JP2021015751A - リチウムイオン電池 - Google Patents
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Abstract
Description
負極は、炭素繊維束を含む。炭素繊維束は、複数本の炭素繊維からなる。炭素繊維束は、50μm以上300μm以下の束径を有している。
隔壁は、複数本の炭素繊維の各々の表面を被覆している。隔壁は、5μm以上30μm以下の厚さを有している。隔壁は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーを含む。
電解液は、コポリマーに含浸されている。
正極は、隔壁を挟んで負極と対向している。正極は、第1活物質および第2活物質を含む。第1活物質は、層状構造を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物である。第2活物質は、スピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物である。第1活物質と第2活物質とは、質量比で「第1活物質/第2活物質=85/15から50/50」の関係を満たしている。
本実施形態の電池は、任意の形状を有し得る。電池の形状は、例えば、コイン形、ボタン形、シート形、パウチ形、円筒形、扁平形、角形等であってもよい。電池は、小型であってもよいし、大型であってもよい。本実施形態の電池は、任意の用途に適用され得る。例えば、電池は、モバイル端末、ポータブル機器、定置型電力貯蔵装置、電気自動車、ハイブリッド自動車等の電源として使用され得る。
図1は、本実施形態における三次元電極構造を示す概略図である。図2は、図1のxy平面に平行な概略断面図である。
負極20は、炭素繊維束21を含む。負極20は、1個の炭素繊維束21のみからなっていてもよい。負極20は、複数個の炭素繊維束21を含んでいてもよい。負極20は、例えばバインダ、リードタブ等をさらに含んでいてもよい。炭素繊維束21は、三次元電極構造の基礎である。炭素繊維束21は、50μm以上300μm以下の束径を有している。炭素繊維束21の束径が50μm以上300μm以下であることにより、充放電サイクルに伴う抵抗増加が抑制され得る。炭素繊維束21は、例えば、50μm以上200μm以下の束径を有していてもよい。「束径」は、炭素繊維束21の軸方向と直交する断面における、炭素繊維束21の最大径を示す。炭素繊維束21の軸方向は、図1および2中のz軸方向を示す。軸方向と直交する断面は、図1および2中のxy平面に平行な断面を示す。後述される個々の炭素繊維についても同様である。束径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)、光学顕微鏡等により測定され得る。なお本実施形態における直交は、幾何学的に完全な直交のみを示すものではない。本実施形態における直交は、実質的に直交する態様も含む。
隔壁30は、複数本の炭素繊維の各々の表面を被覆している。例えば、個々の炭素繊維の表面に、ポリマー溶液が塗布されることにより、隔壁30が形成されてもよい。隔壁30は、炭素繊維束21の表面を被覆している。炭素繊維束21がポリマー溶液に浸漬されることにより、隔壁30が形成されてもよい。
電解液は、PVDF−HFPに含浸されている。電解液は、例えば、正極10等にも含浸されていてもよい。電解液は特に限定されるべきではない。電解液は、リチウムイオン伝導性を有する限り、任意の成分を含み得る。電解液は、例えば、支持塩および溶媒等を含んでいてもよい。支持塩は、例えばLiPF6等を含んでいてもよい。溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等を含んでいてもよい。電解液は、各種の添加剤(例えば被膜形成剤等)をさらに含み得る。
正極10は、隔壁30を挟んで負極20と対向している。正極10は、例えば、隔壁30の表面に、塗布されていてもよい。正極10は、例えば、隔壁30同士の間の空隙に充填されていてもよい。
Li1+zNi1-x-yCoxMnyO2 ・・・ (1)
ただし、式(1)中、x、y、zは、0<z<0.10、0<x≦0.3、0.2≦y<0.5、1−x>2yの関係を満たしている。
Li1+aMn2-a-bMbO4 ・・・ (2)
ただし、式(2)中、a、bは、0<a<0.15、0≦b≦0.15の関係を満たしている。Mは、Al、Mg、Cr、Ni、CuおよびZnからなる群より選択される少なくとも1種を含む。
《供試電池の作製》
(実施例1)
