JP6322956B2 - 鉄イオンを利用した光触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄イオンを利用した光触媒に関する技術である。また、本発明は、当該光触媒を利用した有機物分解方法又は殺菌方法に関する技術である。
光触媒は、光を当てるだけで有機系の有害物質の分解や殺菌などに利用できることから、手軽で汎用性が高い技術として社会的ニーズが高まっている。
現在、光触媒活性を示すものとしては、酸化チタンの他、タングステン、インジウム、バナジウム、銀、モリブデン、亜鉛、ガリウムリン、ガリウム、ヒ素などの金属化合物が知られている。しかし、これらの金属化合物のほとんどのものは、非常に高価で毒性が強いなどの問題があることから実用化が進んでおらず、現段階で光触媒として実用化されているのは酸化チタンだけである。
また、可視光での光触媒活性を実現するために酸化チタン不純物を混入させる技術(ドーピング)が試みられているが(例えば、特許文献1,2等 参照)、加工技術が難しく非常に高価になるという問題がある。さらにドーピング技術で製造される光触媒の活性はとても弱いため、実用化に至っているものは存在しない状況である。
また、酸化チタンは、米国において発癌物質の認定を受けている物質であり、酸化チタン自体の安全性が疑問視されている。そのため、酸化チタンが利用可能な場面はかなり限定されたものとなっている。
以上の状況から、利用場面の限定を受けない安全性の高い光触媒であって、安価での提供が可能光触媒の開発が期待されている。
特開平7-303835号公報 特開2006-305532号公報
本発明は、上記課題を解決し、有機物分解又は殺菌に利用可能であって、利用場面の限定を受けない安全性の高い光触媒を安価に提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねたところ、鉄イオンに紫外線を照射した際に、酸化チタンを大幅に上回る強力な光触媒活性が発揮されることを見出した。また本発明者らは、当該光触媒を利用することによって、紫外線を照射しての有機物分解が可能となることを見出した。なお、鉄イオンは、極めて安価で身近な物質であり、飲食品や鉄分補給剤にも含まれる安全性の高い物質である。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
即ち、[請求項1]に係る本発明は、二価鉄の供給原料として、水溶性の鉄化合物である塩化鉄(II)のみと、水(ただし、酒を除く。)とを、混合を伴う操作にて接触させることによって、水を媒質として二価鉄イオンを生成させて得ることを特徴とする、二価鉄イオンを活性成分として含んでなる光触媒の製造方法に関するものである。

また、[請求項2]に係る本発明は、塩化鉄(II)のみと、水のみとを、混合を伴う操作にて接触させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法に関するものである。

また、[請求項3]に係る本発明は、請求項1又は2のいずれかに記載の製造方法から得られ、二価鉄イオンを活性成分として含んでなる光触媒に関するものである。

また、[請求項4]に係る本発明は、前記光触媒が、紫外線に属する波長の光を照射したときに有機物分解活性を発揮するものである、請求項3に記載の光触媒に関するものである。

また、[請求項5]に係る本発明は、請求項3に記載の光触媒を含有してなる有機物分解剤に関するものである。

また、[請求項6]に係る本発明は、請求項3に記載の光触媒と分解対象物を接触させ、紫外線に属する波長の光を照射することを特徴とする有機物分解方法に関するものである。

