JP2021014197A - 車両制御装置 - Google Patents

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Atsushi Tabata
淳 田端
河野 哲也
Tetsuya Kono
哲也 河野
弘一 奥田
Koichi Okuda
弘一 奥田
広太 藤井
Kota Fujii
広太 藤井
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Abstract

【課題】自動運転機能を有しエンジン停止中にモータの動力のみで走行可能な車両において、走行中におけるエンジンの始動頻度を低減させることが可能な技術を提供する。【解決手段】本発明の一実施形態に係る車両制御装置(走行制御装置200)は、自動運転機能を有し、エンジン10の停止中にモータジェネレータ30の動力で走行可能な車両1を制御する車両制御装置であって、エンジン10の停止中において、自動運転機能が作動中で、且つ、車両1の要求駆動力Fd_reqがエンジン始動閾値Fd_thを超えた場合、モータジェネレータ30の動力を駆動輪80に伝達する変速機50をシフトダウンさせる。【選択図】図4

Description

本発明は、車両制御装置に関する。
例えば、自動運転機能を有する車両において、エンジン停止状態での走行中に、車両での総電力消費量が所定値以上である場合、エンジンの始動を禁止し、自動運転機能に関連する機器への安定した電力供給を維持する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2018−132014号公報
しかしながら、上述の技術では、自動運転機能に関連する機器への安定した電力供給の維持を図ることができるものの、エンジンの始動頻度を低減させることができない。例えば、車両の駆動力源として、エンジンの他に、モータ(電動機)を有する車両では、車両が必要とする駆動力(以下、「要求駆動力」)が相対的に低い場合、エンジンを停止させて、モータのみで走行し、要求駆動力が相対的に大きくなると、エンジンを始動させる走行制御が行われる場合がある。この場合、要求駆動力の変動に応じて、エンジンの停止と始動とが繰り返される。そのため、エンジン始動の頻度が増加し、エンジンの始動のたびに車両の乗員に不快感を与えてしまう可能性がある。
そこで、上記課題に鑑み、自動運転機能を有しエンジン停止中にモータの動力のみで走行可能な車両において、走行中におけるエンジンの始動頻度を低減させることが可能な技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態では、
自動運転機能を有し、エンジンの停止中にモータの動力で走行可能な車両を制御する車両制御装置であって、
前記エンジンの停止中において、前記自動運転機能が作動中で、且つ、前記車両の要求駆動力が所定閾値を超えた場合、前記モータの動力を駆動輪に伝達する変速機をシフトダウンさせる、
車両制御装置が提供される。
本実施形態によれば、車両制御装置は、エンジンの始動の代わりに、変速機のシフトダウンを利用し、要求駆動力を確保することができる。具体的には、自動運転機能が非作動中の場合、運転者のアクセルペダルの操作で車両の要求駆動力が決定される。この場合、運転者の操作を予測するのは相対的に難しく、且つ、要求駆動力の変化率も相対的に大きくなりうるため、今後の要求駆動力の変動分を満足させる目的も含めエンジンを始動させることが望ましい。これに対して、自動運転機能が作動中の場合、自動運転機能の中で要求駆動力が生成されるため、要求駆動力はある程度予測可能であり、且つ、要求駆動力の変動率も相対的に小さくなる。そのため、車両制御装置は、自動運転機能が作動中で、且つ、要求駆動力が相対的に高くなった(所定閾値を超えた)場合に、エンジンの始動の代わりに、変速機のシフトダウンにより、車両の駆動力を増加させて、要求駆動力を満足させることができる。従って、車両制御装置は、エンジンの始動頻度を低減させることができる。
上述の実施形態によれば、自動運転機能を有しエンジン停止中にモータの動力のみで走行可能な車両において、走行中におけるエンジンの始動頻度を低減させることが可能な技術を提供することができる。
