JP2021014714A - ショベル - Google Patents

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Abstract

【課題】操作者が意図したとおりに上部旋回体の旋回を停止させることができるショベルを提供すること。【解決手段】ショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載されている上部旋回体3と、上部旋回体3に搭載されているコントローラ30と、を備えている。コントローラ30は、旋回減速時に所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3を自動旋回制御するように構成されている。コントローラ30は、例えば、旋回減速時に電磁弁としての可変リリーフ弁51を制御することにより、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3を自動旋回制御するように構成されていてもよい。【選択図】図1

Description

本開示は、ショベルに関する。
従来、旋回用油圧モータを備えたョベルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−172962号公報
上述のショベルでは、操作者は、旋回中の上部旋回体を所望の旋回角度で停止させる際に旋回操作レバーを中立位置に向けて戻す。旋回角度は、旋回開始時の上部旋回体の前後軸を基準とする旋回軸回りの角度である。旋回中の上部旋回体は、上部旋回体の慣性モーメントが大きいほど止まり難い。上部旋回体の慣性モーメントは、アタッチメントの姿勢、水平面に対する上部旋回体の傾きである機体傾斜角度、及び、バケット内に取り込まれている土砂の重量等によって異なる。
上部旋回体の慣性モーメントが大きい場合に、上部旋回体の慣性モーメントが小さいときと同じレバー操作量で旋回操作レバーが中立位置に向けて戻されると、上部旋回体は、操作者の意図に反し、所望の旋回角度を超えて旋回してしまうおそれがある。或いは、上部旋回体の慣性モーメントが小さい場合に、上部旋回体の慣性モーメントが大きいときと同じレバー操作量で旋回操作レバーが中立位置に向けて戻されると、上部旋回体は、操作者の意図に反し、所望の旋回角度に達する前に停止してしまうおそれがある。
このように、操作者は、慣性モーメントの大きさを正確に把握できないため、意図したとおりに上部旋回体の旋回を停止させることが困難な場合がある。
そこで、操作者が意図したとおりに上部旋回体の旋回を停止させることができるショベルを提供することが望ましい。
本発明の実施形態に係るショベルは、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載されている上部旋回体と、前記上部旋回体に搭載されている制御装置と、を備え、前記制御装置は、旋回減速時に所定の旋回速度パターンにしたがって前記上部旋回体を自動旋回制御する。
上述のショベルは、操作者が意図したとおりに上部旋回体の旋回を停止させることができる。
本発明の実施形態に係るショベルの構成例を示す図である。 図1のショベルに搭載される油圧システムの構成例を示す図である。 旋回制御システムの構成例を示す図である。 旋回操作レバーのレバー操作角度と旋回速度との関係を示す図である。 旋回制御システムの別の構成例を示す図である。 旋回制御システムの更に別の構成例を示す図である。 旋回制御システムの更に別の構成例を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付図面では、同一又は対応する部材又は部品には、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る建設機械としての掘削機(ショベル100)の構成例を示す。ショベル100は、クローラ式の下部走行体1と、下部走行体1の上に旋回機構2を介してX軸回りに旋回可能に搭載されている上部旋回体3と、を有する。
上部旋回体3は、前方中央部にアタッチメントの一例である掘削アタッチメントを備えている。掘削アタッチメントは、ブーム4、アーム5、及びバケット6を含む。ブーム4は、ブームシリンダ7によって駆動され、アーム5は、アームシリンダ8によって駆動され、バケット6は、バケットシリンダ9によって駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。
ブーム角度センサS1は、ブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は加速度センサであり、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度を検出する。
アーム角度センサS2は、アーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は加速度センサであり、ブーム4に対するアーム5の回動角度を検出する。
バケット角度センサS3は、バケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は加速度センサであり、アーム5に対するバケット6の回動角度を検出する。
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3の少なくとも1つは、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ、ジャイロセンサ、又は、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせ等であってもよい。
上部旋回体3には、機体傾斜センサS4及び旋回角速度センサS5が取り付けられている。機体傾斜センサS4は、機体傾斜角を検出するように構成されている。本実施形態では、機体傾斜センサS4は、水平面に対する上部旋回体3の前後軸回りの傾斜角及び左右軸回りの傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、互いに直交してショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点を通る。
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。本実施形態では、旋回角速度センサS5は、ジャイロセンサである。但し、旋回角速度センサS5は、レゾルバ又はロータリエンコーダ等であってもよい。旋回角速度センサS5は、旋回速度を検出するように構成されていてもよい。旋回速度は、旋回角速度から算出されてもよい。
図2は、図1のショベル100に搭載される油圧システムの構成例を示す。油圧システムは、エンジン又は電動モータ等の駆動源によって駆動される油圧ポンプ14を有する。油圧ポンプ14は、1回転当たりの吐出量である押し退け容積を可変とする可変容量型ポンプである。本実施形態では、油圧ポンプ14は、流量制御弁170〜176を通るセンターバイパス管路42を経て作動油タンクまで作動油を循環させる。油圧ポンプ14は、左油圧ポンプ14L及び右油圧ポンプ14Rを含む。センターバイパス管路42は、左センターバイパス管路42L及び右センターバイパス管路42Rを含む。左油圧ポンプ14Lは、流量制御弁171、173、175L、及び176Lを通る左センターバイパス管路42Lを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。右油圧ポンプ14Rは、流量制御弁170、172、174、175R、及び176Rを通る右センターバイパス管路42Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
流量制御弁170は、右センターバイパス管路42Rにおける流量制御弁172の上流側に設けられ、走行直進弁として機能するスプール弁である。そして、流量制御弁170は、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油を左走行用油圧モータ1Aに供給し且つ右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油を右走行用油圧モータ1Bに供給する状態と、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油を左走行用油圧モータ1A及び右走行用油圧モータ1Bの双方に供給する状態とを切り換えることができるように構成されている。
