JP2021011445A - 水中油型化粧水 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた経時安定性を有し、かつ、モイスチャー効果とエモリエント効果とを高いレベルで両立できる水中油型化粧水を提供する。【解決手段】ここで開示される水中油型化粧水は、次の成分A〜成分Cを含有する。成分A:HLB値が8以上12未満のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤(0.2質量%以上2質量%以下)成分B:HLB値が12以上18以下のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤(0.2質量%以上2質量%以下)成分C:油分(0.1質量%以上3質量%以下)さらに、ここに開示される水中油型化粧水は、成分A、Bの混合比が1以下であり、成分Cの含有量に対する成分Aと成分Bとの総量の割合が0.7以上であり、かつ、25℃の環境下における粘度が500mPa・s以下である。これにより、低粘度の化粧水に好適なエモリエント効果を付与した上で、優れた経時安定性を発揮できる。【選択図】なし

Description

本発明は、水中油型化粧水に関する。詳しくは、化粧水に油分が添加された水中油型化粧水に関する。
従来から、肌状態の改善を目的とした種々の化粧料(例えば、化粧水、乳液、クリーム等)が提供されており、洗顔後のスキンケア等において使用されている。通常、これらの化粧料は、化粧水を塗布した後に乳液やクリームを塗布するという手順で使用される。これは、モイスチャー効果に優れる化粧水によって肌に水分を供給した後に、エモリエント効果に優れる乳液やクリームによって水分を保持するためである。
かかる化粧料の一例として、水分と油分とが混合された水中油型化粧料が挙げられる。この水中油型化粧料は、エモリエント効果に優れている一方で、油性成分が水分中に均一に存在する状態を長期間維持することが難しいため、増粘剤(例えばカラギーナン、カルボキシビニルポリマー等)が添加された高粘度の化粧料(乳液やクリーム等)の形態で使用される。かかる水中油型化粧料の一例として、特許文献1に記載の化粧料(白濁液状化粧料)が挙げられる。かかる特許文献1に記載の化粧料は、下記の成分(a)〜(d)を含有し、成分(a)と成分(b)の重量比が(a):(b)=1:1〜5:1であることを特徴とする。
(a)HLBが7以下の親油性ノニオン界面活性剤 0.01〜2重量%
(b)HLBが10以上の親水性界面活性剤 0.01〜2重量%
(c)油分 0〜2重量%
(d)カラギーナン 0.01〜0.5重量%
特許第3656209号
本発明者らは、洗顔後のスキンケアの簡便化や乾燥肌の改善などのために、モイスチャー効果に優れた化粧水にエモリエント効果を付与することを検討している。このような化粧水を提供するには、エモリエント効果を発揮できる適度な量の油分を添加することが求められる。しかし、上記の通り、水分と油分を含む水中油型化粧料は、含有成分の分離を抑えるために、乳液やクリーム等の高粘度の形態で提供されることが通常であり、モイスチャー効果や使用感の観点で低粘度が求められる化粧水の形態で提供することが困難である。具体的には、通常の化粧水に油分を添加すると、長くとも数日でクリーミングと呼ばれる含有成分の凝集体(図1参照)が水面に生じ、含有成分の不均一化による品質低下が生じるおそれがある。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、優れた経時安定性を有し、かつ、モイスチャー効果とエモリエント効果とを高いレベルで両立できる化粧水を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するために種々の実験と検討を行った結果、HLB値(Hydrophilic-Lipophilic Balance)が異なる2種類のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤を混合すると、驚くべきことに、500mPa・s以下という低粘度の化粧水であるにも関わらず、クリーミングを長期間防止できる優れた経時安定性を発揮する場合があることを発見した。そして、かかる発見に基づいて実験と検討を重ねた結果、このような優れた経時安定性が適切に発揮される条件を見出して本発明を完成するに至った。
ここに開示される水中油型化粧水は、上述の知見に基づいてなされたものであり、次の成分A〜成分Cを含有する。
成分A:HLB値が8以上12未満のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤 0.2質量%以上2質量%以下
成分B:HLB値が12以上18以下のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤 0.2質量%以上2質量%以下
成分C:油分 0.1質量%以上3質量%以下
さらに、ここに開示される水中油型化粧水は、成分Bの含有量(W)に対する成分Aの含有量(W)の割合(W/W)が1以下であり、成分Cの含有量(W)に対する成分Aと成分Bとの総量(W+W)の割合((W+W)/W)が0.7以上であり、かつ、25℃の環境下においてB型粘度計を用いて回転速度60rpmで測定される粘度が500mPa・s以下である。
