JP2021021140A - ニッケル基合金の射出成型品及びニッケル基合金の射出成型品の製造方法 - Google Patents

ニッケル基合金の射出成型品及びニッケル基合金の射出成型品の製造方法 Download PDF

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研二 鈴木
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Kentaro Shindo
健太郎 新藤
俊太郎 寺内
Shuntaro Terauchi
俊太郎 寺内
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Hisashi Kitagaki
壽 北垣
和樹 花見
Kazuki HANAMI
和樹 花見
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Tadayuki Hanada
忠之 花田
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Abstract

【課題】高温強度が高いニッケル基合金、これを用いたタービン翼及びニッケル基合金の射出成型品の製造方法を提供すること。【解決手段】ニッケル基合金10は、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と、ニッケルと、アルミニウムと、炭素と、を含む。ニッケル基合金10は、複数の結晶粒12と、複数の析出物16と、を有する。ニッケル基合金10は、各結晶粒12の間、すなわち各結晶粒12の境界が結晶粒界14となる。結晶粒12は、ニッケルを主成分とする結晶である。析出物16は、結晶粒界14に析出している。析出物16は、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と炭素とを含む炭化物を有する。この炭化物は、径が0.1μm以上10μm以下、かつ、アスペクト比が3以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、ニッケル基合金の射出成型品及びニッケル基合金の射出成型品の製造方法に関する。
高温の環境下で使用される部材、例えば、航空エンジンまたは原動機等のガスタービンのタービン翼またはターボチャージャに用いられるタービン翼には、ニッケルを主成分とするニッケル基合金が使用されているものがある。ニッケル基合金には、例えば、アルミニウムを含有するニッケル基合金がある。アルミニウムを含有するニッケル基合金には、γプライム析出物と呼ばれるNiAl(トリニッケルアルミナイド)の合金相の粒子を析出させる構造を有する析出強化型ニッケル基合金がある。析出強化型ニッケル基合金は、高温における強度が高い。特許文献1には、熱処理等の所定の処理を施すことにより、γプライム析出物の析出状態を制御する析出強化型ニッケル基合金の製造方法が記載されている。
特公昭58―37382号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、製造に手間がかかる場合、製造に制約が生じる場合がある。また、製造されるニッケル基合金の高温強度が十分ではないことがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高温強度が高いニッケル基合金、これを用いたタービン翼及びニッケル基合金の射出成型品の製造方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のニッケル基合金は、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と、ニッケルと、アルミニウムと、炭素と、を含み、前記ニッケルを主成分とする結晶粒と、前記結晶粒の間である結晶粒界に析出し、径が0.1μm以上10μm以下、アスペクト比が3以上であり、かつ、前記金属元素と前記炭素とを含む炭化物と、を有することを特徴とする。
このニッケル基合金は、ニッケルを主成分とする結晶粒の結晶粒界に、径が0.1μm以上10μm以下、アスペクト比が3以上であり、金属元素と炭素とを含む炭化物が析出することにより結晶粒界が強くなるので、高温強度が高くなる。
本発明のニッケル基合金において、前記結晶粒界に析出し、径が0.1μm以上20μm以下、アスペクト比が3以上であり、かつ、前記ニッケルまたは前記ニオブと前記アルミニウムとを含む合金を含む金属析出物と、をさらに有することが好ましい。これにより、ニッケル基合金は、さらに結晶粒界が強くなるので、さらに高温強度が高くなる。
本発明のニッケル基合金において、前記アルミニウムは、含有割合が2質量%以上7質量%以下であることが好ましい。これにより、ニッケル基合金は、結晶粒界の析出物の析出量をより適切にすることができ、高温強度をより高くすることができる。
本発明のタービン翼は、本発明のニッケル基合金を用いることが好ましい。これにより、タービン翼は、高温強度が高くなる。
本発明のニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と、ニッケルと、アルミニウムと、炭素と、を含み、粒径が1μm以上50μm以下のニッケル基合金の粉末材料を、成形型に射出して射出成型品を形成する射出成型工程と、前記射出成型品を加熱して前記ニッケルを主成分とする合金を結晶化させて、前記ニッケルを主成分とする結晶粒と、前記結晶粒の間である結晶粒界に析出し、径が0.1μm以上10μm以下、アスペクト比が3以上であり、かつ、前記金属元素と前記炭素とを含む炭化物と、を有する結晶構造を生成する熱処理工程と、を有することを特徴とする。
