JP2021017473A - アクリレート共重合体及び、該アクリレート共重合体からなる有機モリブデン化合物の溶解分散安定化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、有機モリブデン化合物の溶解分散安定性を十分に向上させることができるアクリレート共重合体を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、炭素数2〜10のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a)と、炭素数11〜20のアルキル基を有するアルキルアクリレート(b)とを構成単量体として重合して得られるアクリレート共重合体であって、構成単量体中のアルキルアクリレート(a)の構成比率が構成単量体の全モル数に対して25〜65モル%であり、アルキルアクリレート(b)の構成比率が構成単量体の全モル数に対して35〜75モル%であり、重量平均分子量が5,000〜300,000である、アクリレート共重合体を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、有機モリブデン化合物の溶解分散安定化剤等として用いることができるアクリレート共重合体に関する。
機器及び機械類で使用される潤滑油やグリースは、焼き付き等をできるだけ抑え、機器及び機械類の寿命を延ばすことを目的として、極圧剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤といった摩擦抑制剤を添加することでその摩擦摩耗特性を向上させている。そのような摩擦抑制剤の中でも、特に摩擦低減効果が高い摩擦抑制剤として有機モリブデン化合物が知られている(特許文献1、2)。しかしながら、有機モリブデン化合物は、潤滑油やグリース等に用いる基油の種類や配合条件によっては、有機モリブデン化合物の溶解分散安定性の低さに起因して析出や沈殿が生じ、取扱い性の低下や摩擦摩耗特性等の低下などの問題が起こることが知られている。
このような課題を改善するため、特許文献3には、アニリン点が65℃以下の潤滑油基油に有機モリブデン化合物を含有させることで、有機モリブデン化合物を高濃度含有した場合でも溶解性に問題がない潤滑油組成物を提供できることが記載されている。特許文献4には、潤滑性基材と、特定のアルカノールアミン化合物と有機モリブデン化合物とを併用することにより、有機モリブデン化合物の基油への溶解性を向上できることが記載されている。特許文献5には、ポリオレフィンからなる高分子モノマーと(メタ)アクリレートモノマーの共重合体である粘度指数向上剤と、特定の潤滑油基油と、有機モリブデンとを含有してなる、モリブデン化合物の沈殿が発生せず、長期に安定した性能を発揮する潤滑油組成物が記載されている。特許文献6には、櫛型ポリマーを含む粘度指数向上剤と、モリブデン系摩擦調整剤と、特定の基油とを含む、優れた摩擦低減効果及び低温粘度特性を有し、さらに添加剤の溶解性も良好な潤滑油組成物が記載されている。
また、有機モリブデン化合物の溶解分散安定性に関する記載はないものの、特許文献7には、モリブデン系摩擦摩耗防止剤の効果を最大限に発揮できる粘度指数向上剤として、炭素数10以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単量体を70重量%以上含有する重合体からなる粘度指数向上剤が記載されている。同様に、特許文献8には、モリブデン系摩擦摩耗防止剤の性能を十分に発揮させる潤滑油として、アルキルアクリレート20〜70重量%と、アルキルメタクリレート80〜30重量%とを含有する重合体からなる粘度指数向上剤、モリブデン系摩擦摩耗防止剤、潤滑油基油を必須成分としてなる潤滑油が記載されている。
しかしながらこのような従来技術においては、潤滑油やグリースの保管時や使用時にさらされる様々な環境(特に低温環境)等に対して十分には有機モリブデン化合物の溶解分散性を向上させることができないために、その取扱い性や摩擦特性の発揮等に悪影響を与えることがあった。また、従来技術に記載の粘度指数向上剤等を溶解分散剤として用いた場合には、有機モリブデン化合物の溶解分散安定性はある程度向上される一方で、潤滑油やグリースの粘度の増加や摩擦低減効果の阻害などの影響も同時に発揮されてしまうため、潤滑油やグリースへの配合条件が事実上制限されるなどの問題もあった。
特開平7−53983号公報 特開平10−17586号公報 特開平11−172271号公報 特開2003−221588号公報 特開2012−201806号公報 特開2017−171864号公報 特開平7−300596号公報 特開平8−157855号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、有機モリブデン化合物の溶解分散安定性を十分に向上させることができるアクリレート共重合体を提供することにある。
そこで、本発明者等は鋭意検討した結果、有機モリブデン化合物の溶解分散安定性を十分に向上させることができるアクリレート共重合体を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、炭素数2〜10のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a)と、炭素数11〜20のアルキル基を有するアルキルアクリレート(b)とを構成単量体として重合して得られるアクリレート共重合体であって、構成単量体中のアルキルアクリレート(a)の構成比率が構成単量体の全モル数に対して25〜65モル%であり、アルキルアクリレート(b)の構成比率が構成単量体の全モル数に対して35〜75モル%であり、重量平均分子量が5,000〜300,000である、アクリレート共重合体に関する。
本発明のアクリレート共重合体は、有機モリブデン化合物の溶解分散安定性を十分に向上させることができる。
本発明のアクリレート共重合体を構成する構成単量体であるアルキルアクリレート(a)は、炭素数2〜10のアルキル基を有するアルキルアクリレートである。炭素数2〜10のアルキル基を有するアルキルアクリレートとしては、例えば、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート等の直鎖アルキルアクリレート;分岐プロピルアクリレート、分岐ブチルアクリレート、分岐ペンチルアクリレート、分岐ヘキシルアクリレート、分岐ヘプチルアクリレート、分岐オクチルアクリレート、分岐ノニルアクリレート、分岐デシルアクリレート等の分岐アルキルアクリレート等が挙げられる。これらの中でも、得られるアクリレート共重合体の溶解分散安定化性能及び諸特性の観点から、アルキルアクリレート(a)として、炭素数2〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートの少なくとも1種を用いることが好ましく、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及びエチルヘキシルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましく、エチルヘキシルアクリレートを用いることが更により好ましい。