まず、本明細書における「水中油型化粧水」とは、連続相が水性成分(すなわち、「最も含有量が多い成分が水分」)である化粧水に油分が添加されたもののうち、化粧水として適切なモイスチャー効果が発揮できる程度に粘度が低く、かつ、油分が水分中に懸濁(若しくは可溶化)している化粧水を指す。すなわち、ここに開示される水中油型化粧水とは、0.1質量%以上の油分(成分C)を含有し、かつ、粘度が500mPa・s以下である低粘度の化粧水である。かかる水中油型化粧水は、優れたモイスチャー効果を有する化粧水に高いエモリエント効果が付与されている。そして、ここに開示される水中油型化粧水には、HLB値が8以上12未満のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤(成分A)と、HLB値が12以上18以下のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤(成分B)とが添加されている。これらの成分Aおよび成分Bを含有する水中油型化粧水において、「各成分の含有量」と、「成分A、Bの混合比(W/W)」と、「成分Cに対する成分A、Bの総量の比率((W+W)/W)」の各々が所定の条件を満たすことによって、低粘度の化粧水に油分が添加されているにも関わらず、長期間放置してもクリーミングが生じない優れた経時安定性を発揮できることが、本発明者らの実験によって確認されている。すなわち、ここに開示される水中油型化粧水によると、優れた経時安定性を発揮し、かつ、モイスチャー効果とエモリエント効果とを高いレベルで両立できる。
なお、本明細書における「HLB値(Hydrophilic-Lipophilic Balance」とは、水分と油分を含む液相において、両液体に対する界面活性剤の相対的な親和性を表す指標であり、グリフィン法に基づく下記の式(1)によって求められたものである。一般に、HLB値が低くなるにつれて親油性が高くなる傾向があり、HLB値が高くなるにつれて親水性が高くなる傾向がある。すなわち、ここに開示される成分Aは相対的に親油性が高い界面活性剤であり、成分Bは相対的に親水性が高い界面活性剤であると言える。
HLB値=20×界面活性剤の親水部の式量の総和/界面活性剤の分子量 (1)
ここに開示される水中油型化粧水の好ましい一態様では、成分Cの含有量(W)が0.6質量%超3質量%以下である。成分C(油分)の含有量をこの範囲内に調整することによって、水分中に油分が均一に懸濁した化粧水が得られる。かかる化粧水は、優れたエモリエント効果を発揮し、モイスチャー効果とエモリエント効果とを特に高いレベルで両立することができる。また、本態様のように水分中に油分が懸濁した場合であっても、クリーミングの発生を長期間防止できる優れた経時安定性を発揮することが、本発明者らの実験によって確認されている。
ここに開示される水中油型化粧水の好ましい一態様では、成分Cの含有量(W)が0.1質量%以上0.6質量%以下である、成分C(油分)の含有量をこの範囲内に調整することによって、油分が可溶化した化粧水が得られる。かかる化粧水は、クリーミングの発生を確実に防止できるため、特に優れた経時安定性を発揮できる。
ここに開示される水中油型化粧水の好ましい一態様では、成分Aにおける脂肪酸がジステアリン酸またはジイソステアリン酸である。これらを構成脂肪酸として含むポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤を成分Aとして使用することにより、優れた経時安定性を適切に発揮させることができる。
ここに開示される水中油型化粧水の好ましい一態様では、成分Bにおける脂肪酸がモノミリスチン酸である。モノミリスチン酸を構成脂肪酸として含むポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤を成分Bとして使用することにより、優れた経時安定性を適切に発揮させることができる。
ここに開示される水中油型化粧水の好ましい一態様では、成分Cが植物油を含む。植物に由来する天然油は、合成油と比べて肌への浸透性が高く、かつ、肌状態の改善に貢献し得る有効成分(ビタミン等)を含んでいるため好ましい。そして、かかる植物油の中でも、茶の種子から抽出した油(茶種子油)は、皮膚常在菌の細菌叢を改善する効果を有しているため特に好適に使用し得る。
ここに開示される水中油型化粧水の好ましい一態様では、水分含有量が80質量%以上である。これによって、特に優れたモイスチャー効果を発揮できる。なお、水分含有量が増加すると、さらに粘度が低下するため、クリーミングが発生しやすくなる傾向がある。しかし、ここに開示される技術によると、80質量%以上という多量の水分を含有する場合でも優れた経時安定性を発揮できる。
ここに開示される水中油型化粧水の好ましい一態様では、(W+W)/Wが4以下である。優れた経時安定性の確保という観点からは、(W+W)/Wの上限値は特に限定されないが、ベタつき等の使用感の低下を考慮すると、界面活性剤である成分A、Bの総量(W+W)を少なくした方が好ましい。また、エモリエント効果を適切に付与することを考慮すると、油分(成分C)の含有量(W)を多くした方が好ましい。これらの点を考慮すると、(W+W)/Wの上限を4以下に設定することが好ましい。
経時安定性の評価試験におけるサンプル1、7の結果を示す写真である。
以下、本発明の好適な一実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術知識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において数値範囲を「A〜B」と示す場合、「A以上B以下(従ってAを上回りBを下回る範囲を包含する)」を意味するものとする。また、本明細書における各成分の「含有量」は、水中油型化粧水を構成する各成分(水分を含む)の総量を100質量%としたときの質量比(質量%)である。
本実施形態に係る水中油型化粧水は、HLB値が8以上12未満のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤(成分A)、HLB値が12以上18以下のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤(成分B)、および油分(成分C)を含有し、かつ、粘度が500mPa・s以下の水中油型化粧水である。そして、本発明者らは、上記構成の水中油型化粧水において、下記の(1)〜(3)の各々が所定の条件を満たすことによって、モイスチャー効果とエモリエント効果とを高いレベルで両立でき、かつ、優れた経時安定性を発揮できることを確認している。以下、本実施形態に係る水中油型化粧水に含まれる各成分と、当該各成分の混合条件について説明する。
