JP2021016347A - 生食用食肉の加工処理方法、及び生食用食肉の殺菌方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】食肉に対する殺菌効果が高く、かつ生食用の食肉として好適な風味と食感を実現することができる生食用食肉の加工処理方法、及び生食用食肉の殺菌方法を提供することを目的とする。【解決手段】中抜き屠体から解体処理された肉小片は、殺菌処理のために殺菌装置1内に設置される。殺菌装置1内に設置された肉小片は、大気圧下、略100℃の蒸気に略1分間曝される。その後、蒸気に曝された肉小片に対して冷却水を噴霧し、肉小片の表面温度が略30〜40℃となった時点で肉小片を殺菌装置1から取出す。殺菌装置1から取り出した肉小片は、氷水が貯留された水槽に浸漬され、表面温度が略10℃となるまで冷却される。【選択図】図2
Description
本発明は、生食用食肉の加工処理方法、及び生食用食肉の殺菌方法に関する。詳しくは、食肉に対する殺菌効果が高く、かつ生食用の食肉として好適な風味と食感を実現することができる生食用食肉の加工処理方法、及び生食用食肉の殺菌方法に係るものである。
近年、食肉として牛、豚、鳥等の畜肉、猪や鹿等の獣肉等が代表的に食されているが、これらの食肉は一般的には各部位が精肉として処理され、その部位の肉質によって用途に応じた加工食品に使用されている。
ここで、食肉の一般的な加工処理方法として、例えば特許文献1には鶏肉の加工処理方法が開示されている。即ち、食用の鶏肉は、生鳥の受け入れ→屠殺→湯漬脱毛→内蔵摘出→屠体冷却→重量選別→包装仕分け→保管の各工程にしたがって加工製造され、消費者に向けて出荷される。
ところで、このような食肉の対象となる家畜は、病原性大腸菌、サルモネラ菌、及びカンピロバクター菌といった食中毒の原因となる菌を腸管等の臓器内に保菌している。一方で、我が国においては、食肉を生のまま食する食文化が定着しており、例えば南九州地方においては、生の鶏肉をスライスした鶏刺しが郷土料理として親しまれている。その他、牛刺し、馬刺し等、食肉を生のまま加工した料理が多く存在する。
しかしながら、前記した加工処理の工程において、わずかでも腸管破損等すると腸内の内容物が漏出して生肉部分に付着してしまい、特に食肉を生で食する場合には食中毒のリスクを高める虞がある。以上のことから、生で食する食肉については、食品衛生法に基づき生食用食肉の加工基準が厳格に定められおり、食肉処理業者は係る基準に基づいた殺菌処理が求められている。
生肉の殺菌方法としては、アルコール溶液や化学薬品を使用するもの(特許文献2)、又は高線量のγ線を照射する放射線を使用するもの(特許文献3)が存在する。しかしながら、これら化学薬品や放射線を使用する殺菌方法の場合、異臭の発生や色調の悪化、及び食味の低下等が生じ、生で食する食肉の殺菌方法としては不適なものとなっていた。そのため、従来より、生で食する食肉の殺菌方法としては、主に加熱殺菌が一般的に行われている。
ここで、加熱による殺菌方法について鶏肉を例にとって説明すると、まず、脱毛され内蔵等が取り出された屠体(以下、「中抜き屠体」という。)は、その部位ごとに小片の肉塊として切り落とされる。切り落とされた肉塊はトレーに載置され、肉塊の表面を殺菌処理するため略95℃程度に保温された熱湯で満たされた水槽内に一定時間(例えば1分間)浸漬される。その後、トレーを水槽から引き揚げ、肉塊の表面温度が60℃程度となるまで自然冷却した後に、肉塊を氷水に浸漬し、肉塊の表面温度が略10℃となった段階で殺菌処理が完了する。
前記した加熱による殺菌方法においては、化学薬品や放射線による殺菌処理に比べて異臭の発生を抑えることができるとともに、食肉の色調の悪化や食味の低下を抑えることができるため、生で食する食肉の殺菌方法として一般的に広く採用されている。
