JP2021017557A - 親水表面及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】親水表面を提供すること。【解決手段】フィラーを含有する透明樹脂材料からなる樹脂層を表面に有し、前記フィラーは、最表面において露出しており、外部に連通する表面を基準とする比表面積直径が0.8nm以上80nm以下、表面の組成と内部の組成とが異なる無機物からなる一次粒子から構成され、脱水縮合により粒子間が結合・融着した凝集体である粒子材料を主成分とする。ここで、フィラーは、一次粒子同士が強固に結合した凝集体であり、外力に対して高い物理的特性を示すと共に、凝集体を構成する一次粒子の粒径が可視光などの光の波長よりも小さいため透明性に大きな影響を与えない。従って、透明樹脂材料の透明性を損なうことなく高い機械的特性と、安定した表面凹凸構造を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は親水表面及びその製造方法に関する。
透明材の防汚防曇化技術としては、光触媒性コーティング膜を塗布したり(特許文献1)、機械的・化学的エッチングによりガラス表面に凹凸を形成させたりする方法(特許文献2)等が提案されている。
WO96/29375公報 特開2000-262368号公報
しかしながら、光触媒材料を利用して防汚防曇性を発揮させるためには、十分な紫外線量が必要であり、使用場所が屋外などに限られる。また、硬いガラス表面に直接凹凸を形成させる方法は、研磨剤のサイズや研磨力によって逆に傷や曇りを発生させることも多く、透明性を損なうことなく均一に凹凸構造を形成させることが難しい。
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、透明部材の表面に均一な凹凸構造を付与することで、使用環境を選ばず耐久性に優れた親水表面及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決するため本発明者らは鋭意検討を行った結果、本願発明者ら開発した粒子材料(PCT/JP2019/008389に記載)からなるフィラーを分散した透明樹脂材料を少なくとも表面に含む透明部材について、表面の有機成分を湿式又は乾式分解して除去することで、最表面に粒子材料が存在する耐久性に優れた親水表面を得ることに成功した。最表面に存在する粒子材料は、水との濡れ性が高い表面を有したナノメートルサイズの粒子の凝集体がさらに凝集した凹凸構造を持つことから、使用環境を選ばず親水表面が得られる。また、凝集粒子の間及び粒子内に透明樹脂材料が入り込んでいるため、この凹凸構造は剥がれたり壊れたりしにくく、耐久性に優れる。ここで透明樹脂材料中にフィラーを分散させた分散液を塗布することで、非処理対象物としてのガラスやアクリル等の一般的な素材に対してその表面に親水表面を形成することができる。
(1)上記知見に基づいて本発明者らは以下の発明を完成した。すなわち、上記課題を解決する本発明の親水表面は、フィラーを含有する透明樹脂材料からなる樹脂層を表面に有し、
前記フィラーは、
最表面において前記樹脂層をほぼ被覆しており、
外部に連通する表面を基準とする比表面積直径が0.8nm以上80nm以下、表面の組成と内部の組成とが異なる無機物からなる一次粒子から構成され、
脱水縮合により粒子間が結合・融着した凝集体である粒子材料を主成分とする。
ここで、フィラーとして含有させる粒子材料は、一次粒子同士が強固に結合した凝集体であり、外力に対しては凝集体全体として作用して高い物理的特性を示すと共に、凝集体を構成する一次粒子の粒径が可視光などの光の波長よりも小さくしていることから透明性に大きな影響を与えない。従って、透明樹脂材料の透明性を損なうことなく高い機械的特性と、安定した表面凹凸構造を提供することができる。
(2)上記課題を解決する本発明の親水表面の製造方法は、上述の(1)に記載の親水表面を製造する製造方法であって、
前記透明樹脂材料中又は前記透明樹脂材料の前駆体中に前記フィラーを分散させて分散液とする分散液調製工程と、
前記分散液を非処理対象物の表面にて成膜する成膜工程と、
得られた膜表面の有機成分を分解除去する分解除去工程と、
を有する。
粒子材料の凹凸が最表面に存在することで、耐久性の高い親水表面を得ることができる。
実施例における各試料のXRDスペクトルである。 比較例における各試料のXRDスペクトルである。 実施例における各試料のXRDスペクトルである。 比較例における各試料のXRDスペクトルである。 実施例及び比較例における各試料のXRDスペクトルを解析した結果である。 実施例1−0及び比較例1−0における各試料のTG−DTA測定結果である。
本発明の親水表面及びその製造方法について以下実施形態に基づき詳細に説明を行う。本実施形態の親水表面は、少なくとも表面近傍において透明性が必要になる部材に採用される。例えばレンズ、ガラス、ミラーに採用される。
(親水表面)
本実施形態の親水表面は、フィラーとフィラーを分散する透明樹脂材料とを有する。これらの材料にて全体を構成しても良いし、これらの材料にて最表面に層を形成しても良い。最表面に層を形成する方法では、既存の部材に対して親水表面を形成することができる。なお、本明細書における親水表面とは、水による接触角が10°以下であるものを意味する。
