JP2021010937A - 液体加圧加工処理装置及び液体加圧加工処理方法 - Google Patents

液体加圧加工処理装置及び液体加圧加工処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 加圧時に高圧となる領域を加圧加工処理部に極力限定して、装置の一体化、小型化と安全性向上を可能とし、被加工物を取出す際に被加工物の周囲に加圧液が残留することを抑制し、加圧液の漏洩リスクを低減できる液体加圧加工処理装置を提供する。【解決手段】 載置ベース03の上方に設けられ内部側面の最上部に開口部を有する第一の流路07と内部側面の最下部に開口部を有する第二の流路06とを備え内部上面が第一の流路07の開口部側を最上部として鉛直方向に対して傾斜した形状の圧力容器02と、圧力容器02の外部側面に装着され第二の流路06に接続された開閉弁20及び第一の流路07に接続された開閉弁30と、圧力容器02の内部上面を貫通して設けられ圧力容器02と載置ベース03とが嵌合され開閉弁20,30が閉じられたときに形成される閉鎖空間の容積を減少させて閉鎖空間内を加圧する加圧機構10と、を有するものとする。【選択図】図1

Description

本発明は、高圧液体加圧により、基板への電子部品接着、電子部品の封止、各種部材表面へのフィルム貼付、あるいは微細な転写加工などを高品質に行う、液体加圧加工処理装置に関するものである。
従来、被加工物に圧力をかけ、被着体(接着シートなどの接着材料)の貼り合わせや液体の含浸を行っている。昨今、技術の進歩により被加工物がより複雑形状化並びに微細化し、さらには多様な被着体や含浸材を使うことが多くなってきている。
例えば、基板への電子部品接着処理では、最初に、被加工物を減圧された環境下に置き、接着層内部や、基板及び電子部品の接着界面に残留する微細な気泡を排除して、接着層のボイドの発生を防止している。その後、高圧の環境下に暴露して、接着層に均一な加圧力を付与することにより、接着層の密着性を向上して加工品質の向上を図っている。
現在、これらの加工処理を行うために、圧力容器の中に被加工物を載置し、その上面に可撓性の膜を設けて、圧力容器内部を2つの空間に分離し、圧力容器の上部空間と底部空間に接続された真空ポンプで減圧して残留空気を排除した後、空気加圧ポンプを用いて圧力容器の上部空間のみに高圧空気を導入し、可撓性の膜を介して被加工物に均一な圧力を加えることが行われている。
しかしながら、上述したように、被加工物の微細化傾向や加工品質向上の要求が増大しており、加圧加工処理装置に対して、さらに大きな加圧力が望まれるようになった。高圧空気を用いた加圧加工処理装置では、使用する高圧空気の圧力を、さらに高めることで対応可能であるが、圧縮性の大きい空気を用いるため、装置の耐圧性や安全性の確保などが課題となっていた。
この問題に対処するために、以下の特許文献に示すように、使用する加圧媒体として圧縮性の小さい、液体を用いる方式が提案されている。
特許文献1に記載された従来技術では、電子部品の貼着を目的としている。開閉可能な真空チャンバ2(特許文献1の図5参照)内に被加工物を載置し、その上部に、プレス内方部材4−1と周壁部4−2とで挟持された伸張性膜部材5を近接させる。その後、真空チャンバ2の外部から、伸張性膜部材膨張用シリンダ機構6の内部に貯留された液体を、プレス内方部材4−1を経由して伸張性膜部材5の上面に送液し、伸張性膜部材5を膨張させた後、被加工物上面に接触させる。さらに、伸張性膜部材膨張用シリンダ機構6の送液流路を、開閉手段6−4で閉鎖し、プレス内方部材4−1上部に設けた、上プレス部材昇降機構8により、液体を内包した伸張性膜部材5を被加工物に押し付けて、プレス加工するものである。液体で膨張した伸張性膜部材5を被加工物に当接させるため、比較的均一な押圧力を発生させることが可能であり、加圧力は上プレス部材昇降機構8の推力を利用して制御している。(上記符号は特許文献1の符号を参照)
特許文献2に記載された従来技術でも同様に、電子部品の加圧加工処理を目的にしている。特許文献2の図1に示されているように、加圧液である加工液34を内包する上型10は、その底部周辺を加圧均一化部材6及び薄膜32で密閉され、その下側外部に、被加工物を介して、下型及びシリンダ装置92が配置されている。シリンダ91が上方に移動すると、被加工物が上型底面に押し付けられて圧力容器を形成し、外部に設けられた昇圧ポンプ208により、送液配管を経由して加圧液の圧力を上昇させ、被加工物に均一な圧力を加える構造となっている。(上記符号は特許文献2の符号を参照)