しかしながら、加熱による殺菌処理の場合、略95℃の均一な温度に保たれた水槽内に被処理物である肉塊が浸漬されると、一時的に水槽内の熱湯の温度が低下する。そこで、水槽内の温度を略95℃に保つために加熱手段による加熱が行われるが、このとき、水槽内の水温には底面部分と水面部分との間において温度のムラが生じる。その結果、肉塊の殺菌状態に優越が発生し、場合によっては生菌が完全に死滅しないということも想定される。
そのため、生菌を完全に死滅させるには、水槽内の温度ムラが無くなるまでの一定時間、肉塊を水槽内に浸漬する必要がある。そうした場合、肉塊の表面だけでなく中心部分まで熱が伝わり、肉塊のタンパク変性が生じて全体が白っぽくなり煮肉に近い状態となってしまい、生食として鶏刺し用の鶏肉からは程遠い製品となってしまう。
さらに、熱湯で満たされた水槽内への肉塊の浸漬、及び引き揚げ作業には、作業員が熱湯に接触する機会が多く、作業負担が大きいとともに、危険を伴う作業となることからも、必ずしも効率的な作業ではなかった。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、食肉に対する殺菌効果が高く、かつ生食用の食肉として好適な風味と食感を実現することができる生食用食肉の加工処理方法、及び生食用食肉の殺菌方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の生食用食肉の加工処理方法は、屠体から内臓を摘出して中抜き屠体とする中抜き工程と、内蔵を摘出した中抜き屠体から部位別の肉小片に解体する解体工程と、該解体工程で解体した肉小片を殺菌装置内に設置する設置工程と、肉小片を大気圧下、略100℃の蒸気により、所定の時間だけ前記殺菌装置で常圧加熱する加熱工程と、該加熱工程で加熱した肉小片の表面温度が略10℃以下となるまで冷却する冷却工程とを備える。
ここで、内蔵を摘出した中抜き屠体から部位別の肉小片に解体する解体工程を備えることにより、後述する殺菌装置での常圧加熱による殺菌処理の前処理として、中抜き屠体の肉塊を肉小片に解体することができる。このように肉小片とすることで、殺菌処理、及び殺菌処理後の冷凍、冷蔵保存も効率的に行うことができる。
また、解体工程で解体した肉小片を殺菌装置内に設置する設置工程を備えることにより、殺菌処理を行う殺菌装置内に被殺菌物である肉小片を設置することができる。肉小片は、例えば複数段に積層されたトレーに載置することで、多数の肉小片を一度に殺菌装置内に設置することができる。
また、肉小片を大気圧下、略100℃の蒸気により所定の時間だけ殺菌装置で常圧加熱する加熱工程を備えることにより、高温の蒸気に曝される肉小片の表面部のみに熱を伝え、肉小片の内部にまで熱が侵入することを防止し、肉小片の内部がタンパク変性による煮肉のような状態となることを防止することができる。
即ち、食肉に生息する生菌の大半は肉塊の表面部に生息し、内部には存在しない。そのため、肉小片の表面にのみ蒸気熱を加えることで、肉小片に生息する生菌の大半を死滅させることができる一方で、肉小片の中心部は熱が伝わらないため、生肉の状態を維持することができる。従って、被殺菌物である食肉として鶏肉を使用する場合には、肉小片の表面のみに熱が通り、内部は生の状態を実現することができるため、見た目、及び風味も豊かな鶏刺し料理の原材料として好適なものとなる。
このとき、殺菌装置内に設置した肉小片に向けて発生される蒸気の温度として略100℃未満とする場合、肉小片に生息する生菌が完全死滅せず、又は完全死滅までに長時間を要し、その間、殺菌装置内において肉小片は比較的高温の蒸気に曝された状態となるため、肉小片の内部にまで熱が伝わり、タンパク変性により煮肉のような状態となる。そのため、生食用の食肉としては不適なものとなる。
一方、殺菌装置内に設置した肉小片に向けて発生される蒸気の温度として略100℃を超えると、殺菌装置内の肉小片は高温の蒸気に曝され、瞬時に肉小片の内部まで熱が伝わり、タンパク変性により煮肉のような状態となる。そのため、生食用の食肉としては不適なものとなる。
