JP2021024629A - 収納袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗菌作用を良好に発揮しながら臭気を除去し、かつ、抗菌脱臭剤が脱落しにくい収納袋を提供する。【解決手段】内側から不織布層と樹脂層とを順次有する収納袋であって、前記不織布層が、(1)熱可塑性樹脂を主成分とする不織布と、(2)無機シリカ系粉末、及び水溶液若しくは分散液のpHが12以上となるアルカリ性粉末を含む抗菌脱臭剤と、(3)非水溶性バインダー樹脂とを含み、前記樹脂層が熱可塑性樹脂を主成分とする、収納袋である。【選択図】図1

Description

本発明は収納袋に関する。
いわゆる異臭若しくは悪臭といった臭気には様々なものがあり、例えば、生物の死骸や死骸を構成する成分の一部が付着したような物品等からの臭気は、腐敗により時間と共に増加する。したがって、通常利用されているビニール袋にこれらを収容した場合、その周辺環境では異臭若しくは悪臭が問題となり得る。また、臭いの問題とともに細菌増殖の問題にも配慮する必要がある。
例えば、特許文献1では廃棄物の回収袋等として使用した際に優れた消臭作用と抗菌作用を発揮する安価な消臭抗菌シートの回収袋が提案されている。
登録実用新案第3087610号公報
しかし、特許文献1の回収袋は、具体的にはクラフト紙に消臭剤と抗菌剤を塗工したもので、クラフト紙を使用している点で、耐水性が無い、樹脂フィルムと接着させた際の接着強度が劣る、生地強度が劣るといったデメリットがある。
また、内側に付着させた消臭剤や抗菌剤が脱落すると収納物を汚染してしまうため、これらの付着性は高くする必要がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、抗菌作用を良好に発揮しながら臭気を除去し、かつ、抗菌脱臭剤が脱落しにくい収納袋を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは、特定の不織布層と樹脂層との組み合わせにより、抗菌作用を良好に発揮しながら臭気を除去し、かつ、抗菌脱臭剤が脱落しにくい収納袋が得られることを見出し本発明に想到した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1] 内側から不織布層と樹脂層とを順次有する収納袋であって、前記不織布層が、(1)熱可塑性樹脂を主成分とする不織布と、(2)無機シリカ系粉末、及び水溶液若しくは分散液のpHが12以上となるアルカリ性粉末を含む抗菌脱臭剤と、(3)非水溶性バインダー樹脂とを含み、前記樹脂層が熱可塑性樹脂を主成分とする、収納袋。
[2] 前記不織布層と前記樹脂層とが直接接着してなる接着部を有する[1]に記載の収納袋。
[3] 前記接着部の接着力が、15N/3cm以上である[1]又は[2]に記載の収納袋。
[4] 前記不織布がスパンボンド不織布である[1]〜[3]のいずれかに記載の収納袋。
[5] 前記非水溶性バインダー樹脂が酢酸ビニル系樹脂である[1]〜[4]のいずれかに記載の収納袋。
[6] 前記抗菌脱臭剤100質量部に対する前記非水溶性バインダー樹脂の配合割合が、30〜600質量部である[1]〜[5]のいずれかに記載の収納袋。
[7] 前記アルカリ性粉末と前記無機シリカ系粉末との合計に対する、前記アルカリ性粉末の含有量が10〜90質量%である[1]〜[6]のいずれかに記載の収納袋。
[8] 前記アルカリ性粉末が、消石灰粉末及び/又はドロマイト系粉末である[1]〜[7]のいずれかに記載の収納袋。
[9] 前記不織布層と該不織布層上に形成された樹脂層とを含む前記収納袋の一部の収納袋片のpHが11.5以上である[1]〜[8]のいずれかに記載の収納袋。
本発明によれば、抗菌作用を良好に発揮しながら臭気を除去し、かつ、抗菌脱臭剤が脱落しにくい収納袋を提供することができる。
本発明の収納袋の一態様を示す正面からの斜視図である。 本発明の収納袋の一態様における積層状態を説明する部分断面図である。
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[収納袋]
本実施形態の収納袋を図1に例示する。収納袋10は、底部12と側部14と開口部を形成する上部16とを有している。収納袋10は、図2に示すように、内側から不織布層20と樹脂層22とを順次有する。
不織布層は、(1)熱可塑性樹脂を主成分とする不織布と、(2)無機シリカ系粉末、及び水溶液若しくは分散液のpHが12以上となるアルカリ性粉末(以下、単に「アルカリ性粉末」ということがある)を含む抗菌脱臭剤と、(3)非水溶性バインダー樹脂とを含むため、臭気を発し腐敗しやすい収納物が収納されても、抗菌作用を良好に発揮しながら臭気を除去することができる。また、非水溶性バインダー樹脂により不織布層に抗菌脱臭剤を固定化しているため、抗菌脱臭剤が脱落しにくくなり、脱落した抗菌脱臭剤で収納物を汚染することがない。さらに、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層が不織布層の外側にあるため、袋の補強性を高めることが可能で、かつ、臭気や液分が外に漏れない、耐水性を有する、樹脂フィルムと接着させた際の接着強度が高い、生地強度が高いといった利点を有する。
また、不織布層の不織布と樹脂層は共に熱可塑性樹脂を主成分としているため、これらを直に接着することが可能で、不織布層と樹脂層との密着性を高めることができる。
図1に示す収納袋10は、例えば、不織布層と樹脂層とが接着している接着部14Aが形成されている。これにより、不織布層と樹脂層とが直接接着し、不織布層と樹脂層との一体性が高まる。また、収納袋10の上端付近には封緘部18があり、これにより収納物が収納された収納袋10の内部が密封される。封緘部18としては、例えば、チャック等が挙げられる。