車両の構成の一例を示す図である。 本実施形態に係る車両のパワートレインの一例を説明する図である。 本実施形態に係る車両のパワートレインの一例を説明する図である。 本実施形態に係る車両のパワートレインの一例を説明する図である。 本実施形態に係る変速機のそれぞれの変速段と車両の車速及び要求駆動力との関係を表すマップの一例を表す図である。 走行制御装置による制御処理の一例を概略的に示すフローチャートである。 本実施形態に係る走行制御装置による制御処理の作用を説明する図である。 本実施形態に係る走行制御装置による制御処理の作用を説明する図である。 本実施形態に係る走行制御装置による制御処理の作用を説明する図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[車両の構成]
まず、図1を参照して、本実施形態に係る車両1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る車両1の構成の一例を示すブロック図である。
図中にて、二重線は、動力伝達系統を表し、点線は、信号伝達系統を表す。
図1に示すように、車両1は、駆動系の構成要素として、エンジン10と、モータジェネレータ(Motor Generator)(以下、「MG」)20,30と、動力分配機構40と、変速機50と、差動装置60と、ドライブシャフト70と、駆動輪80を含む。また、車両1は、制御系に関連する構成要素として、スイッチ100と、道路交通情報通信装置110と、車車間通信装置120と、自車位置情報検出装置130と、走行パラメータ検出装置140と、周辺環境認識装置150と、表示装置160と、音出力装置170を含む。また、車両1は、制御系の構成要素として、走行制御装置200と、モータジェネレータ制御装置(以下、「MG制御装置」)210と、エンジン制御装置220と、ステアリング制御装置230と、ブレーキ制御装置240と、変速制御装置250を含む。
エンジン10は、車両1の駆動力源である。エンジン10は、例えば、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンや軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。エンジン10は、動力分配機構40、変速機50、差動装置60、及びドライブシャフト70を介して、駆動輪80に車両1の駆動用の動力(トルク)を供給する。また、エンジン10は、動力分配機構40を介して、MG20に発電用の動力(トルク)を供給する。
MG20は、車両1に搭載される高圧バッテリ(例えば、数百ボルトの出力を有するリチウムイオンバッテリ等)から供給される電力により駆動され、動力分配機構40を介して、エンジン10に動力を供給し、エンジン10を始動させる。また、MG20は、動力分配機構40を介して、エンジン10から供給される動力で発電を行い、発電電力をMG30に供給したり、高圧バッテリに蓄電(充電)させたりする。MG20は、例えば、同期電動発電機である。また、MG20は、動力分配機構40、変速機50、差動装置60、及びドライブシャフト70を介して、駆動輪80に車両1の駆動用の動力(トルク)を供給してもよい。
MG30(モータの一例)は、高圧バッテリから供給される電力により駆動され、動力分配機構40、変速機50、差動装置60、及びドライブシャフト70を介して、駆動輪80に車両1の駆動用の動力(トルク)を供給する。また、MG30は、駆動輪80、ドライブシャフト70、差動装置60、変速機50、及び動力分配機構40を通じて伝達される減速トルクによって、回生発電を行い、その発電電力を高圧バッテリに充電させる。
動力分配機構40は、車両1の走行状態等に合わせて、エンジン10の動力、MG20の動力、MG30の動力、及び駆動輪80側(変速機50)からの動力(減速トルク)をエンジン10、MG20、MG30、及び駆動輪80の間で適宜分配する。
変速機50は、複数の変速段を有し、動力分配機構40から出力される動力(トルク)を、選択されている変速段に対応する所定の変速比(減速比或いは増速比)で変速して出力する。
差動装置60は、変速機50から出力される動力(トルク)を左右のドライブシャフト70(70L,70R)に分配して伝達する。
ドライブシャフト70は、差動装置60から出力される動力(トルク)を駆動輪80に伝達する。ドライブシャフト70は、左側のドライブシャフト70Lと、右側のドライブシャフト70Rとを含む。
駆動輪80は、ドライブシャフト70により伝達される動力(トルク)によって回転し、路面に駆動力を発生させる。駆動輪80は、左側の駆動輪80Lと、右側の駆動輪80Rとを含む。