本発明のアクリレート共重合体は、構成単量体中のアルキルアクリレート(a)の構成比率が構成単量体の全モル数に対して25〜65モル%である。本発明においては、アルキルアクリレート(a)の構成比率がこの範囲であることで、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を高めることができ、かつ潤滑油やグリースに配合した際の粘度の増加や摩擦低減効果の低下などの影響を抑えることができる。また、得られるアクリレート共重合体の溶解分散安定化性能及び諸特性の観点から、アルキルアクリレート(a)の構成比率は、構成単量体の全モル数に対して25〜60モル%であることが好ましく、30〜55モル%であることがより好ましく、40〜55モル%であることが更により好ましい。
本発明のアクリレート共重合体を構成する構成単量体であるアルキルアクリレート(b)は、炭素数11〜20のアルキル基を有するアルキルアクリレートである。炭素数11〜20のアルキル基を有するアルキルアクリレートとしては、例えば、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘプタデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノナデシルアクリレート、イコシルアクリレート等の直鎖アルキルアクリレート;分岐ウンデシルアクリレート、分岐ドデシルアクリレート、分岐トリデシルアクリレート、分岐テトラデシルアクリレート、分岐ペンタデシルアクリレート、分岐ヘキサデシルアクリレート、分岐ヘプタデシルアクリレート、分岐オクタデシルアクリレート、分岐ノナデシルアクリレート、分岐イコシルアクリレート等の分岐アルキルアクリレート等が挙げられる。これらの中でも、得られるアクリレート共重合体の溶解分散安定化性能及び諸特性の観点から、アルキルアクリレート(b)として、炭素数12〜18のアルキル基を有するアルキルアクリレートの少なくとも1種を用いることが好ましく、ラウリルアクリレート及びオクタデシルアクリレートの少なくともいずれかを用いることがより好ましく、オクタデシルアクリレートを用いることが更により好ましい。
本発明のアクリレート共重合体は、構成単量体中のアルキルアクリレート(b)の構成比率が構成単量体の全モル数に対して35〜75モル%である。本発明においては、アルキルアクリレート(b)の構成比率がこの範囲であることで、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を高めることができ、かつ潤滑油やグリースに配合した際の粘度の増加や摩擦低減効果の低下などの影響を抑えることができる。また、得られるアクリレート共重合体の溶解分散安定化性能及び諸特性の観点から、アルキルアクリレート(b)の構成比率は構成単量体の全モル数に対して40〜75モル%であることが好ましく、45〜70モル%であることがより好ましく、45〜60モル%であることが更により好ましい。
本発明においては、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を特に高める観点から、アルキルアクリレート(b)としてオクタデシルアクリレートを、構成単量体の全モル数に対して35〜75モル%含むことが特に好ましく、40〜60モル%含むことが更により好ましい。このとき、アルキルアクリレート(b)として他の炭素数11〜20のアルキル基を有するアルキルアクリレートを含んでいてもよい。
本発明のアクリレート共重合体を構成する構成単量体としては、アルキルアクリレート(a)及びアルキルアクリレート(b)の他に、ヒドロキシアルキルアクリレート(c)、芳香族アクリレート(d)を用いてもよい。
ヒドロキシアルキルアクリレート(c)としては、例えば、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシペンチルアクリレート等が挙げられる。これらの中でも、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を高める観点からは、ヒドロキシエチルアクリレート又はヒドロキシプロピルアクリレートを用いることが好ましい。
本発明のアクリレート共重合体は、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を高めることができ、かつ潤滑油やグリースに配合した際の粘度の増加や摩擦低減効果の低下などの影響を抑える観点からは、構成単量体中のヒドロキシアルキルアクリレート(c)の構成比率が構成単量体の全モル数に対して0〜20モル%であることが好ましく、0〜10モル%であることがより好ましい。
芳香族アクリレート(d)としては、例えば、ベンジルアクリレート、メチルベンジルアクリレート、ジメチルベンジルアクリレート、エチルベンジルアクリレート、フェネチルアクリレート、プロペニルアクリレート、ブテニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシプロピルアクリレート等の芳香環及びアクリレート基を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を高める観点からは、ベンジルアクリレート又はメチルベンジルアクリレートを用いることが好ましい。
本発明のアクリレート共重合体は、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を高めることができ、かつ潤滑油やグリースに配合した際の粘度の増加や摩擦低減効果の低下などの影響を抑える観点からは、構成単量体中の芳香族アクリレート(d)の構成比率が構成単量体の全モル数に対して0〜20モル%であることが好ましく、0〜10モル%であることがより好ましい。
本発明のアクリレート共重合体は、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を高めることができ、かつ潤滑油やグリースに配合した際の粘度の増加や摩擦低減効果の低下などの影響を抑える観点からは、構成単量体中のアルキルアクリレート(a)の構成比率とアルキルアクリレート(b)の構成比率の合計が、構成単量体の全モル数に対して80〜100モル%であることが好ましく、90〜100モル%であることがより好ましく、95〜100モル%であることが更により好ましく、100モル%であることが特に好ましい。またこのとき、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を高める観点からは、構成単量体中のアルキルアクリレート(a)の構成比率とアルキルアクリレート(b)の構成比率とのモル比が、25:75〜65:35であることが好ましく、25:75〜60:40であることがより好ましく、30:70〜55:45であることが更により好ましく、40:60〜55:45であることが更により好ましい。
