(実施の形態1)
図1および図2は、本発明の実施の形態1における部品実装装置1を示している。部品実装装置1は、上流工程側から搬入した基板KBに部品BHを装着して下流工程側に搬出する動作を繰り返し実行する装置である。図3は部品実装装置1の一部(図2中に示す一点鎖線の矩形領域AR)の平面図であり、図4は図3における矢視V−Vの断面図である。実施の形態1では説明の便宜上、基板KBの搬送方向をX軸方向(左右方向)とし、これと直交する水平面内の方向をY軸方向(前後方向)とする。
図1および図2において、部品実装装置1は、基台11、2つの基板搬送部12、4つの部品供給部13、4つの部品装着ヘッド14、4つの部品カメラ15を備えている。また、部品実装装置1は、図2に示すように、4つの光センサ16と4つのシャッタ17を備えている。
図1および図2において、基台11はカバー部材11Cによって覆われている。基台11の上面とカバー部材11Cとの間には、基板KBに対する部品BHの装着作業を行うための作業空間11Rが形成されている(図4)。図2に示すように、基台11はY軸方向の一方側の端部に開口した2つの台車挿入スペース11Sと、Y軸方向の他方側の端部に開口した2つの台車挿入スペース11Sの、合わせて4つ台車挿入スペース11Sを有している。図1に示すように、カバー部材11Cには、4つの台車挿入スペース11Sそれぞれに対応した位置にタッチパネル18が設けられている。
図1および図2において、2つの基板搬送部12は、基台11の中央部にY軸方向に平行に並んで配置されている。各基板搬送部12は作業空間11RをX軸方向に貫通して延びた一対のコンベア12aから構成されている。2つの基板搬送部12はそれぞれ、上流工程側から送られてきた基板KBを受け取ってX軸方向に搬送し、所定の位置に位置決めする。
図3および図4において、各部品供給部13は、フィーダ台車21とフィーダ台車21に取り付けられた複数の部品供給フィーダ22から構成されている。フィーダ台車21は基台11が有する4つの台車挿入スペース11Sのそれぞれに挿入されて基台11に連結される。フィーダ台車21が基台11に連結されると、フィーダ台車21に取り付けられた複数の部品供給フィーダ22が一括して基台11に接続される。基台11に接続された各部品供給フィーダ22は、基板搬送部12に近い側の端部に設けられた部品供給口22Kに部品BHを供給する。
図2、図3および図4において、カバー部材11Cの一部はフィーダカバー11Dとなっている。フィーダカバー11Dは、基台11上の4つの台車挿入スペース11Sそれぞれの上方に配置されている。各フィーダカバー11Dは全体としてX軸方向に延びており、基台11に接続された部品供給フィーダ22の上方領域のうち、部品供給口22KよりもY軸方向の外側(基台11の中央から見た外側であり、図4では左側)の領域を覆っている。
図1および図2において、4つの部品装着ヘッド14は、基台11に取り付けられた4つの部品供給部13のそれぞれに対応して設けられている。各部品装着ヘッド14はそれぞれ図1に示すヘッド移動機構14Kによって、作業空間11R内を水平面内方向に移動される。各部品装着ヘッド14は下向きに延びたノズル14aを備えている(図4)。部品装着ヘッド14はノズル14aの下端に真空吸着力を発生させることで、部品供給フィーダ22が部品供給口22Kに供給した部品BHを吸着してピックアップする。
図2、図3および図4において、4つの部品カメラ15は基台11上に設けられている。詳細には、各部品カメラ15は、4つの台車挿入スペース11Sそれぞれと基板搬送部12との間の領域に設けられている。各部品カメラ15は撮像視野を上方に向けており、部品装着ヘッド14が部品供給フィーダ22からピックアップした部品BHを下方から撮像する。
図2において、各光センサ16は、X軸方向に対向して配置された投光素子16aと受光素子16bから成る。投光素子16aはX軸方向に検査光16Lを投光し、受光素子16bは投光素子16aが投光した検査光16Lを受光する。
各光センサ16は、検査光16Lが受光素子16bによって受光されないことをもって、検査光16Lの経路上に物体が位置していることを検知する。4つの光センサ16はそれぞれ、検査光16Lが部品供給フィーダ22の部品供給口22Kの上方を通る位置に配置されている(図3および図4)。このため、部品供給フィーダ22の一部が正規の位置から浮き上がっている場合には、その浮き上がった部分が検査光16Lを遮断することになり、部品供給フィーダ22がフィーダ台車21に対して非正常な取付け状態になっていることが検出される。
図2において、4つのシャッタ17は、基台11が備える4つの台車挿入スペース11Sに対応して設けられている。具体的には、各シャッタ17は、図4および図5に示すように、台車挿入スペース11Sと、その台車挿入スペース11Sに対応する部品カメラ15との間の領域に設けられている。
図6および図7において、シャッタ17は、X軸方向に延びた複数(ここでは5本)の横桟部材17aと、これら複数の横桟部材17aによって連結された複数(ここでは4枚)の板部材17bを有して構成されている。シャッタ17は左右一対のフレーム31によって複数の横桟部材17aそれぞれの端部が支持されており、最も下方に位置する横桟部材17aの両端部には左右一対の開閉ガイド32が連結されている。シャッタ17は、一方の開閉ガイド32に隣接して設けられたシャッタ駆動部33が開閉ガイド32を昇降させることによって開閉される。
図6および図7において、左右のフレーム31は、X軸方向に並んで基台11上に配置されている。左右のフレーム31はそれぞれ、基台11から上方に延びた垂直部31aと、垂直部31aの上端から外側(基台11の中央から見たY軸方向の外側)に延びた水平部31bを有している。各フレーム31の内側の面(互いに対向する面)には、垂直部31aと水平部31bにわたって延びる案内溝31Mが設けられている。複数の横桟部材17aそれぞれの両端部は、左右のフレーム31の案内溝31M内に位置している。
