JP2021011571A - ポリアミド酸組成物 - Google Patents

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佑策 堀田
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希恵 窪内
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Abstract

【課題】ポリアミド酸組成物、それから得られるポリイミド膜、そのポリイミド膜を備えたカラーフィルター基板、そのポリイミド膜を備えた光学異方体付きカラーフィルター基板、及びそのポリイミド膜を備えた液晶表示素子の提供。【解決手段】ポリアミド酸(A)及び混合溶剤(B)を含むポリアミド酸組成物であって、混合溶剤(B)が第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)を含み、実質的にNMPを含まず、ポリアミド酸(A)がテトラカルボン酸二無水物(a1)と、下記式(a21)で表される化合物及び下記式(a22)で表される化合物から選択される少なくとも1つであるジアミノ化合物(a2)を含む原料を重縮合して得られる、混合溶剤(B)に可溶であるポリアミド酸組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、重合性液晶化合物を配向させることが可能なポリイミド膜を与えるポリアミド酸組成物、それによるポリイミド膜、そのポリイミド膜を備えたカラーフィルター基板、そのポリイミド膜を備えた光学異方体付きカラーフィルター基板、及びそのポリイミド膜を備えた液晶表示素子に関する。
液晶テレビ、液晶ディスプレイ等に用いられる液晶表示素子には、通常、液晶化合物(以下「駆動用液晶化合物」と表記)の配向を制御するための液晶配向膜が素子内に設けられている。
近年、液晶表示素子の光学補償や視野角補償、反射防止、輝度向上等を目的として重合性液晶化合物を利用した光学異方体が提案されている。重合性液晶化合物は重合性基を有する液晶化合物であり、他の化合物と混合し液晶相を有する混合物(以下「重合性液晶組成物」と表記)又は重合性液晶組成物を含む溶液(以下「重合性液晶組成物溶液」と表記)として使用することが多い。重合性液晶組成物を用いた光学異方体の形成方法としては、配向膜等により重合性液晶組成物の配向を制御させた状態で、加熱処理及び/又は紫外線等の活性エネルギー線の照射等の処理により、重合性液晶組成物を硬化させる方法がある。
上記のように、駆動用液晶化合物及び重合性液晶化合物を使用する際には、それらの配向を制御して使用する。配向を制御する方法としては、ラビング法及び光配向法等が知られている。ラビング法は、基板上にポリイミド等のポリマーの膜を形成した後に、レーヨンや綿等の布で、ポリマーの膜の表面を一方向に擦り、基板に液晶配向能を付与する方法である。光配向法は、ポリマーの膜に偏光紫外線を照射することによって、基板に液晶配向能を付与する方法であり、光分解法、光異性化法、光二量化法、光架橋法等の光配向機構が存在する。
以下、基板上で駆動用液晶化合物が配向している場合、その基板は「駆動用液晶化合物に対する配向能を有する」、重合性液晶化合物が配向している場合、その基板は「重合性液晶化合物に対する配向能を有する」のように表記し、それらを合わせて「液晶配向能を有する」と表記する。
表示素子のカラー化の方法の1つとして、カラーフィルター基板が使用される。前記の液晶表示素子中の駆動用液晶化合物を配向させるためや、光学異方体を作製するための重合性液晶化合物を配向させるために、ポリイミド膜がこのカラーフィルター基板上に形成されることがある。
ポリイミド及びその前駆体であるポリアミド酸は有機溶剤に溶け難い。そのため、ポリイミド膜の形成に用いられるポリアミド酸組成物は、通常、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と略記)に代表される極性の高い溶剤を含む。
近年、カラー表示の広色域化に対応するため、彩度が高い顔料や染料がカラーフィルターの着色体に用いられるようになってきている。しかし彩度が高い顔料や染料は、ポリアミド酸組成物に含まれるNMPのような極性の高い有機溶剤に対する耐性(耐溶剤性)が低い。即ち、溶剤から受けるダメージによりカラーフィルターの性能が劣化し、結果として表示品位が低下してしまう。特にカラーフィルターの着色体に輝点が発生する場合には、表示品位が著しく低下する。そのため、ポリアミド酸組成物に含まれる溶剤によるダメージを受けないようにするために、カラーフィルター保護膜(オーバーコート膜)が用いられている。
更に、表示素子の低コスト化に向けた対策として、表示素子に備えられた層の製造を1つ省略した、即ち、カラーフィルター保護膜を用いない表示素子の構造が提案されている。それに伴い、カラーフィルターの着色体にダメージを与え難くするため、実質的にNMPを含まないポリアミド酸組成物の開発が求められている。NMPを含まないポリアミド酸組成物の例は、特許文献1に記載のアルコール性水酸基を有する溶剤を含むポリアミド酸組成物である。
近年の表示素子の多様化により、製造工程も多様化している。パターニング可能な感光性組成物を用いて、露光工程及び現像工程を経て基板上に部分的にカラーフィルター保護膜を形成するようなプロセスがある一方で、ポリアミド酸組成物を用いて液晶配向膜を形成する場合のように現像工程を含まないプロセスがある。少量多品種の表示素子を効率よく生産することを目的に、前記の現像工程を含む膜形成プロセスを経る基板と、現像工程を含まない膜形成プロセスを経る基板を同一の生産ラインで製造することがある。すると、ポリアミド酸組成物によって形成された塗膜が現像装置を通過するときに、装置中の水がイミド化前の塗膜に付着して、乾燥後水滴跡となって素子の表示品位が低下することがある。ポリアミド酸組成物の溶剤にアルコール性水酸基を有する溶剤のみを用いた場合に、前記の水滴跡による問題が発生しやすいため、水滴跡が生じ難いポリアミド酸組成物の開発が求められている。
以上のことから、カラーフィルターの着色体に輝点を発生させず、イミド化前の塗膜上に水滴跡が残らず、液晶配向能を有するポリイミド膜を形成可能なポリアミド酸組成物の開発が待たれている。
特開2014−118532
本発明が解決しようとする課題は、カラーフィルターの着色体に輝点を発生させず、イミド化前の塗膜上に水滴跡が生じ難く、液晶配向能を有するポリイミド膜を形成可能なポリアミド酸組成物、それから得られるポリイミド膜、そのポリイミド膜を備えたカラーフィルター基板、そのポリイミド膜を備えた光学異方体付きカラーフィルター基板、及びそのポリイミド膜を備えた液晶表示素子を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリアミド酸(A)及び混合溶剤(B)を含むポリアミド酸組成物であって、前記混合溶剤(B)が、第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)を含む混合溶剤であり、前記第一溶剤(B1)が、アルコール性水酸基を有する化合物であり、前記第二溶剤(B2)が、アルコール性水酸基を有さず、エステル結合及びエーテル結合を有する化合物(B21)からなる群、アルコール性水酸基を有さず、ジエチレングリコール鎖を有し末端の少なくとも1つが炭素数2以上のアルキル基である化合物(B22)からなる群、並びにアルコール性水酸基を有さず、ジプロピレングリコール鎖、トリエチレングリコール又はトリプロピレングリコール鎖を有し、すべての末端がメチルエーテルである化合物(B23)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、ポリアミド酸組成物、及びそのポリアミド酸組成物から得られるポリイミド膜により、上記目的を達することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の構成を含む。
[1] ポリアミド酸(A)及び混合溶剤(B)を含むポリアミド酸組成物であって;
前記ポリアミド酸(A)が、下記式(a11)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つであるテトラカルボン酸二無水物(a1)、並びに下記式(a21)で表される化合物からなる群及び下記式(a22)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つであるジアミノ化合物(a2)を含む原料を重縮合して得られるポリアミド酸であり;
前記混合溶剤(B)が、第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)を含む混合溶剤であり、
前記第一溶剤(B1)が、アルコール性水酸基を有する化合物であり、
前記第二溶剤(B2)が、アルコール性水酸基を有さず、エステル結合及びエーテル結合を有する化合物(B21)からなる群、アルコール性水酸基を有さず、ジエチレングリコール鎖を有し、末端の少なくとも1つが炭素数2以上のアルキル基である化合物(B22)からなる群、並びにアルコール性水酸基を有さず、ジプロピレングリコール鎖、トリエチレングリコール鎖又はトリプロピレングリコール鎖を有し、すべての末端がメチルエーテルである化合物(B23)からなる群から選択される少なくとも1つである、ポリアミド酸組成物;
Figure 2021011571
式(a11)中、Xは炭素数4〜20の4価の有機基であり;
Figure 2021011571
式(a21)中、YはO、下記式(y11)で表される2価の基又は下記式(y12)で表される2価の基であり、
式(a22)中、YはO、SO、CH、CO、C(CH又はC(CFであり、n11及びn12はそれぞれ独立に0又は1であり、R121はH又はOHであり、R122及びR123はいずれか一方がNHであり、他方がH又はOHであり;
Figure 2021011571
式(y12)中、Y121はO、SO、CH、CO、C(CH又はC(CFである。
[2] 前記式(a11)で表される化合物が、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも1つであり;
前記式(a21)で表される化合物が、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、及び2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパンから選択される少なくとも1つであり、前記式(a22)で表される化合物が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン及びビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンから選択される少なくとも1つである、[1]に記載のポリアミド酸組成物。
[3] 前記アルコール性水酸基を有さず、エステル結合及びエーテル結合を有する化合物(B21)が、下記式(b21)で表される化合物であり、前記アルコール性水酸基を有さず、ジエチレングリコール鎖を有し末端の少なくとも1つが炭素数2以上のアルキル基である化合物(B22)が、下記式(b22)で表される化合物であり、前記アルコール性水酸基を有さず、ジプロピレングリコール鎖、トリエチレングリコール鎖又はトリプロピレングリコール鎖を有し、すべての末端がメチルエーテルである化合物(B23)が、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びトリプロピレングリコールジメチルエーテルから選択される少なくとも1つである、[1]または[2]に記載のポリアミド酸組成物;
Figure 2021011571
式(b21)及び式(b22)中、R221、R224及びR225はそれぞれ独立にMe又はEtであり、R222及びR223はそれぞれ独立にH又はMeであり、nは1又は2であり、ZはCOO又はOCOであり、R226は炭素数2〜4のアルキル基であり、Meはメチルを、Etはエチルを表す。
[4] 前記式(b21)で表される化合物が、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び3−メトキシブチルアセテートから選択される少なくとも1つであり、前記式(b22)で表される化合物が、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、及びジエチレングリコールジエチルエーテルから選択される少なくとも1つである、[3]項に記載のポリアミド酸組成物。
