JP2021025636A - 電磁クラッチ及び車両用開閉体駆動装置 - Google Patents

Abstract

【課題】搭載性に優れた電磁クラッチを提供する。【解決手段】電磁クラッチ４０は、駆動トルクを伝達する回転軸６０と、回転軸６０に対して相対回転不能に支持されることにより当該回転軸６０と一体に回転する第１回転体Ｒ１としてのローター８０と、このローター８０と軸方向に対向する位置において回転軸６０に対して相対回転可能に支持された第２回転体Ｒ２としてのアーマチャ９０とを備える。また、電磁クラッチ４０は、通電により発生する電磁吸引力に基づきアーマチャ９０を軸方向移動させることにより、このアーマチャ９０とローター８０とを圧接してトルク伝達可能に連結させる電磁石７０を備える。そして、アーマチャ９０の外周には、ギヤ部９０ｇが設けられる。【選択図】図５

Description

本発明は、電磁クラッチ及び車両用開閉体駆動装置に関するものである。

従来、例えば、パワースライドドア装置等、車両用の開閉体駆動装置には、その駆動力伝達経路の途中に電磁クラッチを備えたものがある。例えば、特許文献１に記載のドア開閉装置は、扁平モータと同軸に配置された電磁クラッチと、これらの扁平モータ及び電磁クラッチの軸線と平行な回転軸を有したドラムと、を有している。更に、このドア開閉装置は、電磁クラッチの出力軸に設けられた第１ギヤとドラムの回転軸に設けられた第２ギヤとを噛合させることにより、その電磁クラッチを介して出力されるモータ回転を減速してドラムに伝達する。そして、これにより、その小型化を図ることで、車両に対する優れた搭載性を確保する構成になっている。

特開２０１５−４０４２３号公報

しかしながら、車両においては、あらゆる構成部品について、その更なる改善が進められている。そして、上記開閉体駆動装置に用いられる電磁クラッチについてもまた、その更なる搭載性の向上が求められていることから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。

本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、搭載性に優れた電磁クラッチ及び車両用開閉体駆動装置を提供することにある。

上記課題を解決する電磁クラッチは、駆動トルクを伝達する回転軸と、前記回転軸に対して相対回転不能に支持されることにより前記回転軸と一体に回転する第１回転体と、前記第１回転体と軸方向に対向する位置において前記回転軸に対して相対回転可能に支持された第２回転体と、通電により発生する電磁吸引力に基づき前記第１回転体及び前記第２回転体の一方をアーマチャとして軸方向移動させることにより前記第１回転体と前記第２回転体とを圧接してトルク伝達可能に連結させる電磁石と、前記第１回転体又は前記第２回転体の少なくとも一方の外周に設けられたギヤ部と、を備える。

上記構成によれば、回転軸に駆動トルクを入力するためのギヤ部材、及び回転軸に伝達された駆動トルクを出力するためのギヤ部材の少なくとも何れかを削減することにより、その軸方向寸法を短縮することができる。更に、そのギヤ部を減速機構に利用することができる。そして、これにより、小型化を図ることで、優れた搭載性を確保することができる。

上記課題を解決する電磁クラッチは、前記第１回転体又は前記第２回転体の一方に前記駆動トルクが入力される前記ギヤ部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、回転軸に駆動トルクを入力するためのギヤ部材を削減して、小型化を図ることができる。

上記課題を解決する電磁クラッチは、前記第１回転体又は前記第２回転体の一方に前記駆動トルクを出力する前記ギヤ部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、回転軸に伝達された駆動トルクを出力するためのギヤ部材を削減して、小型化を図ることができる。

上記課題を解決する車両用開閉体駆動装置は、前記駆動トルクを発生するモータと、前記ギヤ部に噛合する駆動ギヤと、前記駆動ギヤと一体に回転する回転部材と、前記回転部材に巻き掛けられることにより該回転部材の回転に基づき車両の開閉体を駆動する駆動部材と、を備える。

