JP2021017416A - Alk2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ALK2の切断活性を有するADAM19又はその断片を含有する、ALK2の変異を有する疾患の治療、又は予防用医薬組成物の提供。【解決手段】特定のアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、又は該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ発現ベクターを含有する、ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物。ALK2の変異を有する疾患としては、進行性骨化性線維異形成症、又はびまん性橋膠腫。【選択図】なし
Description
本開示は、ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物等に関する。
進行性骨化性線維異形成症(Fibrodysplasia Ossificans Progressiva:FOP)は、筋肉組織、腱、靭帯が骨組織に変化し硬化する症状を示す疾患である。200万人に1人の割合で発症し、日本では指定難病272に指定されおり、有効な治療法の開発が望まれている。
びまん性橋膠腫(Diffuse Intrinsic Pontine Glioma:DIPG)は、グリア細胞が変異した癌であるグリオーマが、脳幹部(主に橋)に発生する疾患であり、橋グリオーマとも称される。1年生存率は50%と言われており、有効な治療法の開発が望まれている。
FOP患者は、骨形成タンパク質(以下、「BMP」と表記することもある)受容体の一部を構成するタンパク質であるALK2(activin receptor-like kinase、ACVR1(Activin A receptor type-I)とも称される)の恒常活性型変異を有していることが知られている(非特許文献1)。また、DIPG患者においても、ALK2の恒常活性型変異を有していることが報告されている(非特許文献1)。
ADAM19(A Disintegrin And Metalloproteinase19)は、ADAMファミリーに分類されるタンパク質である。ADAM19は、シグナルペプチド、プロペプチドドメイン、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含むメタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、システインリッチドメイン、EGF様ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインから構成されるタンパク質である。
ADAM19は、プロセシングを受けて、プロペプチドドメインが切断された後に、システインリッチドメインにある自己切断部位において切断されることが知られている(非特許文献2)。また、ADAM19は、膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを有しない、分泌型のADAM19であっても、同様にプロセシングによってプロペプチドドメインが切断され、タンパク質分解活性を示すことが知られている(非特許文献2)。
Shared ACVR1 mutations in FOP and DIPG: Opportunities and challenges in extending biological and clinical implications across rare diseases, Bone, 2018, 109, 91-100
Autolytic Processing at Glu586-Ser587within the Cysteine-rich Domain of Human Adamalysin 19/Disintegrin-Metalloproteinase 19 Is Necessary for Its Proteolytic Activity, J Biol Chem, 2002, 277, 48514-48522
本開示は、ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、ADAM19がALK2を切断することを見出し、さらに改良を重ねた。
本開示は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
下記(a)、(b)、(c)、及び(d)からなる群より選択される少なくとも1種:
(a)
(a−1)配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−2)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−3)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−4)配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−5)配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−6)配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−7)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−8)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−9)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−10)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−11)配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は
(a−12)配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(d)前記(a)〜(c)に記載のいずれかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ発現ベクター;
を含有する、
ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物。
項2.
(b)のポリペプチドが、
(b−1)(a−1)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−2)(a−2)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−3)(a−3)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号3に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−4)(a−4)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号4に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−5)(a−5)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−6)(a−6)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号6に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−7)(a−7)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−8)(a−8)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−9)(a−9)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号3に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−10)(a−10)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号4に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−11)(a−11)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、又は
(b−12)(a−12)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号6に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
である、項1に記載の医薬組成物。
項3.
(c)のポリペプチドが、
(c−1)(a−1)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−2)(a−2)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号2に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−3)(a−3)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号3に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−4)(a−4)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号4に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−5)(a−5)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号5に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−6)(a−6)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号6に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−7)(a−7)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−8)(a−8)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号2に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−9)(a−9)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号3に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−10)(a−10)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号4に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−11)(a−11)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号5に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、又は
(c−12)(a−12)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号6に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
である、項1に記載の医薬組成物。
項4.
前記(a)〜(c)に記載のポリペプチドが、ALK2特異的な切断活性を有するポリペプチドである、項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
項5.
ALK2の切断活性を有するADAM19又はその断片を含有する、ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物。
項6.
前記ALK2の変異を有する疾患が、進行性骨化性線維異形成症、またはびまん性橋膠腫である、項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
項7.
注射剤である、項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物。
項1.
下記(a)、(b)、(c)、及び(d)からなる群より選択される少なくとも1種:
(a)
(a−1)配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−2)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−3)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−4)配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−5)配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−6)配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−7)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−8)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−9)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−10)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−11)配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は
(a−12)配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(d)前記(a)〜(c)に記載のいずれかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ発現ベクター;
を含有する、
ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物。
項2.
(b)のポリペプチドが、
(b−1)(a−1)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−2)(a−2)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−3)(a−3)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号3に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−4)(a−4)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号4に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−5)(a−5)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−6)(a−6)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号6に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−7)(a−7)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−8)(a−8)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−9)(a−9)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号3に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−10)(a−10)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号4に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−11)(a−11)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、又は
(b−12)(a−12)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号6に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
である、項1に記載の医薬組成物。
項3.
(c)のポリペプチドが、
(c−1)(a−1)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−2)(a−2)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号2に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−3)(a−3)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号3に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−4)(a−4)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号4に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−5)(a−5)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号5に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−6)(a−6)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号6に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−7)(a−7)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−8)(a−8)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号2に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−9)(a−9)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号3に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−10)(a−10)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号4に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−11)(a−11)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号5に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、又は
(c−12)(a−12)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号6に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
である、項1に記載の医薬組成物。
項4.
前記(a)〜(c)に記載のポリペプチドが、ALK2特異的な切断活性を有するポリペプチドである、項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
項5.
ALK2の切断活性を有するADAM19又はその断片を含有する、ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物。
項6.
前記ALK2の変異を有する疾患が、進行性骨化性線維異形成症、またはびまん性橋膠腫である、項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
項7.