[5] 前記混合溶剤(B)100重量%中、前記第一溶剤(B1)の含有率が3〜90重量%であり、前記第二溶剤(B2)の含有率が10〜70重量%であり、前記第一溶剤(B1)及び前記第二溶剤(B2)の総量の含有率が40重量%以上である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
[6] 前記混合溶剤(B)100重量%中、N−メチル−2−ピロリドンの含有率が10重量%未満である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
[7] 前記混合溶剤(B)100重量%中、γ−ブチロラクトンの含有率が10〜50重量%である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
[8] 前記第一溶剤(B1)100重量%中、アルコール性水酸基及びケトン基を有する化合物(B11)、アルコール性水酸基及びジエチレングリコール鎖を有する化合物(B12)、並びにアルコール性水酸基及びトリエチレングリコール鎖を有する化合物(B13)の総量の含有率が20重量%以上である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
[9] 前記アルコール性水酸基及びケトン基を有する化合物(B11)が、下記式(b11)で表される化合物であり、前記アルコール性水酸基及びジエチレングリコール鎖を有する化合物(B12)が、下記式(b12)で表される化合物であり、前記アルコール性水酸基及びトリエチレングリコール鎖を有する化合物(B13)が、トリエチレングリコールモノメチルエーテルである、[8]項に記載のポリアミド酸組成物;
Figure 2021011571
式(b11)中、R211及びR212はそれぞれ独立にH又はMeであり、式(b12)中、R213は炭素数1〜4のアルキル基であり、Meはメチルを表す。
[10] 前記式(b11)で表される化合物が、4−ヒドロキシ−2−ブタノン及びジアセトンアルコールから選択される少なくとも1つであり、前記式(b12)で表される化合物が、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される少なくとも1つである、[9]項に記載のポリアミド酸組成物。
[11] 前記第一溶剤(B1)100重量%中、下記式(b14)で表される化合物(B14)の含有率が、5〜80重量%である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物;
Figure 2021011571
式(b14)中、R214及びR215はそれぞれ独立にH又はMeであり、R216は炭素数1〜4のアルキル基であり、Meはメチルを表す。
[12] 前記第一溶剤(B1)100重量%中、下記式(b14)で表される化合物(B14)の含有率が、80〜100重量%である、請求項7に記載のポリアミド酸組成物;
Figure 2021011571
式(b14)中、R214及びR215はそれぞれ独立にH又はMeであり、R216は炭素数1〜4のアルキル基であり、Meはメチルを表す。
[13] 前記式(b14)で表される化合物(B14)が、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、及びプロピレングリコールモノブチルエーテルから選択される少なくとも1つである、[11]〜[12]のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
[14] 前記混合溶剤(B)100重量%中、前記式(b14)で表される化合物(B14)の含有率が3〜30重量%であり、前記第二溶剤(B2)の含有率が20〜70重量%であり、γ−ブチロラクトンの含有率が10〜50重量%である、[11]〜[13]のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
[15] [1]〜[14]項のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物から形成された塗膜を加熱して得られるポリイミド膜。
[16] [15]項に記載のポリイミド膜を備えたカラーフィルター基板。
[17] [16]項に記載のポリイミド膜を備えたカラーフィルター基板上に、光学異方体を備えた、光学異方体付きカラーフィルター基板。
[18] [15]項に記載のポリイミド膜を備えた液晶表示素子。
[19] 着色体、ポリイミド膜、及び光学異方体が積層されている光学異方体付きカラーフィルター基板であって;
前記ポリイミド膜が、下記式(a11)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つであるテトラカルボン酸二無水物(a1)、並びに下記式(a21)で表される化合物からなる群及び下記式(a22)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つであるジアミノ化合物(a2)を含む原料を重縮合して得られるポリアミド酸をイミド化して成るポリイミド膜であり、
ポリイミド膜の膜厚が0.2μm以上である、光学異方体付きカラーフィルター基板;
Figure 2021011571
式(a11)中、Xは炭素数4〜20の4価の有機基であり;
Figure 2021011571
式(a21)中、YはO、下記式(y11)で表される2価の基又は下記式(y12)で表される2価の基であり、
式(a22)中、YはO、SO、CH、CO、C(CH又はC(CFであり、n11及びn12はそれぞれ独立に0又は1であり、R121はH又はOHであり、R122及びR123はいずれか一方がNHであり、他方がH又はOHであり;
Figure 2021011571
式(y12)中、Y121はO、SO、CH、CO、C(CH又はC(CFである。
本発明の好ましい態様に係るポリアミド酸組成物は実質的にNMPを含まないため、カラーフィルター上に直接形成することが可能である。それに加えて、イミド化前の塗膜上に水滴跡が生じ難いため、現像装置中の水がイミド化前の塗膜上に付着した場合の表示品位の低下を防ぐことが可能である。
本明細書において、「液晶組成物」とは、液晶相を有する混合物である。
本明細書において、「液晶化合物」とは、純物質として液晶相を有する化合物及び純物質として液晶相を有さないが液晶組成物の成分となる化合物の総称である。
本明細書において、「重合性基」とは、化合物中に有すると、光、熱、触媒等の手段により重合し、より大きな分子量を有する高分子へと変化させる官能基である。
本明細書において、「重合性液晶化合物」とは、重合性基を有する液晶化合物である。
本明細書において、「重合性液晶組成物」とは、重合性液晶化合物を含み、液晶相を有する混合物である。
本明細書において、「重合性液晶組成物溶液」とは、重合性液晶組成物及び溶剤を含む混合物である。
本明細書において、「駆動用液晶組成物」とは、液晶表示素子の液晶層として用いられる場合に、電界による駆動により表示機能を有する液晶組成物である。
本明細書において、「駆動用液晶化合物」とは、駆動用液晶組成物に含まれる液晶化合物である。
<1.本発明のポリアミド酸組成物>
本発明のポリアミド酸組成物は、ポリアミド酸(A)及び混合溶剤(B)を含むことを特徴とするポリアミド酸組成物である。尚、本明細書中Meはメチルを表し、Etはエチルを表し、Buはブチルを表す。
本発明のポリアミド酸組成物における、ポリアミド酸(A)及び混合溶剤(B)の好ましい含有率は、ポリアミド酸組成物の塗布方法によって異なるが、ポリアミド酸(A)及び混合溶剤(B)の総量100重量%中、ポリアミド酸(A)の含有率が4〜40重量%である。
<1−1.ポリアミド酸(A)>
本発明に用いられるポリアミド酸(A)は、テトラカルボン酸二無水物(a1)及びジアミノ化合物(a2)を含む原料を重縮合して得られるポリアミド酸である。
ポリアミド酸(A)の原料に関して、テトラカルボン酸二無水物(a1)及びジアミノ化合物(a2)の好ましい配合比は、テトラカルボン酸二無水物(a1)の酸無水物基及びジアミノ化合物(a2)のアミノ基のモル比(酸無水物基/アミノ基)が0.8以上、1.2以下であり、より好ましい配合比は、0.9以上、1.1以下である。この配合比であると、ポリイミド上に重合性液晶組成物溶液を塗布する際の耐溶剤性が高い。
<1−1−1.テトラカルボン酸二無水物(a1)>
本発明で用いられるテトラカルボン酸二無水物(a1)は、下記式(a11)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つである。
Figure 2021011571
式(a11)中、Xは炭素数4〜20の4価の有機基である。
高い溶解性を有するポリアミド酸を与える観点から、テトラカルボン酸二無水物の好ましい例は、分子量の小さい化合物、ベンゼン環を有する化合物、及び対称性の低い化合物である。
上記式(a11)中、Xの具体例は、下記式(x1)〜(x10)で表される4価の有機基である。
Figure 2021011571
式(x1)中、R111〜R114は、それぞれ独立にH又はMeであり、式(x9)中、X91はO、SO、CH、CO、C(CH、C(CF、又は(CHである。ここで、mは2〜8の整数である。
Xの具体例の内、式(x1)〜(x7)、及び式(x10)のように、ベンゼン環を有しないテトラカルボン酸二無水物(a1)を用いることは、紫外光透過性が高いポリイミド膜を得られるため、紫外光の透過を利用する用途に適する。
Xの具体例の内、式(x8)〜(x9)のように、ベンゼン環を有するテトラカルボン酸二無水物(a1)を用いることは、紫外光吸収性が高いポリイミド膜を得られるため、下地を紫外光から保護する効果を利用する用途に適する。その効果は、式(x8)のように一分子あたり1つのベンゼン環を有する化合物を用いる場合よりも、式(x9)のように一分子あたり複数のベンゼン環を有する化合物を用いる場合が大きいため、下地を紫外光から保護する用途により適する。
式(x1)で表される4価の有機基を有する化合物をテトラカルボン酸二無水物(a1)として用いることは、ラビング配向方法でも光分解型の光配向方法(例えば、特開平9−297313)でも使用できるので好ましい。R111〜R114のすべてがHである1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物が入手しやすく、更に好ましい。
式(x8)で表される4価の有機基を有する化合物(ピロメリット酸無水物)をテトラカルボン酸二無水物(a1)として用いることは、安価なポリアミド酸組成物を製造できるので好ましい。
式(x9)で表される4価の有機基を有する化合物の内、X91がOである化合物(3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物)をテトラカルボン酸二無水物(a1)として用いることは、透明性の高い(可視光透過性が高い)ポリイミド膜を形成可能なので好ましい。
式(x10)で表される4価の有機基を有する化合物(1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物)をテトラカルボン酸二無水物(a1)として用いることは、第二溶剤(B2)に対する溶解性の高いポリアミド酸組成物を製造できるので好ましい。
<1−1−2.ジアミノ化合物(a2)>
本発明で用いられるジアミノ化合物(a2)は、下記式(a21)で表される化合物からなる群及び下記式(a22)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つである。
Figure 2021011571
式(a21)及び式(a22)中、YはO、下記式(y11)で表される2価の基又は下記式(y12)で表される2価の基であり、YはO、SO、CH、CO、C(CH又はC(CFであり、n11及びn12はそれぞれ独立に0又は1であり、R121はH又はOH、R122及びR123はいずれか一方がNHであり、他方がH又はOHである。
Figure 2021011571
式(y12)中、Y121はO、SO、CH、CO、C(CH又はC(CFである。
式(a21)で表される化合物及び式(a22)で表される化合物は、エーテル結合を有していることや、ベンゼン環のメタ位にアミノ基を有していることから、対称性が低いため高い溶解性を有するポリアミド酸を与える。