本発明のアクリレート共重合体の重量平均分子量が5,000〜300,000である。重量平均分子量が5,000未満では、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を高めることができない場合があり、300,000を超えると、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を高めることができない場合や、潤滑油やグリースに配合した際の粘度の増加や摩擦低減効果の低下などの影響が大きくなる場合がある。得られるアクリレート共重合体の溶解分散安定化性能及び諸特性の観点からは、アクリレート共重合体の重量平均分子量は10,000〜200,000であることが好ましく、12,000〜150,000であることがより好ましい。本発明のアクリレート共重合体の重量平均分子量は、構成単量体の反応温度及び反応時間を調整したり、反応時にブタンチオール、オクタンチオール、オクタデカンチオール、ドデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、ドデシルメルカプタン、エチレングリコールビスチオグリコレート等の反応調整剤を添加したりすることにより制御できる。なお、本明細書に記載する「重量平均分子量」は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により求めることができる。また、本発明のアクリレート共重合体の重合形態は特に限定されず、構成単量体のブロック共重合体、ランダム共重合体、あるいはブロック/ランダム共重合体のいずれであってもよい。
本発明のアクリレート共重合体は、構成単量体としてメタクリレート系単量体を用いないことで、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散性を高めることができ、かつ潤滑油やグリースに配合した際の粘度の増加や摩擦低減効果の低下などの影響を抑えることができる。本発明のアクリレート共重合体は、このような特性を有することで、一般的に様々な添加剤と併用して用いる潤滑油やグリース等に対して、配合条件に大きな制限や悪影響を与えることなく、有機モリブデン化合物の溶解分散安定化剤等として用いることができ、具体的には、0℃、より厳しくは−5℃、更に厳しくは−20℃といった低温環境下にさらされたとしても、基油中に分散・溶解した有機モリブデン化合物が沈殿・析出することを防ぐことができる。
前記メタクリレート系単量体として、アルキルメタクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、芳香族メタクリレート等が挙げられる。アルキルメタクリレートとしては、例えば、炭素数2〜20の直鎖アルキル基を有するアルキルメタクリレート、炭素数3〜20の分岐アルキル基を有するアルキルメタクリレートが挙げられる。ヒドロキシアルキルメタクリレートとしては、例えば、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシペンチルメタクリレート等が挙げられる。芳香族メタクリレートとしては、ベンジルメタクリレート、メチルベンジルメタクリレート、ジメチルベンジルメタクリレート、エチルベンジルメタクリレート、フェネチルメタクリレート、プロペニルメタクリレート、ブテニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
本発明のアクリレート共重合体の製造方法は特に指定されず、公知の方法であればいずれの方法で製造してもよく、例えば、塊状重合、乳化重合、懸濁重合、溶液重合等の方法により構成単量体を重合反応させることで製造することができる。また、アクリレート共重合体を鉱物油や合成油等の基油に添加して使用する場合は、乳化重合や懸濁重合のように水を溶媒として使用する重合方法より、塊状重合や溶液重合が好ましく、溶液重合がより好ましい。
溶液重合による具体的な方法としては、例えば、溶媒及び構成単量体を含む原料を一括若しくは分割して反応器に仕込んだ後、50〜120℃程度に昇温し、構成単量体全モル数に対して0.01〜10モル%の量の開始剤を一括或いは分割して添加し、1〜20時間ほど攪拌して反応させればよい。また、構成単量体と触媒を一括して仕込んでから50〜120℃に昇温し、1〜20時間ほど攪拌して反応させてもよい。
使用できる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メトキシブタノール、エトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油或いはこれらを水素化精製、溶剤脱れき、溶剤抽出、溶剤脱ろう、水添脱ろう、接触脱ろう、水素化分解、アルカリ蒸留、硫酸洗浄、白土処理等の精製した精製鉱油等の鉱物油;ポリ−α−オレフィン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリフェニルエーテル、アルキル置換ジフェニルエーテル、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、ヒンダードエステル、モノエステル、GTL(Gas to Liquids)等の合成油及びこれらの混合物等が挙げられる。
使用できる開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス−(N,N−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、1,1’−アゾビス(シクロヘキシル−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化水素及び過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、過安息香酸等の有機過酸化物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素−Fe3+等のレドックス開始剤、その他既存のラジカル開始剤等が挙げられる。
本発明のアクリレート共重合体の使用態様は特に限定されないが、例えば、潤滑油添加剤、燃料油添加剤、作動油添加剤、金属加工油添加剤、グリース添加剤等として好適に使用される。これらの中でも、潤滑油用添加剤として用いることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、上述したアクリレート共重合体と、下記の一般式(1)で表される有機モリブデン化合物と、基油とを含有する潤滑油組成物である、
Figure 2021017473
上記一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数4〜18の炭化水素基を表し、こうした基としては、例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基及びこれら全ての異性体等の飽和脂肪族炭化水素基;ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基及びこれら全ての異性体等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基及びこれら全ての異性体等の芳香族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基及びこれら全ての異性体等のシクロアルキル基等が挙げられる。中でも、得られる潤滑油組成物の溶解分散安定性及び摩擦摩耗特性の観点から、炭素数4〜18の飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数4〜18の飽和脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数8〜14の飽和脂肪族炭化水素基が更により好ましく、炭素数8と13の飽和脂肪族炭化水素基が最も好ましい。