上記構成によれば、車両に対する搭載性の向上を図ることができる。そして、これにより、車両に設けられた様々な開閉体をモータ駆動により開閉することができる。

本発明によれば、優れた搭載性を確保することができる。

スイングドアを備えた車両の平面図。 スイングドアの斜視図。 スイングドアに設けられた開閉駆動装置の概略構成図。 開閉駆動装置を構成する減速機構、電磁クラッチ、及びドラムの斜視図。 開閉駆動装置を構成する減速機構、電磁クラッチ、及びドラムの側面図。 電磁クラッチ及び開閉駆動装置の別例を示す斜視図。 電磁クラッチ及び開閉駆動装置の別例を示す側面図。 電磁クラッチ及び開閉駆動装置の別例を示す側面図。 電磁クラッチ及び開閉駆動装置の別例を示す側面図。 電磁クラッチ及び開閉駆動装置の別例を示す側面図。 電磁クラッチ及び開閉駆動装置の別例を示す側面図。

以下、車両用開閉体駆動装置をスイングドアの開閉駆動装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図１及び図２に示すように、本実施形態の車両１は、車体２の側面に設けられたドア開口部３を開閉する複数のスイングドア１０を備えている。即ち、これらの各スイングドア１０は、それぞれ、その前端部１０ｆに設けられたヒンジ１１を支点に回動する。そして、本実施形態の車両１は、これらの各スイングドア１０が、それぞれ、その車両１の室内に設けられた各座席の側方で開閉動作する構成になっている。

また、本実施形態のスイングドア１０には、その基端部１５ｂが車体２に対して回動可能に連結された状態でスイングドア１０の前端部１０ｆ側から後端部１０ｒ側に向かって延びる長尺略棒状のチェックバー１５が設けられている。更に、このスイングドア１０には、当該スイングドア１０に固定された状態で、そのチェックバー１５に対して摺動可能に係合するドア側係合部材１６が設けられている。尚、このドア側係合部材１６は、チェックバー１５の周面に摺接する図示しないシューと、このシューの外側を覆うケースと、を備えて構成されている。そして、本実施形態の車両１は、これらのチェックバー１５及びドア側係合部材１６が形成するドアチェック装置２０の動作に基づいて、そのスイングドア１０を開閉駆動する開閉駆動装置３０を備えている。

詳述すると、本実施形態のドアチェック装置２０は、スイングドア１０の開閉動作に連動して、その車体２に連結された基端部１５ｂを支点にチェックバー１５が回動する。そして、このチェックバー１５の回動に基づいて、そのドア側係合部材１６の係合位置がチェックバー１５の長手方向に沿って移動する構成になっている。

また、図３に示すように、本実施形態の開閉駆動装置３０は、駆動源となるモータ３１と、このモータ３１が発生する駆動トルクに基づき回転するドラム３２と、を備えている。更に、この開閉駆動装置３０は、一端がドラム３２に巻き掛けられた状態で他端側が上記チェックバー１５の先端部１５ａに固定された第１駆動ケーブル３３を備えている。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０は、同じく一端がドラム３２に巻き掛けられるとともに、その他端側が上記ドア側係合部材１６よりも基端部１５ｂ側の長手方向位置においてチェックバー１５に固定された第２駆動ケーブル３４を備えている。

即ち、本実施形態の開閉駆動装置３０において、ドラム３２は、その回転により、第１駆動ケーブル３３及び第２駆動ケーブル３４の一方を巻き取りつつ、他方側を繰り出すように構成されている。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０は、これにより、そのチェックバー１５に対するドア側係合部材１６の係合位置を移動させることで、スイングドア１０を開閉駆動する構成になっている。

具体的には、第１駆動ケーブル３３をドラム３２に巻き取りつつ、第２駆動ケーブル３４をドラム３２から繰り出すことで、そのチェックバー１５に対するドア側係合部材１６の係合位置が、見かけ上、チェックバー１５の先端部１５ａ側（図３中、右側）に移動する。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０は、これにより、そのスイングドア１０を開駆動する構成になっている。

一方、第２駆動ケーブル３４をドラム３２に巻き取りつつ、第１駆動ケーブル３３をドラム３２から繰り出すことで、そのチェックバー１５に対するドア側係合部材１６の係合位置が、見かけ上、チェックバー１５の基端部１５ｂ側（図３中、左側）に移動する。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０は、これにより、そのスイングドア１０を閉駆動する構成になっている。

また、本実施形態の開閉駆動装置３０は、モータ３１の回転を減速機構３５により減速してドラム３２に伝達する。更に、この開閉駆動装置３０は、その減速機構３５が形成する駆動トルクの伝達経路Ｘに設けられた電磁クラッチ４０を備えている。即ち、この電磁クラッチ４０は、その作動により、駆動トルクの伝達経路Ｘを接断、つまりは接続又は遮断する機能を有している。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０は、この電磁クラッチ４０がオフ作動することで、比較的小さな操作力で、そのスイングドア１０を手動により開閉動作させることが可能となっている。