本実施形態の親水表面は、透明性などの光学的特性に優れているため、透明な部材の表面に層状に形成されてもその光学的特性を大きく損なうことはない。例えば、親水表面を形成する部材を構成する材料としては、ガラスなどの無機材料や、ポリカーボネート(変性体を含む、本明細書中の全ての樹脂について同じ)、ポリイミドなどのイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、塩化ビニル、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ユリア樹脂などの有機材料が挙げられる。
ここで「透明」とは可視光、赤外光、紫外光などの光線が少しでも透過できれば充分であり、その透過率は問題にしない。なお、樹脂材料が透明であるかどうかの基準として光透過率(400nm/2mm)が80%以上であることが採用できる。更に、樹脂材料は架橋構造を有することで樹脂材料自身の物理的特性が向上できる。
本実施形態の親水表面の樹脂層がもつ透明樹脂材料は、前述の透明な樹脂材料から形成することができる。親水表面は最表面に配設されるため、耐候性の高いアクリル樹脂を採用することが好ましい。
フィラーは樹脂層内に分散されている。樹脂層が含有するフィラー濃度は適正に設定される。最表面においてフィラーが露出したときに適正な構造(親水性)や、機械的特性が実現できるように適正に設定できる。フィラーの露出の程度は特に限定しないが個々のフィラーの粒子について、それぞれ投影面積の100%未満であることがフィラーの粒子の脱落防止の観点からは好ましい。なお、フィラーを構成する粒子材料は多孔質であるため、内部に透明樹脂を十分に浸透させることが出来ていれば投影面積の100%まで露出させてもフィラーの脱落は問題にならない場合も想定できる。
樹脂層中の具体的に好ましいフィラー濃度は、樹脂層が必要な硬度になるように決定するが、その上限値としては、樹脂層中の透明樹脂材料の質量を基準として、90%、80%、70%、60%程度にすることが好ましい。また、下限値は、5%、10%、15%、20%程度にすることができる。これらの上限値と下限値とを任意に組み合わせることができる。
親水表面の樹脂層の厚みとしては、1μm以上にすることができる。好ましい下限値としては、5μm、10μm、20μmが例示できる。特に上限はなく、全体がフィラーを分散した材料にて構成されていても良い(この場合でも「樹脂層」の定義に含む)。
フィラーは、PCT/JP2019/008389に記載されている粒子材料を含む。その粒子材料は、親水表面の樹脂層を構成する透明樹脂材料の屈折率と同等な屈折率をもつことが好ましい。例えば、透明樹脂材料の屈折率と無機物粒子の屈折率の差は、0.001〜0.01程度であることが好ましい。粒子材料の屈折率の制御方法は後述する。
粒子材料は、外部に連通する表面を基準とする比表面積直径が0.8nm以上80nm以下、表面の組成と内部の組成とが異なる無機物からなる一次粒子から構成され、脱水縮合により粒子間が結合・融着した凝集体である粒子材料を主成分とする。一次粒子の内部と外部の組成比や、構成材料を変化させることで屈折率を自在に制御することができる。更に後述するように、表面に被覆層を形成することでも屈折率を制御することができる。
親水表面の樹脂層は、その他の添加剤を有していても良い。添加剤としては、前述の粒子材料以外の一次粒子にまで分散しているナノメートルオーダーのナノ無機物粒子材料が例示できる。ナノ無機物粒子材料としては、シリカやアルミナから構成され、表面にシラン化合物などにより有機官能基を導入したものが挙げられる。表面に導入する有機官能基はハードコート層に含まれる透明樹脂材料の種類により選択でき、フェニル基、ビニル基、フェニルアミノ基、メタクリル基、アルキル基などが例示できる。ナノ無機物粒子材料の粒子径は、500nm以下であることが好ましく、更に好ましい粒子径の上限値は、200nm、100nm、50nm、20nmである。他の添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、帯電剤、難燃剤などの通常の添加剤が適宜採用できる。
親水表面を作成した後、更に光触媒性コーティング膜を形成することができる。光触媒性コーティング膜は最表面に形成することが望ましい。なお、光触媒性コーティング膜は、凝集体からなる粒子材料が露出している表面のうちの一部を覆うように形成することが好ましい。また、全てを覆うように形成する場合には凝集体からなる粒子材料にて形成される表面の凹凸形状を大きく損なわないようにすることが好ましい。光触媒性コーティング膜は、光触媒特性を持つ酸化チタンを含有するものが例示できる。光触媒性コーティング膜に酸化チタンを含有させる場合には、酸化チタンを上述の凝集体からなる粒子材料を構成する一次粒子と同程度の大きさの粒子とした上でそのまま付着させることができる他、上述した透明樹脂中に分散させた状態で薄膜化することにより光触媒性コーティング膜を形成しても良い。また、前述の凝集体からなる粒子材料を構成する一次粒子の一部に酸化チタンからなる一次粒子を含有させ、凝集体を露出させたときに最表面に酸化チタンを配置できるようにしても良い。
(粒子材料)