図6、図7および図8(a),(b),(c),(d)において、左右の開閉ガイド32は、左右のフレーム31それぞれに対応して設けられている。各開閉ガイド32は、シャッタ17の下端(最も下方に位置する横桟部材17a)に連結された昇降ブロック32aと、昇降ブロック32aを昇降自在にガイドするガイド柱32bを有している。
図6、図7および図8(a),(b),(c),(d)シャッタ駆動部33は、シリンダ部33aおよびシリンダ部33aに沿って上下方向に移動可能な昇降体33bを備えたロッドレスシリンダから構成されている。昇降体33bには、一方の開閉ガイド32の昇降ブロック32aが連結されている。
シャッタ駆動部33が昇降体33bをシリンダ部33aに沿って上下方向に移動させると、シャッタ17の最下部に位置する横桟部材17aがフレーム31の垂直部31aに沿って上下方向に移動し、これによりシャッタ17の全体が上下方向および前後方向に移動する。このときシャッタ17の最上部に位置する横桟部材17aは、フレーム31の水平部31bに沿って前後方向に移動する(図8(a)→図8(b)→図8(c)→図8(d)または図8(d)→図8(c)→図8(b)→図8(a))。
図9(a),(b)において、カバー部材11C(詳細にはフィーダカバー11D)と基台11との間には作業空間11Rに通じる開口部SPが形成されており、シャッタ17は開口部SPを開閉し得る位置に設けられている。昇降体33bが最も下方に位置する位置(図8(a))では、4枚の板部材17bの全てがフレーム31の垂直部31aに沿って延びてほぼ垂直姿勢となり、開口部SPは開放状態となる(図9(a))。以下、このシャッタ17の位置を「開放位置」と称する。一方、昇降体33bが最も上方に位置する位置(図8(d))では、4枚の板部材17bのうち上側の一部(ここでは2枚)の板部材17bがフレーム31の水平部31bに沿って延びてほぼ水平姿勢となり、開口部SPは閉止状態となる(図9(b)および図10)。以下、このシャッタ17の位置を「閉止位置」と称する。
図9(a),(b)に示すように、シャッタ17は光センサ16の検査光16Lの下方の領域で開閉される。このため光センサ16の検査光16Lは、シャッタ17の開閉状態によらず、シャッタ17によって遮断されない。
図11において、部品実装装置1が備える制御部40は、部品装着作業実行部40aとシャッタ制御部40bを備えている。部品装着作業実行部40aは、基板搬送部12による基板KBの搬送と位置決め、ヘッド移動機構14Kによる部品装着ヘッド14の移動、部品装着ヘッド14によるノズル14aの昇降と回転、ノズル14aによる部品BHの吸着および部品供給フィーダ22による部品BHの供給の各動作を制御する。また、制御部40は、各部品カメラ15の撮像動作を制御し、部品カメラ15から送られてきた画像に基づいて画像認識処理を行う。シャッタ制御部40bは、各シャッタ17に対応するシャッタ駆動部33(詳細にはシリンダ部33a)を作動させることで、そのシャッタ17の開閉動作を制御する。
図11において、カバー部材11Cに取り付けられた4つのタッチパネル18はそれぞれ制御部40と電気的に繋がっており、各タッチパネル18は表示部18a、操作部18bおよび報知部18cとして機能する。作業者は、タッチパネル18の操作部18bの機能を通じて制御部40に対して操作を行うことができる。また作業者は、表示部18aと報知部18cの機能を通じて制御部40から指示や情報の報知を受けることができる。
次に、部品実装装置1の動作を説明する。部品実装装置1が基板KBに部品BHを装着する作業(部品装着作業)を行うときは、先ず基板搬送部12が作動し、上流工程側から送られてきた基板KBを受け取って所定の位置に位置決めする。基板搬送部12が基板KBを位置決めしたら部品供給フィーダ22が部品供給口22Kに部品BHを供給し、部品装着ヘッド14が移動して部品供給フィーダ22から部品BHをピックアップする。部品装着ヘッド14は、部品BHをピックアップしたら部品カメラ15の上方に移動し、部品カメラ15に部品BHを撮像させる。
部品カメラ15が部品BHを撮像したら、制御部40は部品カメラ15の撮像によって得られた画像データに基づいて部品BHを認識する。部品BHが認識されたら部品装着ヘッド14は基板KBの上方に移動し、制御部40による部品BHの認識結果に基づいて、基板KB上の所定の位置に部品BHを装着する。このような部品装着動作が繰り返し実行されて部品実装装置1により基板KBに装着されるべき部品BHが全て装着されたら、基板搬送部12が作動して基板KBを下流工程側に搬出する。
このような構成の部品実装装置1では、基台11が有する台車挿入スペース11Sにフィーダ台車21を連結させる台車連結作業と、基台11に連結させたフィーダ台車21を台車挿入スペース11Sから引き抜く台車引抜き作業とが行われるが、実施の形態1では、この台車連結作業と台車引抜き作業とに関係する構造および制御部40による制御に特徴がある。以下、その説明を行う。
図12において、部品供給部13を構成するフィーダ台車21は、床面FLに接地する複数の車輪51Hを備えた台車下部51と、台車下部51の上方に位置する台車上部52とを有している。台車下部51の左右の側面には左右一対のハンドル53と左右一対の突起部54が設けられている。台車上部52の上部は、複数の部品供給フィーダ22を左右方向に並べて取り付ける領域となっている。台車上部52の左右の側面52Sには左右一対のカムフォロア55が設けられている(図10も参照)。
図12において、台車上部52は、台車下部51から上方に延びた複数の昇降ガイド51Gにガイドされて台車下部51に対して昇降自在になっている。このため、台車上部52を水平面内方向に移動させると台車下部51は台車上部52に追随して台車上部52の進行方向に移動するが、台車上部52を持ち上げても台車下部51は持ち上げられない(車輪51Hを床面FLに接地させた状態を維持する)。図10にも示すように、台車上部52の基台11と対向する側の面(以下、前面21Fと称する)には台車側コネクタ56が基台11側に突出して設けられている。
