JP2021020159A - ヨウ素担持活性炭含有多孔質体及びその製造方法 - Google Patents

ヨウ素担持活性炭含有多孔質体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ヨウ素が水中に溶出しないように樹脂多孔質体に定着させ、長時間抗菌・抗ウイルス効果を持続させることが可能なヨウ素担持活性炭含有多孔質体を提供することを目的とする。【解決手段】発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体は、活性炭が混合された樹脂多孔質体と、前記活性炭に担持されるヨウ素と、を有し、前記樹脂多孔質体は、前記ヨウ素を担持するために前記活性炭が多孔構造内に表出した状態で一体化されており、前記ヨウ素は、水に溶出しない元素状ヨウ素の状態で前記活性炭に担持される、ことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、活性炭を定着させた多孔質体であって、その活性炭にヨウ素を添着させたヨウ素担持活性炭含有多孔質体に関する。
多孔質体は、スポンジなど内部に空隙を有するものである。例えば、ポリビニルアセタールなどPVA樹脂多孔質体は、吸水性や保水性に優れるとともに湿潤時に好ましい柔軟性や反発弾性を有し、且つ耐久性に優れる。PVA樹脂多孔質体は、気孔形成材を用いて気孔を形成するのが一般的である。
また、活性炭は、大部分が炭素(C)からなる多孔質体であり、細孔に他のものを吸着させる性質を有する。活性炭は、木材、石炭又はやし殻などを炭化させ、水蒸気などで賦活することで、多数の細孔が形成される。活性炭は、脱臭や水質浄化又は有害物質の吸着などに利用され、加熱することで吸着したものを放出させて再利用することもできる。
なお、活性炭が粉末状であると飛散しやすいため、空中に浮遊して周囲を汚染することもある。また、活性炭が粒状であると崩壊又は摩耗により細粒化すると回収又は交換等する際に手間が掛かる。特許文献1に記載されているように、PVA樹脂多孔質体と活性炭を混在させて、多孔質体の特性を損なうことなく、活性炭の吸着性能を有効に発揮させる発明も開示されている。
また、ヨウ素(I)は、ハロゲン元素の一つであり、強い殺菌力を有する。ヨウ素は、アルコールには比較的よく溶け、エタノールに溶かしたヨードチンキも強い殺菌力を有する消毒薬である。ただし、ヨードチンキは、生体への刺激が強いため、ポリビニルピロリドンとヨウ素を混合して生体への影響を弱くしたポビドンヨードがうがい薬などに使用されている。特許文献2に記載されているように、汚染された水にヨウ素を添加して殺菌し、その後、ヨウ素を活性炭に吸着させて回収する発明も開示されている。
なお、ヨウ素は、ヨウ化カリウム(KI)又はヨウ化ナトリウム(NaI)の水溶液に溶解させると、三ヨウ化物イオン(I )等の状態になるので、そこに活性炭を含浸することで、活性炭の細孔に担持させることが可能である。特許文献3に記載されているように、三ヨウ化カリウムを活性炭に吸着させ、水にヨウ素を溶出させることで抗菌性を発揮させる発明も開示されている。
ヨウ素系消毒薬は、塩素系消毒薬と同等の効力を有する中水準消毒薬であり、ウイルス、真菌、及び一部の芽胞菌を除く細菌(以下、微生物類とする)に対して消毒効果がある。しかし、ヨウ素系消毒薬は、微生物類を殺菌する際に生体まで傷付けるおそれがある。そのため、ヨウ素系消毒薬を使用する場合、生体に対して非侵襲であることが望まれる。
例えば、鳥インフルエンザウイルス等の家畜伝染病の消毒には、消石灰(水酸化カルシウム)が使用されている。消石灰は、運動場のライン引きや畑に撒かれていたが、目に入ると失明する危険性もある。また、消石灰は、二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムになると消毒効果が無くなるので、長期間に渡り効果を持続させることができない。
ヨウ素イオンが水などに溶出すると効果が長期間持続しないので、元素状ヨウ素の状態で活性炭に担持させる方法もある。特許文献4及び5に記載しているように、活性炭の細孔に吸着した一部の芽胞菌以外の微生物類を生体には非侵襲で殺菌するヨード活性炭(ヨウ素担持活性炭)の発明を出願している。
特開2018−177588号公報 特許第4368146号公報 特許第4914541号公報 特願2017−102762号 特願2018−032302号
PVAスポンジ等の樹脂多孔質体にヨウ素を添付しても水に浸けるとヨウ素が溶出して抗菌性及び抗ウイルス性を持続させることができない。また、ヨウ素担持活性炭は、粉粒状であるとそのまま水に浸けると水中に浮遊してしまう。そのため、樹脂多孔質体に活性炭を定着させ、その活性炭にヨウ素を担持させることが考えられる。