スイッチ100は、車両1の運転者を含む乗員からの各種の操作入力を受け付ける。スイッチ100は、例えば、車両1の自動運転機能をON/OFFするためのスイッチ(以下、「自動運転スイッチ」)を含む。スイッチ100は、例えば、ボタンスイッチ、トグルスイッチ、レバースイッチ等のハードウェアスイッチである。また、スイッチ100は、例えば、表示装置160の表示領域に表示される、所定の操作手段(例えば、表示装置160に実装されるタッチパネル)により操作可能な仮想的なスイッチ(アイコン)であってもよい。スイッチ100の出力、つまり、乗員の操作入力の内容に対応する出力信号は、走行制御装置200に取り込まれる。これにより、走行制御装置200は、スイッチ100に対する操作内容を把握することができる。
道路交通情報通信装置110は、所定の外部装置(例えば、道路交通情報通信システム(Vehicle Information and Communication System)センタ)から配信される道路交通情報を受信する。受信される道路交通情報は、走行制御装置200に取り込まれる。これにより、走行制御装置200は、例えば、道路交通情報を把握しながら、車両1の自動運転機能に関する走行制御を行うことができる。
車車間通信装置120は、所定の周波数帯(例えば、700MHz帯や5.8GHz帯等)の電波を用いて、車両1の周囲の相対的に近い距離(例えば、数メートルから数十メートル)に位置する他の車両と通信を行う。これにより、車車間通信装置120は、車両1の周囲に存在する他の車両の位置や走行状況に関する情報(以下、「周囲車両情報」)を取得(受信)することができる。受信される周囲車両情報は、走行制御装置200に取り込まれる。これにより、走行制御装置200は、車両1の周囲の他の車両の位置や走行状況等を把握しながら、自動運転機能に関する走行制御を行うことができる。
自車位置情報検出装置130は、車両1(自車)の位置情報を検出する。自車位置情報検出装置130は、例えば、上空のGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から信号を受信し、自車の位置を測位可能なGNSSモジュールを含む。自車位置情報検出装置130の出力、即ち、車両1の位置情報は、走行制御装置200に取り込まれる。これにより、走行制御装置200は、例えば、車両1の現在位置と、車両1の現在位置に対応する三次元地図情報(例えば、ダイナミックマップ)とを比較しながら、車両1の自動運転機能を実現することができる。
走行パラメータ検出装置140は、走行制御装置200による車両1の走行制御に用いられる制御パラメータ(走行パラメータ)に対応する車両1の各種状態に関する情報(以下、「車両情報」)や車両1の周辺の環境状態に関する情報(以下、「周辺環境情報」)を検出する。走行パラメータ検出装置140は、車両1の車速(車輪速)、加速度、エンジン10の回転数、MG20,30の回転数等の車両情報を検出する各種センサを含む。また、走行パラメータ検出装置140は、例えば、外気温や明るさ(照度)等の周辺環境情報を検出する各種センサを含む。走行パラメータ検出装置140の出力、即ち、走行パラメータの検出情報は、走行制御装置200に取り込まれる。
周辺環境認識装置150は、車両1の周辺環境(例えば、車両1から見た周辺の物体の位置、大きさ等)を認識するための情報(以下、「周辺環境認識情報」)を取得する。周辺環境認識装置150は、例えば、車両1の周囲を撮像し、周辺環境認識情報として撮像画像を取得するカメラを含む。また、周辺環境認識装置150は、例えば、車両1の周囲に走査信号(例えば、レーザや電波)を出力し、周辺環境認識情報としてその反射信号(例えば、反射光や反射波)を取得(受信)するLIDAR(Light Detection and Ranging)やミリ波レーダ等を含む。取得される周辺環境情報は、走行制御装置200に取り込まれる。これにより、走行制御装置200は、車両1の周辺環境を具体的に把握しながら、車両1の自動運転機能に関する走行制御を適切に行うことができる。
表示装置160は、車両1の車室内の運転者等から視認し易い位置に配置され、走行制御装置200の制御下で、各種情報画像を表示する。これにより、走行制御装置200は、例えば、車両1の自動運転機能による走行状況等の各種情報を運転者等に通知することができる。
音出力装置170は、車両1の車室内に配置され、走行制御装置200の制御下で、車両1の車室内に各種の音を出力する。音出力装置170は、例えば、ブザーやスピーカ等を含む。これにより、音出力装置170は、音の出力態様(例えば、音量、音圧、音質、音の周期)や、音声の内容によって、各種の情報を運転者等に通知することができる。
走行制御装置200(車両制御装置の一例)は、車両1の走行制御を行う。具体的には、走行制御装置200は、配下のMG制御装置210、エンジン制御装置220、ステアリング制御装置230、ブレーキ制御装置240、変速制御装置250に制御指令を出力することにより、車両1の走行制御を実現する。
