JP2021017835A - 点火プラグの摩耗量推定装置および異常判定装置 - Google Patents

点火プラグの摩耗量推定装置および異常判定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】早期点火と主点火とを行う場合に、点火プラグの摩耗量を精度よく推定できるようにし、また点火プラグの異常有無を精度よく判定できるようにする。【解決手段】エンジンが、混合気を着火させる主点火よりも進角側において、混合気を活性化させるための早期点火を行うものとされる。摩耗量推定手段によって、点火プラグの点火1回あたりの摩耗量が推定される。摩耗量積算手段によって、摩耗量推定手段で推定された点火プラグの摩耗量を積算して、現在までの総摩耗量となる摩耗量積算値が取得される。摩耗量推定手段は、早期点火1回あたりの摩耗量が主点火1回あたりの摩耗量よりも大きくなるように推定する。摩耗量積算値に関する値に基づいて、点火プラグの異常の有無(交換時期になったか否か)が判定される。【選択図】 図20

Description

本発明は、点火プラグの摩耗量推定装置および異常判定装置に関するものである。
混合気に着火して燃焼を行うエンジンには、点火プラグが設置されている。点火プラグは、燃焼室の内部に臨む一対の電極(中心電極及び接地電極)を有している。中心電極と接地電極とは、僅かな隙間(ギャップ)を隔てて対向している。これら電極間に所定の電圧を印加することで、これら電極間に放電が生じる。それによって、混合気中に火炎核が形成され、その火炎核が成長することで、混合気は点火される。
中心電極及び接地電極は、放電によって摩耗する。摩耗が進むと、ギャップが大きくなり、それに伴って点火に必要な放電電圧も高くなる。放電電圧が過度に高くなると、電極間に印加される印加電圧が不足して失火が発生したり、印加電圧が点火プラグの耐久性を超えて点火プラグが破損したりするおそれがある。
そのため、点火プラグは、定期的に交換が必要な消耗品となっている。そして、その交換タイミングは、一律に、所定の走行距離毎に設定されているのが一般的である。
しかし、電極の摩耗量は、エンジンの運転状態によって変わる。そのため、実際に点火プラグを交換すべきタイミングは、ユーザの運転技術や嗜好に左右され、個々のエンジンで、ばらつきがある。
それにより、点火プラグの交換タイミングは、通常、個々のエンジンのばらつきを考慮して、安全サイドに設定される。その結果、実際には点火プラグを交換すべきタイミングには達していないユーザが、点火プラグを交換する場合も発生する。
従って、個々のエンジンにおいて、その運転状態に応じた電極の摩耗量を計測し、点火プラグの交換タイミングを個別に判断することができれば、ばらつきがあっても適切なタイミングで交換できるので、好ましい。
特許文献1には、一般の火花点火式エンジンにおいて、そのエンジンの運転状態に基づいて、摩耗した電極のギャップ長(ギャップの大きさ)を推定する方法が開示されている。特許文献1は、放電時間、筒内ガス密度、及び筒内ガス流速からなる、点火時における3つのパラメータから、ギャップ長の推定が可能であることを示すとともに、これらパラメータから、ギャップ長を求めることができる関係式を示している。
そして、特許文献1では、その関係式を用いてエンジンの運転中にギャップ長を推定し、予め設定された値以上になると、警告灯の点灯などにより、点火プラグの異常を報知している。
特開2016−53314号公報
ところで、エンジンの中には、混合気を着火させる主点火よりも進角側(例えば吸気行程)において、混合気をあらかじめ活性化するための早期点火(先行点火とも称される)を行うものがある。すなわち、早期点火によっては、温度不足のために混合気の火炎伝播を実質的に生じさせないが、燃料成分が開裂されて過酸化水素やホルムアルデヒドが生成され、これらの成分から例えばOHラジカルが生成されて、混合気が活性化されることになる。この混合気があらかじめ活性化されることにより、その後に行われる主点火による着火を確実に行うことができ、また燃焼速度を速めることができる。
点火プラグ(の電極対)の摩耗量推定に際しては、従来は、早期点火1回あたりの摩耗量は、主点火1回あたりの摩耗量と同じか、あるいは早期点火は主点火よりも進角側であって筒内圧が主点火よりも低いタイミングでの点火であるために主点火1回あたりの摩耗量よりも小さくなる、という考えの下に行われていたのが実情である。
しかしながら、早期点火を実行した際の摩耗量を詳しく検証したところ、早期点火1回あたりの摩耗量は、主点火1回あたりの摩耗量よりも大きくなる、ということが判明した。このような原因を追求したところ、早期点火の際には、燃焼室内で排気側(排気ポート側)に向けて流れる大きな流速が生じている一方、この大きな流速の淀みが中心電極の側面に生じやすく、その結果中心電極の側面が虫食い状に摩耗する、ということを知得した。そして、虫食い状の摩耗部分から中心電極の全体に渡る摩耗が早期に進行する、ということを知得した。
本発明は以上のような知得に基づいてなされたもので、その第1の目的は、早期点火と主点火とを行う場合に、点火プラグの摩耗量を精度よく推定できるようにした点火プラグの摩耗量推定装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、上記点火プラグの摩耗量推定に結果に基づいて点火プラグの異常を精度よく判定できるようにした点火プラグの異常判定装置を提供することにある。
前記第1の目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、
往復動型エンジンにおける燃焼室の天井壁に配置されて、該燃焼室内の混合気を着火させる主点火よりも進角側において混合気を活性化させるための早期点火を行うようにした点火プラグの摩耗量推定装置であって、
点火プラグの早期点火1回あたりの摩耗量と主点火1回あたりの摩耗量とを推定する摩耗量推定手段と、
前記摩耗量推定手段で推定された点火プラグの早期点火1回あたりの摩耗量と主点火1回あたりの摩耗量とを積算して摩耗量積算値を取得する摩耗量積算手段と、
を備え、
前記摩耗量推定手段は、早期点火1回あたりの摩耗量が主点火1回あたりの摩耗量よりも大きくなるように推定する、
ようにしてある(請求項1対応)。
上記解決手法によれば、早期点火の方が主点火に比して点火1回あたりの摩耗量が大きいという知見に基づいて、点火プラグの摩耗量を精度よく推定することができる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、次のとおりである。
前記摩耗量推定手段は、点火プラグの容量放電に基づく第1摩耗量推定手段と、点火プラグの誘導放電に基づく第2摩耗量推定手段と、を有し、
前記摩耗量推定手段は、前記早期点火1回あたりの摩耗量について、前記第1摩耗量推定手段により推定される摩耗量と前記第2摩耗量推定手段によって推定される摩耗量との加算値に対して、あらかじめ設定された一定値を加算した値として推定する、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、容量放電に基づく摩耗と誘導放電に基づく摩耗とを考慮して、精度よく摩耗量を推定することができる。また、早期点火については、主点火に比して点火1回あたりの摩耗量の増大分を一定値として、簡便かつ精度よく摩耗量を推定することができる。すなわち、早期点火の摩耗メカニズムは、前述のとおり主点火の摩耗メカニズムとは異なり、筒内のガス流動状態によって摩耗量が大きく変化する。そこで、実験により、あらかじめ早期点火1回あたりの摩耗量を調べ、この摩耗量増大分を一定値として加算することで、簡便かつ精度よく摩耗量を推定することができる。なお、エンジンの運転状態やエンジンの環境状態に応じて一定値を変化させてもよい。
前記第2の目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、
請求項1または請求項2に記載の点火プラグの摩耗量推定装置を備えた点火プラグの異常判定装置であって、
前記摩耗量積算手段で取得された摩耗量積算値に関する値に基づいて、点火プラグの異常の有無を判定する異常判定手段をさらに備えている、
ようにしてある。
上記解決手法によれば、精度よく推定された摩耗量の積算値に関する値に基づいて、点火プラグの異常の有無(つまり点火プラグの交換時期になったか否か)を精度よく判定できる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、次のとおりである。
前記異常判定手段は、前記摩耗量積算値があらかじめ設定された所定値以上のときに、点火プラグが異常であると判定する、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、摩耗量積算値そのものを有効に利用して、極力簡単な手法で異常判定を行う上で好ましいものとなる。
前記異常判定手段は、前記摩耗量積算値に基づいて電極対のギャップ長に関する値を決定するギャップ長決定手段を有し、
前記異常判定手段は、前記ギャップ長決定手段によって決定されたギャップ長に関する値があらかじめ設定された所定値以上のときに、点火プラグが異常であると判定する、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、着火性に直接的に影響を与えることになるギャップ長に関する値に基づいて異常判定を行うので、異常判定を精度よく行う上で好ましいものとなる。
前記異常判定手段は、前記摩耗量積算値に関する値が所定値以上のときに、点火プラグを通常時によりも着火性が悪くなる状態で判定用点火を実行させて、そのときの燃焼性があらかじめ設定された基準値よりも悪化しているときに、点火プラグが異常であると判定する、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、着火性を悪くした判定用点火時での燃焼性に基づいて、点火プラグの異常有無をさらに精度よく判定することができる。