ただ、水蒸気で賦活した活性炭はアルカリ性を示すため、ヨウ素を添着させるときにヨウ素イオン又はヨウ素酸イオンが生成されやすく、活性炭から溶出してしまう性質を有しているため、抗菌・抗ウイルス効果を長時間持続させることが困難である。
そこで、本発明は、ヨウ素が水中に溶出しないように樹脂多孔質体に定着させ、長時間抗菌・抗ウイルス効果を持続させることが可能なヨウ素担持活性炭含有多孔質体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体は、活性炭が混合された樹脂多孔質体と、前記活性炭に担持されるヨウ素と、を有し、前記樹脂多孔質体は、前記ヨウ素を担持するために前記活性炭が多孔構造内に表出した状態で一体化されており、前記ヨウ素は、水に溶出しない元素状ヨウ素の状態で前記活性炭に担持される、ことを特徴とする。
また、前記ヨウ素担持活性炭含有多孔質体において、前記活性炭は、前記ヨウ素を元素状ヨウ素の状態で担持するために予めアルカリ成分が除去されている、ことを特徴とする。
また、前記ヨウ素担持活性炭含有多孔質体において、前記樹脂多孔質体は、PVA樹脂、ポリウレタン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂の何れかからなる、ことを特徴とする。
また、前記ヨウ素担持活性炭含有多孔質体において、前記活性炭の含有量は、活性炭含有多孔質体の1〜40wt%であり、前記ヨウ素の担持量は、活性炭含有多孔質体の1〜12wt%である、ことを特徴とする。
また、本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体の製造方法は、賦活された活性炭をポリビニルアルコール水溶液に混在させ、気孔形成材、架橋剤及び触媒を添加することで前記活性炭が定着された樹脂多孔質体を生成し、前記樹脂多孔質体に一体化された前記活性炭に残留しているアルカリ成分を、前記活性炭にヨウ素を添着する際にヨウ素イオン又はヨウ素酸イオンが生成されないように、予め酸処理することによって除去しておき、前記ヨウ素が空中に放出又は水中に溶出しないように、かつ微生物類を前記ヨウ素で不活化すべく前記活性炭へ吸着可能に、元素状ヨウ素の状態で前記活性炭に添着する、ことを特徴とする。
また、前記ヨウ素担持活性炭含有多孔質体の製造方法は、ヨウ素イオン又はヨウ素酸イオンの状態にならないように、前記ヨウ素を昇華させて前記活性炭の細孔に吸着させることにより、元素状ヨウ素の状態で前記活性炭に気相で添着する、ことを特徴とする。
本発明によれば、活性炭を含む樹脂多孔質体に元素状ヨウ素を定着させることで、長時間抗菌・抗ウイルス効果を持続させることができる。活性炭に担持させるヨウ素の活性な状態を保持するとともに抗菌・抗ウイルス効果を長時間持続させることができる。ヨウ素を添着させる前に活性炭を酸処理しておくことで、活性炭に元素状ヨウ素を担持させることができる。活性炭からヨウ素が空気中に放出されず、かつ水中に溶出されないので、生体には非侵襲で、抗菌・抗ウイルス効果を長時間持続させることができる。ヨウ素担持活性炭を多孔質体に含有させることで、活性炭が粉末状又は粒状の場合でも、飛散しないように安定して保持することができる。
本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体の製造方法を示すフローチャートである。 本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体におけるヨウ素担持活性炭の殺菌原理を示す図である。 本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体におけるヨウ素担持用の活性炭の製造方法を示す図である。 本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体に担持されるヨウ素の化学形態を示す電位−pH図である。 本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体におけるヨウ素担持活性炭の酸処理を説明する図である。 本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体の消毒効果について試験した結果を示す図である。 本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体の酸処理による抗菌力向上について試験した結果を示す図である。 本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体の即効性と持続性について試験した結果を示す図である。 本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体の防カビ効果について試験した結果を示す図である。 本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体のウイルス不活化能について試験した結果を示す図である。 本発明であるヨウ素担持活性炭含有多孔質体のヨウ素の溶出について試験した結果を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
