JP6953047B1 - アンジオテンシン転換酵素2(ace2)及び/又はtmprss2発現を阻害するための組成物 - Google Patents

アンジオテンシン転換酵素2(ace2)及び/又はtmprss2発現を阻害するための組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】アンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2の発現を阻害するための組成物を提供すること。【解決手段】アンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2の発現を阻害するための組成物であって、前記組成物は、FoxO1阻害剤を含む、組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、アンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2(Transmembraneprotease, serine 2)の発現を抑制するための組成物に関する。
2019年の終わりから人への感染が始まったとされる新型コロナウィルス(SARS−CoV2)による感染症(COVID−19)は世界中で猛威を振るい、その治療薬並びにウイルスに対するワクチンの研究開発が各国で盛んに行われている。COVID−19は発症するとサイトカインストームと呼ばれる過剰な炎症反応が引き起こされ、当初は異常な肺炎症状を引き起こすことにより死に至らしめると考えられていた。その後、肺のみならず、血管、脳神経系、肝臓、腎臓など全身に症状が見られることが明らかになりつつある。これまでの研究成果から、SARS−CoV2は全ての細胞に感染するというより、アンジオテンシン転換酵素2(ACE2)を細胞表面に発現している細胞に特異的に感染することが示唆されている。さらに最近ではTMPRSS2(Transmembrane Protease, Serine2)というタンパク質分解酵素によって、SARS−CoV2の表面にあるスパイクタンパク質(Spike protein)が切断されることでさらに感染力が高まる、などの報告も相次いでいる。非特許文献1では、これまでのSARS−CoV2に関する知見に関してまとめられている。
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00502-w
SARS−CoV2の感染拡大に伴い、SARS−CoV2に対する治療法及び予防法の開発が全世界で期待されている。SARS−CoV2はACE2を介して感染することは広く知られており、このACE2に対する中和抗体の作成などが急ピッチで進められているものの、いまだ実用化に至ってはいない。そこで、本開示は、COVID−19の治療・予防にも関係する、ACE2及び/又はTMPRSS2の遺伝子発現量(mRNA量)を抑制するための組成物を提供することを目的とする。
発明者が鋭意検討したところ、FoxO1のシグナル経路を調節することで、ACE2並びにTMPRSS2のmRNA量を減少させることを明らかにした。具体的には、間葉系幹細胞の培養上清、FoxO1に直接作用する阻害剤、FoxO1の上流に存在するPDK1に直接作用する阻害剤、インスリン系化合物(受容体のリガンドであり、下流にシグナル経路でFoxO1に影響を及ぼす)、成長因子(受容体のリガンドであり、下流にシグナル経路でFoxO1に影響を及ぼす)などで処理することで、ACE2、及び/又はTMPRSS2の発現量に有意な変化が起こることを見出した。
さらに、上述のACE2及び/又はTMPRSS2の発現量の減少が、新型コロナウィルスのスパイクタンパク質の細胞内の取り込みの減少につながることを見出した。
本開示の発明は、上記知見に基づいて完成され、一側面において、以下の発明を包含する。
(発明1)
アンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2の発現を阻害するための組成物であって、
前記組成物は、FoxO1阻害剤を含む、組成物。
(発明2)
前記FoxO1阻害剤は、インスリン系化合物である、発明1の組成物。
(発明3)
前記インスリン系化合物が、野生型インスリンである、発明2の組成物。
(発明4)
前記インスリン系化合物が、改変型インスリンである、発明2の組成物。
(発明5)
前記改変型インスリンが、超速効型インスリン、速効型インスリン、中間型インスリン、持効型溶解性インスリン、混合型インスリン、及び配合溶解性インスリンから選択される1種以上である、発明4の組成物。
(発明6)
前記改変型インスリンが、ヒト野生型インスリンと90%以上同一のアミノ酸配列を有する、発明4の組成物。
(発明7)
前記改変型インスリンが、ヒト野生型インスリンと95%以上同一のアミノ酸配列を有する、発明6の組成物。
(発明8)
前記改変型インスリンのA鎖が、ヒト野生型インスリンのA鎖と100%同一のアミノ酸配列を有する、発明6又は7の組成物。
(発明9)
前記FoxO1阻害剤は、成長因子及び/又はこれをコードする核酸である、発明1の組成物。
(発明10)
前記成長因子が、以下から選択されるいずれかと、90%以上同一のアミノ酸配列を有する、発明9の組成物:
IGF1、IGF2、EGF、FGF2、FGF14、VEGF、HGF。
(発明11)
前記成長因子が、以下から選択されるいずれかと、95%以上同一のアミノ酸配列を有する、発明10の組成物:
IGF1、IGF2、EGF、FGF2、FGF14、VEGF、HGF。
(発明12)
前記成長因子が、以下から選択されるいずれかと、100%以上同一のアミノ酸配列を有する、発明11の組成物:
IGF1、IGF2、EGF、FGF2、FGF14、VEGF、HGF。
(発明13)
前記FoxO1阻害剤は、FoxO1作用型阻害剤である、発明1の組成物。
(発明14)
前記FoxO1阻害剤は、PI3K/PDK1/Akt作用型阻害剤である、発明1の組成物。
(発明15)
前記FoxO1阻害剤は、FoxO1の遺伝子発現抑制剤である、発明1の組成物。
(発明16)
コロナウィルス感染症を治療するための組成物である、発明1〜15いずれか1つに記載の組成物。
(発明17)
コロナウィルス感染症を予防するための組成物である、発明1〜15いずれか1つに記載の組成物。
(発明18)
コロナウィルス感染症を予防又は治療するための組成物であって、FoxO1阻害剤を含む、組成物。
本開示の組成物は、FoxO1阻害剤を含む。これによって、ACE2及び/又はTMPRSS2遺伝子の発現量を減少させることができる。
野生型インスリンの添加によるHepG2細胞におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子の発現量を相対化したグラフである。 改変型インスリンの添加によるHepG2細胞におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子の発現量を相対化したグラフである。 SARS−CoV2表面タンパク質であるスパイクタンパク質中の、S1ドメイン(S1−mFc)、あるいはACE2結合領域(RBD)の組換えタンパク質(RBD−mFc)の細胞内への取り込みアッセイの模式図である。S1及びRBDにはマウスIgG由来のFc配列(mFc)が融合しており、マウスIgGを認識する蛍光標識抗体を用いた免疫染色法により、細胞内に取り込まれたS1又はRBDの量を定量化することが可能である。 取り込まれたS1およびRBDタンパク質を、フローサイトメトリーを用いて定量し、平均蛍光強度を相対化したグラフである。 インスリンによるACE2及び/又はTMPRSS2の発現抑制と、スパイクタンパク質との結合・取り込み抑制の関係を表した模式図である。 各種成長因子の添加によるHepG2細胞におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子の発現量を相対化したグラフである。 フォークヘッド型転写因子FoxO1阻害剤AS1842856(濃度はグラフ下に示す)の添加によるHepG2細胞におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子の発現量を相対化したグラフである。更には、FoxO1によるACE2及びTMPRSS2遺伝子の発現誘導メカニズムの模式図である。 SARS−CoV2表面タンパク質であるスパイクタンパク質中の、ACE2結合領域(RBD)の組換えタンパク質(RBD−mFc)の細胞内への取り込みアッセイの模式図である。RBDにはマウスIgG由来のFc配列(mFc)が融合しており、マウスIgGを認識する蛍光標識抗体を用いた免疫染色法により、細胞内に取り込まれたRBDの量を定量化することが可能である。 SARS−CoV2表面タンパク質であるスパイクタンパク質中の、ACE2結合領域(RBD)の組換えタンパク質(RBD−mFc)のHepG2細胞内への取り込みアッセイにおける、実際に取り込まれたRBDタンパク質の典型的な顕微鏡画像である。 取り込まれたRBDタンパク質を、フローサイトメトリーを用いて定量し、平均蛍光強度を相対化したグラフである。 ヒト臍帯及び/又はヒト脂肪由来間葉系幹細胞の非接触型共培養の模式図、及び共培養によるHepG2細胞におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子の発現量を相対化したグラフである。 間葉系幹細胞上清によるHepG2細胞におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子の発現量の抑制効果が、PDK1阻害剤によりキャンセルされたことを示すグラフである。 HGFの添加によるHepG2細胞におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子の発現量を相対化したグラフである。 siRNAの添加によるHepG2細胞におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子の発現量を相対化したグラフである。
以下、本開示の発明を実施するための具体的な実施形態について説明する。以下の説明は、発明の理解を促進するためのものである。即ち、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
1.定義
本明細書で記載される用語「アンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2の発現を阻害するため」は、ACE2及び/又はTMPRSS2に関する特定の疾患を改善するという目的を包含する。更には、当該用語は、治療目的に限定されない。例えば、当該用語は、特定の疾患を有さないとしても、その疾患を発症することを予防する目的を包含する。
本明細書で記載される用語「FoxO1阻害剤」は、広義の意味と狭義の意味を有するが、特記しない限り前者の意味で解釈する。
狭義の意味の場合には、上記用語は、FoxO1に直接結合して作用する阻害剤を意味する(本明細書においては、狭義の意味の場合には、「FoxO1作用型阻害剤」とも称する)。一方で、広義の意味の場合には、上記用語は、直接又は間接的にFoxO1に作用して、FoxO1の転写因子としての活性を阻害する阻害剤を意味する。間接的に作用する場合には、上記用語は、FoxO1の上流のシグナル経路に作用する阻害剤を包含する。一例としては、FoxO1の上流にあるAktやPDK1に直接作用してこれらを活性化させる薬剤が挙げられる。別の例としては、FoxO1の活性に影響を及ぼす(より具体的には、FoxO1の活性を抑制するシグナル経路のトリガーとなる)受容体のリガンドが挙げられる。受容体としては、インスリン受容体、成長因子受容体などが挙げられる。換言すれば、上記用語は、インスリン受容体のリガンド、成長因子受容体のリガンドを包含する。また、広義の意味の場合には、上記用語は、更に、「FoxO1」自体の発現を阻害する物質も含む。典型的な例としては、核酸を含み、例えば、アンチセンス核酸、shRNA、siRNA、miRNA等が挙げられる。