本発明の親水表面にフィラーとして用いられる粒子材料について以下詳細に説明を行う。
本実施形態の粒子材料は、一次粒子が脱水縮合により結合・融着して凝集した凝集体である。凝集体の粒径は特に限定しない。一次粒子の間が結合・融着されていることから特許文献1〜3とは異なり一次粒子間が強固に結合され、粒子材料の機械的強度が向上できる。粒径が大きいほど強度を向上することができるため、混合できる限度で粒径を大きくすることが好ましい。例えば薄膜などのように物理的に粒子材料が侵入できない可能性があるような形態に適用する場合には、適用する部分の形態に物理的に侵入できるように、粒子材料の適正な粒度分布が決定される。
体積平均粒径の好ましい下限値としては、0.1μm、0.15μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1.0μmなどが例示できる。体積平均粒径の好ましい上限値としては、500μm、100μm、10μm、5μmなどが例示できる。更に、大きな粒径と小さな粒径とのように複数の粒径にピークをもつようにすることができる。
そして、本実施形態の粒子材料は、外気に連通する表面を基準とする比表面積直径が0.8nm以上80nm以下である。比表面積直径は、比表面積(単位質量あたりの表面積)と粒子材料を構成する材料の比重とから算出される値であり、一次粒子の凝集体として構成される2次粒子では、2次粒子を構成する一次粒子の粒径に近い値が算出される。
比表面積直径は、下限値としては1nm、5nm、10nmを採用することができ、上限値としては30nm、50nm、70nmを採用することができる。
凝集体を構成する一次粒子(以下、適宜「構成一次粒子」と称する)は、表面の組成と内部の組成とが異なる無機物からなる。表面の組成と内部の組成とを異なるものにすることにより、構成一次粒子内において内部を構成する材料が外部に影響を及ぼし難くなる。また、外部からの影響が内部に及び難くなる。そして表面の組成と内部の組成とが相互作用を起こすことで予期できない効果を発揮できることがある。予期できない効果としては、内部の組成としてγアルミナを採用したときに表面を別の材料(例えばシリカ)にすることによりγアルミナの結晶の相転移の態様に影響を与えることが例示できる。γアルミナは、加熱により相転移することが知られているが、表面を別の材料にて構成した構成一次粒子中に存在するγアルミナは、γアルミナ単独では相転移が生じる温度にまで加熱しても相転移しないことを確認している。従って、脱水縮合による凝集体の製造を900℃以上(好ましくは950℃以上、1000℃以上)で行うことができる。
また、内部の組成としてベーマイトを採用し、表面としてシリカを採用すると、加熱によるベーマイトからアルミナ(特にγアルミナ)への転移が抑制できる。従って、脱水縮合による凝集体の製造を250℃超で行うことができる。
なお、このような構成一次粒子を主成分とするものであれば、その他の組成(例えば全体が単一の組成からなるもの)をもつ一次粒子を含有することも可能である。ここで「主成分とする」とは、50質量%以上含有することを意味し、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上含有する。構成一次粒子以外に一次粒子として含有することが可能な粒子としては、原子番号38以上の元素の酸化物からなる第2粒子が例示できる。具体的に含有することが好ましい酸化物に含まれる原子番号が38以上の元素としては、ジルコニウムが挙げられる。構成一次粒子の粒子形状としては特に限定しない。
構成一次粒子の表面の組成、内部の組成のそれぞれについてどのような組成の無機物を採用するかは任意である。ここで、表面の組成としてはシリカを選択することが好ましい。シリカは表面に対して種々の表面処理を行うことが容易であり、物理的安定性、化学的安定性共に高いほか、合成が容易であるからである。光学的な特性向上の観点からは非晶質シリカを採用することが好ましい。
表面と内部との比率については特に限定しない。表面については内部を概ね隙間無く被覆することが好ましい。
本実施形の粒子材料は、表面に有機物からなる被覆層をもつことができる。被覆層は構成一次粒子の表面を被覆する層である。被覆層の厚みは特に限定しないが粒子材料の表面を概ね隙間無く被覆することが好ましい。被覆層を有する場合には、凝集した構成一次粒子の間に介在させることもできるほか、構成一次粒子が凝集した状態でその表面を被覆して構成一次粒子同士が直接凝集した状態になった上で被覆されていることもできる。被覆層は構成一次粒子の表面に対して共有結合されているか分子間力結合などにより物理的に結合されているかの何れかが望ましい。被覆層を構成する有機物としては、シラン化合物の縮合物であることが好ましい。シラン化合物としては1つのSiにORを2つ以上もつ化合物とすると縮合物からなる被覆層が形成できる。シラン化合物の縮合物を製造する方法としては、前述のシラン化合物を構成一次粒子(凝集体を形成する前後を問わない)の表面に接触させた状態で縮合させることにより行うことができる。構成一次粒子は、無機材料から構成され、その表面にはOH基を有することが通常である。そのため前述のシラン化合物は、構成一次粒子の表面に存在するOH基と反応して共有結合を形成することができる。