前記主点火が、圧縮行程後期に行われ、
前記早期点火が、吸気行程で行われる、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、主点火を通常の点火時期としつつ、早期点火を燃焼室内圧力が極めて小さい状況でかつ主点火よりも十分に早い時期に行って、活性化された混合気が十分に燃焼室内に拡散された状態で主点火を行わせることができる。
エンジンが、少なくとも一部の運転領域において、点火プラグによる着火によってSI燃焼(拡散燃焼)が行われた後、燃焼室内に残っている未燃成分をCI燃焼(自己着火による燃焼)させるSPCCI燃焼を行うエンジンとされている、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、着火性が問題となりやすいSPCCI燃焼を行うエンジンにおいて、早期点火を利用して着火性を十分に向上させることができる。特に、SPCCI燃焼を行うエンジンにおいては、圧縮比が極めて高く設定されていることから点火プラグの摩耗というものが問題となりやすいが、点火プラグの異常有無を精度よく判定できることから、点火プラグの交換を不必要に行うことを避けて、点火プラグの交換頻度を低減させる上で好ましいものとなる。
早期点火が、前記SPCCI燃焼が行われると共に、低回転・低負荷でかつ理論空燃比よりもリーンな空燃比での運転状態のときに実行される、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、特に着火性が問題となる状況において、早期点火によって着火性を十分に向上させることができる。
早期点火の点火エネルギが、エンジンの運転状態にかかわらず一定とされている、ようにしてある(請求項10対応)。この場合、早期点火の点火制御を簡単化する上で好ましいものとなる。なお、早期点火は、エンジン負荷が極めて小さい領域で行われることから、早期点火の点火エネルギを一定としてもなんら問題はないものである。
早期点火が、前記SPCCI燃焼が行われる領域のうち、低回転・低負荷でかつ理論空燃比よりもリーンな空燃比での運転状態のときにのみ実行され、
早期点火の点火エネルギが、エンジンの運転状態にかかわらず一定とされている、
ようにしてある(請求項11対応)。この場合、特に着火性が問題となる状況で早期点火を利用して着火性を十分に向上させつつ、早期点火の点火制御を簡単化する上で好ましいものとなる。
前記異常判定手段は、点火プラグが異常であると判定したときに、点火プラグの交換を促す旨の報知を乗員に対して行う、ようにしてある(請求項12対応)。この場合、運転者は、点火プラグの交換時期になったことを適切なタイミングで容易に知ることができる。
エンジンが、幾何学的圧縮比が16以上の高圧縮比エンジンとされている、ようにしてある(請求項13対応)。この場合、極めて高圧縮比であることから点火プラグの摩耗が問題となりやすいが、点火プラグの異常有無を精度よく判定できることから、点火プラグの交換を不必要に行うことを避けて、点火プラグの交換頻度を低減させる上で好ましいものとなる。
本発明によれば、点火プラグの摩耗量を精度よく推定することができる。また、精度よく推定された点火プラグの摩耗量の積算値に関する値に基づいて、点火プラグの異常有無を精度よく判定することができる。
エンジンの構成を例示する図である。 燃焼室の構成を例示する図であり、上図は燃焼室の平面視相当図、下図はII−II線断面図。 燃焼室及び吸気系の構成を例示する平面図。 点火プラグ及び着火装置を例示する図。 エンジンの制御装置の構成を例示するブロック図。 エンジンの運転領域の区分け例を示す図。 図6に示す運転領域A1の詳細を示す図。 SPCCI燃焼の波形を例示する図である。 図6に示す運転領域での燃料噴射および火花点火のパターンを示すタイムチャートであり、(a)〜(c)はエンジンの回転数と負荷とが異なる条件でのパターンを示す。 図9に示すパターン(a)での火花点火のための通電信号とその放電電流を示す図。 図9に示すパターン(b)での火花点火のための通電信号とその放電電流を示す図。 早期点火による中心電極の摩耗を示す図。 吸気行程での燃焼室内の流速を示す図。 追加点火を行った際に放電電流が変化する状況を示す図。 燃焼室内の流速が小さいときに火花点火した際の放電電流が変化する状況を示す図。 燃焼室内の流速が大きいときに火花点火した際の放電電流が変化する状況を示す図。 燃焼室内の流速が大きいときと小さいときとでの接地電極の摩耗量の相違を示す図。 スワール弁の開度とスワール比との関係を示すマップ。 エンジンの運転状態に応じたスワール弁の開度設定例を示す図。 中心電極を摩耗させる要因毎の摩耗量を図式的にまとめて示す図。 接地電極を摩耗させる要因となる容量放電が、流速の相違でもって摩耗量を相違される状況を示す図。 早期点火を実行した際に電極の摩耗量を推定するためのフローチャート。 追加点火(断続点火)を実行した際に電極の摩耗量を推定するための制御例を示すフローチャート。 主点火のみを実行した際に電極の摩耗量を推定するための制御例を示すフローチャート。 推定された電極の摩耗量に基づいて点火プラグの異常判定を行うための制御例を示すフローチャート。 推定された電極の摩耗量に基づいて点火プラグの異常判定を行うための別の制御例を示すフローチャート。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。以下の説明は、エンジン、点火プラグの電極対の摩耗量推定装置、および異常判定装置の一例である。
図1〜図3に、点火プラグの摩耗量推定装置および異常判定装置を適用したエンジン1を例示する。エンジン1は、燃焼室17が吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程を繰り返すことにより運転する4ストロークエンジンである。エンジン1は、四輪の自動車に搭載されている。エンジン1が運転することによって、自動車は走行する。エンジン1の燃料は、この構成例においてはガソリンである。燃料は、少なくともガソリンを含む液体燃料であればよい。燃料は、例えばバイオエタノール等を含むガソリンであってもよい。
エンジン1は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えている。シリンダブロック12の内部に複数のシリンダ11(気筒)が形成されている。図1及び図2では、一つのシリンダ11のみを示す。エンジン1は、多気筒エンジンである。
各シリンダ11内には、ピストン3が摺動自在に内挿されている。ピストン3は、コネクティングロッド14を介してクランクシャフト15に連結されている。ピストン3は、シリンダ11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画する。すなわち、燃焼室17は、往復するピストンによって容積が変化するように筒内に区画されている。尚、「燃焼室」は広義で用いる場合がある。つまり、「燃焼室」は、ピストン3の位置に関わらず、ピストン3、シリンダ11及びシリンダヘッド13によって形成される空間を意味する場合がある。
シリンダヘッド13の下面、つまり、燃焼室17の天井面は、図2の下図に示すように、傾斜面1311と、傾斜面1312とによって構成されている。傾斜面1311は、吸気側から、後述するインジェクタ6の噴射軸心X2に向かって上り勾配となっている。傾斜面1312は、排気側から噴射軸心X2に向かって上り勾配となっている。燃焼室17の天井面は、いわゆるペントルーフ形状である。
ピストン3の上面は燃焼室17の天井面に向かって隆起している。ピストン3の上面には、キャビティ31が形成されている。キャビティ31は、ピストン3の上面から凹陥している。キャビティ31は、この構成例では、浅皿形状を有している。キャビティ31の中心は、シリンダ11の中心軸X1よりも排気側にずれている。
エンジン1の幾何学的圧縮比は、10以上30以下に設定されている。例えば、エンジン1の幾何学的圧縮比は、一般的な火花点火式エンジンよりも高い、16以上としてもよい。後述するようにエンジン1は、一部の運転領域において、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼を行う。SPCCI燃焼は、SI燃焼による発熱と圧力上昇とを利用して、CI燃焼をコントロールする。エンジン1は、圧縮着火式エンジンである。
しかし、このエンジン1は、ピストン3が圧縮上死点に至った時の燃焼室17の温度(つまり、圧縮端温度)を高くする必要がない。エンジン1は、幾何学的圧縮比を、比較的低く設定することが可能である。幾何学的圧縮比を低くすると、冷却損失の低減、及び、機械損失の低減に有利になる。
エンジン1の幾何学的圧縮比は、レギュラー仕様(燃料のオクタン価が91程度の低オクタン価燃料)においては、14〜17とし、ハイオク仕様(燃料のオクタン価が96程度の高オクタン価燃料)においては、15〜18としてもよい。
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に、吸気ポート18が形成されている。吸気ポート18は、図3に示すように、第1吸気ポート181及び第2吸気ポート182を有している。吸気ポート18は、燃焼室17に連通している。吸気ポート18は、詳細な図示は省略するが、いわゆるタンブルポートである。つまり、吸気ポート18は、燃焼室17の中にタンブル流が形成されるような形状を有している。
吸気ポート18には、吸気弁21が配設されている。吸気弁21は、燃焼室17と吸気ポート18との間を開閉する。吸気弁21は動弁機構によって、所定のタイミングで開閉する。動弁機構は、バルブタイミング及び/又はバルブリフトを可変にする可変動弁機構とすればよい。この構成例では、図4に示すように、可変動弁機構は、吸気電動S−VT(Sequential-Valve Timing)23を有している。吸気電動S−VT23は、吸気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更する。吸気弁21の開弁タイミング及び閉弁タイミングは、連続的に変化する。尚、吸気動弁機構は、電動S−VTに代えて、油圧式のS−VTを有していてもよい。