なお、一定期間完全に密封する必要がある場合はチャック等を設けず、収納物を収納した後、開口部を融着してもよい。この場合、開封する場合は切断等の処理を行えばよい。
密封性の観点から、接着部14Aは超音波融着で接着された超音波融着部であることが好ましく、封緘部18の接着部(例えば、チャックが接着される接着部)も超音波融着部であることが好ましく、全ての接着部が超音波融着部であることがより好ましい。
超音波融着部における接着力は、15N/3cm以上であることが好ましく、20N/3cm以上であることがより好ましい。接着力が15N/3cm以上であることで収納袋10の密封性をより高めることができる。接着力は、実施例に記載の方法で測定することができる。
また、接着部の周辺部は平坦であることが好ましい。周辺部が波打っていると、外観を損なってしまう。なお、接着部の周辺部が平坦であるとは、接着部と周辺部(接着部から10mm離れた箇所)との高さの差が±0.5mm以内、好ましくは±0.3mm以内をいう。接着部が超音波融着部であればこの条件を満たしやすい。
不織布層の厚さ(特に、接着部以外の厚さ)は、抗菌脱臭剤を十分に付着させ、かつその脱落を防ぐ観点から、0.10〜0.50mmであることが好ましく、0.15〜0.30mmであることがより好ましい。樹脂層の厚さは、補強性と柔軟性の両立の観点から、20〜70μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。
以下では、本実施形態の収納袋にかかる不織布層及び樹脂層等について、より詳細に説明する。
(不織布層)
まず、不織布層の不織布は、既述のとおり、熱可塑性樹脂を主成分とする。また、無機シリカ系粉末及びアルカリ性粉末を含む抗菌脱臭剤と、非水溶性バインダー樹脂とを含む。ここで、「熱可塑性樹脂を主成分とする」の「主成分」とは、不織布の50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは100%が熱可塑性樹脂で構成されていることをいう。抗菌脱臭剤は不織布の表面全体に、又は表面に散在的に存在する。散在的に抗菌脱臭剤が存在されている場合は、当該表面に不織布シートを構成する繊維が露出することになる。
本実施形態においては、非水溶性バインダー樹脂により抗菌脱臭剤が、不織布に固定化されているが、この非水溶性バインダー樹脂を用いることで、例えば、水溶性バインダー樹脂を用いるよりも抗菌脱臭剤を強く固定化できる。すなわち、水溶性バインダー樹脂を用いる場合は、水分に接触すると表面にべとつきが生じ、摩擦により抗菌脱臭剤が容易に脱落することが懸念されるが、非水溶性バインダー樹脂ではそのようなことはなく、安定して抗菌脱臭剤を固定化することができる。
熱可塑性樹脂を主成分とする不織布の繊維(熱可塑性樹脂繊維)を構成する当該熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、及び、これらを主体とした共重合体等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンタレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレタレート(PBT)、及び、これらを主体とした共重合体等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6等が挙げられる。アクリルとしては、ポリアクリルニトリル(PAN)等が挙げられる。なかでも、ポリプロピレン(PP)が好ましい。
(1)不織布:
不織布を構成する繊維としては、熱可塑性樹脂繊維とともに他の繊維を用いることができる。他の繊維としては、例えば、天然繊維(例えば、パルプ、羊毛、コットン等)、再生繊維(例えば、レーヨン、アセテート等)、無機繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維等)等が挙げられる。なお、他の繊維は本発明の効果を阻害しない範囲で使用する。
本実施形態に係る不織布の目付は、取扱い性や柔軟性等の観点から、10〜150g/mであることが好ましく、15〜100g/mであることがより好ましく、20〜60g/mであることがさらに好ましい。
不織布の製造には、通常の不織布製造技術を採用することができる。
具体的には、ウェブ形成方法としては、スパンボンド法、湿式法、乾式法、エアーレイド法、メルトブロー法等が挙げられる。なかでも、スパンボンド法により得られるスパンボンド不織布は、気密性が高いため、樹脂層と接着する際の接着面積が大きくなり、その接着強度をより高くすることができるため好ましい。
(2)抗菌脱臭剤:
例えば、生物の死骸等のように腐敗しやすいものを収納物とする際には、アンモニアガス及び硫化水素ガスといった臭気ガスが発生する。それぞれを吸着により別々に除去する手段はあるが、これらはそれぞれアルカリ性及び酸性であるため、同時に除去することは通常は難しい。また、腐敗により菌が繁殖するため、脱臭と同時に抗菌できれば衛生管理や快適性の観点から非常に有意である。
本発明者らは、アルカリ性粉末により硫化水素ガスのような酸性の臭気を補足し、無機シリカ系粉末によりアンモニアガスのようなアルカリ性の臭気を補足し、かつ、これらにより抗菌をも実現できることを見出した。これらの粉末により抗菌作用をも発揮できるメカニズミムについては、不明な点が多いが、おそらく、無機シリカ系粉末に付着若しくは吸着した水分がアルカリ性粉末表面に接触することで、アルカリ性粉末の強アルカリ性が発現しやすくなり、優れた抗菌効果とともに臭気除去の効果が得られると推測される。
アルカリ性粉末は、これを100mlの純水に10g添加し、3分程度撹拌して溶解もしくは分散した際のpHが12以上となる粉末で、例えば、消石灰、生石灰、ドロマイト系化合物等が挙げられる。