注射剤である、項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物。
ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物を提供することができる。
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。
本開示は、下記(a)、(b)、(c)、及び(d)からなる群より選択される少なくとも1種:
(a)
(a−1)配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−2)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−3)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−4)配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−5)配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−6)配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−7)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−8)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−9)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−10)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−11)配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は
(a−12)配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(d)前記(a)〜(c)に記載のいずれかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ発現ベクター;
を含有する組成物を包含する。また本開示は、ALK2の切断活性を有するADAM19又はその断片を含有する組成物をも好ましく包含する。以下、これらの組成物を「本開示の組成物」などと表記することがある。
(a)
(a−1)配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−2)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−3)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−4)配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−5)配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−6)配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−7)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−8)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−9)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−10)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−11)配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は
(a−12)配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(d)前記(a)〜(c)に記載のいずれかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ発現ベクター;
を含有する組成物を包含する。また本開示は、ALK2の切断活性を有するADAM19又はその断片を含有する組成物をも好ましく包含する。以下、これらの組成物を「本開示の組成物」などと表記することがある。
一実施形態において本開示の組成物は、(a)(a−1)配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、(a−2)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、(a−3)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、(a−4)配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、(a−5)配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、(a−6)配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、(a−7)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(a−8)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(a−9)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(a−10)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(a−11)配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は(a−12)配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含有することが好ましい。以下、当該ポリペプチドを「(a)のポリペプチド」などと表記することがある。
配列番号1に示されるアミノ酸配列は、ヒト由来のADAM19を構成するアミノ酸配列の一部である。より具体的には、配列番号1に示されるアミノ酸配列は、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含むメタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、及びシステインリッチドメインの前半部分(自己切断部位まで)から構成される。
配列番号2に示されるアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対応するマウス由来のアミノ酸配列である。換言すれば、配列番号2に示されるアミノ酸配列は、マウス由来のADAM19を構成するアミノ酸配列の一部である。より具体的には、配列番号2に示されるアミノ酸配列は、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含むメタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、及びシステインリッチドメインの前半部分(自己切断部位まで)から構成される。
配列番号3に示されるアミノ酸配列は、分泌型のヒト由来のADAM19を構成するアミノ酸配列である。換言すれば、配列番号3に示されるアミノ酸配列は、ヒト由来のADAM19を構成するアミノ酸配列の全長から、膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを除いたアミノ酸配列である。より具体的には、配列番号3に示されるアミノ酸配列は、シグナルペプチド、プロペプチドドメイン、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含むメタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、システインリッチドメイン、及びEGF様ドメインから構成される。要するに、配列番号3に示されるアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列、シグナルペプチド、プロペプチドドメイン、システインリッチドメインの後半部分(自己切断部位以降)、及びEGF様ドメインから構成される。
配列番号4に示されるアミノ酸配列は、配列番号3に示されるアミノ酸配列に対応するマウス由来のアミノ酸配列である。換言すれば、配列番号4に示されるアミノ酸配列は、分泌型のマウス由来のADAM19を構成するアミノ酸配列である。要するに、配列番号4に示されるアミノ酸配列は、マウス由来のADAM19を構成するアミノ酸配列の全長から、膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを除いたアミノ酸配列である。より具体的には、配列番号4に示されるアミノ酸配列は、シグナルペプチド、プロペプチドドメイン、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含むメタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、システインリッチドメイン、及びEGF様ドメインから構成される。要するに、配列番号4に示されるアミノ酸配列は、配列番号2に示されるアミノ酸配列、シグナルペプチド、プロペプチドドメイン、システインリッチドメインの後半部分(自己切断部位以降)、及びEGF様ドメインから構成される。
配列番号5に示されるアミノ酸配列は、ヒト由来のADAM19を構成するアミノ酸配列の全長である。より具体的には、配列番号5に示されるアミノ酸配列は、シグナルペプチド、プロペプチドドメイン、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含むメタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、システインリッチドメイン、EGF様ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインから構成される。要するに、配列番号5に示されるアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列、シグナルペプチド、プロペプチドドメイン、システインリッチドメインの後半部分(自己切断部位以降)、EGF様ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインから構成される。
