JP2021021092A - 溶融金属めっき液の汲み出し装置および汲み出し方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融金属めっきにおけるめっき液の成分調整や切替えのために行うめっき液汲み出し作業を効率的に行うことができる装置および方法の提供。【解決手段】めっき液を汲み出す浴槽3と浴槽上部に固設された浴槽吊り具4とからなり、浴槽は、底部に開口部と上部にめっき液のオーバーフロー検知手段とを備え、浴槽吊り具は、吊りピース7とロッドとロッド駆動手段とを備え、ロッドの下部先端には浴槽底部の開口部を開閉するための栓を有している。この装置を吊り上げ、めっきポット上からめっき液中に沈めると、浴槽底部の開口部からめっき液が浴槽内に流入する。オーバーフローを検知した時にロッドを押し下げてロッド先端の栓にて開口部を塞ぐことにより、めっき液の流入を停止させる。めっき液が入った浴槽を他の場所に移動した後、ロッドを駆動して開口部を開き、めっき液を注ぎ出すことからなる汲み出し方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、溶融金属めっきにおけるめっき液の成分調整や切替えなどのために、めっき液をめっきポットから汲み出し、他の場所へ注ぎ入れるための溶融金属めっき液の汲み出し装置およびその装置を用いた溶融金属めっき液の汲み出し方法に関する。
鋼帯に亜鉛めっきや亜鉛とアルミニウウムとの合金めっきなどの金属めっきを施すめっき方法の一つに、所望の金属を溶融させためっき液(めっき浴あるいは溶融金属液ともいうが、以下、「めっき液」という。)に鋼帯を浸漬させる溶融金属めっき方法がある。
一般的な溶融金属めっきのめっき装置としては、めっき液を保持するためのめっきポット(めっき槽あるいは単にポットともいわれているが、以下、「めっきポット」という。)があり、このめっきポット内には、シンクロールが配置され、斜め上方より鋼帯がめっき液中に進入し、その鋼帯がシンクロールにより垂直方向に方向転換し、シンクロール上方のめっき液面下に配置されたサポートロールによりめっき液上方に導かれ、めっきされた鋼帯が製造される。
このような溶融金属めっき液を用いためっき方法では、めっきの種類や対象となる鋼帯種、鋼帯の使用目的などに応じてめっき液の成分を変更するのが一般的に行われている。そのため、めっき液成分の微調整をする場合には、めっき液を少量抜き取ったり入れ替えしたりすることが求められる。
ところが、これまでのめっき液の成分調整のためにめっき液を汲み出す方法としては、めっきポットの横に予備的なめっきポットを用意し、それらのめっきポット間を配管でつなぎ、ポンプによってめっき液を移送する方法が一般的であった。例えば、特許文献1や特許文献2などにおいては、めっき液成分の調整、変更のために、めっきポットとは別の準備槽(あるいはサブポット)を設け、配管でつないで、ポンプによってめっき液を移送させる方法が開示されている。
また、その他のめっき液の汲み出し方法としては、めっき液の汲み出し用のバケット(容器)を用意し、めっきポット内にそのバケットを入れてめっき液を掬い出し、移動して他の保管場所へ注ぎ入れる方法などが知られている。
特開2002-206154号公報 特開平3-120345号公報
しかしながら、前述の特許文献1または特許文献2に開示された方法では、大掛かりな配管とポンプの設備が必要となり、また、めっき液を流入し、流出させる作業およびそれらの準備作業自体も時間と手間がかかり、さらに、配管やポンプの設備を加熱保温しなければならず、それら設備の故障、損傷といった設備的なリスクや作業安全上のリスクが伴うといった課題があった。大規模なめっき液の入れ替え作業の場合、例えば、めっき槽の補修工事のためにめっき液を全量抜き取る場合には、大掛かりな設備であっても抜き取り作業自体については作業の効率が悪いとは言えないが、成分の微量調整といった少量のめっき液の汲み出し作業の場合には、配管による移送作業は、作業性が悪く、非効率であった。