また、一般式(1)において、X〜Xは、それぞれ独立して硫黄原子又は酸素原子を表す。中でも、X及びXが硫黄原子であることが好ましく、X及びXが硫黄原子でありX及びXが酸素原子であることがより好ましい。
本発明に使用できる基油としては特に制限はなく、使用目的や条件に応じて適宜、鉱物油、化学合成油、動植物油及びこれらの混合油等から選ばれる。ここで、鉱物油としては、例えば、パラフィン基系原油、ナフテン基系原油又は中間基系原油を常圧蒸留するか、或いは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油又はこれらを常法に従って精製することによって得られる精製油、具体的には溶剤精製油、水添精製油、脱ロウ処理油及び白土処理油等が挙げられる。
化学合成油としては、例えば、ポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、モノエステル、ジエステル、ポリオールエステル、ケイ酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、シリコーン、フッ素化化合物、アルキルベンゼン及びGTL基油等が挙げられ、これらの中でも、ポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、ジエステル及びポリオールエステル等は汎用的に使用することができる。ポリ−α−オレフィンとしては例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン及び1−テトラデセン等をポリマー化又はオリゴマー化したもの、或いはこれらを水素化したもの等が挙げられる。ジエステルとしては例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等の2塩基酸と、2−エチルヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール及びトリデカノール等のアルコールのジエステル等が挙げられる。ポリオールエステルとしては例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトール等のポリオールと、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸等の脂肪酸とのエステル等が挙げられる。
動植物油としては、例えば、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、綿実油及びヤシ油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油及び鯨油等の動物性油脂が挙げられ、これらの1種を用いても2種以上を用いてもよい。また必要に応じ、これらの油を高度に精製し硫黄等の不純物量を低減させた高度精製基油を用いてもよい。
本発明に使用する基油としては、有機モリブデン化合物の溶解分散安定性及び、得られる潤滑油組成物の摩擦摩耗特性並びに粘度特性の観点から、100℃での動粘度が1.0〜7.8mm/sであることが好ましく、2.0〜6.5mm/sであることがより好ましく、2.5〜4.5mm/sであることが更により好ましい。本発明においては、前述した基油の1種又は2種以上を用いることができるが、2種以上の基油を用いる場合は、その混合基油の粘度が上述した範囲内であることが好ましい。なお本発明において、100℃での動粘度は、JIS K 2283に準拠して測定される値である。
本発明の潤滑油組成物中のアクリレート共重合体の含有量は特に限定されないが、有機モリブデン化合物の溶解分散安定性、潤滑油組成物の摩擦摩耗特性、粘度特性等の観点から、例えば、潤滑油組成物全量に対して0.01〜10.0質量%であることが好ましく、0.05〜6.0質量%であることがより好ましく、0.10〜4.0質量%であることが更により好ましく、0.15〜3.0質量%であることが更により好ましい。
本発明の潤滑油組成物中の前記有機モリブデン化合物の含有量は特に限定されないが、摩擦低減効果を発揮すると共に溶解分散安定性に優れる潤滑油組成物を得る観点からは、モリブデン原子換算量で200〜2000質量ppmであることが好ましい。潤滑油組成物の摩擦低減効果の観点からは、潤滑油組成物中の前記有機モリブデン化合物の含有量は、モリブデン原子換算量で300〜1800質量ppmであることが好ましく、500〜1800質量ppmであることがより好ましく、600〜1600質量ppmであることが更により好ましい。
本発明の潤滑油組成物中の、前記アクリレート共重合体の含有量と、前記有機モリブデン化合物に由来するモリブデン原子含有量との比は特に限定されないが、摩擦摩耗特性、粘度特性等に優れる潤滑油組成物を得る観点からは、アクリレート共重合体の含有量と有機モリブデン化合物に由来するモリブデン原子含有量との比が質量比で400:1〜1:1であることが好ましく、200:1〜2:1であることがより好ましく、100:1〜2:1であることが更により好ましく、50:1〜3:1であることが更により好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、摩擦特性、摩耗特性、酸化安定性、温度安定性、保存安定性、清浄性、防錆性、腐食防止性、取扱い性等の観点等から、さらに使用目的に応じて公知の添加剤の添加を拒むものではなく、例えば、公知の酸化防止剤、摩擦低減剤、耐摩耗剤、油性向上剤、清浄剤、分散剤、粘度指数向上剤、防錆剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、消泡剤等の1種又は2種以上を添加してもよく、これらの添加剤は合計で、潤滑油組成物全量に対し、例えば0.01〜50質量%の量で含有することができる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−ターシャリブチルフェノール(以下、ターシャリブチルをt−ブチルと略記する。)