1.第1活物質の調製
イオン交換水が準備された。不活性ガスがイオン交換水に通気された。不活性ガスの通気により、イオン交換水において、溶存酸素が十分に低減された。以下、特に断りが無い限り、イオン交換水は、不活性ガスの通気によって溶存酸素が低減されたものを示す。
二酸化マンガンの粉末と、水酸化リチウムの粉末とが準備された。二酸化マンガンの粉末と、水酸化リチウムの粉末とが混合された。これにより混合粉末が調製された。混合粉末においては、「Mol(Li)/Mol(Me)=0.58」の関係が満たされていた。ここで「Mol(Li)」は、混合粉末に含まれるLiのモル数を示す。「Mol(Me)」は、混合粉末に含まれるMnのモル数を示す。
炭素繊維として、製品名「GRANOC Yarn」(グレード「XN−90−60S」、日本グラファイトファイバー社製)が準備された。該炭素繊維は、10μmの繊維径を有していた。
溶媒:EC/DMC/EMC=3/4/3(体積比)
隔壁の厚さが5μmに変更されることを除いては、実施例1と同様に、実施例2に係る供試電池が作製された。
隔壁の厚さが30μmに変更されることを除いては、実施例1と同様に、実施例3に係る供試電池が作製された。
炭素繊維束の束径が50μmに変更されることを除いては、実施例1と同様に、実施例4に係る供試電池が作製された。
炭素繊維束の束径が300μmに変更されることを除いては、実施例1と同様に、実施例5に係る供試電池が作製された。
第1活物質と第2活物質との混合比(質量比)が85/15に変更されることを除いては、実施例1と同様に、実施例6に係る供試電池が作製された。
第1活物質と第2活物質との混合比(質量比)が50/50に変更されることを除いては、実施例1と同様に、実施例7に係る供試電池が作製された。
実施例1と同様に正極スラリーが調製された。アルミニウム箔が準備された。アルミニウム箔は15μmの厚さを有していた。アルミニウム箔の表面に、正極スラリーが塗布され、乾燥されることにより、正極原反が作製された。ロールプレスにより正極原反が圧縮された。圧縮後の正極原反から、正極が切り出された。正極は、幅 25mm×長さ 40mmの平面寸法を有していた。
隔壁の厚さが40μmに変更されることを除いては、実施例1と同様に、比較例2に係る供試電池が作製された。
隔壁の厚さが3μmに変更されることを除いては、実施例1と同様に、比較例3に係る供試電池が作製された。
炭素繊維束の束径が30μmに変更されることを除いては、実施例1と同様に、比較例4に係る供試電池が作製された。
炭素繊維束の束径が400μmに変更されることを除いては、実施例1と同様に、比較例5に係る供試電池が作製された。
第1活物質と第2活物質との混合比(質量比)が90/10に変更されることを除いては、実施例1と同様に、比較例6に係る供試電池が作製された。
第1活物質と第2活物質との混合比(質量比)が40/60に変更されることを除いては、実施例1と同様に、比較例7に係る供試電池が作製された。
供試電池の充放電が3サイクル実施された。サイクル条件は以下のとおりである。
充電:上限電圧 4.1V、電流レート 0.1C
放電:下限電圧 2.5V、電流レート 0.1C
充電:上限電圧 4.1V、電流レート 0.5C
放電:下限電圧 2.5V、電流レート 0.5C
式中「Rini」は、20サイクル実施前(初期)のIV抵抗を示す。
式中「Rcyc」は、20サイクル実施後のIV抵抗を示す。
実施例1に係る供試電池は、三次元電極構造を有する。比較例1に係る供試電池は、二次元電極構造を有する。実施例1は、比較例1に比して、低い抵抗増加率を示した。
《供試電池の作製》
(実施例8)
第1活物質の調製時に、「Mol(Li)/Mol(Me)=1.05」の関係が満たされるように、複合水酸化物の粉末と、水酸化リチウムの粉末とが混合されることにより、混合粉末が調製された。該混合粉末が使用されることにより、Li1.05Ni0.4Co0.3Mn0.3O2のペレットが調製された。該ペレットが使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例8に係る供試電池が作製された。
第1活物質の調製時に、Ni、CoおよびMnが、モル比で「Ni/Co/Mn=5/2/3」の関係を満たすように、混合塩水溶液が調製された。ペレットの焼成温度が900℃に変更された。これにより、Li1.08Ni0.5Co0.2Mn0.3O2のペレットが調製された。該ペレットが使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例9に係る供試電池が作製された。