具体的には、流量制御弁170は、走行操作と他の油圧アクチュエータの操作とが同時に行われている場合、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油をバイパス管路BP1経由で流量制御弁171の下流側に供給して左センターバイパス管路42Lに流入させる。また、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油をバイパス管路BP2経由で流量制御弁172の上流側に供給して右センターバイパス管路42Rに流入させる。これにより、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油のみが左走行用油圧モータ2ML及び右走行用油圧モータ2MRの双方に供給されるため、下部走行体1の直進性が向上する。
一方、流量制御弁170は、走行操作のみが行われている場合、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油をそのまま下流側に通過させると共に、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油をバイパス管路BP1経由で流量制御弁171の下流側に供給して左センターバイパス管路42Lに流入させる。これにより、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油が左走行用油圧モータ2MLに供給され、且つ、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油が右走行用油圧モータ2MRに供給されるため、下部走行体1の走破性が向上する。
流量制御弁171は、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油を油圧アクチュエータとしての左走行用油圧モータ1Aに供給するために作動油の流れを切り替えるスプール弁である。
流量制御弁172は、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油を油圧アクチュエータとしての右走行用油圧モータ1Bに供給するために作動油の流れを切り替えるスプール弁である。
流量制御弁173は、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油を油圧アクチュエータとしての旋回用油圧モータ2Aに供給するために作動油の流れを切り替えるスプール弁である。
流量制御弁174は、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油を油圧アクチュエータとしてのバケットシリンダ9へ供給し、また、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するためのスプール弁である。
流量制御弁175Lは、油圧ポンプ14が吐出する作動油を油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7へ供給するために作動油の流れを切り替えるスプール弁であり、流量制御弁175L及び流量制御弁175Rを含む。具体的には、流量制御弁175Lは、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給するために作動油の流れを切り替えるように構成されている。流量制御弁175Rは、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り替えるように構成されている。本実施形態では、流量制御弁175Lは、ブーム操作レバーが所定のレバー操作量以上でブーム上げ方向に操作された場合、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油をブームシリンダ7のボトム側油室に供給する。流量制御弁175Rは、ブーム操作レバーがブーム上げ方向に操作された場合、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7のボトム側油室に供給し、ブーム操作レバーがブーム下げ方向に操作された場合、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7のロッド側油室に供給する。
流量制御弁176は、油圧ポンプ14が吐出する作動油を油圧アクチュエータとしてのアームシリンダ8へ供給するために作動油の流れを切り替えるスプール弁であり、流量制御弁176L及び流量制御弁176Rを含む。具体的には、流量制御弁176Lは、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り替えるように構成されている。流量制御弁176Rは、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り替えるように構成されている。本実施形態では、流量制御弁176Lは、操作装置としてのアーム操作レバーがアーム閉じ方向に操作された場合、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8のボトム側油室に供給し、アーム操作レバーがアーム開き方向に操作された場合、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8のロッド側油室に供給する。流量制御弁176Rは、アーム操作レバーが所定のレバー操作量以上でアーム閉じ方向に操作された場合、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8のボトム側油室に供給し、アーム操作レバーが所定のレバー操作量以上でアーム開き方向に操作された場合、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8のロッド側油室に供給する。
センターバイパス管路42は、最も下流にある流量制御弁176と作動油タンクとの間に絞り18を備えている。絞り18は、油圧ポンプ14が吐出する作動油の流れを制限することにより、絞り18の上流で油圧ポンプ14に関する制御圧(ネガティブコントロール制御のための制御圧)を発生させる。本実施形態では、絞り18は、左絞り18L及び右絞り18Rを含む。左絞り18Lは、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油の流れを制限することにより、左絞り18Lの上流で左油圧ポンプ14Lに関する制御圧を発生させる。右絞り18Rは、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油の流れを制限することにより、右絞り18Rの上流で右油圧ポンプ14Rに関する制御圧を発生させる。
情報取得装置E1は、ショベル100に関する情報を取得できるように構成されている。本実施形態では、情報取得装置E1は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、ブームロッド圧センサ、ブームボトム圧センサ、アームロッド圧センサ、アームボトム圧センサ、バケットロッド圧センサ、バケットボトム圧センサ、ブームシリンダストロークセンサ、アームシリンダストロークセンサ、バケットシリンダストロークセンサ、吐出圧センサ28、旋回操作圧センサ29、空間情報取得装置、向き検出装置、情報入力装置、測位装置、及び通信装置等のうちの少なくとも1つを含む。情報取得装置E1は、例えば、ショベル100に関する情報として、ブーム角度、アーム角度、バケット角度、機体傾斜角度、旋回角速度、ブームロッド圧、ブームボトム圧、アームロッド圧、アームボトム圧、バケットロッド圧、バケットボトム圧、ブームストローク量、アームストローク量、バケットストローク量、油圧ポンプ14の吐出圧、操作装置の操作圧、ショベル100の周囲の三次元空間に関する情報、上部旋回体3の向きと下部走行体1の向きとの相対的な関係に関する情報、コントローラ30に対して入力された情報、及び、現在位置に関する情報等のうちの少なくとも1つを取得する。また、情報取得装置E1は、他の建設機械又は飛行体等から情報を入手してもよい。飛行体は、例えば、作業現場に関する情報を取得するマルチコプタ又は飛行船等である。