なお、本願においては、「加圧液」には、専ら加圧のために用いられる液体だけではなく、被加工物に対して種々の加工・処理を施す液体をも含む。
特開2005−246417号公報 特開2014−147957号公報
上述したように加圧のさらなる高圧(1MPa以上)化が求められるようになっているが、特許文献1,2に記載された従来技術では、高圧化による配管系統を含めた大型化や、加圧液の漏洩などの問題があった。
特許文献1に記載された従来技術では、特許文献1の図5に示されているように、構成が複雑となり、装置が大型化するという問題があった。
また、特許文献2に記載された従来技術では、高圧となる加圧液の領域は、加工処理を行う上型の内部だけでなく、昇圧ポンプまでの配管及び配管部材などにまで広がり、加圧液の漏洩のリスクが増大するとともに、昇圧ポンプなどを含む加圧液制御系が複雑になり、装置が大型化することが予想される。
したがって、本発明の目的は、加圧時に高圧となる領域を加圧加工処理部に極力限定して、小型化及び加圧液の漏洩防止を図ることができる液体加圧加工処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る液体加圧加工処理装置は、被加工物を載置可能な載置ベース、及び、該載置ベースと対向して配置され、該載置ベースと嵌合した状態において該載置ベースとの間に内部空間を形成可能な圧力容器を有する装置本体と、前記載置ベース及び前記圧力容器の少なくとも一方を他方に対して接近又は離隔する方向に相対移動させる移動機構とを備え、前記装置本体は、前記内部空間内の気体を排出可能な第一の流路と、該内部空間に対して加圧液を供給可能な第二の流路とが形成され、該第一の流路を開閉させる第一の開閉弁と、該第二の流路を開閉させる第二の開閉弁とが設けられており、前記内部空間内に充填された加圧液を加圧可能に構成されていることを特徴とする。
本発明に係る液体加圧加工処理装置において、前記第一の流路の前記内部空間に臨む開口部は、前記第二の流路の前記内部空間に臨む開口部よりも鉛直方向上方に形成されていることが好ましい。
本発明に係る液体加圧加工処理装置において、前記圧力容器は、前記載置ベースの鉛直方向上方に配されており、内部上面と内部側面とを有する形状に形成され、前記第一の流路の前記内部空間に臨む開口部は、前記圧力容器の前記内部上面又は前記内部側面の上部に形成されており、前記第二の流路の前記内部空間に臨む開口部は、前記圧力容器の前記内部側面の下部又は前記載置ベースに形成されていることが好ましい。
本発明に係る液体加圧加工処理装置において、前記圧力容器の前記内部上面は、前記第一の流路の前記開口部が最上部となるよう鉛直方向に対して傾斜していることが好ましい。当該構成により、圧力容器内の残留空気を排除しやすく加圧液の高圧化を容易に実現できる。
本発明に係る液体加圧加工処理装置において、前記装置本体は、前記圧力容器の前記内部上面あるいは前記内部側面を貫通して装着され、前記内部空間の容積を減少させて該内部空間内の加圧液を加圧する加圧機構を有しても良い。
本発明に係る液体加圧加工処理装置において、前記第一の開閉弁及び前記第二の開閉弁の少なくとも一方は、前記内部空間の容積を減少させて該内部空間内の加圧液を加圧可能に構成された開閉弁付加圧機構であっても良い。当該構成によれば、装置の一体化と、安全性向上と、加圧液の漏洩リスク低減に加え、さらなる小型化を実現できる。
本発明に係る液体加圧加工処理装置は、前記載置ベースの上面が、前記第二の流路の前記開口部近傍側を最下部として鉛直方向に対して傾斜していることが好ましい。当該構成によれば、排液能力が向上するので、加圧液漏洩リスクが軽減される。
本発明に係る液体加圧加工処理装置は、前記被加工物を覆い前記被加工物と加圧液とを分離する膜を有し、前記膜が、前記圧力容器の下端部に固定した可撓膜、あるいは前記載置ベースの上面部に設置した可撓膜であって、前記載置ベースが、該載置ベースの上面に開口し該載置ベースの内部を通って、該載置ベースの外部に連通し、該載置ベースと前記可撓膜との間の空気を排気する手段を有するとしても良い。当該構成によれば、膜によって、被加工物が加圧液に曝露されるリスクを低減できる。