上記のなかでも、消石灰粉末及び/又はドロマイト系化合物(特に、水酸化ドロマイト)が、コスト及び取り扱い性の観点から好ましい。
ここで、ドロマイト系化合物(「ドロマイト系粉末」ともいう)としては、ドロマイトから誘導される化合物で、例えば、軽焼ドロマイト、水酸化ドロマイト等が挙げられる
ドロマイト(Dolomite)は、カルサイト(Calcite)と呼ばれる炭酸カルシウム(CaCO)と、マグネサイト(Magnesite)と呼ばれる炭酸マグネシウム(MgCO)との、理想的には1:1の複塩である。成分的にみれば、これはカルサイトとマグネサイトとの中間に位置する物質である。ドロマイトを比較的温和な条件で加熱すれば、脱炭酸反応が起こって、「軽焼ドロマイト」と呼ばれる酸化カルシウム(CaO)と酸化マグネシウム(MgO)との酸化物の複塩が得られる。軽焼ドロマイトに水を加えて消化すれば、水酸化カルシウム(Ca(OH))と水酸化マグネシウム(Mg(OH))との水酸化物の複塩である、水酸化ドロマイトが得られる。水酸化ドロマイトには、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄等の他の成分を本発明の効果を妨げない範囲で含有していてもよい。
水酸化ドロマイトに含まれる水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムとの質量比〔Ca(OH)/Mg(OH)質量比〕は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜85/15がより好ましく、40/60〜80/20がさらに好ましい。この質量比が上記の範囲であれば、カルシウム成分、マグネシウム成分両者の特性を十分に生かせることになる。
上記水酸化ドロマイトとしては、JIS R9001に規定する特号及び1号の水酸化ドロマイトが好適である。
また、水酸化ドロマイトの原料として、軽焼ドロマイトを用いることができる。この軽焼ドロマイトとしては、JIS R9001に規定する特号及び1号の軽焼ドロマイトが好適である。軽焼ドロマイトは、処理対象物や原料中に含まれる水と反応して消化により水和され、水酸化ドロマイトに変化する。そのため、水酸化ドロマイトを調製する工程を省略して軽焼ドロマイトをそのまま用いても水酸化ドロマイトによる効果が発揮される。
アルカリ性粉末のBET比表面積は、0.5〜60m/gであることが好ましく、10〜60m/gであることがより好ましい。0.5〜60m/gであることで、臭気ガスとの接触(吸着)面積を維持することができる。本明細書におけるBET比表面積は、窒素吸着によるBET法により、窒素の吸着量から1点法により算出される比表面積を意味する。
アルカリ性粉末の平均粒子径(メジアン径(d50))は、2〜40μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。2〜40μmであることで、臭気ガスとの接触(吸着)面積を維持することができる。本明細書におけるメジアン径(d50)は、レーザ回折散乱法によって求めた粒度分布における粒子個数の積算値が50%となる粒子径(d50)を意味する。
また、塗工性や脱落防止性を考慮すると、篩い分けによるアルカリ性粉末の最大粒径は150μm以下であることが好ましい。
無機シリカ系粉末とは、化学成分としてシリカを含有する無機粉末である。
無機シリカ系粉末としては、活性白土、酸性白土、珪藻土、シリカゲル、頁岩(特に、膨張性頁岩を焼成したもの)、パーライト、アロフェン、ゼオライト等といった、化学成分としてシリカを含む粉末が挙げられる。なかでも、無機シリカ系粉末が、水溶液若しくは分散液のpHが6以下となる無機シリカ系酸性粉末であることが好ましい。無機シリカ系酸性粉末とは、これを100mlの純水に10g添加し、3分程度撹拌して溶解もしくは分散した際のpHが6以下(好ましくは4以下、より好ましくは3以下)となる粉末をいう。無機シリカ系酸性粉末とすることでアルカリ性粉末との相乗効果が得られやすい。
具体的な無機シリカ系酸性粉末としては、好ましくは、活性白土、珪藻土等が挙げられる。
無機シリカ系粉末のBET比表面積は、70〜200m/gであることが好ましく、90〜190m/gであることがより好ましい。70〜200m/gであることで、臭気ガスとの接触(吸着)面積を維持することができる。
無機シリカ系粉末の平均粒子径(メジアン径(d50))は、10〜200μmであることが好ましく、20〜190μmであることがより好ましい。10〜200μmであることで、臭気ガスとの接触(吸着)面積を維持することができる。
また、塗工性や脱落防止性を考慮すると、篩い分けによる無機シリカ系粉末の最大粒径は150μm以下であることが好ましい。
無機シリカ系粉末の細孔容積は、0.1〜0.5cm/gであることが好ましく、0.2〜0.4cm/gであることがより好ましい。0.1〜0.5cm/gであることで、臭気ガスとの接触(吸着)面積を維持することができる。細孔容積は、ガス吸着式細孔分布測定器「NOVA−4200」(株式会社セイシン企業製)により測定することができる。
無機シリカ系粉末の陽イオン交換容量(C.E.C)は、10〜200meq/100gであることが好ましく、10〜100meq/100gであることがより好ましく、10〜50meq/100gであることがさらに好ましい。陽イオン交換容量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
ここで、活性白土は、モンモリロン石を主体とするいわゆるベントナイトや酸性白土等を硫酸等で酸処理を施して活性を高めた粘土鉱物誘導体である。例えば、上記ベントナイトや酸性白土を常温で乾かし粉末とし、これを常圧又は加圧のもとで90℃以上の温度で硫酸等の酸の適当量で加熱する。その後、濾別・洗浄し、120〜200℃で乾燥させたものが用いられる。活性白土は、表面活性を高めるために硫酸等の酸処理が行われていることから、またその表面の分子の配向状態から強い酸性が示される。