シリンダヘッド13にはまた、シリンダ11毎に、排気ポート19が形成されている。排気ポート19も、図3に示すように、第1排気ポート191及び第2排気ポート192を有している。排気ポート19は、燃焼室17に連通している。
排気ポート19には、排気弁22が配設されている。排気弁22は、燃焼室17と排気ポート19との間を開閉する。排気弁22は動弁機構によって、所定のタイミングで開閉する。この動弁機構は、バルブタイミング及び/又はバルブリフトを可変にする可変動弁機構とすればよい。この構成例では、図4に示すように、可変動弁機構は、排気電動SVT24を有している。排気電動S−VT24は、排気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更する。排気弁22の開弁タイミング及び閉弁タイミングは、連続的に変化する。尚、排気動弁機構は、電動S−VTに代えて、油圧式のS−VTを有していてもよい。
吸気電動S−VT23及び排気電動S−VT24は、吸気弁21と排気弁22との両方が開弁するオーバーラップ期間の長さを調節する。オーバーラップ期間の長さを長くすると、燃焼室17の中の残留ガスを掃気することができる。また、オーバーラップ期間の長さを調節することによって、内部EGR(Exhaust Gas Recirculation)ガスを燃焼室17の中に導入することができる。内部EGRシステムは、吸気電動S−VT23及び排気電動S−VT24によって構成されている。尚、内部EGRシステムは、S−VTによって構成されるとは限らない。
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に、インジェクタ6が取り付けられている。インジェクタ6は、燃焼室17の中に燃料を直接噴射する。インジェクタ6は、燃料噴射部の一例である。インジェクタ6は、傾斜面1311と傾斜面1312とが交差するペントルーフの谷部に配設されている。図2に示すように、インジェクタ6の噴射軸心X2は、シリンダ11の中心軸X1よりも排気側に位置している。インジェクタ6の噴射軸心X2は、中心軸X1に平行である。インジェクタ6の噴射軸心X2とキャビティ31の中心とは一致している。インジェクタ6は、キャビティ31に対向している。尚、インジェクタ6の噴射軸心X2は、シリンダ11の中心軸X1と一致していてもよい。その構成の場合に、インジェクタ6の噴射軸心X2と、キャビティ31の中心とは一致していてもよい。
インジェクタ6は、詳細な図示は省略するが、複数の噴口を有する多噴口型の燃料噴射弁によって構成されている。インジェクタ6は、図2に二点鎖線で示すように、燃料噴霧が、燃焼室17の中央から放射状に広がるように燃料を噴射する。インジェクタ6は、本構成例においては、十個の噴孔を有しており、噴孔は、周方向に等角度に配置されている。
インジェクタ6には、燃料供給システム61が接続されている。燃料供給システム61は、燃料を貯留するよう構成された燃料タンク63と、燃料タンク63とインジェクタ6とを互いに連結する燃料供給路62とを備えている。燃料供給路62には、燃料ポンプ65とコモンレール64とが介設している。燃料ポンプ65は、コモンレール64に燃料を圧送する。燃料ポンプ65は、この構成例においては、クランクシャフト15によって駆動されるプランジャー式のポンプである。コモンレール64は、燃料ポンプ65から圧送された燃料を、高い燃料圧力で蓄える。インジェクタ6が開弁すると、コモンレール64に蓄えられていた燃料が、インジェクタ6の噴口から燃焼室17の中に噴射される。燃料供給システム61は、30MPa以上の高い圧力の燃料を、インジェクタ6に供給することが可能である。インジェクタ6に供給する燃料の圧力は、エンジン1の運転状態に応じて変更してもよい。尚、燃料供給システム61の構成は、前記の構成に限定されない。
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に、点火プラグ25が取り付けられている。点火プラグ25は、燃焼室17の中の混合気に強制的に点火をする。点火プラグ25は、この構成例では、シリンダ11の中心軸X1よりも吸気側に配設されている。点火プラグ25は、2つの吸気ポート18の間に位置している。点火プラグ25は、上方から下方に向かって、燃焼室17の中央に近づく方向に傾いて、シリンダヘッド13に取り付けられている。点火プラグ25の電極は、図2に示すように、燃焼室17の中に臨んでかつ、燃焼室17の天井面の付近に位置している。尚、点火プラグ25を、シリンダ11の中心軸X1よりも排気側に配置してもよい。また、点火プラグ25をシリンダ11の中心軸X1上に配置してもよい。
点火プラグ25には、着火装置251が電気的に接続(単に接続ともいう)されている。着火装置251(着火部の一例)は、バッテリ252に接続されていて、点火プラグ25に電力を供給する(点火プラグ及び着火装置251の詳細については後述)。
エンジン1の一側面には吸気通路40が連結されている。吸気通路40は、各シリンダ11の吸気ポート18に連通している。燃焼室17に導入するガスは、吸気通路40を流れる。吸気通路40の上流端部には、エアクリーナー41が配設されている。エアクリーナー41は、新気を濾過する。吸気通路40の下流端近傍には、サージタンク42が配設されている。サージタンク42よりも下流の吸気通路40は、シリンダ11毎に分岐する独立通路を構成している。独立通路の下流端が、各シリンダ11の吸気ポート18に連結されている。
吸気通路40におけるエアクリーナー41とサージタンク42との間には、スロットル弁43が配設されている。スロットル弁43は、弁の開度を調節することによって、燃焼室17の中への新気の導入量を調節する。すなわち、スロットル弁43は、各燃焼室17の内部に供給する空気量を増減して調整する「空気調整部」を構成する。
吸気通路40にはまた、スロットル弁43の下流に、過給機44が配設されている。過給機44は、燃焼室17に導入するガスを過給する。この構成例において、過給機44は、エンジン1によって駆動される機械式の過給機である。機械式の過給機44は、ルーツ式、リショルム式、ベーン式、又は遠心式であってもよい。
過給機44とエンジン1との間には、電磁クラッチ45が介設している。電磁クラッチ45は、過給機44とエンジン1との間で、エンジン1から過給機44へ駆動力を伝達したり、駆動力の伝達を遮断したりする。後述するように、ECU10が電磁クラッチ45の遮断及び連結を切り替えることによって、過給機44はオンとオフとが切り替わる。
吸気通路40における過給機44の下流には、インタークーラー46が配設されている。インタークーラー46は、過給機44において圧縮されたガスを冷却する。インタークーラー46は、例えば水冷式又は油冷式に構成してもよい。
吸気通路40には、バイパス通路47が連結されている。バイパス通路47は、過給機44及びインタークーラー46をバイパスするよう、吸気通路40における過給機44の上流部とインタークーラー46の下流部とを互いに連結する。バイパス通路47には、エアバイパス弁48が配設されている。エアバイパス弁48は、バイパス通路47を流れるガスの流量を調節する。
ECU10は、過給機44をオフにしたとき(つまり、電磁クラッチ45を遮断したとき)に、エアバイパス弁48を全開にする。吸気通路40を流れるガスは、過給機44をバイパスして、エンジン1の燃焼室17に導入される。エンジン1は、非過給、つまり自然吸気の状態で運転する。
過給機44をオンにすると、エンジン1は過給状態で運転する。ECU10は、過給機44をオンにしたとき(つまり、電磁クラッチ45を連結したとき)に、エアバイパス弁48の開度を調節する。過給機44を通過したガスの一部は、バイパス通路47を通って過給機44の上流に逆流する。ECU10がエアバイパス弁48の開度を調節すると、燃焼室17に導入するガスの過給圧が変わる。尚、過給時とは、サージタンク42内の圧力が大気圧を超える時をいい、非過給時とは、サージタンク42内の圧力が大気圧以下になる時をいう、と定義してもよい。
この構成例においては、過給機44とバイパス通路47とエアバイパス弁48とによって、過給システム49が構成されている。
エンジン1は、燃焼室17内にスワール流を発生させるスワール発生部を有している。スワール発生部は、図3に示すように、吸気通路40に取り付けられたスワール弁56を有している。スワール弁56は、第1吸気ポート181につながるプライマリ通路401と、第2吸気ポート182につながるセカンダリ通路402との内の、セカンダリ通路402に配設されている。スワール弁56は、セカンダリ通路402の断面を絞ることができる開度調節弁である。
スワール弁56の開度が小さいと、第1吸気ポート181から燃焼室17に流入する吸気流量が相対的に多くかつ、第2吸気ポート182から燃焼室17に流入する吸気流量が相対的に少ないから、燃焼室17内のスワール流が強くなる。スワール弁56の開度が大きいと、第1吸気ポート181及び第2吸気ポート182のそれぞれから燃焼室17に流入する吸気流量が、略均等になるから、燃焼室17内のスワール流が弱くなる。スワール弁56を全開にすると、スワール流が発生しない。尚、スワール流は、白抜きの矢印で示すように、図3における反時計回り方向に周回する(図2の白抜きの矢印も
参照)。
エンジン1の他側面には、排気通路50が連結されている。排気通路50は、各シリンダ11の排気ポート19に連通している。排気通路50は、燃焼室17から排出された排気ガスが流れる通路である。排気通路50の上流部分は、詳細な図示は省略するが、シリンダ11毎に分岐する独立通路を構成している。独立通路の上流端が、各シリンダ11の排気ポート19に連結されている。