ただし、本明細書で記載される用語「FoxO1阻害剤」は、広義の意味及び狭義の意味のいずれにおいても、以下の式Iで表される化合物及びその塩は包含しない。
Figure 0006953047
式I
{ただし、
1は、NH又はCH2であり、
2は、N−R8又はCH−R8 (R8:C1〜C3までのアルキル基)であり、
3は、F、Cl、Br、又はIであり、
4は、それぞれ独立して、H又はCH3であり、
5は、S又はOであり、
6は、カルボキシル基であり、
7は、NH2、又はCH3であり、
nは、1−11である。
好ましい実施形態においては、本明細書で記載される用語「FoxO1阻害剤」は、細胞由来のエクソソームを含まない。より好ましくは、本明細書で記載される用語「FoxO1阻害剤」は、間葉系幹細胞の培養上清を含まない。
2.用いたアンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2の発現量を抑制するための組成物
一実施形態において、本開示は、アンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2の発現を阻害するための組成物であって、前記組成物は、FoxO1阻害剤を含む、組成物に関する。
更なる一実施形態において、FoxO1阻害剤として、以下のいずれか1種以上が上記組成物内に有効成分として含まれてもよい。
・インスリン系化合物
・成長因子又はこれをコードする核酸
・FoxO1作用型阻害剤、及び/又は、PI3K/PDK1/Akt作用型阻害剤
・FoxO1の遺伝子発現抑制剤
以下では、各々の阻害剤について詳述する。
2−1.インスリン系化合物を用いたアンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2の発現量を抑制するための組成物
一実施形態においては、こうした組成物は、インスリン系化合物(例えば、ヒトインスリン)を含む。これにより、ACE2及び/又はTMPRSS2の遺伝子の転写が阻害され、mRNA量が減少する。
また、本明細書で記載される「インスリン系化合物」は、細胞内部でインスリンシグナル伝達経路を活性化する剤を意味する。従って、本明細書で記載される「インスリン系化合物」は、ヒト生体内で発現している、いわゆる「野生型インスリン」だけではなく、遺伝子改変技術を用いて製造された「改変型インスリン」を含むことができ、更には、生体内で膵臓のβ細胞に作用してインスリンの発現を促進する剤を含むことができる。好ましい「インスリン系化合物」は、野生型インスリンあるいは改変型インスリンである。改変型インスリンの例として、超速効型インスリン、速効型インスリン、中間型インスリン、持効型溶解性インスリン、混合型インスリン、配合溶解性インスリンが挙げられる。
また、改変型インスリンは、ヒト野生型インスリンとある程度同一のアミノ酸配列を有してもよい。例えば、90%以上であり、好ましくは、95%以上である(例えば、blastpなどを利用して判定された同一性)。なお、野生型インスリンは、A鎖とB鎖のヘテロダイマーである。従って、ここで述べる同一性は、A鎖とB鎖を連結して1つのアミノ酸配列として比較したときの同一性を意味する。更に好ましくは、改変型インスリンのA鎖が、ヒト野生型インスリンのA鎖と100%同一のアミノ酸配列を有する。
インスリンは、アンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2の遺伝子の転写を阻害する因子として作用する。従って、インスリンを添加することで、これらの遺伝子の発現を抑制することができる。これによって、ウイルスがスパイクタンパク質を利用して細胞内に取り込まれることを低減することができる。
2−2.成長因子を用いたアンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2の発現量を抑制するための組成物
一実施形態においては、組成物は、成長因子を含む。これにより、ACE2及び/又はTMPRSS2の遺伝子の転写が阻害され、mRNA量が減少する。
本明細書で記載される用語「成長因子」は、以下の条件をすべて満たす物を意味する。
・ペプチド又はタンパク質を少なくとも部分的に含むこと
・細胞内のFoxO1の転写因子の活性を抑制すること
上述した「ペプチド又はタンパク質を少なくとも部分的に含むこと」について、ペプチド又はタンパク質は天然に存在する物であってもよく、人工的に作られた物であってもよい。例えば、天然に存在するタンパク質又はペプチドに化学修飾された物も包含される。ペプチド又はタンパク質は、モノマー形態だけではなく、2量体以上の形態であってもよい。ペプチド又はタンパク質は、直鎖上ではなく、例えば、環状であってもよい。また、2量体以上の形態である場合には適宜人工的なリンカーを設けてもよい。例えば、Kenichiro Itoら(Nat Commun. 2015 Mar 11;6:6373.doi: 10.1038/ncomms7373.)の論文によれば、環状のアミノ酸配列2つをリンカーで結合したユニークな構造を有する物質が、HGF受容体のアゴニストとして機能することを報告している。
本件の出願日以降も、従来存在しなかった様々なタイプの新たな成長因子受容体のアゴニストが開発される可能性があるが、上述した条件を充足する限りは、こうした成長因子受容体のアゴニストも、本明細書で記載される用語「成長因子」に含まれることを意図する。
なお、FoxO1の転写因子の活性を抑制するかどうかについては、当分野で公知の解析手法よって判別することができる。例えば、ルシフェラーゼアッセイを実施して、蛍光強度などで有意な差が生じるかどうかに基づいて判別することができる。
また、成長因子の種(species)については特に限定されないが、好ましくはヒト型である。
限定されるものではないが、成長因子の一例として以下のいずれか1種以上が挙げられる:IGF1、IGF2、EGF、FGF2、FGF14、VEGF、HGF。
さらには、別の成長因子は、上記列挙した成長因子のいずれかとある程度同一のアミノ酸配列を有してもよい。例えば、90%以上であり、好ましくは、95%以上であり、最も好ましくは100%である(例えば、blastpなどを利用して判定された同一性)。
さらには、上記のHGFは、環状ペプチドを用いた代替ペプチドが開発されており(https://www.nature.com/articles/ncomms7373)、HGFの機能と同様の機能を有していることが報告されている。このような、成長因子の機能を代替するようにして開発された中〜高分子化合物も、今回の目的に使用することは十分に可能である。
また、上記成長因子に加えて、或いは、これに代えて、上述した成長因子(上述した同一性のアミノ酸配列を有する物も含む)をコードする核酸が、組成物に配合されてもよい。核酸は、DNAであってもよく、そして、RNA(例えば、mRNA)であってもよい。好ましくは、本開示の組成物は、上述したDNAを任意の形態で含むことができる。例えば、上述したDNAのコーティング領域は、プラスミド、ベクター等に組み込んでもよい。これらの核酸は最終的に成長因子を産生し、上述した作用により、ACE2及び/又はTMPRSS2の遺伝子の転写が阻害され、mRNA量が減少する。
2−3.FoxO1作用型阻害剤、及び/又は、PI3K/PDK1/Akt作用型阻害剤を用いたアンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2の発現量を抑制するための組成物
一実施形態においては、組成物は、FoxO1作用型阻害剤、及び/又は、PI3K/PDK1/Akt作用型阻害剤を含む。これにより、ACE2及び/又はTMPRSS2の遺伝子の転写が阻害され、mRNA量が減少する。
本明細書で記載される用語「FoxO1作用型阻害剤」の意味については、上述した狭義の「FoxO1阻害剤」で説明したとおりである。また、本明細書で記載される用語「PI3K/PDK1/Akt作用型阻害剤」は、以下の3つの条件をすべて満たす物を意味する。
・細胞膜を透過して、細胞内のPIP3を増加させるか、及び/又は、PI3K、PDK1、Aktのうち少なくともいずれか1つに直接作用すること
・作用した結果、PI3K、PDK1及びAktのうち少なくともいずれか1つの活性を変化させること
・活性を変化させた結果、細胞内のFoxO1の転写因子の活性を抑制すること
従って、語弊を避けるために補足すると、用語「PI3K/PDK1/Akt作用型阻害剤」は、「阻害剤」と称するものの、PI3K/PDK1/Aktに対して活性化作用を示す物を意味する。そして、結果的にFoxO1の活性を抑制するという意味で、「阻害剤」と称している。
なお、FoxO1の転写因子の活性を抑制するかどうかについては、上記「2−2」の記載と同様に判別可能である。
PIP3は、受容体とリガンドの結合をトリガーとするシグナルにより生成されるセカンドメッセンジャーである。PI3KによってPIP3が生成される。生成されたPIP3は、PDK1を活性化させる。また、活性化されたPDK1は、Aktを活性化させる。活性化されたAktは、FoxO1の活性を阻害する。従って、細胞内のPIP3を増加させるか、及び/又は、PI3K、PDK1、Aktのうち少なくともいずれか1つに直接作用して活性化させることで、FoxO1の転写因子としての活性を阻害することができる。これにより、ACE2及び/又はTMPRSS2の遺伝子の転写が阻害され、mRNA量が減少する。
また、FoxO1に直接抑制的に作用する場合であれば、当該作用によって、ACE2及び/又はTMPRSS2の遺伝子の転写が阻害され、mRNA量が減少する。
こうした観点から、FoxO1作用型阻害剤、及び/又は、PI3K/PDK1/Akt作用型阻害剤は、各々に対して以下の様に作用することが好ましい。
・FoxO1に対して活性を阻害する作用
・PIP3を増加させる作用、
・PI3K、PDK1、Aktのうち少なくともいずれか1つに対して活性を促進する作用
FoxO1に対して活性を阻害する作用を有する薬剤としては、KIS−154、AS1842856又はAS1708727が挙げられる。ただし、AS1842856は、上記式Iに包含されるため、本開示のFoxO1阻害剤からは除外される。
また、FoxO1に対して活性を阻害する作用を有する薬剤としては、KIS−154、カルコン類、トリテルペン類、フラボン類、モノテルペノイド類、リグナン類、クマリン類、及びフィトケミカル類からなるFOXO1活性阻害剤(再表2018/079715)などが挙げられる。
具体例としては、再表2018/079715の0016等に記載の通りである。例えば、以下の化合物が挙げられる。