さらに詳述すると、図４及び図５に示すように、本実施形態の開閉駆動装置３０は、その減速機構３５を構成する複数のギヤ５０を備えている。具体的には、この開閉駆動装置３０は、モータ３１の駆動トルクが入力される入力ギヤ５１と、この入力ギヤ５１に噛合する第１中間ギヤ５３と、を備えている。尚、本実施形態の開閉駆動装置３０においては、モータ３１の出力軸３１ａと一体に回転するウォーム５５を介して、その入力ギヤ５１にモータ３１の駆動トルクが入力される。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０は、ドラム３２と一体に回転する駆動ギヤ５４と、この駆動ギヤ５４に噛合する第２中間ギヤ５６と、を備えている。

また、本実施形態の開閉駆動装置３０は、そのドラム３２及び駆動ギヤ５４の回転軸５８と平行に配置された回転軸６０を有している。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０においては、この回転軸６０を共有するかたちで、その第１中間ギヤ５３、第２中間ギヤ５６、及び電磁クラッチ４０が同軸に配置されている。

図５に示すように、本実施形態の開閉駆動装置３０において、第１中間ギヤ５３は、回転軸６０の第１端部（図５中、下側の端部）６０ａに対して相対回転不能に固定されている。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０は、これにより、この第１中間ギヤ５３が回転軸６０と一体に回転する構成になっている。

また、本実施形態の電磁クラッチ４０は、この第１中間ギヤ５３よりも回転軸６０の第２端部（図５中、上側の端部）６０ｂ側に設けられた電磁石７０を有している。更に、この電磁クラッチ４０は、その電磁石７０よりも回転軸６０の第２端部６０ｂ側（図５中、上側）において、当該回転軸６０に対して相対回転不能且つ軸方向に相対移動不能に固定された略円板状の外形を有するローター８０を備えている。そして、本実施形態の電磁クラッチ４０は、このローター８０よりも回転軸６０の第２端部６０ｂ側において、回転軸６０に対して相対回転可能且つ軸方向に相対移動可能に支持された略円板状の外形を有するアーマチャ９０を備えている。

詳述すると、本実施形態の電磁石７０は、回転軸６０の径方向外側を包囲する円環状の外形を有したヨーク９２と、このヨーク９２の全周に亘って延びる環状溝９３と、この環状溝９３内に収容された励磁コイル９５と、を備えている。具体的には、本実施形態のヨーク９２は、筒内に回転軸６０が挿通される内筒部９２ａと、この内筒部９２ａの径方向外側を包囲する外筒部９２ｂと、これらの内筒部９２ａ及び外筒部９２ｂの軸方向端側を接続する底壁部９２ｃと、を有している。そして、本実施形態の電磁石７０は、これらの内筒部９２ａ、外筒部９２ｂ、及び底壁部９２ｃが形成する環状溝９３に対し、円環状の外形をなすボビン９７に巻回された励磁コイル９５を収容する構成になっている。

即ち、本実施形態の電磁石７０において、ヨーク９２は、鉄系金属等の磁性体を用いて形成されている。また、ボビン９７は、樹脂等の非磁性体を用いて形成されている。そして、本実施形態の電磁石７０は、これにより、そのヨーク９２に設けられた環状溝９３内の励磁コイル９５に通電することで、この電磁石７０が設けられた回転軸６０の軸方向に作用する電磁吸引力を発生する構成になっている。

また、本実施形態の電磁クラッチ４０においては、この電磁石７０との間にローター８０を挟む軸方向位置に配置されたアーマチャ９０もまた、鉄系金属等の磁性体を用いて形成されている。更に、本実施形態のアーマチャ９０は、その円板形状の外周にギヤ部９０ｇを有している。具体的には、このギヤ部９０ｇは、アーマチャ９０の外周に刻設されている。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０は、このギヤ部９０ｇがドラム３２と一体に回転軸５８に固定された駆動ギヤ５４に噛合することで、その電磁クラッチ４０のアーマチャ９０が、上記第２中間ギヤ５６として機能する構成になっている。