空間情報取得装置は、ショベル100の周囲の三次元空間に関する情報を取得するように構成されている。また、空間情報取得装置は、空間情報取得装置又はショベル100から空間情報取得装置によって認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。空間情報取得装置は、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、単眼カメラ、ステレオカメラ、LIDAR、距離画像センサ、又は赤外線センサ等である。本実施形態では、空間情報取得装置は、キャビン10の上面前端に取り付けられた前方カメラ、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後方カメラ、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左方カメラ、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右方カメラを含む。
向き検出装置は、上部旋回体3の向きと下部走行体1の向きとの相対的な関係に関する情報を検出するように構成されている。向き検出装置は、例えば、下部走行体1に取り付けられた地磁気センサと上部旋回体3に取り付けられた地磁気センサの組み合わせで構成されていてもよい。或いは、向き検出装置は、下部走行体1に取り付けられたGNSS受信機と上部旋回体3に取り付けられたGNSS受信機の組み合わせで構成されていてもよい。向き検出装置は、ロータリエンコーダ又はロータリポジションセンサ等であってもよい。旋回電動発電機で上部旋回体3が旋回駆動される構成では、向き検出装置は、レゾルバで構成されていてもよい。向き検出装置は、例えば、下部走行体1と上部旋回体3との間の相対回転を実現する旋回機構2に関連して設けられるセンタージョイントに取り付けられていてもよい。
向き検出装置は、上部旋回体3に取り付けられたカメラで構成されていてもよい。この場合、向き検出装置は、上部旋回体3に取り付けられているカメラが取得した画像(入力画像)に既知の画像処理を施して入力画像に含まれる下部走行体1の画像を検出する。そして、向き検出装置は、既知の画像認識技術を用いて下部走行体1の画像を検出することで、下部走行体1の長手方向を特定する。そして、向き検出装置は、上部旋回体3の前後軸の方向と下部走行体1の長手方向との間に形成される角度を導き出す。上部旋回体3の前後軸の方向は、入力画像から導き出される。カメラの光軸の方向と上部旋回体3の前後軸の方向との関係が既知のためである。クローラは、上面視で上部旋回体3の輪郭から外部に突出しているため、向き検出装置は、クローラの画像を検出することで下部走行体1の長手方向を特定できる。向き検出装置は、コントローラ30に統合されていてもよい。
情報入力装置は、ショベルの操作者がコントローラ30に対して情報を入力できるように構成されている。本実施形態では、情報入力装置は、キャビン10内に設置された表示装置の画像表示部に近接して設置されるスイッチパネルである。但し、情報入力装置は、表示装置の画像表示部の上に配置されるタッチパネルであってもよく、操作レバーの先端に設けられるダイヤル若しくは十字ボタン等であってもよく、キャビン10内に設置されたマイクロフォン等の音入力装置であってもよい。また、情報入力装置は、通信装置であってもよい。この場合、操作者は、スマートフォン等の通信端末を介してコントローラ30に情報を入力できる。
測位装置は、現在位置を測定するように構成されている。本実施形態では、測位装置は、上部旋回体3に取り付けられたGNSS受信機であり、上部旋回体3の位置を検出し、検出値をコントローラ30に対して出力する。測位装置は、GNSSコンパスであってもよい。この場合、測位装置は、上部旋回体3の位置及び向きを検出できる。
制御圧センサ19は、絞り18の上流で発生させた制御圧を検出し、検出した値を電気的な制御圧信号としてコントローラ30に対して出力する。本実施形態では、制御圧センサ19は、左絞り18Lの上流で発生させた制御圧を検出する左制御圧センサ19Lと、右絞り18Rの上流で発生させた制御圧を検出する右制御圧センサ19Rと、を含む。
吐出圧センサ28は、油圧ポンプ14の吐出圧を検出し、検出した値を電気的な吐出圧信号としてコントローラ30に対して出力する。本実施形態では、吐出圧センサ28は、左油圧ポンプ14Lの吐出圧を検出する左吐出圧センサ28Lと、右油圧ポンプ14Rの吐出圧を検出する右吐出圧センサ28Rと、を含む。
コントローラ30は、油圧システムを制御する制御装置である。コントローラ30は、CPU、RAM、及びROM等を備えたコンピュータである。本実施形態では、コントローラ30は、アーム操作レバー及びブーム操作レバー等の各種の操作装置が操作された場合に発生する操作圧を測定する操作内容検出部としての操作圧センサの出力に基づいて各種の操作装置の操作内容を電気的に検出する。操作内容は、例えばレバー操作の有無、レバー操作方向、及びレバー操作量(レバー操作角度)等である。但し、操作内容検出部は、各種の操作レバーの傾きを検出する傾きセンサ等、操作圧センサ以外のセンサを用いて構成されてもよい。
コントローラ30は、各種の操作装置の操作内容に応じて後述する可変リリーフ弁51等を動作させる各種の機能要素に対応するプログラムをCPUに実行させる。
ポンプレギュレータ13は、油圧ポンプ14の吐出量を制御するように構成されている。本実施形態では、ポンプレギュレータ13は、左油圧ポンプ14Lの押し退け容積を制御する左ポンプレギュレータ13Lと、右油圧ポンプ14Rの押し退け容積を制御する右ポンプレギュレータ13Rと、を含む。
図2は、ショベル100における全ての油圧アクチュエータが利用されていない状態を示している。この状態では、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油は、左センターバイパス管路42Lを通って左絞り18Lに至り、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を増大させる。その結果、左ポンプレギュレータ13Lは、制御圧信号に基づいてコントローラ30が生成する指令に応じて、左油圧ポンプ14Lの吐出量を低減させる。その結果、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油が左センターバイパス管路42Lを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)が抑制される。同様に、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油は、右センターバイパス管路42Rを通って右絞り18Rに至り、右絞り18Rの上流で発生する制御圧を増大させる。その結果、右ポンプレギュレータ13Rは、制御圧信号に基づいてコントローラ30が生成する指令に応じて、右油圧ポンプ14Rの吐出量を低減させる。その結果、右油圧ポンプ14Rが吐出する作動油が右センターバイパス管路42Rを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)が抑制される。
一方、ショベル100における何れかの油圧アクチュエータに対応する操作装置が操作された場合、油圧ポンプ14が吐出する作動油は、その油圧アクチュエータに対応する流量制御弁を介してその油圧アクチュエータに流れ込む。そのため、絞り18に至る量は減少又は消滅し、絞り18の上流で発生する制御圧は低下する。その結果、ポンプレギュレータ13は、油圧ポンプ14の吐出量を増大させ、その油圧アクチュエータに十分な作動油が供給されるようにし、その油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。
次に、図3を参照し、図1のショベル100に搭載される油圧システムの一部を構成する旋回制御システム200の構成例について説明する。図3は、旋回制御システム200の構成例を示す概略図である。
図3に示されるように、旋回制御システム200は、主に、旋回用油圧モータ2A、パイロットポンプ15、旋回操作レバー26、旋回操作圧センサ29、コントローラ30、可変リリーフ弁51、チェック弁53、切換弁60及び情報取得装置E1を含む。
旋回用油圧モータ2Aは、メカニカルブレーキ及び減速機を含む旋回機構2を介して上部旋回体3を旋回させる。本実施形態では、旋回用油圧モータ2Aの出力トルクは、3段階のプラネタリギア機構で構成される減速機によって増幅される。旋回用油圧モータ2Aの出力軸の回転は、複数枚のブレーキディスクと各ブレーキディスクを挟む複数枚のブレーキプレートとで構成されるメカニカルブレーキによって制動される。
旋回用油圧モータ2Aは、管路50を介して、流量制御弁173に接続されている。本実施形態では、管路50は、旋回用油圧モータ2Aの左ポート2P1と流量制御弁173の左ポート173P1とを繋ぐ左管路50Lと、旋回用油圧モータ2Aの右ポート2P2と流量制御弁173の右ポート173P2とを繋ぐ右管路50Rと、を含む。
