JP2021018830A - 加熱用フィラメントランプ - Google Patents
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Abstract
Description
このようなフィラメントランプを使った加熱装置は、半導体基板などのワークの表面を短時間、かつ均一に加熱処理することが求められ、より急速に被処理体を昇温及び降温させるRTP(Rapid Thermal Processing)技術が必要とされている。
半導体ウエハを所定温度で所定時間加熱する場合、所定温度に昇温させるまでの時間、又は所定温度から降温させるまでの時間が長くなると、その昇降温過程でも半導体ウエハを加熱してしまい、所望の加熱工程で高精度に処理することが難しくなるからである。
その一方で、効果的な加熱を達成するために、フィラメントランプの個々の光源から放射される光を所定範囲に所定強度で照射する必要がある。しかし、そのような配光制御を実現するためには、フィラメントランプの発光部を所定のサイズ(発光部の長手方向の発光長や、発光部の幅等)に制限する必要がある。
このとき、点灯特性を改善した他のランプを前記加熱装置に搭載しようとしても、他のランプにおいて、図7(C)に示す発光部51の発光長Mや幅(形成される二重コイルの外径幅)Nが変わってしまうと、図7(B)に実線で示すように照射範囲A2が変化してしまい、採用することができないという不具合がある。
そのため加熱装置の構成(例えば、リフレクタ形状や光源の設置場所)によって、搭載できるフィラメントランプの発光部サイズ(例えば、発光長や発光幅)は制約を受け、性能を改善したランプによって代替する場合でも、同じ照射領域を持つものにしなければならないという問題がある。
また、前記フィラメントは、前記コイル部を構成する素線本数をn、素線径をd、前記コイル部の外径をD、としたとき、関係式X=D/(n×d)が以下の範囲であることを特徴としてもよい。
(1)n=2のとき、 2.7 ≦ X ≦ 4.3
(2)n=3のとき、 2.5 ≦ X ≦ 4.0
I/MG ≧ 6.5
また、前記素線径(d)は、0.08mm〜0.30mmの範囲で形成されることを特徴としてもよい。
また、前記コイル部の外径(D)は、0.8mm〜2.0mmの範囲で形成されることを特徴としてもよい。
また、前記フィラメントの上端部と下端部には、それぞれ第一給電線と第二給電線が設けられており、前記給電線に対して、前記コイル部を構成する前記各素線が電気的に並列に接続されていることを特徴としてもよい。
また、発光部を構成するフィラメントは二重コイル構造としている。つまり、並列に配置された複数本の素線を第一基準軸回りにらせん状に巻回したコイル部を、前記第一基準軸とは異なる第二基準軸回りにらせん状に巻回してなる二重コイル構造のフィラメントとしている。これにより、フィラメントを構成する素線の径や本数が変更された場合でも、形成される二重コイルからなる発光部の発光長や幅(外径幅)を所望の大きさに調整することが可能となり、当該ランプからの光照射範囲を所望の範囲に維持することができる。
これらの内部リード6、7は、封止部8内に埋設された金属箔10、11にそれぞれ接続されており、該金属箔10、11を介して、外部リード12、13と電気的に接続されている。
詳述すると、並列に配置された2本の素線3a、3bが、第一基準軸X回りにらせん状に巻回されてコイル部(一次コイル部)3Aを形成し、さらに、図2(A)に示すように、前記一次コイル部3Aが、前記第一基準軸Xとは異なる第二基準軸Y回りにらせん状に巻回されて二重コイル構造のフィラメント3に形成されている。
これらのフィラメント3を構成する各素線3a、3bは、図1で示した第一給電線4と第二給電線5に電気的に並列となるように接続されている。
図3には素線本数が3本のものが示されている。図3(B)に示すように、並列に配置された3本の素線3c、3d、3eが、第一基準軸X回りにらせん状に巻回されてコイル部(一次コイル部)3Bを形成している。このとき、各素線3c、3d、3eの素線径d2は、前記2本の素線3a、3bの素線径d1よりも小さくされている。
そして、素線数が多く(3本)、素線径d2が細い一次コイル部3Bの外径D2は、素線数が少なく(2本)、素線径d1の太い一次コイル部3Aの外径D1よりも小さくすることが望ましく、これは、一次コイル部3Bと一次コイル部3Aの、フィラメント3の単位長さあたりの電力密度を同等に制御するためである。