即ち、本実施形態の電磁クラッチ４０においては、回転軸６０に対して相対回転不能に支持されることにより回転軸６０と一体に回転するローター８０が、第１回転体Ｒ１を構成する。また、このローター８０と軸方向に対向する位置において回転軸６０に対して相対回転可能に支持されたアーマチャ９０が、第２回転体Ｒ２を構成する。更に、このアーマチャ９０との間にローター８０を挟む軸方向位置に設けられた電磁石７０が発生する電磁吸引力に基づき回転軸６０上を摺動するかたちでアーマチャ９０が軸方向移動することにより、このアーマチャ９０がローター８０に圧接する。そして、本実施形態の電磁クラッチ４０は、これにより、これらのローター８０とアーマチャ９０とがトルク伝達可能に連結されることで、その第２中間ギヤ５６としてのアーマチャ９０が、モータ３１の駆動トルクを伝達する回転軸６０と一体に回転する構成になっている。

つまり、本実施形態の開閉駆動装置３０においては、このように電磁クラッチ４０がオン作動することで、その入力ギヤ５１及び第１中間ギヤ５３を介して回転軸６０に伝達されたモータ３１の駆動トルクが、第２中間ギヤ５６としてのアーマチャ９０に設けられたギヤ部９０ｇに噛合する駆動ギヤ５４を介してドラム３２に伝達される。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０は、これにより、ドラム３２が回転することで、このドラム３２に巻き掛けられた駆動部材としての上記第１駆動ケーブル３３及び第２駆動ケーブル３４が、そのドラム３２の回転方向に応じて、スイングドア１０を開閉駆動する構成になっている。

また、電磁石７０に対する通電を停止することで、そのローター８０とアーマチャ９０との連結が解除される。つまりは、第２中間ギヤ５６としてのアーマチャ９０が、再び、その回転軸６０に対して相対回転可能な状態となる。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０は、このように電磁クラッチ４０がオフ作動することで、駆動トルクの伝達経路Ｘを遮断して、そのドラム３２の自由回転を許容する構成になっている。

尚、本実施形態の開閉駆動装置３０においては、アーマチャ９０に設けられたギヤ部９０ｇ、及び、このギヤ部９０ｇに噛合する駆動ギヤ５４は、平歯ギヤとしての構成を有している。そして、本実施形態の開閉駆動装置３０は、これにより、アーマチャ９０の軸方向移動によっても、そのギヤ部９０ｇと駆動ギヤ５４との間の噛合状態が維持される構成になっている。

次に、本実施形態の効果について説明する。
（１）電磁クラッチ４０は、駆動トルクを伝達する回転軸６０と、回転軸６０に対して相対回転不能に支持されることにより当該回転軸６０と一体に回転する第１回転体Ｒ１としてのローター８０と、このローター８０と軸方向に対向する位置において回転軸６０に対して相対回転可能に支持された第２回転体Ｒ２としてのアーマチャ９０とを備える。また、電磁クラッチ４０は、通電により発生する電磁吸引力に基づきアーマチャ９０を軸方向移動させることにより、このアーマチャ９０とローター８０とを圧接してトルク伝達可能に連結させる電磁石７０を備える。更に、アーマチャ９０の外周には、ギヤ部９０ｇが設けられる。そして、電磁クラッチ４０は、このアーマチャ９０に設けられたギヤ部９０ｇから、その回転軸６０に伝達された駆動トルクを出力する。

上記構成によれば、その回転軸６０に伝達された駆動トルクを出力するギヤ部材を削減して、軸方向寸法を短縮することができる。更に、そのギヤ部９０ｇを減速機構３５に利用することができる。そして、これにより、小型化を図ることで、優れた搭載性を確保することができる。

（２）ギヤ部９０ｇは、アーマチャ９０の外周に刻設される。
上記構成によれば、更に部品点数を削減することができる。そして、これにより、製造コストの低減とともに、組付作業の容易化を図ることができる。

（３）開閉駆動装置３０は、上記電磁クラッチ４０と、駆動トルクを発生するモータ３１と、その電磁クラッチ４０のアーマチャ９０に設けられたギヤ部９０ｇに噛合する駆動ギヤ５４と、この駆動ギヤ５４と一体に回転する回転部材としてのドラム３２と、を備える。更に、開閉駆動装置３０は、このドラム３２に巻き掛けられた駆動部材としての第１駆動ケーブル３３及び第２駆動ケーブル３４を備える。そして、開閉駆動装置３０は、そのドラム３２の回転に基づき、第１駆動ケーブル３３及び第２駆動ケーブル３４の一方をドラム３２に巻き取りつつ、他方側をドラム３２から繰り出すことにより、車両１に設けられた開閉体としてのスイングドア１０を開閉駆動する。