図1は、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体の製造方法を示すフローチャートである。多孔質体は、スポンジなど内部に空隙を有するものであるが、本実施例では樹脂多孔質体とする。なお、炭素系多孔質体である活性炭を定着させた多孔質体を、活性炭含有多孔質体とする。さらに、ヨウ素を添着させた活性炭含有多孔質体を、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体とする。
連続気孔を有する樹脂多孔質体としては、PVA樹脂多孔質体などがあり、吸水性や保水性に優れるとともに湿潤時に好ましい柔軟性や反発弾性を有し、且つ耐久性に優れる。PVA樹脂多孔質体では、反応後に気孔形成材を除去することによって気孔を形成するのが一般的である。
活性炭含有多孔質体は、連続気孔が形成されたPVA樹脂多孔質体の全域に粉状又は粒状の活性炭を均等に混在させて定着することで、多孔質体と活性炭とが一体化したものであり、親水性、柔軟性、弾力性などに優れる。PVA樹脂多孔質体の特性を損なうことなく、活性炭の吸着性能が有効に発揮される。
活性炭の平均粒径は、0.01mm以上1.0mm以下とする。また、活性炭の含有量は、(活性炭の重量)/(PVA樹脂の重量+活性炭の重量)×100で表したときに、1〜40wt%が好ましい。PVA樹脂多孔質体の気孔率は、60容積%以上95容積%以下とし、75容積%以上95容積%以下が好ましい。気孔径は、5μm以上1500μm以下とし、50μm以上1000μm以下が好ましい。
図1に示すように、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体の製造方法としては、まず、PVA(ポリビニルアルコール)樹脂の水溶液に、賦活された活性炭の粉末と、気孔形成材と架橋剤及び触媒を配合し、十分に攪拌する。得られる混合液は、粘度が高く且つ活性炭の粉末を多量に含有するため、粘稠なスラリー状又はペースト状を呈する。気孔形成材としては、例えばデンプン又はその誘導体を始めとする有機質微粉末が好適である。具体的には、米、小麦、とうもろこし、馬鈴薯などから抽出されたデンプン又はこれらを加工したもの、又は分級したものが挙げられる。
次に、粘稠物(混合液)を所定の温度(例えば50〜100℃)の雰囲気にて静置し加温する。PVA樹脂の縮合反応が開始されると、当該粘稠物は徐々にゲル化し、次いで固化が始まるとともに、気孔形成材により多孔構造が形成される。PVA樹脂が多孔構造となることで、混合された活性炭が多孔構造内で表出される割合が増え、微生物類を吸着可能な面積が大きくなる。
固化完了後、洗浄して気孔形成材などを当該固化物から除去することで、粉粒状の活性炭が空気中又は水中に飛散しないように一体的に形成された樹脂多孔質体が生成される。活性炭の吸着能を維持した上で樹脂多孔質体に定着させるには、PVA樹脂が好適である。
樹脂多孔質体に一体化された活性炭には、賦活時にアルカリ成分が残留している場合があるので、後で活性炭にヨウ素を添着する際にヨウ素イオン又はヨウ素酸イオンが生成されないように、予め酸処理することによって除去する。なお、PVA樹脂と混合する前の段階で、予め活性炭に酸処理を施してアルカリ成分を除去しておいても良い。
樹脂多孔質体と活性炭とが一体化された複合体を、ポリヨウ素溶液に浸漬又はヨウ素ガス雰囲気に置くことにより、アルカリ成分が除去された活性炭にヨウ素を担持させる。これを水洗いすることでヨウ素担持活性炭含有多孔質体が製造される。必要に応じて乾燥させても良い。なお、複合体を生成する前に活性炭にヨウ素を担持させておくと、製造用原料により還元され失活してしまうため、複合体生成後に活性炭にヨウ素を担持させるのが好ましい。
ヨウ素担持活性炭含有多孔質体は、樹脂多孔質体の多孔構造により有効な表面積が大きくなり通気性及び通水性が確保されているので、含有活性炭にヨウ素が吸着されると共に、担持されたヨウ素で不活化対象の微生物類も吸着される。ヨウ素は、活性炭に物理的・化学的に強く保持され、空気中に放出又は水中に放出されないので、空気中だけでなく水中でも不活化能(抗菌性・抗ウイルス性)を有する。