配列番号6に示されるアミノ酸配列は、配列番号5に示されるアミノ酸配列に対応するマウス由来のアミノ酸配列である。換言すれば、配列番号6に示されるアミノ酸配列は、マウス由来のADAM19を構成するアミノ酸配列の全長である。より具体的には、配列番号6に示されるアミノ酸配列は、シグナルペプチド、プロペプチドドメイン、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含むメタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、システインリッチドメイン、EGF様ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインから構成される。要するに、配列番号6に示されるアミノ酸配列は、配列番号2に示されるアミノ酸配列、シグナルペプチド、プロペプチドドメイン、システインリッチドメインの後半部分(自己切断部位以降)、EGF様ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインから構成される。
なお、(a−1)のポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列以外のアミノ酸残基を含んでいてもよい。また、(a−2)のポリペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列以外のアミノ酸残基を含んでいてもよい。また、(a−3)のポリペプチドは、配列番号3に示されるアミノ酸配列以外のアミノ酸残基を含んでいてもよい。また、(a−4)のポリペプチドは、配列番号4に示されるアミノ酸配列以外のアミノ酸残基を含んでいてもよい。また、(a−5)のポリペプチドは、配列番号5に示されるアミノ酸配列以外のアミノ酸残基を含んでいてもよい。また、(a−6)のポリペプチドは、配列番号6に示されるアミノ酸配列以外のアミノ酸残基を含んでいてもよい。(a−1)〜(a−6)において、配列番号1、2、3、4、5、又は6に示されるアミノ酸配列以外のアミノ酸残基の個数の上限は、それぞれ独立して、例えば、100個、95個、90個、85個、80個、75個、70個、65個、60個、55個、50個、45個、40個、35個、30個、25個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、又は2個である。
(a−1)〜(a−6)のポリペプチドは、ALK2の切断活性を有することが好ましい。本明細書においてALK2の切断活性は、ALK2の切断断片をウェスタンブロット法によって検出することで確認することができる。具体的には、後述の実施例に記載するように、ALK2の切断活性を確認するポリペプチドと、ALK2とを共発現する細胞を培養し、当該細胞の抽出物とALK2を検出可能な抗体(例えば、タグ抗体)とを用いて、ウェスタンブロット法により、ALK2の切断断片を検出することで、ALK2の切断活性を確認することができる。
一実施形態において本開示の組成物は、(b)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチドを含有することが好ましい。以下、当該ポリペプチドを「(b)のポリペプチド」などと表記することがある。
(b)のポリペプチドは、(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドであることが好ましい。
アミノ酸配列の同一性は、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のアルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/を用いて、算出することができる。
(b)のポリペプチドは、ALK2の切断活性を有することが好ましい。ALK2の切断活性は上述した方法により確認することができる。
(b)のポリペプチドは、活性中心を維持するとの観点から、(b−1)(a−1)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(b−2)(a−2)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(b−3)(a−3)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号3に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(b−4)(a−4)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号4に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(b−5)(a−5)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(b−6)(a−6)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号6に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(b−7)(a−7)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(b−8)(a−8)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(b−9)(a−9)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号3に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(b−10)(a−10)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号4に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(b−11)(a−11)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(b−12)(a−12)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号6に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。保存されているアミノ酸残基の数は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は全部であってもよい。また、(b)のポリペプチドは、(b−1)(a−1)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(b−2)(a−2)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(b−3)(a−3)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号3に示されるアミノ酸配列において第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(b−4)(a−4)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号4に示されるアミノ酸配列において第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(b−5)(a−5)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また(b−6)(a−6)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号6に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(b−7)(a−7)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(b−8)(a−8)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(b−9)(a−9)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号3に示されるアミノ酸配列において第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(b−10)(a−10)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号4に示されるアミノ酸配列において第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(b−11)(a−11)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また(b−12)(a−12)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号6に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。
一実施形態において本開示の組成物は、(c)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチドを含有することが好ましい。以下、当該ポリペプチドを「(c)のポリペプチド」などと表記することがある。
「(c)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列」において、欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸の個数の上限は、それぞれ独立して、例えば、100個、95個、90個、85個、80個、75個、70個、65個、60個、55個、50個、45個、40個、35個、30個、25個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、又は2個である。
1個若しくは2個以上のアミノ酸の欠失、置換、若しくは付加といった変異を特定のアミノ酸配列に加える技術は当該技術分野において公知であり、任意の手法を用いて行うことができる。例えば、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法、ランダム突然変異導入法等を利用して行うことができる。
(c)のポリペプチドは、ALK2の切断活性を有することが好ましい。ALK2の切断活性は上述した方法により確認することができる。
