JP2021020691A - 包装材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】包装用のアルミ薄膜を備える基材フィルムのアルミ薄膜を簡便に、ウェットプロセスを使用しないプロセスにてパターニングできる製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】基材フィルムにパターニングされたアルミ薄膜が積層された包装材の製造方法であって、全面にアルミ薄膜を積層した基材フィルムの前記アルミ薄膜に、前記アルミ薄膜を残存させる第1のパターンにて耐アルカリ性のインキを印刷した後に、前記アルミ薄膜を剥離させる第2のパターンにてアルカリ性インキを前記アルミ薄膜に印刷することで、前記アルミ薄膜を第2のパターンで腐食させ、次いで粘着体を前記基材フィルムの印刷面に押し当て、引き離すことで、前記第2のパターンにて腐食したアルミ薄膜層を基材フィルムから剥離することを特徴とする、フィルム基材上にパターニングされたアルミ薄膜を有する包装材の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、包装材として用いられるアルミ薄膜が積層された基材フィルム、すなわちアルミ積層フィルムのアルミ薄膜にパターンを形成するための製造方法である。
包装用の積層体は、被包装体となる内容物のサイズや重量、性質や、包装工程、流通工程、使用工程それぞれの工程における要求品質などにより様々な素材が利用される。アルミ薄膜を積層した基材フィルム、すなわちアルミ積層フィルムも包装用の積層体の包装材として利用さる。たとえば、その金属光沢による視認性などによりデザインの一部として利用される。また、遮光性により内容物を外光から保護したり、酸素や水蒸気、香りのバリア材として働く。一方、遮光性は、内容物を積層体の外部から確認することを妨げたり、積層体の端面に金属層が露出していると、電子レンジの利用を制限したりする。
そのため積層体へのデザインからの要請としてアルミ積層フィルムのアルミ薄膜の一部を剥離したり、内容物を確認するための窓を形成したりするために、アルミ薄膜を所定のパターンにて剥離する方法が、考案されてきた。すなわち基材フィルムに積層されたアルミ薄膜に、残存させたいパターンにて耐アルカリ性のインキにより保護層を設けたのち、アルミ積層フィルムをアルカリ性の溶液中に浸けて、表面が露出している部分のアルミ薄膜を溶解し、水洗、乾燥することで、アルミパターンを得る方法である。
しかしながら、この製造方法では、アルミ薄膜を剥離する部分以外の部分や裏面などもアルカリの水溶液中に浸漬されるために、アルカリ成分の浸透などによって素材が劣化する要因となる。特に保護層となる耐アルカリ性のインキは、硬化剤の配合によりアルカリへの耐性を向上させることができるが、インキのポットライフが短くなったり、ブロッキングなどの不具合も生じさせる。また、劣化が生じたインキ皮膜がアルカリ浴や水洗浴中で剥離、再付着して異物などの不具合を生じさせることもある。また、アルカリ溶液を使用するプロセスであるため、設備の大型化や廃液の処理などの課題が生じる。
また、アルミ薄膜の腐食を印刷法によって行うことも提案されている。すなわち、アルミ薄膜と反応してアルミ薄膜を消失させるアルカリ物質を含有するアルミ薄膜消失水溶性インキで印刷してアルミ薄膜を消失させるものであるが、その後工程にて、アルミ薄膜消失水溶性インキを水で洗い流しており、そのための設備や廃液の処理が必要である。
さらに、アルミ薄膜を形成する基材フィルムであるポリエステルフィルムやナイロンフィルムは、吸湿性、吸水性があるため、アルカリ水溶液や水洗の工程やその後の乾燥の工程を経ると、フィルムが伸縮して寸法が変化したり、他の基材と積層した場合にカールなどの不具合を生じて、包装不良の原因となることがある。
そこで本発明は、包装用のアルミ薄膜を備える基材フィルム(アルミ積層フィルム)のアルミ薄膜を簡便に、ウェットプロセスを使用しないプロセスにてパターニングできる製
造方法を提供するものであり、これにより製造設備が大きくならず、廃液処理負担がなく、積層体中の異物が少なくなるプロセスを提供できる。
造方法を提供するものであり、これにより製造設備が大きくならず、廃液処理負担がなく、積層体中の異物が少なくなるプロセスを提供できる。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、基材フィルムにパターニングされたアルミ薄膜が積層された包装材の製造方法であって、全面にアルミ薄膜を積層した基材フィルムの前記アルミ薄膜に、前記アルミ薄膜を残存させる第1のパターンにて耐アルカリ性のインキを印刷した後に、前記アルミ薄膜を剥離させる第2のパターンにてアルカリ性インキを前記アルミ薄膜に印刷することで、前記アルミ薄膜を第2のパターンで腐食させ、次いで粘着体を前記基材フィルムの印刷面に押し当て、引き離すことで、前記第2のパターンにて腐食したアルミ薄膜層を基材フィルムから剥離することを特徴とする、フィルム基材上にパターニングされたアルミ薄膜を有する包装材の製造方法である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記アルミ薄膜を残存させる第1のパターンが複数のインキにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装材の製造方法である。