また、[請求項7]に係る本発明は、請求項3に記載の光触媒を含有してなる殺菌剤に関するものである。

また、[請求項8]に係る本発明は、請求項3に記載の光触媒と殺菌対象物を接触させ、紫外線に属する波長の光を照射することを特徴とする殺菌方法に関するものである。

本発明は、有機物分解又は殺菌に利用可能であって、利用場面の限定を受けない安全性の高い光触媒を安価に提供することを可能とする。
具体的には、本発明の光触媒の活性成分として鉄イオンは、飲食品や鉄分補給剤にも含まれるものであるため、人体や環境に対して、安全性の高いものとなる。一方、従来技術である酸化チタンは、米国では発癌物質の認定を受けている物質であり普及の妨げとなっている。この点、本発明の光触媒は、酸化チタンでは利用が困難であった様々な用途での使用が期待される。
また、本発明により、安価な原料(鉄化合物)のみを用いた簡便な手法により、優れた光触媒を提供することが可能となる。一方、従来技術である酸化チタンは10mgあたり数万円と極めて高価な資材である。この点、本発明の光触媒は、酸化チタンの製造コストの問題を解決する技術となることが期待される。
本発明の光触媒は、食品、医療、公衆衛生、農業、環境浄化などの幅広い分野での有機物分解や殺菌に幅広く利用されることが期待される。
実施例1において、各試料に紫外線(波長375nm)のLEDを24時間照射して塩基性フクシンの分解量を経時的に測定した結果図である。
本発明は、鉄イオンを利用した光触媒に関する技術である。また、本発明は、当該光触媒を利用した有機物分解方法又は殺菌方法に関する技術である。
[鉄イオン]
本発明に係る光触媒は、鉄イオンを活性成分として含有してなるものである。ここで「鉄イオン」とは、電子を放出した鉄原子の状態を指す。
鉄イオンを光触媒の活性成分として用いるためには、具体的には、電解質溶液中の二価鉄イオン及び/又は三価鉄イオンとして用いることが好適である。
本発明では、二価鉄イオン及び/又は三価鉄イオンを光触媒の活性成分として好適に用いることができる。特には、三価鉄イオンは、強い光触媒活性を発揮するため、本発明に係る光触媒の活性成分としては、特に三価鉄イオンを好適に用いることができる。
・鉄供給原料
本発明では、鉄イオンを供給する原料として、二価鉄の供給原料、三価鉄の供給原料、又は金属鉄の供給原料のいずれをも用いることができる。また、複数のものを混合して用いることもできる。
ここで、二価鉄の供給原料としては、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)など水溶性の鉄化合物、;炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)などの不溶性の鉄化合物、;を挙げることができる。
また、三価鉄の供給原料としては、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)などの水溶性の鉄化合物、;酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)などの不溶性の鉄化合物、;を挙げることができる。
また、三価鉄の化合物を多く含む天然原料としては、赤玉土、鹿沼土、ローム(アロフェン質の鉄分を多く含む土壌)、ラテライト(酸化鉄(III)を多く含む土壌)、ゲータイト(非結晶質の鉱物を含む土壌)などの土壌、;黄鉄鉱、白鉄鉱、菱鉄鉱、磁鉄鉱、針鉄鉱など天然の鉄鉱石、;前記鉄鉱石が砂塵化した砂鉄、;ヘム鉄、貝殻などの生体由来の物質、;を挙げることができる。なお、土壌や鉄鉱石に含まれる三価鉄の化合物は、通常は水に対して不溶性を示すものが多い。
また、金属鉄の供給原料としては、製錬鉄や合金などの鉄材を挙げることができる。その他、錆びも原料として用いることができる。なお、これら金属鉄は、通常は水に対して不溶性を示す。
これらのうち、本発明の光触媒を効率よく製造するためには、水溶性の鉄化合物を用いることが好適である。特には安価な塩化鉄、硫酸鉄などを用いることが好適である。なお、化合物の鉄の価数は、二価でも三価でもいずれのものでも使用可能である。
また、原料コスト及び安定供給の観点を踏まえて製造するためには、天然物である土壌(特に赤玉土、鹿沼土、ロームなど)、金属鉄を鉄供給原料として用いることが好適である。
[鉄供給原料からの鉄イオン生成]
本発明では、前記鉄供給原料と水を接触させることによって、二価鉄イオン又は三価鉄イオンを得ることができる。
この点、本発明においては、前記鉄供給原料を光触媒の供給剤として利用することが可能である。
本発明における鉄供給原料と水との接触は、水存在下において行うものである。ここで水存在下とは、鉄供給原料から、水を媒質として鉄イオンが遊離できる条件であればよい。
当該接触処理に用いる水の量としては、原料(鉄供給原料)が湿潤する程度の量であれば十分であるが、前記鉄供給原料の1質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上、特に好ましくは0.4質量部以上、を用いることが望ましい。