図13において、基台11が有する各台車挿入スペース11Sは、正面壁11F(その台車挿入スペース11Sに挿入されたフィーダ台車21の前面21Fと対向する面)と、その正面壁11Fの左右両側に位置する左右の内側壁11Wとによって囲まれた空間として形成されている。図14および図15にも示すように、正面壁11Fと内側壁11Wには、台車ロック部61、引込みガイド62、付勢ばね63、台車連結部64、進入検出器65、台車検出部66および基台側コネクタ67が設けられている。
図13および図15において、台車ロック部61は、基台11の左右の内側壁11Wの左右対称の位置に設けられている。図14および図15に示すように、各台車ロック部61は、ロックアーム61aとロックアーム駆動シリンダ61bを有している。
図14および図15において、各台車ロック部61のロックアーム61aは先端に鉤状部61Kを有しており、基台11の内側壁11WからX軸方向に延びたロックアーム支持軸61Jのまわりに揺動自在に設けられている。ロックアーム駆動シリンダ61bは、そのシリンダチューブの端部が基台11に枢結されており、操作ロッド61Rの外側(基台11の中央から見たY軸方向の外側)に延びた端部がロックアーム61aに枢結されている。ロックアーム駆動シリンダ61bが作動するとロックアーム61aがY軸方向に押し引きされ、ロックアーム61aは横姿勢となる非ロック位置(図16(a))と縦姿勢となるロック位置(図16(b))との間で揺動する。
図14および図15において、引込みガイド62は、基台11の正面壁11FからY軸方向の外側に向けて片持ち状態で延びている。引込みガイド62の上面の中間部は水平面であり、外側の端部は外側に向かうほど高さが低くなる傾斜面となっている。
図14および図15において、付勢ばね63は、引込みガイド62の上面に沿ってY軸方向に延びて設けられている。付勢ばね63の一端側は基台11の正面壁11Fに固定されており、他端側は引込みガイド62の傾斜面の近傍に位置している。これら引込みガイド62および付勢ばね63から成る機構は、基台11の左右の内側壁11Wの左右対称の位置に設けられている(図13および図15)。
図13および図15において、台車連結部64は、基台11の左右の内側壁11Wの左右対称の位置に設けられている。台車連結部64は、台車挿入スペース11Sに挿入されたフィーダ台車21を基台11に連結する台車連結手段として機能する。図14および図15に示すように、各台車連結部64は、連結アーム64aと連結アーム駆動シリンダ64bを有している。
図14において、各台車連結部64の連結アーム64aは先端に鉤状の係止部64Kを有しており、基台11の内側壁11Wの上部からX軸方向に延びた連結アーム支持軸64Jのまわりに揺動自在に設けられている。連結アーム駆動シリンダ64bは、そのシリンダチューブの端部が基台11に枢結されており、操作ロッドである駆動ロッド64Rの外側に延びた端部が連結アーム64aに枢結されている。連結アーム駆動シリンダ64bが作動すると連結アーム64aがY軸方向に押し引きされ、連結アーム64aは横姿勢となる非連結位置(図9(b))と縦姿勢となる連結位置(図9(a))との間で揺動する。
図13および図14において、進入検出器65は、左右の内側壁11Wのうちの一方の上部に設けられている。進入検出器65は、ここではリミットスイッチから構成されており、フィーダ台車21の台車上部52の側面52Sによって操作片65aが水平方向に操作されると、オフ(非検出状態。図17(a))からオン(検出状態。図17(b))に切り替わる。
進入検出器65は、台車挿入スペース11Sに挿入されたフィーダ台車21が、基台11に対して予め設定された基準位置に位置したときに、操作片65aが台車上部52の側面52Sによって操作されて、オンからオフに切り替わる位置に取り付けられている。このため、進入検出器65がオフからオンに切り替わったことをもって、台車挿入スペース11Sに挿入されたフィーダ台車21が基準位置に到達した(位置した)ことを検知できる。
基準位置は、例えば、台車挿入スペース11S内に進入したフィーダ台車21を台車連結部64によって引き込んで基台11に連結させることが可能な位置に設定される。実施の形態1では、台車挿入スペース11Sに挿入したフィーダ台車21に設けられた左右のカムフォロア55が、左右の引込みガイド62それぞれの先端の傾斜面に当接する位置を基準位置としている。
作業者は、フィーダ台車21を操作して台車挿入スペース11Sに挿入するときは、フィーダ台車21を基準位置まで進入させる。台車挿入スペース11Sに挿入されたフィーダ台車21の左右のカムフォロア55が基台11の左右の引込みガイド62の端部(傾斜面)に当接すると、作業者はフィーダ台車21の操作に抵抗を感じることになるので、作業者はフィーダ台車21の操作に抵抗を感じたときをもって、フィーダ台車21が基準位置まで進入したことを把握することができる。フィーダ台車21が基準位置まで進入すると、進入検出器65は操作片65aが台車上部52の側面52Sによって外側へ押し退けられて(図17(a)→図17(b))、オフからオンに切り替わる。
図14および図15において、台車検出部66は、台車検出器としての台車検出コネクタ66aと、台車検出器移動手段としてのコネクタ移動シリンダ66bから構成されている。図14および図15に示すように、コネクタ移動シリンダ66bはそのシリンダチューブが基台11に固定されており、操作ロッドであるコネクタ操作ロッド66Rの端部を外側に向けた姿勢で配置されている。
台車検出コネクタ66aは台車側コネクタ56と接続可能なコネクタであり、コネクタ操作ロッド66Rの先端部に取り付けられている。コネクタ移動シリンダ66bは、台車検出コネクタ66aを、基台11に格納した格納位置(図16(a))と、格納位置から外側に(すなわち、基準位置に位置したフィーダ台車21に向けて)張り出させた張出位置(図16(b))との間で移動させる。