以上のことから、蒸気の温度として略100℃未満、及び略100℃を超える場合の何れにおいても、肉小片の内部を生肉の状態に維持しつつ、肉小片に生息する生菌を完全に死滅させるためには、殺菌装置の温度管理が困難となる。この点、蒸気の温度として略100℃とすることで、肉小片の内部を生肉の状態に維持することができるとともに、肉小片に生息する生菌を完全に死滅させることができる。
また、加熱工程で加熱した肉小片の表面温度が略10℃以下となるまで冷却する冷却工程を備えることにより、生食用の食肉として適切な保存状態のもとで保存し、生菌の発生を防止することができる。
また、加熱工程は、殺菌装置で略1分間常圧加熱する場合には、前記した通り、略100℃の蒸気の温度条件のもとにおいて、肉小片の内部を生肉の状態に維持することができるとともに、肉小片に生息する生菌を完全に死滅させることができるため、生食用の食肉として好適なものとなる。
また、冷却工程は、肉小片の表面温度が略30〜40℃となるまで前記殺菌装置内において肉小片に対して冷却水を噴霧する第1の冷却工程と、第1の冷却工程の後に、肉小片の表面温度が略10℃以下となるまで所定温度の水温の水で満たされた水槽に肉小片を所定時間浸漬する第2の冷却工程とを有する場合には、まず、第1の冷却工程において、殺菌装置内において一定温度まで肉小片を冷却水により冷却した後に、殺菌装置から肉小片を取り出し、水槽に浸漬して、さらなる冷却を行うことで、肉小片を一定温度まで冷却するための総時間を短縮することができるため、肉小片の鮮度を維持することができる。
また、設置工程は、解体工程で解体した肉小片を所定の数に小分けし、容器に充填して密閉する充填包装工程を含み、充填工程で容器に充填した肉小片を殺菌装置内に設置する場合には、容器に充填包装された肉小片をそのまま殺菌装置で加熱殺菌することができるため、肉小片の出荷作業を効率化させることができる。
また、中抜き工程の後であって解体工程の前に、中抜き屠体の表面部を焼烙する焼烙工程を有する場合には、殺菌装置による殺菌処理の前工程として、中抜き屠体の表面部に生息する一定数の生菌を死滅させることができる。
前記の目的を達成するために、本発明の生食用食肉の殺菌方法は、内蔵を摘出した中抜き屠体から部位別に解体した肉小片を殺菌装置内に設置する設置工程と、肉小片を大気圧下、略100℃の蒸気により所定の時間だけ前記殺菌装置で常圧加熱する加熱工程と、該加熱工程で加熱した肉小片の表面温度が略10℃以下となるまで冷却する冷却工程とを備える。
ここで、中抜き屠体から部位別に解体した肉小片を殺菌装置内に設置する設置工程を備えることにより、殺菌処理を行う殺菌装置内に被殺菌物である肉小片を設置することができる。肉小片は、例えば複数段に積層されたトレーに載置することで、多数の肉小片を一度に殺菌装置内に設置することができる。
また、肉小片を大気圧下、略100℃の蒸気により所定の時間だけ殺菌装置で常圧加熱する加熱工程を備えることにより、高温の蒸気に曝される肉小片の表面部のみに熱を伝え、肉小片の内部にまで熱が侵入することを防止し、肉小片の内部がタンパク変性による煮肉のような状態となることを防止することができる。
即ち、前記した通り、殺菌装置内で発生する蒸気の温度として略100℃とすることで、肉小片の内部を生肉の状態に維持することができるとともに、肉小片に生息する生菌を完全に死滅させることができる。
また、加熱工程で加熱した肉小片の表面温度が略10℃以下となるまで冷却する冷却工程を備えることにより、生食用の食肉として適切な保存状態のもとで保存し、生菌の発生を防止することができる。
本発明に係る生食用食肉の加工処理方法、及び生食用食肉の殺菌方法は、食肉に対する殺菌効果が高く、かつ生食用の食肉として好適な風味と食感を実現することができる。