例えば、台所用スポンジなど水中での使用が激しい場合、2〜4ヶ月程度の使用可能期間を想定すると、ヨウ素の担持量は、活性炭含有多孔質体の5〜10wt%程度が好ましい。なお、車両や結露時の拭き取り用など使用条件が軽い場合は、活性炭含有多孔質体の1〜2wt%程度でも、半年から1年程度の寿命が見込める。
図2は、ヨウ素担持活性炭の殺菌原理を示す図である。図3は、ヨウ素担持用の活性炭の製造方法を示す図である。図4は、ヨウ素担持活性炭に担持されるヨウ素の化学形態を示す電位−pH図である。図5は、ヨウ素担持活性炭にヨウ素を担持させる前に酸処理を行い、その後ヨウ素を添着する処理を説明する図である。
図2に示すように、活性炭含有多孔質体に含まれている活性炭300にヨウ素400を担持させることにより、活性炭300が吸着した微生物類200をヨウ素400によって不活化させる。
微生物類200は、ウイルス、真菌(菌類)及び細菌類などである。ウイルスは、大きさが約50ナノメートル(nm)程度であり、(鳥)インフルエンザウイルスやノロウイルスやエボラ出血熱ウイルスや口蹄疫ウイルスやヒト免疫不全ウイルス(HIV)などがある。なお、ウイルスは定義上生物とは言えないが、微生物類200に含まれるものとする。真菌(カビ)は、大きさが約5マイクロメートル(μm)程度の菌類であり、白癬菌などがある。細菌類は、大きさが約1マイクロメートル(μm)程度であり、枯草菌や納豆菌など耐久性の高い芽胞菌や、結核菌や大腸菌やコレラ菌やサルモネラ菌などその他の一般細菌がある。
活性炭300が担持しているヨウ素400を人や動物等の生体へ侵襲させることなく、活性炭300の細孔が吸着した微生物類200をヨウ素400によって不活化する。なお、不活化は、微生物類200を死滅させ、感染力を失わせることである。具体的には、ヨウ素カチオンが生体内のタンパク質のアミノ酸残基であるシステインを酸化し、チロシンやヒスチジンをヨウ素化することでタンパク質を変質させる。不活化には、滅菌(ウイルス)、殺菌(ウイルス)、消毒、除菌(ウイルス)又は抗菌(ウイルス)等することを含むものとする。すなわち、ヨウ素400は、消毒薬や抗菌・抗ウイルス剤などとして機能する。
例えば、消毒薬には、ほとんどの芽胞菌まで効果のある高水準消毒薬、結核菌とほとんどの真菌とウイルスにも効果がある中水準消毒薬、及びほとんどの一般細菌といくつかの真菌とウイルスに効果がある低水準消毒薬がある。消毒薬に対する抵抗性は、強い方から芽胞菌、ウイルス、結核菌、一般細菌の順である。ヨウ素400は中水準消毒薬であり、ヨウ素400に対して耐久性のある一部の芽胞菌などを除く微生物類200に対して効果を有する。
活性炭300は、やし殻、木材、石炭又は石油系の原料を炭化させ賦活することで多数の細孔を形成させたものであり、破砕して粉末状にしたものや、球状など粒状に成型したものがある。活性炭300には、1グラムあたり1500ミリグラム(mg/g)程度までヨウ素400を吸着可能である。例えば、ヨウ素吸着性能が1500mg/g以下のヤシ殻活性炭や、1200〜1350mg/gの石油系球状活性炭などがある。なお、木炭の場合は300〜400mg/gである。
また、活性炭300は、細孔の入口が狭く深めの穴が多いものや、細孔の入口が広く浅めの穴が多いものがある。細孔には、直径2ナノメートル(nm)以下のミクロ孔、直径2〜50ナノメートル(nm)のメソ孔、及び直径50ナノメートル(nm)以上のマクロ孔があるが、平均が1〜5ナノメートル(nm)であることが好ましい。また、比表面積が1グラムあたり300〜2000平方メートル(m/g)であることが好ましい。
図3に示すように、活性炭300の製造方法の例としては、まず、木材、石炭又はやし殻などの原料500を粉砕するなど予め処理しやすい形状や大きさに加工し、その原料500を約700〜800℃で酸素を遮断して加熱することにより炭化510させる。そして、約900〜1000℃で水蒸気(HO)等と反応させて賦活520し、不純物を取り除いて大きさを揃えるなど精製する。賦活により活性炭300に多数の細孔が形成され、吸着力が飛躍的に増大する。その後、活性炭300に酸処理530等のpH調整を行う。
ヨウ素400を活性炭300に担持させる方法としては、まず、ヨウ素単体(I)をヨウ化カリウム(KI)水溶液又はヨウ化ナトリウム(NaI)水溶液に溶解して三ヨウ化物イオン(I )の状態にする。そこに活性炭300を含浸することで、活性炭300の細孔にヨウ素400が吸着され安定保持される。
三ヨウ化物イオン[I=I−I]は、ヨウ素単体(I=I)とヨウ化物イオン(I)により生成されたポリヨウ化物であり、複数結合したヨウ素400が活性炭300の触媒作用により、活性励起状態である元素状ヨウ素(I=II=I)の状態で活性炭300に担持される。