可変リリーフ弁51は、管路50内の作動油の圧力を所定の旋回リリーフ圧以下に制限するように構成されている。本実施形態では、可変リリーフ弁51は、電気的に旋回リリーフ圧を調整可能な電磁比例式のリリーフ弁であり、コントローラ30からの電流指令に応じて旋回リリーフ圧を変更する。具体的には、可変リリーフ弁51の旋回リリーフ圧は、コントローラ30からの制御電流が大きくなるほど高くなり、コントローラ30からの制御電流が小さくなるほど低くなる。可変リリーフ弁51は、左管路50Lに関する左可変リリーフ弁51Lと、右管路50Rに関する右可変リリーフ弁51Rと、を含む。
左可変リリーフ弁51Lは、左管路50L内の作動油の圧力が旋回リリーフ圧に達した場合に開状態となり、左管路50L内の作動油の圧力が旋回リリーフ圧を過度に上回らないように左管路50L内の作動油を、管路55を介して作動油タンクへ流出させる。
右可変リリーフ弁51Rは、右管路50R内の作動油の圧力が旋回リリーフ圧に達した場合に開状態となり、右管路50R内の作動油の圧力が旋回リリーフ圧を過度に上回らないように右管路50R内の作動油を、管路55を介して作動油タンクへ流出させる。
チェック弁53は、管路50内の作動油の圧力が作動油タンクの作動油の圧力(以下、「タンク圧」と称する。)を下回らないようにする弁である。本実施形態では、チェック弁53は、左チェック弁53L及び右チェック弁53Rを含む。
左チェック弁53Lは、左管路50L内の作動油が作動油タンクへ流出するのを防止しながら、左管路50L内の作動油の圧力がタンク圧未満となった場合に開状態となり、作動油タンク内の作動油を、管路54を介して左管路50L内に流入させる。
右チェック弁53Rは、右管路50R内の作動油が作動油タンクへ流出するのを防止しながら、右管路50R内の作動油の圧力がタンク圧未満となった場合に開状態となり、作動油タンク内の作動油を、管路54を介して右管路50R内に流入させる。
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して操作装置を含む各種油圧制御機器に作動油を供給するように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、エンジン等の駆動源によって駆動される固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。この場合、パイロットポンプ15が担っていた機能は、油圧ポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、油圧ポンプ14は、流量制御弁170〜176に作動油を供給する機能とは別に、絞り等により作動油の圧力を低下させた後で操作装置等に作動油を供給する機能を備えていてもよい。
旋回操作レバー26は、操作者が旋回用油圧モータ2Aの操作のために用いる操作装置である。図3の例では、旋回操作レバー26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を流量制御弁173のパイロットポートに供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、原則として、旋回操作レバー26の操作方向及びレバー操作角度に応じた圧力である。
操作量検出センサとしての旋回操作圧センサ29は、操作者による旋回操作レバー26の操作の内容を検出するように構成されている。図3の例では、旋回操作圧センサ29は、旋回操作レバー26の操作方向及びレバー操作角度を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。但し、操作者による旋回操作レバー26の操作の内容は、傾斜角度センサ等、旋回操作圧センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。
切換弁60は、旋回操作レバー26を無効にするように構成されている。具体的には、切換弁60は、パイロットポンプ15と作動油タンクとを繋ぐ管路を開く開位置と、パイロットポンプ15と作動油タンクとを繋ぐ管路を閉じる閉位置とを切り換えできるように構成されている。本実施形態では、切換弁60は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する電磁弁である。但し、切換弁60は、電磁弁と油圧制御弁との組み合わせで構成されていてもよい。
切換弁60が開位置に設定されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油は、作動油タンクに排出される。そのため、旋回操作レバー26は、左旋回方向又は右旋回方向に傾けられたとしても、パイロット圧を生成しない。その結果、流量制御弁173は、操作者による旋回操作レバー26の操作には応答しない。コントローラ30は、例えば、上部旋回体3を自動旋回制御する際に切換弁60を閉位置から開位置に切り換えることで、旋回操作レバー26を無効にする。
上述のショベルでは、操作者は、旋回中の上部旋回体3を所望の旋回角度で停止させる際に、旋回操作レバー26を中立位置に向けて戻す。旋回角度は、例えば、旋回開始時の上部旋回体3の前後軸を基準とする旋回軸回りの角度である。旋回中の上部旋回体3は、上部旋回体3の慣性モーメントが大きいほど止まり難い。上部旋回体3の慣性モーメントは、掘削アタッチメントの姿勢、機体傾斜角度、及び、バケット6内に取り込まれている土砂の重量等によって異なる。
上部旋回体3の慣性モーメントが大きい場合に、上部旋回体3の慣性モーメントが小さいときと同じレバー操作量で旋回操作レバー26が中立位置に向けて戻されると、上部旋回体3は、操作者の意図に反して、所望の旋回角度を超えて旋回してしまうおそれがある。或いは、上部旋回体3の慣性モーメントが小さい場合に、上部旋回体3の慣性モーメントが大きいときと同じレバー操作量で旋回操作レバー26が中立位置に向けて戻されると、上部旋回体3は、操作者の意図に反して、所望の旋回角度に達する前に停止してしまうおそれがある。このように、操作者は、上部旋回体3の慣性モーメントの大きさを正確に把握できないため、意図したとおりに上部旋回体3の旋回を停止させることができない場合がある。
そこで、コントローラ30は、操作者が意図したとおりに上部旋回体3の旋回を停止させることができるように構成されている。具体的には、コントローラ30は、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3を自動旋回制御することで、所望の旋回角度に達したところで上部旋回体3の旋回を停止させることができるように構成されている。
ここで、図3及び図4を参照し、コントローラ30が実行する自動旋回制御について説明する。図4は、旋回操作レバー26が左旋回方向に傾けられたときの旋回操作レバー26のレバー操作角度θと上部旋回体3の旋回速度Vとの関係を示す。以下の説明は、右旋回中の上部旋回体3の旋回を停止させるときの自動旋回制御に対しても同様に適用される。
時刻t0において、旋回操作レバー26が左旋回方向に傾けられると、旋回操作レバー26は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用して生成したパイロット圧を流量制御弁173の左パイロットポートに作用させる。パイロット圧を受けた流量制御弁173は、右方に移動し、PCポート及びCTポートの流路面積を増加させる。PCポートは、左油圧ポンプ14Lと旋回用油圧モータ2Aの吸入側ポートとを連通させるポートであり、CTポートは、旋回用油圧モータ2Aの吐出側ポートと作動油タンクとを連通させるポートである。その結果、左油圧ポンプ14Lが吐出する作動油は、流量制御弁173のPCポート及び右管路50Rを通って、旋回用油圧モータ2Aの右ポート2P2に流入する。また、旋回用油圧モータ2Aの左ポート2P1から流出する作動油は、左管路50L及び流量制御弁173のCTポートを通って作動油タンクに排出される。
右ポート2P2で作動油を受け入れた旋回用油圧モータ2Aは、上部旋回体3を左旋回させる方向に回転する。このとき、右管路50R内の作動油の圧力は、典型的には、右可変リリーフ弁51Rの旋回リリーフ圧に達するため、右管路50R内の作動油の一部は、右可変リリーフ弁51R及び管路55を通って作動油タンクに排出される。
その後、時刻t1において、レバー操作角度θが最大レバー操作角度θmに達した後も、旋回速度Vは、上昇し続ける。そして、時刻t2において、コントローラ30は、旋回操作圧センサ29の出力に基づいて旋回操作レバー26が中立位置に向けて戻されたことを検知すると、上部旋回体3の自動旋回制御を開始する。