trans-カルコン(trans-Chalcone)、2',6'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシカルコン(2',6'-Dihydroxy-4,4'-dimethoxychalcone)、アカセチン(Acacetin)、アクテオシド(Acteoside)、アンドログラホリド(Andrographolide)、アピゲニン(Apigenin)、バイカリン(Baicalin)、クリシン(Chrysin)、シアニジンクロリド(Cyanidin chloride)、シアニン(Cyanin)、ダイゼイン(Daidzein)、デルフィン(Delphin)、デルフィニジンクロリド(Delphinidin Chloride)、δ-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-γ-バレロラクトン(δ-(3,4-Dihydroxyphenyl)-γ-valerolactone)、ジオスメチン(Diosmetin)、ジオスミン(Diosmin)、エラグ酸(Ellagic acid)、エリオジクチオール(Eriodictyol)、フィセチン(Fisetin)、サンギソルビン酸(Sanguisorbic acid)、ヘスペレチン(Hesperetin)、イソリクイリチゲニン(Isoliquiritigenin)、ケンペロール(Kaempferol)、リポ酸(Lipoic acid)、マハニン(Mahanine)、ミリセチン(Myricetin)、プロトカテク酸(Protocatechuic acid)、プロシアニジンB2(Procyanidin B2)、クェルセチン二水和物(Quercetin dihydrate)、セサミン(Sesamin)、エピセサミン(Episesamin)、テリマグランジン1(Tellimagrandin 1)、テリマグランジン2(Tellimagrandin 2)、テオブロミン(Theobromine)、テオフィリン(Theophylline)、オウゴニン(Wogonin)、β−ナフトフラボン(β-Naphthoflavone)、シリビニン(Silibinin)、ロットレリン(Rottlerin)、6-ヒドロキシフラボン(6-Hydroxyflavone)、7-ヒドロキシフラボン(7-Hydroxyflavone)、イソラムネチン(Isorhamnetin)、モリン(Morin)、クリソエリオール(Chrysoeriol)、ホルモノネチン(Formononetin)、ペオニジンクロリド(Peonidin Chloride)、クプレスフラボン(Cupressuflavone)、7,4’-ジヒドロキシフラボン(7,4'-Dihydroxyflavone)、7,8-ジヒドロキシフラボン(7,8-Dihydroxyflavone)、6,7-ジヒドロキシフラボン(6,7-Dihydroxyflavone)、3',4'-ジメトキシフラボン(3',4'-Dimethoxyflavone)、3-ヒドロキシフラボン(3-Hydroxyflavone)、イプリフラボン(Ipriflavone)、2'-メトキシフラボン(2'-Methoxyflavone)、5-メトキシフラボン(5-Methoxyflavone)、3',4',5',5,7-ペンタメトキシフラボン(3',4',5',5,7-Pentamethoxyflavone)、3',4',7,8-テトラヒドロキシフラボン(3',4',7,8-Tetrahydroxyflavone)、4',6,7-トリヒドロキシイソフラボン(4',6,7-Trihydroxyisoflavone)、7-ヒドロキシフラボノール(7-Hydroxyflavonol)、7-メトキシフラボノール(7-Methoxyflavonol)、6-メトキシフラボノール(6-Methoxyflavonol)、5,7-ジヒドロキシ-3',4',5'-トリメトキシフラバノン(5,7-Dihydroxy-3',4',5'-trimethoxyflavanone)、フラバノン(Flavanone)、フラバノンジアセチルヒドラゾン(Flavanone diacetyl hydrazone)、フラバノンヒドラゾン(Flavanone hydrazone)、2'-ヒドロキシフラバノン(2'-Hydroxyflavanone)、4'-ヒドロキシフラバノン(4'-Hydroxyflavanone)、3'-ヒドロキシフラバノン(3'-Hydroxyflavanone)、α-ナフトフラボン(α-Naphthoflavone)、5-メトキシフラバノン(5-Methoxyflavanone)、6-メトキシフラバノン(6-Methoxyflavanone)、2',6'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシジヒドロカルコン(2',6'-Dihydroxy-4,4'-dimethoxydihydrochalcone)、2',6'-ジヒドロキシ-4'-メトキシカルコン(2',6'-Dihydroxy-4'-methoxychalcone)、2,3-ジメトキシ-2'-ヒドロキシカルコン(2,3-Dimethoxy-2'-hydroxychalcone)、セサミノール(Sesaminol)、ナリルチン(Narirutin)、クェルセチン-3,5,7,3',4'-ペンタメチルエーテル(Quercetin-3,5,7,3',4'-pentamethylether)、クェルセチン-3,7,3',4'-テトラメチルエーテル(Quercetin-3,7,3',4'-tetramethylether)、フィセチニジンクロリド(Fisetinidin chloride)、ルテオリニジンクロリド(Luteolinidin chloride)、3',4',7,8-テトラメトキシフラボン(3',4',7,8-Tetramethoxyflavone)、O-アセチルコルンビアネチン(O-Acetylcolumbianetin)、3-アセチルクマリン(3-Acetylcoumarin)、8-アセチル-6,7-ジメトキシクマリン(8-Acetyl-6,7-dimethoxycoumarin)、8-アセチル-7-ヒドロキシクマリン(8-Acetyl-7-hydroxycoumarin)、8-アセチル-6-ヒドロキシ-7-メトキシクマリン(8-Acetyl-6-hydroxy-7-methoxycoumarin)、8-アセチル-7-メトキシクマリン(8-Acetyl-7-methoxycoumarin)、3-アミノクマリン(3-Aminocoumarin)、ベルガモチン(Bergamotin)、ベルガプテン(Bergapten)、ベルガプトール(Bergaptol)、シトロプテン(Citropten)、2-クマル酸(2-Coumaric acid)、3-クマル酸(3-Coumaric acid)、クマリン(Coumarin)、クマル酸(Coumaric acid)、クメストロール(Coumestrol)、ダフネチン(Daphnetin)、ダフネチン-7-メチルエーテル(Daphnetin-7-methylether)、3,4-ジヒドロクマリン(3,4-Dihydrocoumarin)、5,7-ジヒドロキシ-4-メチルクマリン(5,7-Dihydroxy-4-methylcoumarin)、エスクレチンジベンジルエーテル(Esculetin dibenzylether)、4-エトキシクマリン(4-Ethoxycoumarin)、7-エトキシクマリン(7-Ethoxycoumarin)、フラキセチン(Fraxetin)、フラキシジン(Fraxidin)、ヘルニアリン(Herniarin)、3-ヒドロキシクマリン(3-Hydroxycoumarin)、4-ヒドロキシクマリン(4-Hydroxycoumarin)、インペラトリン(Imperatorin)、イソベルガプテン(Isobergapten)、イソピムピネリン(Isopimpinellin)、イソスコポレチン(Isoscopoletin)、6-メチルクマリン(6-Methylcoumarin)、ウンベリフェロン(Umbelliferone)、3-アセチル-α-ボスウェル酸(3-Acetyl-α-boswellic acid)、3-アセチル-β-ボスウェル酸(3-Acetyl-β-boswellic acid)、α-アミリン(α-Amyrin)、β-アミリン(β-Amyrin)、アルテミシニン(Artemisinin)、ベツリン(Betulin)、ベツリン酸(Betulinic acid)、ベツリン酸メチルエステル(Betulinic acid methyl ester)、ビロバリド(Bilobalide)、カフェストール(Cafestol)、(-)-カルベオール((-)-Carveol)、(+)-カルボン((+)-Carvone)、(-)-カルボン((-)-Carvone)、カウロフィロゲニン(Caulophyllogenin)、デオキシアクテイン(Deoxyactein)、エリトロジオール(Erythrodiol)、ガノデリン酸A(Ganoderic acid A)、ヘデラゲニン(Hederagenin)、d-イソメントール(d-Isomenthol)、(±)イソメントン((±)Isomenthone)、オレアノール酸(Oleanolic acid)、アリザリン(Alizarin)、アルカンニン(Alkannin)、アントラキノン(Anthraquinone)、1,4-ベンゾキノン(1,4-Benzoquinone)、2-tert-ブチル-p-キノン(2-Tert-butyl-p-quinone)、1,4-ジメチルアントラキノン(1,4-Dimethylanthraquinone)、エモジン(Emodin)、フィシオン(Physcion)、レイン(Rhein)、リオニレシノール(Lyoniresinol)、ウロリチン(Urolithin)、アマロゲンチン(Amarogentin)、6-メチルフラボン(6-Methylflavone)、4-ヒドロキシカルコン(4-Hydroxychalcone)、4'-ヒドロキシカルコン(4'-Hydroxychalcone)、クマリン酸(Coumalic acid)、レスベラトロール(Resveratrol)、コウジ酸(Kojic acid)、パルテノリド(Parthenolide)、イカリイン(Icariin)、ギンセノシドRb1(Ginsenoside Rb 1)、ギンゲロール(Gingerol)、10-ヒドロキシ-2-デセン酸(10-hydroxy-2-decenoic acid)、エピピノレジノールグルコシド(Epipinoresinol-Glc)、フィリリン(Phillyrin)、ピノレジノール(Pinoresinol)、エピピノレシオール(Epipinoresinol)、フィリゲニン(Phillygenin)、クルクミン1(Curcumin 1)、クルクミン2(Curcumin 2)、クルクミン3(Curcumin 3)、ジアセサミン(Diasesamin)、ホノキオール(Honokiol)、センニジンA(Sennidine A)、エスクレチン(Esculetin)、セサモール(Sesamol)、スコポレチン(Scopoletin)、ノルジヒドログアイアレチン酸(Nordihydroguaiaretic acid)、バニリン酸(Vanillic acid)、trans-けい皮酸(trans-Cinnamic acid)、アラントイン(Allantoin)、α-アサロン(α-Asarone)、(±)-シネフリン((±)-Synephrine)、イタコン酸(Itaconic acid)、アシアチン酸(Asiatic acid)、ボルジン(Boldine)、シキミ酸(Shikimic acid)、チロソール(Tyrosol)、コロソリン酸(Corosolic acid)、ピセイン(Picein)、ロスマリン酸(Rosmarinic acid)、イソステビオール(Isosteviol)、アルテピリンC(Artepillin C)、アピオール(Apiole)、アズレン(Azulene)、マルビイン(Marrubiin)、(-)-ペリル酸((-)-Perillic acid)、マデカシン酸(Madecassic acid)、マンギフェリン(Mangiferin)、リナロール(Linalool)、2-アニスアルデヒド(2-Anisaldehyde)、3-アニスアルデヒド(3-Anisaldehyde)、4-アニス酸(4-Anisic acid)、ウロカニン酸(Urocanic acid)、α-(-)-ビサボロール(α-(-)-Bisabolol)、(-)-transカリオフィレン((-)-trans-Caryophyllene)、カリオフィレンオキシド(Caryophyllene oxide)、ハマメリタンニン(Hamamelitannin)、ペリルアルデヒド(Perillaldehyde)、ババキニンA(Bavachinin