(c)のポリペプチドは、活性中心を維持するとの観点から、(c−1)(a−1)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(c−2)(a−2)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号2に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(c−3)(a−3)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号3に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(c−4)(a−4)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号4に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(c−5)(a−5)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号5に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(c−6)(a−6)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号6に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(c−7)(a−7)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(c−8)(a−8)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号2に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(c−9)(a−9)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号3に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(c−10)(a−10)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号4に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(c−11)(a−11)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号5に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。また、(c−12)(a−12)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号6に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されていることが好ましい。保存されているアミノ酸残基の数は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は全部であってもよい。また、(c)のポリペプチドは、(c−1)(a−1)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(c−2)(a−2)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号2に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(c−3)(a−3)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号3に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(c−4)(a−4)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号4に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(c−5)(a−5)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号5に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(c−6)(a−6)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号6に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(c−7)(a−7)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(c−8)(a−8)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号2に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(c−9)(a−9)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号3に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(c−10)(a−10)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号4に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(c−11)(a−11)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号5に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。また、(c−12)(a−12)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号6に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目、第146番目、第149番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基が保存されていることがより好ましい。
(a)〜(c)のポリペプチドは、後述するポリヌクレオチドを利用して、遺伝子工学的な手法で製造することができる。また、(a)〜(c)のポリペプチドは、配列番号1〜6に示されるアミノ酸配列の情報に基づいて、一般的なタンパク質の化学合成法(例えば、液相法及び固相法)を用いて製造することも可能である。
一実施形態において本開示の組成物は、前記(a)〜(c)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ発現ベクターを含有することが好ましい。
(a)〜(c)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列は特に制限されない。例えば、配列番号7又は8に示される塩基配列などが例示される。なお、配列番号7は、配列番号5のアミノ酸配列をコードする塩基配列である。また、配列番号8は、配列番号6のアミノ酸配列をコードする塩基配列である。また、(a)〜(c)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ヒトのコドン使用頻度に適合したポリヌクレオチドであってもよい。「ヒトのコドン使用頻度に適合した」とは、1つのアミノ酸に対応するコドンが複数ある場合に、ヒトにおいて最も使用頻度の高いコドンが用いられることを意味する。(a)〜(c)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのオープンリーディングフレームの50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上がヒトのコドン使用頻度に適合したポリヌクレオチドであることが好ましい。
(a)〜(c)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、(a)〜(c)のポリペプチドをコードする塩基配列に基づいて、化学的なポリヌクレオチドの合成法(例えば、フォスフォアミダイト法)や遺伝子工学的手法を用いて容易に取得することができる。
本開示に用いられるベクターは、(a)〜(c)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現可能な様式で含むことが好ましい。また、本開示に用いるベクターとしては、例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター等のウイルスベクター;プラスミドベクターなどが挙げられる。
(a)〜(c)のポリペプチドは、ALK2を特異的に切断することがより好ましい。本明細書において、「ALK2を特異的に切断する」とは、BMPレセプターの中でも、ALK2を選択的に切断することを意味する。より具体的には、(a)〜(c)のポリペプチドは、例えば、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2等のALK2以外のBMPレセプターを切断しないことが好ましい。
本明細書において、「ALK2を特異的に切断する」ことは、上述したALK2の切断活性の確認方法において、レセプターとしてALK2以外のBMPレセプターを用いた場合に、当該BMPレセプターの切断断片が検出されないことによって確認することができる。具体的には、後述の実施例に記載するように、切断活性を確認するポリペプチドと、ALK2、又はALK2以外のBMPレセプターとしてBMPR1A、BMPR1B、若しくはBMPR2とを共発現する細胞を培養し、当該細胞の抽出物と各レセプターを検出可能な抗体(例えば、タグ抗体)とを用いて、ウェスタンブロット法により、ALK2の切断断片を検出すること、及びALK2以外のBMPレセプターの切断断片が検出されないことで、ALK2を特異的に切断することを確認することができる。
一実施形態において本開示の組成物は、ALK2の切断活性を有する、ADAM19又はその断片を含有することが好ましい。
ADAM19は、例えば、ALK2を切断し、約50kDaの断片を生成することができる。