具体的には、コントローラ30は、切換弁60に制御指令を出力し、切換弁60を開位置に切り換える。切換弁60が開位置に切り換えられると、流量制御弁173の左パイロットポートに作用していたパイロット圧が低下し、流量制御弁173は中立弁位置に戻り、PCポート及びCTポートを遮断する。その結果、吐出側ポートである左ポート2P1に接続された左管路50L内における作動油がCTポートを通過できないため、左管路50L内における作動油の圧力は増加し、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を発生させる。
この状態において、コントローラ30は、左可変リリーフ弁51Lに供給される制御電流を増減させることで、左可変リリーフ弁51Lの旋回リリーフ圧を増減させることができる。すなわち、コントローラ30は、左可変リリーフ弁51Lを通じた作動油の作動油タンクへの排出が開始されるタイミングを変化させることができる。具体的には、コントローラ30は、左可変リリーフ弁51Lの旋回リリーフ圧を低下させることで、左管路50L内における作動油の圧力を低下させ、ひいては、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を低下させることができる。すなわち、コントローラ30は、旋回速度Vの減速度を低下させることができる。また、コントローラ30は、左可変リリーフ弁51Lの旋回リリーフ圧を増加させることで、左管路50L内における作動油の圧力を増加させ、ひいては、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を増加させることができる。すなわち、コントローラ30は、旋回速度Vの減速度を増加させることができる。
上述の構成を利用し、コントローラ30は、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3の自動旋回制御を実行できる。具体的には、コントローラ30は、操作者による旋回操作レバー26の操作に応答することなく、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3の旋回速度を低下させ、且つ、上部旋回体3の旋回を停止させることができる。
所定の旋回速度パターンは、コントローラ30によって動的に生成されてもよく、予め登録されている複数の旋回速度パターンからコントローラ30によって選択されてもよい。
本実施形態では、コントローラ30は、所望の旋回角度の半分の旋回角度が達成されたときに操作者が旋回操作レバー26を中立位置に向けて戻すという仮定に基づいて推定旋回角度(推定旋回時間(現時点から上部旋回体3の旋回を停止させる時点までの時間)で実施される旋回動作による旋回角度の推定値)としての目標旋回角度を導き出している。すなわち、コントローラ30は、実績旋回角度(実績旋回時間(例えば、旋回操作レバー26の操作が開始された時点(時刻t0)から現時点(旋回操作レバー26を中立位置に向けて戻す操作が行われた時刻t2)までの時間)で実施された旋回動作による旋回角度の実績値)と推定旋回角度とが同じになることを操作者が意図しているという仮定に基づいて目標旋回角度を導き出している。その上で、コントローラ30は、実績旋回時間と推定旋回時間とが同じになることを操作者が意図しているという仮定に基づき、旋回速度パターンを決定している。但し、コントローラ30は、他の仮定に基づいて目標旋回角度を導き出してもよい。
本実施形態では、コントローラ30は、旋回操作レバー26を中立位置に向けて戻す操作が行われた時点で、目標旋回角度に基づいて旋回速度パターンを生成するように構成されている。
但し、コントローラ30は、他の例として、目標旋回位置に基づいて旋回速度パターンを生成するように構成されていてもよい。目標旋回位置は、上部旋回体3の旋回が停止するときのバケット6の推定位置(緯度、経度、及び高度)である。コントローラ30は、例えば、旋回操作レバー26の操作が開始された時点におけるバケット6の位置と現在のバケット6の位置とに基づいて目標旋回位置を導き出してもよい。
図4の例では、コントローラ30は、時刻t2から時刻t3までは減速度αで旋回速度Vを減速させ、時刻t3から時刻t7までは減速度βで旋回速度Vを減速させるという旋回速度パターンを採用している。この旋回速度パターンにしたがうと、上部旋回体3は、時刻t7において旋回を停止する。なお、旋回速度パターンは、1つの減速度で表されてもよく、3つ以上の減速度で構成されてもよい。複数の減速度の1つはゼロであってもよい。
本実施形態では、コントローラ30は、旋回速度パターンにしたがって旋回速度Vを変化させるために、上部旋回体3の慣性モーメントに基づいて左可変リリーフ弁51Lの旋回リリーフ圧を決定するように構成されている。典型的には、コントローラ30は、上部旋回体3の慣性モーメントが大きいほど、左可変リリーフ弁51Lの旋回リリーフ圧が大きくなるように構成されている。
上部旋回体3の慣性モーメントは、例えば、バケット6の重量と旋回半径と機体傾斜角とにより算出される。機体傾斜角は、例えば、機体傾斜センサS4の測定結果に基づいて算出される。旋回半径は、例えば、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれの測定結果により定まる掘削アタッチメントの姿勢に基づいて算出される。バケット6の重量は、例えば、バケット6の自重とバケット6に積み込まれている土砂の重量との和として算出される。バケット6の自重は、例えば、予め登録された値である。バケット6に積み込まれている土砂の重量は、例えば、掘削アタッチメントの姿勢とブームボトム圧とに基づいて算出される。
コントローラ30は、旋回角速度センサS5の出力に基づいて算出される旋回速度Vが旋回速度パターンから上方に逸脱している場合には左可変リリーフ弁51Lの旋回リリーフ圧を高くし、且つ、旋回速度Vが旋回速度パターンから下方に逸脱している場合には左可変リリーフ弁51Lの旋回リリーフ圧を低くするように構成されていてもよい。すなわち、コントローラ30は、旋回速度Vをフィードバックして旋回リリーフ圧を制御してもよい。
図4の例では、操作者は、時刻t2以降、レバー操作角度θを段階的に低下させ、時刻t4においてレバー操作角度θをゼロにしている。すなわち、操作者は、時刻t4において旋回操作レバー26を中立位置に戻している。しかしながら、時刻t2において切換弁60が開位置に切り換えられているため、流量制御弁173は、操作者による旋回操作レバー26の操作には応答しない。そのため、旋回速度Vは、コントローラ30によって制御され、レバー操作角度θの変化による影響を受けることはない。
但し、旋回速度Vが所定の旋回速度Vtを下回った場合には、コントローラ30は、切換弁60に制御指令を出力し、切換弁60を閉位置に切り換えるように構成されていてもよい。操作者の手動操作による旋回角度の微修正を許容するためである。そのため、旋回速度Vが所定の旋回速度Vtを下回っている状態で、旋回操作レバー26が操作されると、流量制御弁173は、操作者による旋回操作レバー26の操作に応答する。
図4の例では、時刻t6において、旋回操作レバー26が左旋回方向に僅かに傾けられたため、旋回速度Vは、減速度βでの減速を中止し、レバー操作角度θに応じて、より緩やかに減速する。
その後、操作者は、時刻t8において、旋回操作レバー26を中立位置に向けて戻す操作を開始し、時刻t9において、旋回操作レバー26を中立位置に戻す操作を完了している。しかしながら、旋回速度Vが既に旋回速度Vtを下回っているため、コントローラ30は、上部旋回体3の自動旋回制御を実行しない。そのため、流量制御弁173は、操作者による旋回操作レバー26の操作に応じて変位する。その結果、旋回速度Vは、レバー操作角度θに応じて減速し、時刻t10においてゼロに至る。
コントローラ30は、操作者の操作傾向を学習するように構成されていてもよい。例えば、コントローラ30は、時刻t6〜時刻t9におけるような操作者による旋回操作レバー26の操作を検知した場合、この操作者が上部旋回体3の旋回を緩やかに停止させる傾向を有していると判定してもよい。そして、コントローラ30は、次回以降の旋回速度パターンの生成に判定結果(学習結果)を反映させてもよい。或いは、同様の判定結果が所定の回数だけ得られた場合に、その判定結果を次回以降の旋回速度パターンの生成に反映させるように構成されていてもよい。