以下、生食用食肉の加工処理方法、及び生食用食肉の殺菌方法に関する本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
まず、本発明の生食用食肉の加工処理工程について図1を用いて説明する。なお、以下の実施形態においては被加工食肉として食鳥肉を前提として説明するが、被加工食肉としてはその他の食肉(牛、豚等)であってもよい。
[中抜き工程(S1)]
まず、食鳥処理工場に搬入された生鳥は、屠殺後に放血、及び湯漬のうえ脱羽処理を経て中抜き工程により内臓が除去され中抜き屠体となる。
まず、食鳥処理工場に搬入された生鳥は、屠殺後に放血、及び湯漬のうえ脱羽処理を経て中抜き工程により内臓が除去され中抜き屠体となる。
[焼烙工程(S2)]
中抜き工程で得られた中抜き屠体の表面部は図示しない加熱装置で焼烙され、中抜き屠体の表面部に生息する一定数の生菌を死滅させる。
中抜き工程で得られた中抜き屠体の表面部は図示しない加熱装置で焼烙され、中抜き屠体の表面部に生息する一定数の生菌を死滅させる。
[解体工程(S3)]
焼烙された中抜き屠体は、洗浄後に大ばらし作業が行われ、各部位の肉塊から脱骨を経て肉小片に解体される。
焼烙された中抜き屠体は、洗浄後に大ばらし作業が行われ、各部位の肉塊から脱骨を経て肉小片に解体される。
[殺菌工程(S4)]
解体工程で肉塊が肉小片に解体されると、殺菌工程により肉小片の殺菌処理が行われる。なお殺菌工程については後述する。殺菌工程で殺菌処理された肉小片は、各出荷先に向けて出荷される。
解体工程で肉塊が肉小片に解体されると、殺菌工程により肉小片の殺菌処理が行われる。なお殺菌工程については後述する。殺菌工程で殺菌処理された肉小片は、各出荷先に向けて出荷される。
以上が生食用食肉の加工処理工程であるが、次に図2乃至図4を用いて、殺菌工程(S3)の詳細な工程、及び殺菌工程において使用する殺菌装置1について説明する。
まず、殺菌装置1について説明する。殺菌装置1は横型の円筒状、又は角状(本発明の実施形態においては円筒状)であって内部に被殺菌物である食肉が収容可能な殺菌空間Rが形成された本体部2を有し、本体部2の前方には被殺菌物である食肉を出し入れするための出入口3を閉塞可能な蓋部4、本体部2の後方には多翼軸流型のファン5、及びファン5を駆動するためのモーター6がそれぞれ設けられている。
本体部2の内壁側には仕切板7が取り付けられており、係る仕切板7と本体部2により循環路Cが形成されている。本体部2には、蒸気を殺菌空間Rに向けて導入するための蒸気入口21、殺菌空間Rの蒸気を外部に向けて排出するための蒸気出口22が形成されている。即ち、本発明の実施形態において使用する殺菌装置1は、殺菌装置1の駆動中は、蒸気入口21から導入された蒸気が常時蒸気出口22から排出される常圧式の殺菌装置である。
ここで、殺菌装置1として、加圧式の殺菌装置を使用することもできるが、その場合、殺菌空間R内での蒸気の温度上昇が急激なものとなり、被殺菌物である食肉が一時的に高温の蒸気に曝されることにより食肉の内部まで熱が伝わり、煮肉のような状態となってしまう。そうすると、食肉の表面のみに熱が伝わり、内部は生肉の状態である鶏刺し料理用の食肉としては不適なものとなるため、本願発明においては常圧式の殺菌装置1を使用することが好ましい。
殺菌装置1を駆動すると、モーター6によりファン5が回転駆動される。このとき、蒸気入口21から導入された蒸気は、図3(a)に示すように、ファン5の回転により循環路Cを通って本体部2の前方から後方へ矢印のように誘導され殺菌空間R内を循環する。殺菌空間Rに設置された食肉は、循環された蒸気熱に曝され殺菌される。
また、殺菌装置1の本体部2内には、冷却水を導入するための冷却水循環路23を有しており、冷却水循環路23には複数の噴射ノズル25が設置されている。冷却水入口24から導入された冷却水は冷却水循環路23を循環して噴射ノズル25から殺菌空間R内に設置された食肉に対して噴霧される。