(1)各成分の含有量(W、W、W
(2)成分A、Bの混合比(W/W
(3)成分Cに対する成分A、Bの総量の比率((W+W)/W
1.各成分の説明
(1)ポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤
上記成分A〜成分Cを説明する前に、本明細書における「ポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤」について説明する。この「ポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤」とは、ポリグリセリンの一部に脂肪酸がエステル結合した構造を有するノニオン界面活性剤を指す。かかるポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤は、炭素数が8〜22個の脂肪酸と、ポリグリセリンとがエステル結合することによって構成されており、構成脂肪酸の種類、ポリグリセリンの重合度、エステル化率などによって、HLB値が広い範囲(例えば1以上18以下)で変化し得る。かかるポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤の構成脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、ベヘニン酸等が挙げられる。また、本実施形態におけるポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤では、ポリグリセリンとして、グリセリンの重合度が4〜10であるものが用いられ得る。なお、ここでの「ポリグリセリンの重合度」とは平均重合度である。すなわち、本明細書における「ポリグリセリン脂肪酸エステル−10」とは、グリセリンの重合度が10以外のポリグリセリン脂肪酸エステルも含み得る。
(2)成分A
上記した通り、本実施形態に係る水中油型化粧水は、成分Aとして、HLB値が8以上12未満のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤を含有する。この成分Aは、後述の成分Bと比べてHLB値が低く(親油基が多く)、相対的に高い親油性を有しているため、油分と混ざりやすい。上記の通り、成分Aとして使用されるポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤のHLB値は、8以上12未満である。かかる成分AのHLB値が8を下回ると成分Aの親水性が不足するおそれがあり、12以上になると成分Aの親油性が不足するおそれがある。これらの何れの場合も、経時安定性が大きく低下する原因になり得る。なお、成分Aの親水性を適切に確保するという観点から、成分AのHLB値の下限値は、8.5以上が好ましく、9以上がより好ましく、9.5以上がさらに好ましい。一方、成分Aの親油性を適切に確保するという観点から、成分AのHLB値の上限値は、11.5以下が好ましく、11以下がより好ましく、10.5以下がさらに好ましく、10以下が特に好ましい。
上記成分Aとして使用されるポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤の構成脂肪酸は、HLB値が8以上12未満になれば特に限定されず、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸等から適宜選択できる。これらの中でも、油分を適切に懸濁させて優れた経時安定性を発揮するという観点からは、ジステアリン酸、ジイソステアリン酸等のステアリン酸やミリスチン酸等が好ましい。また、ポリグリセリンの重合度についても、HLB値が8以上12未満になれば特に限定されず、4〜10の範囲から適宜選択できる。このような成分Aの一例として、ジステアリン酸ポリグリセリル−10(HLB値=9.5)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10(HLB値=10)、ミリスチン酸ポリグリセリル−6(HLB値=11)、ステアリン酸ポリグリセリル−6(HLB値=9)、イソステアリン酸ポリグリセリル−10(HLB値=10.5)等が好適に使用され得る。これらの中でも経時安定性を適切に発揮させるという観点から、ジステアリン酸ポリグリセリル−10やジイソステアリン酸ポリグリセリル−10が好ましい。なお、成分Aは、上述のHLB値が8以上12未満のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤を単独で含むものであってもよいし、2種以上を混合したものであってもよい。
(3)成分B
本実施形態に係る水中油型化粧水の成分Bは、HLB値が12以上18以下のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤である。この成分Bは、上述した成分AよりもHLB値が高く(親水基が多く)、相対的に高い親水性を有しているため、水分に溶けやすい。上記の通り、成分Bとして使用されるポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤のHLB値は、12以上18以下である。HLB値が12未満になると成分Bの親水性が不足するおそれがあり、18を超えると親油性が不足するおそれがある。なお、成分Bの親水性を適切に確保するという観点から、成分BのHLB値の下限値は、12.5以上が好ましく、13以上がより好ましく、13.5以上がさらに好ましい。一方、成分Bの親油性を適切に確保するという観点から、成分BのHLB値の上限値は、17以下が好ましく、16以下がより好ましく、15以下がさらに好ましく、14.5以下が特に好ましい。