式(a21)で表される化合物をジアミノ化合物(a2)として用いることは、ポリアミド酸を合成する際に、溶剤に溶解するまでの時間が短くなり高い製造性を有しているため好ましい。式(a21)で表される化合物の具体例は、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(YがO)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(Yが式(y11)で表される2価の基)、及び2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(Yが式(y12)で表される2価の基であり、Y121がSO)である。
式(a22)で表される化合物をジアミノ化合物(a2)として用いることは、ポリイミド膜の透明性が高くなる(可視光透過性が高くなる)ため好ましい。特に式(a22)中のYがSOであり、R122がNHである化合物が好ましい。このような化合物の具体例は、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(R121がHであり、R123がHであり、n11及びn12がいずれも0である)、及びビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(R121がHであり、R123がHであり、n11及びn12がいずれも1である)である。又、式(a22)中のYがC(CFである化合物は、ポリアミド酸組成物の塗布均一性の観点から好ましい。このような化合物の具体例は、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(2−アミノフェノール)(R121がOHであり、R122がNHであり、R123がOHであり、n11及びn12がいずれも0である)である。
<1−1−3.ポリアミド酸(A)の原料の他の成分>
本発明で用いられるポリアミド酸(A)の原料に、テトラカルボン酸二無水物(a1)及びジアミノ化合物(a2)以外の他の成分を用いてもよい。
<1−1−4.ポリアミド酸(A)の合成方法>
ポリアミド酸(A)の反応方法は特に限定されないが、溶剤を用いた溶液中での反応が好ましい。溶液中で反応させることで、合成されたポリアミド酸(A)を含むポリアミド酸を含有する溶液を得られる。本明細書では、ポリアミド酸(A)を得るための合成に用いる溶剤を、「合成溶剤」と表記する。
合成溶剤は得られるポリアミド酸(A)を溶解可能な溶剤であれば特に限定されない。合成溶剤の例は後述の化合物(B11)、後述の化合物(B12)、後述の化合物(B13)、γ−ブチロラクトン及びNMPである。得られたポリアミド酸を含有する溶液を本発明のポリアミド酸組成物の原料として投入する方法は、ポリアミド酸を含有する溶液をそのままポリアミド酸組成物に投入する方法、及びポリアミド酸を含有する溶液から得られたポリアミド酸(A)を再沈殿等で取り出し、ポリアミド酸組成物の原料として投入する方法である。特に合成溶剤にNMPを用いる場合においては、後者の方法を用いることはポリアミド酸組成物中のNMP含有率を下げられるので好ましい。
ポリアミド酸(A)の合成の際の原料投入の順序は特に限定されないが、合成溶剤及びジアミノ化合物(a2)を投入し溶解させた後、テトラカルボン酸二無水物(a1)を投入することが好ましい。
ポリアミド酸(A)の合成の際の反応温度は特に限定されないが、室温で混合して製造することが可能であり、通常10〜150℃の範囲である。反応時間も特に限定されないが、通常1〜48時間の範囲である。
<1−2.混合溶剤(B)>
本発明のポリアミド酸組成物に用いられる混合溶剤(B)は、第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)を含む混合溶剤である。
<1−2−1.第一溶剤(B1)>
本発明で用いられる第一溶剤(B1)は、アルコール性水酸基を有する化合物である。
第一溶剤(B1)は、混合溶剤のポリアミド酸に対する溶解性を高める観点で用いられる。
<1−2−1−1.化合物(B11)、化合物(B12)及び化合物(B13)>
第一溶剤(B1)の内、特にポリアミド酸に対する溶解性の高い化合物は、アルコール性水酸基及びケトン基を有する化合物(B11)、アルコール性水酸基及びジエチレングリコール鎖を有する化合物(B12)、並びにアルコール性水酸基及びトリエチレングリコール鎖を有する化合物(B13)である。
第一溶剤(B1)中の化合物(B11)、化合物(B12)及び化合物(B13)の総量の含有率が小さい場合、本発明のポリアミド酸溶液の調製の際にポリアミド酸が一時的に析出し、均一化の妨げとなる。この現象を防ぐために、第一溶剤(B1)100重量%中、化合物(B11)、化合物(B12)、及び化合物(B13)の総量の含有率が20重量%であることが好ましく、30重量%以上であることが更に好ましい。
アルコール性水酸基及びケトン基を有する化合物(B11)例は下記式(b11)で表される化合物であり、アルコール性水酸基及びジエチレングリコール鎖を有する化合物(B12)の例は下記式(b12)で表される化合物である。
Figure 2021011571
式(b11)及び式(b12)中、R211及びR212はそれぞれ独立にH又はMeであり、R213は炭素数1〜4のアルキル基である。
アルコール性水酸基及びケトン基を有する化合物(B11)を第一溶剤(B1)として用いることは、ポリアミド酸組成物の塗布均一性の観点から好ましい。式(b11)で表される化合物の具体例は、4−ヒドロキシ−2−ブタノン(R211及びR212がいずれもH)及びジアセトンアルコール(R211及びR212がいずれもMe)である。
アルコール性水酸基及びジエチレングリコール鎖を有する化合物(B12)を第一溶剤(B1)として用いることは、ポリアミド酸を合成する際に溶剤に溶解するまでの時間が短く、生産性の観点から好ましい。式(b12)で表される化合物の具体例は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(R213がMe)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(R213がEt)、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル(R213がBu)である。これらの中でも、透明性の高い(可視光透過性が高い)ポリイミド膜を与えるジエチレングリコールモノエチルエーテルが特に好ましい。
アルコール性水酸基及びトリエチレングリコール鎖を有する化合物(B13)を第一溶剤(B1)として用いることは、透明性の高い(可視光透過性が高い)ポリイミド膜を与える観点から好ましい。アルコール性水酸基及びトリエチレングリコール鎖を有する化合物(B13)の具体例は、トリエチレングリコールモノメチルエーテルである。
<1−2−1−2.化合物(B14)>
第一溶剤(B1)の内、ある程度ポリアミド酸に対する溶解性が高く、他の効果を得られる化合物は、下記式(b14)で表される化合物(B14)である。
Figure 2021011571
式(b14)中、R214及びR215はそれぞれ独立にH又はMeであり、R216は炭素数1〜4のアルキル基であり、Meはメチルを表す。
化合物(B14)は、化合物(B11)、化合物(B12)、化合物(B13)、及び後述の第三溶剤(B3)の1種類以上と併用することが好ましい。
化合物(B14)は、後述の第三溶剤(B3)の1種類以上と併用することがさらに好ましい。
ポリアミド酸に対する溶解性の観点から、化合物(B14)は、ポリアミド酸に対する溶解性の高い化合物と併用することが好ましい。ポリアミド酸に対する溶解性の高いために好ましい化合物の例は、化合物(B11)、化合物(B12)、化合物(B13)、及び後述の第三溶剤(B3)の1種であるγ−ブチロラクトンあり、更に好ましい例は、γ−ブチロラクトンである。
化合物(B14)の具体例は、エチレングリコールモノブチルエーテル(R214及びR215がいずれもH、R216がBu)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(R214及びR215がいずれか一方がH、他方がMe、R216がMe)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(R214及びR215がいずれか一方がH、他方がMe、R216がEt)、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルである。
上記の他の効果の具体例は、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルの、ポリアミド酸溶液の溶剤の乾燥性の調整効果、並びにエチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテルの、ポリアミド酸溶液の塗布性の向上効果である。この塗布性の向上効果の例は、スリットコート塗布をする場合の、塗膜の面内均一性の向上効果である。
<1−2−1−3.他のアルコール性水酸基を有する化合物>
第一溶剤(B1)は、上記の化合物(B11)、化合物(B12)、化合物(B13)、及び化合物(B14)以外のアルコール性水酸基を有する化合物を含んでもよい。
<1−2−2.第二溶剤(B2)>
本発明で用いられる第二溶剤(B2)は、アルコール性水酸基を有さずエステル結合及びエーテル結合を有する化合物(B21)からなる群、アルコール性水酸基を有さずジエチレングリコール鎖を有し末端の少なくとも1つが炭素数2以上のアルキル基である化合物(B22)からなる群、並びにアルコール性水酸基を有さず、ジプロピレングリコール鎖、トリエチレングリコール又はトリプロピレングリコール鎖を有しすべての末端がメチルエーテルである化合物(B23)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である。
これらの化合物は、水滴跡を生じ難くさせる観点と、ポリアミド酸との相溶性が高い観点から、選択されている。
アルコール性水酸基を有さずエステル結合及びエーテル結合を有する化合物(B21)からなる群の例は下記式(b21)で表される化合物からなる群であり、アルコール性水酸基を有さずジエチレングリコール鎖を有し末端の少なくとも1つが炭素数2以上のアルキル基である化合物(B22)からなる群の例は下記式(b22)で表される化合物からなる群である。
Figure 2021011571
式(b21)及び式(b22)中、R221、R224及びR225はそれぞれ独立にMe又はEtであり、R222及びR223はそれぞれ独立にH又はMeであり、nは1又は2であり、ZはCOO又はOCOであり、R226は炭素数2〜4のアルキル基である。
アルコール性水酸基を有さずエステル結合及びエーテル結合を有する化合物(B21)はジアミノ化合物の溶解性が優れており、化合物(B21)を第二溶剤(B2)として用いることは、ポリアミド酸の生産性の観点から好ましい。式(b21)で表される化合物の具体例は、3−メトキシプロピオン酸メチル(R221がMe、R222がH、R223がH、nが1、ZがCOO、R224がMe)、3−エトキシプロピオン酸エチル(R221がEt、R222がH、R223がH、nが1、ZがCOO、R224がEt)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(R221がMe、R222がH、R223がMe、nが1、ZがOCO、R224がMe)、及び3−メトキシブチルアセテート(R221がMe、R222がMe、R222がH、nが2、ZがOCO、R224がMe)である。これらの中でも、比較的ポリアミド酸との相溶性の高い3−メトキシプロピオン酸メチルが特に好ましい。
アルコール性水酸基を有さずジエチレングリコール鎖を有し末端の少なくとも1つが炭素数2以上のアルキル基である化合物(B22)を第二溶剤(B2)として用いることは、ポリアミド酸との相溶性の観点から好ましい。式(b22)で表される化合物の具体例は、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(R225がMe、R226がEt)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(R225がMe、R226がBu)、及びジエチレングリコールジエチルエーテル(R225がEt、R226がEt)である。これらの中でも特にポリアミド酸との相溶性の高いジエチレングリコールエチルメチルエーテルが特に好ましい。