A)、ベトニシン(Betonicine)、(+)-クパレン((+)-Cuparene)、ノートカトン(Nootkatone)、(-)-ペリリルアルコール((-)-Perillylalcohol)、ピペルロングミン(Piperlongumine)、カマズレン(Chamazulen)、(-)-アサリニン((-)-Asarinin)、(-)-セサミン((-)-Sesamin)、2',4,4',6'-テトラヒドロキシカルコン(2',4,4',6'-Tetrahydroxychalcone)、ヒノキチオール(Hinokitiol)、フコキサンチン(Fucoxanthine)、エンテロジオール(Enterodiol)、マタイレシノール(Matairesinol)、トリゴネリン一水和物(Trigonelline monohydrate)、フラキシン(Fraxin)、ルペオール(Lupeol)、トラケロゲニン(Trachelogenin)、グリチルレチン酸(Glycyrrhetic acid)、グリチルリチン酸(Glycyrrhizic acid)、6-ヒドロキシ-4'-メトキシフラボン(6-Hydroxy-4'-methoxyflavone)、ジヒドロミリセチン(Dihydromyricetin)、2'-ヒドロキシカルコン(2'-Hydroxychalcone)、ゼルンボン(zerumbone)、オレアセイン(oleacein)、クロセチン(Crocetin)、二硝酸イソソルビド(Isosorbide Dinitrate)、ホモプロトカテク酸(Homoprotocatechuic acid)、グルタチオン(Glutathione)、コリラギン(Corilagin)、セサモリン(sesamolin)、オレウロペイン(Oleuropein)、ククルビタシンB(Cucurbitacin B)、ククルビタシンD(Cucurbitacin D)、ルチン三水和物(Rutin trihydrate)、ビテキシン(Vitexin)、オリエンチン(Orientin)、イソビテキシン(Isovitexin)、ビオランチン(Violanthin)、ナリンギン(Naringin)、サポナリン(Saponarin)、リモニン(Limonin)、チャフロシドB(Chafuroside B)、チャフロシドA(Chafuroside A)、シネンセチン(Sinensetin)、3',4',5,5',6,7,8-ヘプタメトキシフラボン(3',4',5,5',6,7,8-Heptamethoxyflavone)
一方で、PI3K/PDK1/Aktに対して活性を促進する作用を有する薬剤としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
VO−Ohpic trihydrate
SF1670
bpV(HOpic)
これらの化合物は、PI3Kと逆の作用をするPTENを阻害することで、間接的にPI3K/PDK1/Aktに対して活性を促進する効果があることが知られている。
2−4.FoxO1遺伝子発現抑制剤を用いたアンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2の発現量を抑制するための組成物
一実施形態においては、組成物は、FoxO1遺伝子発現抑制剤を含む。これにより、FoxO1自体の発現量が減少する。そして、ACE2及び/又はTMPRSS2の遺伝子の転写が減少し、mRNA量が減少する。典型的には、FoxO1遺伝子発現抑制剤の例として、siRNA(small interference RNA)、あるいはmiRNA(microRNA)などを用いたFoxO1遺伝子発現の阻害が挙げられる。
3.用途
一実施形態において、本開示の組成物は、アンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及び/又はTMPRSS2が関与する疾患の治療及び/又は予防に利用することができる。具体的には、これらが関与する感染症の治療及び/又は予防に利用することができる。感染症の例としては、コロナウィルス感染症、例えば、SARS−CoV又はSARS−CoV2などのウイルスによる感染症が挙げられる。好ましくは、SARS−CoV2による感染症(COVID19)である。これらのウイルスは、ヒト細胞のACE2受容体に、自身のスパイクタンパク質を結合させ、これを足掛かりとして細胞内に侵入する。また、SARS−CoV2は、ヒト細胞の表面のACE2と結合した後、ヒト細胞のTMPRSS2の酵素処理によって、細胞内への侵入効率が増強される。従って、ACE2及び/又はTMPRSS2の発現を抑制することで、こうしたウイルスによる細胞の侵入を抑制することができる。これによって感染を抑制することができる。
こうしたアプローチのメリットは、ウイルス側の変異による影響を受けにくい点にある。一般にSARS−CV2をはじめとするRNA型ウイルスは、変異を起こしやすい。そして、ウイルス表面のタンパク質(例えば、スパイクタンパク質)は、ワクチンのターゲットとされるものの、このタンパク質に変異が起こることにより、ワクチンによる効果が回避されてしまう問題があった。しかし、このアプローチでは、変異による直接的な影響は受けにくいという点で、有利である。
また、特筆すべきは、本開示の組成物は、感染の治療のみならず、感染の予防にも寄与することができる。例えば、感染の治療には、抗炎症作用などに基づいたアプローチがあるが、こうしたアプローチは、感染が起こった後での対処法となるため、予防には寄与できない。しかし、本開示の組成物は、いったん感染が起こってウイルスが増殖した後でも、他の細胞への更なる感染を防ぐという意味では、治療薬としても寄与できる。しかし、それだけではなく、感染する前の状態であっても、予め投与することで、ウイルスが感染する際の足掛かりとなる遺伝子の発現を抑制することで、細胞への感染を防ぐという意味で予防薬としても寄与できる。
従って、一実施形態において、本開示の組成物は、投与形態に応じて、適切な追加成分を配合してもよい。例えば、本開示の組成物は、医薬品に一般的に含まれる成分を含んでもよい。当該成分の例として、保存料、防腐剤、香料、pH調整剤、酸化防止剤、防カビ剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤などが挙げられる。
4.実施例
4−1.実施例1(HepG2細胞の培養)
HepG2細胞はATCC(登録商標)(American Type Culture Collection、HB−8065)から購入した。当該細胞はDMEM(SIGMA,D8900)+10%FBS(SIGMA,F7524)の血清培地を用いて継代・維持した。
4−2.実施例2(インスリンの効果)
HepG2細胞を12 well plate(Corning(登録商標),3336)の各ウェルに50,000cells/cm2で播種し、一晩培養した。翌日(播種後16〜24時間)、野生型および改変型インスリンを10μg/mlで添加し、又はコントロールとしてPBS(−)を加え、3日(約72時間)培養した。培養後、ReliaPrep RNA Miniprep system(Promega(登録商標), Z6012)を用いてHepG2細胞からTotal RNAを抽出した。抽出後、500ngのRNAを用いてcDNA合成(PrimeScript RT Master Mix; Takara(登録商標), RR036A)を行い、更に、定量的PCR(Thunderbird(登録商標) Sybr qPCR Mix; TOYOBO(登録商標), QPS−201X5)を行った。
cDNA合成のためのミクスチャは以下の組成に従って調製した。
5xPrimeScript RT Master Mix 2μl(最終濃度 1x)
Total RNA 500 ng
RNase free H2O 合計10 μlに調整
上記ミクスチャを、Applied Biosystems(登録商標)社のVeriti 96 well Thermal Cyclerを用いて、以下の条件で処理した。
37℃ 15分

85℃ 5秒

4℃ ∞
合成したcDNA(10 μl)は90μlのTE(10mM Tris−HCl pH8.0 + 1mM EDTA pH8.0)を用いて10倍に希釈した。当該希釈物を、定量PCRに供した。
4−3.実施例3(HepG2細胞におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子発現の解析)
より具体的には、当該希釈物を、以下の条件で混合した。
2×THUNDERBIRD(登録商標) Probe qPCR Mix 10μl
5mM Forward Primer 0.4μl
5mM Reverse Primer 0.4μl
2O 8.2μl
cDNA(10倍希釈) 1 μl
上記混合物を、Bio−Rad(登録商標)社のCFX−Connectを用いて、cDNAを増幅させた。PCRサイクルの条件は以下の通りであった。
1.95℃ 1分 (初期変性)
2.95℃ 15秒 (変性)
3.60℃ 30秒 (伸長)
(2−3のステップを40回繰り返し、ステップ3が終わるたびに蛍光シグナルを検出)
4.65 ℃ 〜 95 ℃まで0.5 ℃刻みで温度を上昇させ、5秒ずつ温度を保持してから蛍光シグナルを検出
上記サイクルにて、PCR産物の検出を行い、併せて、Melting curveによるPCR産物の単一性の確認を行った。
内部標準(すべての細胞・条件において同じ発現をしているハウスキーピング遺伝子)として、GAPDH(lycerldehyde 3−hosphate ydrogenase)を用いた。
各遺伝子を検出するためのプライマー配列は以下の通りであった。
GAPDH Forward primer: 5’ - agccacatcgctcagacac - 3’
GAPDH Reverse primer: 5’ - gcctaatacgaccaaatcc - 3’
ACE2 Forward primer: 5’ - ttctgtcacccgattttcaa - 3’
ACE2 Reverse primer: 5’ - tcccaacaatcgtgagtgc - 3’
TMPRSS2 Forward primer: 5’ - cgctggcctactctggaa - 3’
TMPRSS2 Reverse primer: 5’ - ctgaggagtcgcactctatcc - 3’
全てのプライマーは株式会社ファスマック(登録商標)から購入した(逆相カラム精製グレード)。
各遺伝子の発現量は、定量PCRで得られた各遺伝子の発現量を、さらにGAPDHの発現量で割って標準化したものを示している。さらに、インスリンで処理をしていないコントロール条件(PBS(−)処理)での発現量を「1」になるように標準化している。以上のプライマーを用いて増幅したPCR産物は全て単一のものであること(つまり、同一のプライマーで、複数種類の配列が増幅されていないこと)をMelting curveによって確認した。
結果を図1に示す。コントロールのPBS(−)処理と比較すると、野生型インスリンを加えると、ACE2及びTMPRSS2のmRNAの発現が減少することが観察された(多重比較検定(Tukey−Kramer法))。この結果は、インスリンとその下流のシグナル伝達経路がACE2及びTMPRSS2のmRNAの発現を抑制することを示している。
インスリンは、遺伝子工学によってアミノ酸に変異が導入され、その効果が投与後いつ現れるか、そしてどの程度持続するか、によって、超速効型インスリン、速効型インスリン、中間型インスリン、などの改変型インスリンが製造され、糖尿病患者の病態によって使い分けがなされている。そこで、これらの改変型インスリンを用いて、野生型のインスリンによるACE2及びTMPRSS2のmRNAの発現の減少が観察されるか、検討した。
具体的には、以下の改変型インスリンを使用した。
商品名:リスプロ(インスリン リスプロ)(超速効型)
商品名:ノボラピッド(登録商標)(インスリン アスパルト)(超速効型)
商品名:アピドラ(登録商標)(インスリン グルリジン)(超速効型)
商品名:ヒューマリン(登録商標)R(レギュラーインスリン)(速効型)