また、成分Bとして使用されるポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤の構成脂肪酸は、HLB値が12以上18以下になれば特に限定されないが、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等から適宜選択できる。これらの中でも、優れた経時安定性を適切に発揮させるという観点からは、(モノ)ミリスチン酸等が好ましい。また、成分Bのポリグリセリンの重合度についても、12以上18以下という所望のHLB値を得ることができれば特に限定されず、4〜10の範囲から適宜選択できる。このような成分Bの一例として、ミリスチン酸ポリグリセリル−10(HLB値=14)、ステアリン酸ポリグリセリル−10(HLB値=12)、オレイン酸ポリグリセリル−10(HLB値=12)、ラウリン酸ポリグリセリル−6(HLB値=14.5)、ラウリン酸ポリグリセリル−10(HLB値=15.5)、パルミチン酸ポリグリセリル−10(HLB値=12.5)等が好適に使用され得る。これらの中でも経時安定性を適切に発揮するという観点から、ミリスチン酸ポリグリセリル−10が好ましい。なお、成分Aと同様に、成分Bは、所望のHLB値(12以上18以下)を有するポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤を単独で含むものであってもよいし、2種以上を混合したものであってもよい。
(4)成分C
本実施形態に係る水中油型化粧水は、成分Cとして油分を含有する。かかる成分Cとして使用され得る油分は、エモリエント効果の付与を目的に化粧料に使用され得るもののうち、常温(25℃)で液状であるものを特に制限なく使用できる。かかる(C)油分としては、植物油、動物油、合成油などを使用できる。植物油としては、アボガド油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ベニバナ油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、パーム油、ヤシ油、ヒマシ油、ホホバ油、ヒマワリ油、ツバキ油、トウモロコシ油、茶種子油等が挙げられる。なお、オリーブ油やベニバナ油に含まれるスクワランを安定化させたスクワレン等の植物由来の加工油も使用できる。また、動物油としては、液状ラノリン等が挙げられる。合成油としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、メトキシケイ皮酸オクチル、酢酸トコフェロール、炭酸プロピレン、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジ(カプリン酸/カプリル酸)プロパンジオール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、イソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2、オクタカプリル酸ポリグリセリル−6、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、イソステアリン酸トレハロースエステルズ、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、フィトステロール脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等の脂肪酸エステルが挙げられる。また、成分Cとして、これらの油分を2種以上混合したものを使用してもよい。
なお、上述した種々の油分の中でも、スクワランやトリエチルヘキサノインは、比較的容易に水分に懸濁されることが確認されているため、経時安定性に優れた水中油型化粧水を容易に得るという観点から好ましい。また、植物油は、合成油と比べて肌への浸透性が高く、ビタミン等の有効成分を含んでいるため、肌状態の改善という観点から好適に使用し得る。さらに、植物油の中でも、茶種子油は、善玉菌である表皮ブドウ球菌を減らさずに、悪玉菌である黄色ブドウ球菌を減少させるという選択的な抗菌性を有しているため、肌表面の細菌叢を改善する効果を発揮できることが本発明者らによって確認されている。このため、保湿や有効成分の付与等とは異なる細菌叢の改善という観点から肌状態を改善する場合には、油分として茶種子油を好適に使用できる。
(5)溶媒
本実施形態に係る水中油型化粧水は、上述した成分A〜成分Cを溶媒に添加することによって調製される。かかる溶媒としては、脱イオン水、純水、蒸留水等の水が用いられる。なお、ここに開示される水中油型化粧水は、溶媒として水のみを使用する態様に限定されず、水とアルコール類の混合溶媒を使用することもできる。アルコール類としては、エタノール、ブタノール等の一価低級アルコール;ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール等の高級アルコール類;ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリトリトール等の糖アルコール類;ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール等のその他のアルコール類等が挙げられる。但し、本実施形態に係る水中油型化粧水は、肌へのなじみを良好にし、好適なモイスチャー効果を発揮するという観点から水分含有量を調節することが好ましい。すなわち、水中油型化粧水全体で、水分含有量が70質量%以上(好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上)になるように水の使用量を設定すると好ましい。なお、水分含有量が高くなると、粘度が大きく低下して経時安定性が低下する傾向があるが、本実施形態によると、このような水分含有量が高い化粧水であっても、好適な経時安定性を発揮できる。このため、本実施形態における水分含有量の上限は、上述した成分A〜成分Cが適切に含まれていれば特に限定されず、99.5質量%以下であってもよい。なお、後述する他の添加物を添加する際には、水分含有量を95質量%以下にすることが好ましく、90質量%以下にすることがより好ましい。