図14および図15において、基台側コネクタ67は基台11の正面壁11Fに臨んだ位置に設けられており、格納位置に位置した台車検出コネクタ66aの上方に位置している。基台側コネクタ67は、フィーダ台車21が基台11に連結された状態で、フィーダ台車21側が有する台車側コネクタ56と接続する。台車側コネクタ56は、基台11側とフィーダ台車21側との間の相互通信用のコネクタである。
図11において、部品実装装置1が備える制御部40は、前述の部品装着作業実行部40aとシャッタ制御部40bのほか、台車進入監視部40c、台車ロック制御部40d、台車検出判断部40eおよび台車連結制御部40fを備えている。台車進入監視部40cは、進入検出器65のオンオフ状態を監視する。台車ロック制御部40dは、台車ロック部61の(詳細にはロックアーム駆動シリンダ61bの)作動を制御する。
実施の形態1において、台車検出判断部40eは、台車検出器移動手段であるコネクタ移動シリンダ66bを作動させ、台車検出器である台車検出コネクタ66aを格納位置から張出位置に移動させることによって、基準位置にフィーダ台車21が位置しているか否かを判断する。具体的には、張出位置に位置した台車検出コネクタ66aが台車側コネクタ56と接続したことを電気的に検知した場合には、フィーダ台車21が基準位置に位置しており、かつ基準位置に存在するものがフィーダ台車21であると判断する。
台車連結制御部40fは、台車検出判断部40eによって基準位置にフィーダ台車21が位置していると判断された場合には、フィーダ台車21が基台11に連結されるように台車連結部64を作動させる。このように実施の形態1において、制御部40は、少なくとも台車検出器移動手段(コネクタ移動シリンダ66b)と台車連結部64の作動を制御するものとなっている。
次に、図18のフローチャートを用いて、台車連結作業が行われる場合に制御部40が行う処理(台車連結処理)の流れを説明する。作業者は、基台11が有する4つの台車挿入スペース11Sのいずれかにフィーダ台車21を挿入する場合には、その台車挿入スペース11Sの基台11上における位置を、タッチパネル18の操作部18bから指定(入力)する。
作業者が上記操作をする前、すなわち、フィーダ台車21が台車挿入スペース11Sに挿入される前では、その台車挿入スペース11Sの進入検出器65はオフであり、シャッタ17は閉止位置に位置している。また、台車ロック部61のロックアーム61aは非ロック位置に位置し、台車連結部64の連結アーム64aは非連結位置に位置した状態となっている(図19)。
制御部40は、タッチパネル18を通じて作業者による台車挿入スペース11Sの位置の指定があったことを検知した場合には(図18におけるステップST1)、その指定があった台車挿入スペース11Sが台車非連結状態(フィーダ台車21が連結されていない状態)であるか否かを判断する。そして、制御部40は、指定された台車挿入スペース11Sが台車非連結状態であると判断した場合には、タッチパネル18の表示部18aを通じて、作業者に、指定された台車挿入スペース11Sへのフィーダ台車21の挿入を指示する(ステップST2)。
作業者は、タッチパネル18を通じて制御部40よりフィーダ台車21を挿入する指示を受けたら、フィーダ台車21が備える左右のハンドル53を操作し(図19中に示す矢印P1)、台車側コネクタ56が基台側コネクタ67に近づく方向にフィーダ台車21を走行させて、フィーダ台車21を台車挿入スペース11Sに挿入する。そして、フィーダ台車21側の左右のカムフォロア55が基台11側の左右の引込みガイド62の端部(傾斜面)に当接するまでフィーダ台車21を操作して、フィーダ台車21を基準位置まで進入させる(図19→図20)。
作業者は、フィーダ台車21を基準位置まで進入させたら、ハンドル53から手を放す。フィーダ台車21が基準位置まで進入した状態では、進入検出器65の操作片65aは台車上部52の側面52Sによって操作されて、オフからオンになっている(図17(a)→図17(b))。
制御部40は、ステップST2で作業者に台車挿入スペース11Sへのフィーダ台車21の挿入を指示したら、台車進入監視部40cにおいて、進入検出器65がオフからオンになるタイミングを監視する(ステップST3)。そして、進入検出器65がオフからオンなったことを検知したら、制御部40は、ロックアーム駆動シリンダ61bを作動させて、ロックアーム61aを非ロック位置からロック位置へ揺動させる(図20→図21)。
ロックアーム61aが非ロック位置からロック位置へ揺動すると、左右のロックアーム61aは横姿勢から縦姿勢になり、左右の突起部54よりもY軸方向の外側に位置する(図21)。これにより左右の突起部54が左右のロックアーム61aにより(すなわちフィーダ台車21が台車ロック部61により)ロックされる(ステップST4)。このようにフィーダ台車21が台車ロック部61によりロックされた状態では、作業者はフィーダ台車21を台車挿入スペース11Sから引き抜くことができない。
台車ロック部61によりフィーダ台車21が基台11にロックされたら、制御部40は、コネクタ移動シリンダ66bを作動させて、台車検出器としての台車検出コネクタ66aを張出位置に移動させる(ステップST5。図21→図22)。ここで、フィーダ台車21が台車挿入スペース11Sに挿入されたことによって進入検出器65がオフからオンに切り替わっていた場合(すなわち、フィーダ台車21が基準位置まで進入していた場合)には、台車検出コネクタ66aは、フィーダ台車21が備える台車側コネクタ56に水平方向に接続(嵌合)することになる。
制御部40は、台車検出コネクタ66aを張り出させたら、台車検出コネクタ66aが台車側コネクタ56と接続するのに要する時間を勘案して定めた所定時間内に、フィーダ台車21を検出できるかどうかを試みる(ステップST6)。具体的には、所定時間、フィーダ台車21側に信号を送信し、その所定時間内にフィーダ台車21側との信号のやり取りが成功した場合にはフィーダ台車21を検出できたとする。一方、所定時間内にフィーダ台車21側との信号のやり取りが成功しなかった場合には、フィーダ台車21を検出できなかったとする。