商品名:ヒューマリン(登録商標)N(イソフェンインスリン)(中間型)
商品名:ノボリン(登録商標)N(イソフェンインスリン)(中間型)
商品名:ノボラピッド(登録商標)30ミックス(インスリンアスパルト(超速効型)とプロタミン結晶性インスリンアスパルト(中間型)を3:7で混合したもの)(混合型)
商品名:レベミル(登録商標)(インスリン デテミル)(持効型溶解性)
商品名:ライゾデグ(登録商標)(インスリンアスパルト(超速効型)とインスリンデグルデク(持効型)を3:7で混合したもの)(配合溶解性)
野生型インスリンは、A鎖とB鎖が結合した合計51個のアミノ酸配列から構成される。以下に、上述したインスリンのアミノ酸配列を示す。
A鎖(全て共通)
Gly Ile Val Glu Gln Cys Cys Thr Ser Ile Cys Ser Leu Tyr Gln Leu Glu Asn Tyr Cys Asn
B鎖(下線部は、相互に相違するアミノ酸部分を示す)
Phe Val Asn Gln His Leu Cys Gly Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe Phe Tyr Thr Pro Lys Thr(ヒト野生型、レギュラーインスリン)

Phe Val Asn Gln His Leu Cys Gly Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe Phe Tyr Thr Asp Lys Thr(アスパルト)

Phe Val Asn Gln His Leu Cys Gly Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe Phe Tyr Thr Lys Pro Thr(リスプロ)

Phe Val Lys Gln His Leu Cys Gly Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe Phe Tyr Thr Pro Glu Thr(グルリジン)

Phe Val Asn Gln His Leu Cys Gly Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe Phe Tyr Thr Pro Lys −Myristic Acid(デテミル)

Phe Val Asn Gln His Leu Cys Gly Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe Phe Tyr Thr Pro Lys −γ−Glu−Nε−hexadecandioyl(デグルデク)
イソフェンインスリンは別名NPHインスリンとも呼ばれ、野生型(レギュラー)インスリンとプロタミンが結合・結晶化したものである。プロタミン結晶性インスリンアスパルトはプロタミンとインスリンアスパルトが結合・結晶化したものである。
結果を図2に示す。コントロールのPBS(−)処理と比較すると、どの改変型インスリンを加えても、野生型インスリンと同程度のACE2及びTMPRSS2のmRNAの発現減少が観察された。この結果は、どのタイプのインスリン製剤であっても、インスリンの下流のシグナル伝達経路を活性化する限りは、ACE2及びTMPRSS2のmRNAの発現を抑制できることを示している。
4−4.実施例4(スパイクタンパク質の細胞内への取り込みへの影響)
次に、インスリンによるACE2の発現抑制が、SARS−CoV2とホスト細胞の結合及び細胞内への取り込みを阻害できるか検討した。この目的で、SARS−CoV2のスパイクタンパク質のS1ドメイン、さらにS1の中でACE2に結合するために必要十分な領域RBD(eceptor inding omain、R319〜F541)にマウスIgGのFc領域が融合されたリコンビナントタンパク質S1−mFc(Sino Biological、40592−V05H1)、及びRBD−mFc(Sino Biological、40592−V05H2)を準備した。実験の模式図を図3に示す。
HepG2細胞を6 well plate(CellBIND(登録商標); Corning(登録商標), 3335)の各ウェルに100,000 個を播種し、一晩培養した。翌日(播種後16〜24時間)、野生型インスリンを10μg/mlの濃度で添加、又はPBS(−)をコントロールとして加え、3日間培養した(約72時間)。培養後、最終濃度が100nMとなるようにRBD−mFc、またはコントロールとして何も融合していないマウスIgG由来Fc領域(mFc;Abcam(登録商標),ab179982)を添加し、さらに3時間培養した。その後、PBS(−)で細胞を洗浄後、剥離し細胞を回収した。回収した細胞は4% パラホルムアルデヒド(PFA)(富士フィルム和光純薬、 163−204115)で15分間室温で固定した。固定後、PBS(−)で洗浄し、マウスIgGを認識する抗体にAlexa Fluor(登録商標) 488蛍光色素が共有結合した二次抗体(JacksonImmunoResearch,715−545−150)で細胞表面や細胞内に取り込まれたmFcを染色し、フローサイトメトリー(Beckman Coulter(登録商標),FC500)を用いて一細胞あたりのAlexa Fluor(登録商標) 488の蛍光強度を測定し、定量した。解析にはKaluza Analysis 2.1(Beckman Coulter(登録商標))を用いた。
まず、ネガティブコントロールであるmFcを添加した際の細胞の示す蛍光強度は、ACE2を介さずにmFcのみで取り込まれてしまったもの、二次抗体が非特異的に結合してしまったもの、及び細胞のもつ自家蛍光、の3つに由来し、これはバックグラウンドシグナルと考えられる。従って、mFcでの蛍光強度を引くことで、より正確に取り込まれたS1、及びRBD由来のシグナルの差を正確に比較することが可能になる。そこで、mFcでの蛍光強度を引いたうえで、コントロールのPBS(−)を添加した際のS1、及びRBDの蛍光シグナルと比較すると、インスリンで予め処理することで、S1、及びRBD由来の蛍光シグナルの強度が有意に減少した(図4参照、多重比較検定(Tukey−Kramer法))。すなわち、この結果はインスリンによってS1、及びRBDのHepG2細胞への取り込みが抑制されたことを示しており、インスリンによるACE2等のmRNA発現量の抑制が、S1、及びRBDのHepG2細胞への取り込みを抑制できるレベルまで抑えていることを示唆している。
さらに、この結果はインスリンによって、SARS−CoV2がホスト細胞に結合し感染する(取り込まれる)ことが抑制されることを示唆している。
以上の実験結果から示される、一実施形態における本開示のインスリン系化合物の新型コロナウィルスの細胞内への取り込みが阻害される作用機序を図5にまとめた。インスリン系化合物は細胞に作用して、ACE2及び/又はTMPRSS2の遺伝子の発現を抑制する。これによって、細胞表面のACE2及び/又はTMPRSS2の量が減少する。そして、ウイルス表面に存在するスパイクタンパク質とACE2との結合が阻害される。また、TMPRSS2によるウイルスの細胞内への侵入の促進効果も抑制される。そしてその結果として、ACE2及び/又はTMPRSS2によって介在される感染症、特にコロナウィルスや、その他の疾患の予防又は治療効果をもたらす。
4−5.実施例5(成長因子による効果)
実施例1〜3と同様の実験を行った。ただし、各種インスリン化合物に代えて、以下の成長因子を10ng/mlの濃度で使用した。これらは、シグナル経路の下流として、FoxO1を抑制することが知られている。
IGF1(PeproTech社、製品番号AF−100−11)、
IGF2(PeproTech社、製品番号AF−100−12)、
EGF(PeproTech社、製品番号AF−100−15)、
FGF2(PeproTech社、製品番号AF−100−18B)、
FGF14(BioVision(登録商標)社、製品番号7347)、
VEGF165(PeproTech社、製品番号AF−100−20)、
上記の成長因子のアミノ酸配列は以下のとおりである。
IGF1
https://www.peprotech.com/gb/recombinant-human-igf-i-2
Gly Pro Glu Thr Leu Cys Gly Ala Glu Leu Val Asp Ala Leu Gln Phe Val Cys Gly Asp Arg Gly Phe Tyr Phe Asn Lys Pro Thr Gly Tyr Gly Ser Ser Ser Arg Arg Ala Pro Gln Thr Gly Ile Val Asp Glu Cys Cys Phe Arg Ser Cys Asp Leu Arg Arg Leu Glu Met Tyr Cys Ala Pro Leu Lys Pro Ala Lys Ser Ala
IGF2
https://www.peprotech.com/en/recombinant-human-igf-ii-2
Ala Tyr Arg Pro Ser Glu Thr Leu Cys Gly Gly Glu Leu Val Asp Thr Leu Gln Phe Val Cys Gly Asp Arg Gly Phe Tyr Phe Ser Arg Pro Ala Ser Arg Val Ser Arg Arg Ser Arg Gly Ile Val Glu Glu Cys Cys Phe Arg Ser Cys Asp Leu Ala Leu Leu Glu Thr Tyr Cys Ala Thr Pro Ala Lys Ser Glu
EGF
https://www.peprotech.com/en/recombinant-human-egf
Asn Ser Asp Ser Glu Cys Pro Leu Ser His Asp Gly Tyr Cys Leu His Asp Gly Val Cys Met Tyr Ile Glu Ala Leu Asp Lys Tyr Ala Cys Asn Cys Val Val Gly Tyr Ile Gly Glu Arg Cys Gln Tyr Arg Asp Leu Lys Trp Trp Glu Leu Arg
FGF2
https://www.peprotech.com/en/recombinant-human-fgf-basic-154-aa-2
Ala Ala Gly Ser Ile Thr Thr Leu Pro Ala Leu Pro Glu Asp Gly Gly Ser Gly Ala Phe Pro Pro Gly His Phe Lys Asp Pro Lys Arg Leu Tyr Cys Lys Asn Gly Gly Phe Phe Leu Arg Ile His Pro Asp Gly Arg Val Asp Gly Val Arg Glu Lys Ser Asp Pro His Ile Lys Leu Gln Leu Gln Ala Glu Glu Arg Gly Val Val Ser Ile Lys Gly Val Cys Ala Asn Arg Tyr Leu Ala Met Lys Glu Asp Gly Arg Leu Leu Ala Ser Lys Cys Val Thr Asp Glu Cys Phe Phe Phe Glu Arg Leu Glu Ser Asn Asn Tyr Asn Thr Tyr Arg Ser Arg Lys Tyr Thr Ser Trp Tyr Val Ala Leu Lys Arg Thr Gly Gln Tyr Lys Leu Gly Ser Lys Thr Gly Pro Gly Gln Lys Ala Ile Leu Phe Leu Pro Met Ser Ala Lys Ser
FGF14
https://www.biovision.com/fgf14-human-recombinant.html