(6)他の添加物
本実施形態に係る水中油型化粧水には、上述した成分A〜成分C以外に、この種の化粧料で使用され得る公知の添加物を使用できる。かかるの一例として、増粘剤、防腐剤、保湿剤、消炎剤、美白剤、香料、植物由来のエキス等が挙げられる。
但し、これらの添加物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲内で添加されている方が好ましい。例えば、従来公知の化粧料には、経時安定性やエモリエント効果の向上のために増粘剤が添加されることがある。しかし、この増粘剤によって粘度が増加すると、モイスチャー効果が低下し、モイスチャー効果とエモリエント効果とを両立する化粧水を調製できなくなるおそれがある。一方、本実施形態では、増粘剤が添加しなくても、好適な経時安定性とエモリエント効果を発揮できるため、過剰な粘度上昇を防止するという観点から、増粘剤として機能し得る成分を実質的に含有しない方が好ましい。なお、増粘剤を添加する場合には、後述する所定の粘度を超えない範囲で含有量を調整することが好ましい。なお、増粘剤としては、カラギーナン、デヒドロキサンタンガム、キサンタンガム、スクレロチウムガム、タマリンドガム、グアーガム、ローストビーンガム、ジェランガム、クインスシード、アラビアガム、アルギン酸塩、ペクチン、寒天、デンプン、マンナン、セルロース、キトサン、スクシノグリカン、ヒアルロン酸塩、シロキクラゲ多糖体、カルボキシビニルポリマー等の水溶性の増粘剤などが挙げられる。
また、防腐剤としては、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、レゾルシン、サリチル酸、デヒドロ酢酸、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、アルカンジオール等が挙げられる。これらの防腐剤を添加する場合には、当該防腐剤の含有量を0.01質量%以上にすることが好ましく、0.05質量%以上にすることがより好ましく、0.1質量%以上にすることがさらに好ましい。これによって、適切な防腐効果を発揮させることができる。一方、成分A〜成分Cや水分の含有量の大幅な削減による本発明の効果の減退を防ぐという観点から、防腐剤の含有量の上限値は、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
保湿剤としては、プロパンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン−4、ポリグリセリン−6、ポリグリセリン−10、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、グルコース、スクロース、フルクトース、キシリトール、マルトース、マルチトース、トレハロース、イノシトール、グリコシルトレハロース、グリコーゲンなどが挙げられる。これらの保湿剤は、エモリエント効果の更なる向上に貢献できる一方で粘度増加の原因にもなり得るため、増粘剤と同様に所定の粘度を超えないように含有量を設定することが好ましい。例えば、保湿剤の含有量の上限値は、20質量%以下が好ましく、17質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、12質量%以下が特に好ましい。一方、モイスチャー効果を適切に向上させるという観点から、保湿剤の含有量の下限値は、1質量%以上が好ましく、5質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。
消炎剤としては、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等が例示される。これらの消炎剤を添加する場合には、当該消炎剤の含有量を0.1質量%以上1質量%以下にすることが好ましい。この範囲内であれば、他の成分の含有量を大幅に減らすことなく、適切な消炎効果を発揮させることができる。
美白剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、プラセンターエキス、アルブチン、トラネキサム酸、コウジ酸、イオウ、油溶性甘草抽出物、ユキノシタ抽出物等が例示される。これらの美白剤を添加する場合には、当該美白剤の含有量を0.1質量%以上5質量%以下にすることが好ましい。この範囲内であれば、他の成分の含有量を大幅に減らすことなく、適切な美白効果を発揮させることができる。
また、目的とする機能に応じて植物由来の各種エキスを添加することもできる。エキスを抽出する基となる植物としては、オウバク、オウゴン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ローズマリー、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻、茶葉等が挙げられる。
2.各成分の混合条件
上述したように、本実施形態に係る水中油型化粧水は、優れた経時安定性を発揮し、かつ、モイスチャー効果とエモリエント効果とを高いレベルで両立させるために、各成分を混合する条件が調整されている。以下、具体的に説明する。
