と上記測定装置を用いて、1GHz帯で20℃での誘電正接を容量法により測定した。測定結果を表1に示す。
なお、実施例2、実施例6および実施例7については、50mm×50mm×t1.5mmのシート状試験片を作成し、空洞共振器法(JIS R 1641)により、8GHz帯で20℃での誘電正接も測定した。
Figure 2021027386
表1より、実施例1〜9は、成形体(試験片)の1GHz帯で20℃での比誘電率が5以上、誘電正接が0.01以下であった。また、比誘電率の温度係数α(単位:1/℃)が−1500×10−6より大きく、かつ、−300×10−6未満であった。特に、実施例1〜4の誘電正接は0.002以下であり、実施例5〜9および比較例4の誘電正接よりも低く、より高い高周波帯域への対応が可能である。また、セラミックス粉末として、チタン酸バリウム・サマリウム・ランタン系セラミックス粉を用いた実施例1〜4の比誘電率の温度係数αの絶対値は、実施例5〜9および比較例4よりも小さく、温度変化による比誘電率の変化がより小さいものとなった。さらに、実施例1〜9の誘電体基板の臭気は軽微であったが、比較例4の誘電体基板の臭気は不快なものであった。
実施例2、実施例6および実施例7において、周波数8GHz、温度20℃での誘電正接は、周波数1GHz、温度20℃での誘電正接と同程度(実施例2は0.0017、実施例6、7ともに0.0028)であり、高周波領域でも良好な低誘電正接を維持した。また、熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマーの方がポリエステル系熱可塑性エラストマーよりも柔軟性が良好であった(実施例5、9)。
また、実施例1〜9の誘電体基板は射出成形体であるので、複雑な形状にも対応でき、形状自由度が高いのに対して、比較例4の誘電体基板は主にシート材からの打ち抜き加工であるので、複雑な形状に適していない。環境負荷の面では、実施例1〜9の成形体はリサイクル可能であるのに対して、比較例4の成形体はリサイクル不可である。コスト面では、実施例1〜9の成形体は後加工が不要となるのに対して、比較例4の成形体は切断加工や打ち抜き加工が必要となるため、コストが増加傾向にある。
これらの結果、実施例1〜9で得られた誘電体アンテナは、高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有して、広い温度範囲、高周波帯域への対応が可能でありながら、形状の自由度や生産性にも優れることが分かる。
本発明の誘電体アンテナは、その構成部材の誘電体基板が高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有しながら、形状の自由度や生産性に優れるので、誘導体アンテナとして広く利用でき、特に複雑形状の高周波通信機の誘電体アンテナに好適に利用できる。
1、11、21、31、41、51、61、71 誘電体アンテナ
2、12、22、32、42、52、62、72 誘電体基板
2a、12a、22a、32a、42a、52a、62a 装着部
3、13、23、33、43、53、63、73 アンテナ部材(電極)
4 接地導体
5 通電部材接続部
14 フィルム
22b、32b、62b 熱かしめ部
44、54、74 止め具(ピン)
44a、74a 本体部
44b、74b 頭部
62c ボス部
74c 係止部

Claims (10)

  1. 誘電体基板と、該誘電体基板に装着されるアンテナ部材とを備えてなる誘電体アンテナであって、
    前記誘電体基板は、熱可塑性エラストマーに誘電性セラミックス粉末が配合された誘電性エラストマー組成物の射出成形体であり、周波数1GHzおよび温度20℃において、比誘電率が5以上、誘電正接が0.01以下であることを特徴とする誘導体アンテナ。
  2. 前記誘電体基板の平面視略中央に装着部が設けられ、前記装着部に前記アンテナ部材が装着されていることを特徴とする請求項1記載の誘導体アンテナ。
  3. 前記誘電体アンテナは、前記誘電体基板および前記アンテナ部材を覆うフィルムを有し、前記フィルムによって、前記誘電体基板と前記アンテナ部材とが一体化されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の誘導体アンテナ。
  4. 前記フィルムが、前記誘電体基板および前記アンテナ部材の少なくとも一方に対して、接着または熱溶着されていることを特徴とする請求項3記載の誘導体アンテナ。
  5. 前記誘電体基板は、該誘電体基板と前記アンテナ部材を固定する熱かしめ部を有し、前記熱かしめ部によって、前記誘電体基板と前記アンテナ部材とが一体化されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の誘導体アンテナ。
  6. 前記熱かしめ部は、前記誘電体基板に装着された前記アンテナ部材の周縁の少なくとも一部を覆うように折り曲げられていることを特徴とする請求項5記載の誘導体アンテナ。
  7. 前記アンテナ部材に貫通孔が形成され、前記誘導体基板に前記貫通孔に挿通されるボス部が形成されており、
    前記熱かしめ部は、前記貫通孔に挿通された前記ボス部の先端に形成されることを特徴とする請求項5記載の誘導体アンテナ。
  8. 前記誘電体基板は複数の誘電体基板から構成され、前記誘電体アンテナは、前記複数の誘電体基板の間に前記アンテナ部材が挟まれて、一体化されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の誘導体アンテナ。
  9. 前記誘電体アンテナは、前記誘電体基板同士の熱溶着により一体化されていることを特徴とする請求項8記載の誘導体アンテナ。
  10. 前記誘電体アンテナは、前記誘電体基板と前記アンテナ部材とを固定させる止め具により一体化されていることを特徴とする請求項8記載の誘導体アンテナ。
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