また、本実施形態の粒子材料は、表面又は内部の組成としてAlを採用する場合に、X線回折での2θが45°〜49°と64°〜67°とにそれぞれ存在するピークの半値幅が0.5°以上であることが好ましい。2θが45°〜49°の範囲にあるピーク(第1ピーク)は、γアルミナであり、2θが64°〜67°の範囲にあるピーク(第2ピーク)は、γアルミナである。この範囲に存在するピークの半値幅が0.5°以上になるとαアルミナが生成していないため好ましい。
更に、本実施形態の粒子材料は、表面又は内部の組成としてベーマイトを採用する場合に、X線回折での2θが37°〜39°と71°〜73°とにそれぞれ存在するピークの半値幅が2.5°以下であるか、及び/又は、45°〜49°と64°〜67°とにそれぞれ存在するピークの半値幅が2.5°以下であることが好ましい。2θがこれらの範囲にあるピークは、ベーマイトであり、この範囲に存在するピークの半値幅が2.5°以下になるとベーマイトが残存しているため好ましい。
(粒子材料の製造方法)
本実施形態の粒子材料の製造方法は、上述の粒子材料を好適に製造できる製造方法である。本実施形態の粒子材料の製造方法は、分散工程と被覆工程と必要に応じて選択できるその他の工程とを有する。その他の工程としては、凝集工程、改質工程、粒度分布調整工程などが挙げられる。
分散工程は、内部の組成をもつ粒子(コア粒子)を液体分散媒中に分散させて分散液とする工程である。コア粒子は、常法により得ることができる。例えば、内部の組成の前駆体となる化合物を反応させて製造できる。例えば内部の組成としてベーマイトを採用する場合には、粉砕などにより適正な粒径とした水酸化アルミニウムを前駆体として採用し、水熱処理することでベーマイトからなるコア粒子を得ることができる。また、適正な粒径とした酸化アルミニウムを前駆体として採用し、酸やアルカリ水溶液中で加熱することでコア粒子を得ることができる。
被覆工程は、得られた分散液に対して、反応により表面の組成になる化合物である前駆体を添加し表面の組成を生成することによってコア粒子の表面を表面の組成にて被覆・形成した被覆粒子とする工程である。内部の組成と表面の組成との比率は、添加する前駆体の量により制御できる。前駆体としては、どのような化合物を採用しても良い。表面の組成としてシリカを採用する場合は、前駆体としてテトラエトキシシランを採用することができる。テトラエトキシシランは、水の存在下で容易にシリカを生成する。例えば、テトラエトキシシランを酸性若しくは塩基性の雰囲気下で加水分解するいわゆるゾルゲル法が採用できる。
凝集工程は、被覆工程の後に行う工程であり、被覆工程にて得られた被覆粒子を加熱して凝集させる工程である。得られた凝集体は、必要な粒度分布になるように粉砕操作や分級操作を行うことができる。凝集工程における加熱温度は被覆粒子間において脱水縮合が生じる温度である。例えば250℃超の温度、450℃以上、500℃以上が例示できる。この温度範囲にて加熱することで得られた粒子材料の強度が向上できる。
改質工程は、被覆工程後に行う工程であり、被覆工程により得られた被覆粒子に対してシラン化合物を表面に接触させて改質する工程である。凝集工程と組み合わせる場合には、前後いずれでも行うことができる。
(親水表面の製造方法)
本実施形態の親水表面の製造方法は、特に限定しない。例えば、その後の工程により固化可能なフィラー分散液に非処理対象物をディッピングして被覆したり、フィラー分散液をスプレーして被覆したりした後に固化させたり、フィラー分散液を流延法などにより成膜した後に非処理対象の表面を被覆したりしたその後に表面の有機成分を分解除去する分解除去工程にて表面にフィラーを露出する方法が挙げられる。分解除去工程は、非処理対象物に被覆する前の膜に対して行い、フィラーが露出した後にその膜で被覆を行っても良い。
表面に光触媒性コーティング膜を形成する場合には、フィラー分散液により被覆した後に、光触媒作用がある粒子(酸化チタンなど)を分散させた光触媒性コーティング液によって、フィラー分散液と同様の方法により被処理対象物の表面を被覆することができる。本工程は、後述する分解工程の後に行うこともできる。また、前述したフィラー分散液中に光触媒作用がある粒子を分散させてフィラーと同時に被覆することもできる。
フィラー分散液は、透明樹脂材料と、その透明樹脂材料を溶解可能な溶媒と、フィラーとの混合物を採用したり、重合などにより透明樹脂材料になる液状の前駆体(モノマーなど)と、フィラーとの混合物を採用したりできる。フィラー分散液を固化するためには溶媒を蒸発させたり、前駆体を反応させて透明樹脂材料に変化させたりする。
分解除去工程で採用できる分解方法は特に限定しない。酸、アルカリ、過酸化物、過マンガン酸カリウムなどの無機過酸化物に接触させる方法、プラスマ処理(酸素プラズマ、アークプラズマなど)、オゾン処理、コロナ放電処理、レーザーアブレーション処理、フレイム処理などが挙げられる。分解除去工程は、フィラーの粒子の投影面積の100%未満が露出する程度に至るまで行うことができる。
親水表面を製造した後、電子線照射を行うこともできる。透明樹脂材料の種類によっては電子線照射により内部への特性変化は抑えながら最表面での架橋反応を進行させて硬化させることが可能になる。