また、前述のバケットを用いてめっき液を汲み出す方法では、めっき液を汲み出し、注ぎ出すときの微量調整が難しいという問題がある。例えば、バケットから注ぎ出す際に一度に大量のめっき液が注がれてしまうこともあり、注ぎ出す量の調整が難しいので、小型のめっきポットあるいは直接的に配管口へ注ぎ出す場合には、量の調整が困難であるという課題があった。
本発明者は、上記した課題を解決するため、めっき液の汲み出し装置およびその方法について鋭意検討した。その結果、めっき液を入れる小型の浴槽を用い、その浴槽をめっきポットに浸漬させ、そのときに浴槽の底からめっき液を流入させて、浴槽が既定量になった段階で浴槽の底に蓋をし、めっき液の入った浴槽を吊り上げて、他の場所へ移送する方法が効率的であることに思い至った。本発明者は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)めっきポットからめっき液を汲み出し、他の場所へ注ぎ入れる溶融金属めっき液の汲み出し装置であって、
該汲み出し装置は、めっき液を汲み出す浴槽と、該浴槽の上部に固設され該浴槽を固定保持する浴槽吊り具とからなり、
前記浴槽は、底部に開口部と、上部に前記めっき液のオーバーフロー検知手段と、を備え、
前記浴槽吊り具は、クレーンにて吊り上げる吊りピースと、前記浴槽の前記開口部まで達するロッドと、該ロッドを上下に駆動させるロッド駆動手段と、を備え、
前記ロッドは、下部先端に前記開口部を開閉する栓を有する、
ことを特徴とする溶融金属めっき液の汲み出し装置。
(2)(1)において、前記オーバーフロー検知手段は、前記浴槽の側板上部に設けた複数の穴であることを特徴とする溶融金属めっき液の汲み出し装置。
(3)(1)または(2)において、前記ロッド駆動手段が、エアーシリンダであることを特徴とする溶融金属めっき液の汲み出し装置。
(4)(1)〜(3)のいずれかの項目に記載の溶融金属めっき液の汲み出し装置を用いてめっき液をめっきポットから汲み出し、他の場所へ注ぎ入れる溶融金属めっき液の汲み出し方法であって、
前記汲み出し装置をクレーンにて吊り上げ、前記めっきポットの上方位置まで移動する移動工程と、
前記汲み出し装置の底部の開口部を開けた状態で、前記クレーンを下げて前記浴槽を前記めっきポット内へ沈め、前記汲み出し装置内へめっき液を前記開口部から流入させるめっき液流入工程と、
前記めっき液流入工程において、前記汲み出し装置の下降を停止し、前記ロッドを下方に駆動して前記栓により前記開口部を閉じてめっき液の流入を停止させる流入停止工程と、
前記開口部が閉じた状態で前記汲み出し装置を吊り上げて、前記めっきポットの上方位置に前記汲み出し装置を退避させる退避工程と、
前記汲み出し装置を前記めっきポットの上方位置から他の場所へ移動した後、前記ロッドを上方に駆動させ、前記栓を前記開口部から外し、めっき液を前記開口部から流出させて前記他の場所へ注ぎ入れるめっき液流出工程と、
からなることを特徴とする溶融金属めっき液の汲み出し方法。
(5)(4)において、前記めっき液流入工程と前記流入停止工程の間に、めっき液のオーバーフロー検知工程を有することを特徴とする溶融金属めっき液の汲み出し方法。
(6)(5)において、前記オーバーフロー検知工程が、前記浴槽の側板上部に設けた複数の穴から前記浴槽内に流入しためっき液がオーバーフローすることを監視する工程であることを特徴とする溶融金属めっき液の汲み出し方法。
(7)(4)〜(6)のいずれかの項目において、前記流入停止工程における前記ロッドを下方に駆動させる方法が、エアーシリンダを用いて前記ロッドを押し下げる方法であることを特徴とする溶融金属めっき液の汲み出し方法。
本発明によれば、汲み出し作業が効率的に実施され、めっき液の微量な成分調整作業も円滑化が図れる。その結果、特に小規模のめっき設備において、めっき液の入れ替え作業に適した汲み出し装置および汲み出し方法を提供することができ、大掛かりの設備が不要となり、作業効率が上がり、安全性も向上させることができる。