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記粘着体が、粘着ロールであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の包装材の製造方法である。
本発明が係る、基材フィルムにパターニングされたアルミ薄膜が積層された包装材の製造方法にあっては、製造工程の中にエッチングのためのウェットプロセスを含まないため、アルミ薄膜のアルカリ溶液浴や水洗浴中での異物の剥離、再付着が生じることがない。また、残存するパターン部分がアルカリに接触する工程もないので、経時でのアルカリによる劣化などの懸念が小さい。さらに包装材の伸縮を軽減できるので、包装用積層体としてのピッチずれやカールが発生しにくく、充填不良などが生じにくい。
また、ウェットプロセスによる酸性やアルカリ性の廃液を生じないので、環境負荷や作業者への負荷も小さくなる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の製造プロセスを示すための断面模式図である。図1の(a)は、アルミ薄膜2が形成されたアルミ積層フィルム10であり、基材フィルム1の全面にアルミ薄膜2が形成されている。このアルミ薄膜2をパターニングするために前記アルミ薄膜2に、アルミ薄膜2を残存させる第1のパターンにて耐アルカリ性インキ層3を印刷により形成する(図1の(b))。次いで、アルミ薄膜2を剥離する第2のパターンにてアルカリ性インキ層4を印刷により形成する(図1の(c))。アルカリ性インキ層4がオーブン中で乾燥する間に、アルカリ性インキ層4の下地となるアルミ薄膜が腐食され、腐食したアルミ薄膜5と基材1との密着強度が低下する(図1の(d))。
次いで、耐アルカリ性インキ層3とアルカリ性インキ層4とが印刷されたアルミ積層フィルムの印刷面に粘着体6を押し当て(図1の(e))、加圧後に、粘着体6を引き離すことで、アルカリ性インキ層4のアルカリ性インキによって腐食したアルミ薄膜5が基材フィルム1から第2のパターンにて剥離し(図1の(f))、基材フィルム1に残存させたいアルミ薄膜2の第1のパターンとその上に耐アルカリ性インキ層3とが積層した包装材を得ることができる(図1の(g))。
図2は、本製造方法によって作製された他の実施形態であり、耐アルカリ性インキ層を2種類のインキにより形成するもので、第1の耐アルカリ性インキ層7および第2の耐アルカリ性インキ層7’によって形成する。
図3は、本製造方法において、アルミ薄膜を剥離する工程を行う製造装置の一つの例である。アルミ薄膜を残存させたい第1のパターンを印刷した原反を巻き出しユニット12に設置した後、グラビア印刷ユニット13にて下地の耐アルカリ性インキ層の第1のパターンとアライメントをとりながら剥離する第2のパターンにてアルカリ性インキを印刷し、前記アルカリ性インキを乾燥オーブン14中にて乾燥させる。この過程で、アルカリ性インキは、下地のアルミ薄膜とも反応し、アルミ薄膜が劣化する。
乾燥オーブン14からでた印刷がなされたアルミ積層フィルムは、粘着性を有するロール15や粘着フィルムなどと押し当て、引き離すことで、アルカリ性インキ層を下地の腐食したアルミ薄膜とともに基材フィルムから剥離して、残存させたいアルミ薄膜の第1のパターンが残存したフィルムが巻取り装置15に巻き取られる。図3では、アルカリ性インキの印刷工程のみを示しているが、多色機により耐アルカリ性インキの印刷とインラインで行ってもよい。
本製造方法に用いることのできる基材フィルムは、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどの延伸フィルムのほか、ポリプロピレンほかの無延伸フィルムなどを用いることができる。アルカリ水溶液によるエッチングや水による水洗によってアルミ薄膜をパターニングする方法に対しては、吸水性の高いポリエステルフィルムやナイロンフィルムに対して特に有効である。
基材フィルムへのアルミ薄膜の形成は、真空蒸着法やスパッタ法などによって形成することができる。アルミ蒸着層の厚みは、特に制限されるものではなく、包装材として要求される厚さのものを用いることができる。具体的には、50nmの厚みでよい。また、市販のアルミ蒸着フィルムであっても、アルミ表面に樹脂などからなるコーティングがなされていなければ、使用することができる。アルミ薄膜の厚みや表面状態の化学的な変動は、アルカリ性インキのpHを調整するなどにより対応可能である。
次いで、アルミ薄膜を残存させたい第1のパターンを耐アルカリ性インキにてアルミ薄膜面に印刷する。グラビアインキとしては、アルカリによる蒸着洗浄加工用インキLPVMS X1(東洋インキ社製)などを用いることができる。インキ塗布量は、1〜10μmとして詳細な加工条件により調整すればよい。
また、グラビア印刷では、グラビアの網点を単位として画像や文字を形成しているため、アルミ蒸着層の保存したいパターンは単色ではなく、多色で印刷するようなデザインとすることが好ましい。また、印刷面からアルミ面を露出させたい場合は、顔料を含まないメジュームを印刷することでアルミ面を見せることができる。