活性白土の市販品としては、例えば、活性白土SA35、SA1、T、R−15、E、ニッカナイトG−36、G−153、G−168(いずれも日本活性白土(株)製);ガレオンアース(NVZ、NF2、NFX、V2)、ミズカエース(いずれも水澤化学工業(株)製);等が挙げられる。
また、珪藻土はケイ藻が堆積したシリカを主成分とする天然物質であり、良好な細孔容積の点から北海道稚内地方で産出する稚内珪藻土が好ましいが、もちろん稚内地方以外において産出したものも使用できる。
アルカリ性粉末と無機シリカ系粉末との合計に対する、アルカリ性粉末の含有量は、10〜90質量%であることが好ましく、25〜75質量%であることがより好ましい。10〜90質量%であることで、臭気の除去及び抗菌作用を良好に発揮できる。
抗菌脱臭剤中のアルカリ性粉末と無機シリカ系粉末との合計量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%であることがより好ましい。90質量%であることで、臭気の除去及び抗菌作用を良好に発揮できる。
アルカリ性粉末及び無機シリカ系粉末以外に、活性炭といった粉末を含有してもよい。
かかる粉末の平均粒子径(メジアン径(d50))は、10〜200μmであることが好ましく、20〜190μmであることがより好ましい。
本発明の抗菌脱臭剤の一態様としては、既述のアルカリ性粉末と、既述の無機シリカ系粉末とを混合することで調製することができる。混合方法としては特に限定されない。
(3)非水溶性バインダー樹脂:
本発明でいう非水溶性バインダー樹脂とは、不織布層を形成した際に抗菌脱臭剤を固定化でき、水に実質的に溶解しないバインダー樹脂をいう。また、「実質的に溶解しない」とは、具体的には、樹脂1gを水100gに入れ、25℃で24時間撹拌したときに、目視で沈殿が確認される状態をいう。
非水溶性バインダー樹脂としては、酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。ここで、「酢酸ビニル系樹脂」とは、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル及びこの酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体を共重合してなる共重合体(例えば、酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂)をいう。非水溶性バインダー樹脂としては、酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましく、酢酸ビニル系樹脂がより好ましい。
またこれらは、例えばトルエン、メタノール、エタノール、酢酸エチル等の水以外の溶媒に溶解しているものが使用されることが多い。
抗菌脱臭剤100質量部に対するバインダー樹脂の配合割合は、25〜600質量部であることが好ましく、30〜600質量部であることがより好ましく、30〜550質量部であることがさらに好ましい。配合割合が25〜600質量部であることで、抗菌脱臭剤を良好に固定化しその脱落を防ぐことができる。
(樹脂層)
本実施形態に係る樹脂層は熱可塑性樹脂を主成分とする。ここで、「熱可塑性樹脂を主成分とする」の「主成分」とは、樹脂層の50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは100%が熱可塑性樹脂で構成されていることをいう。また、樹脂層は樹脂フィルムから構成されるものを含む。
樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、種々公知の熱可塑性樹脂、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー等が挙げられる。
これらのうちで、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が、剛性、透明性に優れる点で好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィンが軽量でフィルム加工性に優れるためより好ましく、耐熱性、剛性の観点からポリプロピレンがさらに好ましい。
なお、樹脂層には、本発明の効果を損なわない範囲で耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料等の通常熱可塑性樹脂に添加される各種添加剤の他、タルク、珪藻土、などの各種フィラー類を添加しておいてよい。
[収納袋の製造方法]
本実施形態の収納袋は、例えば、不織布に既述の抗菌脱臭剤と非水溶性バインダーを含む塗工液を塗布し乾燥する工程(塗布乾燥工程)、乾燥後の不織布(抗菌脱臭シート)と樹脂層となる樹脂シートとを貼り合わせて積層シートを作製する工程(積層工程)、積層シートから袋体を作製する工程(製袋工程)を順次経て製造することができる。
(塗布乾燥工程)
塗布乾燥工程では、まず、既述の抗菌脱臭剤と非水溶性バインダーを含む塗工液を作製する。抗菌脱臭剤における無機シリカ粉末とアルカリ性粉末の混合比や、抗菌脱臭剤と非水溶性バインダーとの割合等は既述のとおりである。
次に、塗工液を不織布に塗布し乾燥させる。
不織布に塗工液を塗布する方法としては、特に限定されないが、コンマコーター、ナイフコーター、グラビアコーター等のコーティング法や、フレキソ印刷等を用いた方法が好ましい。この他、(フラット)スクリーンプリント、ロータリー(スクリーン)プリント、インクジェット、スプレー、Tダイ等を用いた方法も挙げられる。なかでも、グラビアコーティング法を用いることが好ましい。グラビアコーティング法であれば、他の塗布方法、特にディッピング法やナイフ法、ロール法と比較して、抗菌脱臭シートが良好な柔軟性を有するようになる。