走行制御装置200は、任意のハードウェア、或いは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されてよい。走行制御装置200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置、ROM(Read Only Memory)等の補助記憶装置、及び入出力用のインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成されるECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)である。走行制御装置200は、例えば、補助記憶装置にインストールされるプログラムをCPU上で実行することにより各種制御を実現することができる。以下、MG制御装置210、エンジン制御装置220、ステアリング制御装置230、ブレーキ制御装置240、及び変速制御装置250についても同様である。
例えば、走行制御装置200は、車両1の自動運転機能が作動中である(ONされている)場合、車両1の自動運転機能に関する走行制御を行う。
MG制御装置210は、MG20,30の制御を行う。具体的には、MG制御装置210は、高圧バッテリとMG20,30のそれぞれとの間に介設される電力変換装置(例えば、昇圧コンバータやインバータ等)を制御することにより、MG20,30の所望の動作を実現する。
エンジン制御装置220は、エンジン10の制御を行う。具体的には、エンジン制御装置220は、エンジン10の動作に関連する各種アクチュエータ(例えば、燃料噴射装置や点火装置等)を制御することにより、エンジン10の所望の動作を実現する。
ステアリング制御装置230は、車両1のステアリング装置(操舵装置)の制御を行う。具体的には、ステアリング制御装置230は、ステアリング装置の操舵用の電動モータを制御することにより、ステアリング装置の所望の操舵状態を実現する。
尚、電動モータは、ステアリングシャフト(コラムシャフト)を駆動する態様で設けられてもよいし、ピニオンギヤを駆動する態様で設けられてもよいし、ラックギヤを駆動する態様で設けられてもよい。
ブレーキ制御装置240は、車両1の油圧ブレーキシステムの制御を行う。具体的には、ブレーキ制御装置240は、運転者のブレーキ操作とは独立して駆動輪のホイルシリンダに作用するブレーキ油圧を調整可能な電気駆動の油圧ポンプを制御することにより、車両1の各車輪に作用する制動力を調整する。
変速制御装置250は、変速機50の変速段の切り替えに関する制御を行う。具体的には、変速制御装置250は、変速機50のそれぞれの変速段に対応する摩擦係合要素(例えば、後述のクラッチC1,C2やブレーキB1,B2等)を係脱させる油圧機構(例えば、油圧ピストン)の作動油の給排を切り替える電磁ソレノイドバルブを制御することにより、変速機50の変速段の切り替えを実現する。
[車両のパワートレインの構成]
次に、図2(図2A〜図2C)を参照して、車両1のパワートレイン(エンジン10、MG20,30、動力分配機構40、及び変速機50)の詳細構成について説明する。
図2A〜図2Cは、本実施形態に係る車両1のパワートレインの一例を説明する図である。具体的には、図2Aは、車両1のパワートレインの詳細構成の一例を示す図である。図2Bは、変速機50のそれぞれの変速段を実現する係合要素の組み合わせを示す図である。図2Cは、車両1のパワートレインのそれぞれの回転要素(後述の遊星歯車機構)の回転軸の動作状況を表す図である。
図2Aに示すように、動力分配機構40は、サンギヤS0、リングギヤR0、及びサンギヤS0とリングギヤR0との間で双方に噛み合うプラネタリギヤ(遊星ギヤ)を保持するプラネタリキャリアCA0で構成される遊星歯車機構を含む。
サンギヤS0は、MG20の出力軸と回転軸を共有する形で連結される。
リングギヤR0は、MG30の出力軸、及び変速機50の入力軸IPと回転軸を共有する形で連結される。
プラネタリキャリアCA0は、エンジン10の出力軸(クランク軸)と回転軸を共有する形で連結される。
これにより、エンジン10の動力(トルク)は、プラネタリキャリアCA0(プラネタリギヤ)からリングギヤR0を介して、変速機50に伝達され、プラネタリキャリアCA0(プラネタリギヤ)からサンギヤS0を介して、MG20に伝達される。また、MG20の動力は、サンギヤS0からプラネタリキャリアCA0(プラネタリギヤ)を介して、エンジン10に伝達され、エンジン10が始動される。また、MG30の動力は、リングギヤR0を通じて、変速機50に伝達され、変速機50からの減速トルクは、リングギヤR0を通じて、MG30に伝達される。