なお、上限としては、混合や撹拌操作が可能な量であればよいが、例えば、1,000質量部以下、好ましくは500質量部以下、より好ましくは250質量部以下、さらに好ましくは200質量部以下、特に好ましくは100質量部以下を挙げることができる。
また、水の種類としては、鉄イオンの生成が可能であるものであれば如何なるものも用いることができる。例えば、水道水、井戸水、地下水、河川水、脱イオン水、蒸留水、などを挙げることができる。
なお、前記鉄供給原料として、水に不溶性を示す鉄供給原料を用いる場合では、当該水接触処理に用いる水に‘酸’を添加することを要する。その理由は、鉄供給原料から鉄イオンを遊離させるために溶媒が酸性であることが必要であるからである。
ここで酸としては、如何なる酸を用いることができるが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、アミノ酸、蟻酸、乳酸、グルコン酸、EDTA、シアンなどを挙げることができる。好ましくは、塩酸、酢酸を好適に用いることができる。水に含ませる酸の濃度は、例えば、0.0001〜10N、好ましくは0.001〜8N、より好ましくは0.01〜6N、さらに好ましくは0.05〜4N、特に好ましくは0.1〜3N、にて含有させることが望ましい。
当該水接触処理の操作としては、静置や浸漬のみにて行うことも可能であるが、混合を伴う操作にて行う方が好適である。具体的には、単純な混合や撹拌を行えばよいが、ミキサー、大型攪拌槽、ボルテックス、シェーカーなどによっても行うことも好適である。
当該水接触処理における水の温度としては、水が液体状態である温度(例えば1気圧であれば1〜100℃)であればよい。
加熱を要さない室温程度(例えば10〜35℃)を採用することが可能であるが、加熱する場合、40℃以上、好ましくは50℃以上での加熱を行うことにより、水溶化が促進され好適である。温度の上限としては200℃(加圧加熱の場合)を挙げることができるが、製造コストの観点から、常圧条件での通常加熱での沸点である100℃以下、好ましくは90℃さらに好ましくは70℃以下で行うことが望ましい。
なお、鉄供給原料として不溶性の鉄化合物を用いた場合、温度を高くすることによって、鉄イオンの生成量を増加させることができる。
当該水接触処理の時間としては、鉄供給原料と水が十分に接触するまで、おおよそ10秒以上行えばよいが、均一性を向上させるためには、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、さらに好ましくは5分以上の処理を行うことが望ましい。
また、上限としては、特に制限はないが10日以内、好ましくは7日以内、より好ましくは5日以内、さらに好ましくは3日以内、特に好ましくは2日以内、一層好ましくは1日以内で行うことが望ましい。
なお、鉄供給原料として不溶性の鉄化合物を用いた場合、当該水接触処理の時間を長く取ることによって、鉄イオンの生成量を増加させることができる。
また、加熱する場合は酸化を避けるため、酸素の少ない条件下で行うことが望ましい。
[光触媒]
鉄イオンは、優れた光触媒活性を有するため、本発明においては上記水接触処理後に得られた上清や含水状態の沈殿物のまま光触媒として用いることができる。また、上清や沈殿物をそれぞれ分離回収して、光触媒として用いることができる。また、上清及び/又は沈殿物の乾燥物(例えば、自然乾燥、焙煎など)、当該乾燥物を水に溶いた上清や懸濁物についても、光触媒として用いることもできる。なお、ここで完全な乾燥物とした場合、鉄イオンは塩の状態となるが、当該鉄塩は水可溶性であり即座に水に溶解して鉄イオンの状態とすることができる。
・本発明の光触媒の特徴
当該鉄イオンは、紫外線を照射した場合に光を吸収して優れた光触媒活性を発揮する性質を有する。ここで、‘紫外線’とは、380nm以下の波長域の光を指す。特に近紫外線である200〜380nmの波長の光においてのその活性の強さは、酸化チタンよりも遥かに大きな力価を示す。
当該鉄イオンは、照射された光エネルギーを吸収し、近傍の有機物質等を分解する活性を示す。当該活性は、光エネルギーによって励起した光触媒が発生させるラジカルによる現象と推測される。
なお、光源としては、紫外線を多く含む光を発する光源(LED等)を用いることが好適であるが、紫外線を含む太陽光を光源に利用することも当然に可能である。
なお、鉄イオンは水存在下で存在しうる物質であるため、当該光触媒活性は水存在下でのみ発揮される性質である。
当該鉄イオンでは、光を連続的に照射した場合、照射している間は光触媒活性が連続して発揮される。また、光照射を一度中断した場合においても、再度の照射によって光触媒活性を発揮させることが可能である。即ち、当該鉄イオンは、光触媒として繰り返して使用することが可能となる。
その原理としては、水分子、水酸化物イオン、水素イオンなどのイオンなどから電子を授受することができるためと推測される。
[光触媒の具体的な利用用途]
本発明の光触媒(鉄イオン)は、人体や環境に対して安全性が高い物質であるので、医薬、食品、公衆衛生、農業等、工業等、様々な用途に用いることができる。