このニッケル基合金の射出成型品の製造方法によれば、ニッケルを主成分とする結晶粒の結晶粒界に、径が0.1μm以上10μm以下、アスペクト比が3以上であり、金属元素と炭素とを含む炭化物が析出したニッケル基合金の射出成形品を製造することができるので、結晶粒界が強いニッケル基合金の射出成形品を製造することができ、高温強度が高いニッケル基合金の射出成型品を製造することができる。
本発明のニッケル基合金の射出成型品の製造方法において、前記熱処理工程は、さらに、前記結晶粒界に析出し、径が0.1μm以上20μm以下、アスペクト比が3以上であり、かつ、前記ニッケルまたは前記ニオブと前記アルミニウムとを含む合金を含む金属析出物と、をさらに有する結晶構造を生成することが好ましい。この方法により、金属析出物によりさらに結晶粒界が強いニッケル基合金の射出成型品を製造することができるので、さらに高温強度が高いニッケル基合金の射出成型品を製造することができる。
本発明のニッケル基合金の射出成型品の製造方法において、前記ニッケル基合金の粉末材料は、前記アルミニウムの含有割合が2質量%以上7質量%以下であることが好ましい。これにより、より高温強度が高いニッケル基合金の射出成型品を製造することができる。
本発明のニッケル基合金の射出成型品の製造方法において、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と、ニッケルと、アルミニウムと、炭素と、を含むニッケル基合金の材料を溶解及び混合してニッケル基合金のインゴットを作製し、前記インゴットの周囲を加熱し、一部を溶解させてニッケル基合金の液滴を生成し、前記液滴に冷却ガスを吹き付けて冷却し、前記ニッケル基合金の粉末材料を作製する工程と、をさらに含むことが好ましい。この方法により、高温強度が高いニッケル基合金の射出成型品を安定して製造することができる。
本発明によれば、高温強度が高いニッケル基合金を得ることができる。
図1は、本発明の一実施の形態に係るニッケル基合金の結晶構造の一例を示す図である。 図2は、ニッケル基合金の結晶粒界に析出している析出物の構造の一例を示す図である。 図3は、ニッケル基合金のインゴットの作製装置の構成の一例を示す図である。 図4は、ニッケル基合金の粉末材料の作製装置の構成の一例を示す図である。 図5は、ニッケル基合金の製造方法の工程の一例を示すフローチャートである。 図6は、実施例1のニッケル基合金の射出成型品の断面のSEM画像の一例を示す図である。 図7は、図6のSEM画像の点線枠内を拡大したSEM画像を示す図である。 図8は、図7のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるアルミニウムの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例を示す図である。 図9は、図7のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるニオブの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例を示す図である。 図10は、図7のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるモリブデンの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例を示す図である。 図11は、実施例1及び比較例1のニッケル基合金の射出成型品の高温における引張強度の測定結果を示すグラフである。 図12は、比較例1のニッケル基合金の射出成型品の断面のSEM画像の一例を示す図である。 図13は、図12のSEM画像の点線枠内を拡大したSEM画像を示す図である。 図14は、図13のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるアルミニウムの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例を示す図である。 図15は、図13のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるニオブの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例を示す図である。 図16は、図13のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるモリブデンの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態に係るニッケル基合金、このニッケル基合金を用いたタービン翼及びこのニッケル基合金の射出成型品の製造方法を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明は、本発明を限定するものではなく、適宜変更して実施可能である。
(ニッケル基合金)
図1は、本発明の一実施の形態に係るニッケル基合金10の結晶構造の一例を示す図である。以下、図1を用いて、ニッケル基合金10について説明する。ニッケル基合金10は、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びニオブ(Nb)のうち少なくともいずれか1つの金属元素と、ニッケル(Ni)と、アルミニウム(Al)と、炭素(C)と、不可避的不純物と、を含む。ニッケル基合金10は、ニッケルが主成分である。