本開示の組成物に用いられるADAM19の断片は、ALK2の切断活性を有する限り特に限定されない。ADAM19の断片としては、例えば、シグナルペプチドを含有する断片であってもよく、シグナルペプチドを含有しない断片であってもよい。また、ADAM19の断片としては、例えば、プロペプチドドメインを含有する断片であってもよく、プロペプチドドメインを含有しない断片であってもよい。また、ADAM19の断片としては、例えば、EGF様ドメインを含有する断片であってもよく、EGF様ドメインを含有しない断片であってもよい。また、ADAM19の断片としては、例えば、膜貫通ドメインを含有する断片であってもよく、膜貫通ドメインを含有しない断片であってもよい。また、ADAM19の断片としては、例えば、細胞質ドメインを含有する断片であってもよく、細胞質ドメインを含有しない断片であってもよい。また、例えば、ADAM19の断片としては、膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを含有しない分泌型のADAM19断片であってもよい。また、ADAM19の断片としては、例えば、システインリッチドメインにある自己切断部位において切断された後の断片であってもよい。換言すれば、ADAM19の断片としては、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含むメタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、及びシステインリッチドメインの前半部分(自己切断部位まで)から構成される断片であってもよい。また、例えば、ADAM19の断片は、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含有することが好ましく、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含むメタロプロテアーゼドメインを含有することがより好ましい。また、ADAM19の断片は、例えば、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含むメタロプロテアーゼドメイン及びディスインテグリンドメインを含有していてもよく、活性中心部位(亜鉛結合ドメイン)を含むメタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリンドメイン、及びシステインリッチドメインを含有していてもよい。なお、ADAM19の断片は、ALK2の切断活性を有する限り、上述したドメインの全長を含有していてもよく、上述したドメインの一部分を含有していてもよい。要するに、ADAM19の断片は、ALK2の切断活性を有する限り、ADAM19を構成するアミノ酸配列の一部から構成される断片であってもよい。ALK2の切断活性は上述した方法により確認することができる。
ADAM19の由来としては、特に制限されず、例えば、ヒト;チンパンジー、オランウータン、マカク、マウス、ラット、イヌ、ウマ、ウシ、オポッサムなどの非ヒト哺乳動物;ニワトリ等の鳥類;ゼブラフィッシュ、メダカ、テトラオドン、フグ等の魚類等が例示される。
ALK2の切断活性を有する、ADAM19又はその断片は、商業的に入手可能なものを使用することができ、ALK2の切断活性を有する、ADAM19又はその断片をコードするポリヌクレオチドを利用して遺伝子工学的な手法で製造することもできる。また、例えば、公知のADAM19のアミノ酸配列の情報に基づいて、一般的なタンパク質の化学合成法(例えば、液相法及び固相法)を用いて製造することも可能である。商業的に入手可能なものとしては、例えばADAM19 recombinant protein::Disintegrin and metalloproteinase domain−containing protein 19 Recombinant Protein(#MBS1437326、#MBS7042084、My Biosource社製)、Recombinant Mouse ADAM19 Protein(Creative BioMart社製)などが挙げられる。
本開示の医薬組成物は、上述の成分の他に、医薬組成物に含有させることができる公知の成分を含んでいてもよい。当該他の成分としては、薬学的に許容される基剤、担体、及び/又は添加剤(例えば溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、保存剤、コーティング剤、着色料、胃粘膜保護剤などのその他の薬剤等)等が例示できる。なお、このような公知の成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本開示の医薬組成物の形態としては、特に限定されず、錠剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル剤、ペレット剤、トローチ剤、ゼリー剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、吸入剤、注射剤、坐剤、保持型浣腸剤、点鼻剤、口腔洗浄剤、並びに軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ローション、ゲル剤、制御放出パッチ剤、貼付剤などの皮膚外用剤などが挙げられる。中でも、注射剤であることが好ましい。
本開示の組成物は、ALK2の切断活性を有するため、ALK2の機能を抑制することができる。このため、本開示の組成物は、ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用として、好適に用いることができる。また、本開示の組成物は、ALK2の恒常活性型変異を有する疾患の治療または予防用として、より好適に用いることができる。ALK2の変異を有する疾患としては、例えば、進行性骨化性線維異形成症、またはびまん性橋膠腫(橋グリオーマとも称される)などが挙げられる。また、本開示の組成物は、ALK2の切断活性を有するため、ALK2の機能を抑制することによって、ALK2を介したBMPシグナルを減少させることができる。このため、本開示の組成物は、進行性骨化性線維異形成症、またはびまん性橋膠腫の治療または予防用として、好適に用いることができる。
医薬組成物を投与される対象は、哺乳動物が好ましい。ヒトのみならず、非ヒト哺乳動物であってもよい。医薬組成物を投与されるヒトとしては、例えば、ALK2の変異を有する疾患を有する、又は当該疾患を有すると疑われる人;ALK2の恒常活性型変異を有する疾患を有する、又は当該疾患を有すると疑われる人;進行性骨化性線維異形成症、びまん性橋膠腫、橋グリオーマを有する、又はこれらの疾患を有すると疑われる人などが挙げられる。また、非ヒト哺乳動物としては、例えばペット、家畜、実験動物等として飼育される哺乳動物などが例示される。このような非ヒト哺乳動物としては、例えば、イヌ、ネコ、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、マウス、ラット、ラクダ、リャマ等が挙げられる。
投与方法としては、例えば、経口投与、及び非経口(例えば静脈、動脈、筋肉、皮下、腹腔、直腸、経皮、局所など)投与により、投与することができる。
本開示の組成物の投与(摂取)量は、特に限定されず、摂取する対象の年齢、性別、症状の程度、摂取方法等により決定される。
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件を任意の組み合わせを全て包含する。
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
本開示の内容を以下の試験例等を用いて具体的に説明する。しかし、本開示はこれらに何ら限定されるものではない。下記において、特に言及する場合を除いて、実験は大気圧及び常温条件下で行っている。また特に言及する場合を除いて、「%」は「質量%」を意味する。
1.BMPレセプター発現細胞の作製
以下の方法により、BMPレセプターとして、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、mALK2、又はhALK2を発現する細胞を作製した。
C末端にMyc tagが付加された、マウスBMPレセプター発現プラスミド(BMPR1A:#MG50078−CM、BMPR1B:#MG50004−CM、mALK2:#MG50297−CM)、およびヒトALK2プラスミド(hALK2:#HG14875−CM)をSino Biological Inc.から購入した。また、Mouse Bmpr2 cDNAに関してはマウス心臓発現RNAから逆転写により合成し、pCMV3−C−Myc mammalian expression vector(Sino Biological Inc;#CV014)へサブクローニングし獲得した。いくつかの実験においてはHA tagまたは3xFLAG tagをBMPレセプターのシグナル配列直後にPCRにより挿入した。これらのベクターをLipofectAmine2000またはPEIMAXによりHEK293T細胞へトランスフェクション後HygromycinB処理による薬剤セレクションを行った。薬剤セレクション後の細胞をanti−HA(Sigma−Aldrich,H3663;1:400)、anti−ALK−2(R&D Systems,MAB637;1:200)、anti−FLAG(Sigma−Aldrich,F1804;1:400)のいずれかの抗体を用いてセルソーティングにより、細胞表面にBMPレセプター(BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、mALK2、又はhALK2)を高発現している細胞集団を回収し、これらの細胞をライン化した。
以下の方法により、BMPレセプターとして、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、mALK2、又はhALK2を発現する細胞を作製した。
C末端にMyc tagが付加された、マウスBMPレセプター発現プラスミド(BMPR1A:#MG50078−CM、BMPR1B:#MG50004−CM、mALK2:#MG50297−CM)、およびヒトALK2プラスミド(hALK2:#HG14875−CM)をSino Biological Inc.から購入した。また、Mouse Bmpr2 cDNAに関してはマウス心臓発現RNAから逆転写により合成し、pCMV3−C−Myc mammalian expression vector(Sino Biological Inc;#CV014)へサブクローニングし獲得した。いくつかの実験においてはHA tagまたは3xFLAG tagをBMPレセプターのシグナル配列直後にPCRにより挿入した。これらのベクターをLipofectAmine2000またはPEIMAXによりHEK293T細胞へトランスフェクション後HygromycinB処理による薬剤セレクションを行った。薬剤セレクション後の細胞をanti−HA(Sigma−Aldrich,H3663;1:400)、anti−ALK−2(R&D Systems,MAB637;1:200)、anti−FLAG(Sigma−Aldrich,F1804;1:400)のいずれかの抗体を用いてセルソーティングにより、細胞表面にBMPレセプター(BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、mALK2、又はhALK2)を高発現している細胞集団を回収し、これらの細胞をライン化した。