本発明の親水表面及びその製造方法について実施例に基づき以下詳細に説明を行う。
(試験A)
(試験1:表面の組成としてシリカ、内部の組成としてベーマイトを採用した一次粒子からなる凝集体である粒子材料の製造)
川研ファインケミカル株式会社製のアルミゾル10A(Alを10質量%含有:短径×長径は10nm×50nm:コア粒子に相当)100質量部にイソプロパノール(IPA)40質量部を加えて、テトラエトキシシラン(TEOS:表面の組成であるシリカの前駆体)10質量部を添加した。この混合比を採用することで最終的に得られる粒子材料中のベーマイトとシリカとの質量比は理論上78:22である。
室温で24時間反応したのちアンモニア水で中和して構成一次粒子からなるゲル状の沈殿物を得た。沈殿物を純水で洗浄し、160℃、2時間乾燥し、ジェットミルで平均粒子径を2μm以下に粉砕して実施例1−0の粒子材料を得た。
実施例1−0の粒子材料を650℃2時間熱処理して実施例1−1の粒子材料を得た。850℃、2時間熱処理して実施例1−2の粒子材料を得た。
実施例1−1の粒子材料を1100℃、2時間熱処理して実施例1−3の粒子材料を得た。実施例1−1の粒子材料を1200℃、2時間熱処理して実施例1−4の粒子材料を得た。更に実施例1−0の粒子材料を、250℃(実施例1−5)、400℃(実施例1−6)、450℃(実施例1−7)で2時間熱処理して各実施例の粒子材料を得た。実施例1−0〜実施例1−7の粒子材料の体積平均粒径、比表面積、屈折率を表1に示す。体積平均粒径はレーザー回折式粒度測定装置を用いて行った。比表面積は、窒素を用いたBET法にて測定した。粒子の屈折率は以下の方法で定義した。屈折率が既知の2種類の溶媒で配合比の異なる混合溶媒を複数水準用意し、これに粒子を分散させた際、透過率80%以上(589nm/10mm)かつ最も混合液が透明である点の混合液の屈折率が粒子の屈折率とした。また混合液の透過率が80%に満たない場合は光学的に非完全不透明と定義した。実施例1−0〜1−4のそれぞれのXRDスペクトルは図1に、実施例1−5〜1−7のそれぞれのXRDスペクトルは図3にまとめた。それぞれのXRDの測定結果から算出した各実施例における2θが45°〜49°と64°〜67°とにそれぞれ存在するピークの半値幅(FWHM)を表2に示す。
Figure 2021017557
Figure 2021017557
表1より明らかなように、実施例1−0の粒子材料は、ベーマイトの屈折率である1.65とシリカの屈折率である1.45〜1.47と両者の混合比(78:22)とから算出される値(約1.60)と近い値を示している。そして実施例1−1〜1−4の粒子材料は、高温での加熱によりベーマイトがγアルミナに転移された結果、屈折率が高くなり1.61〜1.63になった。
また、XRDの測定結果から2θが45°〜49°と64°〜67°とにそれぞれ存在するピークの半値幅はそれぞれ0.7°以上で有り、αアルミナに由来する結晶の生成は認められなかった。通常、ベーマイトは、1200℃程度で加熱するとαアルミナになるが、表面をシリカで覆うことでαアルミナ化が抑制できることがわかった。
また、それぞれの実施例における比表面積直径は、650℃までの加熱では340m/g弱程度と変わりなく、それより高い温度(例えば850℃以上)では加熱の温度が高くなるにつれて大きくなり、構成一次粒子同士の焼結が進んでいることが認められ、粒子材料の強度が高くなっていることが推測できる。
(試験2:有機物から成る被覆層の形成:その1)
実施例1−2の粒子材料(160℃で乾燥後850℃で焼結)を表3に示した配合量でミキサーに入れたのち、表3に示す有機物配合量(シラン化合物の量)に相当するシラン化合物溶液を撹拌しながら投入して表面処理を行った。シラン化合物溶液は、シラン化合物としてのビニルトリメトキシシラン(信越化学製KBM−1003)、IPA、水の等量混合液とした。
その後室温で1日放置して熟成させた後160℃2時間加熱し液成分を揮発させ実施例2−1〜2−3の複合凝集体を得た。この表面処理により粒子材料の表面に有機物からなる被覆層が形成された。
Figure 2021017557
表3より明らかなように、シラン化合物の処理量を多くすることで被覆層を厚くすることが可能になり、被覆層を厚くするにつれて屈折率が小さくなることが分かった。
(試験3:有機物から成る被覆層の形成:その2)
実施例1−0の粒子材料(160℃で乾燥のみ)を表4に示した配合量でミキサーに入れたのち、表4に示す有機物配合量(シラン化合物の量)に相当するシラン化合物溶液を撹拌しながら投入して表面処理を行った。シラン化合物溶液は、シラン化合物としてのビニルトリメトキシシラン(信越化学製KBM−1003)、IPA、水の等量混合液とした。
その後室温で1日放置して熟成させた後160℃2時間加熱し液成分を揮発させ実施例3−1〜3−3の複合凝集体を得た。この表面処理により粒子材料の表面に有機物からなる被覆層が形成された。
Figure 2021017557
表4より明らかなように、シラン化合物の添加量を増やして有機物からなる被覆層を厚くすることにより屈折率を小さくすることが可能になった。
(試験4:有機物から成る被覆層の形成:その3)
TEOSの添加量を表5に記載の量に変更した以外は、上述した実施例1−2と同様の方法にて実施例4−1、4−2、及び4−3の粒子材料を製造した。