ニッケル基合金10は、アルミニウムの含有割合が2質量%以上7質量%以下であることが好ましい。ニッケル基合金10は、クロムの含有割合が10質量%以上20質量%以下であることが好ましい。ニッケル基合金10は、モリブデンの含有割合が1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。ニッケル基合金10は、ニオブの含有割合が1質量%以上7質量%以下であることが好ましい。ニッケル基合金10は、炭素の含有割合が0.01質量%以上0.2質量%以下であることが好ましい。ニッケル基合金10は、例えば、INCONEL713C(INCONELは登録商標第0298860号)またはINCONEL718(INCONELは登録商標)と同等の成分であることが好ましい。
次に、ニッケル基合金10の結晶構造について説明する。ニッケル基合金10は、複数の結晶粒12と、複数の析出物16と、を有する。ニッケル基合金10は、各結晶粒12の間、すなわち各結晶粒12の境界が結晶粒界14となる。結晶粒12は、ニッケルを主成分とする結晶である。結晶粒12の粒径は、1μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がさらに好ましい。ここで、結晶粒12の粒径は、ニッケル基合金10の断面における結晶粒12の断面積と同等の面積の円の直径で求められる。
析出物16は、結晶粒界14に析出している。析出物16は、結晶粒界14に沿って膜状に点在して析出している。図2は、ニッケル基合金10の結晶粒界14に析出している析出物16の構造の一例を示す図である。析出物16は、炭化物16aと、金属析出物16bと、を有する。すなわち、炭化物16a及び金属析出物16bは、いずれも結晶粒界14に沿って膜状に点在して析出している。炭化物16aは、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と炭素とを含む。
炭化物16aは、径が0.1μm以上10μm以下であり、0.1μm以上5μm以下が好ましく、0.1μm以上2μm以下がさらに好ましい。ここで、炭化物16aの径は、ニッケル基合金10の断面における炭化物16aの断面積と同等の面積の円の直径で求められる。
炭化物16aは、結晶粒界14に沿って膜状に点在して析出しているので、アスペクト比が高いものも存在する。炭化物16aは、アスペクト比が3以上であり、3以上20以下が好ましい。ここで、炭化物16aのアスペクト比は、ニッケル基合金10の断面における炭化物16aの断面を楕円で近似して、その近似した楕円の長径と短径との比の値、すなわち(長径)/(短径)で求められる。
炭化物16aは、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素の一部と炭素の一部とを含んでいればよい。結晶粒12は、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素の一部または炭素の一部を含んでいてもよく、炭化物16aと同等の組成及び構成を有する炭化物を含んでいてもよい。
金属析出物16bは、ニッケルまたはニオブとアルミニウムとを含む合金を含む。金属析出物16bは、ニッケルとアルミニウムとを含む合金であるNiAl(トリニッケルアルミナイド)を主成分として含むγプライム析出物と、ニオブとアルミニウムとを含む合金であるNbAl(トリニオビウムアルミナイド)を主成分として含むγダブルプライム析出物と、が例示される。金属析出物16bは、ニッケル基合金10の各元素の含有割合によって、γプライム析出物とγダブルプライム析出物とのうちいずれか一方が結晶粒界14に析出する。金属析出物16bは、INCONEL713C(INCONELは登録商標)に例示されるように、ニッケル基合金10におけるアルミニウムの含有割合が高くニオブの含有割合が低い場合、γプライム析出物である。金属析出物16bは、INCONEL718(INCONELは登録商標)に例示されるように、ニッケル基合金10におけるアルミニウムの含有割合が低くニオブの含有割合が高い場合、γダブルプライム析出物である。以下では、金属析出物16bがγプライム析出物である場合について説明するが、金属析出物16bがγダブルプライム析出の場合も同様である。
金属析出物16bは、径が0.1μm以上20μm以下であり、0.1μm以上10μm以下が好ましい。ここで、金属析出物16bの径は、ニッケル基合金10の断面における金属析出物16bの断面積と同等の面積の円の直径で求められる。
金属析出物16bは、結晶粒界14に沿って膜状に点在して析出しているので、アスペクト比が低いものも存在する。金属析出物16bは、アスペクト比が3以上であり、3以上20以下が好ましい。ここで、金属析出物16bのアスペクト比は、ニッケル基合金10の断面における金属析出物16bの断面を楕円で近似して、その近似した楕円の長径と短径との比の値、すなわち(長径)/(短径)で求められる。
金属析出物16bは、ニッケルまたはニオブの一部とアルミニウムの一部とを含んでいればよい。結晶粒12は、ニッケルまたはニオブの一部またはアルミニウムの一部を含んでいてもよく、金属析出物16bと同等の組成及び構成を有する金属析出物を含んでいてもよい。
ニッケル基合金10は、結晶粒界14に炭化物16aが析出しているため、結晶粒界14が強い。そのため、ニッケル基合金10は、高温強度が高い、すなわち、高温での引っ張り強度が高く、高温でのクリープ特性が良い。また、ニッケル基合金10は、炭化物16aが結晶粒界14に沿って膜状に点在しているので、結晶粒界14が高温でも脆くはならず、粘り強い。また、ニッケル基合金10は、高温での伸びが下がり、高温で伸びにくくなる。