本発明に係る液体加圧加工処理方法は、被加工物を載置した載置ベースと、前記載置ベースと対向して配置された圧力容器とを嵌合させて内部空間を形成し、前記被加工物を可撓膜で覆った状態で前記圧力容器又は前記載置ベースに形成された第二の流路から加圧液を前記内部空間に注入し、前記圧力容器に形成された第一の流路から前記内部空間の残留空気を排出し、前記圧力容器又は前記載置ベースに装着された開閉弁を閉じて前記内部空間を密閉することにより、該内部空間を加圧液で満たされた閉鎖空間とし、前記圧力容器又は前記載置ベースに設けられた加圧機構により前記閉鎖空間内の加圧液を加圧して、前記被加工物を加圧処理し、加圧処理後、前記内部空間の加圧液を排出することを特徴とする。
本発明によれば、加圧時に高圧となる領域を加圧加工処理部に極力限定して、小型化及び加圧液の漏洩防止を図ることができる。
第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置の概略構成を示す図である。 第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置を用いた液体加圧加工処理方法を説明する図である。 第1実施形態に係る液体加圧加工処理方法を説明する図である。 第1実施形態に係る液体加圧加工処理方法を説明する図である。 第1実施形態に係る液体加圧加工処理方法を説明する図である。 第1実施形態に係る液体加圧加工処理方法を説明する図である。 第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置変形例の概略構成を示す図である。 第2実施形態に係る液体加圧加工処理装置概略構成を示す図である。 第3実施形態に係る液体加圧加工処理装置概略構成を示す図である。 第3実施形態に係る液体加圧加工処理装置を用いた液体加圧加工処理方法を説明する図である。 第3実施形態に係る液体加圧加工処理装置を用いた液体加圧加工処理方法を説明する図である。 第3実施形態に係る液体加圧加工処理装置を用いた液体加圧加工処理方法を説明する図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置の全体構成説明図である。符号を付与していないが、図中に黒丸で示した部分は、Oリングなどのシール部材を表している。
[第1実施形態の概略構成]
本発明の第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置は、概略的には、載置ベース03及び圧力容器02を有する装置本体と、載置ベース03を支持するベース01と、載置ベース03及び圧力容器02の少なくとも一方を他方に対して接近又は離隔する方向に相対移動させる移動機構50と、装置本体に加圧液を注入あるいは排出する加圧液制御回路(図示省略)と、被加工物80を覆い、該被加工物80と加圧液とを分離する膜61とを備えている。
載置ベース03は、ベース01と圧力容器02との間に配されており、被加工物80を載置可能に構成されている。圧力容器02は、載置ベース03と対向して配置され、該載置ベース03と嵌合した状態において該載置ベース03との間に内部空間を形成可能に構成されている。
装置本体は、内部空間内の気体を排出可能な第一の流路07と、該内部空間に対して加圧液を供給可能な第二の流路06とが形成され、該第一の流路07を開閉させる第一の開閉弁30と、該第二の流路06を開閉させる第二の開閉弁20とが設けられている。第一の流路07の内部空間に臨む開口部は、第二の流路06の内部空間に臨む開口部よりも鉛直方向上方に形成されている。
より限定的には、圧力容器02は、載置ベース03の鉛直方向上方に配されており、内部上面と内部側面とを有する有蓋筒状に形成され、第一の流路07の内部空間に臨む開口部は、圧力容器02の内部上面又は内部側面の上部に形成されており、第二の流路06の内部空間に臨む開口部は、圧力容器02の内部側面の下部又は載置ベース03に形成されている。また、圧力容器02の内部上面は、第一の流路07の開口部が最上部となるよう鉛直方向に対して傾斜している。
また、装置本体は、内部空間内に充填された加圧液を加圧可能に構成されている。より限定的には、装置本体は、圧力容器02の内部上面を貫通して装着され、内部空間の容積を減少させて該内部空間内の加圧液を加圧する加圧機構10を有する。