上記構成によれば、車両１に対する搭載性の向上を図ることができる。そして、これにより、様々なサイズのスイングドア１０をモータ駆動により開閉することができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。

・上記実施形態では、電磁クラッチ４０を構成するアーマチャ９０の外周に設けられたギヤ部９０ｇを、そのドラム３２と一体に回転する駆動ギヤ５４に噛合させる。そして、これにより、その回転軸６０に伝達された駆動トルクをアーマチャ９０のギヤ部９０ｇから出力する構成とした。

しかし、これに限らず、例えば、図６及び図７に示す開閉駆動装置３０Ｂのように、そのアーマチャ９０Ｂのギヤ部９０ｇに対して駆動トルクが入力される構成としてもよい。これにより、駆動トルクを回転軸６０に入力するためのギヤ部材を削減することができる。

具体的には、この開閉駆動装置３０Ｂにおいては、回転軸５８の第１端部５８ａに対して、そのドラム３２と一体に回転する駆動ギヤ５４が設けられるとともに、回転軸６０の第１端部６０ａに対して、この駆動ギヤ５４と噛合する第２中間ギヤ５６が設けられている。また、電磁石７０は、この第２中間ギヤ５６よりも回転軸６０の第２端部６０ｂ側に設けられている。更に、この開閉駆動装置３０Ｂにおいては、その回転軸６０の第２端部６０ｂに設けられたアーマチャ９０Ｂのギヤ部９０ｇに入力ギヤ５１が噛合することで、このアーマチャ９０Ｂが、第１中間ギヤ５３として機能する。そして、この開閉駆動装置３０Ｂにおける電磁クラッチ４０Ｂは、これにより、電磁石７０が発生する電磁吸引力に基づきアーマチャ９０Ｂとローター８０Ｂとがトルク伝達可能に連結することで、そのアーマチャ９０Ｂを入力部として、モータ３１の駆動力が回転軸６０に伝達される構成になっている。

・上記実施形態では、回転軸６０に対して相対回転不能に支持されることにより回転軸６０と一体に回転するローター８０が第１回転体Ｒ１を構成し、このローター８０と軸方向に対向する位置において回転軸６０に対して相対回転可能に支持されたアーマチャ９０が第２回転体Ｒ２を構成する。そして、そのアーマチャ９０の外周にギヤ部９０ｇが設けられることとした。

しかし、これに限らず、例えば、図８に示す開閉駆動装置３０Ｃにおける電磁クラッチ４０Ｃのように、アーマチャ９０Ｃが、その回転軸６０に対して相対回転不能に支持されることにより回転軸６０と一体に回転する第１回転体Ｒ１としての構成を有する。また、ローター８０が、その第１回転体Ｒ１としてのアーマチャ９０Ｃと軸方向に対向する位置において回転軸６０に対して相対回転可能に支持された第２回転体Ｒ２としての構成を有する。そして、このローター８０Ｃの外周にギヤ部８０ｇを設ける構成としてもよい。

具体的には、この電磁クラッチ４０Ｃにおいてもまた、アーマチャ９０Ｃは、軸方向に相対移動可能な状態で回転軸６０に支持されるとともに、ローター８０は、軸方向に相対移動不能な状態で回転軸６０に支持されている。つまり、この電磁クラッチ４０Ｃにおいても、その電磁石７０が発生する電磁吸引力に基づき回転軸６０上を摺動するかたちでアーマチャ９０Ｄが軸方向移動する。そして、これにより、そのアーマチャ９０Ｄがローター８０Ｄに圧接することで、これらのアーマチャ９０Ｄとローター８０Ｄとがトルク伝達可能に連結される構成になっている。

更に、この開閉駆動装置３０Ｃにおいては、そのローター８０Ｃのギヤ部８０ｇに対して、ドラム３２と一体に回転する駆動ギヤ５４が噛合する。即ち、この開閉駆動装置３０Ｃにおける電磁クラッチ４０Ｃは、その電磁石７０が発生する電磁吸引力に基づきアーマチャ９０Ｃとローター８０Ｃとがトルク伝達可能に連結することで、このローター８０Ｃから、その回転軸６０に伝達された駆動力を出力する構成になっている。そして、このような構成を採用しても、その回転軸６０に伝達された駆動トルクを出力するためのギヤ部材を削減することができる。