さらに、ニッケル基合金10は、結晶粒界14に金属析出物16bが析出してニッケル基合金10のすべりや転位を抑えることにより、すなわち析出硬化することにより、結晶粒界14がさらに強くなる。そのため、ニッケル基合金10は、さらに高温強度が高くなる、すなわち、高温での引っ張り強度がさらに高くなり、高温でのクリープ特性がさらに良くなる。また、ニッケル基合金10は、金属析出物16bが結晶粒界14に沿って膜状に点在しているので、結晶粒界14が高温でも脆くはならず、さらに粘り強くなる。また、ニッケル基合金10は、高温での伸びがさらに下がり、高温でさらに伸びにくくなる。
ニッケル基合金10は、アルミニウムの含有割合を1質量%以上とすることが好ましい。ニッケル基合金10は、アルミニウムの含有割合を1質量%以上とすることで、結晶粒界の析出物の析出量を適切にすることができ、高温強度を高くすることができる。ニッケル基合金10は、アルミニウムの含有割合を2質量%以上とすることがより好ましい。ニッケル基合金10は、アルミニウムの含有割合を2質量%以上とすることで、結晶粒界の析出物の析出量をより適切にすることができ、高温強度をより高くすることができる。
(タービン翼)
本発明の実施の形態に係るタービン翼は、本発明の実施の形態に係るニッケル基合金が用いられた射出成型品の一例である。本発明の実施の形態に係るタービン翼は、高温の環境下で使用される部材、例えば、航空エンジンまたは原動機等のガスタービンまたはターボチャージャに用いられるものであり、本発明の実施の形態に係るニッケル基合金10が材料として用いられることが好ましい。ニッケル基合金10が用いられたタービン翼は、材料として用いられているニッケル基合金10の結晶粒界14が強いので、高温強度が高い、すなわち、高温での引っ張り強度が高く、高温でのクリープ特性が良い。また、ニッケル基合金10が用いられたタービン翼は、高温でも脆くはならず、粘り強い。また、ニッケル基合金10が用いられたタービン翼は、高温での伸びが下がり、高温で伸びにくくなる。
(ニッケル基合金の射出成型品の製造方法)
図3は、ニッケル基合金のインゴット28の作製装置の構成の一例を示す図である。図4は、ニッケル基合金の粉末材料38の作製装置の構成の一例を示す図である。図5は、ニッケル基合金の射出成型品の製造方法の工程の一例を示すフローチャートである。以下、図3、図4及び図5を用いて、ニッケル基合金の射出成型品の製造方法について説明する。ここで、図3及び図4に示す各作製装置は、全自動で実行されるものでも良いし、オペレータが操作して実行するものであっても良い。また、図5に示す処理は、全自動で実行しても良いし、オペレータが各工程における操作をすることにより実行しても良い。本実施の形態の製造装置及び製造方法は、金属粉末射出成型(Metal Injection Molding、MIM)に関する装置及び方法を含むものであるので、成形型を用いる。成形型は、予め作製しておいても良いし、MIMを実行する毎に作製してもよい。
図3に示すニッケル基合金のインゴット28の作製装置は、いわゆる誘導溶解法により図5のステップS12のインゴッド作製工程を実行するための装置の一例であり、ニッケル基合金の材料22が投入される耐火性るつぼ24と、耐火性るつぼ24の周囲に螺旋状に巻かれたコイル26と、を有する。材料22は、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成となるように仕込まれたものであり、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と、ニッケルと、アルミニウムと、炭素と、不可避的不純物と、を含む。コイル26は、その両端が交流電源に接続されており、交流電流を流すことができる。
コイル26は、交流電流が流されると、耐火性るつぼ24内に磁場を発生させる。そして、耐火性るつぼ24内に投入された材料22は、耐火性るつぼ24内に発生した磁場に電磁誘導されて、内部に電流が流れる。そして、内部に電流が流れた材料22は、材料22自体の電気抵抗によって発熱する。これにより、材料22は、溶解及び混合する。
コイル26は、流されていた交流電流が停止すると、耐火性るつぼ24内に発生させていた磁場が消滅する。そして、耐火性るつぼ24内の材料22は、耐火性るつぼ24内に発生していた磁場からの電磁誘導が終了し、内部の電流が消滅する。そして、材料22の発熱が終了する。耐火性るつぼ24内の材料22は、発熱が終了した状態で時間が経過すると、自然に冷却されて凝固して、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成を有するニッケル基合金のインゴット28となる。このように、ニッケル基合金のインゴット28の作製装置は、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成となるように仕込まれたニッケル基合金の材料22から、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成を有するニッケル基合金のインゴット28を作製することができる。
図4に示すニッケル基合金の粉末材料38の作製装置は、いわゆるアトマイズ法により図5のステップS14の粉末材料作製工程を実行するための装置の一例であり、ニッケル基合金のインゴット28を配置する機構と、配置されたインゴット28の周囲に螺旋状に巻かれたコイル30と、インゴット28の鉛直方向下側部から発生するニッケル基合金の液滴32に冷却ガス34を吹き付ける冷却ガス吹付け部36と、を有する。インゴット28は、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成を有するものであり、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と、ニッケルと、アルミニウムと、炭素と、不可避的不純物と、を含む。コイル30は、その両端が交流電源に接続されており、交流電流を流すことができる。冷却ガス34は、ニッケル基合金と化学的に反応しないガス、例えばアルゴンガスなどの希ガスが好ましいものとして例示されるが、これに限定されない。