また、ヨウ素400は常温、常圧で固体であるが、昇華性もあることから、ヨウ素400を気化させたヨウ素ガスを活性炭300に吸着させても良い。ヨウ素ガスは、原子間の結合が比較的弱いことから、高温で解離して単原子分子となることもあり、元素状ヨウ素(I)の状態で活性炭300に担持される。
元素状ヨウ素は、活性炭300の細孔表面において、2〜3次元のマルチボンドのネットワークが形成された状態となる。元素状ヨウ素は、ヨウ素単体に紫外線を照射する等によって生成されるラジカル(I)と同様であり、化学的活性度の高い状態である。活性炭300の疎水性、親油性、さらに触媒特性を利用することにより、元素状ヨウ素が安定した状態で活性炭300に保持される。元素状ヨウ素には、ヨウ素400の単原子分子だけでなくヨウ素単体を含むものとする。
ヨウ素400は、活性炭300の細孔において、ファンデルワールス力(分子間力結合)により分子吸着(共有結合)される。さらに、元素状ヨウ素の場合、複数の単原子分子がネットワーク状にマルチボンド(多重結合)することにより物理的・化学的に強く結合される。そのため、元素状ヨウ素は、化学的な活性度を長時間保ちながら、空気中に放出せず且つ水中にも溶出しない状態で、活性炭300に担持される。
ヨウ素400の沸点は184℃であり、沸点以上でヨウ素400が活性炭300から揮発離脱する。使用済みの活性炭300からヨウ素400などを揮発させ、また賦活から繰り返してヨウ素400を添着させれば、ヨウ素担持活性炭として再利用可能である。活性炭300の細孔の閉塞や極端な還元作用が無い限り、ヨウ素400の殺菌力は持続する。なお、ヨウ素400には刺激臭があるが、活性炭300に担持された状態では、無味・無臭である。
ヨウ素400は、元素状ヨウ素(I)や原子状ヨウ素(I)の状態であれば殺菌力がかなり強いが、ヨウ素イオン(I)の状態であると殺菌力が無くなる。また、三ヨウ化物イオン(I )やヨウ素酸イオン(IO )や過ヨウ素酸イオン(IO )等の状態であると殺菌力は保持されるが、水溶性であるため水に溶解して拡散すればその殺菌力は減損する。そのため、ヨウ素400には、ヨウ素イオン(ヨウ化物イオン)、三ヨウ化物イオン及び(過)ヨウ素酸イオンの状態は含まないものとする。
図4に示すように、電位が還元状態である領域600では、ヨウ素イオンの状態になるため抗菌・抗ウイルスの効果がない。また、電位が極端な酸化状態である領域610では、ヨウ素酸イオン等の状態になるため酸化力(抗菌・抗ウイルスの効果)は強いが、水溶性であるため効果が長く持続しない。
図中、太線で囲んだ三角形状の灰色の領域620においては、pH(水素イオン濃度)が中性から酸性であれば元素状ヨウ素の状態が維持され、酸化力(抗菌・抗ウイルスの効果)もあり、水にも溶けにくいため効果が長く持続する。なお、pHがアルカリ性になるとヨウ素酸イオン又はヨウ素イオンの状態になるため効果の持続性が期待できない。
活性炭300の賦活には、塩化亜鉛(ZnCl)等の薬品を用いる方法と、原料を炭化して水蒸気で細孔を形成させる方法などがあるが(図3参照)、薬品賦活法には環境問題や腐食性などの問題があることから、水蒸気賦活法が多く利用されている。
図5(a)に示すように、水蒸気賦活法の場合、原料に含まれるアルカリ金属(ナトリウムやカリウム等)及びアルカリ土類金属(マグネシウムやカルシウム等)の灰分が残留するため、賦活後の活性炭300はアルカリ性(pH9〜10程度)を示す。具体的には、原料である炭素(C)に水蒸気(HO)が結合し、炭素表面に結合した水蒸気の分解により水素(H)が放出されると、炭素表面に留まった酸素(O)により一酸化炭素(CO)が生成されることで反応(賦活)が進行する。そして、残留するアルカリ成分410により活性炭300はアルカリ性となる。
アルカリ性となった活性炭300にヨウ素400を添着させても抗菌・抗ウイルスの効果が弱いので、図5(b)に示すように、ヨウ素400を添着させる前に、塩酸、硫酸又は硝酸などの無機酸でアルカリ成分410を中和溶解させて活性炭300から除去する。そして、図5(c)に示すように、活性炭300にヨウ素400を添着させれば、活性炭300からヨウ素400の溶脱が抑制されるとともに、抗菌・抗ウイルスの効果が高い元素状ヨウ素の状態で活性炭300にヨウ素400が担持される。
ヨウ素担持活性炭は、低濃度(2〜5%程度)の酸、アルコール、有機溶剤に対しては耐久性が強いが、高濃度のアルカリ、アルコール、有機溶剤、還元剤に対しては耐久性が弱い。また、ヨウ素担持活性炭におけるヨウ素400の溶出性は、空気中に放出又は水中に溶出せず、水への溶解性は、ヨウ素イオン(I)として0.05%以下であり、ヨウ素単体(I)として0.05%以下である。
ヨウ素単体(I)の水への溶解度は、20℃で0.03g/100mL(300ppm)であるが、活性炭300に元素状ヨウ素の状態で担持されると、10ppm以下とほぼ検出できないほどの低い溶解性となる。