・また、図９に示す開閉駆動装置３０Ｄにおいては、その第２回転体Ｒ２としての構成を有するローター８０Ｄの外周に設けられたギヤ部８０ｇに対して入力ギヤ５１が噛合する。即ち、この開閉駆動装置３０Ｄにおける電磁クラッチ４０Ｄは、これにより、電磁石７０が発生する電磁吸引力に基づきアーマチャ９０Ｄとローター８０Ｄとがトルク伝達可能に連結することで、そのローター８０Ｄを入力部として回転軸６０に駆動力が伝達される構成になっている。そして、このような構成を採用しても、その回転軸６０に駆動トルクを入力するためのギヤ部材を削減することができる。

・また、図１０に示す開閉駆動装置３０Ｅにおける電磁クラッチ４０Ｅのように、アーマチャ９０Ｅの外周にギヤ部９０ｇを設けるとともに、ローター８０Ｅの外周にギヤ部８０ｇを設ける。そして、そのローター８０Ｅのギヤ部８０ｇに対して入力ギヤ５１を噛合させるとともに、アーマチャ９０Ｅのギヤ部９０ｇに対してドラム３２と一体に回転する駆動ギヤ５４を噛合させる構成としてもよい。

・更に、図１１に示す開閉駆動装置３０Ｆにおける電磁クラッチ４０Ｆのように、アーマチャ９０Ｆのギヤ部９０ｇに対して入力ギヤ５１を噛合させるとともに、ローター８０Ｆのギヤ部８０ｇに対してドラム３２と一体に回転する駆動ギヤ５４を噛合させる構成としてもよい。

即ち、これらの電磁クラッチ４０Ｅ，４０Ｆのように、そのアーマチャ９０Ｅ，９０Ｆの外周にギヤ部９０ｇを設けるとともに、ローター８０Ｅ，８０Ｆの外周にギヤ部８０ｇを設けることで、その回転軸６０に駆動トルクを入力するためのギヤ部材、及び回転軸６０に伝達された駆動トルクを出力するためのギヤ部材を削減することができる。更に、これらの各ギヤ部８０ｇ，９０ｇを減速機構３５に利用することができる。そして、これにより、更になる小型化を図ることができる。

尚、この場合、そのアーマチャ９０Ｅ，９０Ｆが第１回転体Ｒ１、ローター８０Ｅ，８０Ｆが第２回転体Ｒ２としての構成を有していてもよく、アーマチャ９０Ｅ，９０Ｆが第２回転体Ｒ２、ローター８０Ｅ，８０Ｆが第１回転体Ｒ１としての構成を有していてもよい。

・上記実施形態では、アーマチャ９０は、軸方向に相対移動可能な状態で回転軸６０に支持されるとともに、ローター８０は、軸方向に相対移動不能な状態で回転軸６０に支持される。そして、これにより、電磁石７０が発生する電磁吸引力に基づき回転軸６０上を摺動するかたちでアーマチャ９０が軸方向移動することによって、このアーマチャ９０がローター８０に圧接することとした。しかし、これに限らず、アーマチャ９０が、軸方向に相対移動不能な状態で回転軸６０に支持されるとともに、ローター８０が、軸方向に相対移動可能な状態で回転軸６０に支持される。更に、電磁石７０が発生する電磁吸引力に基づきアーマチャ９０が回転軸６０と一体に軸方向移動する。そして、この回転軸６０の軸方向移動によってもローター８０の絶対位置が保持されることで、そのアーマチャ９０がローター８０に圧接する構成としてもよい。

・上記実施形態では、ギヤ部９０ｇは、アーマチャ９０の外周に刻設されることとしたが、外周にギヤ歯を有した環状部材をアーマチャ９０の外周に取着することにより、そのギヤ部９０ｇを形成する構成でもよい。

・上記実施形態では、モータ３１の出力軸３１ａと一体に回転するウォーム５５を介して、入力ギヤ５１にモータ３１の駆動トルクが入力されることとしたが、例えば、その入力ギヤ５１自体がウォーム５５としての構成を有する等、この入力ギヤ５１がモータ３１の出力軸３１ａと一体に回転する構成であってもよい。