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ステアリル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オレイル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ドデシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸デシル、テトラキス{3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニルオキシメチル}メタン、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸グリセリンモノエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸とグリセリンモノオレイルエーテルとのエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ブチレングリコールジエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸チオジグリコールジエステル、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、トリス{(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル}イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ビス{2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル}サルファイド、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラフタロイル−ジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルサルファイド)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−{ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)}プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−リン酸ジエステル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス{3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グリコールエステル等のフェノール系酸化防止剤;1−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、p−オクチルフェニル−1―ナフチルアミン、p−ノニルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジオクチル−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニルオクチル−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系酸化防止剤;ジピリジルアミン、ジフェニルアミン、p,p’−ジ−n−ブチルジフェニルアミン、p,p’−ジ−t−ブチルジフェニルアミン、p,p’−ジ−t−ペンチルジフェニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、p,p’−ジノニルジフェニルアミン、p,p’−ジデシルジフェニルアミン、p,p’−ジドデシルジフェニルアミン、p,p’−ジスチリルジフェニルアミン、p,p’−ジメトキシジフェニルアミン、4,4’−ビス(4−α,α−ジメチルベンゾイル)ジフェニルアミン、p−イソプロポキシジフェニルアミン、ジピリジルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤;フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、フェノチアジンカルボン酸エステル、フェノセレナジン等のフェノチアジン系酸化防止剤;亜鉛ジチオホスフェートが挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜4質量%である。
耐摩耗剤としては、例えば、硫化油脂、オレフィンポリスルフィド、硫化オレフィン、ジベンジルスルフィド、エチル−3−[[ビス(1−メチルエトキシ)フォスフィノチオイル]チオ]プロピオネート、トリス−[(2、又は4)−イソアルキルフェノール]チオフォスフェート、3−(ジ−イソブトキシ−チオホスホリルスルファニル)−2−メチル−プロピオン酸、トリフェニルフォスフォロチオネート、β−ジチオホスフォリル化プロピオン酸、メチレンビス(ジブチルジチオカーバメイト)、O,O−ジイソプロピル−ジチオフォスフォリルエチルプロピオネート、2,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブタンチオ)1,3,4−チアジアゾール、及び2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール等の硫黄系添加剤;モノオクチルフォスフェート、ジオクチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、モノフェニルフォスフェート、ジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、モノイソプロピルフェニルフォスフェート、ジイソプロピルフェニルフォスフェート、トリイソプロピルフェニルフォスフェート、モノターシャリーブチルフェニルフォスフェート、ジ−tert−ブチルフェニルフォスフェート、トリ−tert−ブチルフェニルフォスフェート、トリフェニルチオフォスフェート、モノオクチルフォスファイト、ジオクチルフォスファイト、トリオクチルフォスファイト、モノブチルフォスファイト、ジブチルフォスファイト、トリブチルフォスファイト、モノフェニルフォスファイト、ジフェニルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、モノイソプロピルフェニルフォスファイト、ジイソプロピルフェニルフォスファイト、トリイソプロピルフェニルフォスファイト、モノ−tert−ブチルフェニルフォスファイト、ジ−tert−ブチルフェニルフォスファイト、及びトリ−tert−ブチルフェニルフォスファイト等のリン系化合物;一般式(2)で表されるジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、ジチオリン酸金属塩(Sb,Mo等)、ジチオカルバミン酸金属塩(Zn,Sb等)、ナフテン酸金属塩、脂肪酸金属塩、リン酸金属塩、リン酸エステル金属塩、及び亜リン酸エステル金属塩等の有機金属化合物;その他、ホウ素化合物、モノ及びジヘキシルフォスフェートのアルキルアミン塩、リン酸エステルアミン塩、及びトリフェニルチオリン酸エステルとtert−ブチルフェニル誘導体の混合物等が挙げられる。
Figure 2021017473