制御部40は、ステップST6で所定時間内にフィーダ台車21を検出できなかった場合には、コネクタ移動シリンダ66bを作動させ、台車検出コネクタ66aを台車側コネクタ56から分離させて格納位置に位置させたうえで、タッチパネル18の報知部18cを通じてその旨を作業者に表示(エラー表示)する(ステップST7)。そして、ステップST2に戻り、タッチパネル18の表示部18aを介して、作業者に、台車挿入スペース11Sへのフィーダ台車21の挿入を改めて指示する。ステップST3で進入検出器65がオンになったにも拘らず、ステップST6においてフィーダ台車21を検出できない場合の例としては、フィーダ台車21が挿入されていない状態の台車挿入スペース11S内に作業者が進入して進入検出器65を検出状態(オン)にしてしまった場合が挙げられる。
一方、制御部40は、ステップST6でフィーダ台車21を検出した場合には、コネクタ移動シリンダ66bを作動させ、台車検出器としての台車検出コネクタ66aを台車側コネクタ56から分離させて、格納位置に位置させる(ステップST8。図22→図23)。制御部40は、台車側コネクタ56を格納位置に位置させたら、シャッタ制御部40bよりシャッタ駆動部33を作動させ、閉止位置に位置しているシャッタ17を開放位置に位置させる(ステップST9。図22→図23)。
閉止位置に位置しているシャッタ17を開放位置に位置させたら、制御部40は、台車連結部64を作動させ、左右の連結アーム駆動シリンダ64bを作動させて、左右の連結アーム64aを非連結位置から連結位置へ揺動させる(図23→図24→図25)。左右の連結アーム64aが非連結位置から連結位置へ揺動する過程において、フィーダ台車21側の左右のカムフォロア55を持ち上げて、基台11側へ引き寄せる。これにより左右のカムフォロア55は、左右の引込みガイド62の傾斜面から水平な上面に乗り上げる。左右のカムフォロア55は、左右の引込みガイド62の水平な上面に乗り上げた後は、基台11側へ向けて水平に移動(転動)する(図23→図24→図25)。なお、シャッタ17を開放位置に位置させる途中で、制御部40によって台車連結部64を作動させ、左右の連結アーム駆動シリンダ64bを作動させて、左右の連結アーム64aを非連結位置から連結位置へ揺動させ(図23→図24→図25)、左右の連結アーム64aが非連結位置から連結位置へ揺動する過程において、フィーダ台車21側の左右のカムフォロア55を持ち上げて、基台11側へ引き寄せるようにしてもよい。
上記のような左右のカムフォロア55の移動(左右の引込みガイド62の傾斜面および上面の形状に沿った移動)により、台車上部52は、左右の連結アーム64aによって上方へ引き上げられつつ基台11側へ近づいた後、水平方向に移動して基台11へ近づいていく。連結位置に位置して縦姿勢になった左右の連結アーム64aは、左右のカムフォロア55を基台11側に引き付けた状態に保持するので、左右のカムフォロア55は左右の連結アーム64aによってロックされ、フィーダ台車21は台車連結部64によって基台11に連結される(ステップST10)。
ここで、左右のカムフォロア55が左右の引込みガイド62の傾斜面を経て水平な上面を移動(転動)していくとき、付勢ばね63はカムフォロア55を通じてフィーダ台車21によって押し縮められる(図26(a)→図26(b)→図26(c))。このため左右の連結アーム64aが左右のカムフォロア55をロックしている間、左右のカムフォロア55には、左右の付勢ばね63の弾性力による外方(台車挿入スペース11Sから押し出される方向)への付勢力が作用する。
上記のように、台車上部52が水平方向に移動して基台11に近づく過程において、台車側コネクタ56は基台側コネクタ67に水平に嵌合して接続する(図26(a)→図26(b)→図26(c))。これにより台車側コネクタ56と基台側コネクタ67とは接続し(図24→図25)、フィーダ台車21の基台11への連結が完了する。フィーダ台車21が基台11に連結した状態では、フィーダ台車21に取り付けられた部品供給フィーダ22の基台11側の端部は、シャッタ17が開放位置に位置することで開放状態となっている作業空間11Rの開口部SPの領域に進出する(図25)。
台車連結部64の作動によって、フィーダ台車21の基台11への連結が完了したら、制御部40は所定時間、フィーダ台車21側に信号を送信することによって、フィーダ台車21側との間で信号のやり取りができるかどうかを試みる。そして、その所定時間内にフィーダ台車21側との信号のやり取りが成功した場合には、フィーダ台車21との間の通信状態が正常であると判断し、所定時間内にフィーダ台車21側との信号のやり取りが成功しなかった場合には、フィーダ台車21との間の通信状態が正常でないと判断する(ステップST11)。
制御部40は、ステップST11でフィーダ台車21との間の通信状態が正常であると判断した場合には台車連結処理を終了する。一方、フィーダ台車21との間の通信状態が正常でないと判断した場合には、タッチパネル18の表示部18aを介して作業者にエラー表示を行ったうえで(ステップST12)、台車連結処理を終了する。これにより台車連結作業が終了する。
次に、図27のフローチャートを用いて、台車引抜き作業が行われる場合に制御部40が行う処理(台車引抜き処理)の流れを説明する。作業者は、基台11が有する4つの台車挿入スペース11Sのいずれかからフィーダ台車21を引き抜く場合には、その台車挿入スペース11Sの基台11上における位置を、タッチパネル18の操作部18bから指定(入力)する。
作業者が上記操作をする前、すなわち、フィーダ台車21が台車挿入スペース11Sから引き抜かれる前では、台車挿入スペース11Sの進入検出器65はオンであり、シャッタ17は開放位置に位置している。また、台車ロック部61のロックアーム61aはロック位置に位置し、台車連結部64の連結アーム64aは連結位置に位置した状態となっている(図25)。