排気通路50には、複数の触媒コンバーターを有する排気ガス浄化システムが配設されている。上流の触媒コンバーターは、図示は省略するが、エンジンルーム内に配設されている。上流の触媒コンバーターは、三元触媒511と、GPF(Gasoline Particulate Filter)512とを有している。下流の触媒コンバーターは、エンジンルーム外に配設されている。下流の触媒コンバーターは、三元触媒513を有している。尚、排気ガス浄化システムは、図例の構成に限定されるものではない。例えば、GPFは省略してもよい。また、触媒コンバーターは、三元触媒を有するものに限定されない。さらに、三元触媒及びGPFの並び順は、適宜変更してもよい。
吸気通路40と排気通路50との間には、外部EGRシステムを構成するEGR通路52が連結されている。EGR通路52は、排気ガスの一部を吸気通路40に還流させるための通路である。EGR通路52の上流端は、排気通路50における上流の触媒コンバーターと下流の触媒コンバーターとの間に連結されている。EGR通路52の下流端は、吸気通路40における過給機44の上流部に連結されている。EGR通路52を流れるEGRガスは、バイパス通路47のエアバイパス弁48を通らずに、吸気通路40における過給機44の上流部に入る。
EGR通路52には、水冷式のEGRクーラー53が配設されている。EGRクーラー53は、排気ガスを冷却する。EGR通路52にはまた、EGR弁54が配設されている。EGR弁54は、EGR通路52を流れる排気ガスの流量を調節する。EGR弁54の開度を調節することによって、冷却した排気ガス、つまり外部EGRガスの還流量を調節することができる。
この構成例において、EGRシステム55は、外部EGRシステムと、内部EGRシステムとによって構成されている。外部EGRシステムは、内部EGRシステムよりも低温の排気ガスを、燃焼室17に供給することができる。
図4に示すように、点火プラグ25は、燃焼室17の内部に臨む一対の電極(電極対250)を有している。これら電極対250は、例えば、ニッケル合金、白金、イリジウム合金などの素材を用いて形成された、接地電極250a及び中心電極250bで構成されている。接地電極250aと中心電極250bとは、互いに所定の大きさ(ギャップ長G)を有するギャップを隔てて対向している。
これら電極対250に、点火エネルギーが付与(具体的には、高電圧が瞬間的に印加)されることで、電極対250の間で放電が生じる。それにより、火炎核が形成される。その火炎核が成長することで、燃焼室17の内部に形成された混合気が点火される。
ギャップ長Gが小さいと、接地電極250a及び中心電極250bにより、燃料熱が吸収され、火炎核の形成及び成長を阻害する(いわゆる冷却損失)。そのため、このエンジン1では、ギャップ長Gは、少なくとも0.5mm以上に設定されている(ギャップ長Gの初期値≧0.5mm)。
電極対250に電力を供給するために、点火プラグ25に着火装置251が接続されている。着火装置251は、イグニッションコイル251a、イグナイタ251b、放電電流計251cなどを有している。イグニッションコイル251aは、一次コイル251a1、二次コイル251a2、コア251a3などで構成されていて、一次コイル251a1への通電時間(ドエル時間)に対応した電圧を電極対250に印加する。
一次コイル251a1の一端はバッテリ252に接続されている。一次コイル251a1の他端は、ECU10と接続されているイグナイタ251bを介して基準電位に接続(アース)されている。二次コイル251a2の一端は、図示しないディストリビュータ(各シリンダ11の点火プラグ25に電力を分配する装置)を介して、各点火プラグ25(詳細には中心電極250b)に接続されている。
二次コイル251a2の他端は、ECU10と接続されている放電電流計251cを介して基準電位に接続(アース)されている。放電電流計251cは、二次コイル251a2を流れる電流の電流値を計測し、その信号をECU10に出力する。二次コイル251a2は、一次コイル251a1よりも、巻数が多く形成されている。イグナイタ251bは、ECU10から入力される信号に従って、一次コイル251a1にバッテリ252の電力が供給されるオン状態と、一次コイル251a1にバッテリ252の電力が供給されいオフ状態とを切り替える。
イグナイタ251bがオン状態になると、一次コイル251a1が通電され、イグニッションコイル251aに磁界が形成される。その後、所定のタイミングで、イグナイタ251bがオフ状態になると、電磁誘導により、二次コイル251a2に、電流が流れて電圧が発生する。二次コイル251a2の巻数は一次コイル251a1の巻数よりも多いため、二次コイル251a2には高電圧が発生する。この高電圧が電極対250に印加されることにより、燃焼室17の内部に形成された混合気が点火される。
点火時期は、一次コイル251a1が通電されるタイミングによって定まる。また、電極対250に印加される電圧(印加電圧)の大きさは、一次コイル251a1への通電時間(ドエル時間)によって定まる。すなわち、印加電圧はドエル時間と相関関係にある。通常、安定した点火を行うために、印加電圧は、放電に要する電圧(放電電圧)よりも大きく設定される。
放電電圧は、ギャップ長Gと、点火時の燃焼室17の内圧とに比例する。通常の制御ではギャップ長Gは一定値とみなされるため、着火装置251は、ECU10からの要求に応じて、点火時の燃焼室17の内圧に対応した所定の電圧(要求電圧)を電極対250に印加する。
具体的には、ECU10は、筒内圧センサSW6の入力信号から得られる燃焼室17の内圧、放電電流計251cの入力信号から得られる印加電圧などに基づいて、電極対250に印加すべき電圧(要求電圧)を設定する。このエンジン1では、要求電圧は、少なくとも10kV以上となるように設定されている。
それに対し、着火装置251は、設定された要求電圧に基づいて、放電可能な電圧が電極対250に印加されるように、ドエル時間を調整する。要求電圧が高い場合は、ドエル時間を長くし、要求電圧が低い場合は、ドエル時間を短くする。エンジン1が運転しているとき、イグニッションコイル251aは、燃焼室17の内部の状態、つまりは燃焼室17の内圧に応じて設定される要求電圧に従って通電される。
(ECU)
エンジン1には、その運転を制御するECU(Engine Control Unit)10が備えられている。ECU10は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラーであって、図5に示すように、プログラムを実行する中央演算処理装置(Central ProcessingUnit:CPU)10aと、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)により構成されてプログラム及びデータを格納するメモリ10bと、電気信号の入出力をする入出力バス10cと、を備えている。ECU10は、「制御部」の一例である。
ECU10には、図1及び図5に示すように、各種のセンサSW1〜SW17が接続されている。センサSW1〜SW17は、信号をECU10に出力する。これらセンサSW1〜SW17は、エンジン1の運転に関連する各種パラメータを計測する「計測部」の一例である。これらセンサSW1〜SW17の内容を以下に示す。
エアフローセンサSW1:吸気通路40におけるエアクリーナー41の下流に配置されかつ、吸気通路40を流れる新気の流量を計測する。
第1吸気温度センサSW2:吸気通路40におけるエアクリーナー41の下流に配置されかつ、吸気通路40を流れる新気の温度を計測する。
第1圧力センサSW3:吸気通路40におけるEGR通路52の連結位置よりも下流でかつ、過給機44の上流に配置されかつ、過給機44に流入するガスの圧力を計測する。
第2吸気温度センサSW4:吸気通路40における過給機44の下流でかつ、バイパス通路47の連結位置よりも上流に配置されかつ、過給機44から流出したガスの温度を計測する。
第2圧力センサSW5:サージタンク42に取り付けられかつ、過給機44の下流のガスの圧力を計測する。
筒内圧センサSW6:各シリンダ11に対応してシリンダヘッド13に取り付けられかつ、各燃焼室17内の圧力を計測する。
排気温度センサSW7:排気通路50に配置されかつ、燃焼室17から排出した排気ガスの温度を計測する。
リニアO2センサSW8:排気通路50における上流の触媒コンバーターよりも上流に配置されかつ、排気ガス中の酸素濃度を計測する。
ラムダO2センサSW9:上流の触媒コンバーターにおける三元触媒511の下流に配置されかつ、排気ガス中の酸素濃度を計測する。
水温センサSW10:エンジン1に取り付けられかつ、冷却水の温度を計測する。
クランク角センサSW11:エンジン1に取り付けられかつ、クランクシャフト15の回転角を計測する。
アクセル開度センサSW12:アクセルペダル機構に取り付けられかつ、アクセルペダルの操作量に対応したアクセル開度を計測する。
吸気カム角センサSW13:エンジン1に取り付けられかつ、吸気カムシャフトの回転角を計測する。
排気カム角センサSW14:エンジン1に取り付けられかつ、排気カムシャフトの回転角を計測する。
EGR差圧センサSW15:EGR通路52に配置されかつ、EGR弁54の上流及び下流の差圧を計測する。
燃圧センサSW16:燃料供給システム61のコモンレール64に取り付けられかつ、インジェクタ6に供給する燃料の圧力を計測する。
第3吸気温度センサSW17:サージタンク42に取り付けられかつ、サージタンク42内のガスの温度、換言すると燃焼室17に導入される吸気の温度を計測する。
着火装置251の放電電流計251cも、ECU10に信号を出力する。従って、計測部は、放電電流計251cも含む。
ECU10は、これらのセンサSW1〜SW17、及び放電電流計251cの信号に基づいて、エンジン1の運転状態を判断すると共に、予め定められている制御ロジックに従って、各デバイスの制御量を演算する。制御ロジックは、メモリ10bに記憶されている。制御ロジックは、メモリ10bに記憶しているマップを用いて、目標量及び/又は制御量を演算することを含む。