コイル30は、交流電流が流されると、インゴット28の周囲に磁場を発生させる。そして、インゴット28は、内部に発生した磁場に電磁誘導されて、周囲に電流が流れる。そして、周囲に電流が流れたインゴット28は、インゴット28自体の電気抵抗によって発熱する。これにより、インゴット28は、その周囲の部分が加熱され、その一部が溶解し、鉛直方向下側部から下方へ落下するニッケル基合金の液滴32が生成される。
インゴット28から生成された液滴32は、冷却ガス吹付け部36から冷却ガス34を吹き付けられて冷却され、粒径の小さい粉末状となって下方に蓄積して、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成を有するニッケル基合金の粉末材料38となる。ステップS14の粉末材料作製工程で作製された粉末材料38は、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成を有するものであり、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と、ニッケルと、アルミニウムと、炭素と、不可避的不純物と、を含む。このように、ニッケル基合金の粉末材料38の作製装置は、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成を有するニッケル基合金のインゴット28から、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成を有するニッケル基合金の粉末材料38を作製することができる。ニッケル基合金の粉末材料38は、このような方法で作製されるので、粒径が1μm以上50μm以下に、好ましくは1μm以上20μm以下に、作製される。
本実施の形態のニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、インゴット作製工程S12と、粉末材料作製工程S14と、射出成型工程S16と、熱処理工程S18と、を含む。インゴット作製工程S12は、例えば図3に示すニッケル基合金のインゴット28の作製装置を用いて、上記のように、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成となるように仕込まれたニッケル基合金の材料22からニッケル基合金10と同様の範囲の組成を有するニッケル基合金のインゴット28を作製する工程である。粉末材料作製工程S14は、例えば図4に示すニッケル基合金の粉末材料38の作製装置を用いて、上記のように、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成を有するニッケル基合金のインゴット28から、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成を有するニッケル基合金の粉末材料38を作製する工程である。
射出成型工程S16は、粉末材料作製工程S14で作製されたニッケル基合金の粉末材料38を、成形型に射出して射出成型品を形成する工程、すなわちMIMに関する工程である。射出成型工程S16は、成形型の形状が複雑な場合、ニッケル基合金の粉末材料38の射出圧力を上げて行われる。
熱処理工程S18は、射出成型工程S16で形成された射出成型品を加熱して、ニッケルを主成分とする粉末粒子(粒子状の合金)を結晶化させ、ニッケルを主成分とする結晶粒と、結晶粒の間である結晶粒界に析出し、クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と炭素とを含む炭化物と、を有する結晶構造を生成する工程である。また、熱処理工程S18では、射出成型時に粉末材料に混入したバインダを除去する脱脂処理も行う。結晶粒界に析出する炭化物の径及びアスペクト比の範囲は、上記のニッケル基合金10における炭化物16aの径及びアスペクト比の範囲と同様である。ニッケルを主成分とする結晶粒の粒径の範囲は、上記のニッケル基合金10における結晶粒12の粒径の好ましい範囲と同様であることが好ましい。
熱処理工程S18は、さらに、ニッケルを主成分とする結晶粒の結晶粒界に析出し、ニッケルまたはニオブとアルミニウムとの合金を含む金属析出物と、をさらに有する結晶構造を生成することが好ましい。結晶粒界に析出する金属析出物の径及びアスペクト比の範囲は、上記のニッケル基合金10における金属析出物16bの径及びアスペクト比の範囲と同様である。
本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、射出成型工程S16で粉末材料38を成形型にあわせて成形した後、熱処理工程S18で焼結する。このため、鋳造法のように溶解した材料を鋳型に投入せず、粒子を密集させて成形し、その後熱処理を行って焼結する。そのため、製造したニッケル基合金の射出成型品は、鋳造法により形成された鋳造成形品と比較して、ニッケルを主成分とする結晶粒の粒径を小さく、例えば、好ましくは1μm以上50μm以下に、より好ましくは1μm以上20μm以下とすることができる。