Figure 2021017557
測定された屈折率の値は、TEOSの添加量を増加させることで屈折率を制御できることが分かった。
更に、実施例1−2、4−1、4−2、及び4−3の各粒子材料100質量部に対してメチルトリメトキシシラン(KBM−13、信越化学工業製)50質量部を反応させたものをそれぞれ実施例4−4、4−5、4−6、及び4−7の粒子材料として屈折率を測定した(表6)。
Figure 2021017557
表6より明らかなように、KBM−13により表面処理を行うことで屈折率を制御することが可能であることが分かった。KBM−13の処理により元の粒子材料の屈折率よりも小さくすることができた。
(試験5:表面にシリカの層を形成しない場合)
TEOSを添加しないこと以外は、試験1の実施例1−0〜1−7と同様の方法で粒子材料を製造し、それぞれ比較例1−0〜1−7の粒子材料とした。比較例の粒子材料は、全体がベーマイトまたはベーマイトが加熱により変化したγアルミナから形成されている。
比較例の粒子材料について比表面積、屈折率、XRDの結果を表7に示す。比較例1−0、1−1、1−2、1−3、1−4については測定したXRDスペクトルを図2に示し、比較例1−5〜1−7については測定したXRDスペクトルを図4に示す。
Figure 2021017557
表7より明らかなように、表面にシリカの層を有しないことで加熱により一次粒子同士の融着が進んで比表面積が小さくなっており、一次粒子の肥大化が認められた。そのため粒子の肥大化により光線の透過性に影響が生じることが分かった。また、1200℃で加熱した比較例1−4ではXRDによる測定したスペクトルにおける2θが45°〜49°と64°〜67°とにそれぞれ存在するピークの半値幅はそれぞれ0.2°となりγアルミナがα化していることが分かった。その結果、比表面積も小さくなって粒子の肥大化が認められた。このことからベーマイトの表面にシリカからなる層を形成することにより加熱によるαアルミナ化を抑制できることが分かった。
(試験6)
実施例2−2の粒子材料(屈折率=1.54)10質量部と東レダウコーニング製二液シリコーンOE−6631(屈折率=1.54、光透過率(450nm/1mm)=100%)100質量部を自転公転ミキサーで混合してシリコーン熱硬化物を得た。厚さ2mmの金型に入れて、150℃/1時間加熱して硬化させた。この硬化片の光透過率を測定したところ、99%(400nm/2mm)であった。また引っ張り強度は樹脂のみの強度を1として1.5であった。
(試験7)
実施例2−2の粒子材料(屈折率=1.52)20質量部と市販の水酸基含有アクリル樹脂/ブチルエーテル化メラミン樹脂からなるクリヤー塗料(硬化後の屈折率=1.51)100質量部をディスパーで混合してクリヤー塗料を得た。塗膜が30μmになるように板ガラスの表面に塗膜を作成した。
145℃/30分焼き付けしてクリヤー膜を得た。この膜の光透過率を測定したところ、99.8%(400nm/30μm)であった。この場合に膜厚2mmに換算すると光透過率は87%であった。また引っ張り強度は樹脂のみの強度を1として1.2であった。
(試験8)
実施例2−3の粒子材料(屈折率=1.52)30質量部とサンユレック製LE−1421(二液タイプ、屈折率1.51)100質量部を混合して厚さ300μmの板に成形した。
硬化条件は80℃/1時間+120℃/1時間であった。この板の光透過率を測定したところ、97%(400nm/300μm)であった。この場合に膜厚2mmに換算すると光透過率は82%であった。また曲げ弾性率は樹脂のみの弾性率を1として1.4であった。
(試験9)
実施例2−1の粒子材料(屈折率=1.59)20質量部と市販のポリカーボネート100質量部をニーダーで混練してペレットを得た。
射出成型して厚さ2mmのテストピースを作成した。光透過率を測定したところ、95%であった。曲げ弾性率は樹脂のみの弾性率を1として1.2であった。
(試験10)
実施例4−5の粒子材料にメチルトリメトキシシランで処理した粒子材料(屈折率=1.490)20質量部と市販のポリメチルメタクリレート100質量部をニーダーで混練してペレットを得た。射出成型して厚さ2mmのテストピースを作成した。光透過率を測定したところ、98%であった。また曲げ弾性率は樹脂のみの弾性率を1として1.2であった。
(試験11)
実施例2−1の粒子材料(屈折率=1.59)30質量部と三菱化学製透明PIタイプA(屈折率=1.60)100質量部(固形分換算を混合して流延法で厚さ100μmのフィルムを作成した。
このフィルムの光透過率を測定したところ、99%(400nm/100μm)であった。この場合に膜厚2mmに換算すると光透過率は82%であった。曲げ弾性率は樹脂のみの弾性率を1として1.1であった。
(試験12)
実施例2−2の粒子材料に対して、粒子材料の質量を基準として3質量%のグリシジルプロピルトリメトキシシランで処理した以外は試験7と同じように塗膜を作成した。膜の光透過率は98%(400nm/300μm)、引っ張り強度は試験7と比較して20%向上した。膜の光透過率は、膜厚2mmに換算すると光透過率は87%であった。曲げ弾性率は樹脂のみの弾性率を1として1.4であった。
