JP2021011963A - 観測窓及び熱処理装置 - Google Patents
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Description
また本発明は、真空乾燥装置や真空オーブン等の熱処理装置に関するものである。
真空乾燥装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された真空乾燥装置では、扉に観測窓が設けられている。また、観測窓は一枚の耐熱ガラスによって構成されている。
しかしながら特許文献1に開示された真空乾燥装置では、観測窓を構成する耐熱ガラスが剥き出しの状態であり、乾燥処理中に使用者が誤ってガラス板に触れてしまう場合がある。特許文献1に開示された観測窓は、一枚のガラス板に過ぎず、熱い場合があり、触れると火傷を起こす懸念がある。
そこで本発明は、表面の温度が比較的低く、使用中に誤って触れても火傷を起こす懸念が低い観測窓を開発することを課題とするものである。
樹脂板は、ガラス板に比べて一般的に熱伝導度が低い。本態様の観測窓は、樹脂板がガラス板よりも外側に位置するように配置されるものであり、観測窓全体の表面温度が比較的低くなる。
そのため作業者が火傷を負う危険性が低い。
また本態様の観測窓では、樹脂板が面方向に自由度を有する状態で設置されている。そのため樹脂板に反りや撓み等の変形が発生しにくい。
以下、説明する。
樹脂板の熱膨張率は、一般的にガラスの熱膨張率よりも高い。
そのため、仮に樹脂板の辺が固定されていて面方向に自由度を有しない状態で取り付けられていると、中央部分が膨らむ懸念があり、変形部分がガラスの表面と接触してしまうおそれがある。
本発明はこのおそれに対処するものであり、樹脂板を面方向に自由度を有する状態で設置することを特徴の一つとしている。
本態様の観測窓では、樹脂板を面方向に自由度を有する状態で設置するから、仮に樹脂板が熱膨張しても、樹脂板の面積が広がることを妨げることが少ない。そのため、樹脂板の温度が上昇しても、樹脂板に反りや撓み等が発生しにくい。
また本態様の観測窓は、真空乾燥機等の内部を負圧にして熱処理する装置の観測窓として好適である。
真空乾燥機等の観測窓が一枚のガラスである場合、何らかの事情によってガラスが割れると、負圧によってガラスの破片が内部に吸引され、その反動でガラスの破片が外に飛び散る場合がある。
本態様の観測窓では、ガラス板と樹脂板との間に隙間がある。
ガラス板が割れた際には、隙間内と真空乾燥器等の内部の気圧差によって、ガラス板の破片が真空乾燥器等の内部に引き込まれるが、樹脂板が外部空間からの空気流入に対する抵抗として機能し、破片が引き込まれる速度が緩和される。そして、ガラス板が割れた後、隙間内に進入した空気が、隙間領域や真空乾燥器等の内部空間の気圧を徐々に上昇させる。その結果、外側の樹脂板が破壊を免れ、ガラス板の破片が飛び出した時の防護壁として機能する。
また、仮に表面の樹脂板が破壊されたとしても、破片が引き込まれる速度が緩和されているため、反動によって破片が外部空間に飛び出す際の速度も低下する。そのため作業者の安全性が向上する。
また本態様の熱処理装置は、使用者が観測窓に触れても火傷を起こす懸念が低い。
本実施形態の真空乾燥装置1は、熱処理装置の一種であり、内部を昇温すると共に内部を負圧状態にすることができるものである。
真空乾燥装置(熱処理装置)1は、本体部2と扉部3を有する筐体5を備えている。
本体部2及び扉部3は、いずれも断熱壁6、7で構成されている。
本体部2及び扉部3で囲まれる内部空間は、処理室8として機能する。本体部2の内壁には、図2の様に発熱体10が取り付けられている。発熱体10を駆動することによって、処理室(内部空間)8内が高温状態となる。即ち処理室8内が常温よりも高い温度環境となる。
処理室8には図示しない真空ポンプが接続されており、内部を負圧状態とすることができる。
扉部3を閉じることによって処理室8内が密閉状態となる。また扉部3を開くことによって処理室8の前面が開放され、処理室8に処理物(図示せず)を出し入れすることができる。
本実施形態の真空乾燥装置1では、扉部3は、扉本体12と、ガラス板21と、樹脂板22によって構成されている。扉本体12は図1、図4の様に額縁状であって中央に大きな開口26があり、図2、図3の様に、当該開口26にガラス板21と樹脂板22が隙間60を空けた状態で装着されている。
本実施形態では、観測窓20は、ガラス板21と樹脂板22の二重構造となっている。樹脂板22は緩く固定されている。
扉本体12は、図3、図4の様に、本体枠25と、表面側保持部材13及び裏面側保持部材15によって構成されている。
さらに本体枠25は、図3の様に、外郭部材30とガラス保持部35によって構成されている。
表面板37は、図4の様に正面視が四角形であり、中央に四角形の開口26がある。