また、射出成型工程S16で形成された射出成型品は、クロム、モリブデン及びニオブと炭素とを含む炭化物が各粉末粒子に溶けて分散して存在し、炭化物が固まって析出しない状態に保持されている。すなわち、射出成型工程S16で形成された射出成型品は、射出成型工程S16以降の工程によって、クロム、モリブデン及びニオブと炭素とを含む炭化物の析出状態を細かく制御することが可能な状態に保持されている。さらに、射出成型工程S16で形成された射出成型品は、金属析出物が各粉末粒子に溶けて分散して存在している。すなわち、射出成型工程S16で形成された射出成型品は、射出成型工程S16以降の工程によって、金属析出物の析出状態を細かく制御することが可能な状態に保持されている。
本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、熱処理工程S18で、上記のニッケル基合金10における炭化物16aと同様の構造となるように、炭化物の析出状態を細かく制御することができる。具体的には、熱処理の温度や時間を制御することで、結晶粒界に析出する析出物の状態を制御することができる。そのため、本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、上記の結晶粒界14に炭化物16aが析出しているニッケル基合金10に例示されるような、結晶粒界が強いニッケル基合金が用いられた射出成型品を製造することができる。さらに、本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、上記のニッケル基合金10における金属析出物16bと同様の構造となるように、金属析出物の析出状態を細かく制御することができる。そのため、本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、上記の結晶粒界14にさらに金属析出物16bが析出しているニッケル基合金10に例示されるような、結晶粒界がより強いニッケル基合金が用いられた射出成型品を製造することができる。
本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、上記のニッケル基合金10に例示される結晶粒界が強いニッケル基合金が用いられた、高温強度が高い射出成型品を製造することができる。すなわち、本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、高温での引っ張り強度が高く、高温でのクリープ特性が良い射出成型品を製造することができる。また、本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、高温でも脆くはならず、粘り強い射出成型品を製造することができる。また、本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、高温での伸びが下がり、高温で伸びにくい射出成型品を製造することができる。
ニッケル基合金は、アルミニウムの含有割合を1質量%以上とすることが好ましい。本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、アルミニウムの含有割合が1質量%以上である場合でも、結晶粒界を強くすることができ、高温強度が高い射出成形品を製造することができる。ニッケル基合金は、アルミニウムの含有割合を2質量%以上とすることがより好ましい。本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、アルミニウムの含有割合が2質量%以上である場合でも、結晶粒界を強くすることができ、より高温強度が高い射出成形品を製造することができる。
なお、本実施の形態のニッケル基合金の射出成型品の製造方法は、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成となるように仕込まれたニッケル基合金の材料22を最初の材料に選択したが、ニッケル基合金10と同様の範囲の組成を有するニッケル基合金のインゴット28を最初の材料に選択して、インゴット作製工程S12の処理を行わずに粉末材料作製工程S14以降の処理のみを行ってもよい。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
INCONEL713C(INCONELは登録商標)とほぼ同等の組成、すなわち6.1質量%のアルミニウム、13質量%のクロム、4.5質量%のモリブデン、2.3質量%のニオブ、0.14質量%の炭素を含むニッケル基合金の材料に対してインゴット作製工程S12と同様の処理をしてニッケル基合金のインゴット28を作製し、このニッケル基合金のインゴットに対して粉末材料作製工程S14と同様の処理をしてニッケル基合金の粉末材料38を作製した。その後、このニッケル基合金の粉末材料38に対して射出成型工程S16と同様の処理をして射出成型品を形成した。この射出成型品に対して熱処理工程S18と同様の処理をして、本発明の一実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品を製造した。この本発明の一実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法により製造されたニッケル基合金の射出成型品を、実施例1の射出成型品とした。