(1)粘度
まず、本実施形態に係る水中油型化粧水は、粘度が500mPa・s以下となるように各成分の含有量が調整される。これは、モイスチャー効果を適切に発揮し、かつ、適切な使用感を生じさせる化粧水を得るには、粘度を500mPa・s以下にすることが求められるためである。なお、粘度を低下させるにつれてモイスチャー効果や使用感が向上する傾向があるため、当該粘度は、300mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましく、100mPa・s以下がさらに好ましく、50mPa・s以下が特に好ましい。なお、粘度の下限値は、特に限定されず、1mPa・s以上であってもよいし、10mPa・s以上であってもよいし、20mPa・s以上であってもよい。なお、本明細書における「粘度」は、25℃の環境下においてB型粘度計を用いて回転速度60rpmで測定されたものである。上述した各成分の中では、油分(成分C)、増粘剤、保湿剤等が粘度に大きな影響を与え得るため、所望の粘度が得られるようにこれらの成分の含有量を調整することが好ましい。
(2)成分Aの含有量(W
次に、各成分の具体的な含有量について説明する。まず、成分A(HLB値が8以上12未満のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤)の含有量(W)は、0.2質量%以上に設定される。上記したように、成分Aは、相対的に高い親油性を有する界面活性剤であるため、その含有量(W)が少なくなりすぎると、成分C(油分)と好適に混ざる界面活性剤が少なくなり、分散性や経時安定性が大きく低下する可能性がある。なお、分散性や経時安定性をより好適に発揮させるという観点から、当該Wの下限は、0.3質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。一方、成分Aの含有量(W)が一定以上を超えると、分散性や経時安定性を向上させる効果が飽和するだけでなく、ベタつきなどの使用感の悪化が生じるおそれがある。このため、成分Aの含有量(W)の上限は、2質量%以下に設定される。なお、より好適な使用感を得るという観点から、成分Aの含有量(W)の上限は、1.5質量%以下が好ましく、1.2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.8質量%以下が特に好ましい。
(3)成分Bの含有量(W
次に、成分B(HLB値が12以上18以下のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤)の含有量(W)の下限は、0.2質量%以上である。成分Bは、相対的に高い親水性を有する界面活性剤であるため、その含有量(W)が少なくなりすぎると、水中に好適に溶け込む界面活性剤が少なくなり、分散性や経時安定性が大きく低下する可能性がある。なお、分散性や経時安定性をより好適に発揮させるという観点から、成分Bの含有量(W)の下限は、0.3質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、0.6質量%以上が特に好ましい。一方、Wが一定以上を超えた場合も、分散性や経時安定性を向上させる効果が飽和するだけでなく、使用感の悪化が生じ得る。このため、成分Bの含有量(W)の上限は、2質量%以下に定められる。なお、より好適な使用感を得るという観点から、成分Bの含有量(W)の上限は、1.5質量%以下が好ましく、1.2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.8質量%以下が特に好ましい。
(4)成分Cの含有量(W
成分C(油分)の含有量(W)の下限は、0.1質量%以上である。この油分の含有量(W)が少なくなりすぎると、適切なエモリエント効果を付与できなくなる。なお、適切なエモリエント効果を付与するという観点から、成分Cの含有量(W)の下限は、0.3質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましい。また、詳しくは後述するが、油分が均一に懸濁した化粧水を調製し、特に優れたエモリエント効果を発揮させるという観点から、成分Cの含有量(W)の下限は、0.65質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上が特に好ましい。一方、油分の含有量(W)が多くなりすぎると、当該油分を適切に懸濁させるために必要な成分A、Bが増加するため、水分の不足による使用感やモイスチャー効果の低下などが生じ得る。このため、成分Cの含有量(W)の上限は3質量%以下に設定される。なお、より適切な使用感やモイスチャー効果を確保するという観点から、成分Cの含有量の上限は、2.7質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましく、2.3質量%以下がさらに好ましく、2質量%以下が特に好ましい。
また、ここに開示される化粧水においては、成分C(油分)の含有量が0.6質量%以下になると油分が可溶化し、0.6質量%を超えると水分中に油分が均一に懸濁することが本発明者らの実験によって確認されている。かかる点を考慮すると、要求される化粧水の性質を考慮して、油分の含有量を適宜調節することが好ましい。例えば、特に優れたエモリエント効果を付与し、モイスチャー効果とエモリエント効果とを特に高いレベルで両立させるという観点からは、油分の含有量を0.6質量%超にすることが好ましい。一方、クリーミングを確実に防止できる特に優れた経時安定性を発揮させるという観点からは、油分の含有量を0.6質量%以下にすることが好ましい。なお、油分の含有量を0.6質量%超にしてエマルジョン状態の化粧水を得た場合であっても、従来よりも大幅に長い期間クリーミングを防止できる優れた経時安定性を発揮できることが本発明者らの実験によって確認されている。