2.BMPレセプター及びADAM19共発現細胞の作製
ヒトADAM19(hADAM19)、又はマウスADAM19(mADAM19)の発現ベクターはThe Tet−onシステムをベースとしたPB−TAC−ERP2(Kim et al. 2016)(Addgene plasmid #80478;RIKEN BRC#RDB13246)発現誘導ベクターにGateway systemを使用し、組み込んだ。hAdam19 cDNA(#HG18760−U)はSino Biological Inc.より購入し、mAdam19 cDNAはマウス心臓で発現するRNAから逆転写反応により合成した。まずhAdam19又はmAdam19 cDNAをpDONR vector(Thermo Fisher Scientific)に導入しそれぞれのエントリーベクターとした。また、プロテアーゼ活性失活変異体であるhADAM19 E346AとmADAM19 E347Aは上記のエントリーベクターを鋳型とし、hADAM19 E346Aについては、配列番号9、及び10に示すプライマーを、mADAM19 E347Aについては配列番号11、及び12に示すプライマーを用いたPCRにより獲得した。その後Gateway system(Thermo Fisher Scientific)を用いてPB−TAC−ERP2 Tet−on vectorへ組み込んだ。PB−TAC−ERP2−hADAM19、PB−TAC−ERP2−mAdam19遺伝子およびそれぞれの変異体の遺伝子はpCAG−Pbase(piggyBac transposase)遺伝子と分子量比が7:1になるように、それぞれ、上述の1において作製したBMPレセプター発現HEK293T細胞へ遺伝子導入した。その後、puromycinによる薬剤セレクションを行ない、Doxycycline(Dox)添加によるADAM19タンパク質の発現を行う細胞をPB−TAC−ERP2に組み込まれているmcherryの蛍光でセルソーティングにより、回収しその後解析を行う細胞株とした。
ヒトADAM19(hADAM19)、又はマウスADAM19(mADAM19)の発現ベクターはThe Tet−onシステムをベースとしたPB−TAC−ERP2(Kim et al. 2016)(Addgene plasmid #80478;RIKEN BRC#RDB13246)発現誘導ベクターにGateway systemを使用し、組み込んだ。hAdam19 cDNA(#HG18760−U)はSino Biological Inc.より購入し、mAdam19 cDNAはマウス心臓で発現するRNAから逆転写反応により合成した。まずhAdam19又はmAdam19 cDNAをpDONR vector(Thermo Fisher Scientific)に導入しそれぞれのエントリーベクターとした。また、プロテアーゼ活性失活変異体であるhADAM19 E346AとmADAM19 E347Aは上記のエントリーベクターを鋳型とし、hADAM19 E346Aについては、配列番号9、及び10に示すプライマーを、mADAM19 E347Aについては配列番号11、及び12に示すプライマーを用いたPCRにより獲得した。その後Gateway system(Thermo Fisher Scientific)を用いてPB−TAC−ERP2 Tet−on vectorへ組み込んだ。PB−TAC−ERP2−hADAM19、PB−TAC−ERP2−mAdam19遺伝子およびそれぞれの変異体の遺伝子はpCAG−Pbase(piggyBac transposase)遺伝子と分子量比が7:1になるように、それぞれ、上述の1において作製したBMPレセプター発現HEK293T細胞へ遺伝子導入した。その後、puromycinによる薬剤セレクションを行ない、Doxycycline(Dox)添加によるADAM19タンパク質の発現を行う細胞をPB−TAC−ERP2に組み込まれているmcherryの蛍光でセルソーティングにより、回収しその後解析を行う細胞株とした。
3.細胞培養
上述の2において作製した各HEK293T細胞株は10%FBS(Moregate)含有のDMEM(Nacalai)で37℃、5%CO2の条件のもと、24時間培養した。各ベクターの存在下に合わせて100μg/mlのhygromycinB(Wako)と1μg/mlのpuromycin(Sigma−Aldrich)を添加した。また、Doxycycline(Dox)によりADAM19の発現を誘導する場合には、2μg/mlのdoxycycline(LKT Labs)を添加し、培養した。
ADAM19プロテアーゼ活性を阻害する場合(試験例2、3)、Doxの添加と同時に15μMのBB94(Batimastat;MedChem Express)を添加した。また、切断されたBMPレセプターのプロテアソーム分解を抑制するために10μMのbortezomib(LC Laboratory)を、培養終了6時間前に添加した。
BMP6の反応応答性実験(試験例4)においては、細胞を36時間2μg/mlのdoxycycline存在下または非存在下で培養した。培養終了12時間前に10μMのbortezomibを添加し、培養終了3時間前に、終濃度100ng/mlとなるようにrecombinant human BMP−6(PeproTech)を添加した。
上述の2において作製した各HEK293T細胞株は10%FBS(Moregate)含有のDMEM(Nacalai)で37℃、5%CO2の条件のもと、24時間培養した。各ベクターの存在下に合わせて100μg/mlのhygromycinB(Wako)と1μg/mlのpuromycin(Sigma−Aldrich)を添加した。また、Doxycycline(Dox)によりADAM19の発現を誘導する場合には、2μg/mlのdoxycycline(LKT Labs)を添加し、培養した。
ADAM19プロテアーゼ活性を阻害する場合(試験例2、3)、Doxの添加と同時に15μMのBB94(Batimastat;MedChem Express)を添加した。また、切断されたBMPレセプターのプロテアソーム分解を抑制するために10μMのbortezomib(LC Laboratory)を、培養終了6時間前に添加した。
BMP6の反応応答性実験(試験例4)においては、細胞を36時間2μg/mlのdoxycycline存在下または非存在下で培養した。培養終了12時間前に10μMのbortezomibを添加し、培養終了3時間前に、終濃度100ng/mlとなるようにrecombinant human BMP−6(PeproTech)を添加した。
4.ウェスタンブロットによるタンパク質の検出
上述の3において培養したHEK293T細胞は1%プロテアーゼインヒビターカクテル(Nacalai)含有のRIPAバッファー(10mMTris−HCl,pH7.4,150mMNaCl,1mMEDTA,0.1%SDS,1%NP−40,0.1%sodium deoxycholate)に溶解し、マグネティックスターラーで4℃、1時間攪拌を行なった。その後15000rpmで15分遠心し、上清をサンプルバッファーに回収し、95℃、5分処理したものをサンプルとした。SDS−PAGEで泳動後PVDFメンブレン(Immobilon−P;Millipore)にトランスファーを行い、適当な一次抗体で反応させた(mouse anti−Myc tag(Cell Signaling Technology,2276S,9B11;1:2,000)、rabbit anti−ADAM19(generated in the Sehara lab;1:2,000)、mouse anti−β−actin (Santa Cruz,sc−69879,clone AC−15;1:2,000)、mouse anti−HA(Sigma−Aldrich,H3663;1:2,000)、rabbit anti−phospho−Smad1/5/9(Cell Signaling Technology,13820;1:400)、anti−Smad1(Cell Signaling Technology,6944,D59D7;1:2,000))。一次抗体と反応させたメンブレンは0.1%Triton含有のPBSで洗浄後HRP−共役anti−mouse IgG抗体、又はanti−rabbit IgG抗体(Cell Signaling Technology;1:5,000)で反応させ、その後ECL Plus(GE Healthcare)による化学発光により、目的タンパク質の検出を行なった。各データはImageQuant LAS 4000(GE Healthcare)を使用し、獲得した。なお、各試験において用いた一次抗体は、各図中の四角枠で囲んだWB:以降に記載の抗体を用いた。各図中、proはプロペプチドドメインを含有するタンパク質であることを、matureはプロペプチドドメインを含有しないタンパク質であることを意味する。また、各図中、FLは全長(Full Length)を、CTFはC末端フラグメント(C Terminal Fragment)を意味する。
上述の3において培養したHEK293T細胞は1%プロテアーゼインヒビターカクテル(Nacalai)含有のRIPAバッファー(10mMTris−HCl,pH7.4,150mMNaCl,1mMEDTA,0.1%SDS,1%NP−40,0.1%sodium deoxycholate)に溶解し、マグネティックスターラーで4℃、1時間攪拌を行なった。その後15000rpmで15分遠心し、上清をサンプルバッファーに回収し、95℃、5分処理したものをサンプルとした。SDS−PAGEで泳動後PVDFメンブレン(Immobilon−P;Millipore)にトランスファーを行い、適当な一次抗体で反応させた(mouse anti−Myc tag(Cell Signaling Technology,2276S,9B11;1:2,000)、rabbit anti−ADAM19(generated in the Sehara lab;1:2,000)、mouse anti−β−actin (Santa Cruz,sc−69879,clone AC−15;1:2,000)、mouse anti−HA(Sigma−Aldrich,H3663;1:2,000)、rabbit anti−phospho−Smad1/5/9(Cell Signaling Technology,13820;1:400)、anti−Smad1(Cell Signaling Technology,6944,D59D7;1:2,000))。一次抗体と反応させたメンブレンは0.1%Triton含有のPBSで洗浄後HRP−共役anti−mouse IgG抗体、又はanti−rabbit IgG抗体(Cell Signaling Technology;1:5,000)で反応させ、その後ECL Plus(GE Healthcare)による化学発光により、目的タンパク質の検出を行なった。各データはImageQuant LAS 4000(GE Healthcare)を使用し、獲得した。なお、各試験において用いた一次抗体は、各図中の四角枠で囲んだWB:以降に記載の抗体を用いた。各図中、proはプロペプチドドメインを含有するタンパク質であることを、matureはプロペプチドドメインを含有しないタンパク質であることを意味する。また、各図中、FLは全長(Full Length)を、CTFはC末端フラグメント(C Terminal Fragment)を意味する。