上記の実施例1の射出成型品の断面を、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で観察及び撮影して、実施例1のSEM画像を取得した。SEMの観察及び撮影は、島津製作所製のSS−550を用いて、加速電圧を15kVに設定して、行われた。実施例1のSEM画像は、図6及び図7に示されている。また、この実施例1の射出成型品の断面を、電子線マイクロアナライザ(Electron Probe MicroAnalyser、EPMA)でアルミニウム、ニオブ、モリブデンの各元素の含有割合の面内分布を測定して、それらの面内分布を濃淡で表した、実施例1のEPMA画像をそれぞれ取得した。EPMAの測定条件は、島津製作所製のEPMA−1720を用いて、加速電圧を15kVに設定して、電子線の直径を0.1μmに収束させて、行われた。実施例1のEPMA画像は、それぞれ図8、図9及び図10に示されている。実施例1の各EPMA画像では、淡色の箇所は、濃色の箇所よりも各元素の含有割合が高い箇所である。また、実施例1の射出成型品の任意の位置から採取した米国材料試験規格ASTM E8の丸棒引張試験片を用い、ASTM E21に規定する金属材料試験方法に準じ、650℃以上900℃以下の範囲の複数の温度における各引張強度を測定した。実施例1の各引張強度の測定結果は、図11に示されている。
図6は、実施例1のニッケル基合金の射出成型品の断面のSEM画像の一例である。図7は、図6のSEM画像の点線枠内を拡大したSEM画像である。図8は、図7のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるアルミニウムの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例である。図9は、図7のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるニオブの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例である。図10は、図7のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるモリブデンの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例である。図11は、実施例1及び比較例1のニッケル基合金の射出成型品の高温における引張強度の測定結果を示すグラフである。
図6及び図7に示す実施例1のSEM画像から、本実施の形態に係るニッケル基合金の射出成型品の製造方法により製造された実施例1の射出成型品は、ニッケルを主成分とする複数の結晶粒の粒径が1μm以上20μm以下となっていることが分かった。
図8に示す実施例1のEPMA画像から、実施例1の射出成型品は、アルミニウムが、ニッケルを主成分とする複数の結晶粒の結晶粒界に沿って、径が0.1μm以上20μm以下、かつ、アスペクト比が3以上の形状で、膜状に点在していることが分かった。このことから、実施例1の射出成型品は、ニッケルを主成分とする複数の結晶粒の結晶粒界に析出し、径が0.1μm以上20μm以下、アスペクト比が3以上であり、かつ、ニッケルとアルミニウムとを含む合金を含む金属析出物であるγプライム析出物を有することが推測される。
図9及び図10に示す実施例1のEPMA画像から、実施例1の射出成型品は、ニオブ及びモリブデンが、ニッケルを主成分とする複数の結晶粒の結晶粒界に沿って、粒径が0.1μm以上10μm以下、かつ、アスペクト比が3以上の形状で、膜状に点在していることが分かった。このことから、実施例1の射出成型品は、ニッケルを主成分とする複数の結晶粒の結晶粒界に析出し、径が0.1μm以上10μm以下、アスペクト比が3以上であり、かつ、ニオブまたはモリブデンと炭素とを含む炭化物を有することが推測される。
(比較例1)
実施例1において、熱処理工程S18の処理をする前の状態の射出成型品を、比較例1の射出成型品とした。比較例1の射出成型品の断面を、実施例1と同一の条件下で、SEMで観察及び撮影して、比較例1のSEM画像を取得した。比較例1のSEM画像は、図12及び図13に示されている。また、比較例1の射出成型品の断面を、実施例1と同一の条件下で、EPMAでアルミニウム、ニオブ、モリブデンの各元素の含有割合の面内分布を測定して、それらの面内分布を濃淡で表した、比較例1のEPMA画像をそれぞれ取得した。比較例1のEPMA画像は、それぞれ図14、図15及び図16に示されている。比較例1の各EPMA画像では、実施例1の各EPMA画像と同様に、淡色の箇所は、濃色の箇所よりも各元素の含有割合が高い箇所である。また、比較例1の射出成型品の任意の位置から採取した米国材料試験規格ASTM E8の丸棒引張試験片を用い、ASTM E21に規定する金属材料試験方法に準じ、650℃以上900℃以下の範囲の複数の温度における各引張強度を測定した。比較例1の各引張強度の測定結果は、実施例1の各引張強度の測定結果とともに、図11に示されている。
図12は、比較例1のニッケル基合金の射出成型品の断面のSEM画像の一例である。図13は、図12のSEM画像において結晶粒界が交わっている領域に相当する点線枠内を拡大したSEM画像である。図14は、図13のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるアルミニウムの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例である。図15は、図13のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるニオブの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例である。図16は、図13のSEM画像と同じ領域についてEPMAによるモリブデンの含有割合の面内分布測定の結果を示す画像の一例である。