制御部40は、タッチパネル18を通じて作業者による台車挿入スペース11Sの位置の指定があったことを検知した場合には(図27におけるステップST21)、その指定があった台車挿入スペース11Sが台車連結状態(フィーダ台車21が連結されている状態)であるか否かを判断する。そして、制御部40は、指定された台車挿入スペース11Sが台車連結状態であると判断した場合には、連結アーム駆動シリンダ64bを作動させて、連結アーム64aを連結位置から非連結位置へ揺動させる(図25→図28→図29)。
左右の連結アーム64aが連結位置から非連結位置に揺動して横姿勢になると、左右のカムフォロア55のロックが解除される。そして、これにより、左右のカムフォロア55は左右の付勢ばね63によって外側(フィーダ台車21の引抜き方向)に押し出され、左右のカムフォロア55は左右の引込みガイド62の上面を外側に移動(転動)する(図26(c)→図26(b))。この間、台車上部52は基台11から水平方向に遠ざかり、台車側コネクタ56は基台側コネクタ67から外れて接続が解除される(図25→図28)。
左右のカムフォロア55は、左右の引込みガイド62の上面を外側に移動した後、左右の引込みガイド62の端部(傾斜面)から離脱する(図26(b)→図26(a))。これにより台車上部52は自重で下降して台車下部51に支持され(図28→図29)、基台11に対するフィーダ台車21の連結が解除される(ステップST22)。
上記のようにして基台11に対するフィーダ台車21の連結が解除されたら、制御部40はシャッタ駆動部33を作動させて、開放位置に位置しているシャッタ17を閉止位置に位置させる(ステップST23。図29→図30)。そして、ロックアーム駆動シリンダ61bを作動させて、ロックアーム61aをロック位置から非ロック位置へ揺動させる(図30→図31)。
左右のロックアーム61aが非ロック位置に揺動して横姿勢になると、左右の突起部54のロックが解除され、台車ロック部61によるフィーダ台車21のロックが解除される(ステップST24)。台車ロック部61によるフィーダ台車21のロックが解除されたら、制御部40は、タッチパネル18の表示部18aを通じて作業者にフィーダ台車21の引抜き許可のメッセージを表示し(ステップST25)、台車引抜き処理を終了する。
作業者は、タッチパネル18を通じて制御部40から引抜き許可のメッセージを受けたら、フィーダ台車21が備える左右のハンドル53を操作して、フィーダ台車21を台車挿入スペース11Sから引き抜く(図31→図32。図32中に示す矢印P2)。これにより台車引抜き作業が終了する。
このように、実施の形態1における部品実装装置1では、基台11の台車挿入スペース11Sに挿入されたフィーダ台車21が基台11に対して設定された基準位置まで進入した状態が進入検出器65によって検出されると、台車検出器である台車検出コネクタ66aが、台車検出器移動手段であるコネクタ移動シリンダ66bによって、格納位置から張出位置に張り出されるようになっている。そして、張出位置に位置した台車検出コネクタ66aが台車側コネクタ56と接続したことが電気的に検知されることによって、基準位置に位置した状態のフィーダ台車21が検知された場合には、台車連結部64がフィーダ台車21を基台11に連結するようになっている。
このため、例えば、台車挿入スペース11Sにフィーダ台車21が挿入されていない状態で誤って進入検出器65を操作してしまい、進入検出器65から、フィーダ台車21が基準位置に位置したときに検出される検出情報(ここではオン信号)が出力されたような場合であっても、台車挿入スペース11Sに実際にフィーダ台車21が挿入されていない状態で台車連結部64が作動することはない。従って、実施の形態1における部品実装装置1によれば、台車挿入スペース11Sにフィーダ台車21が挿入されていないにも拘らず台車連結部64が作動してしまう事態を防止でき、作業者の安全を確保することができる。
また、基台11と基台11に設けられたカバー部材11Cによって形成される作業空間11Rに通じる開口部SPを開閉するシャッタ17は、制御部40に制御されて、台車検出器である台車検出コネクタ66aがフィーダ台車21を検知したときには閉止状態となっている開口部SPを開放し、台車検出器がフィーダ台車21を検知しなかったときには開口部SPの閉止状態を維持するようになっている。このため、台車挿入スペース11Sからフィーダ台車21が引き抜かれている状態では開口部SPはシャッタ17によって閉止されており、作業者は作業空間11R内へ手を差し入れることができないので、作業の安全性を高めることができる。
また、シャッタ17の開閉状態によらず光センサ16の検査光16Lはシャッタ17によって遮断されないので(図9(a),(b))、ひとつの台車挿入スペース11Sからフィーダ台車21を引き抜くことによって、その台車挿入スペース11Sに対応するシャッタ17が閉止状態となっても、光センサ16の検出機能(部品供給フィーダ22の一部が正規の位置から浮き上がっている状態を検出する機能)が維持される。このため、台車挿入スペース11Sからフィーダ台車21が引き抜かれた場合に開口部SPがシャッタ17によって閉止されることと相俟って、部品実装装置1の稼動中にひとつの台車挿入スペース11Sからフィーダ台車21が引き抜かれた場合であっても部品実装装置1の稼動を継続することが可能であり、部品実装装置1の生産性を高めることができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2における部品実装装置1が実施の形態1における部品実装装置1と異なるところは、台車検出部66の構成とフィーダ台車21を検出する方式である。
実施の形態2における台車検出部66は、図33に示すように、実施の形態1の場合と同様、基台11の内部に設けられている。台車検出部66は、図34(a),(b)に示すように、台車検出器としてのスイッチ部101と、台車検出器移動手段としてのスイッチ部移動シリンダ102とを有して構成されている。スイッチ部移動シリンダ102は、そのシリンダチューブが基台11に固定されており、操作ロッドであるスイッチ部操作ロッド102Rの端部を外側(基台11の中央から見たY軸方向の外側)に向けた姿勢で配置されている。