ここで、必ずしも、冷却水循環路23を有している必要はない。但し、冷却水循環路23を有することにより、例えば蒸気による殺菌処理が完了した後に、冷却水循環路23から導入された冷却水を食肉に向けて噴霧することで、食肉を一定温度まで冷却することができる。従って、殺菌処理完了後の食肉を、本体部2から取り出す際の作業員の作業負担を軽減することができるとともに、殺菌処理後の食肉の冷却時間を短縮化することができる。
以上が本発明の実施形態において使用される殺菌装置1の概要であるが、次に、係る殺菌装置1を用いた食肉の殺菌方法について図4の工程図を用いて説明する。
[設置工程(S41)]
焼烙工程により表面が焼烙された肉小片は、殺菌装置1に設置される。ここで、肉小片を殺菌装置1の殺菌空間Rに設置するに際しては、鉛直方向に多段に積層(図2では16段)されたトレー8に肉小片を所定の数だけ載置し、例えば図2に示すようなカート9で運搬して、出入口3を通じて殺菌空間Rにトレー8ごと搬入して設置することができる。
焼烙工程により表面が焼烙された肉小片は、殺菌装置1に設置される。ここで、肉小片を殺菌装置1の殺菌空間Rに設置するに際しては、鉛直方向に多段に積層(図2では16段)されたトレー8に肉小片を所定の数だけ載置し、例えば図2に示すようなカート9で運搬して、出入口3を通じて殺菌空間Rにトレー8ごと搬入して設置することができる。
ここで、必ずしも、トレー8の積層段数は図2に示すように16段である必要はなく、トレー8の積層段数は適宜変更することができる。
また、この設置工程においては、焼烙工程で焼烙した肉小片を所定の数(例えば6枚)に小分けして、真空容器に充填したうえで殺菌装置1に設置するようにしてもよい。このように、真空容器に充填して殺菌装置1に設置することで、出荷に際しての包装作業を簡略化することができる。
[加熱工程(S42)]
殺菌空間R内に被殺菌物である食肉が設置されると、殺菌装置1の電源がオンされ、図示しない蒸気生成器で略100℃の蒸気が生成され、蒸気入口21から殺菌装置1内に導入される。
殺菌空間R内に被殺菌物である食肉が設置されると、殺菌装置1の電源がオンされ、図示しない蒸気生成器で略100℃の蒸気が生成され、蒸気入口21から殺菌装置1内に導入される。
また、同時にモーター6が駆動され、モーター6と同軸に接続されたファン5も駆動を開始する。ファン5の駆動により殺菌装置1内に導入された蒸気は循環路Cを通って、殺菌空間Rへと循環し、肉小片は高温の蒸気に曝され、係る蒸気によりその表面部分が加熱殺菌される。殺菌装置1内を循環する蒸気の一部は、常に蒸気出口22から外部へと排出されることにより、殺菌空間R内は常に大気圧と略同一に保たれる。この蒸気による加熱殺菌は、略100℃の温度条件のもとで、略1分間継続的に行われる。
ここで、必ずしも、蒸気による殺菌条件として略100℃の蒸気で略1分間の条件である必要はない。これら温度、及び時間条件は殺菌空間R内における肉小片の設置量や出荷先の食肉の用途等により適宜変更することができる。但し、発明者が検討を繰り返した結果、生食用の食肉として出荷するには、100℃の温度条件のもとで略1分間の加熱条件が最も生食用の食肉として適当な条件であることが確認された。
即ち、蒸気の温度として略100℃未満とする場合、肉小片に生息する生菌が完全死滅せず、又は完全死滅までに長時間を要し、その間、殺菌装置1内において肉小片は比較的高温の蒸気に曝された状態となるため、肉小片の内部にまで熱が伝わり、タンパク変性により煮肉のような状態となる。そのため、生食用の食肉としては不適なものとなる。
一方、蒸気の温度として略100℃を超えると、殺菌装置1内の肉小片は高温の蒸気に曝され、瞬時に肉小片の内部まで熱が伝わり、タンパク変性により煮肉のような状態となる。そのため、生食用の食肉としては不適なものとなる。
[冷却工程(S43)]