コントローラ30は、時刻t2から時刻t5までの自動旋回制御区間において、上部旋回体3を自動旋回制御していることを外部に報知するように構成されていてもよい。例えば、コントローラ30は、自動旋回制御中であることを表す情報を、キャビン10内に設置された表示装置に表示させてもよく、キャビン10内に設置されたスピーカから出力させてもよい。自動旋回制御中であることを操作者に知らせるためである。
なお、自動旋回制御区間は、旋回速度Vが旋回速度Vtを下回った後で、操作者による旋回操作レバー26の操作が行われなかった場合には、時刻t7まで、すなわち、上部旋回体3の旋回が停止するまで継続する。図4(B)の点線は、旋回速度Vが旋回速度Vtを下回った後で、操作者による旋回操作レバー26の操作が行われなかった場合に、時刻t5以降も減速度βでの減速が継続されたことを表している。
また、コントローラ30は、旋回速度Vが旋回速度Vtを下回ったときに、上部旋回体3を自動旋回制御していることの報知を中止してもよく、或いは、手動操作を受け付ける状態になったことを外部に報知してもよい。
なお、上述の例では、コントローラ30は、自動旋回制御区間では、切換弁60を開位置に切り換えることで旋回操作レバー26を無効にするように構成されている。しかしながら、コントローラ30は、自動旋回制御区間であっても、旋回操作レバー26のレバー操作角度が所定の変化率以上で急激に中立位置に戻された場合には、切換弁60を閉位置に戻すことで、旋回操作レバー26を有効にするように構成されていてもよい。コントローラ30は、操作者が上部旋回体3の旋回を急停止させようとしていると推定できるためであり、その操作者の意図にしたがって上部旋回体3の旋回を停止させるためである。
次に、図5を参照し、旋回制御システム200の別の構成例について説明する。図5は、旋回制御システム200の別の構成例を示す。
図5の旋回制御システム200は、旋回リリーフ圧が固定されているリリーフ弁51Aを備える点で、旋回リリーフ圧が調整可能なように構成されている可変リリーフ弁51を備える図3の旋回制御システム200と異なる。また、図5の旋回制御システム200は、管路50内の作動油の圧力を調整可能な制御弁51Bを備える点で図3の旋回制御システム200と異なる。その他の点では、図5の旋回制御システム200は、図3の旋回制御システム200と同じである。そのため、以下では、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
リリーフ弁51Aは、管路50内の作動油の圧力を所定の旋回リリーフ圧以下に制限するように構成されている。本実施形態では、リリーフ弁51Aは、管路50内の作動油の圧力が所定の旋回リリーフ圧に達したときに開く。リリーフ弁51Aは、左管路50Lに関する左リリーフ弁51ALと、右管路50Rに関する右リリーフ弁51ARと、を含む。
左リリーフ弁51ALは、左管路50L内の作動油の圧力が旋回リリーフ圧に達した場合に開状態となり、左管路50L内の作動油の圧力が旋回リリーフ圧を過度に上回らないように左管路50L内の作動油を、管路55を介して作動油タンクへ流出させる。
右リリーフ弁51ARは、右管路50R内の作動油の圧力が旋回リリーフ圧に達した場合に開状態となり、右管路50R内の作動油の圧力が旋回リリーフ圧を過度に上回らないように右管路50R内の作動油を、管路55を介して作動油タンクへ流出させる。
制御弁51Bは、管路50内の作動油の圧力を調整できるように構成されている。本実施形態では、制御弁51Bは、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する電磁切換弁である。具体的には、制御弁51Bは、左制御弁51BL及び右制御弁51BRを含む。左制御弁51BLは、左管路50Lと作動油タンクとを繋ぐ管路を開く開位置と、左管路50Lと作動油タンクとを繋ぐ管路を閉じる閉位置とを切り換えできるように構成されている。右制御弁51BRは、右管路50Rと作動油タンクとを繋ぐ管路を開く開位置と、右管路50Rと作動油タンクとを繋ぐ管路を閉じる閉位置とを切り換えできるように構成されている。
制御弁51Bは、管路50と作動油タンクとを繋ぐ管路の流路面積を無段階に調整可能な電磁比例弁であってもよい。また、制御弁51Bは、電磁弁と油圧制御弁との組み合わせで構成されていてもよい。
図5に示す構成では、図3に示す構成の場合と同様に、コントローラ30は、例えば、上部旋回体3の左旋回中において、旋回操作圧センサ29の出力に基づいて旋回操作レバー26が中立位置に向けて戻されたことを検知すると、上部旋回体3の自動旋回制御を開始する。
具体的には、コントローラ30は、切換弁60に制御指令を出力し、切換弁60を開位置に切り換える。切換弁60が開位置に切り換えられると、流量制御弁173の左パイロットポートに作用していたパイロット圧が低下し、流量制御弁173は中立弁位置に戻り、PCポート及びCTポートを遮断する。その結果、吐出側ポートである左ポート2P1に接続された左管路50L内における作動油がCTポートを通過できないため、左管路50L内における作動油の圧力は増加し、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を発生させる。
この状態において、コントローラ30は、左制御弁51BLを開位置に切り換えることで、左管路50L内における作動油の圧力を低下させ、ひいては、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を低下させることができる。すなわち、コントローラ30は、旋回速度Vの減速度を低下させることができる。また、コントローラ30は、左制御弁51BLを閉位置に切り換えることで、左管路50L内における作動油の圧力を増加させ、ひいては、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を増加させることができる。すなわち、コントローラ30は、旋回速度Vの減速度を増加させることができる。
上述の構成を利用し、コントローラ30は、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3を自動旋回制御することができる。具体的には、コントローラ30は、操作者による旋回操作レバー26の操作に応答することなく、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3の旋回速度Vを低下させ、且つ、上部旋回体3の旋回を停止させることができる。
次に、図6を参照し、旋回制御システム200の更に別の構成例について説明する。図6は、旋回制御システム200の更に別の構成例を示す。
図6の旋回制御システム200は、旋回リリーフ圧が固定されているリリーフ弁51Aを備える点で、旋回リリーフ圧が調整可能なように構成されている可変リリーフ弁51を備える図3の旋回制御システム200と異なる。また、図6の旋回制御システム200は、流量制御弁173のパイロットポートに作用するパイロット圧を調整可能なパイロット圧調整機構を備える点で図3の旋回制御システム200と異なる。その他の点では、図6の旋回制御システム200は、図3の旋回制御システム200と同じである。そのため、以下では、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
パイロット圧調整機構は、電磁弁31、シャトル弁32、及び電磁弁33で構成されている。
電磁弁31は、上部旋回体3を自動旋回制御する際、すなわち、旋回用油圧モータ2Aを自動制御する際に利用される。電磁弁31は、パイロットポンプ15とシャトル弁32とを接続する管路C1に配置され、管路C1内の作動油の圧力を調整できるように構成されている。本実施形態では、電磁弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による旋回操作レバー26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、電磁弁31及びシャトル弁32を介し、流量制御弁173のパイロットポートに供給できる。
シャトル弁32は、2つの入口ポートと1つの出口ポートを有する。2つの入口ポートのうちの一方は電磁弁33を介して旋回操作レバー26に接続され、他方は電磁弁31を介してパイロットポンプ15に接続されている。出口ポートは、流量制御弁173のパイロットポートに接続されている。そのため、シャトル弁32は、電磁弁31が生成するパイロット圧と電磁弁33が生成するパイロット圧のうちの高い方を、流量制御弁173のパイロットポートに作用させることができる。