次いで、アルカリ性インキとしては、グラビア法を選べば、水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。具体的には、0.5mol/L程度の濃度が好ましい。また、濡れ性の改善のために界面活性剤を添加したり、インキの取り扱いのために水溶性の樹脂を添加するなどしてもよい。
アルミ積層フィルムにアルミ薄膜を残存させる第1のパターンを印刷した原反上に、アルミ薄膜を剥離する第2のパターンを刻んだグラビア版により前記アルカリ性インキを位置合わせしながら印刷することにより、露出しているアルミ薄膜上にアルカリ性インキを印刷することができる。アルミ薄膜に接したアルカリ性インキは、化学的にアルミ薄膜を腐食し、基材との密着性を消失させる。
なお、第1のパターンと第2のパターンとは、重なり合う部分があっても特に問題ないが、どちらにも属さない部分があると、制御されないため、好ましくない。
次いで、腐食したアルミ薄膜層5は、粘着体6と押し当て、引き離すことにより基材フィルム1から剥離することができる。粘着体6は、粘着ロールや粘着フィルムを用いることができるが、粘着ロールを用いることが容易である。具体的には、株式会社加貫ローラ製作所製ECクリーナーなどを用いることができる。
また、粘着ロールは、オフラインにて洗浄することも可能であるが、簡易な水洗ロールにてバックアップしてもよい。
本製造プロセスでは、アルカリ水溶液や水洗などの浴にフィルムが浸漬されないため、アルミ薄膜のパターニング後に、特段の乾燥などを施すことなく、後工程のラミネート工程に投入しても、印刷画像のピッチずれや、カールなどの不具合も生じることがない。
以下、実施例に基づいて、さらに詳細に説明する
以下、実施例に基づいて、さらに詳細に説明する
アルミ積層フィルムとして、東レ社製VM−PET1300(厚み12μm)を用いた。また、耐アルカリ性インキとして東洋インキ社製LPVMS S X1を用いて、前記VM−PETのアルミ薄膜面に所定のパターン1にてグラビア印刷した。次いで、アルカリ性インキとして水酸化ナトリウム水溶液(0.5mol/L)をパターン2(パターン1のネガポジ反転パターン)にてグラビア印刷し、インラインで粘着ロール(加貫ローラ社製ECクリーナーブルー)にてアルミ薄膜面からパターン2の腐食したアルミ薄膜を剥離した。
次いで、前記アルミ薄膜がパターニングされた面にOPET(12μm)、基材フィルム側にLLDPE(タマポリ社製SE620A 40μm)をドライラミネートした。接着剤には、DIC社製LX500/KW75を用いた。これにより本発明による製造方法により積層体を得た。
実施例と同様にVM−PETにパターン1のグラビア印刷を、耐アルカリ性インキ、OPニスを印刷した。OPニスは、東洋インキ社製LPVMS OPワニスX1に、VMハードナーXBを3%添加、ブロッキング防止剤No.150を5%添加を用いた。次いで、アルカリによる蒸着洗浄により、アルミパターンを形成した。その後、実施例と同様にOPET、LLDPEとドライラミネートして積層体を得た。
実施例と比較例とについて外観、インキカス付着数を比較した。結果を表1に示す。
1・・・・基材フィルム
2・・・・アルミ薄膜
3・・・・耐アルカリ性インキ層
4・・・・アルカリ性インキ層
5・・・・腐食したアルミ薄膜
6・・・・粘着体
7・・・・第1の耐アルカリ性インキ層
7’・・・・第2の耐アルカリ性インキ層
10・・・アルミ積層フィルム
12・・・巻き出しユニット
13・・・グラビア印刷ユニット
14・・・乾燥オーブン
15・・・粘着ロール
16・・・巻取りユニット
2・・・・アルミ薄膜
3・・・・耐アルカリ性インキ層
4・・・・アルカリ性インキ層
5・・・・腐食したアルミ薄膜
6・・・・粘着体
7・・・・第1の耐アルカリ性インキ層
7’・・・・第2の耐アルカリ性インキ層
10・・・アルミ積層フィルム
12・・・巻き出しユニット
13・・・グラビア印刷ユニット
14・・・乾燥オーブン
15・・・粘着ロール
16・・・巻取りユニット
Claims (3)
- 基材フィルムにパターニングされたアルミ薄膜が積層された包装材の製造方法であって、全面にアルミ薄膜を積層した基材フィルムの前記アルミ薄膜に、前記アルミ薄膜を残存させる第1のパターンにて耐アルカリ性のインキを印刷した後に、前記アルミ薄膜を剥離させる第2のパターンにてアルカリ性インキを前記アルミ薄膜に印刷することで、前記アルミ薄膜を第2のパターンで腐食させ、次いで粘着体を前記基材フィルムの印刷面に押し当て、引き離すことで、前記第2のパターンにて腐食したアルミ薄膜層を基材フィルムから剥離することを特徴とする、フィルム基材上にパターニングされたアルミ薄膜を有する包装材の製造方法。
- 前記アルミ薄膜を残存させる第1のパターンが複数のインキにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装材の製造方法。
- 前記粘着体が、粘着ロールであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の包装材の製造方法。
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JP2019137913A JP2021020691A (ja) | 2019-07-26 | 2019-07-26 | 包装材の製造方法 |
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