また、ヨウ素担持活性炭は、金属腐食性が僅かであり、塩素に比べ低い。ヨウ素担持活性炭は、海水中でpH5程度(酸性)であり、海水に700日浸漬したステンレス鋼耐食性試験においても、pHの変化は少なく、金属腐食性も少ない結果が出ている。すなわち、ヨウ素担持活性炭の活性は、長時間持続するにもかかわらず、金属に対する腐食性が少ない。
ヨウ素担持活性炭にはヨウ素400が安定的に保持されており、ヨウ素担持活性炭から放出や溶出されるものはないので、周囲にあるものには影響を与えることなく、ヨウ素担持活性炭に吸着されたウイルス等だけをヨウ素400によって不活化させる。すなわち、人間や動物などの生体に対して非侵襲であり、ウイルス等の微生物類200を受動的に不活化する。
活性炭300におけるヨウ素400の担持量は、活性炭300の吸着能力とヨウ素400の不活化力とのバランスにより調整する。1グラムあたり1500ミリグラム(mg/g)以下のヨウ素400を担持可能な活性炭300に対して、ヨウ素400の不活化力と、活性炭300がウイルス等を吸着する能力とから、ヨウ素400の担持量を決めれば良い。
例えば、100gの活性炭300に対し、30gのヨウ素400が担持された場合、活性炭300の残る吸着可能表面積の割合は約80%程度であり、また、ヨウ素400による不活化力の割合は約20%程度となる。ヨウ素400の殺菌力は強く、その飽和担持量に対し20%程度であっても十分な不活化力を有する。ヨウ素400が少なくても不活化力が期待できる場合は、ヨウ素400の担持率を低くして、ウイルス等の吸着能力を上げれば良い。
ヨウ素400の担持量を少なくして、活性炭300の吸着能力が充分に残っている状態にしても良いし、ヨウ素400の担持量を多くして、強い不活化効果のある状態にしても良い。ただし、ヨウ素400の担持量が多すぎると、ヨウ素担持活性炭にウイルス等を吸着可能な表面積の割合が少なくなる。なお、鳥インフルエンザウイルスを不活化させる場合の担持量は、100〜500mg/g程度が好ましい。
図6〜10は、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体について試験した結果を示す図である。図6では、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体の抗菌性を寒天培地平板試験によって評価する。標準寒天培地が固化した後の表面に大腸菌溶液を綿棒で塗布し、中性の活性炭(AC)を1wt%、3wt%、5wt%含有する板状スポンジ(PVA樹脂多孔質体に活性炭を定着させた活性炭含有多孔質体)に、ヨウ素を40wt%、80wt%の濃度で添着し、3回水洗したものを置き、37℃で19時間培養した。
図6に示すように、含有活性炭が3wt%でヨウ素濃度が40wt%のとき、阻止円は評価0.5であり、このときのヨウ素は、活性炭含有多孔質体の質量の1.2wt%である。含有活性炭が3wt%でヨウ素濃度が80wt%のとき、阻止円は評価3であり、このときのヨウ素は、活性炭含有多孔質体の質量の2.4wt%である。含有活性炭が5wt%でヨウ素濃度が40wt%のとき、阻止円は評価3であり、このときのヨウ素は、活性炭含有多孔質体の質量の2.0wt%である。含有活性炭が5wt%でヨウ素濃度が80wt%のとき、阻止円は評価4であり、このときのヨウ素は、活性炭含有多孔質体の質量の4.0wt%である。
すなわち、PVA樹脂多孔質体に混在させる活性炭の量が少なくても、活性炭に担持させたヨウ素が活性炭含有多孔質体の重量の2wt%以上存在すれば評価3以上の阻止円を確認することができる。
図7では、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体の酸処理による抗菌力向上について確認する。ヨウ素担持活性炭含有多孔質体(ヨード活性炭PVAスポンジ)を酸処理してpH5以下にしたものと、アルカリ処理してpH9以上にしたものを作製し、それぞれハロー試験を行って阻止円の大きさを比較した。
図7に示すように、アルカリ処理した方は、ハロー(菌の発育阻止帯)が発現しないが、酸処理した方は、活性炭に含まれるヨウ素濃度が10〜30wt%(活性炭含有多孔質体の4〜12wt%)の場合にハローが発現した。すなわち、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体に対して酸処理を行うことにより、抗菌力を向上させることができる。
図8では、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体の即効性と持続性を確認する。ヨウ素担持活性炭含有多孔質体を用いたフィルター(ヨード活性炭スポンジフィルター)に連続通水を行い、スポット的に10〜10CFU(コロニー形成単位)/mLレベルの一般生菌溶液を1mL注入し通水した。菌の定量は、経時的にサンプリングした通水液を適宜希釈し、標準寒天培地にて37℃で18時間以上培養して、一般生菌のコロニーをカウントした。