本発明の汲み出し装置の一実施形態を示す外観斜視図である。 本発明の汲み出し装置の一実施形態を示す正面図(断面図)である。 ロッド先端の栓の一実施形態を示す説明図である。 ロッドの駆動状態の一実施形態を示す説明図である。 本発明の汲み出し方法の一実施形態を示す作業工程の概略を模式的に示す説明図である。
以下、図1および図2を参照して本発明の汲み出し装置の実施の形態について説明する。
本発明の汲み出し装置1の構成は、めっき液2を汲み出し保管する浴槽3と、浴槽3の上部に固設され浴槽3を固定保持する浴槽吊り具4とからなっている。
まず、浴槽3は、実操業に用いるめっきポット12内に沈めることができる形状であれば、特に限定されるものではないが、その一実施形態を以下に説明する。浴槽3は、めっき液2を流入させ保管するための箱型の容器であり、その構造は、底板3a、天板3b、および4面の側板3cから構成された立方体容器であって、溶接によって製作された構造となっている。その材質は、溶融金属(例えば、溶融亜鉛)が融けた状態である約600℃にも耐えうる耐熱性の材料が適しており、例えば、ステンレス鋼製のSUS316などが好ましい。浴槽3の内部寸法は、例えば、一辺が50〜70cmの立方体が好ましい。浴槽3内に溶融金属が流入した場合、吊り重量が0.7〜1.2tにもなるため、そのような重量にも耐えうるような十分な溶接強度にしておく必要がある。例えば、補強リブなどの補強部材を適宜配置し、溶接個所には適宜開先をとり、また溶接線はクロスがないようにスカラップ(切欠)を設けるのが好ましい。さらに、浴槽3の外壁には、めっき液2が付き難いように離型剤を塗布しておくのが好ましい。離型剤には、セラミック系の離型剤などがある。
浴槽3の底板3aの中心部には、開口部5が設けられている。開口部5は、めっき液2が流入し流出するための注ぎ口(湯口ともいう)になっている。開口部5の形状は、特に限定されるものではないが、円形状が好ましい。円形の口径としては、好ましくは内径で60〜90mmφであるが、口径は固定ではなく、口径を変更することにより、めっき液の流入流出量を調整することができる。浴槽3の底板3aの中心部に適当な穴を開けておき、そこに円筒状の嵌め部材を設置することで、開口部5を形成することができる。円筒状の嵌め部材の内径を変えたものを適宜用意しておけば、めっき液2の流出先、つまり注ぎ出す容器などの形状や構造が異なる場合に、流出先の形状に適した内径を有する嵌め部材に交換することで、浴槽3からの流出量を変えることができ、流出先の形状に適した流出作業を効率的に行うことができる。
次に、浴槽3の側板3cの上部には、めっき液2のオーバーフロー検知手段の一実施形態であるオーバーフロー穴6が一定の高さレベルに複数設けられている。浴槽3をめっき液2中に下降し浸漬していくと、めっき液2が開口部5から流入し、浴槽3内にめっき液2が充填されていく。めっき液2が浴槽3の天板3bまで到達する前に、めっき液2がオーバーフロー穴6から溢れ出るようになっているので、めっき液2が浴槽3からオーバーフローしないための検知手段としての役割を担っている。オーバーフロー穴6の構造としては、浴槽3の側板3c上部に設けるものであり、例えば、浴槽3の天板3bから60〜70mm下方の位置に、内径40〜60mmφの円形状の穴が一面あたり4個ずつ等間隔で設けられている。穴の形状や個数は、特に限定されるものではなく、浴槽3の形状や構造に応じて適宜決定される。
さらに、オーバーフロー検知手段としては、前述のオーバーフロー穴6に限定されるものではなく、例えば、流入しているめっき液2の液面を観察、計測、または検知する手段を用いれば良く、浴槽3の内部または外部に設けた光学センサや荷重センサ、温度センサ、位置センサなどを用いる手段が挙げられる。