Met Gly Ser Ser His His His His His His Ser Ser Gly Leu Val Pro Arg Gly Ser His Met Gly Ser His Met Ala Ala Ala Ile Ala Ser Gly Leu Ile Arg Gln Lys Arg Gln Ala Arg Glu Gln His Trp Asp Arg Pro Ser Ala Ser Arg Arg Arg Ser Ser Pro Ser Lys Asn Arg Gly Leu Cys Asn Gly Asn Leu Val Asp Ile Phe Ser Lys Val Arg Ile Phe Gly Leu Lys Lys Arg Arg Leu Arg Arg Gln Asp Pro Gln Leu Lys Gly Ile Val Thr Arg Leu Tyr Cys Arg Gln Gly Tyr Tyr Leu Gln Met His Pro Asp Gly Ala Leu Asp Gly Thr Lys Asp Asp Ser Thr Asn Ser Thr Leu Phe Asn Leu Ile Pro Val Gly Leu Arg Val Val Ala Ile Gln Gly Val Lys Thr Gly Leu Tyr Ile Ala Met Asn Gly Glu Gly Tyr Leu Tyr Pro Ser Glu Leu Phe Thr Pro Glu Cys Lys Phe Lys Glu Ser Val Phe Glu Asn Tyr Tyr Val Ile Tyr Ser Ser Met Leu Tyr Arg Gln Gln Glu Ser Gly Arg Ala Trp Phe Leu Gly Leu Asn Lys Glu Gly Gln Ala Met Lys Gly Asn Arg Val Lys Lys Thr Lys Pro Ala Ala His Phe Leu Pro Lys Pro Leu Glu Val Ala Met Tyr Arg Glu
VEGF 165
https://www.peprotech.com/en/recombinant-human-vegfsub165sub-2
Ala Pro Met Ala Glu Gly Gly Gly Gln Asn His His Glu Val Val Lys Phe Met Asp Val Tyr Gln Arg Ser Tyr Cys His Pro Ile Glu Thr Leu Val Asp Ile Phe Gln Glu Tyr Pro Asp Glu Ile Glu Tyr Ile Phe Lys Pro Ser Cys Val Pro Leu Met Arg Cys Gly Gly Cys Cys Asn Asp Glu Gly Leu Glu Cys Val Pro Thr Glu Glu Ser Asn Ile Thr Met Gln Ile Met Arg Ile Lys Pro His Gln Gly Gln His Ile Gly Glu Met Ser Phe Leu Gln His Asn Lys Cys Glu Cys Arg Pro Lys Lys Asp Arg Ala Arg Gln Glu Asn Pro Cys Gly Pro Cys Ser Glu Arg Arg Lys His Leu Phe Val Gln Asp Pro Gln Thr Cys Lys Cys Ser Cys Lys Asn Thr Asp Ser Arg Cys Lys Ala Arg Gln Leu Glu Leu Asn Glu Arg Thr Cys Arg Cys Asp Lys Pro Arg Arg
結果を図6に示す。いずれの成長因子もコントロールと比べて、ACE2及び/又はTMPRSS2の発現量について有意な差をもたらす結果となった。このことは、上記インスリン系化合物と同様に、成長因子がACE2及び/又はTMPRSS2によって介在される感染症、特にコロナウィルスや、その他の疾患の予防又は治療効果をもたらすことを示す。
4−6.参考例1(AS1842856による効果)
AS1842856は、FoxO1に直接結合して、FoxO1の転写因子の活性を阻害することが知られている(ただし、上述の定義にある通り、本明細書で規定する「FoxO1阻害剤」には含まれない)。参考例としてAS1842856を用いて以下の実験を行った。
4−6−1.HepG2細胞の培養
HepG2細胞はATCC(登録商標)(American Type Culture Collection、HB−8065)から購入した。当該細胞はDMEM(SIGMA,D8900)+10%FBS(SIGMA,F7524)の血清培地を用いて継代・維持した。
4−6−2.FoxO1阻害剤の効果
HepG2細胞を12 well plate(Corning(登録商標),3336)の各ウェルに50,000cells/cm2で播種し、一晩培養した。翌日(播種後16〜24時間)、FoxO1阻害剤AS1842856を複数の濃度で添加(1nM、10nM、50nM、100nM、1μM)し、又はその溶媒として用いたDMSOをコントロールとして加え、1日(約24時間)培養した。培養後、ReliaPrep RNA Miniprep system(Promega(登録商標), Z6012)を用いてHepG2細胞からTotal RNAを抽出した。抽出後、500ngのRNAを用いてcDNA合成(PrimeScript RT Master Mix; Takara(登録商標), RR036A)を行い、更に、定量的PCR(Thunderbird(登録商標) Sybr qPCR Mix; TOYOBO(登録商標), QPS−201X5)を行った。
cDNA合成のためのミクスチャは以下の組成に従って調製した。
5xPrimeScript RT Master Mix 2 μl(最終濃度 1 x)
Total RNA 500 ng
RNase free H2O 合計10 μlに調整
上記ミクスチャを、Applied Biosystems(登録商標)社のVeriti 96 well Thermal Cyclerを用いて、以下の条件で処理した。
37℃ 15分

85℃ 5秒

4℃ ∞
合成したcDNA(10 μl)は90μlのTE(10mM Tris−HCl pH8.0 + 1mM EDTA pH8.0)を用いて10倍に希釈した。当該希釈物を、定量PCRに供した。
4−6−3.HepG2細胞におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子発現の解析
より具体的には、当該希釈物を、以下の条件で混合した。
2×THUNDERBIRD(登録商標) Probe qPCR Mix 10μl
5mM Forward Primer 0.4μl
5mM Reverse Primer 0.4μl
2O 8.2μl
cDNA(10倍希釈) 1 μl
上記混合物を、Bio−Rad(登録商標)社のCFX−Connectを用いて、cDNAを増幅させた。PCRサイクルの条件は以下の通りであった。
1.95℃ 1分 (初期変性)
2.95℃ 15秒 (変性)
3.60℃ 30秒 (伸長)
(2−3のステップを40回繰り返し、ステップ3が終わるたびに蛍光シグナルを検出)
4.65 ℃ 〜 95 ℃まで0.5 ℃刻みで温度を上昇させ、5秒ずつ温度を保持してから蛍光シグナルを検出
上記サイクルにて、PCR産物の検出を行い、併せて、Melting curveによるPCR産物の単一性の確認を行った。
内部標準(すべての細胞・条件において同じ発現をしているハウスキーピング遺伝子)として、GAPDH(lycerldehyde 3−hosphate ydrogenase)を用いた。
各遺伝子を検出するためのプライマー配列は以下の通りであった。
GAPDH Forward primer: 5’ - agccacatcgctcagacac - 3’
GAPDH Reverse primer: 5’ - gcctaatacgaccaaatcc - 3’
ACE2 Forward primer: 5’ - ttctgtcacccgattttcaa - 3’
ACE2 Reverse primer: 5’ - tcccaacaatcgtgagtgc - 3’
TMPRSS2 Forward primer: 5’ - cgctggcctactctggaa - 3’
TMPRSS2 Reverse primer: 5’ - ctgaggagtcgcactctatcc - 3’
全てのプライマーは株式会社ファスマック(登録商標)から購入した(逆相カラム精製グレード)。
各遺伝子の発現量は、定量PCRで得られた各遺伝子の発現量を、さらにGAPDHの発現量で割って標準化したものを示している。さらに、FoxO1阻害剤で処理をしていないコントロール条件(DMSO処理)での発現量を「1」になるように標準化している。以上のプライマーを用いて増幅したPCR産物は全て単一のものであること(つまり、同一のプライマーで、複数種類の配列が増幅されていないこと)をMelting curveによって確認した。
結果を図7に示す。コントロールのDMSO処理と比較すると、FoxO1阻害剤AS1842856を加えると、その濃度依存的にACE2及びTMPRSS2のmRNAの発現が減少することが観察された(多重比較検定(Tukey−Kramer法))。この結果は、FoxO1がACE2及びTMPRSS2のmRNAの発現に必要であることを示している。
4−6−4.スパイクタンパク質の細胞内への取り込みへの影響
次に、FoxO1阻害剤によるACE2の発現抑制が、SARS−CoV2とホスト細胞の結合及び細胞内への取り込みを阻害できるか検討した。この目的で、SARS−CoV2のスパイクタンパク質のS1の中でACE2に結合するために必要十分な領域RBD(eceptor inding omain、R319〜F541)にマウスIgGのFc領域が融合されたリコンビナントタンパク質RBD−mFc(Sino Biological、40592−V05H2)を準備した。実験の模式図を図8に示す。
HepG2細胞を6 well plate(CellBIND(登録商標); Corning(登録商標), 3335)の各ウェルに100,000 個を播種し、一晩培養した。翌日(播種後16〜24時間)、FoxO1阻害剤AS1842856を1μMの濃度で添加、又はその溶媒として用いたDMSOをコントロールとして加え、3日間培養した(約72時間)。培養後、最終濃度が100nMとなるようにRBD−mFc、またはコントロールとして何も融合していないマウスIgG由来Fc領域(mFc;Abcam(登録商標),ab179982)を添加し、さらに3時間培養した。その後、PBS(−)で細胞を洗浄後、剥離し細胞を回収した。回収した細胞は4% パラホルムアルデヒド(PFA)(富士フィルム和光純薬、 163−204115)で15分間室温で固定した。固定後、PBS(−)で洗浄し、マウスIgGを認識する抗体にAlexa Fluor(登録商標) 488蛍光色素が共有結合した二次抗体(JacksonImmunoResearch,715−545−150)で細胞表面や細胞内に取り込まれたmFcを染色し、フローサイトメトリー(Beckman Coulter(登録商標),FC500)を用いて一細胞あたりのAlexa Fluor(登録商標) 488の蛍光強度を測定し、定量した。解析にはKaluza Analysis 2.1(Beckman Coulter(登録商標))を用いた。典型的な細胞の写真は、蛍光顕微鏡(Keyence、BX−700)を用いて撮影した。
結果を図9に示す。まず、S1及びRBDがHepG2細胞に取り込まれ得るのか、免疫染色法及び蛍光顕微鏡を用いて観察した。コントロールのmFcを添加した場合には、全くほとんど蛍光シグナルが検出されなかったのに対し、RBD−mFcは50%近くの細胞で観察された。これらの結果から、HepG2細胞はRBDを取り込むことが示唆された。