グラビアコーティング法の場合、そのグラビア深度(版深度)は50〜210μmであることが好ましく、具体的には、グラビア深度が60μm、90μm、150μm、200μmのグラビアロールが好ましい。
また、塗工液の塗布量としては、10〜100g/mであることが好ましく、10〜80g/mであることがより好ましい。このとき、塗工液中の抗菌脱臭剤の塗布量としては、3〜90g/mであることが好ましく、5〜70g/mであることがより好ましい。
上記いずれかの方法で不織布に塗工液を塗布した後は、公知の乾燥を行う。
当該方法としては、熱風および赤外線により乾燥させる方法、熱源に接触させて乾燥させる方法等を用いてよく、気温や湿度によっては自然乾燥でもよい。ただし、自然乾燥だと抗菌脱臭剤が空気中の水分や二酸化炭素を吸収し、その効果を低減させてしまう場合がある。したがって、80〜150℃程度で乾燥することが好ましい。
ここで、不織布層となる、上記乾燥後の不織布(抗菌脱臭シート)のpHは、11.5以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましい。pHが11.5以上であることで、良好な抗菌作用を発揮させることができる。なお、抗菌脱臭シートのpHは実施例に記載の方法で測定することができる。
また、抗菌脱臭シートのpHが11.5以上であれば、不織布層とこの不織布層上に形成された樹脂層とを含む収納袋の一部の収納袋片のpHが11.5以上(好ましくは12以上)となる。
(積層工程)
積層工程では、抗菌脱臭シートと樹脂層となる樹脂シートとを貼り合わせて積層シートを作製する。なお、樹脂層の材質等は既述のとおりである。
積層シートを作製する際の積層方法としては、例えば、超音波融着装置を用いた超音波融着を適用することが好ましい。超音波溶着により、既述の接着力や良好な外観が得られやすくなる。
超音波融着装置は、超音波振動を発振する超音波発振器とその超音波発振器に取り付けられた超音波振動ホーンとを備え、接合する材料に超音波振動ホーンを押し付けて振動させ、対象物を発熱させて溶着するものである。
超音波融着における発振周波数は25〜35kHz、加圧力は0.5kN〜5kN、加圧時間は0.1〜20秒であることが好ましいが、使用する材質や厚み等により適宜条件が設定される。
(製袋工程)
製袋工程では積層シートから袋体を作製する。
袋体としては、1枚の積層シートを背中と底で貼り合わせた合掌袋、厚みを持たせるため、合掌袋の側面にマチ(折り込み)を入れたガゼット袋、積層シートを半分に折り、折り部を底部として、両側をシールした二方袋、2枚の積層シートの底と側面の三方を貼り合わせた三方袋等、所望の形態となるように、溶着処理で接着して作製する。
ここで、溶着処理としては、高い接着力を得る観点から、超音波溶着を採用することが好ましい。
以上のような工程と、適宜公知の工程を経て本実施形態に係る収納袋が作製される。
[収納袋の使用方法]
本実施形態の収納袋は、収納物を収納し開口部を封止すればよい。封止方法としては、既述のとおり、開口部内側にチャックを設けてこれを閉じてもよく、圧着等で接着してもよい。
ここで収納物としては、例えば、アンモニアガス及び硫化水素ガスを含む臭気(場合によっては酢酸ガスが含まれることもある)を発生し、腐敗に伴う菌の増殖が懸念されるものが好適である。具体的には、ペットの死骸処理、家畜の死骸、体液や肉片等のような死骸を構成する成分の一部が付着している遺留品等が挙げられるが、これらの限定されるものでない。
なお、臭気としては、アンモニアガス、硫化水素ガス、及び酢酸ガスの他に、メチルメルカプタン、トリメチルアミン、スカトール等が発生することもある。そして、そのような臭気発生源には、通常、腐敗物が存在するものであるため、大腸菌、黄色ぶどう球菌、緑膿菌、サルモネラ菌等の少なくともいずれかの細菌が存在し、場合によっては、感染菌が存在することもある。
次に、実験例及び実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[抗菌脱臭剤についての実験例]
(無機シリカ系粉末によるアンモニアガス吸着試験)
無機シリカ系粉末として、活性白土粉末(日本活性白土(株)社製SA−1)、ゼオライト粉末(ジークライト(株)社製ジークライトSGW)、珪藻土粉末(有限会社 稚内グリーンファクトリー社製 珪藻土−0.7mm)のそれぞれ1gを秤量し、アンモニアガス吸着試験を行った。下記表1−1及び表1−2に上記無機シリカ系粉末の性状・物性、化学成分を示す。
Figure 2021024629
Figure 2021024629
本実施例におけるd50(粒度分布における粒子個数の積算値が50%となる粒子径)及びd90(粒度分布における粒子個数の積算値が90%となる粒子径)は、レーザ回折式粒度分布測定装置「SALD−2300」(株式会社島津製作所製)により測定した。
比表面積は、ガス吸着式細孔分布測定器「NOVA−4200」(株式会社セイシン企業製)を用いて、BET法により、窒素の吸着量から1点法により算出した。
細孔容積も、ガス吸着式細孔分布測定器「NOVA−4200」(株式会社セイシン企業製)を用いて、算出した。
pHは、それぞれの試料を10g採取し、これを100mlの純水中に添加してガラス棒を使って3分間よく撹拌した後、pHメータにて測定した。
また、化学成分は、JIS R9011の「石灰の分析方法」に規定された方法により測定した。
また、以下に陽イオン交換容量の測定方法を説明する。なお、下記説明において、「M」は「モル/リットル」、「L」は「リットル」、「mL」は「ミリリットル」を表す。
(1)試薬の調製
i)1M酢酸アンモニウム液