移動機構50は、載置ベース03及び圧力容器02の少なくとも一方(本実施形態では圧力容器02)を他方(本実施形態では載置ベース03)に対して接近又は離隔する方向に相対移動させることで、載置ベース03及び圧力容器02間に形成される内部空間を開閉させるよう構成されている。より限定的には、移動機構50は、上端に圧力容器02が固定されベース01を貫通する直動ロッド51と、ベース01の下面に固定され直動ロッド51を任意の位置で保持するロッドクランプ52とを備え、圧力容器02を載置ベース03に対して昇降させることにより離隔あるいは嵌合させるよう構成されている。
[第1実施形態の具体的構成]
以下、第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置の構成について、より具体的に説明する。なお、以下の説明において、「閉鎖空間」とは、圧力容器02と載置ベース03とを嵌合させることにより内部空間を形成した後、開閉弁20,30を閉じて該内部空間を密閉されることにより形成される空間(密閉空間)のことをいう。
第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置は、(1)ベース01と、(2)ベース01の上面に固定され、被加工物80を載置する載置ベース03と、(3)載置ベース03の上方に設けられ、内部側面の最上部に開口部を有する第一の流路07と内部側面の最下部に開口部を有する第二の流路06とを備え、内部上面が第一の流路07の開口部側を最上部として鉛直方向に対して傾斜した有蓋筒状の圧力容器02と、(4)圧力容器02の外部側面に装着して固定され、第二の流路06に接続された開閉弁20及び第一の流路07に接続された開閉弁30と、(5)圧力容器02に内部上面を貫通して装着され、圧力容器02と載置ベース03とが嵌合され開閉弁20,30が閉じられたときに形成される閉鎖空間の容積を減少させて閉鎖空間内を加圧する加圧機構10と、(6)上端に圧力容器02が固定されベース01を貫通する直動ロッド51と、ベース01の下面に固定され直動ロッド51を任意の位置で保持するロッドクランプ52とを備え、圧力容器02を載置ベース03に対して昇降させることにより離隔あるいは嵌合させる移動機構50と、(7)開閉弁20,30を経由して圧力容器02に加圧液を注入あるいは排出する加圧液制御回路(図示省略)と、(8)被加工物80を覆う膜である可撓膜61とを有する。
加圧液が流れる流路は、本実施形態では第二の流路06及び第一の流路07の2つであるが、3つ以上でもよい。本実施形態では、ベース01、載置ベース03、圧力容器02はいずれも円形であり、載置ベース03はベース01の上面中央に固定されているが、ベース01、載置ベース03、圧力容器02は矩形でもよく、円形に限定されない。移動機構50は、圧力容器02を昇降させて載置ベース03と嵌合あるいは離隔させる直動式の昇降手段(直動機構)であり、直動ロッド51は円柱状である。
本実施形態では、被加工物80を覆う膜が可撓膜61で、被加工物側(真空)と圧力容器側(加圧)との間に圧力差を生じさせ、また、被加工物80が加圧液で濡れないように、被加工物80を覆い、被加工物80と上述した閉鎖空間とを隔てる。被加工物80は、可撓膜61を介して加圧することにより、気泡のない貼り合わせや微細な転写が可能となる。可撓膜61は、柔軟性・たわみ性に優れ、可撓膜で覆った被加工物周辺を減圧状態にしたとき、真空度を高めることにより被加工物間の微細な凹凸に追従して密着する。なおかつ、残留する空気を圧縮する必要がないので、加圧機構の小型化ができる。可撓膜としては、例えば、クロロプレンゴムやシリコン系ゴムやフッ素系ゴムなどの軟質ゴムでも、また、フッ素系やナイロン系、オレフィン系、PET等のフィルムでもよいが、これに限定されない。
特許文献1に記載された従来技術では、伸張性膜部材は、繰り返し使用されることを前提にしており、加工時の膜破断に対処するために、比較的膜厚が大きい部材を使用せざるを得なかったので、被加工物の表面凹凸が微細化してくると、その表面形状に倣うことが難しくなり、均一の加圧が阻害される。一方、膜厚を小さくした場合には、膜破断のリスクが高まり、破断した場合には、被加工物が加圧液に曝露してしまう。特許文献2に記載された従来技術の構成の場合でも、薄膜の強度が問題となり、破断した場合には上記した特許文献1に記載された従来技術と同様に、被加工物が加圧液に曝露するというリスクが内在していた。しかし、本実施形態によれば、上述した構成との相乗効果で、膜厚が小さくても、曝露リスクが低くなる。加圧液と被加工物の組み合わせによっては、加圧液が被加工物に直接接触することが好ましくない場合がある。本実施形態によれば、そのような場合に被加工物が加圧液に曝露されるリスクが低い。