変速機50は、サンギヤS1、リングギヤR1、及びサンギヤS1とリングギヤR1との間で双方に噛み合うプラネタリギヤを保持するプラネタリキャリアCA1で構成される遊星歯車機構を含む。また、変速機50は、サンギヤS2、リングギヤR2、及びサンギヤS2とリングギヤR2との間で双方に噛み合うプラネタリギヤを保持するプラネタリキャリアCA2で構成される遊星歯車機構を含む。また、変速機50は、クラッチC1,C2と、ブレーキB1,B2と、ワンウェイクラッチF1とを含む。
サンギヤS1は、ブレーキB1によって、変速機50の筐体(「ケース」或いは「ハウジング」とも称する)に固定可能に保持される。
リングギヤR1は、プラネタリキャリアCA2及び変速機50の出力軸OPと回転軸を共有する形で連結される。
プラネタリキャリアCA1は、クラッチC2を介して、変速機50の入力軸IPと回転軸を共有する形で連結される。また、プラネタリキャリアCA1は、ワンウェイクラッチF1を介して、リングギヤR2と回転軸を共有する形で連結される。
サンギヤS2は、クラッチC1を介して、変速機50の入力軸IPと回転軸を共有する形で連結される。
リングギヤR2は、上述の如く、ワンウェイクラッチF1を介して、プラネタリキャリアCA1と回転軸を共有する形で連結される。また、リングギヤR2は、ブレーキB2によって、変速機50の筐体に固定可能な態様で保持される。
プラネタリキャリアCA2は、リングギヤR1及び変速機50の出力軸OPと回転軸を共有する形で連結される。
図2Bに示すように、変速機50の変速段が1速の場合、クラッチC1、ブレーキB1、及びワンウェイクラッチF1が係合状態になる。この場合、図2Aに示すように、動力分配機構40(リングギヤR0)の出力は、入力軸IP及びクラッチC1を経由してサンギヤS2に入力される。そして、その動力は、リングギヤR2が固定された状態で、プラネタリキャリアCA2に伝達され、出力軸OPから出力される。また、図2Cに示すように、入力軸IPと同じ回転数のサンギヤS2(点P1参照)と、ブレーキB2で固定されるリングギヤR2(点P2参照)との関係によって、プラネタリキャリアCA2は、サンギヤS2の回転数を最大の減速比で減速して出力する(点201参照)。
また、図2Bに示すように、変速機50の変速段が2速の場合、クラッチC1及びブレーキB1が係合状態になる。この場合、図2Bに示すように、動力分配機構40(リングギヤR0)の出力は、入力軸IP及びクラッチC1を経由してサンギヤS2に入力される。そして、その動力は、サンギヤS1が固定された状態で、プラネタリキャリアCA1及びリングギヤR1のそれぞれと連動するリングギヤR2及びプラネタリキャリアCA2が回転することで、プラネタリキャリアCA2に伝達され、出力軸OPから出力される。また、図2Cに示すように、入力軸IPと同じ回転数のサンギヤS2(点P1参照)と、ブレーキB1で固定されるサンギヤS1(点P3参照)との関係によって、プラネタリキャリアCA2は、サンギヤS2の回転数を2番目の減速比で減速して出力する(点202参照)。
また、図2Bに示すように、変速機50の変速段が3速の場合、クラッチC1及びクラッチC2が係合状態になる。この場合、図2Aに示すように、動力分配機構40(リングギヤR0)の出力は、入力軸IP及びクラッチC1を経由して、サンギヤS2に入力されると共に、入力軸IP及びクラッチC2を経由して、プラネタリキャリアCA1に入力される。そして、その動力は、プラネタリキャリアCA1及びサンギヤS2のそれぞれから回転軸が共有されるリングギヤR1及びプラネタリキャリアCA2に同じ回転数のまま伝達され、出力軸OPから出力される。また、図2Cに示すように、入力軸IPと同じ回転数のサンギヤS2(点P1参照)及びプラネタリキャリアCA1(点P4参照)の関係によって、プラネタリキャリアCA2及びリングギヤR1は、サンギヤS2及びプラネタリキャリアCA1の回転数を減速も増速もせずにそのまま出力する(点203参照)。
また、図2Bに示すように、変速機50の変速段が4速の場合、クラッチC2及びブレーキB1が係合状態になる。この場合、図2Aに示すように、動力分配機構40(リングギヤR0)の出力は、入力軸IP及びクラッチC2を経由して、プラネタリキャリアCA1に入力される。そして、その動力は、サンギヤS1が固定された状態で、リングギヤR1に伝達され、出力軸OPから出力される。また、図2Cに示すように、入力軸IPと同じ回転数のプラネタリキャリアCA1(点P4参照)と、ブレーキB1で固定されるサンギヤS1(点P3参照)との関係によって、リングギヤR1は、プラネタリキャリアCA1の回転数を増速して出力する(点204参照)。