アルコール性水酸基を有さず、ジプロピレングリコール鎖、トリエチレングリコール鎖又はトリプロピレングリコール鎖を有しすべての末端がメチルエーテルである化合物(B23)を第二溶剤(B2)として用いることは、ポリアミド酸組成物の吸湿性が低い観点から好ましい。好ましい化合物の具体例は、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(ジプロピレングリコール鎖を有する)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリエチレングリコール鎖を有する)及びトリプロピレングリコールジメチルエーテル(トリプロピレングリコール鎖を有する)である。
<1−2−3.第三溶剤(B3)>
本発明に用いられる混合溶剤(B)は、第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)に加えて、第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)以外の第三溶剤(B3)を含んでもよい。
第三溶剤(B3)の具体例は、γ−ブチロラクトン及びNMPである。
第三溶剤を用いなくても本発明は実施できるが、γ−ブチロラクトン及びNMPから選択される1つ以上を第三溶剤(B3)として用いることで、ポリアミド酸(A)に対する溶解性を上げる効果が得られる。そのため、ポリアミド酸(A)の合成時間短縮に効果がある。又、第一溶剤(B1)の内、化合物(B11)、化合物(B12)及び化合物(B13)は、総じて比較的ポリアミド酸(A)に対する溶解性が高く、それに対して化合物(B14)は、相対的にポリアミド酸(A)に対する溶解性が低いが塗布性向上効果が高い。第三溶剤(B3)を用いることでポリアミド酸(A)に対する溶解性を担保し、第一溶剤(B1)中の、化合物(B14)の含有率を上げられるようになる。
但し、これらの化合物はカラーフィルターの着色体に輝点を発生させやすくなるので、含有量を調整する必要がある。γ−ブチロラクトン及びNMPを比較すると、カラーフィルターの着色体に輝点を発生させない観点から、γ−ブチロラクトンの方が混合溶剤(B)中の含有率を高くできる。
γ−ブチロラクトンを第三溶剤(B3)として用いる場合、カラーフィルターの着色体に輝点を発生させない観点から、混合溶剤(B)100重量%中、50重量%以下であることが好ましく、ポリアミド酸に対する溶解性の観点から、混合溶剤(B)100重量%中、10重量%以上であることが好ましい。
NMPを第三溶剤(B3)として用いる場合、カラーフィルターの着色体に輝点を発生させない観点から、混合溶剤(B)100重量%中、10重量%以下であることが好ましい。
<1−2−4.混合溶剤(B)の混合比>
本発明に用いられる混合溶剤(B)の混合比は、ポリアミド酸(A)に対する溶解性の観点、水滴跡を生じ難くさせる観点、及びカラーフィルターの着色体に輝点を発生させない観点から適する範囲が存在する。
ポリアミド酸(A)に対する溶解性の観点から、混合溶剤(B)100重量%中、化合物(B11)、化合物(B12)、化合物(B13)及び第三溶剤(B3)の総量の含有率が20重量%以上であることが好ましい。
水滴跡を生じ難くする観点から、混合溶剤(B)100重量%中、第二溶剤(B2)の含有率が10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることが更に好ましく、40重量%以上であることが特に好ましい。
カラーフィルターの着色体に輝点を発生させない観点から、混合溶剤(B)100重量%中、第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)の総量の含有率が40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることが更に好ましく、60重量%以上であることが特に好ましい。
加えて、カラーフィルターの着色体に輝点を発生させない観点から、混合溶剤(B)100重量%中、第一溶剤(B1)、第二溶剤(B2)、及びγ−ブチロラクトンの総量の含有率が80〜100重量%であることが好ましく、95〜100重量%であることが更に好ましい。
ポリアミド酸の溶解性の観点、水滴跡を生じ難くする観点、及びカラーフィルターの着色体に輝点を発生させない観点のすべてを良好にする観点から、混合溶剤(B)100重量%中、式(b14)で表される化合物(B14)の含有率が3〜30重量%であり、第二溶剤(B2)の含有率が20〜70重量%であり、γ−ブチロラクトンの含有率が10〜50重量%であることが好ましい。混合溶剤(B)100重量%中、式(b14)で表される化合物(B14)の含有率が5〜30重量%であり、第二溶剤(B2)の含有率が15〜65重量%であり、γ−ブチロラクトンの含有率が20〜50重量%であることがさらに好ましい。
又、水滴跡の生じやすさは、ポリアミド酸組成物からポリイミド膜を得る際のプリベークの温度にも依存する。プリベーク温度が高いほど水滴跡が生じ難い。カラーフィルター基板が大きいほど、膜内のプリベーク時の温度ムラが大きくなるため、大型のカラーフィルター基板上にポリイミド膜を形成する場合は、低温でのプリベークの場合も水滴跡が生じ難いことが求められる。
低温でのプリベークの場合も水滴跡を発生させない観点から、混合溶剤(B)100重量%中、第二溶剤(B2)の含有率が30重量%であることが望ましく、40重量%以上であることが更に好ましく、50重量%以上であることが特に好ましい。
<1−3.添加剤>
本発明のポリアミド酸組成物は、特性を逸脱しない範囲内において、ポリアミド酸(A)及び混合溶剤(B)以外の成分である添加剤(C)を更に添加してよい。
添加剤(C)の例は、架橋剤、界面活性剤、密着性向上剤、及び酸化防止剤である。
<1−3−1.架橋剤>
本発明のポリアミド酸組成物に架橋剤を用いる効果は、ラビング耐性の向上効果である。ポリアミド酸(A)100重量部に対して、架橋剤を0.1〜20重量部添加することが好ましい。
添加剤(C)として用いられる架橋剤は、カルボキシル基と反応する官能基を2つ以上有する化合物である。
カルボキシル基と反応する官能基の例は、エポキシ基及びオキサゾリン基である。
カルボキシル基と反応する官能基を2つ以上有する化合物の例は、エポキシ基を2つ以上有しオキサゾリン基を有さない化合物、エポキシ基及びオキサゾリン基を有する化合物、オキサゾリン基を2つ以上有しエポキシ基を有さない化合物である。
エポキシ基を2つ以上有しオキサゾリン基を有さない化合物の具体例は、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物、環式脂肪族エポキシ化合物、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、及びエポキシ基を有しオキサゾリン基を有さない重合体である。
ビスフェノールA型エポキシ化合物の市販品の具体例は、jER 828、1004、1009(いずれも商品名;三菱ケミカル株式会社)であり;ビスフェノールF型エポキシ化合物の市販品の具体例は、jER 806、4005P(いずれも商品名;三菱ケミカル株式会社)であり;グリシジルエーテル型エポキシ化合物の市販品の具体例は、TECHMORE VG3101L(商品名;株式会社プリンテック)、EHPE3150(商品名;株式会社ダイセル)、EPPN−501H、502H(いずれも商品名;日本化薬株式会社)、及びjER 1032H60(商品名;三菱ケミカル株式会社)であり;グリシジルエステル型エポキシ化合物の市販品の具体例は、デナコール EX−721(商品名;ナガセケムテックス株式会社)、及び1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル(商品名;東京化成工業株式会社製)であり;ビフェニル型エポキシ化合物の市販品の具体例は、jER YX4000、YX4000H、YL6121H(いずれも商品名;三菱ケミカル株式会社)、及びNC−3000、NC−3000−L、NC−3000−H、NC−3100(いずれも商品名;日本化薬株式会社)であり;フェノールノボラック型エポキシ化合物の市販品の具体例は、EPPN−201(商品名;日本化薬株式会社)、及びjER 152、154(いずれも商品名;三菱ケミカル株式会社)等であり;クレゾールノボラック型エポキシ化合物の市販品の具体例は、EOCN−102S、103S、104S、1020(いずれも商品名;日本化薬株式会社)等であり;ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物の市販品の具体例は、jER 157S65、157S70(いずれも商品名;三菱ケミカル株式会社)であり;環式脂肪族エポキシ化合物の市販品の具体例は、セロキサイド2021P、3000(いずれも商品名;株式会社ダイセル)であり;シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物の市販品の具体例は、1,3−ビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]テトラメチルジシロキサン(商品名;ジェレストインコ−ポレイテッド)、TSL9906(商品名;モメンティブ・パフォーマンス・マーテリアルズ・ジャパン合同会社)、COATOSIL MP200(商品名;モメンティブ・パフォーマンス・マーテリアルズ・ジャパン合同会社)、コンポセラン SQ506(商品名;荒川化学株式会社)、ES−1023(商品名;信越化学工業株式会社)であり;グリシジルアミン型エポキシ化合物の具体例は、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンであるスミエポキシELM−434(商品名;住友化学株式会社)、及びスミエポキシELM−100(商品名;住友化学株式会社)である。
尚、TECHMORE VG3101L(商品名;株式会社プリンテック)は2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン及び1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノールの混合物であり;EHPE3150(商品名;株式会社ダイセル)は2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物であり;セロキサイド2021P(商品名;株式会社ダイセル)は3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートであり;セロキサイド3000(商品名;株式会社ダイセル)は1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタンであり;COATOSIL MP200(商品名;モメンティブ・パフォーマンス・マーテリアルズ・ジャパン合同会社)は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの重合体である。
エポキシ基を有しオキサゾリン基を有さない重合体の製造方法の例は、エポキシ基及びラジカル重合性基を有する単量体を少なくとも原料に用い、エポキシ基及びオキサゾリン基のいずれも有さずラジカル重合性基を有する単量体を必要に応じて原料に用い、オキサゾリン基及びラジカル重合性基を有する単量体を用いずに、重合体を製造する方法である。
エポキシ基及びオキサゾリン基を有する化合物の具体例は、エポキシ基及びオキサゾリン基を有する重合体である。
エポキシ基及びオキサゾリン基を有する重合体を製造する方法の例は、エポキシ基及びラジカル重合性基を有する単量体並びにオキサゾリン基及びラジカル重合性基を有する単量体の2種類の単量体を少なくとも原料に用い、エポキシ基及びオキサゾリン基のいずれも有さずラジカル重合性基を有する単量体を必要に応じて原料に用いて、共重合体を製造する方法である。
オキサゾリン基を2つ以上有しエポキシ基を有さない化合物の具体例は、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス−(2−オキサゾリン)、並びにオキサゾリン基を有しエポキシ基を有さない重合体である。