電磁弁33は、電磁弁31と同様に、旋回用油圧モータ2Aを自動制御する際に利用される。電磁弁33は、旋回操作レバー26とシャトル弁32とを接続する管路C2に配置され、管路C2内の作動油の圧力を調整できるように構成されている。本実施形態では、電磁弁33は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による旋回操作レバー26の操作とは無関係に、旋回操作レバー26が吐出する作動油の圧力を減圧した上で、シャトル弁32を介し、流量制御弁173のパイロットポートにその減圧された圧力を作用させることができる。なお、電磁弁33は、省略されてもよい。
具体的には、電磁弁31は、左電磁弁31L及び右電磁弁31Rを含み、シャトル弁32は、左シャトル弁32L及び右シャトル弁32Rを含み、電磁弁33は、左電磁弁33L及び右電磁弁33Rを含む。また、管路C1は、左管路C1L及び右管路C1Rを含み、管路C2は、左管路C2L及び右管路C2Rを含む。
左電磁弁31Lは、パイロットポンプ15と左シャトル弁32Lとを接続する左管路C1Lに配置され、左管路C1L内の作動油の圧力を調整できるように構成されている。左電磁弁33Lは、旋回操作レバー26と左シャトル弁32Lとを接続する左管路C2Lに配置され、左管路C2L内の作動油の圧力を調整できるように構成されている。そのため、左シャトル弁32Lは、左電磁弁31Lが生成するパイロット圧と左電磁弁33Lが生成するパイロット圧のうちの高い方を、流量制御弁173の左パイロットポートに作用させることができる。
図6に示す構成では、図3に示す構成の場合と同様に、コントローラ30は、例えば、上部旋回体3の左旋回中において、旋回操作圧センサ29の出力に基づいて旋回操作レバー26が中立位置に向けて戻されたことを検知すると、上部旋回体3の自動旋回制御を開始する。
具体的には、コントローラ30は、左電磁弁33Lに制御指令を出力し、左管路C2L内の作動油の圧力を低下させ、流量制御弁173の左パイロットポートに作用していたパイロット圧を低下させる。そのため、流量制御弁173は中立弁位置に戻り、PCポート及びCTポートを遮断する。その結果、吐出側ポートである左ポート2P1に接続された左管路50L内における作動油がCTポートを通過できないため、左管路50L内における作動油の圧力は増加し、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を発生させる。
この状態において、コントローラ30は、左電磁弁31Lに制御指令を出力し、左管路C1L内の作動油の圧力を増加させることで、流量制御弁173を右方に移動させ、CTポートの流路面積を増加させることができる。その結果、コントローラ30は、左管路50L内の作動油の圧力を低下させ、ひいては、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を低下させることができる。すなわち、コントローラ30は、旋回速度Vの減速度を低下させることができる。また、コントローラ30は、左電磁弁31Lに制御指令を出力し、左管路C1L内の作動油の圧力を低下させることで、流量制御弁173を中立位置に向けて移動させ、CTポートの流路面積を低下させることができる。その結果、コントローラ30は、左管路50L内の作動油の圧力を増加させ、ひいては、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を増加させることができる。すなわち、コントローラ30は、旋回速度Vの減速度を増加させることができる。
上述の構成を利用し、コントローラ30は、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3を自動旋回制御することができる。具体的には、コントローラ30は、操作者による旋回操作レバー26の操作に応答することなく、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3の旋回速度Vを低下させ、且つ、上部旋回体3の旋回を停止させることができる。
なお、電磁弁33が省略されている場合、コントローラ30は、電磁弁31を利用して左管路50L内の作動油の圧力を増減させることで、旋回速度Vの減速度を増減させることができる。
次に、図7を参照し、旋回制御システム200の更に別の構成例について説明する。図7は、旋回制御システム200の更に別の構成例を示す。
図7の旋回制御システム200は、電気式パイロット回路を備えた電気式操作システムを備える点で、油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作システムを備える図6の旋回制御システム200と異なる。その他の点では、図7の旋回制御システム200は、図6の旋回制御システム200と同じである。そのため、以下では、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
図7の電気式操作システムは、旋回用油圧モータ2Aを回転させるための旋回操作システムの一例であり、主に、パイロット圧作動型の流量制御弁173と、電気式操作レバーとしての旋回操作レバー26と、コントローラ30と、左旋回操作用の左電磁弁31Lと、右旋回操作用の右電磁弁31Rとで構成されている。
手動操作が行われる場合、コントローラ30は、旋回操作レバー26の操作信号生成部が出力する操作信号(電気信号)に応じて左旋回操作信号(電気信号)又は右旋回操作信号(電気信号)を生成する。旋回操作レバー26の操作信号生成部が出力する操作信号は、旋回操作レバー26の操作量及び操作方向に応じて変化する電気信号である。
具体的には、コントローラ30は、旋回操作レバー26が左旋回方向に操作された場合、レバー操作量に応じた左旋回操作信号(電気信号)を左電磁弁31Lに対して出力する。左電磁弁31Lは、左旋回操作信号(電気信号)に応じて動作し、流量制御弁173の左パイロットポートに作用する、左旋回操作信号(圧力信号)としてのパイロット圧を制御する。同様に、コントローラ30は、旋回操作レバー26が右旋回方向に操作された場合、レバー操作量に応じた右旋回操作信号(電気信号)を右電磁弁31Rに対して出力する。右電磁弁31Rは、右旋回操作信号(電気信号)に応じて動作し、流量制御弁173の右パイロットポートに作用する、右旋回操作信号(圧力信号)としてのパイロット圧を制御する。
自動旋回制御を実行する場合、コントローラ30は、例えば、旋回操作レバー26の操作信号生成部が出力する操作信号(電気信号)に応じる代わりに、補正操作信号(電気信号)に応じて左旋回操作信号(電気信号)又は右旋回操作信号(電気信号)を生成する。補正操作信号は、コントローラ30が生成する電気信号であってもよく、コントローラ30以外の制御装置等が生成する電気信号であってもよい。
図7に示す構成では、図6に示す構成の場合と同様に、コントローラ30は、例えば、上部旋回体3の左旋回中において、操作信号生成部の出力に基づいて旋回操作レバー26が中立位置に向けて戻されたことを検知すると、上部旋回体3の自動旋回制御を開始する。
具体的には、コントローラ30は、左電磁弁31Lに制御指令を出力し、左管路C1L内の作動油の圧力を低下させ、流量制御弁173の左パイロットポートに作用していたパイロット圧を低下させる。そのため、流量制御弁173は中立弁位置に戻り、PCポート及びCTポートを遮断する。その結果、吐出側ポートである左ポート2P1に接続された左管路50L内における作動油がCTポートを通過できないため、左管路50L内における作動油の圧力は増加し、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を発生させる。
この状態において、コントローラ30は、左電磁弁31Lに別の制御指令を出力し、左管路C1L内の作動油の圧力を増加させることで、流量制御弁173を右方に移動させ、CTポートの流路面積を増加させることができる。その結果、コントローラ30は、左管路50L内の作動油の圧力を低下させ、ひいては、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を低下させることができる。すなわち、コントローラ30は、旋回速度Vの減速度を低下させることができる。また、コントローラ30は、左電磁弁31Lに制御指令を出力し、左管路C1L内の作動油の圧力を低下させることで、流量制御弁173を中立位置に向けて移動させ、CTポートの流路面積を低下させることができる。その結果、コントローラ30は、左管路50L内の作動油の圧力を増加させ、ひいては、旋回用油圧モータ2Aの回転を制動する制動力を増加させることができる。すなわち、コントローラ30は、旋回速度Vの減速度を増加させることができる。