浴槽3の上部には、浴槽3を吊り上げ、固定保持するための浴槽吊り具4が載置されている。浴槽吊り具4は、浴槽3に固設されているので、浴槽3と一体となって、つまり汲み出し装置1として移動することができる。浴槽吊り具4の構造、材質は、特に限定されるものではなく、浴槽3に固定され、浴槽3を保持できる構造であれば良い。一実施形態としては、一般的な鉄鋼材料、例えば、圧延鋼材であるSS400などの鋼材を用いて組み上げた鉄骨製のフレーム4cであって、溶接によって製作された構造となっている。フレーム4cの下側に底板4aを、上側に天板4bを溶接により取り付けて浴槽吊り具4を製作する。底板4aと天板4bの材質は、フレーム4cと同様の材質であるのが好ましい。そして、浴槽吊り具4の底板4aと浴槽3の天板3bとを固着することにより、汲み出し装置1として一体化した構造となる。固着する方法としては、ボルト締めによる方法が好ましい。浴槽吊り具4には、めっき液2と浴槽3の合計重量(約2t程度)が掛かるため、浴槽3と同様に、適宜開先をとるなどして溶接施工を行い、十分な溶接継手強度を保つ必要がある。
浴槽吊り具4の天板4b上には、クレーンで吊るための吊りピース7が備えられている。吊りピース7の一実施形態としては、天板4bの四方の角から60〜80mm内側の4ヶ所の位置に、吊り座7aを設け、その上にクレーンのフックを掛けるドーナツ状の治具を固設した構成となっている。
さらに、浴槽吊り具4の底板4aと天板4bの中心部には、浴槽3の開口部5にまで達する棒状のロッド8を通すためのガイド8a、8bが備えられている。ガイド8aは、浴槽吊り具4の底板4aの中心部にロッド8の外径以上の口径の穴を設けて、その穴をロッド8が上下自在に移動することができるように載置した円筒状のガイド治具である。ガイド8bは、ガイド8aと同様に、浴槽吊り具4の天板4bの中心部に設けた穴に載置したガイド治具である。ロッド8は、ガイド8bからガイド8aを通り、浴槽3底部の開口部5にまで達する直線状の棒材であり、その材質は、少なくともめっき液2に浸漬する部分については、SUS316などの耐熱性の材料にすることが好ましい。
ロッド8の下部先端には、開口部5を開閉する栓10が備えられている。栓10の材質はロッド8と同様、耐熱性の材料から構成されている。図3に栓10の一実施形態を示す。栓10の形状は、特に限定されるものではないが、円形状の開口部5を徐々に閉じていくことができるように、外径が下側にいくほど細くなるテーパー状の逆円錐形状が好ましい。
また、浴槽吊り具4には、ロッド8を上下に駆動させるためのロッド駆動手段が設けられている。ロッド駆動手段としては、ロッド8を上下方向に駆動することができる機構であれば、特に限定されるものではないが、好適な実施形態であるエアーシリンダ9を用いる手段について以下に説明する。なお、空気圧を利用するエアーシリンダ以外にも、油圧方式や手動による駆動方式でもロッド8が駆動できれば、特に限定されない。
図4にロッド8の駆動状態の一実施形態を示す。エアーシリンダ9は、浴槽吊り具4のフレーム4cに設置されており、空気圧にてピストンロッド9aを押し出すものであるが、そのピストンロッド9aを押し出す方向が下側になるようにフレーム4cに取り付ける。下向きのピストンロッド9aの下方には、ロッド8に取り付けたピストンロッド受け具9bが備えられており、ピストンロッド受け具9bとピストンロッド9aの先端部分とは固着されている。従って、エアーシリンダ9のピストンロッド9aを伸ばす操作を行うと、ピストンロッド9aの先端に固着したピストンロッド受け具9bを押し下げ、ロッド8全体が下方に降下していくことになる。ロッド8が降下することで、ロッド8の下部先端にある栓10が浴槽3の開口部5を徐々に閉じていき、最終的に開口部5を閉鎖することができる。開口部5を開けるときは、エアーシリンダ9のピストンロッド9aを縮めることにより、ピストンロッド9aに固着したピストンロッド受け具9bとともにロッド8が上昇して、開口部5が開き、浴槽3内のめっき液2を流出させることができる。
次に、本発明の汲み出し方法の実施の形態について、図5の汲み出し方法の工程を示す図に基づき、各工程の内容を説明する。
最初は、図5(A)の移動工程である。クレーンにより、図5では一実施形態である天井クレーン11を用いて汲み出し装置1を吊り上げ、めっき液2の入っためっきポット12の中央付近の上方位置まで移動する。