例えば、前記鉄供給原料として、服用可能な鉄剤等に含まれる鉄化合物(例えば、塩化鉄、クエン酸鉄、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム、乳酸鉄、硫酸鉄、グルコン酸鉄、ピロリン酸鉄、ヘム鉄など)を用いた場合、これらは食品由来の供給原料に由来する物質であるので、特に食品分野での使用が期待される。
また、前記鉄供給原料として、土壌や金属鉄を用いた場合、これらは非常に安価であるため、農業、公衆衛生等の分野での使用が特に期待される。
・有機物分解
本発明では、当該光触媒が有する有機物分解活性を利用して、有機物全般の分解が可能であるが、特に有機系の汚染物質や有害物質の分解に好適に用いることができる。即ち、環境浄化の一工程に有用に用いることができる。
ここで、汚染物質や有害物質としては、水質汚染、土壌汚濁、大気汚染を引き起こす物質をいう。例えば、生活排水、し尿水、工場排水、汚染された河川や湖沼水、ゴミ廃棄場の土壌、産業廃棄物、農地、工場跡地などに含まれる人体や環境に有害な有機系物質を挙げることができる。
分解対象となる具体的な有機物質としては、例えば、洗剤、飲食品残渣、し尿、糞便、農薬、悪臭物質、廃油、ダイオキシン、PCB、DNA、RNA、タンパク質など有機性廃棄物などを挙げることができる。
本発明の光触媒を有機物分解剤の活性成分として使用する場合、その形態としては、例えば、粉末、顆粒、シート状、ボード状、キューブ状、スポンジ状などの固形の形態を挙げることができる。また、濃縮液、液体アンプルなどの液体の形態を挙げることができる。また、粉末状の形態、賦型剤等と混ぜて固形にした形態、カプセルに充填する形態、ゲル状の形態なども挙げることができる。
本発明においては、当該光触媒を分解対象に噴霧、散布、添加、混合、塗布、練り込み等した後、光照射することによって有機物の分解を行うことができる。
本発明の有機物分解剤は、活性成分である鉄イオンの性質を踏まえると、‘水分を含む剤形態’として製造することが好適である。当該剤形態では、分解対象物に水分が含まれない場合であっても、当該剤形態のままで直接使用することが可能となる。
なお、剤形態を‘水分を含まない剤形態’として製造した場合、使用時において水存在下(水を媒質として鉄イオンが遊離できる条件)におくことによって、有機物分解剤として使用可能となる。例えば、水溶液中に溶解した状態, 又は, 水分を添加して水分を含む状態, にして使用することが必要となる。
光触媒の使用量としては、有機物分解作用が発揮される溶液濃度にして使用すればよい。例えば、鉄イオン換算濃度で0.001ppm以上、好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.05ppm以上、さらに好ましくは0.1ppm以上、特に好ましくは0.5ppm以上、一層好ましくは1ppm以上、より一層好ましくは2.5ppm以上、さらに一層好ましくは5ppm以上、特に一層好ましくは5.5ppm以上、となるように調製して使用することが望ましい。
また、上限としては特にないが、例えば、鉄イオン換算濃度で300,000ppm(30%)以下、好ましくは100,000ppm(10%)以下、より好ましくは40,000ppm(4%)以下、さらに好ましくは30,000ppm(3%)以下、特に好ましくは20,000ppm(2%)以下、もっと好ましくは10,000ppm(1%)以下、一層好ましくは5,000ppm(0.5%)以下、より一層好ましくは1,000ppm(0.1%)以下、さらに一層好ましくは500ppm(0.05%)以下、特に一層好ましくは100ppm(0.01%)以下、を挙げることができる。
当該光触媒の分解効果は極めて強力であるため、難分解性の有機物(例えば塩基性フクシン)について効率良く分解することができる。例えば、LED等の比較的弱い光を照射する場合であっても、1時間以上、好ましく2時間以上、より好ましくは3時間以上、さらに好ましくは4時間以上、特に好ましくは6時間以上、もっと好ましくは8時間以上、一層好ましくは12時間以上、より一層好ましくは12時間以上、の処理によって十分な有機物分解効果が発揮される。
また、100W/m2の紫外線を照射する場合であれば、1日あたり35mg/L以上の有機物の分解が可能となる。
・殺菌
本発明の光触媒の強力な有機物分解作用を利用して、様々な分野の殺菌に用いることができる。当該殺菌作用は、微生物の細胞膜やウイルスの外壁を構成する高分子化合物が、光触媒によって分解されることによって発揮される作用である。
当該光触媒の殺菌対象として、具体的には、医療器具、病室の壁、患者の患部、衣服、寝具など、食品の製造機器のライン、食材、まな板、包丁等の台所用品、食器、便座、手すり、農機具、養液栽培の装置や養液などを挙げることができる。本発明の光触媒では、通常の酸化チタンを用いた殺菌方法と違って安価で安全性が高いものであるため、使用用途や使用場面が大幅に向上したものとなる。
また、殺菌可能な対象としては、バクテリアだけでなく、真核微生物、藻類、古細菌、ウイルス、ウイロイドなどの殺菌が可能である。
本発明の光触媒を殺菌剤の活性成分として使用する場合、その形態としては、例えば、粉末、顆粒、シート状、ボード状、キューブ状、スポンジ状などの固形の形態を挙げることができる。また、希釈液、濃縮液、液体アンプルなどの液体の形態を挙げることができる。また、粉末状の形態、賦型剤等と混ぜて固形にした形態、カプセルに充填する形態、ゲル状の形態なども挙げることができる。