第1活物質の調製時に、Ni、CoおよびMnが、モル比で「Ni/Co/Mn=6/2/2」の関係を満たすように、混合塩水溶液が調製された。ペレットの焼成雰囲気が酸素雰囲気に変更された。ペレットの焼成温度が880℃に変更された。これにより、Li1.08Ni0.6Co0.2Mn0.2O2のペレットが調製された。該ペレットが使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例10に係る供試電池が作製された。
第1活物質の調製時に、Ni、CoおよびMnが、モル比で「Ni/Co/Mn=5/1/4」の関係を満たすように、混合塩水溶液が調製された。ペレットの焼成雰囲気が酸素雰囲気に変更された。ペレットの焼成温度は、実施例1と同様に950℃に設定された。これにより、Li1.08Ni0.5Co0.1Mn0.4O2のペレットが調製された。該ペレットが使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例11に係る供試電池が作製された。
第2活物質の調製時に、「Mol(Li)/Mol(Me)=0.538」の関係が満たされるように、二酸化マンガンの粉末と、水酸化リチウムの粉末とが混合されることにより、混合粉末が調製された。該混合粉末が使用されることにより、Li1.05Mn1.95O4のペレットが調製された。該ペレットが使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例12に係る供試電池が作製された。
第1活物質として、Li1.08Ni0.5Co0.2Mn0.3O2が使用されることを除いては、比較例1と同様に、比較例8に係る供試電池(平板型ラミネート電池)が作製された。
第1活物質として、Li1.08Ni0.6Co0.2Mn0.2O2が使用されることを除いては、比較例1と同様に、比較例9に係る供試電池(平板型ラミネート電池)が作製された。
第1活物質として、Li1.08Ni0.5Co0.1Mn0.4O2が使用されることを除いては、比較例1と同様に、比較例10に係る供試電池(平板型ラミネート電池)が作製された。
第2活物質として、Li1.05Mn1.95O4が使用されることを除いては、比較例1と同様に、比較例11に係る供試電池(平板型ラミネート電池)が作製された。
第2活物質の調製時に、「Mol(Li)/Mol(Me)=0.667」の関係が満たされるように、二酸化マンガンの粉末と、水酸化リチウムの粉末とが混合されることにより、混合粉末が調製された。該混合粉末が使用されることにより、Li1.2Mn1.8O4のペレットが調製された。該ペレットが使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例13に係る供試電池が作製された。
第1活物質の調製時に、Ni、CoおよびMnが、モル比で「Ni/Co/Mn=8/1/1」の関係を満たすように、混合塩水溶液が調製された。「Mol(Li)/Mol(Me)=1.08」の関係が満たされるように、複合水酸化物の粉末と、水酸化リチウムの粉末とが混合されることにより、混合粉末が調製された。ペレットの焼成雰囲気が酸素雰囲気に変更された。ペレットの焼成温度が780℃に変更された。これにより、Li1.08Ni0.8Co0.1Mn0.1O2のペレットが調製された。該ペレットが使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例14に係る供試電池が作製された。
ジメチルスルホキシド(DMSO)に、ポリアクリロニトリル(PAN)およびポリビニルアルコール(PVA)が溶解されることにより、ポリマー溶液が調製された。PANとPVAとの混合比は、質量比で「PAN/PVA=5/95」であった。ポリマー溶液の温度が70℃に調整された。温度の調整後、ポリマー溶液が24時間攪拌された。該ポリマー溶液は、比較例12における隔壁の前駆体である。
実験1と同様に、抵抗増加率が測定された。結果は下記表2に示される。
実施例8から12においては、第1活物質の組成が上記式(1)を満たしている。実施例14においては、第1活物質の組成が上記式(1)を満たしていない。第1活物質の組成が上記式(1)を満たす時、抵抗増加率が低い傾向がみられる。
《供試電池の作製》
(実施例15)
第2活物質としてLi1.05Cr0.05Mn1.9O4が使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例15に係る供試電池が作製された。Li1.05Cr0.05Mn1.9O4は、二酸化マンガン、酸化クロム(Cr2O3)および水酸化リチウムが原料として使用されることにより、調製された。