次に、図5(B)のめっき液流入工程では、まず、浴槽3の底部の開口部5を開けた状態、つまりロッド8先端の栓10を開口部5から外した状態で、クレーン11により汲み出し装置1を下げていく。汲み出し装置1をめっきポット12内へ沈めていくと、開口部5からめっき液2が浴槽3内へ流入していく。
続いて、図5(C)の流入停止工程では、前工程のめっき液流入工程において、めっき液2が浴槽3内に充填されていく途中で浴槽3の下降を停止する。その時に、浴槽吊り具4内に設けたロッド駆動手段の一実施形態であるエアーシリンダ9を使い、ロッド8を下方に駆動してロッド8の下部先端の栓10が開口部5を閉じることにより、めっき液2の浴槽3内への流入を停止させるものである。
めっき液2の流入を停止するタイミングは、浴槽3に設けたオーバーフロー検知手段によりめっき液2のオーバーフロー状態を検知しながら停止するのが好ましい。このオーバーフローを検知する工程(オーバーフロー検知工程)の一実施形態として、オーバーフロー穴6を用いる方法を説明する。オーバーフロー穴6は、浴槽3の側板3cの上部位置に一定の高さレベルで複数設けられているので、浴槽3をめっき液2中に下降していくと、めっき液2が浴槽3の天板3bまで到達する前に、オーバーフロー穴6から溢れ出るようになっている。オーバーフロー穴6から溢れ出る状況を監視することにより、適当なタイミングで、例えば、溢れ出た時点で、開口部5を閉じてめっき液2の流入を停止させることができる。なお、オーバーフロー検知工程を設けず、オーバーフローを検知する前の適当な時点でめっき液2の流入を停止しても構わない。その場合には、めっき液汲み出しの目的や状況に応じて、個別に停止するタイミングを設定すれば良い。
そして、図5(D)の退避工程では、開口部5が閉じた状態で汲み出し装置1をクレーン11により吊り上げて、めっきポット12上から汲み出し装置1を退避させる。その後にあるめっき液流出工程(図5には図示していない)では、汲み出し装置1を他の場所(流出先)の上方位置に移動させ、流出先の上方に到達したら、エアーシリンダ9のピストンロッド9aを縮めてロッド8を上方に駆動させることで、栓10を開口部5から外し、めっき液2を流出させて流出先へ注ぎ入れる。
本発明の汲み出し装置および汲み出し方法の優位な点は、前述したように、めっき液の成分調整を行う際の準備(段取り)作業が簡易的で、めっき液を汲み出すための浴槽を用意し、あとはクレーンのハンドリング作業だけで、めっき液を汲み出し、その後に、成分調整のために必要な特定の金属(または合金)のインゴットをクレーンにより投入して行うことにより、めっき液の成分調整が簡単にできることにある。
また、めっきポットにはインダクター装置が通常めっきポットに2〜4箇所設けられているが、インダクター装置の寿命が1〜10年程度であり、インダクター装置の取替工事が常態的に発生する。その消耗品であるインダクター装置を取り替えた後、めっきポットにめっき液を入れる際に、従来技術では、ポンプと配管を用いてめっき液を投入していた。しかし、ポンプが損傷してポンプによるめっき液投入ができなくなった場合に、その代替方法として、本発明の汲み出し装置を用いることにより、ポンプの修繕、交換等の工事をするまでもなく、ポンプのバックアップ用として本発明の汲み出し装置を使用することができるという優位性がある。
さらに、本発明の汲み出し装置のその他の優位な点としては、浴槽3の開口部5によって流出量の微量な調整できる点が挙げられる。前述の発明が解決しようとする課題のところで説明したように、バケットを用いためっき液の汲み出し方法では、バケットから注ぎ出す際に一度に大量のめっき液が注がれてしまうこともあり、注ぎ出す量の調整が難しいので、小型のめっきポットあるいは直接的に配管口へ注ぎ出す場合には、量の調整が困難であった。しかし、本発明の汲み出し装置では、浴槽3の開口部5の径を変更するだけで、注ぎ出す量を調整でき、小量の場合でも簡単に実施することができるという優れた効果を有するものである。