オキサゾリン基を有しエポキシ基を有さない重合体の製造方法の例は、オキサゾリン基及びラジカル重合性基を有する単量体を少なくとも原料に用い、エポキシ基及びオキサゾリン基のいずれも有さずラジカル重合性基を有する単量体を必要に応じて原料に用い、エポキシ基及びラジカル重合性基を有する単量体を用いずに、重合体を製造する方法である。
<1−3−2.界面活性剤>
本発明のポリアミド酸組成物に界面活性剤を用いる効果は、塗布均一性の向上効果である。ポリアミド酸(A)100重量部に対して、界面活性剤を0.01〜1重量部添加することが好ましい。
界面活性剤の具体例は、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(以上いずれも商品名;共栄社化学株式会社)、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−170、DISPERBYK−180、DISPERBYK−181、DISPERBYK−182 、BYK−300、BYK−306、BYK−310、BYK−320、BYK−330、BYK−342、BYK−346、BYK−361N、BYK−UV3500、BYK−UV3570(以上いずれも商品名;ビックケミー・ジャパン株式会社)、KP−341、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(以上いずれも商品名;信越化学工業株式会社)、サ−フロン(SurfloN)S611(商品名;AGCセイミケミカル株式会社)、フタージェント222F、フタージェント208G、フタージェント251、フタージェント710FL、フタージェント710FM、フタージェント710FS、フタージェント601AD、フタージェント602A、フタージェント650A、FTX−218(以上いずれも商品名;株式会社ネオス)、メガファックF−410、メガファックF−430、メガファックF−444、メガファックF−472SF、メガファックF−475、メガファックF−477、メガファックF−552、メガファックF−553、メガファックF−554、メガファックF−555、メガファックF−556、メガファックF−558、メガファックF−559、メガファックR−94、メガファックRS−75、メガファックRS−72−K、メガファックRS−76−NS、メガファックDS−21(以上いずれも商品名;DIC株式会社)、TEGO TwiN 4000、TEGO TwiN 4100、TEGO Flow 370、TEGO Glide 440、TEGO Glide 450、TEGO Rad 2200N(以上いずれも商品名;エボニックジャパン株式会社)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨ−ジド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩である。
<1−3−3.密着性向上剤>
本発明のポリアミド酸組成物に密着性向上剤を用いる効果は、下地との密着性向上効果である。ポリアミド酸(A)100重量部に対して、密着性向上剤を0.1〜5重量部添加することが好ましい。
密着性向上剤の具体例は、3−グリシジルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(例えば、サイラエ−スS510;商品名;JNC株式会社)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(例えば、サイラエ−スS530;商品名;JNC株式会社)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(例えば、サイラエ−スS810;商品名;JNC株式会社)、及び3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの共重合体(例えば、商品名;COATOSIL MP200、モメンティブ・パフォーマンス・マーテリアルズ・ジャパン合同会社)等のシラン系カップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤;並びにテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネ−ト等のチタネ−ト系カップリング剤である。
<1−3−4.酸化防止剤>
本発明のポリアミド酸組成物に酸化防止剤を用いる効果は、後工程での黄変を防ぐ効果である。ポリアミド酸(A)100重量部に対して、酸化防止剤を0.01〜1重量部添加することが好ましい。
酸化防止剤の例は、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、及びイオウ系の酸化防止剤である。これらの中でもヒンダードフェノール系の酸化防止剤が耐光性の観点から好ましい。
ヒンダードフェノール系の酸化防止剤の具体例は、Irganox1010、Irganox1010FF、Irganox1035、Irganox1035FF、Irganox1076、Irganox1076FD、Irganox1098、IrgaNox1135、Irganox1330、Irganox1726、Irganox1425WL、Irganox1520L、Irganox245、Irganox245FF、Irganox259、Irganox3114、Irganox565、Irganox565DD(いずれも商品名;BASFジャパン株式会社)、ADK STAB AO−20、ADK STAB AO−30、ADK STAB AO−50、ADK STAB AO−60、及びADK STAB AO−80(いずれも商品名;株式会社ADEKA)である。
<1−4.ポリアミド酸組成物の好ましい組成比>
本発明のポリアミド酸組成物は、好ましい組成比が存在する。
後述の通り、本発明のポリイミド膜の好ましい膜厚が0.2μm〜5.0μmである観点から、本発明のポリアミド酸組成物の好ましい固形分濃度が存在する。固形分濃度は、ポリアミド酸(A)、混合溶剤(B)、及び添加剤(C)の総量100重量%中の、ポリアミド酸(A)及び添加剤(C)の総量の含有率である。
本発明のポリイミド膜を膜厚0.2μm以上で形成する観点から、固形分濃度が2重量%以上であることが好ましい。同様に、1.0μm以上で形成する観点から、4重量%以上であることが好ましく、6重量%以上であることが更に好ましく、8重量%以上であることが特に好ましい。固形分濃度が高いほど、スピンコーターを用いて塗布する場合にも塗布均一性が上がるため、好ましい。
ポリアミド酸(A)の溶解性及びポリアミド酸(A)溶液の合成時の取り扱い性を考慮すると、固形分濃度が20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることが好ましい。
本発明のポリイミド膜が液晶配向能を有する観点から、本発明のポリアミド酸組成物に含まれるポリアミド酸(A)及び添加剤(C)の総量100重量%中、ポリアミド酸(A)が80〜100重量%であることが好ましく、95〜100重量%であることが好ましい。
<1−5.ポリアミド酸組成物の調製>
本発明のポリアミド酸組成物は、ポリアミド酸(A)及び混合溶剤(B)を混合し、目的とする特性によっては、更に添加剤(C)を添加し、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。
調製の際に、合成されたポリアミド酸(A)又はポリアミド酸(A)を含有する溶液と混合溶解させる溶剤を、「希釈溶剤」と表記する。つまり、本発明のポリアミド酸組成物には、合成溶剤と希釈溶剤の一方のみが含有する場合及び両方が含有する場合があり、最終的なポリアミド酸組成物として混合溶剤(B)を含有する。
調製方法の例は、溶剤を含まないポリアミド酸(A)に対して第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)を含む希釈溶剤を添加する方法、第一溶剤(B1)を含有し第二溶剤(B2)を含有しないポリアミド酸(A)溶液に対して第二溶剤(B2)を含む希釈溶剤を添加する方法、第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)を含有するポリアミド酸(A)溶液に何も添加しない方法、第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)を含有するポリアミド酸(A)溶液に対して希釈溶剤を添加する方法である。
混合溶解後、濾過を行うことも好ましい。
<1−6.ポリアミド酸組成物の保存>
本発明のポリアミド酸組成物は、−30℃〜25℃の範囲で遮光して保存すると、組成物の経時安定性が良好となり好ましい。−20℃〜5℃の範囲で保存することがより好ましい。
<2.ポリアミド酸組成物から得られるポリイミド膜>
上記のようにして得られたポリアミド酸組成物を基板表面に塗布し、加熱工程及び減圧工程等により混合溶剤の全部又は一部を除去することで、塗膜を形成することができる。基板表面へのポリアミド酸組成物の塗布の方法の具体例は、スピンコート法、ロールコート法、ディッピング法、及びスリットコート法である。加熱工程による混合溶剤の除去の具体例は、ホットプレート及びオーブンでのプリベークである。プリベーク条件は各成分の種類及び配合割合によって異なるが、通常70〜150℃で、ホットプレートなら1〜5分間、オーブンなら5〜15分間である。
続いて塗膜を完全に又は部分的にイミド化させるために100〜250℃、好ましくは120〜230℃で加熱処理することによってポリイミド膜を得ることができる。加熱時間はホットプレートなら5〜60分間、オーブンなら20〜90分間が好適である。
得られたポリイミド膜にラビング処理や光配向処理等の配向処理を施す。配向処理を施されたポリイミド膜は液晶化合物の配向を制御可能となる。
このようにしてポリイミド膜を得る過程において、ポリアミド酸組成物が塗布される基板がカラーフィルター基板である場合、本発明のポリアミド酸組成物は実質的にNMPを含まないため、カラーフィルター基板の着色体にダメージを与え難い。
又、本発明のポリアミド酸組成物は、アルコール性水酸基を有しない溶剤である第二溶剤(B2)を必須で含む。本発明のポリアミド酸組成物を用いて形成された塗膜は、溶剤としてアルコール性水酸基を有する溶剤のみを用いたポリアミド酸組成物を用いて形成された塗膜と比較して、水滴跡が生じ難い。
しかし、アルコール性水酸基を有しない溶剤であればどのような溶剤であってもよいというものではない。NMPを実質的に含まない本発明のポリアミド酸組成物に使用される溶剤は、NMPよりもポリアミド酸の溶解性が低い。そのため、第一溶剤(B1)の化合物の種類、第二溶剤(B2)の化合物の種類から、ポリアミド酸の原料となるテトラカルボン酸二無水物の種類、ジアミノ化合物の種類、乃至は第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)の配合率が重要である。化合物の具体例及び好ましい混合溶剤の混合比は上述の通りである。
段差を有するカラーフィルター基板上に本発明のポリイミド膜を形成する場合、塗り損じなく段差を有する基板上の全面にポリイミド膜を形成するために、ポリイミド膜の膜厚が0.2μm以上であることが好ましい。
更にカラーフィルターの段差を平坦化するためには、ポリイミド膜の膜厚が0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることが更に好ましく、1.2μm以上であること特に好ましい。
光透過率の観点から、本発明のポリイミド膜は5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることが更に好ましく、2.0μm以下であることが特に好ましい。
<3.ポリアミド酸組成物から得られたポリイミド膜を備えたカラーフィルター基板>
本発明のポリイミド膜を備えたカラーフィルター基板は、カラーフィルター基板の着色体上に、本発明のポリイミド膜が形成されたカラーフィルター基板である。
本発明のポリアミド酸組成物はカラーフィルター基板の着色体にダメージを与え難く、カラーフィルターの着色体に輝点を発生させ難いため、本発明のポリイミド膜を備えたカラーフィルター基板を表示素子に使用した場合、表示素子の表示品位が高い。
次に本発明を合成例、比較合成例、調製例、比較調製例、実施例、及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