(試験13)
実施例4−7の粒子材料(屈折率=1.42)30質量部とシリコーン樹脂(二液型:株式会社ダイセル製CELVENUS A1070(屈折率=1.41)100質量部を自転公転ミキサーで混合し、厚さ2mmの金型に入れて、80℃/1時間と150℃/4時間加熱して硬化させた。この硬化片の光透過率を測定したところ、92%(400nm/2mm)であった。また引っ張り強度は樹脂のみの強度を1として1.6であった。
(試験14)
比較例1−2の粒子材料について試験6と同様の方法にてテストピースを作成して光透過率を測定した。その結果、膜厚2mmに換算すると光透過率は10%未満であり不透明であった。引っ張り強度は樹脂のみの強度を1として1.5であった。
(試験15)
比較例1−4について試験8と同様の方法にてテストピースを作成して光透過率を測定した。その結果、膜厚2mmに換算すると光透過率は10未満%であり不透明であった。これはαアルミナ化に伴う粒子の肥大化により光線の散乱が生じたことによる影響であると推測される。また曲げ弾性率は樹脂のみの弾性率を1として1.6であった。
(試験16〜22)
粒子材料としてゲル法シリカ(富士シリシア製、サイリシア:比表面積285m/g)にて製造したものを採用した以外は、試験6、8、6〜11、及び13と同様の方法にてそれぞれ試験14〜22のテストピースを作成し、光透過率及び強度(引っ張り強度又は曲げ弾性率)を測定した。結果を表8に示す。
Figure 2021017557
表8より明らかなように、表面にシリカ層が形成されていないことから加熱により肥大化した粒子材料(比較例1−2及び1−4:試験例14及び15)や、従来から用いられているシリカの凝集体(ゲル法シリカ:試験例16〜22)では、樹脂中に分散させることによりある程度の強度向上は実現できるものの、透明性が充分で無いことが分かった。
(追加試験及び考察)
実施例4−1の粒子材料を製造する際にTEOSと共にコロイダルシリカを表9に示す量だけ添加して実施例5−1〜5−3を製造した。比較例5−1として、実施例4−1の粒子材料を製造する際にTEOSを除き、コロイダルシリカを表9に示す量だけ添加して製造した。
Figure 2021017557
表より明らかなように、TEOSを加えることによりコロイダルシリカを添加しても透明性を保ったまま(屈折率の測定が可能)であった。比較例5−1では外部と連通しない細孔が生じたために屈折率の測定ができなかったものと推測される。
(追加考察)
ベーマイトは高温にて加熱することでγアルミナに転移するため、この生成・消失を検討することで、ベーマイトからγアルミナへの転移が表面に存在するシリカによりどのように影響を受けるかを検討した。
具体的には、図3及び4の結果から、ベーマイトの消失及びγアルミナの生成を解析し、加熱温度の変化と表面のシリカの有無の影響を検討した。各ピークについて2θが38°、50°、64°、72°近傍のピークがベーマイト由来のピークであり、45°、67°近傍のピークがγアルミナ由来のピークである。上述のベーマイト由来の各ピークが全て存在し、その半値幅(FWHM)が全て狭い(例えば2.5°以下、好ましくは0.5°以下)である場合にベーマイトが主成分であると判断した。また、上述のγアルミナ由来の各ピークが全て存在し、その半値幅が全て0.5°以上(好ましくは3.0°以上)である場合にγアルミナが相当量生成したと判断した。解析結果を図5に示す。
今回の各試料は最初はベーマイトのみから構成されγアルミナは殆ど含有していないため、γアルミナ由来のピークが上述した基準で観測された場合にベーマイトからγアルミナへの転移が進行していることが分かる。更に、これらの試料について屈折率を測定し図5に合わせて示す。
図5より明らかなように、250℃で加熱した比較例1−5ではγアルミナ由来のピークは小さくベーマイトが主成分であったが、400℃で加熱した比較例1−6、450℃で加熱した比較例1−7と加熱温度を高くするにつれてγアルミナに転移されていることが分かったγアルミナに転移していることで屈折率も大きくなった。
それに対して表面をシリカで形成した実施例1−5〜1−7は、250℃(実施例1−5)、400℃(実施例1−6)、450℃(実施形態1−7)で加熱してもいずれもベーマイトが主成分でγアルミナの生成は殆ど認められなかった。屈折率も大きな変動を示さなかった。このように高温で加熱できることベーマイトのままで粒子材料間を強固に結合させることができた。
参考までに実施例1−0及び比較例1−0についてTG−DTA測定を行った結果を図6に示す。実施例1−0の試料は、460℃近傍にて吸熱ピークが認められ、この温度付近でベーマイトがγアルミナに転移していることが分かった。それに対して比較例1−0の試料は、420℃近傍にて吸熱ピークが認められ、この温度は表面をシリカにて形成している実施例1−0における吸熱ピークを示す温度よりも40℃低いものであった。
(試験B)実施例1
実施例5−4として、前述の実施例5−1(表9)のコロイダルシリカ配合量が5、比表面積直径が7.8、ベーマイト:シリカ(理論比)が45:55 になった以外は同じように調製した粒子材料を製造した。平均粒子径は10μm、屈折は1.53であった。