図35(a),(b)において、スイッチ部101は、スイッチ部操作ロッド102Rの端部に取り付けられたスイッチベース111、スイッチベース111の上部に設けられた操作片支持部112、操作片支持部112によってY軸方向に延びた姿勢に支持された操作棒113、操作棒113とスイッチベース111に上下の両端部が連結されたスイッチ片114を備えている。操作棒113の外側の端部にはローラ部材115が設けられている。
スイッチ部移動シリンダ102が作動してスイッチ部操作ロッド102Rを作動させると、スイッチ部101は、基台11に設けられた移動ガイド116によってガイドされてY軸方向へ移動する(図34(a)→図34(b)または図34(b)→図34(a))。そして、このスイッチ部101のY軸方向の移動により、スイッチベース111は、操作棒113の先端側(図35(a),(b)の左側)の端部に設けられたローラ部材115が基台11内に格納される格納位置(図34(a))と、ローラ部材115が基台11から外方に張り出す張出位置(図34(b))との間で移動する。
図35(a),(b)において、操作棒113はY軸方向に延びた長孔から成るガイド孔117を有している。操作片支持部112には、Y軸方向に並んだ2つの支持ピン118が設けられており、これら2つの支持ピン118はガイド孔117内に位置している。このため操作棒113は水平姿勢を維持しつつ、Y軸方向に移動自在である。詳細には、操作棒113は、ガイド孔117の図35(a),(b)の左側の端部に2つの支持ピン118のうちの左側の支持ピン118が当接する「初期位置」(図35(a)に示す位置)と、ガイド孔117の右側の端部に2つの支持ピン118のうちの右側の支持ピン118が当接する「最大押し込み位置」(図35(b)に示す位置)との間で移動自在である。
図35(a),(b)において、スイッチ片114は上下方向に延びており、その上部には長孔119が設けられている。スイッチ片114の下端は枢支ピン120によってスイッチベース111に枢支されており、長孔119内には、操作棒113の内側の端部に設けられたピン121が位置している。このため操作棒113がY軸方向に移動すると、スイッチ片114は枢支ピン120を軸として上端側を前後に移動させるように揺動する(図35(a)→図35(b)または図35(b)→図35(a))。
スイッチ片114は、スイッチベース111内に設けられたコイルばね等の付勢部材122によって、操作棒113を初期位置に位置させる方向に付勢されている。従って、ローラ部材115に何物も接触していない状態では、操作棒113は初期位置に位置する。操作棒113が初期位置に位置した状態では、スイッチ片114は上下方向に延びた姿勢となっており、スイッチベース111内に設けられた台車検出スイッチ123の接点は「オフ」になる(図35(a))。一方、ローラ部材115が図35(a),(b)の右方に押圧されると、操作棒113は初期位置から右方に移動し、スイッチ片114は付勢部材122の付勢力に抗して、上端側を図35(a),(b)の右方に移動させる方向に傾く。そして、その傾きが一定量以上になると、台車検出スイッチ123の接点は「オン」になる。
上記スイッチベース111内の台車検出スイッチ123は制御部40に繋がっており、台車検出スイッチ123のオンオフ信号は制御部40に入力されている。このため制御部40は、台車検出スイッチ123のオンオフ状態を常時把握している。
図34(a),(b)において、基台11内には、操作棒戻し部11Tが設けられている。スイッチ部101が格納位置に位置した状態では、操作棒113の基端側(図35(a),(b)の右側)の端部は操作棒戻し部11Tに当接するようになっており、これにより操作棒113は、スイッチ部101が格納位置に位置した状態では必ず初期位置に位置するようになっている。従ってスイッチ部101が格納位置に位置した状態では、スイッチ部101(台車検出スイッチ123)の出力は常にオフとなる。
スイッチ部101が格納位置に位置した状態において、基台11の台車挿入スペース11Sにフィーダ台車21が挿入され、進入検出器65がオフからオンに切り替わると、制御部40はスイッチ部移動シリンダ102を作動させて、スイッチ部101を格納位置から張出位置の側に向けて張り出させる(図36(a)→図36(b))。ここで、フィーダ台車21が台車挿入スペース11Sに挿入されたことによって進入検出器65がオフからオンに切り替わっていた場合(すなわち、フィーダ台車21が基準位置まで進入していた場合)には、操作棒113の前端部(ローラ部材115)はフィーダ台車21の台車上部52の前面21Fに当接し(図36(b))、スイッチ片114は傾いて(図36(b)→図36(c))、スイッチ部101の出力はオフからオンに切り替わる。
実施の形態2では、制御部40が備える台車検出判断部40eは、スイッチ部移動シリンダ102を作動させ、スイッチ部101を格納位置から張出位置に移動させる。そして、スイッチ部101(台車検出スイッチ123)からの出力がオフからオンに切り替わるか否かに基づいて、基準位置にフィーダ台車21が位置しているかどうかを判断する。詳細には、スイッチ部101を張出位置に位置させた後、所定時間内にスイッチ部101からの出力がオフかオンに切り替わったときには、基準位置にフィーダ台車21が位置していると判断し、スイッチ部101を張出位置に位置させた後、所定時間経過してもスイッチ部101からの出力がオフのままであれば、基準位置にフィーダ台車21が位置していないと判断する。
制御部40は、スイッチ部101を張出位置に張り出させて基準位置にフィーダ台車21が位置しているかどうかを判断した後、スイッチ部移動シリンダ102を作動させて、スイッチ部101を格納位置に格納させる(図37(a)→図37(b)→図37(c))。基準位置にフィーダ台車21が位置していて、ローラ部材115がフィーダ台車21の前面21Fに当接していた場合、スイッチ部101が格納位置に格納されるまでの間に操作棒113は、付勢部材122の付勢力によって操作棒113が上下方向に延びた姿勢に戻るのに従って、初期位置に復帰する。これによりスイッチ部101の出力はオンからオフに切り替わる。そして、制御部40の台車連結制御部40fは、台車検出判断部40eによってフィーダ台車21が基準位置に位置したと判断された場合には、スイッチ部101からの出力がオンからオフに切り替わるのを待ってスイッチ部移動シリンダ102を作動させ、台車連結部64によって、フィーダ台車21を基台11に連結させる。