この時、素線数が異なる両者のフィラメント(発光部)3は、それぞれ発光長(フィラメント長)Lや二重コイル(フィラメント)外径Mが同等になるように揃えられており、これにより当該発光部3からの照射領域は同等なものとなる。
発明者らは鋭意検討を行い、加熱用フィラメントランプにおけるフィラメントの昇温時間および降温時間を短く(急速に)するために、フィラメントの熱容量を低減させ、かつ、発光部のサイズを所望の大きさに調整可能な構成を考えた。しかし、単にフィラメントの熱容量を低減させるだけでは、同じ電力量に対して発熱量が高まり、フィラメントの色温度が変化する懸念がある。色温度が変化してしまうと、加熱対象物(半導体ウエハ等のワーク)への光吸収量が変化してしまい、所望の加熱処理がより難しくなってしまう。
以上を踏まえ、フィラメントを構成する素線を複数本で構成することとした。
これを考慮して当該フィラメントの各素線の径を小さくする(素線を細くする)ことで、単一素線のフィラメントと同程度の発熱温度に調整することができるようにした。一方、素線の断面積が小さくなると、素線の電気抵抗が増加し電力の低下を招くため、素線の長さを短くして抵抗値を合わせる必要がある。
このように、本発明は二重コイル構造のフィラメントに対し、当該フィラメントを構成する素線を複数本として並列に配置させることにより、従来と同程度の発熱温度を維持しつつも、結果として、フィラメント全体の総量(熱容量)を低減させることが可能となり、かつ、素線を複数本で構成しつつも発光部のサイズを同程度に維持することができ、所望の光照射領域を維持できる、という利点がある。尚、本発明に係るフィラメントは、例えば、発光長(L)が20mm〜40mm、外径(M)が4mm〜10mmの大きさのものを用いることができる。
しかして、フィラメントを単一素線で構成する場合と比較して、複数本の素線で二重コイルのフィラメントを形成しようとする場合は、当該二重コイルの形状安定度や加工性が大きく異なることが分かった。
この指標が4.6を下回るような場合は、コイル状に加工することが非常に困難となり、素線の歪みや断線を招きやすい。また指標が5.9を上回る場合は、二重コイル構造とした場合の形状が不安定となり、フィラメントの位置ズレやたわみが生じてしまい、許容範囲を逸脱するという問題がある。
またフィラメントを従前と同じ所定の電力密度、発熱温度で使用する場合は、当該フィラメントを構成する素線本数(n)が増えるにつれ、素線の素線径(d)は細いものが選定されることとなる。そのため単一素線のフィラメントに対し、複数本で構成されたフィラメントの指標〔D/(n×d)〕は異なった数値範囲で良好となる。
ここで二重コイルの形状安定性とは、コイルの形状維持の程度を確認したものであり、二重コイルの加工性とは、コイル状に加工する場合の加工限界を確認したものである。それぞれ下記の手順により三段階評価を行った。
<表2>
(コイル形状の安定性評価)
○:変形なく形状維持できるもの。
△:形状が許容範囲内で保持されるもの。
×:形状を許容範囲内に維持できないもの
(コイルの加工性評価)
○:二重コイル形状に加工が可能なもの。
△:加工条件によって二重コイル形状に加工可能なもの。
×:加工の際に破断してしまうもの。
次に各フィラメントの形状安定性を調べるため、各フィラメントを垂直に立てた場合に形状が保持されているかどうかを確認した。そしてフィラメントが垂直方向に沿って変位なく保持されるものを評価○とし、垂直方向に対して僅かに傾くが許容範囲に収まる程度に形状保持されるものを評価△とした。より具体的には、フィラメントを垂直に立てたときの、一端部と他端部の変位量が2mm以内に収まる場合を評価△とした。また垂直方向に対して変位量が2mmよりも大きく形状保持が認められないものを評価×として、それぞれ判定を行った。
また加工性に関しては、コイル状に加工する過程で素線が破断してしまうものを評価×とし、コイル状に加工する過程で素線が破断しやすいが加工条件(コイリングの工程、熱処理条件等)を変えることによってはコイル形状に加工できるものを評価△とし、加工条件に依らず所望のコイル形状に加工できるものを評価○とした。またコイル状に加工できないものは形状安定性についての評価は実施できないため「−」としている。
(1)n=2のとき、 2.7 ≦ X ≦ 4.3
(2)n=3のとき、 2.5 ≦ X ≦ 4.0
また素線本数が異なる場合も、2.7≦ X ≦4.0 が共通の適正範囲を示すことが分かる。
そして素線重量(MG)が小さい素線を使用するためには、フィラメントを複数の素線で構成する必要がある。