・上記実施形態では、スイングドア１０の開閉駆動装置３０における電磁クラッチ４０に具体化したが、例えば、スライドドア等、その他の型式を有した車両ドアの開閉駆動装置に適用してもよい。更に、例えば、サンルーフ等、ドア以外の開閉体の駆動装置に適用してもよい。そして、このような車両用開閉体駆動装置に限らず、車両以外の用途に用いられるアクチュエータ装置に適用してもよい。

・上記実施形態では、車両用開閉体駆動装置としての開閉駆動装置３０は、電磁クラッチ４０を介してモータ３１の駆動トルクに基づき回転する回転部材としてのドラム３２と、このドラム３２に巻き掛けられた駆動部材としての第１駆動ケーブル３３及び第２駆動ケーブル３４と、を備えることとした。しかし、これに限らず、回転部材としてのプリー及び駆動部材としてのベルトを有して車両の開閉体を駆動する構成としてもよい。

次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
（イ）前記ギヤ部が前記外周に刻設されていること、を特徴とする電磁クラッチ。
上記構成によれば、更に部品点数を削減することができる。そして、これにより、製造コストの低減とともに、組付作業の容易化を図ることができる。

（ロ）上記何れかの電磁クラッチと、前記駆動トルクを発生するモータと、を備えたアクチュエータ装置。

１…車両、２…車体、３…ドア開口部、１０…スイングドア、１０ｆ…前端部、１０ｒ…後端部、１１…ヒンジ、１５…チェックバー、１５ａ…先端部、１５ｂ…基端部、１６…ドア側係合部材、２０…ドアチェック装置、３０，３０Ｂ，３０Ｃ，３０Ｄ，３０Ｅ，３０Ｆ…開閉駆動装置（車両用開閉体駆動装置）、３１…モータ、３１ａ…出力軸、３２…ドラム（回転部材）、３３…第１駆動ケーブル（駆動部材）、３４…第２駆動ケーブル（駆動部材）、３５…減速機構、４０，４０Ｂ，４０Ｃ，４０Ｄ，４０Ｅ，４０Ｆ…電磁クラッチ、５０…ギヤ、５１…入力ギヤ、５３…第１中間ギヤ、５４…駆動ギヤ、５５…ウォーム、５６…第２中間ギヤ、５８…回転軸、５８ａ…第１端部、６０…回転軸、６０ａ…第１端部、６０ｂ…第２端部、７０…電磁石、８０，８０Ｂ，８０Ｃ，８０Ｄ，８０Ｅ，８０Ｆ…ローター、８０ｇ…ギヤ部、９０，９０Ｂ，９０Ｃ，９０Ｄ，９０Ｅ，９０Ｆ…アーマチャ、９０ｇ…ギヤ部、９２…ヨーク、９２ａ…内筒部、９２ｂ…外筒部、９２ｃ…底壁部、９３…環状溝、９５…励磁コイル、９７…ボビン、Ｒ１…第１回転体、Ｒ２…第２回転体、Ｘ…伝達経路。

Claims (4)

1. 駆動トルクを伝達する回転軸と、
   前記回転軸に対して相対回転不能に支持されることにより前記回転軸と一体に回転する第１回転体と、
   前記第１回転体と軸方向に対向する位置において前記回転軸に対して相対回転可能に支持された第２回転体と、
   通電により発生する電磁吸引力に基づき前記第１回転体及び前記第２回転体の一方をアーマチャとして軸方向移動させることにより前記第１回転体と前記第２回転体とを圧接してトルク伝達可能に連結させる電磁石と、
   前記第１回転体又は前記第２回転体の少なくとも一方の外周に設けられたギヤ部と、
   を備える電磁クラッチ。
2. 請求項１に記載の電磁クラッチにおいて、
   前記第１回転体又は前記第２回転体の一方に前記駆動トルクが入力される前記ギヤ部を備えること、を特徴とする電磁クラッチ。
3. 請求項１又は請求項２に記載の電磁クラッチにおいて、
   前記第１回転体又は前記第２回転体の一方に前記駆動トルクを出力する前記ギヤ部を備えること、を特徴とする電磁クラッチ。
4. 請求項１〜請求項３の何れか一項に記載の電磁クラッチと、
   前記駆動トルクを発生するモータと、
   前記ギヤ部に噛合する駆動ギヤと、
   前記駆動ギヤと一体に回転する回転部材と、
   前記回転部材に巻き掛けられることにより該回転部材の回転に基づき車両の開閉体を駆動する駆動部材と、を備えた車両用開閉体駆動装置。