(5)成分A、Bの混合比(W/W
次に、本実施形態に係る水中油型化粧水は、成分Aの含有量(W)と成分Bの含有量(W)の各々が上述の範囲を満たした上で、当該Wに対するWの割合(W/W)が1以下であることが求められる。換言すると、本実施形態に係る水中油型化粧水では、相対的に親水性が高い成分Bの含有量が、親油性が高い成分Aの含有量の同等以上となるように、成分A、Bの混合比が定められている。本発明を限定する意図はないが、このような混合比で成分A、Bを混合することによって高い経時安定性が発揮されるのは、次のような作用が生じているためと推測される。すなわち、成分A、Bを上記混合比で混合した界面活性剤が高い経時安定性を発揮できるのは、液相と液相との界面に成分A、Bの両方が隙間なく配向し、最適な立体障害によってエマルジョン粒子の合一を防ぐという作用が生じているためと推測される。また、(W/W)の下限値は、特に限定されず、0.1以上であってもよい。この場合でも、適切な経時安定性を十分発揮させることができる。なお、さらに好適な経時安定性を発揮させるという観点から、(W/W)の下限値は、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、0.7以上が特に好ましい。
(6)成分Cに対する成分A、Bの総量の比率((W+W)/W
さらに、本実施形態に係る水中油型化粧水では、成分Cに対する成分A、Bの総量の比率((W+W)/W)が0.7以上であることが求められる。これは、油分の含有量(W)が多すぎる場合(若しくは界面活性剤の総量(W+W)が少なすぎる場合)には、上述した成分A、Bの混合比(W/W)を適切な値に調整したとしても、懸濁しない油分が残るためである。なお、油分の全量を適切に懸濁するという観点から、(W+W)/Wの下限値は、0.8以上が好ましい。一方、好適な経時安定性を発揮させるという観点からは、(W+W)/Wの上限値は、特に限定されず、例えば20以下であってもよいし、15以下であってもよい。但し、油分に対して過剰に界面活性剤(成分A、B)を添加すると、経時安定性を向上させる効果が飽和するだけでなく、ベタつきなどの使用感の悪化等が生じ得る。この点を考慮すると、(W+W)/Wの上限値は、10以下が好ましく、4以下がより好ましく、2以下がさらに好ましく、1.5以下が特に好ましく、例えば1.1以下にすることができる。
以上のように、本実施形態に係る化粧水は、所定量の油分を含有する、粘度500mPa・s以下の低粘度の水中油型化粧水である。この水中油型化粧水は、優れたモイスチャー効果を有する化粧水に好適なエモリエント効果が付与されているため、モイスチャー効果とエモリエント効果とを高いレベルで両立できる。
そして、この水中油型化粧水は、成分A(HLB値が8以上12未満のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤)と、成分B(HLB値が12以上18以下のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤)という2種類の界面活性剤を含有し、「W〜W」、「W/W」、「(W+W)/W」の各々が所定の条件を満たすように設定されている。このため、低粘度の化粧水に油分を添加しているにもかかわらず、クリーミングの発生を長期間防止できる好適な経時安定性を発揮する。
このように、本実施形態に係る水中油型化粧水によると、優れた経時安定性を有し、かつ、モイスチャー効果とエモリエント効果とを高いレベルで両立できる。
なお、本実施形態に係る水中油型化粧水を調製する手段は、特に限定されず、この種の化粧水で採用されている公知の手段を特に制限なく使用することができる。例えば、上述した各成分を混合した後に、ホモジナイザー等の攪拌装置を用いて撹拌を行うことによって、本実施形態に係る水中油型化粧水を調製することができる。なお、上記したように、ここに開示される技術によると、特殊な装置や長時間の撹拌を要さずに、油分を水分に好適に懸濁させることができるため、製造効率の向上や設備コストの低減等に貢献することもできる。
以上、本実施形態に係る水中油型化粧水について説明した。しかし、上述の説明は、例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。すなわち、請求の範囲に記載の技術には、上述の実施形態で示した水中油型化粧水を様々に変更したものが含まれ得る。
[試験例]
次に、本発明の水中油型化粧水に関する試験例を説明する。なお、以下の試験例は、本発明を限定することを意図したものではない。
1.サンプルの準備
(1)サンプル1
HLB値が9.5のジステアリン酸ポリグリセリル−10(成分A)と、HLB値が14のミリスチン酸ポリグリセリル−10(成分B)と、植物油由来のスクワラン(成分C)とを水に混合させた水中油型化粧水(サンプル1)を調製した。さらに、本サンプルでは、他の添加剤として、保湿剤(グリセリン、プロパンジオール)と、防腐剤(フェノキシエタノール)を添加した。なお、本試験では、70℃の環境で5分間撹拌した後に30℃まで冷却することで各成分を混合した。
そして、サンプル1では、界面活性剤の混合比(W/W)が1となり、界面活性剤の総量(W+W)が1.2wt%となり、かつ、油分に対する界面活性剤の総量の割合((W+W)/W)が0.8となるように各成分の含有量を設定した。各成分の詳細な含有量は、後述の表1に示す。また、このサンプル1では、成分Aと成分Bとを混合した界面活性剤の平均HLB値が11.75となった。
(2)サンプル2
成分C(油分)としてトリエチルヘキサノインを使用した点を除いて、サンプル1と同じ条件で水中油型化粧水を調製した。
(3)サンプル3〜4、6、9〜11
成分A〜成分Cの各々の含有量を異ならせた点を除いて、サンプル1と同じ条件で水中油型化粧水を調製した。