移動機構50は、ベース01の下面にロッドクランプ52を介して固定され、ベースを貫通する直動ロッド51を有する。圧力容器02は、直動ロッド51の上端に固定され、移動機構50の動作に伴い、載置ベース03と嵌合あるいは離隔可能な構造である。開閉弁20,30は、圧力容器02の壁面を貫通して形成された流路の外壁面に固定される。加圧機構10は、圧力容器02の壁面を貫通して形成された流路の外壁面に固定され、圧力容器02と載置ベース03が嵌合した時に形成される閉鎖空間の容積を減少させることにより、閉鎖空間内の液体の圧力を増大させる機能を有する。
直動ロッド51はベース01に嵌合した直動軸受53により支承され、圧力容器02を載置ベース03に容易に嵌合させることが可能である。なお、本実施形態は圧力容器の下方に圧力容器の昇降手段を有するが、ベース01と連結した新たなベースを圧力容器の上方に設け、この新たなベースに圧力容器の昇降手段を有していてもよい。
ロッドクランプ52は、直動ロッド51に装着されベース01の下面に固定され直動ロッド51を任意の位置で保持する。
圧力容器02の内部側面の最下部には、開口部を持つ第二の流路06が形成され、第二の流路06に開閉弁20が接続される。また、圧力容器02の対向した内部側面の最上部には、開口部を持つ第一の流路07が形成され、第一の流路07に開閉弁30が接続される。ここでいう「対向した」とは、第二の流路06が、第一の流路07と、圧力容器02において、圧力容器02の中心軸に対して互いに対称となる位置に配置されていることを意味する。第二の流路06が第一の流路07と対向して位置すると、圧力容器02内への加圧液及び空気の注入・排出がスムーズになる。本実施形態では、第一の流路07の開口部と第二の流路06の開口部とは、対向した、すなわち、中心軸に対して180°の位置関係であるが、これに限らない。圧力容器02の内部上面の最上部に第一の流路07の開口部があることが好ましい。載置ベース03が傾斜している場合は、載置ベース03の最下部に接する位置に第二の流路06の開口部があることが好ましい。
本実施形態では、開閉弁として、開閉弁20と開閉弁30を有する。開閉弁は圧力容器02の流路それぞれに備えられている。本実施形態では、第二の流路06が圧力容器02内側の最下部に設けてあり、第一の流路07が圧力容器02内側の最上部に設けてあるので、加圧液を圧力容器02内でよどむことなく循環させることができ、第二の流路06から加圧液を排除できる。本実施形態では、内部上面が傾斜した圧力容器02において、第二の流路06が、内部上面が最も低い箇所の近傍に設けてあり、第一の流路07が、内部上面が最も高い箇所の近傍に設けてあるので、圧力容器02内を加圧液で満たす際に気泡を第一の流路07の方向に集めて排気しやすく、圧力容器02内から加圧液を排出する際に第一の流路07から空気を流入させることにより加圧液を第二の流路06の方向に集めて排液しやすい。
圧力容器02内の加圧液が第二の流路06を通過して外部へ排出される際の入り口、すなわち開口部の通路は、本実施形態では、水平で狭くなっている(例えば第二の流路06を中心とし圧力容器中心に向かって広がる高さ2mm程度の扇形開口)。その後、通路は垂直に上がり、さらに開閉弁20内で再び水平となり、その後、通路は再び垂直に上がって給排ポート24から外部へ排出される。本実施形態によれば、第二の流路06の開口部が載置ベース03に面して設けられているので、加圧液を排出する際に加圧液が残留しにくい。
開閉弁20,30は、圧力容器02の外部側面に装着され、圧力容器02の壁内に形成された第二の流路06、第一の流路07に接続され、圧力容器02の鉛直中心に対して対向した位置に固定されている。
本実施形態では、加圧機構10は、圧力容器02の上壁面を貫通して設置される。加圧機構10は、上蓋を有し中空の加圧室を有する円筒状で、内部には内壁面に摺接して摺動可能な中実の加圧ピストン11を備え、側面上部に、内部の加圧室への貫通穴である加圧ポート12を、加圧室の下端部分となる側面下部に内部の加圧室への貫通穴である減圧ポート13を備える。加圧ピストン11は、最も下がったとき、すなわちピストンの上部の下端が加圧機構10の加圧室の下端まで下がったとき、圧力容器02内の空間の容積を最も減少させる。本実施形態では加圧機構10は圧力容器02の中心部に設けられているが、位置はこれに限られない。