合成例、比較合成例、調製例、比較調製例、実施例、及び比較例に使用した化合物を成分毎に記しておく。
<テトラカルボン酸二無水物(a1)>
式(a11)で表される化合物:
a11−1:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(以下「MMDA」と略記)
a11−2:ピロメリット酸無水物(以下「PMDA」と略記)
a11−3:3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(以下「ODPA」と略記)
a11−4:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物(式(x10)で表される4価の有機基を有する化合物、商品名リカシッドBT−100、以下「BT−100」と略記)
<ジアミノ化合物(a2)>
式(a21)で表される化合物:
a21−1:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下「p−DDE」と略記)
a21−2:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下「TPE−R」と略記)
a21−3:2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下「BAPP」と略記)
式(a22)で表される化合物:
a22−1:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(以下「m−DDS」と略記)
a22−2:ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(以下「m−BAPS」と略記)
a22−3:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(2−アミノフェノール)(以下「BAFA」と略記)
<第一溶剤(B1)>
アルコール性水酸基及びケトン基を有する化合物(B11):
B11−1:ジアセトンアルコール(以下「DAA」と略記)
アルコール性水酸基及びジエチレングリコール鎖を有する化合物(B12):
B12−1:ジエチレングリコールモノメチルエーテル(以下「DEGME」と略記)
B12−2:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(以下「DEGEE」と略記)
B12−3:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下「DEGBE」と略記)
トリエチレングリコール鎖を有し、アルコール性水酸基を有する又はすべての末端がメチルエーテルである化合物(B13):
B13−1:トリエチレングリコールモノメチルエーテル(以下「TEGME」と略記)
式(b14)で表される化合物(B14):
B14−1:エチレングリコールモノブチルエーテル(以下「EGBE」と略記)
B14−2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下「PGME」と略記)
B14−3:プロピレングリコールモノブチルエーテル(以下「PGBE」と略記)
<第二溶剤(B2)>
アルコール性水酸基を有さずエステル結合及びエーテル結合を有する化合物(B21):
B21−1:3−メトキシプロピオン酸メチル(以下「MMP」と略記)
B21−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と略記)
B21−3:3−メトキシブチルアセテート(以下「MBA」と略記)
アルコール性水酸基を有さずジエチレングリコール鎖を有し末端の少なくとも1つが炭素数2以上のアルキル基である化合物(B22):
B22−1:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(以下「DEGEME」と略記)
B22−2:ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(以下「DEGBME」と略記)
B22−3:ジエチレングリコールジエチルエーテル(以下「DEGDEE」と略記)
アルコール性水酸基を有さず、ジプロピレングリコール鎖、トリエチレングリコール鎖又はトリプロピレングリコール鎖を有しすべての末端がメチルエーテルである化合物(B23):
B23−1:ジプロピレングリコールジメチルエーテル(以下「DPGDME」と略記)
B23−2:トリエチレングリコールジメチルエーテル(以下「TEGDME」と略記)
B23−3:トリプロピレングリコールジメチルエーテル(以下「TPGDME」と略記)
<第三溶剤(B3)>
B3−1:γ−ブチロラクトン(以下「GBL」と略記)
B3−2:NMP
<添加剤(C)>
C−1:架橋剤であるテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(以下「TGDDE」と略記)
C−2:架橋剤である2,2’−(1,3−フェニレン)ビス−(2−オキサゾリン)(以下「1,3−PBO」と略記)
C−3:界面活性剤であるポリフローNo.75(商品名、以下「No.75」と略記)
C−4:界面活性剤であるメガファックF−477(商品名、以下「F−477」と略記)
C−5:密着性向上剤である3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名サイラエ−スS510、以下「S510」と略記)
C−6:酸化防止剤であるADK STAB AO−60(商品名、以下「AO−60」と略記)
<ポリアミド酸(A)を含有する溶液の合成>
まず、ポリアミド酸(A)を含有する溶液を以下に示すように合成した。
[合成例1]ポリアミド酸(A−1)を含有する溶液の合成
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口及び窒素ガス導入口を備えた300mLの4つ口フラスコに、合成溶剤として第一溶剤(B1)であるDAA、及びジアミノ化合物(a2)としてm−DDSを下記の重量で仕込み、室温で溶解させた。その後、テトラカルボン酸二無水物(a1)としてODPAを下記の重量で仕込み、室温で攪拌した。攪拌9時間で固体のODPA内容物が溶解し、透明溶液となったことを確認した。その後3時間室温で攪拌し、固形分濃度15重量%のポリアミド酸(A−1)を含有する溶液を得た。
ODPA 20.00g
m−DDS 16.00g
DAA 204.00g
ここで、原料として仕込んだテトラカルボン酸二無水物(a1)の酸無水物基及びジアミノ化合物(a2)のアミノ基のモル比(酸無水物基/アミノ基)は1である。下記の方法でポリアミド酸の重量平均分子量を測定した結果、27,000となった。重量平均分子量の測定値は表1に記した。
ポリアミド酸の重量平均分子量は、2695セパレーションモジュール・2414示差屈折計(Waters製)を用いてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。得られたポリアミド酸をリン酸−DMF混合溶液(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)で、ポリアミック酸濃度が約1重量%になるように希釈した。カラムはHSPgel RT MB−M(Waters製)を使用し、前記混合溶液を展開剤として、カラム温度50℃、流速0.40mL/minの条件で測定を行った。標準ポリスチレンは東ソー(株)製TSK標準ポリスチレンを用いた。
[合成例2〜21、比較合成例1〜4]
合成例1の方法に準じて、表1に記載の重量の合成溶剤、並びに表1に記載の原料のモル比(酸無水物基/アミノ基)及び固形分濃度となる量のテトラカルボン酸二無水物(a1)及びジアミノ化合物(a2)を仕込み、ポリアミド酸(A)を含有する溶液を合成した。ここで、攪拌時間は内容物が透明溶液になってから3時間とし、内容物が透明溶液になるまでの時間及び合計攪拌時間、重量平均分子量を表1に示す。尚、比較合成例1〜3のように、合成溶剤に第二溶剤(B2)のみを用いた場合には、透明溶液が得られなかった。
Figure 2021011571
Figure 2021011571
Figure 2021011571
<ポリアミド酸組成物の調製>
得られたポリアミド酸を含有する溶液を用い、以下に示すようにポリアミド酸組成物を調製した。
[調製例1]
ポリアミド酸(A)を含有する溶液として合成例1で得られたポリアミド酸(A−1)を含有する溶液、希釈溶剤として第二溶剤(B2)であるMMPを、下記の重量で仕込み、混合溶解し、メンブランフィルター(0.2μm)で濾過してポリアミド酸組成物を得た。
15重量%のポリアミド酸(A−1)を含有する溶液 30.00g
MMP 15.00g
ここで、仕込んだ原料から、得られたポリアミド酸組成物の固形分濃度は10重量%、ポリアミド酸組成物の溶剤中、DAAが63.0重量%(仕込み量換算で25.50g)、MMPが37.0重量%(仕込み量換算で15.00g)である。つまり、合計を100とした場合の溶剤重量比が63.0/37.0であり、この溶剤重量比を表2に記載した。
[調製例2〜36、比較調製例1〜4]
調製例1の方法に準じて、表2に記載のポリアミド酸を含有する溶液及び希釈溶剤を用い、表2に記載の固形分濃度、溶剤重量比となるようにポリアミド酸組成物を調製した。
尚、調製例29では、調製中一時的にポリアミド酸の析出が見られたが、10分間攪拌することで溶解した。他の調製例及び比較調製例では、一時的なポリアミド酸の析出は見られなかった。
<重合性液晶組成物溶液の調製>
評価に使用する重合性液晶組成物溶液を以下のように調製した。パリオカラーLC242(商品名、BASFジャパン株式会社)を20.00g、IRGACURE907(商品名、BASFジャパン株式会社)を1.00g、BYK361N(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社)を0.020g、さらに溶剤としてトルエンを加えて溶剤が全体の85重量%になるように調製し、均一に混合溶解する。この組成物を重合性液晶組成物溶液(PLC−1)とする。
<実施例1:ポリイミド膜形成、水滴跡評価、重合性液晶化合物に対するラビング処理後のポリイミド膜の配向能の評価>
得られたポリアミド酸組成物を用い、以下に示すようにポリイミド膜を形成し、水滴跡の評価及び重合性液晶化合物に対するポリイミド膜の配向能の評価を実施した。
[実施例1−1]
調製例1で得られたポリアミド酸組成物をカラーフィルター基板(ガラス基板上にR、G、Bの3色のパターン状着色体を有する基板)上に、スピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレート上で3分間プリベークすることで、塗膜付きカラーフィルター基板を得た。
続いて、得られた塗膜付きカラーフィルター基板上に、0.5mLの水を滴下し、1分後にエアーブローして水を除去した。
更に230℃のオーブン内で30分間ポストベークすることで、ポリイミド膜の膜厚が略1.5μmであるポリイミド膜付きカラーフィルター基板を得た。尚、このポリイミドの膜厚は、調製例1で得られたポリアミド酸組成物を塗布する前のカラーフィルター基板のガラス表面からの高さ(R、G、Bの一周期分の平均)とポリイミド膜付きカラーフィルター基板のガラス表面からの高さ(R、G、Bの一周期分の平均)との差が略1.5μmとなったことを示す。このガラス表面からの高さの測定は、ポリイミド膜及びカラーフィルターの着色体の一部をカッターナイフで除去した箇所(水を滴下させた箇所と異なる)において、触針式段差計を用いて行った。
ナトリウムランプ下で、得られたポリイミド膜付きカラーフィルター基板を目視で観察し、水滴跡が見える場合を水滴跡「有」水滴跡が見られない場合を水滴跡「無」と評価した。評価結果を表2に示す。
得られたポリイミド膜付きカラーフィルター基板のポリイミド膜に対して、レーヨン製のラビング布YA−18−R(商品名、吉川化工株式会社)を装着したラビング装置を用いてラビング処理を施した。ラビング速度は60mm/s、ローラー回転数は1,000rpmとした。
次に、重合性液晶組成物溶液(PLC−1)を該基板上にスピンコーターで塗布し、ホットプレート上で80℃にて1分間プリベークした。基板を室温まで冷却してから、超高圧水銀灯を用いて300mJ/cm照射し、重合性液晶化合物の配向を固定化した。尚、照射時はカットフィルターと偏光板は用いず、露光量は365nmの照度計を用いて測定した値である。以下、得られたこの基板を、「光学異方体付きガラス基板」と表記する。