(4)サンプル5
成分Aとして、HLB値が10のジイソステアリン酸ポリグリセリル−10を使用した点を除いて、サンプル1と同じ条件で水中油型化粧水を調製した。
(5)サンプル7
成分B(HLB値が12以上18以下の界面活性剤)の代わりに、HLB値が8未満の界面活性剤であるトリオレイン酸ポリグリセリル−10(HLB値=7)を使用した点を除き、サンプル1と同じ条件で水中油型化粧水を調製した。
(6)サンプル8
成分Bに相当する界面活性剤を添加せず、成分Aに相当する2種類の界面活性剤を混合した点を除き、サンプル1と同じ条件で水中油型化粧水を調製した。なお、本サンプルで使用した成分Aは、HLB値が9.5のジステアリン酸ポリグリセリル−10と、HLB値が10のジイソステアリン酸ポリグリセリル−10である。
2.粘度測定
調製後の各サンプルを25℃の環境に静置し、株式会社東京計器製のB型粘度計(型式:B8M)を用いて粘度(mPa・s)を測定した、なお、本試験では、2号ローターを使用し、回転数を60rpm、測定時間を2分に設定した。測定結果を表1に示す。
3.経時安定性評価
各サンプルを50℃の環境で3日間静置し、水面にクリーミングが生じているか否かを目視で検査した。サンプル1とサンプル7の写真を図1に示すと共に、各サンプルの評価結果を表1に示す。なお、表1における「○」はクリーミングが全く確認されなかった場合を示し、「×」はクリーミングが確認された場合を示す。
表1に示すように、サンプル1〜11の何れにおいても、粘度が500mPa・s以下に維持されており、化粧水として使用できる可能性があることが確認された。そして、経時安定性評価の結果、サンプル1〜6は、低粘度の化粧水に油分が添加されているにもかかわらず、3日間静置してもクリーミングが殆ど生じない優れた経時安定性を発揮していることが分かった。
また、サンプル1、2を比較した結果、成分A、Bを所定の条件で混合すると、油分の種類にかかわらず、好適な経時安定性が発揮されることが分かった。また、サンプル1、5、7、8を比較した結果、2種類の界面活性剤を混合するのみでは、好適な安定性を発揮することができず、HLB値が8以上12未満のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤である成分Aと、HLB値が12以上18以下のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤である成分Bとを混合する必要があることが分かった。さらに、サンプル1〜2、4、6とサンプル11とを比較した結果、このような優れた経時安定性を発揮させるためには、界面活性剤の平均HLB値を調節するのみでは不十分であり、成分A、Bの混合比(W/W)と、成分Cに対する成分A、Bの総量の割合((W+W)/W)に着目して成分A〜成分Cの含有量を調節する必要があることが分かった。加えて、サンプル1〜5とサンプル6を比較すると、サンプル1〜5では、油分に水分が懸濁したエマルジョンが形成されている一方で、サンプル6では、溶液となっていた。かかる結果から、エモリエント効果の付与という観点からは、サンプル1〜5のように0.6質量%を超える油分を添加した方が好ましく、経時安定性の向上という観点からはサンプル6のように油分の添加量を0.6質量%以下にした方が好ましいことが分かった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (9)

  1. 次の成分A〜成分C:
    成分A HLB値が8以上12未満のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤 0.2質量%以上2質量%以下;
    成分B HLB値が12以上18以下のポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤 0.2質量%以上2質量%以下;
    成分C 油分 0.1質量%以上3質量%以下;
    を含有し、
    前記成分Bの含有量(W)に対する前記成分Aの含有量(W)の割合(W/W)が1以下であり、
    前記成分Cの含有量(W)に対する前記成分Aと前記成分Bとの総量(W+W)の割合((W+W)/W)が0.7以上であり、かつ、
    25℃の環境下においてB型粘度計を用いて回転速度60rpmで測定される粘度が500mPa・s以下である、水中油型化粧水。
  2. 前記成分Cの含有量(W)が0.6質量%超3質量%以下である、請求項1に記載の水中油型化粧水。
  3. 前記成分Cの含有量(W)が0.1質量%以上0.6質量%以下である、請求項1に記載の水中油型化粧水。
  4. 前記成分Aにおける脂肪酸がジステアリン酸またはジイソステアリン酸である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中油型化粧水。
  5. 前記成分Bにおける脂肪酸がモノミリスチン酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水中油型化粧水。
  6. 前記成分Cが植物油を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水中油型化粧水。
  7. 前記植物油が茶種子油である、請求項6に記載の水中油型化粧水。
  8. 水分含有量が80質量%以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水中油型化粧水。
  9. 前記(W+W)/Wが4以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水中油型化粧水。
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