次に、FoxO1阻害剤AS1842856を用いて、あらかじめACE2の発現を抑制した時、取り込まれるRBDの量が抑制されるかフローサイトメトリーを用いて検討した。蛍光強度の違いを図10に示す。まず、ネガティブコントロールであるmFcを添加した際の細胞の示す蛍光強度は、ACE2を介さずにmFcのみで取り込まれてしまったもの、二次抗体が非特異的に結合してしまったもの、及び細胞のもつ自家蛍光、の3つに由来し、これはバックグラウンドシグナルと考えられる。従って、mFcでの蛍光強度を引くことで、より正確に取り込まれたRBD由来のシグナルの差を正確に比較することが可能になる。すると、コントロールのDMSOを添加した際のRBDの蛍光シグナルと比較すると、FoxO1阻害剤AS1842856で予め処理することで、RBD由来の蛍光シグナルの強度が有意に減少した(T検定;p<0.0005)。すなわち、この結果はFoxO1阻害剤によってRBDのHepG2細胞への取り込みが抑制されたことを示しており、FoxO1阻害剤によるACE2等のmRNA発現量の抑制が、RBDのHepG2細胞への取り込みを抑制できるレベルまで抑えていることを示唆している。
さらに、この結果はFoxO1阻害剤によって、SARS−CoV2がホスト細胞に結合し感染する(取り込まれる)ことが抑制されることを示唆している。
4−7.参考例2(培養上清による効果)
4−7−1.間葉系幹細胞の初代培養
はじめに、脂肪組織由来間葉系幹細胞(AD−MSC)を準備した。具体的には、脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた再生医療を受ける予定の患者より、皮下脂肪組織を分取した。当該皮下脂肪組織は、投与用細胞の調製に必要な原料となる。当該皮下脂肪組織を分取した後の剰余を、初代培養に供した。なお、予め、患者から研究利用に関する同意を取得した。
皮下脂肪組織を遠心分離(400×gで5分間)に供し、3層に分離した。具体的には、上層から順に脂質画分、脂肪組織画分、及び水性画分の3層に分離した。中層の脂肪組織画分を残して、上層と下層を破棄した。残した脂肪組織画分に対して、組織重量当たり4倍量の0.15%コラゲナーゼ酵素溶液を添加した。37℃で1時間浸透させ、酵素処理を行った。脂肪組織が酵素処理によって分散された後、当該脂肪組織を、遠心分離(400×gで5分間)に供した。間葉系幹細胞を含む間質血管細胞画分として、沈殿画分を30mLのPBS(−)溶液で懸濁した。その後、セルストレーナー(メッシュサイズ70μm径)に懸濁液を通液し、セルストレーナーに捕捉された組織残渣等は破棄した。そして、通液画分を再度遠心分離(400×gで5分間)に供し、沈殿画分を6mLの無血清培養液sf−DOT(バイオミメティクスシンパシーズ社)で懸濁した。細胞懸濁液全量を、T25フラスコ(CellBIND(登録商標); Corning(登録商標), 3289)に播種し、インキュベータ内(37℃,5%CO2)に静置して初代培養を開始した。又、臍帯由来間葉系幹細胞(UC−MSC)も、同様に、妊婦から研究利用に関する同意を得たのちに、医院から組織の提供を受け、脂肪組織と同様の下記掲載の酵素処理工程を経て初代培養を開始した。
4−7−2.継代培養
3日に1回の頻度で培地全交換を実施した。上澄みは破棄して、フラスコ底面上で増殖する細胞を選択的に増殖させた。セミコンフルエントまで増殖したT−25フラスコ内の細胞に対して、2mLの酵素溶液(TrypLE Express; Thermo Fisher Scientific,12604021)を添加し、細胞をフラスコの底面から剥離した(37℃、5分間静置)。細胞をPBS(−)で希釈し、遠心分離(400×gで5分間)に供した。沈殿した細胞を培養液sf−DOTで懸濁し、一部を分取してトリパンブルー染色法による細胞数計測を行なった。新たなT75フラスコ(CellBIND(登録商標); Corning(登録商標), 3290)にsf−DOTで懸濁した細胞を播種し、インキュベータ内(37℃,5%CO2)に静置して継代培養を行った(P0→P1)。その後も同様の手順で継代培養を行い、必要な細胞数を得た。
4−7−3.HepG2細胞の培養
HepG2細胞はATCC(登録商標)(American Type Culture Collection、HB−8065)から購入した。当該細胞はDMEM(SIGMA,D8900)+10%FBS(SIGMA,F7524)の血清培地を用いて継代・維持した。
4−7−4.HepG2細胞と間葉系幹細胞の非接触型共培養
HepG2細胞を6well plate(CellBIND(登録商標); Corning(登録商標), 3335)の各ウェルに100,000個の細胞を播種した。そこに、トランスウェル(6well plate用24mmインサート,0.4μm poreサイズ;Corning(登録商標), 3412)を載せた。トランスウェル内にもDMEM+10%FBSを適量注ぎ、さらにそこに何も細胞を播種しないコントロール(HepG2細胞のみ)、脂肪由来間葉系幹細胞を播種(HepG2とAD−MSCの共培養)、及び臍帯由来間葉系幹細胞を播種した(HepG2とUC−MSCの共培養)ものを用意した。播種したAD−MSC及びUC−MSCはともに100,000個である。尚、用いたトランスウェルはあらかじめPLL(Poly−L−Lysine;Cultrex,3438−100−01)でコーティングすることで、間葉系幹細胞がトランスウェルに張り付くことを可能にしている。コーティングは一晩かけて37℃で行った。そして余分なPLLは滅菌水で洗浄・除去した。トランスウェルを介してHepG2細胞と間葉系幹細胞を3日間共培養した(約72時間)。培養後、ReliaPrep RNA Miniprep system(Promega(登録商標), Z6012)を用いてHepG2細胞からTotal RNAを抽出した。抽出後、500ngのRNAを用いてcDNA合成(PrimeScript RT Master Mix; Takara(登録商標), RR036A)を行い、更に、定量的PCR(Thunderbird(登録商標) Sybr qPCR Mix; TOYOBO(登録商標), QPS−201X5)を行った。
cDNA合成のためのミクスチャは以下の組成に従って調製した。
5xPrimeScript RT Master Mix 2 μl(最終濃度 1 x)
Total RNA 500 ng
RNase free H2O 合計10 μlに調整
上記ミクスチャを、Applied Biosystems(登録商標)社のVeriti 96 well Thermal Cyclerを用いて、以下の条件で処理した。
37℃ 15分

85℃ 5秒

4℃ ∞
合成したcDNA(10 μl)は90μlのTE(10mM Tris−HCl pH8.0 + 1mM EDTA pH8.0)を用いて10倍に希釈した。当該希釈物を、定量PCRに供した。
4−7−5.HepG2細胞におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子発現の解析
より具体的には、当該希釈物を、以下の条件で混合した。
2×THUNDERBIRD(登録商標) Probe qPCR Mix 10μl
5mM Forward Primer 0.4μl
5mM Reverse Primer 0.4μl
2O 8.2μl
cDNA(10倍希釈) 1 μl
上記混合物を、Bio−Rad(登録商標)社のCFX−Connectを用いて、cDNAを増幅させた。PCRサイクルの条件は以下の通りであった。
1.95℃ 1分 (初期変性)
2.95℃ 15秒 (変性)
3.60℃ 30秒 (伸長)
(2−3のステップを40回繰り返し、ステップ3が終わるたびに蛍光シグナルを検出)
4.65 ℃ 〜 95 ℃まで0.5 ℃刻みで温度を上昇させ、5秒ずつ温度を保持してから蛍光シグナルを検出
上記サイクルにて、PCR産物の検出を行い、併せて、Melting curveによるPCR産物の単一性の確認を行った。
内部標準(すべての細胞・条件において同じ発現をしているハウスキーピング遺伝子)として、GAPDH(lycerldehyde 3−hosphate ydrogenase)を用いた。
各遺伝子を検出するためのプライマー配列は以下の通りであった。
GAPDH Forward primer: 5’ - agccacatcgctcagacac - 3’
GAPDH Reverse primer: 5’ - gcctaatacgaccaaatcc - 3’
ACE2 Forward primer: 5’ - ttctgtcacccgattttcaa - 3’
ACE2 Reverse primer: 5’ - tcccaacaatcgtgagtgc - 3’
TMPRSS2 Forward primer: 5’ - cgctggcctactctggaa - 3’
TMPRSS2 Reverse primer: 5’ - ctgaggagtcgcactctatcc - 3’
全てのプライマーは株式会社ファスマック(登録商標)から購入した(逆相カラム精製グレード)。
各遺伝子の発現量は、定量PCRで得られた各遺伝子の発現量を、さらにGAPDHの発現量で割って標準化したものを示している。さらに、共培養していないコントロール条件での発現量を「1」になるように標準化している。以上のプライマーを用いて増幅したPCR産物は全て単一のものであること(つまり、同一のプライマーで、複数種類の配列が増幅されていないこと)をMelting curveによって確認した。
結果を図11に示す。コントロールである、HepG2細胞のみにおける、HepG2細胞のACE2及びTMPRSS2のmRNA発現量と比較して、AD−MSC及びUC−MSCと共培養したHepG2細胞ではACE2及びTMPRSS2のmRNA発現量が有意に減少していることが観察された(多重比較検定(Tukey−Kramer法)、以降でも同じ)。この結果から、上層で培養したAD−MSC及びUC−MSCから分泌された何らかの因子がトランスウェルの穴(0.4μm poreサイズ)を通じて下層のHepG2細胞に影響を及ぼし、ACE2及びTMPRSS2のmRNA発現量を低下させたと考えられ、間葉系幹細胞がACE2及びTMPRSS2のmRNA発現量を抑制する可能性が示唆された。
次に、「4−7−1」〜「4−7−5」に示す手順と同様の実験を行った。ただし、HHepG2細胞には、培養上清だけでなく、PDK1に直接作用する阻害剤であるBX−795を10μM投与した。結果を図12に示す。図11の結果と一致して、培養上清は、ACE2及びTMPRSS2にmRNA発現量を抑制したが、その効果は、BX−795によってキャンセルされてしまった。PDK1は、FoxO1に対して抑制的に作用するため、BX−795は、間接的にFoxO1を活性化させることとなる。従って、培養上清による効果は、FoxO1のシグナル経路に関与していることが示唆される。
以上に示す参考例1〜2では、FoxO1のシグナル経路に関与する剤であって、結果的のFoxO1の活性を抑制する物であれば、いずれもACE2及びTMPRSS2にmRNA発現量の抑制に有効に働くことを示す。換言すれば、上記の実施例等に記載されるような具体的なインスリン系化合物及び/又は成長因子並びにこれらに類する物質でしか効果が得られないという疑義を払拭するものである。
4−8.実施例6(HGFによる効果)
実施例1〜3と同様の実験を行った。ただし、各種インスリン化合物に代えて、HGF(R&D systems社、製品番号294−HGN−005/CF)を使用した。HGFは、受容体に結合後、細胞内シグナル経路の下流として、FoxO1を抑制することは広く知られている。