尚、車両1の後退走行(バック走行)は、MG30が逆回転することにより実現される。この場合、図2Bに示すように、クラッチC1及びブレーキB2が係合状態となる。また、図2Cに示すように、MG30(サンギヤS0)と同様に逆回転するサンギヤS2(点P5参照)と、ブレーキB2で固定されるリングギヤR2(点P2参照)との間の関係によって、プラネタリキャリアCA2は、サンギヤS2の逆方向の回転数を減速して出力する(点205参照)。
[変速機の制御方法]
図3は、本実施形態に係る変速機50のそれぞれの変速段と車両1の車速及び要求駆動力との関係を表すマップ(以下、「変速マップ」)である。
図3に示すように、境界線310は、エンジン10を停止させて、MG30の動力のみで走行可能な限界を表す。即ち、走行制御装置200は、境界線310よりも車両1の要求駆動力及び車両1の車速が相対的に低い領域(以下、「MG走行領域」)において、MG30のみで車両1を走行させ、MG走行領域以外の領域(以下、「エンジン走行領域」)では、エンジン10及びMG30の動力で車両1を走行させる。
境界線320は、変速機50の変速段を1速から2速に切り替える(シフトアップする)条件を表している。具体的には、変速制御装置250は、変速機50の変速段が1速の状態で、車両1の要求駆動力及び車速が境界線320の左側の領域から右側の領域に遷移する場合に、変速段を1速から2速に切り替える(シフトアップさせる)。
境界線330は、変速機50の変速段を2速から1速に切り替える(シフトダウンする)条件を表している。具体的には、変速制御装置250は、変速機50の変速段が2速の状態で、車両1の要求駆動力及び車速が境界線330の右側の領域から左側の領域に遷移する場合に、変速段を2速から1速に切り替える(シフトダウンさせる)。
境界線340は、変速機50の変速段を2速から3速に切り替える(シフトアップする)条件を表している。具体的には、変速制御装置250は、変速機50の変速段が2速の状態で、車両1の要求駆動力及び車速が境界線340の左側の領域から右側の領域に遷移する場合に、変速段を2速から3速に切り替える(シフトアップさせる)。
境界線350は、変速機50の変速段を3速から2速に切り替える(シフトダウンする)条件を表している。具体的には、変速制御装置250は、変速機50の変速段が3速の状態で、車両1の要求駆動力及び車速が境界線350の右側の領域から左側の領域に遷移する場合に、変速段を3速から2速に切り替える(シフトダウンさせる)。
境界線360は、変速機50の変速段を3速から4速に切り替える(シフトアップする)条件を表している。具体的には、変速制御装置250は、変速機50の変速段が3速の状態で、車両1の要求駆動力及び車速が境界線360の左側の領域から右側の領域に遷移する場合に、変速段を3速から4速に切り替える(シフトアップさせる)。
境界線370は、変速機50の変速段を4速から3速に切り替える(シフトダウンする)条件を表している。具体的には、変速制御装置250は、変速機50の変速段が4速の状態で、車両1の要求駆動力及び車速が境界線370の右側の領域から左側の領域に遷移する場合に、変速段を4速から3速に切り替える(シフトダウンさせる)。
また、MG走行領域には、境界線320,330,340,350が含まれる一方、境界線360,370は含まれない。つまり、変速制御装置250は、MG30のみの動力で車両1が走行している最中において、変速機50の1速〜3速を使用し、4速を使用しない。
尚、非常に短い時間でシフトアップ方向或いはシフトダウン方向に複数の境界線を跨ぐ形で、車両1の要求駆動力や車速が相対的に大きく変化する場合がある。この場合、変速制御装置250は、変速段を一気に複数の段階で変化させる。例えば、変速制御装置250は、変速機50の変速段が4速の状態で、車両1の要求駆動力及び車速が境界線370よりも右側の領域から境界線350と境界線330との間の領域に、非常に短い時間で遷移する場合、変速段を4速から2速に切り替える。
[制御処理]
次に、図4を参照して、走行制御装置200による制御処理について説明する。
図4は、走行制御装置200による制御処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートは、車両1の起動(イグニッションオン)から停止(イグニッションオフ)までの間のエンジン10の停止中において、所定の処理周期ごとに繰り返し実行される。