第2活物質としてLi1.05Ni0.05Mn1.9O4が使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例16に係る供試電池が作製された。Li1.05Ni0.05Mn1.9O4は、二酸化マンガン、炭酸ニッケルおよび水酸化リチウムが原料として使用されることにより、調製された。
第2活物質としてLi1.05Cu0.05Mn1.9O4が使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例17に係る供試電池が作製された。Li1.05Cu0.05Mn1.9O4は、二酸化マンガン、酸化銅(CuO)および水酸化リチウムが原料として使用されることにより、調製された。
第2活物質としてLi1.05Mg0.05Mn1.9O4が使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例18に係る供試電池が作製された。Li1.05Mg0.05Mn1.9O4は、二酸化マンガン、水酸化マグネシウムおよび水酸化リチウムが原料として使用されることにより、調製された。
第2活物質としてLi1.05Zn0.05Mn1.9O4が使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例19に係る供試電池が作製された。Li1.05Zn0.05Mn1.9O4は、二酸化マンガン、水酸化亜鉛および水酸化リチウムが原料として使用されることにより、調製された。
第2活物質としてLi1.1Al0.1Mn1.8O4が使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例20に係る供試電池が作製された。Li1.1Al0.1Mn1.8O4は、二酸化マンガン、水酸化アルミニウムおよび水酸化リチウムが原料として使用されることにより、調製された。
第2活物質としてLi1.05Al0.05Mn1.9O4が使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例21に係る供試電池が作製された。Li1.05Al0.05Mn1.9O4は、二酸化マンガン、水酸化アルミニウムおよび水酸化リチウムが原料として使用されることにより、調製された。
第2活物質としてLi1.05Al0.15Mn1.8O4が使用されることを除いては、実施例1と同様に、実施例22に係る供試電池が作製された。Li1.05Al0.15Mn1.8O4は、二酸化マンガン、水酸化アルミニウムおよび水酸化リチウムが原料として使用されることにより、調製された。
実験1と同様に、抵抗増加率が測定された。結果は下記表3に示される。
実施例1、15から22の結果において、第2活物質(リチウムマンガン複合酸化物)に、Mn以外の金属(Al、Mg、Cr、Ni、Cu、Zn)が添加されている時、抵抗増加率が低い傾向がみられる。さらに添加金属がAlである時、抵抗増加率が低い傾向がみられる。
Claims (1)
- 正極と負極とが立体的に隣接する三次元電極構造を有する、リチウムイオン電池であって、
前記正極、前記負極、隔壁および電解液を含み、
前記負極は、炭素繊維束を含み、
前記炭素繊維束は、複数本の炭素繊維からなり、
前記炭素繊維束は、50μm以上300μm以下の束径を有しており、
前記隔壁は、前記複数本の炭素繊維の各々の表面を被覆しており、
前記隔壁は、5μm以上30μm以下の厚さを有しており、
前記隔壁は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーを含み、
前記電解液は、前記コポリマーに含浸されており、
前記正極は、前記隔壁を挟んで前記負極と対向しており、
前記正極は、第1活物質および第2活物質を含み、
前記第1活物質は、層状構造を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物であり、
前記第2活物質は、スピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物であり、
前記第1活物質と前記第2活物質とは、質量比で
前記第1活物質/前記第2活物質=85/15から50/50
の関係を満たしている、
リチウムイオン電池。
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