図12及び図13に示す比較例1のSEM画像から、比較例1の射出成型品は、ニッケルを主成分とする粉末粒子が密集して形成された結晶粒の粒径が1μm以上20μm以下に小さく保持されていることが分かった。また、図14、図15及び図16に示す比較例1のEPMA画像から、比較例1の射出成型品は、アルミニウム、ニオブ及びモリブデンが各結晶粒に分散して存在していることが分かった。このことから、比較例1の射出成型品は、EPMAでの含有割合の面内分布の測定が困難とされる炭素が固まって存在していない状態、すなわち炭化物が固まって析出していない状態であることが推測される。
図9、図10、図15及び図16に示す各EPMA画像から、比較例1の射出成型品は、本実施の形態に係る熱処理工程S18の処理により、実施例1の射出成型品の状態となり、すなわちニッケルを主成分とする複数の結晶粒の結晶粒界に析出し、径が0.1μm以上10μm以下、アスペクト比が3以上であり、かつ、ニオブまたはモリブデンと炭素とを含む炭化物を有するに至ったことが推測される。
図8及び図14に示す各EPMA画像から、比較例1の射出成型品は、本実施の形態に係る熱処理工程S18の処理により、実施例1の射出成型品の状態となり、すなわちニッケルを主成分とする複数の結晶粒の結晶粒界に析出し、径が0.1μm以上20μm以下、アスペクト比が3以上であり、かつ、ニッケルとアルミニウムとを含む合金を含む金属析出物であるγプライム析出物を有するに至ったことが推測される。
図11に示すグラフから、実施例1の引張強度は、650℃の時に約1200MPaであり、温度の増加と共に単調に減少して、900℃の時に約500MPaであることが分かった。また、同じグラフから、比較例1の引張強度は、650℃の時に約1100MPaであり、温度の増加と共に単調に減少して、900℃の時に約400MPaであることが分かった。実施例1の引張強度は、650℃以上900℃以下の範囲において、比較例1の高温の引張強度よりも高いことが分かった。すなわち、ニッケル基合金の射出成型品の高温の引張強度は、本実施の形態に係る熱処理工程S18の処理により、向上したことが分かった。
以上により、実施例1のニッケル基合金の射出成型品は、本実施の形態に係る熱処理工程S18の処理により、ニッケルを主成分とする複数の結晶粒の結晶粒界に析出し、上記の範囲内の径及びアスペクト比の炭化物及びγプライム析出物を有するに至ったため、高温の引張強度が高くなったことが推測される。
10 ニッケル基合金
12 結晶粒
14 結晶粒界
16 析出物
16a 炭化物
16b 金属析出物
22 材料
24 耐火性るつぼ
26、30 コイル
28 インゴット
32 液滴
34 冷却ガス
36 冷却ガス吹付け部
38 粉末材料

Claims (7)

  1. クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と、
    ニッケルと、
    アルミニウムと、
    炭素と、を含み、
    前記金属元素と前記炭素とを含む炭化物が、前記金属元素、前記ニッケル、前記アルミニウム及び前記炭素を含む粉末材料の各粉末粒子に溶けて分散して存在し、前記炭化物が固まって析出しない状態に保持されており、
    前記粉末材料の各粉末粒子の粒径が1μm以上50μm以下であることを特徴とするニッケル基合金の射出成型品。
  2. 前記ニッケルまたは前記ニオブと前記アルミニウムとを含む合金を含む金属析出物が前記各粉末粒子に溶けて分散して存在していることを特徴とする請求項1に記載のニッケル基合金の射出成型品。
  3. 前記アルミニウムは、含有割合が2質量%以上7質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のニッケル基合金の射出成型品。
  4. クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と、ニッケルと、アルミニウムと、炭素と、を含み、粒径が1μm以上50μm以下のニッケル基合金の粉末材料を、成形型に射出して射出成型品を形成する射出成型工程を有し、
    前記射出成型工程では、前記金属元素と前記炭素とを含む炭化物が前記粉末材料の各粉末粒子に溶けて分散して存在し、前記炭化物が固まって析出しない状態とすることを特徴とするニッケル基合金の射出成型品の製造方法。
  5. 前記射出成型工程では、さらに、前記ニッケルまたは前記ニオブと前記アルミニウムとを含む合金を含む金属析出物が前記各粉末粒子に溶けて分散して存在している状態とすることを特徴とする請求項4に記載のニッケル基合金の射出成型品の製造方法。
  6. 前記ニッケル基合金の粉末材料は、前記アルミニウムの含有割合が2質量%以上7質量%以下であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のニッケル基合金の射出成型品の製造方法。
  7. クロム、モリブデン及びニオブのうち少なくともいずれか1つの金属元素と、ニッケルと、アルミニウムと、炭素と、を含むニッケル基合金の材料を溶解及び混合してニッケル基合金のインゴットを作製するインゴット作製工程と、
    前記インゴットの周囲を加熱し、一部を溶解させてニッケル基合金の液滴を生成し、前記液滴に冷却ガスを吹き付けて冷却し、前記ニッケル基合金の粉末材料を作製する粉末材料作製工程と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載のニッケル基合金の射出成型品の製造方法。
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