ECU10は、演算をした制御量に係る電気信号を、インジェクタ6、吸気電動S−VT23、排気電動S−VT24、燃料供給システム61、スロットル弁43、EGR弁54、過給機44の電磁クラッチ45、エアバイパス弁48、スワール弁56、報知器57、及び、着火装置251に出力する。なお、報知器57は、搭乗者に警報等を知らせる機器であり、例えば、インストルメントパネルに表示されたランプなどが挙げられる。
図6は、エンジンの回転速度/負荷に応じた燃焼制御の相違を説明するための運転マップである。本図に示すように、エンジンの運転領域は、燃焼形態の相違によって4つの運転領域A1〜A4に大別される。それぞれ第1運転領域A1、第2運転領域A2、第3運転領域A3、第4運転領域A4とする。
第3運転領域A3は、エンジン回転速度が第1速度N1未満となる極低速域である。第4運転領域A4は、エンジン回転速度が第3速度N3以上となる高速域である。第1運転領域A1は、第3、第4運転領域A3、A4以外の速度域(低・中速領域)のうち負荷が比較的低い低速・低負荷の領域である。第2運転領域A2は、第1、第3、第4運転領域A1、A3、A4以外の残余の領域である。
第1運転領域A1は、図6の例によれば、第2運転領域A2の内側に位置する略矩形状の領域とされ、第2運転領域A2の下限速度である第1速度N1と、第2運転領域A2の上限速度(第3速度N3)よりも低い第2速度N2と、エンジンの最低負荷よりも高い第1負荷L1と、第1負荷L1よりも高い第2負荷L2とに囲まれている。この第1運転領域A1の上限負荷である第2負荷L2は、過給機33が駆動される下限の負荷である第3負荷L3よりもやや低い値に設定されている。すなわち、第1運転領域A1は、過給機33による過給が行われる過給領域とは重複しないように設定されている。
以下、上記第1〜第4運転領域A1〜A4における燃焼制御の概要について説明する。
第1運転領域A1:低速かつ低負荷の第1運転領域A1では、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせた部分圧縮着火燃焼(以下、これをSPCCI燃焼という)が実行される。SI燃焼とは、点火プラグ16から発生する火花により混合気に点火し、その点火点から周囲へと燃焼領域を拡げていく火炎伝播により混合気を強制的に燃焼させる燃焼形態のことであり、CI燃焼とは、ピストン5の圧縮等により十分に高温・高圧化された環境下で混合気を自着火により燃焼させる燃焼形態のことである。そして、これらSI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼とは、混合気が自着火する寸前の環境下で行われる火花点火により燃焼室6内の混合気の一部をSI燃焼させ、当該SI燃焼の後に(SI燃焼に伴うさらなる高温・高圧化により)燃焼室6内の他の混合気を自着火によりCI燃焼させる、という燃焼形態のことである。なお、「SPCCI」は「Spark Controlled Compression Ignition」の略である。
図7は、上記のようなSPCCI燃焼が行われた場合の燃焼波形、つまりクランク角による熱発生率(J/deg)の変化を示したグラフである。本図に示すように、SPCCI燃焼では、SI燃焼による熱発生とCI燃焼による熱発生とがこの順に連続して発生する。このとき、CI燃焼の方が燃焼速度が速いという性質上、SI燃焼時よりもCI燃焼時の方が熱発生の立ち上がりが急峻になる。このため、SPCCI燃焼における熱発生率の波形は、SI燃焼からCI燃焼に切り替わるタイミング(後述するθci)で現れる変曲点Xを有している。
上記のようなSPCCI燃焼の具体的形態として、第1運転領域A1では、理論空燃比よりも大きい空燃比を有するA/Fリーンの混合気を燃焼室17内に形成しつつ当該混合気をSPCCI燃焼させる制御、言い換えるとλ>1(λは空気過剰率)の混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行される。このようなA/FリーンのSPCCI燃焼を実現するため、第1運転領域A1では、PCM100によってエンジンの各部が次のように制御される。
スロットル弁32の開度は、理論空燃比相当の空気量よりも多くの空気が吸気通路30を通じて燃焼室6に導入されるような比較的大きな値に設定される。すなわち、第1運転領域A1では、吸気通路40を通じて燃焼室17に導入される空気(新気)と、インジェクタ6から燃焼室17に噴射される燃料との重量比である空燃比(A/F)の目標値が、理論空燃比(14.7)よりも十分に大きい値に設定される。そして、この空燃比の目標値(目標空燃比)が実現されるようなスロットル弁32の開度が都度決定され、その決定に従ってスロットル弁32が制御される。
過給機33は停止される。すなわち、第1運転領域A1は、過給を要する負荷域の下限である第3負荷L3よりも低負荷側に位置するので、過給機44による過給は不要である。そこで、第1運転領域A1では、電磁クラッチ45が解放されて過給機44とエンジン本体1との連結が解除されるとともに、バイパス弁48が全開とされることにより、過給機44による過給が停止される。
ここで、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼では、SI燃焼とCI燃焼との比率を運転条件に応じてコントロールすることが重要である。そこで、当実施形態では、SPCCI燃焼(SI燃焼およびCI燃焼)による全熱発生量に対するSI燃焼による熱発生量の割合であるSI率に着目し、このSI率が適正な値になるようにエンジンの各部を制御する。
上記SI率を説明する。図8において、燃焼形態がSI燃焼からCI燃焼に切り替わる変曲点Xに対応するクランク角θciをCI燃焼の開始時期とする。この場合、SI燃焼による熱発生量は、当該θci(CI燃焼の開始時期)よりも進角側の熱発生率の波形の面積R1に相当し、CI燃焼による熱発生量は、当該θciよりも遅角側に位置する熱発生率の波形の面積R2に相当するとみなすことができる。そして、上記SI率は、これら各面積R1、R2を用いて、R1/(R1+R2)と定義することができる。
SPCCI燃焼が行われる第1運転領域A1では、上述したSI率およびθciが予め定められた目標値に一致するように、エンジンの各部が制御される。すなわち、第1運転領域A1では、エンジン負荷/回転速度が異なる種々の条件ごとに、SI率の目標値である目標SI率とθciの目標値である目標θciとがそれぞれ定められている。そして、インジェクタ6からの燃料の噴射量/噴射時期、点火プラグ25による火花点火の時期(点火時期)、およびEGR率(外部EGR率および内部EGR率)といった複数の制御量が、上記目標SI率および目標θciを実現可能な組合せとなるように制御される。なお、外部EGR率とは、燃焼室6内の全ガスのうち外部EGRガス(EGR通路51を通じて燃焼室6に還流される排気ガス)が占める重量割合のことであり、内部EGR率とは、燃焼室6内の全ガスのうち内部EGRガス(内部EGRにより燃焼室6に残留する既燃ガス)が占める重量割合のことである。
例えば、燃料の噴射量/噴射時期は、上記目標SI率および目標θciを考慮して予め定められたマップにより決定される。また、外部EGR率および内部EGR率については、両EGR率の主な影響因子である吸・排気弁21、22の開閉タイミング(オーバーラップ期間)と、EGR弁54の開度とが、やはり上記目標SI率および目標θciを考慮して定められたマップにより決定される。
ここで、当実施形態では、第1運転領域A1における燃料の噴射パターンが、吸気行程中に複数回に分けて燃料を噴射するパターンとされる。例えば、図7に拡大して示す運転マップ中の運転ポイントP1、P2、P3での噴射パターンは、それぞれ吸気行程中に3回の燃料噴射が実行するパターンに設定されている(図9に示す燃料噴射F1、F2、F3参照)。第1運転領域A1での燃料の噴射量/噴射時期は、このような分割噴射パターンの採用を前提に、その各回の燃料噴射の噴射量/噴射時期が、上述した目標SI率および目標θciを考慮した値に予め定められている。
一方、点火プラグ25による火花点火の時期(点火時期)は、所定のモデル式を用いた演算により、上記目標SI率および目標θciが得られるような時期に決定される。
図9に示すように、当実施形態では、運転条件によっては、混合気を強制着火させるための通常の火花点火(以下、通常点火Saあるいは主点火Saという)に加えて、当該通常点火よりも所定量以上早いタイミングで火花を発生させる火花点火(以下、早期点火Sbあるいは先行点火Sbという)が実行されることがある。具体的に、このような特殊な態様による火花点火(早期点火Sbおよび通常点火Sa)は、図7の運転ポイントP1を含む第1分割領域A11において実行される。第1分割領域A11は、第1運転領域A1のうち回転速度が境界速度Nx以下でかつ負荷が境界負荷Lx以下の領域である。
図10には、上記早期点火Sbを行うために、着火装置251における一次コイル251aに対する通電時間が符W1で示され、放電電流が符号Y1で示される。同様に、通常点火Saを行うために、着火装置251における一次コイル251aに対する通電時間が符W2で示され、放電電流が符号Y2で示される。
一方、第1分割領域A11以外の他の分割領域、つまり境界速度Nxよりも高速側の第3分割領域A13と、境界負荷Lxよりも高負荷側の第2分割領域A12とでは、通常点火Saのみが実行され、早期点火Sbは実行されない。
詳細は後述するが、早期点火Sbおよび通常点火Saが実行される第1分割領域A11において、上記モデル式を用いて決定されるのは通常点火Saの時期である。一方、通常点火Saのエネルギー、および早期点火Sbの時期/エネルギーについては、負荷/回転速度に拠らず一定とされる。また、通常点火Saのみが実行される第2・第3分割領域A12、A13において、上記モデル式を用いて決定されるのは通常点火Saの時期であり、通常点火Saのエネルギーについては負荷/回転速度に拠らず一定とされる。