本発明においては、当該光触媒を殺菌対象に噴霧、散布、添加、混合、塗布、練り込み等した後、光照射することによって殺菌を行うことができる。
本発明の殺菌剤は、活性成分である鉄イオンの性質を踏まえると、‘水分を含む剤形態’として製造することが好適である。当該剤形態では、殺菌対象物に水分が含まれない場合であっても、当該剤形態のままで直接使用することが可能となる。
なお、剤形態を‘水分を含まない剤形態’として製造した場合、使用時において水存在下(水を媒質として鉄イオンが遊離できる条件)におくことによって、殺菌剤として使用可能となる。例えば、水溶液中に溶解した状態, 又は, 水分を添加して水分を含む状態, にして使用することが必要となる。
光触媒の使用量としては、殺菌作用が発揮される溶液濃度にして使用すればよい。例えば、鉄イオン換算濃度で0.001ppm以上、好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.05ppm以上、さらに好ましくは0.1ppm以上、特に好ましくは0.5ppm以上、一層好ましくは1ppm以上、より一層好ましくは2.5ppm以上、さらに一層好ましくは5ppm以上、特に一層好ましくは5.5ppm以上、となるように調製して使用することが望ましい。
また、上限としては特にないが、例えば、鉄イオン換算濃度で300,000ppm(30%)以下、好ましくは100,000ppm(10%)以下、より好ましくは40,000ppm(4%)以下、さらに好ましくは30,000ppm(3%)以下、特に好ましくは20,000ppm(2%)以下、もっと好ましくは10,000ppm(1%)以下、一層好ましくは5,000ppm(0.5%)以下、より一層好ましくは1,000ppm(0.1%)以下、さらに一層好ましくは500ppm(0.05%)以下、特に一層好ましくは100ppm(0.01%)以下、を挙げることができる。
当該光触媒の殺菌効果は極めて強力であるため、LED等の比較的弱い光を照射する場合であっても、1時間以上、好ましく2時間以上、より好ましくは3時間以上、さらに好ましくは4時間以上、特に好ましくは6時間以上、もっと好ましくは8時間以上、一層好ましくは12時間以上、より一層好ましくは12時間以上、の処理によって十分な殺菌効果が発揮される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]『紫外線照射による光触媒活性』
鉄イオンに紫外線を照射した場合において、光触媒活性が得られるかを検討した。
(1)「光触媒活性の測定」
表1,2に示す各試料を鉄元素換算(酸化チタン(TiO)についてはチタン元素換算)で5.5ppmになるように加えて、各3.5ppm塩基性フクシン水溶液を調製した。これらの水溶液に、紫外線(375nm:光強度1mW/cm)又は可視光(660nm:光量子密度100μmol/m/sec)のLEDを24時間照射して静置し、塩基性フクシンの定量を経時的に行った。塩基性フクシンの定量は540nmの吸光度を測定することで行った。また、対照として試料を添加せずに紫外線又は可視光を照射し、24時間静置し塩基性フクシンの定量を経時的に行った。
540nmの吸光度(abs 540nm:塩基性フクシンの定量結果)を測定し、各試料が有する光触媒活性を6段階(「+5」〜「+1」:各数値に応じた活性あり、「−」:検出限界以下=活性なし)で評価した。紫外線(375nm)を照射した場合の結果を表1に、可視光(660nm)を照射した場合の結果を表2に示した。
その結果、表1が示すように、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、又はEDTA鉄(III)を添加した水溶液に紫外線を照射することによって、溶液中の塩基性フクシン(難分解性有機物)の分解が認められた(試料1〜3)。当該分解活性の力価は、同量の酸化チタン(試料4)を添加した場合よりも強いものであった。
特に塩化鉄(II)や塩化鉄(III)を添加した場合、約12時間経過後には、添加した塩基性フクシンの全量が分解されるほどの強い活性であることが明らかになった。特に塩化鉄(III)の活性は極めて強いものであった(図1:紫外線を照射した場合のabs 540の測定結果 参照)。
一方、表2が示すように、可視光である660nmを照射した場合には、塩基性フクシンの分解は全く確認されなかった。
(2)「考察」
以上の結果から、水溶液中の「鉄イオン」に紫外線を照射することによって、酸化チタンよりも大幅に強い光触媒活性が発揮されることが示された。また、当該光触媒活性は、二価鉄イオン及び三価鉄イオンの両方が有する活性であることが示された。特に三価鉄イオンの活性は、極めて急激で強いものであった。
なお、EDTA鉄を添加した場合に塩化鉄を添加した場合よりも光触媒活性が弱かった理由としては、EDTA鉄からの鉄イオン遊離量が塩化鉄より少なかったためと考えられた。
一方、当該光触媒活性は、可視光である660nmを照射した場合には発揮されないことが示唆された。