上述の構成を利用し、コントローラ30は、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3を自動旋回制御することができる。具体的には、コントローラ30は、操作者による旋回操作レバー26の操作に応答することなく、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3の旋回速度Vを低下させ、且つ、上部旋回体3の旋回を停止させることができる。
なお、流量制御弁173は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーとしての旋回操作レバー26のレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
以上の構成により、図3、図5、図6、及び図7のそれぞれに示す旋回制御システム200を動作させるコントローラ30は、操作者による旋回操作レバー26を中立位置に向けて戻す操作が行われたことを契機として、上部旋回体3の自動旋回制御を開始させることができる。そして、コントローラ30は、目標旋回角度が達成される旋回角度位置で上部旋回体3の旋回を自動的に且つ滑らかに停止させることができる。
その結果、コントローラ30は、操作者の意図に反して上部旋回体3が所望の旋回角度を超えて旋回し続けてしまった場合、或いは、操作者の意図に反して上部旋回体3が所望の旋回角度に達する前に上部旋回体3の旋回が停止してしまった場合に行われる修正動作に要する無駄な時間の発生を抑制或いは防止できる。修正動作は、上部旋回体3の旋回角度を修正するための上部旋回体3の動作である。したがって、コントローラ30は、例えば、操作者の意図に反して上部旋回体3が所望の旋回角度を超えて旋回し続けてしまうおそれがあるときに行われる修正動作である急停止動作によって、バケット6内に取り込まれている土砂がバケット6からこぼれ落ちてしまうのを抑制或いは防止できる。また、コントローラ30は、操作者の疲労の原因となり得る急停止動作に伴う衝撃の発生を抑制或いは防止でき、操作者の疲労による操作者の集中力の低下を抑制或いは防止できる。このようにして、コントローラ30は、旋回操作に関する操作者の負担を軽減できる。
操作者は、所望の旋回角度の半分の旋回角度が達成されたときに旋回操作レバー26を中立位置に向けて戻すだけで、所望の旋回角度が達成される旋回角度位置で上部旋回体3の旋回を停止させることができる。そのため、操作者は、上部旋回体3の慣性モーメントの大きさを気にすることなく、旋回操作を簡便に行うことができる。
上述のように、本発明の実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載されている上部旋回体3と、上部旋回体3に搭載されている制御装置としてのコントローラ30と、を備えている。そして、コントローラ30は、旋回減速時に所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3を自動旋回制御するように構成されている。この構成により、ショベル100は、操作者が意図したとおりに上部旋回体3の旋回を停止させることができる。
旋回速度パターンは、例えば、操作者の操作傾向の学習結果に基づいて生成されてもよい。この場合、ショベル100は、旋回停止操作が行われた回数が増えるにつれて、旋回停止操作に関する操作者の意図をより正確に認識できるようになる。その結果、ショベル100は、上部旋回体3を緩やかに停止させたい、或いは、上部旋回体3を速やかに停止させたいといった操作者の好みに合わせて上部旋回体3の旋回を自動的に停止させることができるようになる。
コントローラ30は、例えば、旋回減速時に電磁弁を制御することにより、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3を自動旋回制御するように構成されていてもよい。この構成により、コントローラ30は、簡易に且つ正確に、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3の旋回速度Vを制御できる。なお、図3に示す例では、コントローラ30は、電磁弁としての可変リリーフ弁51の旋回リリーフ圧を制御することにより、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3の旋回速度Vを制御するように構成されている。図5に示す例では、コントローラ30は、電磁弁としての制御弁51Bの動きを制御することにより、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3の旋回速度Vを制御するように構成されている。制御弁51Bは、リリーフ弁51Aの旋回リリーフ圧よりも低いリリーフ圧が設定される可変リリーフ弁であってもよい。図6に示す例では、コントローラ30は、電磁弁としての電磁弁31及び電磁弁33のそれぞれの動きを制御することにより、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3の旋回速度Vを制御するように構成されている。図7に示す例では、コントローラ30は、電磁弁としての電磁弁31の動きを制御することにより、所定の旋回速度パターンにしたがって上部旋回体3の旋回速度Vを制御するように構成されている。
コントローラ30は、例えば、上部旋回体3の慣性モーメントに基づいて電磁弁を制御するように構成されていてもよい。この構成により、コントローラ30は、より正確に所定の旋回速度パターンにしたがうように上部旋回体3の旋回速度Vを制御できる。
コントローラ30は、例えば、上部旋回体3を自動旋回制御していることを報知するように構成されてもよい。この構成により、コントローラ30は、自動旋回制御を実行しているときに、自動旋回制御中であることを操作者に伝えることができる。そのため、操作者は、自身による旋回操作レバー26の操作とは無関係に上部旋回体3が自動旋回制御されていることを認識できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
1・・・下部走行体 1A・・・左走行用油圧モータ 1B・・・右走行用油圧モータ 2・・・旋回機構 2A・・・旋回用油圧モータ 3・・・上部旋回体 4・・・ブーム 5・・・アーム 6・・・バケット 7・・・ブームシリンダ 8・・・アームシリンダ 9・・・バケットシリンダ 10・・・キャビン 13・・・ポンプレギュレータ 14・・・油圧ポンプ 15・・・パイロットポンプ 18・・・絞り 19・・・制御圧センサ 26・・・旋回操作レバー 28・・・吐出圧センサ 29・・・旋回操作圧センサ 30・・・コントローラ 31・・・電磁弁 32・・・シャトル弁 33・・・電磁弁 42・・・センターバイパス管路 50・・・管路 51・・・可変リリーフ弁 51A・・・リリーフ弁 51B・・・制御弁 53・・・チェック弁 54、55・・・管路 60・・・切換弁 100・・・ショベル 170〜176・・・流量制御弁 200・・・旋回制御システム BP1、BP2・・・バイパス管路 C1、C2・・・管路 E1・・・情報取得装置 S1・・・ブーム角度センサ S2・・・アーム角度センサ S3・・・バケット角度センサ S4・・・機体傾斜センサ S5・・・旋回角速度センサ

Claims (5)

  1. 下部走行体と、
    前記下部走行体に旋回可能に搭載されている上部旋回体と、
    前記上部旋回体に搭載されている制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、旋回減速時に所定の旋回速度パターンにしたがって前記上部旋回体を自動旋回制御する、
    ショベル。
  2. 前記旋回速度パターンは、操作者の操作傾向の学習結果に基づいて生成される、
    請求項1に記載のショベル。
  3. 電磁弁を備え、
    前記制御装置は、旋回減速時に前記電磁弁を制御することにより、前記旋回速度パターンにしたがって前記上部旋回体を自動旋回制御する、
    請求項1又は2に記載のショベル。
  4. 前記制御装置は、前記上部旋回体の慣性モーメントに基づいて前記電磁弁を制御する、
    請求項3に記載のショベル。
  5. 前記制御装置は、前記上部旋回体を自動旋回制御していることを報知する、
    請求項1乃至4の何れかに記載のショベル。
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