図9のパターン(b)に示すように、第2分割領域A12での通常点火Saが近接した2本の矢印線で表されているのは、点火プラグ16からの放電を一時的に中段する断続点火が通常点火Saとして行われていることを示しており、早期点火Sbが実行されていることを意味しない。この断続点火の際に、当初に行われる火花点火が通常点火あるいは主点火となり、遅れて点火される火花点火が追加点火となる。
図11には、上記断続的な点火Saを行うために、当初の点火用として着火装置251における一次コイル251aに対する通電時間が符W3aで示され、そのときの放電電流が符号Y3aで示される。そして、引き続く追加点火を行うために、着火装置251における一次コイル251aに対する通電時間が符W3bで示され、そのときの放電電流が符号Y3bで示される。
以上のように、第1運転領域A1では、予め定められたマップとモデル式を用いた演算とを組み合わせた方法により、点火時期、燃料の噴射量/噴射時期、吸・排気弁21、22の開閉タイミング、およびEGR弁54の開度が、運転条件ごとに予め定められた適正なSI率およびθci(目標SI率および目標θci)が得られる組合せとなるように制御される。
次に、第2運転領域A2について説明する。
第2運転領域A2においても、混合気をSPCCI燃焼により燃焼させる制御が実行される。ただし、第2運転領域A2では、上記第1運転領域A1のときと異なり、燃焼室17内の空燃比(A/F)が理論空燃比の近傍に設定されるとともに、点火プラグ25による火花点火の回数が1燃焼サイクル当たり1回に制限される(主点火あるいは通常点火となるSaのみで、断続点火もなし)。
すなわち、第2運転領域A2では、スロットル弁43の開度が、理論空燃比相当の空気量が吸気通路40を通じて燃焼室17に導入されるような開度、つまり、燃焼室17内の空気(新気)と燃料との重量比である空燃比(A/F)が理論空燃比(14.7)に略一致するような開度に設定される。言い換えると、第2運転領域A2では、燃焼室17内の空燃比が理論空燃比の近傍(λ≒1)となるストイキ環境下で混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行される。
また、点火プラグ25による火花点火は、圧縮上死点の近傍において、1燃焼サイクル当たり1回の頻度で実行される。すなわち、第2運転領域A2では、圧縮上死点の近傍で混合気を強制着火させる通常の火花点火のみが実行され、上述した早期点火に相当するものは実行されない。
ここで、第2運転領域A2においても、上述した第1運転領域A1のときと同様に、目標SI率および目標θciが負荷/回転速度の条件ごとに定められている。燃料の噴射量/噴射時期、吸・排気弁21、22の開閉タイミング、およびEGR弁54の開度は、上記目標SI率および目標θciを実現するのに適した値を予め定めたマップを用いて決定される。また、点火プラグ25による点火時期については、上記目標SI率および目標θciを実現可能な点火時期が所定のモデル式を用いた演算により決定される。
過給機44は、エンジン負荷が第3負荷L3よりも高いか低いかに応じて駆動または停止される。すなわち、過給機44は、第2運転領域A2のうちエンジン負荷が第3負荷L3以上となる高負荷側の領域において駆動され、第2運転領域A2のうちエンジン負荷が第3負荷L3未満となる低負荷側の領域において停止される。過給機44が駆動される高負荷側の領域では、電磁クラッチ45が締結されて過給機44とエンジン本体1とが連結されることにより、過給機44による過給が実行される。このとき、吸気圧センサにより検出されるサージタンク42内の圧力(過給圧)が、エンジン負荷/回転速度の条件ごとに予め定められた目標圧力に一致するように、バイパス弁48の開度が制御される。
次に、第3運転領域A3および第4運転領域A4について説明する。
第3運転領域A3(極低速域)および第4運転領域A4(高速域)では、混合気をSI燃焼により燃焼させる制御が実行される。例えば、1燃焼サイクル中に噴射すべき燃料の全量がインジェクタ6から吸気行程中に噴射されるとともに、圧縮上死点の近傍で点火プラグ25による火花点火が実行される。そして、この火花点火をきっかけにSI燃焼が開始され、燃焼室17内の混合気の全てが火炎伝播により燃焼する。
次に、点火プラグ25が点火された際の中心電極250bの摩耗量の推定について説明する。まず、中心電極の摩耗は、容量放電による摩耗と誘導放電による摩耗となる。中心電極250bの摩耗量は、次の基本式(1)に基づいて算出される(推定される)。
Figure 2021017835
基本式(1)中、D1〜D4は定数で、それぞれ正の値である(−D2はマイナスの値となる)。また、δは燃焼室17内の密度であり、iは放電の電流値である。燃焼室17内の密度δは、燃焼室17内の全ガス量を点火実行時の燃焼室容積で除した値となる。この密度は、エンジン負荷に対応したものとして把握することができる。したがって、中心電極250aの容量放電に基づく摩耗量は、エンジン負荷が大きくなるほど大きくなると考えられる。
基本式(1)において、括弧内の左項が容量放電による摩耗量(放電電流のピーク値に基づく第1摩耗量)に相当する。また、右項が、誘導放電による摩耗量(放電電流の積算値に基づく第2摩耗量)に相当する(式中のi=電流値である)。ただし、容量放電に基づく摩耗量は、下限値が0とされる(マイナスの値とならない)。
上記基本式(1)で算出される摩耗量は、図9におけるパターンP1あるいはP3での主点火Saについてのものとなる。算出される摩耗量の単位は、10-10(10のマイナス10乗)×mm3(ミリ立法メートル)である。
容量放電による中心電極250bの摩耗は、放電電流のピーク値に基づく値として把握することもできる。中心電極250bは、放電による電子放出によりエネルギ損失し、受熱量減少となり、相対的にエンジン負荷が大きい領域で摩耗を促進させる要因となる。
一方、中心電極250bの誘導放電による摩耗は、気体中のイオンが衝突することに伴うものであり、エンジン負荷に実質的に依存せず、エンジン負荷の広い範囲に渡って中心電極250bを摩耗させる要因となる。
一方、図9のパターン(a)に示す早期点火Sbについての中心電極250bの摩耗量は、基本式(1)で算出される摩耗量よりも大きい値とされる。具体的には、基本式(1)で算出される摩耗量に、所定の定数α分を加算した値の摩耗量とされる。
通常、早期点火Sbが実行タイミングは、吸気行程中から圧縮行程の初期の範囲とされて、実質的に圧縮が行われない状態(つまりエンジン負荷が極めて小さい状態で行われることから、容量放電に伴う中心電極250bの摩耗は小さいものと考えられていた。しかしながら、実際には、早期点火Sbを実行し続けると、中心電極250bは、図12に示すように、その側面から摩耗が進行されて、側面が虫食い状になりつつ、先端部が丸まっていくように摩耗される。側面が虫食い状に摩耗されていくのに伴って、中心電極250bの先端面での摩耗も促進される。
早期点火Sbによる中心電極250bの上述した摩耗は、早期点火Sbが実行されるタイミングでは、燃焼室17内から排気ガスが排気側(排気ポート側)へと高速で流れることに起因するものである、ということが判明した。図13には、吸気行程上死点から燃焼室17内でのガス流速が変化する状況を示したものである。図13から明かなように、吸気行程上死点を少し超えたあたりから、ガス流速が極めて大きくなり、この大きな流速によって、中心電極250bのうち排気ポート側の側面に淀みを生じさせて、この淀み部分から摩耗を促進させることとなっていた。
上述した理由から、早期点火Sbを実行した際は、基本式(1)に基づく摩耗量に対して、一定値の摩耗量となるα分を加算するようにしてある。吸気行程から圧縮行程初期に渡ってはエンジン負荷が極めて小さい(事実上0)ことから、加算値αを一定値とすることができる。なお、摩耗量αを、例えばエンジン負荷やエンジン回転数に応じて変化させる可変値とすることもできる。
次に、図9パターン(b)における断続点火による点火プラグ25の摩耗について説明する。断続点火は、主点火Saの当初の点火が実行された後、当初の点火による誘導放電が行われている途中でもって追加点火を行うものとなっている。
図14に、この断続点火についての放電電流値が変化する状況が示される。図14中、当初の点火(主点火)が符号Y3aで示され、追加点火が符号Y3bで示される(図10をも参照)。当初の点火Y3aにおいては、容量放電成分は、追加点火なしの場合と同じである。一方、追加点火Y3bにおいては、当初の点火Y3aの誘導放電の途中で容量放電が行われることから、追加点火Y3bにおける容量放電は小さいものとなり、事実上無視できものとなる。このため、追加点火Y3bについては、容量放電に起因する電極250a、250bの摩耗量は0となるようにしてある。
次に、燃焼室17内の流速(ガス流速)が、点火プラグ25の電極250a、250bの摩耗に与える影響について説明する。まず、図15は、燃焼室17内の流速が所定値以下の小さいときの放電状況を示す。流速が小さいときは、容量放電は当初の1回のみとなる。
一方、燃焼室17内の流速が所定値を超えるような大きなときは、図16に示すように、容量放電の再形成が起こり、容量放電が複数回に渡って生じることになる。すなわち、大きな流速によって放電途中で放電が途絶えた際に、再度の容量放電が発生することになる(放電パスの再形成)。
放電パス再形成のための2回目以降の容量放電は、1回目の容量放電に比して小さいものとなる。しかしながら、2回目以降の相対的に小さい容量放電であっても、特に高圧縮比のエンジンにおいては無視できないものとなる。接地電極250aは、容量放電による摩耗の影響が大きいものである。
図17に、流速の大小の相違に基づく接地電極250aの摩耗量の相違を示す。圧縮比の小さい従来型のエンジンでは、流速の大小に伴う接地電極250aの摩耗量の相違は、さほど大きな問題とはならない。しかしながら、高圧縮比エンジンでは、点火実行の再の燃焼室17内の密度(エンジン負荷)が極めて大きくなるため、流速の大小によって接地電極250aの摩耗量が大きく相違することとなる。