また開口26の周囲は、図3、図7の様に、処理室8側に向かって折り曲げられた折り曲げ部31となっている。
表面側保持部材13の開口41の周囲は、外側(処理室8に対して反対側)に向かって突出した平面を有している。当該突出した平面は表面板37に対する取付け面42として機能する。
また表面側保持部材13の外辺寄りの平面は、樹脂板保持部43として機能する。樹脂板保持部43には四隅と各辺の中間部にネジ孔45が設けられている。即ち樹脂板保持部43の縦辺の中間部には、ネジ孔45が少なくとも1個ずつ設けられている。樹脂板保持部43の横辺の中間部には、ネジ孔45が少なくとも1個ずつ設けられている。
裏面側保持部材15の外側辺は、外側(処理室8に対して反対側)に向かって折り返されている。当該折り返し部はストッパ48として機能する。
裏面側保持部材15にはネジ挿通用の貫通孔47が設けられている。貫通孔47の位置は、前記した表面側保持部材13のネジ孔45の位置に対応している。
樹脂板22には、図5の様に複数の切り欠き(貫通部)50、51が設けられている。即ち樹脂板22の4隅には、角が切り取られた三角形の切り欠き(貫通部)50が設けられている
また各辺の中間部には、長孔状の切り欠き(貫通部)51が設けられている。本実施形態では、各縦辺に長孔状の切り欠き(貫通部)51が2個ずつ設けられ、横辺に長孔状の切り欠き(貫通部)51が1個ずつ設けられている。
さらに樹脂板22には、通気用開口52が複数設けられている。通気用開口52は、円形の貫通孔であり、辺部寄りの位置に設けられている。
前記したガラス板21は、本体枠25の枠部36の処理室8側の位置に一体的に固定されている。
具体的にはガラス板21は、図3の様に本体枠25のガラス保持枠35の嵌合溝40に嵌め込まれている。
ガラス板21は、本体枠25の処理室8側の位置に一体的に固定されており、本体枠25に対して相対移動不能である。
表面側保持部材13は、本体枠25の表面板37の裏面側にあり、表面側保持部材13の取付け面42が表面板37の裏面に溶接等によって一体的に固定されている。
また表面側保持部材13の裏面側(処理室8側)に、ネジ53及びスペーサー(間隔形成部)55を介して裏面側保持部材15が取り付けられている。
ネジ53は、図3に示す様に、裏面側保持部材15の貫通孔47側から挿通され、表面側保持部材13のネジ孔45と係合している。
またスペーサー55がネジ53の周囲に装着されており、表面側保持部材13と裏面側保持部材15との間には一定の間隔が確保されている。
図6の様に、樹脂板22の下部の角の切り欠き50b、50cの斜面が、対応する位置のスペーサー55d、55fの上に載り、樹脂板22の落下が阻止されている。
これに対して、樹脂板22の上部の角の切り欠き50a、50dは、対応する位置のスペーサー55a、55iとは非接触である。
また、スペーサー55の全長が樹脂板22の厚さよりも長いので、表面側保持部材13と裏面側保持部材15との間の間隔は、樹脂板22の厚さよりも広く、樹脂板22と表面側保持部材13又は裏面側保持部材15との間には、わずかに隙間63(図3参照)がある。
樹脂板22は、実質的に表面側保持部材13とも裏面側保持部材15とも固定されておらず、動く余地がある。
さらにスペーサー55の直径dは、図6の様に長孔状の切り欠き(貫通部)51の幅Dよりも小さく、長孔状の切り欠き(貫通部)51と対応するスペーサー55b、c、e、g、h、jは、原則的に非接触である。
従って樹脂板22は、上方方向に自由度を持つ。即ち面方向の上方に自由度を持つ。
従って樹脂板22は、横方向にも自由度を持つ。即ち面方向の横方向にも自由度を持つ。
言い換えると、樹脂板22は、現在の位置にある状態のまま面積が拡大したと仮定した場合、樹脂板22自体が移動して自身が拡大することができる状態となっている。即ち樹脂板22は、自身の面積が拡大することを許容する状態で取り付けられている。
扉部3の内部であって樹脂板22の側面側には比較的大きな空間62があり、当該空間62は樹脂板22とガラス板21との間の隙間60と連通している。
また前記した様に、樹脂板22と表面側保持部材13との間にも隙間63があるため、樹脂板22と表面側保持部材13の間の隙間63を経由して、隙間60と外部が連通している。
真空乾燥装置1の扉部3を閉じると、処理室8内が密閉状態となる。処理室8に乾燥すべき被処理物(図示せず)を入れ、発熱体10を駆動すると、処理室8内の温度が上昇する。また図示しない真空ポンプを駆動することによって処理室8内が減圧される。
そのため被処理物は、高温且つ減圧下にさらされ、水分が蒸発して乾燥する。
真空乾燥装置1には、扉部3に観測窓20があるので、内部の被処理物の様子を観測窓20を通して外から観察することができる。