また図5は、ランプ電流値とフィラメント素線重量の比(I/MG)と、当該フィラメントの光量立ち上り時間[ms]との関係を示したものである。
尚、光量の立ち上り時間は、対象となるフィラメントランプを60秒間点灯し続け、60秒後の光量値を100%として、フィラメントランプの点灯を開始してから光量が90%に達するまでの時間を、光量立ち上り時間として測定を行った。
よって本発明に係るフィラメントは、I/MG値を6.5以上とすることが好ましい。尚、図4に示すとおりI/MG値を6.5以上に制御するためには、フィラメントを構成する素線本数は2本以上とすることが必要になる。
その観点から、素線径(d)は、0.08mm〜0.30mmの範囲で形成されることが好適である。
素線径(d)が0.08mmを下回ると、素線3a〜3eに流れる電流値が小さくなり、加熱効率が下がってしまい、また一方、0.30mmを上回ると、素線が太くなりすぎて、二重コイル形状に加工する際に所望のフィラメント形状に成形することが困難になるからである。
コイル部の外径(D)が0.8mmを下回る、あるいは2.0mmを上回ると、所望の二重コイル形状に成形することが非常に困難となる。
本発明のランプは従来ランプとの互換性を意図するものであり、本発明の対象とするフィラメントランプにおいては、二重コイル(フィラメント)は、従来ランプの発光サイズ(フィラメン)に合わせたものである。
ところが、一次コイル(コイル部)の外径(D)が0.8mmを下回るほど小さすぎると、二重コイル(フィラメント)の長さが長くなってしまい、また、2.0mmを上回るほど大きくなると、二重コイル(フィラメント)の長さが短くなってしまう。つまり、コイル部の外径(D)が、0.8mm〜2.0mmの範囲を外れたものとなると、二重コイルを所望の外径と長さで作成することができなくなってしまい、従来ランプとの互換性が担保できなくなるからである。
また、フィラメントを構成する素線の径や本数が変更された場合でも、発光部(フィラメント)の発光長や幅(形成される二重コイルの外径)を所望の大きさに調整することが可能となり、当該ランプからの光照射範囲を所望の範囲に維持することができる効果も有する。
2 :封体
3 :フィラメント
3a〜3e:素線
d :素線径
3A,3B:コイル部(一次コイル)
D :コイル部の外径
L :発光長(フィラメント長)
M :フィラメント(二重コイル)外径
4 :第一給電線
5 :第二給電線
6,7:内部リード
8 :封止部
10、11:金属箔
12、13:外部リード
X :第一基準軸
Y :第二基準軸
Claims (6)
- それぞれ並列に配置された複数本の素線を第一基準軸回りにらせん状に巻回したコイル部を、
前記第一基準軸とは異なる第二基準軸回りにらせん状に巻回してなる二重コイル構造のフィラメントを有することを特徴とする加熱用フィラメントランプ。 - 前記フィラメントは、前記コイル部を構成する素線本数をn、素線径をd、前記コイル部の外径をD、としたとき、関係式X=D/(n×d)が以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の加熱用フィラメントランプ。
(1)n=2のとき、 2.7 ≦ X ≦ 4.3
(2)n=3のとき、 2.5 ≦ X ≦ 4.0 - 前記フィラメントランプに流れる電流値(I)と、前記フィラメントを構成する素線の200mm当りの素線重量(MG)との比が下記の計算式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の加熱用フィラメントランプ。
I/MG ≧ 6.5 - 前記素線径(d)は、0.08mm〜0.30mmの範囲で形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加熱用フィラメントランプ。
- 前記コイル部の外径(D)は、0.8mm〜2.0mmの範囲で形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加熱用フィラメントランプ。
- 前記フィラメントの上端部と下端部には、それぞれ第一給電線と第二給電線が設けられており、前記給電線に対して、前記コイル部を構成する前記各素線が電気的に並列に接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の加熱用フィラメントランプ。
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