ステップS102にて、走行制御装置200は、車両1に必要とされる要求駆動力Fd_reqがエンジン10を始動させる基準となる閾値(以下、「エンジン始動閾値」)Fd_th(所定閾値の一例)を超えたか否かを判定する。走行制御装置200は、要求駆動力Fd_reqがエンジン始動閾値Fd_thを超えた場合、ステップS104に進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
ステップS104にて、走行制御装置200は、例えば、自動運転スイッチがON操作されたことによって、自動運転機能が作動中であるかされているか否かを判定する。走行制御装置200は、自動運転機能が作動中である場合、ステップS106に進み、自動運転機能が作動中でない(非作動中である)場合、ステップS110に進む。
尚、要求駆動力Fd_reqは、自動運転機能が非作動中である(OFFされている)場合、車両1の運転者のアクセルペダルの操作状態(アクセル開度)に応じて決定され、自動運転機能が作動中である(ONされている)場合、自動運転機能の中で、走行制御装置200により自動で生成される。
ステップS106にて、走行制御装置200は、例えば、車両1の現在の車速及び要求駆動力Fd_reqと、変速マップ(図3参照)等とに基づき、変速機50のシフトダウンによって、要求駆動力Fd_reqを確保することが可能か否かを判定する。走行制御装置200は、変速機50のシフトダウンによって、要求駆動力Fd_reqを確保可能である場合、ステップS108に進み、要求駆動力Fd_reqを確保不可能である場合、ステップS110に進む。
ステップS108にて、走行制御装置200は、変速制御装置250に指令を出力し、変速機50をシフトダウンさせて、変速段を低速側に切り替えて、今回の処理を終了する。
ステップS110にて、走行制御装置200は、MG制御装置210及びエンジン制御装置220に指令を出力し、MG20を用いて、エンジン10を始動させ、今回の処理を終了する。
このように、本例では、走行制御装置200は、要求駆動力Fd_reqを確保するためのエンジン10の始動条件を、自動運転機能が作動中の場合、非作動中の場合よりも、エンジン10が始動しにくくなるように、自動運転機能が作動中の場合と非作動中の場合とで異ならせる。具体的には、走行制御装置200は、エンジン10の停止中において、自動運転機能が非作動中で、且つ、車両1の要求駆動力Fd_reqがエンジン始動閾値Fd_thを超えた場合、エンジン10を始動させる。一方、走行制御装置200は、自動運転機能が作動中で、且つ、車両1の要求駆動力Fd_reqがエンジン始動閾値Fd_thを超えた場合、エンジン10の始動よりも変速機50のシフトダウンを優先的に使用する。これにより、走行制御装置200は、自動運転機能の作動中におけるエンジン10の始動を抑制することができる。
[本実施形態の作用]
次に、図5(図5A〜図5C)を参照して、本実施形態に係る車両1(走行制御装置200)の作用について説明する。
図5A〜図5Cは、本実施形態に係る走行制御装置200による制御処理の作用を説明する図である。具体的には、図5Aは、車両1の要求駆動力Fd_reqの時間変化を表すタイムチャート510の図である。図5Bは、図5A(タイムチャート510)の要求駆動力Fd_reqの時間変化に対応する、自動運転機能の非作動中におけるエンジン10の回転数及び変速機50の変速段のタイムチャート520,530を表す図である。図5Cは、図5A(タイムチャート510)の要求駆動力Fd_reqの時間変化に対応する、自動運転機能の作動中におけるエンジン10の回転数及び変速機50の変速段(ギヤ段)のタイムチャート540,550を表す図である。
図5A(タイムチャート510)に示すように、要求駆動力Fd_reqは、時刻t1より前の時点で、徐々に増加し、時刻t1でエンジン始動閾値Fd_thを上回った(図4のステップS104のYES)後、直ぐに、時刻t2でエンジン始動閾値Fd_thを下回っている。
このような要求駆動力Fd_reqの時間変化に対して、図5Bに示すように、自動運転機能が非作動中で、運転者によりアクセルペダルの操作が行われている場合、時刻t1にて、変速機50の変速段が維持されたまま、エンジン10が始動し(図4のステップS110)、時刻t2で、エンジン10が停止している。運転者の操作を予測するのは相対的に難しく、且つ、要求駆動力Fd_reqの変化率も相対的に大きくなりうるため、今後の要求駆動力Fd_reqの変動分を満足させる目的も含めエンジン10を始動させることが望ましいからである。そのため、例えば、エンジン始動閾値Fd_thの前後で要求駆動力Fd_reqが推移すると、エンジン10の始動と停止とが繰り返され、エンジン10の始動頻度が増加する。よって、仮に、自動運転機能が作動中に、同様の制御態様が採用されると、エンジン10の始動頻度の増加に伴い、車両1の運転者を含む乗員に不快感を与えてしまう可能性がある。自動運転機能の非作動中における要求駆動力Fd_reqは、アクセルペダルの操作状態として出力される、運転者の意思に基づき決定される一方、自動運転機能の作動中における要求駆動力Fd_reqは、車両1の運転者の意思とは無関係であるからである。