ここで、前述したように、スイッチ部101が格納位置に格納された状態では、操作棒113の基端側の端部は操作棒戻し部11Tに当接して操作棒113は必ず初期状態に戻される。このため、仮に台車検出スイッチ123の接点がオンの状態で溶着等してしまい、付勢部材122の付勢力によってはスイッチ部101のオン状態を解除できない状況(操作棒113が初期状態に戻らない状態)となっていたとしても、スイッチ部101を格納位置に格納しさえすれば操作棒113は初期状態に戻され、スイッチ部101のオン状態は解除される。
このように、実施の形態2における部品実装装置1では、基台11の台車挿入スペース11Sに挿入されたフィーダ台車21が基台11に対して設定された基準位置まで進入した状態が進入検出器65によって検出されると、台車検出器であるスイッチ部101が、台車検出器移動手段であるスイッチ部移動シリンダ102によって、格納位置から張出位置に張り出されるようになっている。そして、張出位置に位置したスイッチ部101の操作棒113(ローラ部材115)がフィーダ台車21の前面21Fに当接することによって(フィーダ台車21の前面21Fを検出することによって)、基準位置に位置した状態のフィーダ台車21が検知された場合には、台車連結部64がフィーダ台車21を基台11に連結するようになっている。
実施の形態2における部品実装装置1では、フィーダ台車21が基準位置に位置している状態を、台車検出器であるスイッチ部101がフィーダ台車21との接触によって機械的に検出するようになっている。このため、実施の形態1の場合と同様、台車挿入スペース11Sにフィーダ台車21が挿入されていない状態で誤って進入検出器65を操作してしまい、進入検出器65から、フィーダ台車21が基準位置に位置したときに検出される検出情報(ここではオン信号)が出力されたような場合であっても、台車挿入スペース11Sに実際にフィーダ台車21が挿入されていない状態で台車連結部64が作動することはない。従って、実施の形態2における部品実装装置1によれば、実施の形態1における部品実装装置1の場合と同様、台車挿入スペース11Sにフィーダ台車21が挿入されていないにも拘らず台車連結部64が作動してしまう事態を防止でき、作業者の安全を確保することができる。
また、実施の形態2においても、シャッタ17は、制御部40に制御されて、台車検出器であるスイッチ部101がフィーダ台車21を検知したときには閉止状態となっている開口部SPを開放し、スイッチ部101がフィーダ台車21を検知しなかったときには開口部SPの閉止状態を維持するようになっている。このため、実施の形態1の場合と同様、台車挿入スペース11Sからフィーダ台車21を引き抜かれている状態では開口部SPはシャッタ17によって閉止されており、作業者は作業空間11R内へ手を差し入れることができないので、作業の安全性を高めることができる。
これまで本発明の実施の形態1および実施の形態2について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態1では、台車検出器である台車検出コネクタ66aを接続させる対象として、フィーダ台車21が一般的に備える基台11との間の相互通信用のコネクタ(台車側コネクタ56)を利用していたが、台車検出コネクタ66aと接続されるためだけの専用のコネクタをフィーダ台車21に設けてそのコネクタに台車検出コネクタ66aを接続させるようにしてもよい。
また、上述の実施の形態1において、制御部40は、台車検出コネクタ66aが台車側コネクタ56と接続したことを検知した場合に、コネクタ移動シリンダ66bを作動させ、台車検出コネクタ66aを台車側コネクタ56から分離させて格納位置へ移動させるようになっていた。これは、フィーダ台車21を基台11に連結させるとき、連結アーム64aによってフィーダ台車21を持ち上げる構成となっているからである。従って、フィーダ台車21を基台11に連結させるとき、連結アーム64aによってフィーダ台車21を持ち上げない(フィーダ台車21を水平に引き寄せる)構成である場合には、台車側コネクタ56に接続させた台車検出コネクタ66aを台車側コネクタ56から分離させることなく、連結アーム64aによってフィーダ台車21を基台11側に引き寄せるのに合わせてコネクタ移動シリンダ66bのコネクタ操作ロッド66Rをシリンダチューブ内に収めていくようにしてもよい。なお、この場合は、フィーダ台車21との間の相互通信のための基台側コネクタ67が台車検出コネクタ66aの機能を兼ねる(基台側コネクタ67と台車検出コネクタ66aとは同一のコネクタとなる)こととなる。
また、上述の実施の形態2における台車検出器としてのスイッチ部101の構成は一例に過ぎず、基台11と向かい合うフィーダ台車21の前面21Fを検出することで基準位置に位置した状態のフィーダ台車21を検出することができるものであればよい。なお、実施の形態2における台車検出部66は、基台11の正面壁11Fに設けられることに限定されるものではなく、例えば、台車検出部66を基台11の内側壁11Wに設けて内側壁11Wと向かい合うフィーダ台車21の側面を検出することで基準位置に位置した状態のフィーダ台車21を検出することも可能である。
また、上述の実施の形態1および2では、作業者がハンドル53を操作してフィーダ台車21を台車挿入スペース11Sに挿入するようになっていたが、無線で走行制御を行う無人搬送車を床面FL上で走行させてフィーダ台車21を運搬し、これによりフィーダ台車21を台車挿入スペース11Sに挿入および引抜きするようになっていてもよい。このような場合であっても本発明を適用することができる。