本発明の光触媒は、食品、医療、公衆衛生、農業、環境浄化などの幅広い分野での有機物分解や殺菌に幅広く利用されることが期待される。
1: 試料1(塩化鉄(II))
2: 試料2(塩化鉄(III))
3: 試料3(EDTA鉄(III))
4: 試料4(酸化チタン(TiO))
5: 対照(試料なし)

Claims (8)

  1. 二価鉄の供給原料として、水溶性の鉄化合物である塩化鉄(II)のみと、水(ただし、酒を除く。)とを、混合を伴う操作にて接触させることによって、水を媒質として二価鉄イオンを生成させて得ることを特徴とする、二価鉄イオンを活性成分として含んでなる光触媒の製造方法。
  2. 塩化鉄(II)のみと、水のみとを、混合を伴う操作にて接触させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載の製造方法から得られ、二価鉄イオンを活性成分として含んでなる光触媒。
  4. 前記光触媒が、紫外線に属する波長の光を照射したときに有機物分解活性を発揮するものである、請求項3に記載の光触媒。
  5. 請求項3に記載の光触媒を含有してなる有機物分解剤。
  6. 請求項3に記載の光触媒と分解対象物を接触させ、紫外線に属する波長の光を照射することを特徴とする有機物分解方法。
  7. 請求項3に記載の光触媒を含有してなる殺菌剤。
  8. 請求項3に記載の光触媒と殺菌対象物を接触させ、紫外線に属する波長の光を照射することを特徴とする殺菌方法。
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