例えば、上記のインダクター装置の取替工事においては、取替後、インダクター装置を稼働するための準備作業(試運転)を個々のインダクター装置ごとに調整することが望ましく、そのためには、直接各インダクター装置部分にのみめっき液を注ぎ入れ準備作業を行わなければならない。従って、そのような場合には、インダクター装置に配管をつなげて、インダクター装置につながった配管口へ直接少量のめっき液を注ぎ入れる必要があり、本発明の汲み出し装置においては、少量のめっき液流出が非常に簡単に行うことができる優れた効果を有している。そして、本発明の汲み出し装置の開口部の径を変更することで、流出量の調整を簡単に行うことができ、さらに、汲み出し装置の浴槽部分の容積を変更すれば、さらに全体的な流出量の調整も可能となる。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
図1および図2に示す本発明にかかる汲み出し装置1を用いて、Al濃度54wt%、Zn濃度46wt%の溶融Al−Zn合金めっき液を、Al濃度55wt%、Zn濃度45wt%の溶融Al−Zn合金めっき液に成分を調整する作業を行った。(以下、%表記はwt%を意味する。)
汲み出し装置1の浴槽3として、縦横60cm、高さ50cmの箱型容器を用意した。内容積は、約0.17m3であり、めっき液がほぼ満杯に充填されたときには、めっき液の比重を3700kg/m3で換算すると約620kgの重量となる。
この汲み出し装置1を天井クレーン11にて吊り上げ、上記のAl54%−Zn46%のめっき液が入っためっきポット12(容量100t)の中央付近の上方位置に移動した。続いて、クレーン11にて汲み出し装置1を吊り下ろしていき、めっき液2へ浸漬した。この時点では、浴槽3の底部の開口部5は開けた状態になっているので、めっき液2が浴槽3内へ流入する。めっき液2が浴槽3内に充填されていき、浴槽3の上部の一定位置(浴槽3の天板3bから65mm程度下方の位置に、内径50mmφの円形状の穴が一面あたり4個ずつ等間隔)に設けたオーバーフロー穴6からめっき液2が溢れ出たタイミングで、浴槽吊り具4内に設けたロッド8を、ロッド駆動手段であるエアーシリンダ9のピストンロッド9aを下方に動かしてロッド8を押し下げて、開口部5を閉じた状態にし、めっき液2の流入を停止した。その状態のまま汲み出し装置1をクレーン11にて吊り上げ、めっきポット12から退避し、そのままクレーン11により汲み出しためっき液2を保管する別のポットの場所まで汲み出し装置1を移動させた後、汲み出し装置1内のロッド8を開口部5から外して、浴槽3内のめっき液2を別のポットに注ぎ出した。
この1回の工程で、汲み出しためっき液2は、600kgであり、この一連の工程を4回繰り返すことにより、2.4tのめっき液2を汲み出した。従って、当初めっきポット12の容量100tのめっき液(Al54%−Zn46%)からは2.4t減り、残りの容量は、97.6tとなった。
続いて、別に用意したAlのインゴット1t分を2回、クレーンを用いてめっきポット12内へ投入した。その結果、Alの重量は、97.6t×54%+2t=54.7tとなり、Znの重量は、97.6t×46%=44.9tと変わりないので、Alインゴット投入後のめっき液の成分の濃度(重量比)は、Al=54.7/(54.7+44.9)=54.9%で、Zn=44.9/(54.7+44.9)=45.1%となり、Al55%−Zn45%のめっき液に成分調整することができた。
以上の作業において、1回の工程に要する時間は、3分であり、4回の繰り返しで、12分を要し、インゴット投入2回分で、120分要し、合計で約135分であった。
この成分調整を、従来技術の作業方法であるめっきポットとサブポット間での配管とポンプ操作によるめっき液の移送方法を実施した場合、移送作業だけであれば、95分程度で完了するが、移送作業の前段階での段取りとして、サブポット、配管およびポンプ類の準備作業および移送中の加熱保温作業にも時間と手間がかかるために、全体的な調整完了となるまでには、6時間以上も要していた。