結果を図13に示す。コントロールと比べて、HGFが1ng/ml以上の濃度において、ACE2及び/又はTMPRSS2の発現量について有意な差をもたらす結果となった。しかも、HGFによる抑制度合いは、10ng/ml以上では、上記インスリン系化合物、他の成長因子と比べて、優れていた。このことは、HGFが、ACE2及び/又はTMPRSS2によって介在される感染症、特にコロナウィルスや、その他の疾患の予防又は治療に対してきわめてすぐれた効果をもたらすことを示す。
HGFのアミノ酸配列は以下のとおりである。
https://www.uniprot.org/uniprot/P14210
Met Trp Val Thr Lys Leu Leu Pro Ala Leu Leu Leu Gln His Val Leu Leu His Leu Leu Leu Leu Pro Ile Ala Ile Pro Tyr Ala Glu Gly Gln Arg Lys Arg Arg Asn Thr Ile His Glu Phe Lys Lys Ser Ala Lys Thr Thr Leu Ile Lys Ile Asp Pro Ala Leu Lys Ile Lys Thr Lys Lys Val Asn Thr Ala Asp Gln Cys Ala Asn Arg Cys Thr Arg Asn Lys Gly Leu Pro Phe Thr Cys Lys Ala Phe Val Phe Asp Lys Ala Arg Lys Gln Cys Leu Trp Phe Pro Phe Asn Ser Met Ser Ser Gly Val Lys Lys Glu Phe Gly His Glu Phe Asp Leu Tyr Glu Asn Lys Asp Tyr Ile Arg Asn Cys Ile Ile Gly Lys Gly Arg Ser Tyr Lys Gly Thr Val Ser Ile Thr Lys Ser Gly Ile Lys Cys Gln Pro Trp Ser Ser Met Ile Pro His Glu His Ser Phe Leu Pro Ser Ser Tyr Arg Gly Lys Asp Leu Gln Glu Asn Tyr Cys Arg Asn Pro Arg Gly Glu Glu Gly Gly Pro Trp Cys Phe Thr Ser Asn Pro Glu Val Arg Tyr Glu Val Cys Asp Ile Pro Gln Cys Ser Glu Val Glu Cys Met Thr Cys Asn Gly Glu Ser Tyr Arg Gly Leu Met Asp His Thr Glu Ser Gly Lys Ile Cys Gln Arg Trp Asp His Gln Thr Pro His Arg His Lys Phe Leu Pro Glu Arg Tyr Pro Asp Lys Gly Phe Asp Asp Asn Tyr Cys Arg Asn Pro Asp Gly Gln Pro Arg Pro Trp Cys Tyr Thr Leu Asp Pro His Thr Arg Trp Glu Tyr Cys Ala Ile Lys Thr Cys Ala Asp Asn Thr Met Asn Asp Thr Asp Val Pro Leu Glu Thr Thr Glu Cys Ile Gln Gly Gln Gly Glu Gly Tyr Arg Gly Thr Val Asn Thr Ile Trp Asn Gly Ile Pro Cys Gln Arg Trp Asp Ser Gln Tyr Pro His Glu His Asp Met Thr Pro Glu Asn Phe Lys Cys Lys Asp Leu Arg Glu Asn Tyr Cys Arg Asn Pro Asp Gly Ser Glu Ser Pro Trp Cys Phe Thr Thr Asp Pro Asn Ile Arg Val Gly Tyr Cys Ser Gln Ile Pro Asn Cys Asp Met Ser His Gly Gln Asp Cys Tyr Arg Gly Asn Gly Lys Asn Tyr Met Gly Asn Leu Ser Gln Thr Arg Ser Gly Leu Thr Cys Ser Met Trp Asp Lys Asn Met Glu Asp Leu His Arg His Ile Phe Trp Glu Pro Asp Ala Ser Lys Leu Asn Glu Asn Tyr Cys Arg Asn Pro Asp Asp Asp Ala His Gly Pro Trp Cys Tyr Thr Gly Asn Pro Leu Ile Pro Trp Asp Tyr Cys Pro Ile Ser Arg Cys Glu Gly Asp Thr Thr Pro Thr Ile Val Asn Leu Asp His Pro Val Ile Ser Cys Ala Lys Thr Lys Gln Leu Arg Val Val Asn Gly Ile Pro Thr Arg Thr Asn Ile Gly Trp Met Val Ser Leu Arg Tyr Arg Asn Lys His Ile Cys Gly Gly Ser Leu Ile Lys Glu Ser Trp Val Leu Thr Ala Arg Gln Cys Phe Pro Ser Arg Asp Leu Lys Asp Tyr Glu Ala Trp Leu Gly Ile His Asp Val His Gly Arg Gly Asp Glu Lys Cys Lys Gln Val Leu Asn Val Ser Gln Leu Val Tyr Gly Pro Glu Gly Ser Asp Leu Val Leu Met Lys Leu Ala Arg Pro Ala Val Leu Asp Asp Phe Val Ser Thr Ile Asp Leu Pro Asn Tyr Gly Cys Thr Ile Pro Glu Lys Thr Ser Cys Ser Val Tyr Gly Trp Gly Tyr Thr Gly Leu Ile Asn Tyr Asp Gly Leu Leu Arg Val Ala His Leu Tyr Ile Met Gly Asn Glu Lys Cys Ser Gln His His Arg Gly Lys Val Thr Leu Asn Glu Ser Glu Ile Cys Ala Gly Ala Glu Lys Ile Gly Ser Gly Pro Cys Glu Gly Asp Tyr Gly Gly Pro Leu Val Cys Glu Gln His Lys Met Arg Met Val Leu Gly Val Ile Val Pro Gly Arg Gly Cys Ala Ile Pro Asn Arg Pro Gly Ile Phe Val Arg Val Ala Tyr Tyr Ala Lys Trp Ile His Lys Ile Ile Leu Thr Tyr Lys Val Pro Gln Ser
4−9.実施例7(siRNAによる効果)
実施例1〜3と同様の実験を行った。ただし、FoxO1の遺伝子発現抑制のために、siRNAを使用した。siRNAはコントロールとして何も抑制しないもの(Cell Signaling(登録商標)社,製品番号6568S)、及びヒトFoxO1遺伝子をターゲットとしたもの(#1;Cell Signaling(登録商標)社,製品番号6242S、及び#2;Cell Signaling(登録商標)社,製品番号6256S、配列情報はコントロールも含め非公開)を用いた。siRNAの細胞内への導入にはトランスフェクション試薬(Horizon Discovery社,DharmaFECT1,製品番号T2001−01)を使用した。各種siRNAを導入し、3日後(約72時間後)に細胞を回収し、上記のようにqPCRで定量した。
結果を図14に示す。コントロールのsiRNAを導入した細胞と比べて、FoxO1をターゲットとするsiRNAを導入した細胞では、確かにFoxO1 mRNAの発現が減少している。この時、同時にACE2及び/又はTMPRSS2の発現量についても有意な差をもたらす結果となった。この結果は、FoxO1が確かにACE2及び/又はTMPRSS2の遺伝子発現に必要であることを示している。言い換えると、FoxO1の活性や遺伝子発現量を抑制することで、確かにACE2及び/又はTMPRSS2の遺伝子発現を阻害できる、というこれまでの実験結果を支持するものである。
以上の実験結果から、FoxO1阻害剤一般について、シグナル伝達経路を介する場合、あるいは直接阻害の場合(阻害剤あるいはsiRNAなど)など、その阻害方法が大きく異なるといえども、FoxO1阻害剤として機能する化合物の含有量に応じて、ACE2又はTMPRSS2の発現阻害剤又はコロナウィルス感染抑制剤として有効であることが示されている。
以上、具体的な実施形態について説明してきた。上記実施形態は、具体例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態の1つに開示された技術的特徴は、他の実施形態に適用することができる。また、特記しない限り、特定の方法については、一部の工程を他の工程の順序と入れ替えることも可能であり、特定の2つの工程の間に更なる工程を追加してもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。

Claims (8)

  1. アンジオテンシン転換酵素2(ACE2)及びTMPRSS2の発現を阻害するための組成物であって、
    前記組成物は、FoxO1阻害剤を含む、組成物であり、
    前記FoxO1阻害剤は、インスリン系化合物、成長因子及び/又はこれをコードする核酸、FoxO1の遺伝子発現抑制剤から選択される1種以上である、組成物であって、
    前記成長因子は、以下から選択されるいずれかと、90%以上同一のアミノ酸配列を有し:IGF1、IGF2、EGF、FGF2、FGF14、VEGF、HGF
    前記FoxO1の遺伝子発現抑制剤は、FoxO1のアンチセンス核酸、shRNA、siRNA、miRNAから選択される1種以上であり、
    前記インスリン系化合物は、野生型インスリン及び改変型インスリンから選択される1種以上である
    組成物(ただし、投与対象として糖尿病患者を除く)。
  2. 前記改変型インスリンが、超速効型インスリン、速効型インスリン、中間型インスリン、持効型溶解性インスリン、混合型インスリン、及び配合溶解性インスリンから選択される1種以上である、請求項の組成物。
  3. 前記改変型インスリンが、ヒト野生型インスリンと90%以上同一のアミノ酸配列を有する、請求項の組成物。
  4. 前記改変型インスリンが、ヒト野生型インスリンと95%以上同一のアミノ酸配列を有する、請求項の組成物。
  5. 前記改変型インスリンのA鎖が、ヒト野生型インスリンのA鎖と100%同一のアミノ酸配列を有する、請求項又はの組成物。
  6. 前記成長因子が、以下から選択されるいずれかと、95%以上同一のアミノ酸配列を有する、請求項1の組成物:
    IGF1、IGF2、EGF、FGF2、FGF14、VEGF、HGF。
  7. 前記成長因子が、以下から選択されるいずれかと、100%同一のアミノ酸配列を有する、請求項の組成物:
    IGF1、IGF2、EGF、FGF2、FGF14、VEGF、HGF。
  8. コロナウィルス感染症を治療又は予防するための組成物である、請求項1〜いずれか1項に記載の組成物(ただし、投与対象として糖尿病患者を除く)であり、前記FoxO1阻害剤は、インスリン系化合物、FoxO1の遺伝子発現抑制剤から選択される1種以上である、組成物
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