この実施例5−4の粒子材料をフィラーとして43部、アクリレート BPE-200(新中村化学工業)31部、同3G(新中村化学工業)69部に分散させ、ラジカル重合開始剤 Omnirad 651(I.G.M Resins.)1部を配合した後、ガラス板上に塗布し、365nmのLEDライトを用いて2分加熱し、透明膜を得た。この表面を、過マンガン酸カリウム溶液で洗浄し、表面100μm分の樹脂を除去して、粒子材料が最表面に露出している透明膜を得た。粒子材料が表面に露出しているかどうかはFE-SEMにより確認した。粒子形状が観察できれば粒子材料が十分に露出していると判断した(以下同じ)。この表面の水との接触角を測定したところ、0°であった。
実施例2
透明膜の表面を酸素プラズマアッシャで表面100μm分の樹脂を除去した以外は、実施例1と同様の方法で粒子材料が最表面に露出している透明膜を得た。この表面の水との接触角を測定したところ、0°であった。
実施例3
塗布する透明樹脂板をアクリル樹脂板にした以外は、実施例1と同様の方法で粒子材料が最表面に露出している透明膜を得た。この表面の水との接触角を測定したところ、0°であった。
実施例4
実施例1と同様の方法で粒子が最表面に露出している透明膜を得た。この透明膜の表面にさらに光触媒性コーティング膜(具体的にあげるなら石原産業さんの塗料 ST-K211等)を塗布し、この表面の水との接触角を測定したところ、0°であった。
比較例1
表面の樹脂を除去しない以外は実施例1と同じ方法で透明膜を作製した。この表面の水との接触角を測定したところ43°であった。
比較例2
粒子材料を4部にした以外は実施例1と同様の方法で透明膜を作製したが、100μm分の樹脂を除去しても最表面に樹脂が残った。この表面の水との接触角を測定したところ34°であった。樹脂材料を全く除去していない比較例1よりは接触角が小さくなり、表面にある程度の粒子材料は露出しているものと思われるが、今回用いた条件(粒子材料の種類、含有量など)では十分な露出ではなかった。
比較例3
粒子材料をアドマナノYA010C-SM1(アドマテックス)にした以外は実施例1と同様の方法で透明膜を作製した。この表面の水との接触角を測定したところ28°であった。粒子材料の露出はあったものと思われるが、粒子材料が凝集体でないために分解除去工程にて樹脂材料を除去するときに粒子材料の脱落が進行して表面における粒子材料の存在量が十分でなかったことが推察された。

Claims (11)

  1. フィラーを含有する透明樹脂材料からなる樹脂層を表面に有し、
    前記フィラーは、
    最表面において前記樹脂層をほぼ被覆しており、
    外部に連通する表面を基準とする比表面積直径が0.8nm以上80nm以下、表面の組成と内部の組成とが異なる無機物からなる一次粒子から構成され、
    脱水縮合により粒子間が結合・融着した凝集体である粒子材料を主成分とする、
    親水表面。
  2. 前記粒子材料は、
    前記一次粒子の表面を被覆する有機物からなる被覆層を有し、
    前記被覆層は、前記一次粒子の表面に対して、共有結合するか又は分子間力結合するかにより結合している請求項1に記載の親水表面。
  3. 前記有機物は、シラン化合物の縮合物である請求項2に記載の親水表面。
  4. 表面に酸化チタンを有する請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の親水表面。
  5. 前記凝集体の体積平均粒径は0.1μm以上500μm以下である請求項1〜4のうちの何れか1項に記載の親水表面。
  6. 前記一次粒子は、前記内部がベーマイト、前記表面がシリカから構成され、
    前記脱水縮合は250℃超での焼成により行われている請求項1〜5の何れか1項に記載の親水表面。
  7. 前記一次粒子は、前記内部がγアルミナ、前記表面がシリカから構成され、
    前記脱水縮合は900℃以上での焼成により行われている請求項1〜5の何れか1項に記載の親水表面。
  8. X線回折での2θが、
    45°〜49°と64°〜67°とにそれぞれ存在するピークの半値幅が0.5°以上であるか、
    37°〜39°と71°〜73°とにそれぞれ存在するピークの半値幅が2.5°以下であるか、又は、
    45°〜49°と64°〜67°とにそれぞれ存在するピークの半値幅が2.5°以下である、
    請求項1〜7のうちの何れか1項に記載の親水表面。
  9. 水との接触角が10°以下である請求項1〜8のうちの何れか1項に記載の親水表面。
  10. 前記樹脂層中の前記フィラーは、前記透明樹脂材料の質量を基準として、5%〜90%以下の含有量である請求項1〜9のうちの何れか1項に記載の親水表面。
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載の親水表面を製造する製造方法であって、
    前記透明樹脂材料中又は前記透明樹脂材料の前駆体中に前記フィラーを分散させて分散液とする分散液調製工程と、
    前記分散液を非処理対象物の表面にて成膜する成膜工程と、
    得られた膜表面の有機成分を分解除去する分解除去工程と、
    を有する親水表面の製造方法。
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