得られた光学異方体付きガラス基板を、直交(クロスニコル)状態の2枚の直線偏光板の間に偏光板に平行な向きで挟み、偏光板に平行な向きを保ちながら光学異方体付きガラス基板を回転させ、バックライトを下から照射して観察した。光学異方体付きガラス基板を回転させて明暗が見られる場合を重合性液晶化合物が水平配向した状態で重合しており、重合性液晶化合物の配向能有りと判断し表2に「有」と記載し、明暗が見られない場合を重合性液晶化合物の配向能無しと判断し、表2に「無」と記載した。
Figure 2021011571
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[実施例1−2〜1−36、比較例1−1〜1−4]
用いるポリアミド酸組成物を変更する以外は実施例1−1の方法に準じて、ポリイミド膜を形成し、水滴跡の評価及び重合性液晶化合物に対するポリイミド膜の配向能の評価を実施した。ポリイミド膜の膜厚は、表2に示す値となるようにスピンコーターの条件を調節した。但し、実施例1−10、1−11及び1−31〜36では、スピンコーターではなくスリットコーターで塗布した。水滴跡の評価結果及び重合性液晶化合物に対するポリイミド膜の配向能の評価結果を表2に示す。但し、比較例1−1〜1−3において、水滴跡が見られた基板は、ラビング処理をせず、水を滴下する工程を除いてポリイミド膜付きカラーフィルター基板を別途作製し、重合性液晶化合物に対するポリイミド膜の配向能の評価を実施した。
尚、比較例1−4において、塗膜付きカラーフィルター基板を作製した後に、偏光顕微鏡を用いて該基板を観察したところ、カラーフィルターの着色体に輝点が発生し、着色体にダメージが与えられていることを確認した。他の実施例1−2〜1−36、比較例1−1〜1−3ではその現象が生じなかった。比較例1−4に関して、この現象が生じたことから、他の評価を実施しなかった。
<実施例2:光配向処理後の重合性液晶化合物に対するポリイミド膜の配向能評価>
調製例19で得られたポリアミド酸組成物(用いたテトラカルボン酸二無水物(a1)は、MMDAである)を用い、ラビング処理を以下の光配向処理に変更した以外は実施例1−1に準じて、光学異方体付きガラス基板を作製した。得られた光学異方体付きガラス基板は重合性液晶化合物の配向能有りと判断した。
[光配向処理]
得られたポリイミド膜付きカラーフィルター基板のポリイミド膜に対して、低圧水銀灯を用い、直線偏光紫外線を塗布面に対して90°の方向から1,000mJ/cm照射する光配向処理を施した。尚、直線偏光紫外線は、200nm以下の光をカットするフィルターとワイヤーグリッド偏光板を通して直線偏光に変換した直線偏光紫外線であり、露光量は254nmの照度計を用いて測定した値である。
<実施例3:ポリイミド膜の光透過率測定>
得られたポリアミド酸組成物を用い、以下に示すようにポリイミド膜を形成し、ポリイミド膜の光透過率を測定した。
[実施例3−1]
調製例1で得られたポリアミド酸組成物をガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレート上で3分間プリベークすることで、塗膜付きガラス基板を得た。更に230℃のオーブン内で30分間ポストベークすることで、ポリイミド膜の膜厚が略1.5μmであるポリイミド膜付きガラス基板を得た。尚、このポリイミドの膜厚測定は、ポリイミド膜の一部をカッターナイフで除去した箇所において、触針式段差計を用いて行った。
紫外可視近赤外分光光度計V−670(商品名、日本分光株式会社)を用い、紫外可視近赤外分光光度計のリファレンス側に、ポリイミド膜を形成していないガラス基板を設置し、サンプル側に得られたポリイミド膜付きガラス基板を設置することで、ポリイミド膜のみの光透過率を測定した。可視光透過性の評価のために400nmの光透過率の測定値を、紫外光透過性の評価のために313nmの光透過率の測定値を表3に示す。
[実施例3−2〜3−11]
用いるポリアミド酸組成物を変更する以外は実施例3−1の方法に準じて、ポリイミド膜付きガラス基板を作製し、光透過率を測定した。測定値を表3に示す。ポリイミド膜の膜厚は、表3に示す値となるようにスピンコーターの条件を調節した。
Figure 2021011571
Figure 2021011571
Figure 2021011571
<実施例4:駆動用液晶化合物に対するポリイミド膜の配向能の評価>
[ポジ型液晶組成物(LC−1)の調製]
下記式(LCm−1)〜(LCm−9)の化合物を記載の重量比で混合溶解することで、ポジ型液晶組成物(LC−1)を調製した。
Figure 2021011571
[実施例4−1]
水を滴下しエアーブローする工程を省いた以外は実施例1−1と同様に、ポリイミド膜付きカラーフィルター基板を作製した。このポリイミド膜付きカラーフィルター基板及び実施例3−1で得られたポリイミド膜付きガラス基板を、ポリイミド膜側を向き合わせて配置し、2枚のポリイミド膜の間にポジ型液晶組成物(LC−1)を注入させるための空隙を形成して張り合わせ、セル厚4μmの空セルを作製した。作製した空セルにポジ型液晶組成物(LC−1)を真空注入し、120℃のオーブンで30分間アニール処理をすることで、液晶表示素子を作製した。即ち、得られた液晶表示素子の構成の順番は、ガラス基板、パターン状着色体、調製例1で得られたポリアミド酸組成物から成るポリイミド膜、液晶層、調製例1で得られたポリアミド酸組成物から成るポリイミド膜、ガラス基板であり、この液晶表示素子は調製例1で得られたポリアミド酸組成物を使用して作製された。
得られた液晶表示素子を、直交(クロスニコル)状態の2枚の直線偏光板の間に偏光板に平行な向きで挟み、バックライトを下から照射して観察した。偏光板に平行な向きを保ちながら液晶表示素子を回転させ、明暗が見られることを確認したため、駆動用液晶化合物の配向能有りと判断した。
[実施例4−2〜4−12]
用いるポリアミド酸組成物を、調製例1で得られたポリアミド酸組成物から以下に示すポリアミド酸組成物に変更する以外は実施例4−1の方法に準じて、液晶表示素子を作製し、駆動用液晶化合物に対するポリイミド膜の配向能を判断した。いずれの場合も駆動用液晶化合物の配向能有りと判断した。但し、実施例4−4、4−5、及び4−13では、スピンコーターではなくスリットコーターで塗布した。
実施例4−2:調製例2で得られたポリアミド酸組成物
実施例4−3:調製例4で得られたポリアミド酸組成物
実施例4−4:調製例10で得られたポリアミド酸組成物
実施例4−5:調製例11で得られたポリアミド酸組成物
実施例4−6:調製例13で得られたポリアミド酸組成物
実施例4−7:調製例19で得られたポリアミド酸組成物
実施例4−8:調製例20で得られたポリアミド酸組成物
実施例4−9:調製例21で得られたポリアミド酸組成物
実施例4−10:調製例22で得られたポリアミド酸組成物
実施例4−11:調製例23で得られたポリアミド酸組成物
実施例4−12:調製例24で得られたポリアミド酸組成物
実施例4−13:調製例33で得られたポリアミド酸組成物
[実施例5−1]
プリベークのホットプレートの温度を100℃から60℃に変更した以外は実施例1−1と同様に、ポリイミド膜付きカラーフィルター基板を作製した。
ナトリウムランプ下で、得られたポリイミド膜付きカラーフィルター基板を目視で観察し、水滴跡が見られなかった。そのため、プリベークが低温の場合にも水滴跡が生じ難いと判断した。
[実施例5−2〜5−31]
用いるポリアミド酸組成物を、調製例1で得られたポリアミド酸組成物から以下に示すポリアミド酸組成物に変更する以外は実施例5−1の方法に準じて、ナトリウムランプ下で、得られたポリイミド膜付きカラーフィルター基板を目視で観察した。いずれの場合も水滴跡が見られなかった。
実施例5−2:調製例2で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−3:調製例3で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−4:調製例4で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−5:調製例6で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−6:調製例8で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−7:調製例9で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−8:調製例10で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−9:調製例11で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−10:調製例12で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−11:調製例13で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−12:調製例14で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−13:調製例15で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−14:調製例16で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−15:調製例17で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−16:調製例18で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−17:調製例19で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−18:調製例20で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−19:調製例21で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−20:調製例22で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−21:調製例23で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−22:調製例24で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−23:調製例25で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−24:調製例26で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−25:調製例30で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−26:調製例31で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−27:調製例32で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−28:調製例33で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−29:調製例34で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−30:調製例35で得られたポリアミド酸組成物
実施例5−31:調製例36で得られたポリアミド酸組成物
表2に示した実施例1−1〜1−36及び比較例1−1〜1−3の結果から明らかなように、調製例1〜36のポリアミド酸組成物から成る塗膜は水滴跡が生じ難く、これらのポリアミド酸組成物から成るポリイミド膜は重合性液晶化合物の配向能を有し、これらのポリアミド酸組成物は、カラーフィルターの着色体にダメージを与え難い。
それに対し、比較調製例1〜3のポリアミド酸組成物から成る塗膜は水滴跡が生じ易く、NMPを十分量含む比較調製例4のポリアミド酸組成物は、カラーフィルターの着色体にダメージを与え易い。