蒸気による加熱工程が完了すると、続いて冷却水循環路23を通じて循環した冷却水が噴射ノズル25から肉小片に向けて噴霧される。これにより、蒸気により加熱され、高温となっている肉小片の表面温度を一定温度(略30〜40℃)まで低下させることができる。
蒸気による加熱工程が完了すると、続いて冷却水循環路23を通じて循環した冷却水が噴射ノズル25から肉小片に向けて噴霧される。これにより、蒸気により加熱され、高温となっている肉小片の表面温度を一定温度(略30〜40℃)まで低下させることができる。
殺菌空間R内には、肉小片の温度を計測する図示しない温度センサが設置されており、常に肉小片の表面温度がモニターできるようになっている。肉小片の表面温度が略30〜40℃程度となった段階で蓋部4を開け、殺菌空間R内から肉小片を取り出し、続いて図示しない氷水が貯留された水槽内に肉小片を浸漬し、さらに肉小片を冷却する。肉小片の表面温度が略10℃となったら、水槽から肉小片を取り出し、包装のうえ出荷先に出荷する。
ここで、必ずしも、冷却工程として殺菌装置1内での冷却水の噴霧を行う必要はない。例えば、蒸気による加熱殺菌が終了した段階で肉小片を殺菌装置1から取出し、氷水が貯留された水槽内に浸漬するようにしてもよい。
但し、蒸気による加熱殺菌が終了した直後の肉小片は、表面温度が少なくとも略100℃近くの高温であり、殺菌装置1から肉小片を取り出す作業が危険を伴う可能性がある。さらに、高温の肉小片をそのまま水槽内に浸漬すると、一時的に水槽内温度が上昇することにより、水槽内の温度分布が歪なものとなり、肉小片を均一に冷却することができない可能性がある。
この点、蒸気による加熱殺菌が完了したら、殺菌装置1内において冷却水による冷却を行うことで、殺菌装置1から肉小片を取り出す際の作業員の危険を回避することができるとともに、水槽内に肉小片を浸漬したとしても、氷水の温度上昇幅を抑え、水槽内の温度をある程度一定に保つことで肉小片を均一に冷却し、肉小片の品質、鮮度を保持することが可能となる。
前記のように殺菌処理した肉小片に基づいて調理した鶏刺しについて風味評価を行った。風味評価は、以下に示す実施例1、及び比較例1乃至比較例5の条件で加熱殺菌した肉小片を調理した鶏刺しについて生菌調査をしたうえで10人の被検者に試食してもらい、「見た目」、「食感」、「風味」のそれぞれの項目について「良い」、「普通」、「悪い」の三段階で評価を行った。
[実施例1]
略100℃の蒸気を常圧の条件下で略1分間(60秒間)、加熱殺菌した。
略100℃の蒸気を常圧の条件下で略1分間(60秒間)、加熱殺菌した。
[比較例1]
略100℃の蒸気を常圧の条件下で略50秒間、加熱殺菌した。
略100℃の蒸気を常圧の条件下で略50秒間、加熱殺菌した。
[比較例2]
略100℃の蒸気を常圧の条件下で略70秒間、加熱殺菌した。
略100℃の蒸気を常圧の条件下で略70秒間、加熱殺菌した。
[比較例3]
略90℃の蒸気を常圧の条件下で略1分間(60秒間)、加熱殺菌した。
略90℃の蒸気を常圧の条件下で略1分間(60秒間)、加熱殺菌した。
[比較例4]
略90℃の蒸気を常圧の条件下で略90秒間、加熱殺菌した。
略90℃の蒸気を常圧の条件下で略90秒間、加熱殺菌した。
[比較例5]
略100℃の蒸気を加圧の条件下で略1分間(60秒間)、加熱殺菌した。
略100℃の蒸気を加圧の条件下で略1分間(60秒間)、加熱殺菌した。
以上の実施例1、及び比較例1乃至比較例5の条件下で加熱殺菌した肉小片を用いて調理した鶏刺しについて評価を行った結果を表1に示す。なお、「見た目」は鶏刺し本来の見た目、即ち表面部分だけに焼目がつき、内部は生の状態であるか否かという観点で評価した。また、「食感」は鶏刺し特有の歯ごたえとしてコリコリとした歯ごたえがあるか否かという観点で評価した。さらに、「風味」は、臭い、及び味としての生臭さが残っているか否かの観点で評価した。