図8に示すように、一般生菌溶液を通水し、ヨード活性炭スポンジフィルターを通過した液の一般生菌数が短時間で減少され、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体の即効性が確認された。また、ヨード活性炭スポンジフィルターの体積の約10万倍量を通水しても抗菌力を失っておらず、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体の持続性が確認された。すなわち、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体は、水環境利用において、抗菌力が容易に溶脱せず、長期に効果を発揮できる。
図9では、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体の防カビ効果を確認する。室温で湿度90%以上の密閉空間の中に4つのスポンジ(ヨウ素担持活性炭含有多孔質体)を滅菌シャーレに蓋をせず静置して、スポンジ全面に黒コウジカビを噴霧した。なお、試験加速のために、栄養となる寒天培地溶液を噴霧した。
図9に示すように、活性炭を含有しないスポンジは5日後にカビが確認された。含有活性炭が10%でヨウ素濃度が0wt%のときは25日後にカビが確認された。含有活性炭が10%でヨウ素濃度が30wt%(活性炭含有多孔質体の3wt%)のときは36日後にカビが確認された。含有活性炭が20%でヨウ素濃度が30wt%(活性炭含有多孔質体の6wt%)のときは、カビは確認されなかった。すなわち、活性炭含有多孔質体の重量の6%以上ヨウ素が含有されていれば、1ヶ月以上カビの発現を阻止することができる。
図10では、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体のウイルス不活化能を確認する。実験材料として、(1)含有活性炭が20wt%のPVAスポンジ(RefAC20wt%)、(2)含有活性炭が10wt%でヨウ素濃度が30wt%(活性炭含有多孔質体の3wt%)のPVAスポンジ(AC10wt%+Iod30%)、及び(3)含有活性炭が20wt%でヨウ素濃度が20wt%(活性炭含有多孔質体の4wt%)のPVAスポンジ(AC20wt%+Iod20%)を用いた。
鳥インフルエンザウイルスA/swan/Shimane/499/83(H5N3)株を10日齢発育鶏卵の尿膜腔内に接種し、35℃にて2日間培養した後、尿膜腔液を採取してウイルス液とした。ウイルス液は、50%発育鶏卵感染価(EID50)を算出し、PBSにて約107.5EID50/0.2mLに調製したものを用いた。
実験材料(1)〜(3)について、200μLのウイルス液を染み込ませ、室温にて10分間反応させた。反応後、SCDLP培地を加えて10倍希釈し、反応を終了させた。PBSにて10倍段階希釈し、希釈段階毎に3個の10日齢発育鶏卵尿膜腔内に0.2mL宛接種し、35℃で2日間培養した。培養後、尿膜腔液を採取し、0.5%鶏赤血球浮遊液と反応させ、赤血球の凝集によりウイルス増殖の有無を判定した。残存ウイルス力価は、Reed and Muenchの方法によりEID50を算出した。
PVAスポンジは大きさが約0.8cmの厚みで1.2cm角に切断されたもので、水気を絞った状態では約0.3g、1mLの水を含むことを確認したので、200μLのウイルス液と反応させて実験を行った。
図10に示すように、ヨウ素担持活性炭を含んだPVAスポンジ(AC10wt%+Iod30%)及び(AC20wt%+Iod20%)は、残存ウイルス力価を検出限界以下に減少させた。すなわち、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体は、ウイルスを短時間で不活化したことが確認された。
図11は、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体のヨウ素の溶出について試験した結果を示す図である。PVAスポンジに含有されたヨウ素担持活性炭におけるヨウ素の化学形態は、元素状ヨウ素(I)である。これを確認するために、ヨウ素担持活性炭に有機溶媒を混合し、ヨウ素担持活性炭に含まれる元素状ヨウ素(I)を溶出させることで、溶媒の種類によって色調の異なる黄色〜赤色を呈することを利用する。
図11(a)に示すように、活性炭の重量の30%のヨウ素を担持させたヨウ素担持活性炭(IodAC30)にその10倍量の有機溶媒(図中、左から四塩化炭素CCl、トルエンC、キシレンC10、エチルアルコールCO、アセトンCOの5種類)をそれぞれ加えた。