上記一般式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表し、こうした基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びイコシル基等の1級アルキル基;2級プロピル基、2級ブチル基、2級ペンチル基、2級ヘキシル基、2級ヘプチル基、2級オクチル基、2級ノニル基、2級デシル基、2級ウンデシル基、2級ドデシル基、2級トリデシル基、2級テトラデシル基、2級ペンタデシル基、2級ヘキサデシル基、2級ヘプタデシル基、2級オクタデシル基、2級ノナデシル基、及び2級イコシル基等の2級アルキル基;3級ブチル基、3級ペンチル基、3級ヘキシル基、3級ヘプチル基、3級オクチル基、3級ノニル基、3級デシル基、3級ウンデシル基、3級ドデシル基、3級トリデシル基、3級テトラデシル基、3級ペンタデシル基、3級ヘキサデシル基、3級ヘプタデシル基、3級オクタデシル基、3級ノナデシル基、及び3級イコシル基等の3級アルキル基;分岐ブチル基(イソブチル基等)、分岐ペンチル基(イソペンチル基等)、分岐ヘキシル基(イソヘキシル基)、分岐ヘプチル基(イソヘプチル基)、分岐オクチル基(イソオクチル基、2−エチルヘキシル基等)、分岐ノニル基(イソノニル基等)、分岐デシル基(イソデシル基等)、分岐ウンデシル基(イソウンデシル基等)、分岐ドデシル基(イソドデシル基等)、分岐トリデシル基(イソトリデシル基等)、分岐テトラデシル基(イソテトラデシル基)、分岐ペンタデシル基(イソペンタデシル基等)、分岐ヘキサデシル基(イソヘキサデシル基)、分岐ヘプタデシル基(イソヘプタデシル基等)、分岐オクタデシル基(イソオクタデシル基等)、分岐ノナデシル基(イソノナデシル基等)、及び分岐イコシル基(イソイコシル基等)等の分岐アルキル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、及びベンジルフェニル基等のアリール基等が挙げられる。これら摩耗防止剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.01〜3質量%、より好ましくは0.05〜2質量%である。
油性向上剤としては、例えば、オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸類;オレイルグリセリンエステル、ステアリルグリセリンエステル、ラウリルグリセリンエステル等のエステル類;ラウリルアミド、オレイルアミド、ステアリルアミド等のアミド類;ラウリルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン等のアミン類;ラウリルグリセリンエーテル、オレイルグリセリンエーテル等のエーテル類が挙げられる。これら油性向上剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜3質量%である。
清浄剤としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのスルフォネート、フェネート、サリシレート、フォスフェート及びこれらの過塩基性塩が挙げられる。これらの中でも、TBN(全塩基価)が30〜500mgKOH/gの清浄剤が好ましい。清浄剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.5〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%である。また、潤滑油組成物中の清浄剤に由来するカルシウム原子含有量は特に限定されないが、清浄性等の観点から、潤滑油組成物中の清浄剤に由来するカルシウム原子含有量は100〜3000質量ppmであることが好ましく、200〜2500質量ppmであることが好ましい。また、潤滑油組成物中の清浄剤に由来するマグネシウム原子含有量は特に限定されないが、清浄性等の観点から、潤滑油組成物中の清浄剤に由来するマグネシウム原子含有量は50〜2000質量ppmであることが好ましく、100〜1000質量ppmであることが好ましい。
無灰分散剤としては、潤滑剤に用いられる任意の無灰分散剤であれば特に制限なく用いることができるが、例えば、炭素数40〜400の直鎖、若しくは分枝状のアルキル基、又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物、又はその誘導体等が挙げられる。具体的には、コハク酸イミド、コハク酸アミド、コハク酸エステル、コハク酸エステル−アミド、ベンジルアミン、ポリアミン、ポリコハク酸イミド及びマンニッヒ塩基等が挙げられ、その誘導体としては、これら含窒素化合物にホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素化合物、チオリン酸、チオリン酸塩等のリン化合物、有機酸及びヒドロキシポリオキシアルキレンカーボネート等を作用させたもの等が挙げられる。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が40未満の場合は化合物の基油に対する溶解性が低下する場合があり、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が400を越える場合は、潤滑油組成物の低温流動性が悪化する場合がある。これらの無灰分散剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.5〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%である。
防錆剤としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、酸化パラフィンワックスカルシウム塩、酸化パラフィンワックスマグネシウム塩、牛脂脂肪酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアミン塩、アルケニルコハク酸又はアルケニルコハク酸ハーフエステル(アルケニル基の分子量は100〜300程度)、ソルビタンモノエステル、ノニルフェノールエトキシレート、ラノリン脂肪酸カルシウム塩等が挙げられる。これらの防錆剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.01〜3質量%、より好ましくは0.02〜2質量%である。
腐食防止剤、金属不活性化剤としては、例えば、トリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール又はこれら化合物の誘導体である、2−ヒドロキシ−N−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ベンズアミド、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−[(1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル]アミン、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−[(1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル]アミン及び2,2’−[[(4又は5又は1)−(2−エチルヘキシル)−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メチル]イミノ]ビスエタノール等が挙げられ、他にもビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸、ヒドロキシホスホノ酢酸、テトラアルキルチウラムジサルファイド、N’1,N’12−ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)ドデカンジハイドラジド、3−(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニル)−N’−(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロパノイル)プロパンハイドラジド、テトラプロぺニルコハク酸と1,2−プロパンジオールのエステル化物、ジソディウムセバケート、(4−ノニルフェノキシ)酢酸、モノ及びジヘキシルフォスフェートのアルキルアミン塩、トリルトリアゾールのナトリウム塩及び(Z)−N−メチルN−(1−オキソ9−オクタデセニル)グリシン等が挙げられる。これら腐食防止剤、金属不活性化剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.01〜3質量%、より好ましくは0.02〜2質量%である。