このため、燃焼室17内の流速が小さいときは、接地電極250aの摩耗量を次式(2)に基づいて推定するようにしてある。また、燃焼室17内の流速が指定を超えるような大きなときは、次式(3)に基づいてその摩耗量を推定される。
Figure 2021017835
Figure 2021017835
式(2)、(3)中、K1〜K4、L1〜L4は定数で、それぞれ正の値である(−K2、−L2はマイナスの値となる)。また、δは基本式(1)と同様に燃焼室17内の密度である。ただし、容量放電に基づく摩耗量は、下限値が0とされる(マイナスの値とならない)。式(2)で算出される摩耗量の単位は、10-10(10のマイナス10乗)×mm3(ミリ立法メートル)である。
式(3)に基づいて算出される摩耗量の方が、式(2)に基づいて算出される摩耗量よりも大きな値とされる。なお、中心電極250bについては、前述した基本式(1)に基づいてその摩耗量が推定される。
図18は、スワール弁56の開度とスワール比との関係を示す。スワール弁56の開度が小さいほど、スワール比が大きくなって、燃焼室17内の流速が大きくされる。
図19は、エンジンの運転状態を示すエンジン負荷とエンジン回転数とをパラメータとするスワール弁56の開度設定例を示す。図19中、V1〜V5はスワール弁56の開度を示す。V1<V2<V3<V4<V5である。このスワール弁56の開度V1〜V5の設定は、吸気量確保や燃焼室向上等の観点から設定されている。実施形態では、V1は12度程度、V2は20度程度、V3は30度程度、V4は45度(半開)程度、V5は90度(全開)とされている。
スワール弁56の開度が、所定開度としての例えばV3以下のとき(つまり流速大のとき)は、接地電極250aの摩耗量が式(3)に基づいて算出される。また、スワール弁56の開度がV3を超えたとき(つまり流速小のとき)は、接地電極250aの摩耗量が式(2)に基づいて算出される。
図20は、エンジン負荷をパラメータとして、中心電極250bの摩耗に与える要因をまとめて概略的に示すものである。誘導放電に基づく摩耗量および追加点火に基づく摩耗量は、エンジン負荷の広い範囲に渡ってほぼ一定である。容量放電に基づく摩耗量は、エンジン負荷が大きい範囲で、エンジン負荷が大きくなるほど大きくなる。早期点火に基づく摩耗量は、エンジン負荷の小さい範囲で一定値とされる。
図21は、エンジン負荷をパラメータとして、接地電極250aの摩耗に与える要因をまとめて概略的に示すものである。接地電極250aの摩耗量は、エンジン負荷が大きい範囲で、エンジン負荷が大きくなるほど大きくなる。そして、燃焼室17内の流速が大きいときは、流速が小さいときに比して、摩耗量がより大きくされる。
次に、図22〜図24のフローチャートを参照しつつ、点火プラグ25の電極250a、250bの摩耗量を推定する制御例について説明する。また、図25のフローチャートを参照しつつ、推定された摩耗量に基づいて点火プラグ25の異常の有無(交換の有無)を判定する制御例について説明する。なお、この制御例は、図10に示すECU10による制御である。また、以下の説明でQはステップを示す。
まず、図22は、早期点火が実行されるときの摩耗量を推定する制御例を示す。この制御は、例えば1気筒についての点火が完了する毎に行われる(例えば点火完了直後における膨張行程の中期や後期に制御開始)。この図22において、まずQ1において、エンジン負荷、エンジン回転数、スワール弁56の開度等の摩耗量推定に必要な信号が読み込まれる。Q2では、エンジンの運転状態が、早期点火有りの場合であるか否かが判別される。
Q2の判別でYESのときは、Q3において、早期点火分についての中心電極250bの摩耗量CM1が算出される(基本式(1)に一定値を加算した摩耗量の算出)。この後、Q4において、主点火分についての中心電極250bの摩耗量CMMが算出される(基本式(1)に基づく摩耗量の算出)。
Q4の後、Q 5において、スワール弁56の開度が所定開度(例えば30度)以下であるか否かが判別される。このQ5の判別でYESのとき、つまり燃焼室17内の流速が大きいときは、Q6において、早期点火分についての接地電極250bの摩耗量EM1が算出される(式(3)に基づく摩耗量の算出)。この後、Q7において、
主点火分についての接地電極250bの摩耗量EMMが算出される(式(3)に基づく摩耗量の算出)。
Q5の判別でNOのとき、つまり燃焼室17内の流速が小さいときは、Q8において、早期点火分についての接地電極250bの摩耗量EM1が算出される(式(2)に基づく摩耗量の算出)。この後、Q9において、主点火分についての接地電極250bの摩耗量EMMが算出される(式(2)に基づく摩耗量の算出)。Q6、Q7を経る摩耗量の算出値は、Q8、Q9における摩耗量の算出値よりも大きい値となる。ただし、早期点火が実行されるときのエンジン負荷は小さいため、接地電極250aの摩耗量が0とされることもある。
Q7の後、あるいはQ9の後は、Q10において、CM1、CMM、EM1、EMMを加算して、今回の点火による総摩耗量MFが算出される。Q3、Q6あるいはQ8が、早期点火1回あたりの摩耗量を推定する手段に相当する。また、Q4、Q7あるいはQ9が、主点火1回あたりの摩耗量を推定する手段に相当する。
前記Q2の判別でNOのときは、図23におけるQ21へ移行される。Q21では、エンジンの運転状態が、追加点火(断続点火)有りの場合であるか否かが判別される。
Q21の判別でYESのときは、Q22において、追加点火分についての中心電極250bの摩耗量CM2が算出される(基本式(1)に基づく摩耗量の算出であるが、2回目以降の容量放電分については無視した摩耗量の算出)。この後、Q23において、主点火分についての中心電極250bの摩耗量CMMが算出される(基本式(1)に基づく摩耗量の算出)。
Q23の後、Q24〜Q28の処理が行われる。このQ24〜Q28は、図22のQ5〜Q9に対応した処理なので、その重複した説明は省略する。なお、接地電極250aの摩耗量は、追加点火分についてはEM2とされる。
Q26の後、あるいはQ28の後は、Q29において、参照された各摩耗量CM2、CMM、EM2、EMMを加算して、総摩耗量MFが算出される(図22のQ10対応)。Q22、Q25あるいはQ27が、追加点火1回あたりの摩耗量を推定する手段に相当する。また、Q23、Q26あるいはQ28が、主点火1回あたりの摩耗量を推定する手段に相当する。
前記Q21の判別でNOのときは、図24のQ31へ移行される。図24の処理は、主点火のみ(断続点火なし)の場合であり、図9のパターン(c)の場合に対応する。Q31では、中心電極250bについて、主点火用の摩耗量CMMが算出される(基本式(1)に基づく算出)。
Q31の後、Q32において、スワール弁56の開度が所定開度以下であるか否かが判別される。このQ32の判別でYESのとき、つまり燃焼室17内の流速が大きいときは、Q33において、主点火分についての接地電極250bの摩耗量EMMが算出される(式(3)に基づく摩耗量の算出)。
Q32の判別でNOのとき、つまり燃焼室17内の流速が小さいときは、Q34において、主点火分についての接地電極250bの摩耗量EMMが算出される(式(2)に基づく摩耗量の算出)。
Q33の後、あるいはQ34の後は、Q35において、算出された各摩耗量CMM、とEMMを加算して、総摩耗量MFが算出される(図22のQ10対応)。
Q31、Q33あるいはQ34が、主点火1回あたりの摩耗量を推定する手段に相当する。
図25は、図22〜図24に示す処理によって算出された今回の総摩耗量MFを積算した摩耗量積算値を算出して、算出された摩耗量積算値に関する値に基づいて点火プラグ25の異常の有無を判定する処理である。
図25の制御では、まず、Q41において、Q10、Q29あるいはQ35で算出された今回の総摩耗量MFを、いままでに積算されている摩耗量積算値の前回値に加算することにより、今回の摩耗量積算値TMFが算出される。なお、摩耗量積算値は、点火プラグ25が新品のときに0に初期化されているものである。
Q42では、摩耗量積算値TMFに基づいて、中心電極250bと接地電極250aの軸心方向間隔となるギャップ長方向での摩耗量に変換される。すなわち、摩耗量積算値TMFは、体積値として取得されることから、この体積値となる摩耗量積算値TMFを、中心電極250aと接地電極250bのギャップ長方向の摩耗量の値に変換される。
摩耗量積算値TMFのギャップ長への変換は、例えば、あらかじめ作成記憶されたテーブルに基づいて行うことができる。摩耗量積算値TMFとギャップ長方向での摩耗量との関係は、あらかじめ実験的に取得しておき、取得された結果をテーブルとして記憶しておけばよい。変換されたギャップ長方向の摩耗量は、当初のギャップ長を長くする方向の値となる。換言すれば、変換されたギャップ長方向の摩耗量を、当初の(新品時の)ギャップ長に加算することにより、現在のギャップ長が取得されることになる。
Q43では、Q42で変換されたギャップ長方向の摩耗量GAが、所定値以上であるか否かが判別される。このQ43の判別でNOのときは、Q44において、点火プラグ25は正常であると判定される。
Q43の判別でYESのときは、Q45において、点火プラグ25が異常であると判定される。この後、Q46において、点火プラグ25を交換することを促す旨の放置が運転者に対して行われる。この報知は、ディスプレイに対して文字表示することにより行ったり、例えば点火プラグ25の交換時期であることを示す表示を点灯(あるいは点滅)する等の視覚的な報知や、音声で報知する(聴覚的な報知で、例えばイグニッションスイッチをONした直後の時点で音声報知)等のことができる。Q43〜Q46が、摩耗量積算値に関する値に基づいて点火プラグ25の異常の有無を判定する異常判定手段に相当する。
ここで、Q43での判別で用いるGAとしては、初期時(新品時)のギャップ長に対して、ギャップ長方向の摩耗量積算値を加算した現在のギャップ長としてもよい。