図11(b)に示すように、呈色した溶媒相について紫外可視(UV−VIS)分光分析法でスペクトルデータを測定した。ヨウ素の有機溶媒溶出液のVIS(可視光領域)スペクトル測定法により、活性炭中に含まれる形態が元素状ヨウ素(I)であることが確認できる。
本発明によれば、活性炭を含む樹脂多孔質体に元素状ヨウ素を定着させることで、長時間抗菌・抗ウイルス効果を持続させることができる。活性炭に担持させるヨウ素の活性な状態を保持するとともに抗菌・抗ウイルス効果を長時間持続させることができる。ヨウ素を添着させる前に活性炭を酸処理しておくことで、活性炭に元素状ヨウ素を担持させることができる。活性炭からヨウ素が空気中に放出されず、かつ水中に溶出されないので、生体には非侵襲で、抗菌・抗ウイルス効果を長時間持続させることができる。ヨウ素担持活性炭を多孔質体に含有させることで、活性炭が粉末状又は粒状の場合でも、飛散しないように安定して保持することができる。
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、多孔質体としては、PVA樹脂多孔質体の他に、ポリウレタンやポリオレフィンなどがある。ポリウレタンの場合は、原料となるポリウレタン系樹脂と気孔形成材を予め混合分散し、粘土状に混練し、所定形状の成形し、得られた成形物から気孔形成材を抽出除去することにより、樹脂多孔質体であるスポンジを製造する。
また、ポリオレフィンの場合は、原料となるポリオレフィン系樹脂と気孔形成材を加熱混練した上で、所定形状に成形し、冷却し、得られた成形物から気孔形成材を抽出除去することにより、樹脂多孔質体であるスポンジを製造する。
ポリウレタン系樹脂と気孔形成材を混合分散する際、又はポリオレフィン系樹脂と気孔形成材を加熱混練する際に、酸処理を施した活性炭を混合しておき、スポンジ状の樹脂多孔質体を一体的に形成する。そして、活性炭が定着された樹脂多孔質体にヨウ素を担持させることで、ヨウ素担持活性炭含有多孔質体が得られる。
200:微生物類
300:活性炭
400:ヨウ素
410:アルカリ成分
500:原料
510:炭化
520:賦活
530:酸処理
600:領域(ヨウ素イオン)
610:領域(ヨウ素酸イオン)
620:領域(元素状ヨウ素)

Claims (6)

  1. 活性炭が混合された樹脂多孔質体と、
    前記活性炭に担持されるヨウ素と、を有し、
    前記樹脂多孔質体は、前記ヨウ素を担持するために前記活性炭が多孔構造内に表出した状態で一体化されており、
    前記ヨウ素は、水に溶出しない元素状ヨウ素の状態で前記活性炭に担持される、
    ことを特徴とするヨウ素担持活性炭含有多孔質体。
  2. 前記活性炭は、前記ヨウ素を元素状ヨウ素の状態で担持するために予めアルカリ成分が除去されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のヨウ素担持活性炭含有多孔質体。
  3. 前記樹脂多孔質体は、PVA樹脂、ポリウレタン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂の何れかからなる、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヨウ素担持活性炭含有多孔質体。
  4. 前記活性炭の含有量は、活性炭含有多孔質体の1〜40wt%であり、
    前記ヨウ素の担持量は、活性炭含有多孔質体の1〜12wt%である、
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のヨウ素担持活性炭含有多孔質体。
  5. 賦活された活性炭をポリビニルアルコール水溶液に混在させ、気孔形成材、架橋剤及び触媒を添加することで前記活性炭が定着された樹脂多孔質体を生成し、
    前記樹脂多孔質体に一体化された前記活性炭に残留しているアルカリ成分を、前記活性炭にヨウ素を添着する際にヨウ素イオン又はヨウ素酸イオンが生成されないように、予め酸処理することによって除去しておき、
    前記ヨウ素が空中に放出又は水中に溶出しないように、かつ微生物類を前記ヨウ素で不活化すべく前記活性炭へ吸着可能に、元素状ヨウ素の状態で前記活性炭に添着する、
    ことを特徴とするヨウ素担持活性炭含有多孔質体の製造方法。
  6. ヨウ素イオン又はヨウ素酸イオンの状態にならないように、前記ヨウ素を昇華させて前記活性炭の細孔に吸着させることにより、元素状ヨウ素の状態で前記活性炭に気相で添着する、
    ことを特徴とする請求項5に記載のヨウ素担持活性炭含有多孔質体の製造方法。
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