表3に示した実施例3−1〜3−5の結果から明らかなように、第一溶剤(B1)として、アルコール性水酸基及びジエチレングリコール鎖を有する化合物(B12)並びにアルコール性水酸基及びトリエチレングリコール鎖を有する化合物(B13)を用いた場合にポリイミド膜の透明性が高く(可視光透過性が高く)、アルコール性水酸基及びトリエチレングリコール鎖を有する化合物(B13)を用いた場合に特に高い。
表3に示した実施例3−3、3−6及び3−7結果から明らかなように、テトラカルボン酸二無水物(a1)がベンゼン環を有しない化合物であるa11−1の場合は紫外光透過性が高く、テトラカルボン酸二無水物(a1)がベンゼン環を有する化合物であるa11−2の場合及びa11−3の場合は紫外光吸収性が高い(紫外光透過性が低い)ことが分かる。特に、テトラカルボン酸二無水物(a1)一分子中に2つのベンゼン環を有するa11−3の場合は紫外光吸収性が高い(紫外光透過性が低い)。
表3に示した実施例3−3及び3−8〜3−11の結果から明らかなように、ジアミノ化合物(a2)が化合物(a22)である場合は、可視光透過性が高いことが分かる。
実施例5−1〜5−31の結果から明らかなとおり、混合溶剤(B)100重量%中の第二溶剤(B2)の含有率が30重量%以上の場合、プリベーク温度が低い場合でも水滴跡が生じ難い。
本発明のポリアミド酸組成物はNMPを実質的に含まないことでカラーフィルターの着色体にダメージを与え難く、イミド化前の塗膜に水滴跡が生じ難くいことから、カラーフィルター上に直接形成可能であり、現像装置中の水が塗膜上に付着する恐れのある製造ラインにおいても形成可能なポリイミド膜、特に液晶配向膜として使用可能である。

Claims (19)

  1. ポリアミド酸(A)及び混合溶剤(B)を含むポリアミド酸組成物であって;
    前記ポリアミド酸(A)が、下記式(a11)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つであるテトラカルボン酸二無水物(a1)、並びに下記式(a21)で表される化合物からなる群及び下記式(a22)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つであるジアミノ化合物(a2)を含む原料を重縮合して得られるポリアミド酸であり;
    前記混合溶剤(B)が、第一溶剤(B1)及び第二溶剤(B2)を含む混合溶剤であり、
    前記第一溶剤(B1)が、アルコール性水酸基を有する化合物であり、
    前記第二溶剤(B2)が、アルコール性水酸基を有さず、エステル結合及びエーテル結合を有する化合物(B21)からなる群、アルコール性水酸基を有さず、ジエチレングリコール鎖を有し、末端の少なくとも1つが炭素数2以上のアルキル基である化合物(B22)からなる群、並びにアルコール性水酸基を有さず、ジプロピレングリコール鎖、トリエチレングリコール鎖又はトリプロピレングリコール鎖を有し、すべての末端がメチルエーテルである化合物(B23)からなる群から選択される少なくとも1つである、ポリアミド酸組成物;
    Figure 2021011571
    式(a11)中、Xは炭素数4〜20の4価の有機基であり;
    Figure 2021011571
    式(a21)中、YはO、下記式(y11)で表される2価の基又は下記式(y12)で表される2価の基であり、
    式(a22)中、YはO、SO、CH、CO、C(CH又はC(CFであり、n11及びn12はそれぞれ独立に0又は1であり、R121はH又はOHであり、R122及びR123はいずれか一方がNHであり、他方がH又はOHであり;
    Figure 2021011571
    式(y12)中、Y121はO、SO、CH、CO、C(CH又はC(CFである。
  2. 前記式(a11)で表される化合物が、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも1つであり;
    前記式(a21)で表される化合物が、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、及び2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパンから選択される少なくとも1つであり、前記式(a22)で表される化合物が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン及びビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンから選択される少なくとも1つである、請求項1に記載のポリアミド酸組成物。
  3. 前記アルコール性水酸基を有さず、エステル結合及びエーテル結合を有する化合物(B21)が、下記式(b21)で表される化合物であり、前記アルコール性水酸基を有さず、ジエチレングリコール鎖を有し末端の少なくとも1つが炭素数2以上のアルキル基である化合物(B22)が、下記式(b22)で表される化合物であり、前記アルコール性水酸基を有さず、ジプロピレングリコール鎖、トリエチレングリコール鎖又はトリプロピレングリコール鎖を有し、すべての末端がメチルエーテルである化合物(B23)が、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びトリプロピレングリコールジメチルエーテルから選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載のポリアミド酸組成物;
    Figure 2021011571
    式(b21)及び式(b22)中、R221、R224及びR225はそれぞれ独立にMe又はEtであり、R222及びR223はそれぞれ独立にH又はMeであり、nは1又は2であり、ZはCOO又はOCOであり、R226は炭素数2〜4のアルキル基であり、Meはメチルを、Etはエチルを表す。
  4. 前記式(b21)で表される化合物が、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び3−メトキシブチルアセテートから選択される少なくとも1つであり、前記式(b22)で表される化合物が、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、及びジエチレングリコールジエチルエーテルから選択される少なくとも1つである、請求項3に記載のポリアミド酸組成物。
  5. 前記混合溶剤(B)100重量%中、前記第一溶剤(B1)の含有率が3〜90重量%であり、前記第二溶剤(B2)の含有率が10〜70重量%であり、前記第一溶剤(B1)及び前記第二溶剤(B2)の総量の含有率が40重量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
  6. 前記混合溶剤(B)100重量%中、N−メチル−2−ピロリドンの含有率が10重量%未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
  7. 前記混合溶剤(B)100重量%中、γ−ブチロラクトンの含有率が10〜50重量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
  8. 前記第一溶剤(B1)100重量%中、アルコール性水酸基及びケトン基を有する化合物(B11)、アルコール性水酸基及びジエチレングリコール鎖を有する化合物(B12)、並びにアルコール性水酸基及びトリエチレングリコール鎖を有する化合物(B13)の総量の含有率が20重量%以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
  9. 前記アルコール性水酸基及びケトン基を有する化合物(B11)が、下記式(b11)で表される化合物であり、前記アルコール性水酸基及びジエチレングリコール鎖を有する化合物(B12)が、下記式(b12)で表される化合物であり、前記アルコール性水酸基及びトリエチレングリコール鎖を有する化合物(B13)が、トリエチレングリコールモノメチルエーテルである、請求項8に記載のポリアミド酸組成物;
    Figure 2021011571
    式(b11)中、R211及びR212はそれぞれ独立にH又はMeであり、式(b12)中、R213は炭素数1〜4のアルキル基であり、Meはメチルを表す。
  10. 前記式(b11)で表される化合物が、4−ヒドロキシ−2−ブタノン及びジアセトンアルコールから選択される少なくとも1つであり、前記式(b12)で表される化合物が、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される少なくとも1つである、請求項9に記載のポリアミド酸組成物。
  11. 前記第一溶剤(B1)100重量%中、下記式(b14)で表される化合物(B14)の含有率が5〜80重量%である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物;
    Figure 2021011571
    式(b14)中、R214及びR215はそれぞれ独立にH又はMeであり、R216は炭素数1〜4のアルキル基であり、Meはメチルを表す。
  12. 前記第一溶剤(B1)100重量%中、下記式(b14)で表される化合物(B14)の含有率が、80〜100重量%である、請求項7に記載のポリアミド酸組成物;
    Figure 2021011571
    式(b14)中、R214及びR215はそれぞれ独立にH又はMeであり、R216は炭素数1〜4のアルキル基であり、Meはメチルを表す。
  13. 前記式(b14)で表される化合物(B14)が、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、及びプロピレングリコールモノブチルエーテルから選択される少なくとも1つである、請求項11〜12のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
  14. 前記混合溶剤(B)100重量%中、前記式(b14)で表される化合物(B14)の含有率が3〜30重量%であり、前記第二溶剤(B2)の含有率が20〜70重量%であり、γ−ブチロラクトンの含有率が10〜50重量%である、請求項11〜13のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載のポリアミド酸組成物から形成された塗膜を加熱して得られるポリイミド膜。
  16. 請求項15に記載のポリイミド膜を備えたカラーフィルター基板。
  17. 請求項16に記載のポリイミド膜を備えたカラーフィルター基板上に、光学異方体を備えた、光学異方体付きカラーフィルター基板。
  18. 請求項15に記載のポリイミド膜を備えた液晶表示素子。
  19. 着色体、ポリイミド膜、及び光学異方体が積層されている光学異方体付きカラーフィルター基板であって;
    前記ポリイミド膜が、下記式(a11)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つであるテトラカルボン酸二無水物(a1)、並びに下記式(a21)で表される化合物からなる群及び下記式(a22)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つであるジアミノ化合物(a2)を含む原料を重縮合して得られるポリアミド酸をイミド化して成るポリイミド膜であり、
    ポリイミド膜の膜厚が0.2μm以上である、光学異方体付きカラーフィルター基板;
    Figure 2021011571
    式(a11)中、Xは炭素数4〜20の4価の有機基であり;
    Figure 2021011571
    式(a21)中、YはO、下記式(y11)で表される2価の基又は下記式(y12)で表される2価の基であり、
    式(a22)中、YはO、SO、CH、CO、C(CH又はC(CFであり、n11及びn12はそれぞれ独立に0又は1であり、R121はH又はOHであり、R122及びR123はいずれか一方がNHであり、他方がH又はOHであり;
    Figure 2021011571
    式(y12)中、Y121はO、SO、CH、CO、C(CH又はC(CFである。
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