酢酸アンモニウム77.08gを1Lの純水に溶解し、その後、2Mのアンモニア水溶液と2Mの酢酸とで、pHを7に調整して、1M酢酸アンモニウム液を調製した。
ii)エタノール(0.8m/m
エタノール800mLに純水100mLを加えて、BTB試験紙によりアンモニア水でpHを7に調整した。
iii)塩化ナトリウム溶液(10質量%)
塩化ナトリウム100gに純水を加えて1Lとした。
(2)操作−交換−
試料0.1gを遠心管に分取した。そこへ1M酢酸アンモニウム液を40mL添加した。25℃の恒温槽中で適宜振り混ぜながら放置した。その後、5000rpmで遠心分離し上澄み液を捨てた。
(3)操作−洗浄−
次に、エタノール40mLを加えて振り混ぜ、5000rpmで遠心分離し上澄みを捨てた。この洗浄操作を4回繰り返した後、室温で乾燥させた。
(4)操作−浸出−
乾燥後、塩化ナトリウム溶液40mLを加え、25℃の恒温槽中で適宜振り混ぜながら24時間放置した。その後、5000rpmで遠心分離し上澄み液を採取し、純水にて50mLにメスアップした。
(5)測定
50mLに定容とした、浸透塩化ナトリウム溶液から正確に一定量(20ml)はかり、ブレムナー蒸留装置により、NH を定量して陽イオン交換容量を求めた。
また、当該吸着試験は、無機シリカ系粉末を充填したテドラーバッグ(5リットル)内にアンモニアガスが50ppmとなるように充填して5分後、10分後、30分後、60分後のそれぞれでガス検知管((株)ガステック製)を用いて、アンモニアガスの濃度を測定した。下記表2にはアンモニアガス吸着試験の結果を示す。なお、酸性粉末を使用しない場合(ブランク)の結果も併せて示す。
Figure 2021024629
表2より、いずれの無機シリカ系粉末も良好なアンモニアガス吸着特性を有していた。
(実験例1〜3)
・実験例1
アルカリ性粉末として下記表3に示す性状・物性の消石灰(吉澤石灰工業(株)製工業用特号消石灰)1gを用い、無機シリカ系粉末として、上記“無機シリカ系粉末によるアンモニアガス吸着試験”で使用した活性白土粉末1gを用い、これらを混合して抗菌脱臭剤を作製した。
Figure 2021024629
・実験例2
アルカリ性粉末として実施例1で使用した消石灰1gを用い、無機シリカ系粉末として、上記“無機シリカ系粉末によるアンモニアガス吸着試験”で使用したゼオライト粉末1gを用い、これらを混合して抗菌脱臭剤を作製した。
・実験例3
アルカリ性粉末として実施例1で使用した消石灰1gを用い、無機シリカ系粉末として、上記“無機シリカ系粉末によるアンモニアガス吸着試験”で使用した珪藻土1gを用い、これらを混合して抗菌脱臭剤を作製した。
・アンモニアガス吸着試験:
実験例1〜3で作製した抗菌脱臭剤をそれぞれ1g用いて、“無機シリカ系粉末によるアンモニアガス吸着試験”と同様にして、アンモニアガス吸着試験を行った。結果を下記表4に示す。
Figure 2021024629
表4より、いずれの抗菌脱臭剤も良好なアンモニアガス吸着特性を有しており、実験例1,3の抗菌脱臭剤は特に優れていた。
・硫化水素ガス吸着試験:
アンモニアガスを硫化水素ガスとし、硫化水素ガス濃度を20ppmとした以外は、上記“・アンモニアガス吸着試験”と同様にして、実施例1〜3で作製した抗菌脱臭剤をそれぞれ1g用いて、硫化水素ガス吸着試験を行った。結果を下記表5に示す。
Figure 2021024629
表5より、いずれの抗菌脱臭剤も良好な硫化水素ガス吸着特性を有していた。
(実験例4〜7及び比較実験例1,2)
消石灰と活性白土との割合を下記表6のとおりにした以外は実験例1と同様にして抗菌脱臭剤を作製した。作製した各抗菌脱臭剤を1g用いて、実験例1と同様にアンモニアガス吸着試験及び硫化水素ガス吸着試験を行った。結果を下記表6及び表7示す。
Figure 2021024629
Figure 2021024629
・抗菌試験:
「JIS Z 2801:2012 抗菌加工製品・抗菌性試験方法・抗菌効果」を参考にした試験方法によって、実験例1、実験例4〜6、比較実験例1、2の抗菌脱臭剤(20g)を収納したパック(試験品)の各種細菌に対する常温下(25℃)での抗菌効果を調べた。具体的には下記のようにして試験を行った。
(1)試験品の清浄化
試験品の両面にパルスドキセノンランプ(コメット,BHX−200)をそれぞれ20秒間照射して清浄化した。
(2)試験条件
i)作用温湿度:25±1℃、90%RH以上
ii)作用時間:直後(無加工試験品のみ)、24時間
(3)試験菌及び試験菌液の調製
i)試験菌
a)Escherichia coli NBRC3972(大腸菌)
b)Staphylococcus aureus NBRC12732(黄色ぶどう球菌)
ii)試験菌液の調製
凍結保存された菌株を普通寒天培地(日水製薬)で35±1℃、24時間培養した。この培養菌を新たな普通寒天培地に移植して、35±1℃で19時間培養した。発育した集落をかき取り、1/500濃度の普通ブイヨン培地(栄研化学)で約10個/mLに調製し、これを試験菌液とした。
(4)試験方法
試験方法は「JIS Z 2801:2012 抗菌加工製品・抗菌性試験方法・抗菌効果」を参考にした。詳細を以下に示す。
i)試験菌液の接種と培養
試験品をシャーレに入れ、試験品表面全体に試験菌液0.4mLを9箇所滴下した。滴下した試験菌液が浸み込んだ後、パック内の内容物と菌液の接触効率を高めるために、菌液接種面を裏返して、作用温湿度条件(25℃±1℃、90%RH)下で所定時間作用させた。
ii)菌数測定
所定時間作用後に予めSCDLPブイヨン培地(栄研化学)100mLを入れたストマッカー用減菌袋に試験品を回収し、試験品から試験菌を洗い出した。洗い出した液を菌数測定用試料液とした。試料液はリン酸緩衝生理食塩液を用いて希釈列を作製し、試料液原液及び希釈液の各1mLをシャーレに移し、標準寒天培地(日水製薬)約20mLと混合後、固化させて35±1℃で48時間培養した。培養後の発育集落を数えて、試験品あたりの試験菌数(定量下限値:100個/試験品)を求めた。また、得られた試験菌数から、無加工試験品を対照として、各抗菌加工品の抗菌活性値を求めた。