以上の評価結果に基づくと、実施例1に係る肉小片を用いた鶏刺しは、見た目、食感、及び風味の何れにおいても高評価となっていることがわかる。一方、比較例1、及び比較例3については殺菌が不十分となり、肉小片に若干の生菌が確認されたため、鶏刺し料理用の肉小片としては不適合となった。
また、比較例2、比較例4、及び比較例5については、生菌は完全死滅することができるが、殺菌時における加熱条件により肉小片の内部まで熱が伝わり、全体として煮肉のような状態となってしまい、見た目、食感、及び風味の何れにおいても低評価となった。
以上より、本発明の実施形態においては、常圧の殺菌装置1にて略100℃の温度条件下で1分間、肉小片を蒸気に曝すことで、肉小片に生息する生菌を完全に死滅させることができるとともに、係る肉小片を用いることにより見た目、食感、及び風味について優れた鶏刺し料理とすることができる。
以上のように、本発明を適用した生食用食肉の加工処理方法、及び生食用食肉の殺菌方法は、食肉に対する殺菌効果が高く、かつ生食用の食肉として好適な風味と食感を実現することができる。
1 殺菌装置
2 本体部
21 蒸気入口
22 蒸気出口
23 冷却水循環路
24 冷却水入口
25 噴射ノズル
3 出入口
4 蓋部
5 ファン
6 モーター
7 仕切板
8 トレー
9 カート
C 循環路
R 殺菌空間
2 本体部
21 蒸気入口
22 蒸気出口
23 冷却水循環路
24 冷却水入口
25 噴射ノズル
3 出入口
4 蓋部
5 ファン
6 モーター
7 仕切板
8 トレー
9 カート
C 循環路
R 殺菌空間
Claims (6)
- 屠体から内臓を摘出して中抜き屠体とする中抜き工程と、
中抜き屠体から部位別の肉小片に解体する解体工程と、
該解体工程で解体した肉小片を殺菌装置内に設置する設置工程と、
肉小片を大気圧下、略100℃の蒸気により所定の時間だけ前記殺菌装置で常圧加熱する加熱工程と、
該加熱工程で加熱した肉小片の表面温度が略10℃以下となるまで冷却する冷却工程と、を備える
生食用食肉の加工処理方法。 - 前記加熱工程は、前記殺菌装置で略1分間常圧加熱する
請求項1に記載の生食用食肉の加工処理方法。 - 前記冷却工程は、
肉小片の表面温度が略30〜40℃となるまで前記殺菌装置内において肉小片に対して冷却水を噴霧する第1の冷却工程と、
該第1の冷却工程の後に、肉小片の表面温度が略10℃以下となるまで所定温度の水温の水で満たされた水槽に肉小片を所定時間浸漬する第2の冷却工程と、を有する
請求項1または請求項2に記載の生食用食肉の加工処理方法。 - 前記設置工程は、
前記解体工程で解体した肉小片を所定の数に小分けし、容器に充填して密閉する充填包装工程を含み、
該充填工程で容器に充填した肉小片を前記殺菌装置内に設置する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の生食用食肉の加工処理方法。 - 前記中抜き工程の後であって前記解体工程の前に、中抜き屠体の表面部を焼烙する焼烙工程を有する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の生食用食肉の加工処理方法。 - 内蔵を摘出した中抜き屠体から部位別に解体した肉小片を殺菌装置内に設置する設置工程と、
肉小片を大気圧下、略100℃の蒸気により所定の時間だけ前記殺菌装置で常圧加熱する加熱工程と、
該加熱工程で加熱した肉小片の表面温度が略10℃以下となるまで冷却する冷却工程と、を備える
生食用食肉の殺菌方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019134092A JP2021016347A (ja) | 2019-07-19 | 2019-07-19 | 生食用食肉の加工処理方法、及び生食用食肉の殺菌方法 |
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