一方、樹脂板22は、ガラス板21との間に比較的大きな隙間60を介する形で設けられており、隙間60内の空気が断熱層として機能するため、樹脂板22には熱が伝わり難い。
そのため、ガラス板21の表面が火傷を負う程度の高温状態となった場合であっても、樹脂板22の表面は、火傷しない程度の温度に止まる。
したがって、仮に作業者が樹脂板22に触れても、火傷を負う危険性は低い。
しかしながら、本実施形態の観測窓20においては、樹脂板22が余裕を持って緩く取り付けられており、上方向と左右に自由度を有するので、樹脂板22の膨張が各部の余裕部分で吸収される。そのため、樹脂板22が反ったり波打ち状態となることが抑制され、樹脂板22がガラス板21と接することが抑制される。
そのため、長時間に渡って乾燥作業を行っても、樹脂板22が変形してガラス板21と接することが抑制され、樹脂板22の表面が過度に高温になることが防止される。
しかしながら、本実施形態では、ガラス板21の外側に設けられた樹脂板22が抵抗として働き、破片が吸引される速度が緩和される。
また仮に樹脂板22が破壊されたとしても、破片が吸引される速度が緩和され、反動によって破片が飛び出す際の速度が低下する。そのため作業者の安全性が向上する。
図7は、表面板37に直接的に樹脂板22を取り付けた観測窓61を示すものである。本実施形態において、先の実施形態と同一の部材については同一の番号を付している。
図7に示す観測窓61では、外郭部材30の表面板37にナット58等の雌ねじ部材が溶接されている。
そして、当該ナット58にネジ53を係合して裏面側保持部材15を固定し、裏面側保持部材15と表面板37との間に樹脂板22を挟み込む。
以上説明した実施形態では、観測窓20は一枚のガラス板21と、一枚の樹脂板22によって構成されているが、ガラス板21や樹脂板22が2枚以上あってもよい。
以上説明した実施形態では、熱処理装置の例として真空乾燥装置1を開示したが、観測窓20、61を取付け可能な熱処理装置は、真空機能を有していないものであってもよい。
以上説明した実施形態では、表面側保持部材13及び裏面側保持部材15は、いずれも4辺が繋がった額縁状であったが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、いずれかの辺が欠落していてもよい。また帯状の部材で表面側保持部材又は裏面側保持部材を構成してもよい。
以上説明した実施形態では、樹脂板22に通気用開口52が形成されているが、通気用開口52を有しない形態としてもよい。この場合は、樹脂板22と表面板37の間に隙間を形成したり、表面板37にスリットを形成することにより、外部と隙間60の通気性を確保するのが望ましい。
2 本体部
3 扉部
5 筐体
8 処理室(内部空間)
12 扉本体
13 表面側保持部材
15 裏面側保持部材
20、61 観測窓
21 ガラス板
22 樹脂板
25 本体枠
30 外郭部材
35 ガラス保持枠
50 切り欠き(貫通部)
51 長孔状の切り欠き(貫通部)
52 通気用開口
55 スペーサー(間隔形成部)
60 隙間
62 空間
63 隙間
Claims (6)
- 内部空間が高温状態となる筐体に装着され、前記内部空間内を外部から観察することを可能とする観測窓において、
ガラス板と樹脂板を有し、前記内部空間側に前記ガラス板が位置すると共に前記ガラス板より外側に前記樹脂板が位置するように前記筐体に配されるものであり、
前記ガラス板と前記樹脂板との間には隙間があり、前記樹脂板は面方向に自由度を有する状態で設置されていることを特徴とする観測窓。 - 表面側保持部材と裏面側保持部材を有し、
前記表面側保持部材と前記裏面側保持部材は、間隔形成部により間隔を空けた状態で固定されており、
前記樹脂板の少なくとも一部が、前記表面側保持部材と前記裏面側保持部材の間に挟まれていることを特徴とする請求項1に記載の観測窓。 - 前記樹脂板には表裏面を貫通する開口状又は切り欠き状の貫通部があり、
前記間隔形成部はスペーサーによって構成されており、前記スペーサーの一部又は全部が前記貫通部の位置にあることを特徴とする請求項2に記載の観測窓。 - 前記隙間と外部空間との間には通気性があることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の観測窓。
- 前記樹脂板に一又は複数の開口があり、前記開口の少なくとも一つは、通気用開口であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の観測窓。
- 扉を有し、内部空間を高温状態であって且つ負圧状態とすることが可能な筐体を有し、前記扉に請求項1乃至5のいずれかに記載の観測窓が設置されていることを特徴とする熱処理装置。
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