黄色ブドウ球菌対する試験結果を下記表8、表9に示し、大腸菌に対する試験結果を下記表10、表11に示す。
なお、抗菌活性値(R)は下記式から求めた。
式:R=(U−U)−(A−U)=U−A
R:抗菌活性値(数値は小数点以下2桁目を切り捨て、小数点1桁で表示)
:無加工試験品の接種直後の生菌数の対数値
:無加工試験品の各作用時間後の生菌数の対数値
:抗菌加工品の各作用時間後の生菌数の対数値
Figure 2021024629
Figure 2021024629
Figure 2021024629
Figure 2021024629
両試験菌共に、各実験例においては24時間作用後に定量下限値未満となった。大腸菌の抗菌活性値は全実施例で4.4、黄色ブドウ球菌は3.5であった。
参考とした試験規格「JIS Z 2801」における「抗菌効果」は、試験菌である大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する24時間作用における抗菌活性値が2.0以上とされており、これを鑑みれば、実験例に係る抗菌脱臭剤は優れた抗菌効果を発揮したことがわかる。
[抗菌脱臭シートについての実験例]
(実験例7〜12及び比較実験例3,4)
下記抗菌脱臭剤と、下記バインダー樹脂とを下記表12に示す配合にて混合して抗菌脱臭剤含有樹脂組成物(塗工液)を作製した。これを不織布シートの一方の面にグラビアコーティングにて塗布し、100〜105℃で、90〜100秒間乾燥し、抗菌脱臭剤含有樹脂領域を有する抗菌脱臭シートを作製した。
以下に、抗菌脱臭剤及びバインダー樹脂の概要について示す。
(1)抗菌脱臭剤:活性白土粉末(日本活性白土(株)社製SA−1)と工業用特号消石灰(吉澤石灰工業(株)製)との混合物(質量比1:1)。
(2)バインダー樹脂:
・ポリ酢酸ビニル;ビニロールSH(昭和電工(株)製)
・ポリウレタン;ウレタン接着剤 GOF−Vメジウム(大阪印刷インキ製造(株)製)
・ポリビニルピロリドン;クリージャス(第一工業製薬(株)製)
(3)不織布シート:実験例7〜11はスパンボンド不織布Aを用い、実験例12及び比較実験例3,4はスパンボンド不織布Bを用いた。不織布A、Bの詳細は下記のとおり。
・スパンボンド不織布A;ポリプロピレン製繊維、商品名:エルタスマスターPU5025(旭化成(株)製、厚み0.19mm)
・スパンボンド不織布B;ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの複合繊維、商品名:エルベスSO703WDO(ユニチカ(株)製)
実験例7〜12の抗菌脱臭シートについて、当該シートを4cm×4cm角に切り取り、これを純水50ml中に投入し、撹拌を行った後の溶液について、pHメータでpHを測定した(抗菌脱臭シートのpH測定)。結果を下記表12に示す。
各例において、抗菌脱臭剤が1gとなるサイズの抗菌脱臭シートを用いて、既述の実験例と同様に、アンモニア、及び硫化水素のそれぞれについてガス吸着試験を行った。また、酢酸についてのガス吸着試験(テドラーバッグ(5リットル)内の酢酸ガス濃度:100ppm)も同様にして行った。結果を下記表12に示す。
なお、経過時間60分後のガス濃度が5ppm未満の場合を○とし、5ppm以上10ppm未満の場合を△とし、10ppm超の場合を×とした。
また、抗菌脱臭シートについて、その作製後に、抗菌脱臭剤含有樹脂層を指で擦り、粉落ちするかどうかを調べた。結果を下記表13に示す。なお、粉が指に付着せず、脱落もしない場合を○とし、粉が指に付着したり、脱落したりした場合を×とした。
Figure 2021024629
Figure 2021024629
表12及び表13より、実験例7〜12に係る抗菌脱臭シートでは、抗菌脱臭作用が良好に発揮され、かつ抗菌脱臭剤が脱落することもなかった。
・抗菌試験:
「JIS Z 2801:2012 抗菌加工製品・抗菌性試験方法・抗菌効果」を参考にした試験方法によって、無加工不織布シート及び実験例10の抗菌脱臭シート(いずれも「試験品」と称することがある)の各種細菌に対する常温下(25℃)での抗菌効果を調べた。具体的には下記のようにして試験を行った。
なお、無加工不織布シート(「無加工試験品」ともいう)とは、実験例10の抗菌脱臭剤含有樹脂組成物を塗布する前の不織布である。
(1)試験品の清浄化
試験品の両面にパルスドキセノンランプ(コメット,BHX−200)をそれぞれ20秒間照射して清浄化した。
(2)試験条件
i)作用温湿度:25±1℃、90%RH以上
ii)作用時間:直後(無加工試験品のみ)、24時間
(3)試験菌及び試験菌液の調製
i)試験菌
a)Escherichia coli NBRC3972(大腸菌)
b)Staphylococcus aureus NBRC12732(黄色ぶどう球菌)
ii)試験菌液の調製
凍結保存された菌株を普通寒天培地(日水製薬)で35±1℃、24時間培養した。この培養菌を新たな普通寒天培地に移植して、35±1℃で18時間培養した。発育した集落をかき取り、1/500濃度の普通ブイヨン培地(栄研化学)で約10〜10個/mLに調製し、これを試験菌液とした。
(4)試験方法
試験方法は「JIS Z 2801:2012 抗菌加工製品・抗菌性試験方法・抗菌効果」を参考にした。詳細を以下に示す。
i)試験菌液の接種と培養
減菌シャーレ(直径90mm)に50mm角の被覆フィルム(ポリプロピレンフィルム)を置き、その上に試験品を設置した。試験品表面全体に試験菌液0.2mlを25箇所に分けて滴下した。滴下した試験菌液の上に50mm角の被覆フィルムを被せて、試験菌液が被覆フィルム全体に行きわたるように密着させた。菌液接種後の試験品を作用温湿度条件下で、24時間作用させた。なお、試験品は3個ずつ(n3)試験に供した。