以上のように、本発明の汲み出し装置を用いれば、大規模な設備は必要なく、作業時間も短縮でき、汲み出し作業が安全に実施できる上に、さらに、汲み出し装置の浴槽の容積を変えたり、オーバーフロー穴の位置を変えたりすることにより汲み出し量を自由に調整することができるので、投入インゴット量との組み合わせで、目的とする成分に調整することが非常に簡単に実施できるという、優れた効果を有するものである。
1 汲み出し装置
2 めっき液
3 浴槽
3a 浴槽底板
3b 浴槽天板
3c 浴槽側板
4 浴槽吊り具
4a 浴槽吊り具底板
4b 浴槽吊り具天板
4c 浴槽吊り具フレーム
5 開口部
6 オーバーフロー穴
7 吊りピース
7a 吊り座
8 ロッド
8a、8b ガイド
9 エアーシリンダ
9a ピストンロッド
9b ピストンロッド受け具
10 栓
11 クレーン
12 めっきポット

Claims (7)

  1. めっきポットからめっき液を汲み出し、他の場所へ注ぎ入れる溶融金属めっき液の汲み出し装置であって、
    該汲み出し装置は、めっき液を汲み出す浴槽と、該浴槽の上部に固設され該浴槽を固定保持する浴槽吊り具とからなり、
    前記浴槽は、底部に開口部と、上部に前記めっき液のオーバーフロー検知手段と、を備え、
    前記浴槽吊り具は、クレーンにて吊り上げる吊りピースと、前記浴槽の前記開口部まで達するロッドと、該ロッドを上下に駆動させるロッド駆動手段と、を備え、
    前記ロッドは、下部先端に前記開口部を開閉する栓を有する、
    ことを特徴とする溶融金属めっき液の汲み出し装置。
  2. 前記オーバーフロー検知手段は、前記浴槽の側板上部に設けた複数の穴であることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属めっき液の汲み出し装置。
  3. 前記ロッド駆動手段が、エアーシリンダであることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属めっき液の汲み出し装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融金属めっき液の汲み出し装置を用いてめっき液をめっきポットから汲み出し、他の場所へ注ぎ入れる溶融金属めっき液の汲み出し方法であって、
    前記汲み出し装置をクレーンにて吊り上げ、前記めっきポットの上方位置まで移動する移動工程と、
    前記汲み出し装置の底部の開口部を開けた状態で、前記クレーンを下げて前記浴槽を前記めっきポット内へ沈め、前記汲み出し装置内へめっき液を前記開口部から流入させるめっき液流入工程と、
    前記めっき液流入工程において、前記汲み出し装置の下降を停止し、前記ロッドを下方に駆動して前記栓により前記開口部を閉じてめっき液の流入を停止させる流入停止工程と、
    前記開口部が閉じた状態で前記汲み出し装置を吊り上げて、前記めっきポットの上方位置に前記汲み出し装置を退避させる退避工程と、
    前記汲み出し装置を前記めっきポットの上方位置から他の場所に移動した後、前記ロッドを上方に駆動させ、前記栓を前記開口部から外し、めっき液を前記開口部から流出させて前記他の場所へ注ぎ入れるめっき液流出工程と、
    からなることを特徴とする溶融金属めっき液の汲み出し方法。
  5. 前記めっき液流入工程と前記流入停止工程の間に、めっき液のオーバーフロー検知工程を有することを特徴とする請求項4に記載の溶融金属めっき液の汲み出し方法。
  6. 前記オーバーフロー検知工程が、前記浴槽の側板上部に設けた複数の穴から前記浴槽内に流入しためっき液がオーバーフローすることを監視する工程であることを特徴とする請求項5に記載の溶融金属めっき液の汲み出し方法。
  7. 前記流入停止工程において、前記ロッドを下方に駆動させる方法が、エアーシリンダを用いて前記ロッドを押し下げる方法であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の溶融金属めっき液の汲み出し方法。
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