試験例1.ADAM19による各種BMPレセプターの切断活性
以下に示す細胞を用いたウェスタンブロットの結果を図1に示す。
・HA−BMPR1A−Myc tag Tet−On−mADAM19(Lane1)
・HA−BMPR1A−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A(Lane2)
・HA−BMPR1B−Myc tag Tet−On−mADAM19(Lane3)
・HA−BMPR1B−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A(Lane4)
・HA−BMPR2−Myc tag Tet−On−mADAM19(Lane5)
・HA−BMPR2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A(Lane6)
・HA−mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19(Lane7)
・HA−mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A(Lane8)
以下に示す細胞を用いたウェスタンブロットの結果を図1に示す。
・HA−BMPR1A−Myc tag Tet−On−mADAM19(Lane1)
・HA−BMPR1A−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A(Lane2)
・HA−BMPR1B−Myc tag Tet−On−mADAM19(Lane3)
・HA−BMPR1B−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A(Lane4)
・HA−BMPR2−Myc tag Tet−On−mADAM19(Lane5)
・HA−BMPR2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A(Lane6)
・HA−mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19(Lane7)
・HA−mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A(Lane8)
図1に示す通り、mALK2とmADAM19とを共発現する細胞において、ALK2の切断断片が確認された(Lane7)。これに対して、BMPR1A、BMPR1B、又はBMPR2とmADAM19とを共発現する細胞においては、各BMPレセプターの切断断片は確認されなかった(Lane1、3、5)。なお、プロテアーゼ活性失活変異体であるmADAM19 E347Aと各BMPレセプターとを共発現する細胞においては、いずれもBMPレセプターの切断断片は確認されなかった(Lane2、4、6、8)。この結果から、ADAM19は、BMPレセプターの中でもALK2を特異的に切断することが分かった。
試験例2.ADAM19によるALK2の切断活性に対するプロテアーゼインヒビター添加の影響
以下に示す細胞を用いたウェスタンブロットの結果を図2に示す。
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、Dox及びBB94添加なし(Lane1)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A、Dox及びBB94添加なし(Lane2)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、Dox添加あり(Lane3)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A、Dox添加あり(Lane4)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、Dox及びBB94添加あり(Lane5)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A、Dox及びBB94添加あり(Lane6)
以下に示す細胞を用いたウェスタンブロットの結果を図2に示す。
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、Dox及びBB94添加なし(Lane1)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A、Dox及びBB94添加なし(Lane2)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、Dox添加あり(Lane3)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A、Dox添加あり(Lane4)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、Dox及びBB94添加あり(Lane5)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A、Dox及びBB94添加あり(Lane6)
図2に示す通り、Doxを添加するとADAM19が発現し、ALK2の切断断片としてALK2のC末端フラグメントが検出された(Lane3)。これに対して、メタロプロテアーゼインヒビターであるBB94を添加すると、ADAM19の発現は確認されたものの、ALK2の切断断片は確認されなかった(Lane5)。この結果から、ADAM19によるALK2の切断は、ADAM19の活性に依存していることが分かった。
試験例3.ヒトADAM19によるヒトALK2の切断活性
以下に示す細胞を用いたウェスタンブロットの結果を図3に示す。
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19−HA、Dox及びBB94添加なし(Lane1)
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19 E346A、Dox及びBB94添加なし(Lane2)
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19−HA、Dox添加あり(Lane3)
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19 E346A、Dox添加あり(Lane4)
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19−HA、Dox及びBB94添加あり(Lane5)
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19 E346A、Dox及びBB94添加あり(Lane6)
以下に示す細胞を用いたウェスタンブロットの結果を図3に示す。
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19−HA、Dox及びBB94添加なし(Lane1)
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19 E346A、Dox及びBB94添加なし(Lane2)
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19−HA、Dox添加あり(Lane3)
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19 E346A、Dox添加あり(Lane4)
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19−HA、Dox及びBB94添加あり(Lane5)
・3xFLAG−hALK2−Myc tag Tet−On−hADAM19 E346A、Dox及びBB94添加あり(Lane6)
図3に示す通り、ヒトADAM19もALK2の切断活性を有していることが分かった(Lane3)。また、マウスを用いた試験結果と同様、プロテアーゼ活性失活変異体であるhADAM19 E346AはALK2の切断活性を有していないこと(Lane4)、BB94を添加すると、ADAM19によるALK2の切断活性が消失すること(Lane5)が確認された。
試験例4.ADAM19によるALK2の切断活性が及ぼすBMPシグナルへの影響
以下に示す細胞を用いたウェスタンブロットの結果を図4に示す。
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、Dox及びBMP6添加なし(Lane1、2)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、BMP6添加あり(Lane3、4)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、Dox及びBMP6添加あり(Lane5、6)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A、BMP6添加あり(Lane7)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A、Dox及びBMP6添加あり(Lane8)
以下に示す細胞を用いたウェスタンブロットの結果を図4に示す。
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、Dox及びBMP6添加なし(Lane1、2)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、BMP6添加あり(Lane3、4)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19、Dox及びBMP6添加あり(Lane5、6)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A、BMP6添加あり(Lane7)
・mALK2−Myc tag Tet−On−mADAM19 E347A、Dox及びBMP6添加あり(Lane8)