ii)菌数測定
所定時間作用後に予めSCDLPブイヨン培地(栄研化学)10mLを入れたストマッカー用減菌袋に試験品及び被覆フィルムを回収し、試験品から試験菌を洗い出した。洗い出した液を試料液とした。
試料液はリン酸緩衝生理食塩液を用いて10倍希釈列を作製し、試料液原液及び希釈液の各1mLをシャーレに移し、標準寒天培地(日水製薬)約20mLと混合後、固化させて35±1℃で42〜44時間培養した。培養後の発育集落を数えて、試験品1cmあたりの試験菌数(定量下限値:0.63個/cm)を求めた。また、得られた試験菌数から、無加工試験品を対照として、各抗菌加工品の抗菌活性値を求めた。
大腸菌対する試験結果を下記表14に示し、黄色ブドウ球菌に対する試験結果を下記表15に示す。
なお、抗菌活性値(R)は下記式から求めた。
式:R=(U−U)−(A−U)=U−A
R:抗菌活性値(数値は小数点以下2桁目を切り捨て、小数点1桁で表示)
:無加工試験品の接種直後の生菌数の対数値の平均値
:無加工試験品の各作用時間後の生菌数の対数値の平均値
:抗菌加工品(実験例10)の各作用時間後の生菌数の対数値の平均値
Figure 2021024629
Figure 2021024629
参考とした試験規格「JIS Z2801」における「抗菌効果」は、試験菌である大腸菌や黄色ぶどう球菌に対する24時間作用における抗菌活性値が2.0以上とされている。表14、表15から明らかなように、実施例においては両試験菌に対して抗菌活性値が2.0を超えており、優れた抗菌効果が認められた。
また、抗菌脱臭剤からなる粉の状態よりも抗菌脱臭シートとした方が、抗菌効果が向上した。これは、抗菌脱臭シートとしたことで粉同士の間に隙間が生じ、粉の有効表面積が大きくなったためと考えられる。
[収納袋としての実施例(実施例1)]
実験例10の抗菌脱臭シートと樹脂層となる樹脂シートとを貼り合わせて積層シートを作製した。なお、樹脂シートとしては、サントックス−CP K 50μ(サン・トックス(株)製、厚さ:50μmのポリプロピレンシート)を用いた。
積層時の接着には超音波融着装置(ニチドー(株)製)による超音波融着を用いた。超音波融着における発振周波数は20kHz、加圧力は1〜2kN、加圧時間は0.8秒とした。また、接着部(超音波融着部)は図1に示すような格子状とした。
作製した積層シートを不織布層(抗菌脱臭シート)が内側になるように二つ折りにし、上端部内側にチャックを設け、チャックと積層シート、及び積層シートの両側辺側を上記超音波融着装置で超音波融着し、概略図1に示すような収納袋(縦800mm、横600mm)を作製した。超音波融着における発振周波数は20kHz、加圧力は1kN、加圧時間は0.8秒とした。
作製した収納袋において、超音波融着部を含むようにその一部を切り取り試験片とし、(株)島津製作所製のオートグラフAGS−Hによって、接着力を測定したところ、30N/3cmであった。
また、上記試験片を純水50ml中に投入し、撹拌を行った後の溶液について、pHメータでpHを測定したところ、使用した抗菌脱臭シートとほぼ同じpHであった。
また、超音波融着部とその周辺部(超音波融着部から10mm離れた箇所)との高さの差は、測定箇所10箇所でその平均値は±0.3mm以内であった。
[収納袋としての比較例(比較例1)]
スパンレース不織布であるコットエース(ユニチカ(株)製、コットン100%)を使用した以外は実験例10と同様にして、抗菌脱臭シートを作製した。このシートと樹脂層となる樹脂シートと(実施例1と同じ樹脂シート)を超音波融着により貼り合わせようとしたが、実用的な接着力は得られず、収納袋を作製することはできなかった。
10 収納袋
12 底部
14 側部
14A 接着部
16 上部
18 封緘部

Claims (9)

  1. 内側から不織布層と樹脂層とを順次有する収納袋であって、
    前記不織布層が、(1)熱可塑性樹脂を主成分とする不織布と、(2)無機シリカ系粉末、及び水溶液若しくは分散液のpHが12以上となるアルカリ性粉末を含む抗菌脱臭剤と、(3)非水溶性バインダー樹脂とを含み、
    前記樹脂層が熱可塑性樹脂を主成分とする、収納袋。
  2. 前記不織布層と前記樹脂層とが直接接着してなる接着部を有する請求項1に記載の収納袋。
  3. 前記接着部の接着力が、15N/3cm以上である請求項2に記載の収納袋。
  4. 前記不織布がスパンボンド不織布である請求項1〜3のいずれか1項に記載の収納袋。
  5. 前記非水溶性バインダー樹脂が酢酸ビニル系樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の収納袋。
  6. 前記抗菌脱臭剤100質量部に対する前記非水溶性バインダー樹脂の配合割合が、30〜600質量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載の収納袋。
  7. 前記アルカリ性粉末と前記無機シリカ系粉末との合計に対する、前記アルカリ性粉末の含有量が10〜90質量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の収納袋。
  8. 前記アルカリ性粉末が、消石灰粉末及び/又はドロマイト系粉末である請求項1〜7のいずれか1項に記載の収納袋。
  9. 前記不織布層と該不織布層上に形成された樹脂層とを含む前記収納袋の一部の収納袋片のpHが11.5以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の収納袋。

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