消泡剤としては、例えば、ポリジメチルシリコーン、ジメチルシリコーンオイル、トリフルオロプロピルメチルシリコーン、コロイダルシリカ、アルコールエトキシ/プロポキシレート、脂肪酸エトキシ/プロポキシレート及びソルビタン部分脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの消泡剤の好ましい配合量は、潤滑油組成物全量に対して0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.001〜0.01質量%である。
本発明の潤滑油組成物は、摩擦摩耗特性及び省燃費性の観点から、100℃での動粘度が1.0〜8.3mm/sであることが好ましく、2.0〜7.8mm/sであることがより好ましく、2.5〜6.5mm/sであることが更により好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、車両用潤滑油(例えば、自動車やオートバイ等のガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油等)、工業用潤滑油(例えば、ギヤ油、タービン油、油膜軸受油、冷凍機用潤滑油、真空ポンプ油、圧縮用潤滑油、多目的潤滑油等)等に使用することができる。中でも、本発明の潤滑油組成物は、摩擦摩耗特性及び諸特定の観点から、車両用潤滑油に好適に使用することができる。
本発明の有機モリブデン化合物の基油への溶解分散安定性を向上させる方法は、上述したアクリレート共重合体を、下記の一般式(1)で表される有機モリブデン化合物を含む基油に添加する方法である。
Figure 2021017473
(式中、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数4〜18の炭化水素基を表し、X〜Xはそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を表す。)
なお、R〜R及びX〜Xの具体的な説明は上述の通りである。
本発明に用いることができるアクリレート共重合体、有機モリブデン化合物、基油としては、それぞれ上述したものを用いることができる。また、本発明におけるアクリレート共重合体、有機モリブデン化合物、基油の配合量等についても、上述した潤滑油組成物の配合条件と同様の条件とすることができる。
本発明の有機モリブデン化合物の基油への溶解分散安定性を向上させる方法における、上述したアクリレート共重合体を、下記の一般式(1)で表される有機モリブデン化合物を含む基油に添加する際の添加方法及び添加条件は特に限定されないが、例えば、基油の温度が常温〜120℃で添加し、必要に応じて撹拌混合する方法等が挙げられる。
本発明の有機モリブデン化合物の基油への溶解分散安定性を向上させる方法の使用態様は特に限定されないが、例えば、有機モリブデン化合物及び基油を含有する潤滑油、燃料油、作動油、金属加工油、グリース等に好適に使用される。これらの中でも、有機モリブデン化合物及び基油を含有する潤滑油に用いることが好ましい。本発明によれば、有機モリブデン化合物を基油に配合した場合(基油中に有機モリブデン化合物を溶解及び/又は分散させた場合)に、低温環境下など有機モリブデン化合物が沈殿・析出しやすい環境下においてもその沈殿・析出を防ぐことができ、よって潤滑油組成物の取り扱い性の向上や、潤滑油組成物の摩擦特性等の特性を良好に保つことができる。
また、本発明の有機モリブデン化合物の基油への溶解分散安定性を向上させる方法によれば、上述したアクリレート共重合体を有機モリブデン化合物の溶解分散安定化剤として用いることができる。上述したアクリレート共重合体の有機モリブデン化合物の溶解分散安定化剤としての使用態様は特に限定されないが、例えば、潤滑油添加剤、燃料油添加剤、作動油添加剤、金属加工油添加剤、グリース添加剤等として好適に使用される。これらの中でも、潤滑油用添加剤として用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
<実施例1>
反応容器中に、溶媒としてエチレングリコールメチルエーテル100g、高度精製鉱物油(100℃動粘度3.12mm/s、粘度指数112)100gを投入し、110℃に昇温した。そこに、アルキルアクリレート(a)としてエチルアクリレート(アルキルアクリレート(a−1))15.15g(0.151モル)、アルキルアクリレート(b)としてラウリルアクリレート(アルキルアクリレート(b−1))84.85g(0.353モル)、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.828gを滴下し、4時間攪拌することで重合反応を行い、アクリレート共重合体1を製造した。その後、115〜125℃に昇温しながら減圧(0.2〜1.0kPa)することでエチレングリコールメチルエーテルを除去し、アクリレート共重合体溶液を調製した。得られたアクリレート共重合体中の構成単量体の構成比率(モル比)及び得られたアクリレート共重合体の重量平均分子量を表1に示す。
なお、上記100℃動粘度は、Anton Paar社製のstabinger viscometer 「SVM 3000」を用いてJIS K 2283に準拠して測定された。また、アクリレート共重合体の重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒としたGPCの測定結果からポリスチレン換算で算出した。
<実施例2〜4、比較例1〜8>
構成単量体の種類及び構成比率をそれぞれ表1の通りに変更(実施例2及び4は、さらにオクタンチオールを構成単量体全モル数に対して2モル%添加)した以外は実施例1に記載の方法と同様の方法により、本発明のアクリレート共重合体2〜4及び比較例のアクリレート共重合体A〜Hを製造した。得られたアクリレート共重合体の重量平均分子量を表1に示す。
Figure 2021017473
<実施例5>
基油1(100℃動粘度3.2mm/s、粘度指数154の化学合成油ベースのエンジンオイル)に、実施例1で製造したアクリレート共重合体(アクリレート共重合体1)を2.0質量%、有機モリブデン化合物1(一般式(1)において、R、Rが炭素数8のアルキル基であり、R、Rが炭素数13のアルキル基であり、X、Xが硫黄原子であり、X、Xが酸素原子であるモリブデンジチオカルバメート)をモリブデン原子換算量で800質量ppm添加し、80℃で10分間混合することで潤滑油組成物を調製した。
<実施例6〜8、比較例9〜15>