また、Q42でのギャップ長への変換に際しては、個々の電極250b、250aについての摩耗量積算値に基づいて行うこともできる。この場合、個々の電極250b、250a毎にそのギャップ長方向での摩耗量に変換して、変換されたギャップ長方向での各摩耗量同士を加算することにより、ギャップ長方向の摩耗量GAとすることもできる。また、Q42での判別は、摩耗量積算値に関連する値であれば適宜のものを用いることができるが、摩耗量積算値そのものを用いることもできる。
図26は、点火プラグ25の異常の有無判定を行うための別の制御例を示すものである。本実施形態では、ギャップ長方向の摩耗量が所定値以上となったときに、ただちに異常と判定することなく、着火性の悪い状態で点火を実行させて、そのとき燃焼状態が悪いとき(例えば筒内圧力が所定値未満のとき)にはじめて異常であると判定するようにしてある。
図25のフローチャートは、図15のQ42以下の制御を示すものとなっている。すなわち、Q42に引き続くQ51において、図25のQ42で変換されたギャップ長方向の摩耗量GAが、所定値以上であるか否かが判別される。このQ51の判別でNOのときは、Q56において、点火プラグ25は正常であると判定される。
Q51の判別でYESのときは、Q52において、筒内圧センサSW6から入力される信号に基づいて筒内圧を検出し、その筒内圧検出値から判定用電圧値を算出する。すなわち、ECU10は、通常の制御に従い、検出した筒内圧から混合気を安定して点火するのに必要な印加電圧を求め、それに応じた要求電圧を取得する。通常の制御であれば、ECU10は、その要求電圧に対応した電圧が電極対250に印加されるようドエル時間を調整し、適切なタイミングで一次コイル251a1に通電する。
それに対し、この異常判定制御では、現状よりも着火し難い状態を強制的に再現するために、ECU10は、取得した要求電圧に基づいて、その要求電圧よりも小さい所定の判定用電圧を算出する。判定用電圧の値は、一定値であってもよいし、要求電圧等に応じて変化させてもよい。
Q52の後、Q53において、算出した判定用電圧に基づいて、判定用のドエル時間を算出する。判定用のドエル時間は、要求電圧に対応したドエル時間よりも短い。従って、一次コイル251a1に対する通電時間が相対的に短くなるので、それに伴って印加電圧も低下し、判定用電圧を電極対250に印加することができる。
Q54においては、所定のタイミングで点火するように、着火装置251に信号を出力して点火プラグ25を作動させる。それにより、電極対250に判定用電圧が印加され、燃焼室17の内部に形成された混合気が点火される。
Q55では、筒内圧センサSW6から入力される信号に基づいて、そのときの点火による混合気の着火性を判定する。具体的には、筒内圧センサSW6の検出値が、所定値(着火性基準値)未満であるか否かが判別される。なお、筒内圧センサに代えて、クランク角センサでもって着火性低下の判定を行うこともできる。
Q55の判別でNOのときは、Q56において、点火プラグ25は正常であると判定される。現在の実ギャップ長は交換を要するほど大きくなっていないと判定される。
Q55の判別でYESのときは、Q57において、現在の実ギャップ長が上限値に近接しており、間もなく着火性が急激に低下する、つまり点火プラグ25は異常であると判定される。この後、Q58において、点火プラグ25を交換することを促す報知が運転者に対して行われる。Q51〜Q58が、摩耗量積算値に関する値に基づいて点火プラグ25の異常の有無を判定する異常判定手段に相当する。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。例えば、次のようにすることもできる。早期点火は、吸気行程中の適宜の時期に行うことができ、また圧縮行程初期時(圧縮行程のクランク角を例えば3等分あるいは4等分した場合に、もっとも圧縮行程下死点に近いクランク角範囲)に行うこともできる。主点火の後に行われる追加点火の実行(開始)タイミングとしては、主点火による誘導放電の途中段階(主点火による誘導放電が終了される前)に行う場合と、主点火の終了後の場合(主点火による誘導放電が終了した後)とのいずれの場合をも含むものである。断続点火(追加点火)を行わないエンジンであってもよい。
点火プラグ25の異常有無の判定は、点火毎(主点火が1回行われる毎)に行うのではなく、主点火の点火回数が所定回数(例えば10万回)となる毎に行うようにしてもよい(制御系の負担軽減)。SPCCI燃焼を行うことなく、SI燃焼のみを行うエンジンであってもよい(特に、圧縮比の高いエンジンに好適)。推定された摩耗量は、異常判定の制御に用いる場合に限らず、点火プラグ25の印加電圧を決定するための制御に用いる等、適宜の用途に利用できる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
本発明は、早期点火を行うエンジンに適用して好適である。
1:エンジン本体
6:インジェクタ
10:ECU
17:燃焼室
25:点火プラグ
250:電極対
250a:接地電極
250b;中心電極
251:着火装置
Sa:主点火(追加点火なし−図9のパターン(c))
Sa:断続点火(主点火に追加点火あり−図9のパターン(b))
Sb:早期点火(図9のパターン(a))

Claims (13)

  1. 往復動型エンジンにおける燃焼室の天井壁に配置されて、該燃焼室内の混合気を着火させる主点火よりも進角側において混合気を活性化させるための早期点火を行うようにした点火プラグの摩耗量推定装置であって、
    点火プラグの早期点火1回あたりの摩耗量と主点火1回あたりの摩耗量とを推定する摩耗量推定手段と、
    前記摩耗量推定手段で推定された点火プラグの早期点火1回あたりの摩耗量と主点火1回あたりの摩耗量とを積算して摩耗量積算値を取得する摩耗量積算手段と、
    を備え、
    前記摩耗量推定手段は、早期点火1回あたりの摩耗量が主点火1回あたりの摩耗量よりも大きくなるように推定する、
    ことを特徴とする点火プラグの摩耗量推定装置。
  2. 請求項1において、
    前記摩耗量推定手段は、点火プラグの容量放電に基づく第1摩耗量推定手段と、点火プラグの誘導放電に基づく第2摩耗量推定手段と、を有し、
    前記摩耗量推定手段は、前記早期点火1回あたりの摩耗量について、前記第1摩耗量推定手段により推定される摩耗量と前記第2摩耗量推定手段によって推定される摩耗量との加算値に対して、あらかじめ設定された一定値を加算した値として推定する、
    ことを特徴とする点火プラグの摩耗量推定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の点火プラグの摩耗量推定装置を備えた点火プラグの異常判定装置であって、
    前記摩耗量積算手段で取得された摩耗量積算値に関する値に基づいて、点火プラグの異常の有無を判定する異常判定手段をさらに備えている、
    ことを特徴とする点火プラグの異常判定装置。
  4. 請求項3において、
    前記異常判定手段は、前記摩耗量積算値があらかじめ設定された所定値以上のときに、点火プラグが異常であると判定する、ことを特徴とする点火プラグの異常判定装置。
  5. 請求項3において、
    前記異常判定手段は、前記摩耗量積算値に基づいて電極対のギャップ長に関する値を決定するギャップ長決定手段を有し、
    前記異常判定手段は、前記ギャップ長決定手段によって決定されたギャップ長に関する値があらかじめ設定された所定値以上のときに、点火プラグが異常であると判定する、
    ことを特徴とする点火プラグの異常判定装置。
  6. 請求項3において、
    前記異常判定手段は、前記摩耗量積算値に関する値が所定値以上のときに、点火プラグを通常時によりも着火性が悪くなる状態で判定用点火を実行させて、そのときの燃焼性があらかじめ設定された基準値よりも悪化しているときに、点火プラグが異常であると判定する、ことを特徴とする点火プラグの異常判定装置。
  7. 請求項3ないし請求項6のいずれか1項において、
    前記主点火が、圧縮行程後期に行われ、
    前記早期点火が、吸気行程で行われる、
    ことを特徴とする点火プラグの異常判定装置。
  8. 請求項3ないし請求項7のいずれか1項において、
    エンジンが、少なくとも一部の運転領域において、点火プラグによる着火によってSI燃焼(拡散燃焼)が行われた後、燃焼室内に残っている未燃成分をCI燃焼(自己着火による燃焼)させるSPCCI燃焼を行うエンジンとされている、ことを特徴とする点火プラグの異常判定装置。
  9. 請求項8において、
    早期点火が、前記SPCCI燃焼が行われると共に、低回転・低負荷でかつ理論空燃比よりもリーンな空燃比での運転状態のときに実行される、ことを特徴とする点火プラグの異常判定装置。
  10. 請求項3ないし請求項9のいずれか1項において、
    早期点火の点火エネルギが、エンジンの運転状態にかかわらず一定とされている、ことを特徴とする点火プラグの異常判定装置。
  11. 請求項8において、
    早期点火が、前記SPCCI燃焼が行われる領域のうち、低回転・低負荷でかつ理論空燃比よりもリーンな空燃比での運転状態のときにのみ実行され、
    早期点火の点火エネルギが、エンジンの運転状態にかかわらず一定とされている、
    ことを特徴とする点火プラグの異常判定装置。
  12. 請求項3ないし請求項11のいずれか1項において、
    前記異常判定手段は、点火プラグが異常であると判定したときに、点火プラグの交換を促す旨の報知を乗員に対して行う、ことを特徴とする点火プラグの異常判定装置。
  13. 請求項3ないし請求項12のいずれか1項において、
    エンジンが、幾何学的圧縮比が16以上の高圧縮比エンジンとされている、ことを特徴とする点火プラグの異常判定装置。
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