図4に示す通り、Doxを添加しない、つまりADAM19の発現を誘導しない場合において、ALK2のリガンドであり骨形成を誘導するBMP6を添加すると(Lane3、4)、BMP6非添加の場合(Lane1、2)と比較して、リン酸化されたSMAD1/5/9が増加したことが確認され、BMPシグナルの伝達が亢進したこと分かった。これに対して、Doxを添加してADAM19の発現を誘導した場合には、リン酸化されたSMAD1/5/9が減少したことが確認された(Lane5、6)。このとき、ALK2の切断断片が確認されたことも踏まえると、ADAM19がALK2を切断することによって、BMP6によるSMADを介したBMPシグナルの伝達が抑制されたことが分かった。なお、mADAM19に代えて、プロテアーゼ活性失活変異体であるmADAM19 E347Aを用いた場合には、ALK2の切断断片が確認されず、リン酸化されたSMAD1/5/9の減少も確認されなかった(Lane8)。
これらの結果から、ADAM19は、ALK2を切断することができるため、ALK2の機能が抑制され、ALK2の変異を有する疾患を治療または予防することができることが推察された。
Claims (10)
- ALK2の切断活性を有するADAM19又はその断片を含有する、ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物。
- 下記(a)、(b)、(c)、及び(d)からなる群より選択される少なくとも1種:
(a)
(a−1)配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−2)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−3)配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−4)配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(a−5)配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、又は
(a−6)配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(d)前記(a)〜(c)に記載のいずれかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ発現ベクター;
を含有する、
ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物。 - (b)のポリペプチドが、
(b−1)(a−1)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−2)(a−2)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−3)(a−3)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号3に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−4)(a−4)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号4に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−5)(a−5)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、又は
(b−6)(a−6)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号6に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
である、請求項2に記載の医薬組成物。 - (c)のポリペプチドが、
(c−1)(a−1)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−2)(a−2)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号2に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−3)(a−3)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号3に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−4)(a−4)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号4に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−5)(a−5)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号5に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、又は
(c−6)(a−6)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号6に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
である、請求項2に記載の医薬組成物。 - 下記(a)、(b)、(c)、及び(d)からなる群より選択される少なくとも1種:
(a)
(a−7)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−8)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−9)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−10)配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(a−11)配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は
(a−12)配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c)(a)のいずれかのポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(d)前記(a)〜(c)に記載のいずれかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ発現ベクター;
を含有する、
ALK2の変異を有する疾患の治療または予防用医薬組成物。 - (b)のポリペプチドが、
(b−7)(a−7)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号1に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−8)(a−8)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−9)(a−9)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号3に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−10)(a−10)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号4に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(b−11)(a−11)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、又は
(b−12)(a−12)のポリペプチドのアミノ酸配列と85%以上の同一性を有し、且つ配列番号6に示されるアミノ酸配列において、第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
である、請求項5に記載の医薬組成物。 - (c)のポリペプチドが、
(c−7)(a−7)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−8)(a−8)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号2に示されるアミノ酸配列の第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−9)(a−9)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号3に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−10)(a−10)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号4に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
(c−11)(a−11)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号5に示されるアミノ酸配列の第204番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、又は
(c−12)(a−12)のポリペプチドのアミノ酸配列において、1個若しくは2個以上のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されており、且つ、配列番号6に示されるアミノ酸配列の第205番目のアミノ酸残基から数えて、第142番目、第143番目、第145番目〜第150番目、第152番目、及び第153番目のアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が保存されており、ALK2の切断活性を有するポリペプチド、
である、請求項5に記載の医薬組成物。 - 前記(a)〜(c)に記載のポリペプチドが、ALK2特異的な切断活性を有するポリペプチドである、請求項2〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
- 前記ALK2の変異を有する疾患が、進行性骨化性線維異形成症、またはびまん性橋膠腫である、請求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物。
- 注射剤である、請求項1〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
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