潤滑油組成物の配合条件を表2の通りにそれぞれ変更した以外は、実施例5と同様の方法により潤滑油組成物を調製した。表2において、有機モリブデン化合物1の配合量は、モリブデン原子換算量を表す。
<溶解分散安定性の評価(1)>
実施例5〜8、比較例9〜15で調製した潤滑油組成物について、下記の方法により溶解分散安定性を評価した。具体的には、透明容器に入れた各潤滑油組成物を−5℃の環境下に静置し、1日後の潤滑油組成物の目視での観察結果を下記基準に基づき評価することで、溶解分散安定性を評価した。評価結果を表2に示す。
<溶解分散安定性の評価基準>
◎:沈殿物や析出物は観察されなかった
○:沈殿物や析出物がわずかに観察されたが、取扱い性に影響はない
×:沈殿物や析出物が容器底部に堆積しており、取扱い性に乏しい
<実施例9〜14、比較例16〜19>
潤滑油組成物の配合条件を表3の通りにそれぞれ変更した以外は、実施例5と同様の方法により潤滑油組成物を調製した。なお比較例18、19に使用した共重合体Iは、通常粘度指数向上剤として用いられるポリメタクリレート系共重合体(炭素数15〜30のアルキル基を有するアルキルメタクリレートの共重合体、重量平均分子量210,000)を表す。表3において、有機モリブデン化合物1の配合量は、モリブデン原子換算量を表す。
<溶解分散安定性の評価(2)>
実施例9〜14、比較例16〜19で調製した潤滑油組成物について、下記の方法により溶解分散安定性を評価した。具体的には、各潤滑油組成物を0℃の環境下に静置し、7日後の潤滑油組成物の目視での観察結果を前述の溶解分散安定性の評価基準に基づき評価することで、溶解分散安定性を評価した。評価結果を表3に示す。
<実施例15〜19、比較例20>
潤滑油組成物の配合条件を表4の通りにそれぞれ変更した以外は、実施例5と同様の方法により潤滑油組成物を調製した。表4において、有機モリブデン化合物1の配合量は、モリブデン原子換算質量を表す。
<溶解分散安定性の評価(3)>
実施例15〜19、比較例20で調製した潤滑油組成物について、下記の方法により溶解分散安定性を評価した。具体的には、各潤滑油組成物を−20℃の環境下に静置し、7日後の潤滑油組成物の目視での観察結果を前述の溶解分散安定性の評価基準に基づき評価することで、溶解分散安定性を評価した。評価結果を表4に示す。
Figure 2021017473
Figure 2021017473
Figure 2021017473
上記の結果から、本発明のアクリレート共重合体は、特に有機モリブデン化合物の溶解分散安定性が特に問題となる0℃、−5℃、−20℃といった低温環境下に静置した場合においても有機モリブデン化合物の沈殿・析出を防ぐことができ、良好な溶解分散性を発揮できることが判る。
<実施例20〜21、比較例21〜23>
潤滑油組成物の配合条件を表5の通りにそれぞれ変更した以外は、実施例5と同様の方法により潤滑油組成物を調製した。表5において、有機モリブデン化合物1の配合量は、モリブデン原子換算量を表す。
Figure 2021017473
<溶解分散安定性の評価(4)>
実施例20〜21、比較例21〜23で調製した潤滑油組成物について、下記の方法により溶解分散安定性を評価した。具体的には、各潤滑油組成物を−20℃の環境下に静置し、7日後の潤滑油組成物の目視での観察結果を前述の溶解分散安定性の評価基準に基づき評価することで、溶解分散安定性を評価した。評価結果を表5に示す。
<粘度特性の評価>
実施例20〜21、比較例21〜23で調製した潤滑油組成物について、Anton Paar社製のstabinger viscometer 「SVM 3000」を用いてJIS K 2283に準拠して100℃での動粘度(mm/s)を測定した。測定結果を表5に示す。
上記の結果から、本発明のアクリレート共重合体によれば、有機モリブデン化合物の溶解分散安定性を向上させ、有機モリブデン化合物の沈殿・析出を防ぐと共に、潤滑油やグリースに配合した際の粘度の増加や摩擦低減効果の低下などの影響を抑えることができることが判る。

Claims (10)

  1. 炭素数2〜10のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a)と、炭素数11〜20のアルキル基を有するアルキルアクリレート(b)とを構成単量体として重合して得られるアクリレート共重合体であって、構成単量体中のアルキルアクリレート(a)の構成比率が構成単量体の全モル数に対して25〜65モル%であり、アルキルアクリレート(b)の構成比率が構成単量体の全モル数に対して35〜75モル%であり、重量平均分子量が5,000〜300,000である、アクリレート共重合体。
  2. アクリレート共重合体の構成単量体中の、アルキルアクリレート(a)の構成比率とアルキルアクリレート(b)の構成比率の合計が構成単量体の全モル数に対して80〜100モル%である、請求項1に記載のアクリレート共重合体。
  3. アルキルアクリレート(b)が炭素数18のアルキル基を有するアルキルアクリレートを含む、請求項1又は2に記載のアクリレート共重合体。
  4. 前記構成単量体としてメタクリレート系単量体を含まない、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリレート共重合体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリレート共重合体からなる、有機モリブデン化合物の溶解分散安定化剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリレート共重合体と、下記の一般式(1)で表される有機モリブデン化合物と、基油とを含有する潤滑油組成物。
    Figure 2021017473
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数4〜18の炭化水素基を表し、X〜Xはそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を表す。)
  7. 潤滑油組成物中の前記有機モリブデン化合物の含有量が、モリブデン原子換算量で200〜2000質量ppmである、請求項6に記載の潤滑油組成物。
  8. 潤滑油組成物中の、アクリレート共重合体の含有量と、前記有機モリブデン化合物に由来するモリブデン原子含有量との比が、質量比で400:1〜1:1である、請求項6又は7に記載の潤滑油組成物。
  9. 基油の100℃動粘度が1.0〜7.8mm/sである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリレート共重合体を、下記の一般式(1)で表される有機モリブデン化合物を含む基油に添加する、有機モリブデン化合物の基油への溶解分散安定性を向上させる方法。
    Figure 2021017473
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数4〜18の炭化水素基を表し、X〜Xはそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子を表す。)
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