これに対して、本実施形態では、図5Cに示すように、自動運転機能が作動中の場合、時刻t1にて、エンジン10の停止状態が維持されたまま、変速機50がシフトダウンし(図4のステップS108)、時刻t2で、変速機50がシフトアップし、元の変速段に戻っている。そのため、エンジン始動閾値Fd_thの前後で要求駆動力Fd_reqが推移するような状況であっても、エンジン10の始動と停止との繰り返しが抑制され、エンジン10の始動頻度が低下する。
このように、本実施形態では、走行制御装置200は、エンジン10の停止中において、自動運転機能が作動中で、且つ、車両1の要求駆動力Fd_reqが所定閾値(エンジン始動閾値Fd_th)を超えた場合、MG30の動力を駆動輪に伝達する変速機50をシフトダウンさせる。具体的には、走行制御装置200は、エンジン10の停止中において、自動運転機能が作動中で、且つ、車両1の要求駆動力が所定閾値を超えた場合、エンジン10の始動よりも変速機50のシフトダウンを優先的に使用する。
これにより、走行制御装置200は、エンジン10の始動の代わりに、変速機50のシフトダウンを利用し、要求駆動力を確保することができる。具体的には、自動運転機能が非作動中の場合、運転者のアクセルペダルの操作で車両1の要求駆動力が決定される。この場合、運転者の操作を予測するのは相対的に難しく、且つ、要求駆動力の変化率も相対的に大きくなりうるため、今後の要求駆動力の変動分を満足させる目的も含めエンジン10を始動させることが望ましい。これに対して、自動運転機能が作動中の場合、自動運転機能の中で要求駆動力が生成されるため、要求駆動力はある程度予測可能であり、且つ、要求駆動力の変動率も相対的に小さくなる。そのため、走行制御装置200は、自動運転機能が作動中で、且つ、要求駆動力が相対的に高くなった(所定閾値を超えた)場合に、エンジン10の始動の代わりに、変速機50のシフトダウンにより、車両1の駆動力を増加させて、要求駆動力を満足させることができる。従って、走行制御装置200は、エンジン10の始動頻度を低減させることができる。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・改良が可能である。
例えば、上述の実施形態では、車両1は、自動運転機能がON/OFFされるが、常時、自動運転機能がON状態であってもよい。即ち、車両1は、乗員の運転操作(アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作、シフトチェンジ操作等)を全く受け付けず、自律的に走行を行う形態であってもよい。この場合、上述の図4のステップS104は省略され、ステップS102の判定結果がYESの場合、ステップS106に進む。
また、上述の実施形態では、走行制御装置200は、自動運転機能が作動中の場合、自動運転機能が非作動中の場合よりもエンジン10が始動しにくくなるようにエンジン10の始動条件を異ならせるが、逆に、エンジン10の停止条件を異ならせてもよい。即ち、走行制御装置200は、エンジン10の稼働中において、自動運転機能が作動中の場合、自動運転機能の非作動中の場合よりも、一旦、始動させたエンジン10が停止しにくくなるように、エンジン10の停止条件を異ならせてもよい。これにより、走行制御装置200は、エンジン10を始動させることになったとしても、エンジン10の停止を抑制することにより、エンジン10の始動回数を低減させることができる。
1 車両
10 エンジン
20 モータジェネレータ
30 モータジェネレータ(モータ)
40 動力分配機構
50 変速機
140 走行パラメータ検出装置
200 走行制御装置(車両制御装置)
210 モータジェネレータ制御装置
220 エンジン制御装置
250 変速制御装置

Claims (1)

  1. 自動運転機能を有し、エンジンの停止中にモータの動力で走行可能な車両を制御する車両制御装置であって、
    前記エンジンの停止中において、前記自動運転機能が作動中で、且つ、前記車両の要求駆動力が所定閾値を超えた場合、前記モータの動力を駆動輪に伝達する変速機をシフトダウンさせる、
    車両制御装置。
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