本実施形態では、開閉弁20は、圧力容器02の側面から突出するように設けられ、内部は中空の開閉調整室で内壁面に摺接して摺動可能な中実のスプール21を備え、最も外側に閉操作ポート22、次に開操作ポート23、最も内側すなわち圧力容器側に給排ポート24が設けられている。各ポートは開閉弁20の外側から内部の開閉調整室への貫通穴であり、給排ポート24は圧力容器02の第二の流路06と直結して接続されている。開閉弁30は、開閉弁20と対角の位置に、圧力容器02の側面から突出するように設けられ、中空の開閉調整室で内部にスプール31を備え、最も外側に閉操作ポート32、次に開操作ポート33、最も内側すなわち圧力容器側に給排ポート34が設けられている。各ポートは開閉弁30の外側から内部の開閉調整室への貫通穴であり、給排ポート34は圧力容器02の第一の流路07と直結して接続されている。
開閉弁20,30は圧力容器02の外部側面に設けられており、詳細には、給排ポート24の流路側先端を含む開閉弁20の端部が圧力容器02の外部側面内に嵌合されており、給排ポート34の流路側先端を含む開閉弁30の端部が圧力容器02の外部側面内に嵌合されている。いずれの開閉弁でも、スプールは、中実のピストン状部品である。閉操作ポートの位置にスプールの基端があるときは、給排ポートは流路と繋がった状態となり、開操作ポートの位置にスプールの基端があるときは、流路は塞がれた状態となる。開閉弁20,30は、加圧液の供給を行う外部の加圧液制御系と圧力容器02との間に設置されている。
圧力容器02は上面視円形で、上面中央に加圧機構10が差し込まれて装着された状態で固定してあり、側面に開閉弁20,30が互いに対角となる位置に差し込まれて装着された状態で固定してあり、下部には、円形の可撓膜61が張られ可撓膜クランプ60で固定してあり、その外側に直動ロッド51が4本、互いに対角となる位置に接続してある。なお、本実施形態では圧力容器02の上部に上ヒータ70を設け、載置ベース03に下ヒータ71を設けてあるが、被加工物80への加工の種類によっては設けなくてもよい。
本実施形態では、開閉弁と、加圧液を増圧する加圧機構とが圧力容器に直接接続され一体化して直接装備しているので、高い圧力が生じる外部配管を要せず、したがって、装置の小型化を実現するとともに、加圧時に高圧となる領域を加圧加工処理部である圧力容器に限定することができ、加圧処理圧力が増大しても配管が破裂する心配がなく、安全性が高い。
また、圧力容器02の内部上壁面は、図1に示すように最下部の開口部から最上部の開口部の方向に向かって、適度な鉛直方向の傾斜が形成され、開閉弁20の給排ポート24から圧力容器02に加圧液を注入する場合、圧力容器02の内部上壁面に空気が残留しない構造となっている。本実施形態では、重力を利用して空気が残留しにくい形状となっている。したがって、加圧液の見かけの体積弾性率の低下を防止することができ、加圧に必要な加圧機構の小型化を実現できる。
圧力容器02の内部上壁面を傾斜させる角度は、本実施形態では10度であり、例えば5度から20度が好ましいが、これに限定されない。傾斜させる角度は、使用する加圧液に対する圧力容器02の内壁面の濡れ性により決定され、濡れ性が高ければ傾斜角は小さくてもよい。加圧液は、例えば、水、あるいは、油脂類等の液体でもよい。
本実施形態によれば、空気の残留が防止でき、かつ外部に高圧がかかる配管が不要で、したがって、気泡による体積弾性率低下や配管に圧力が逃げて配管が膨らむことによる体積弾性率の低下を防止できるので、加圧すべき加圧液の見かけの体積弾性率を向上させることができる。したがって、加圧処理圧力が増大しても、高い耐圧性の配管を要することなく、安全性を向上できる。
図1には示していないが、開閉弁20,30を経由して加圧液を圧力容器02に注入あるいは排出する加圧液制御回路が、圧力容器02外に設置されており、圧力容器02と載置ベース03で形成された閉鎖空間に、開閉弁20を経由して加圧液を注入し、開閉弁30から溢れる程度にまで注入することにより、閉鎖空間に加圧液を充満させることができる。その後、2つの開閉弁の給排ポート24,34を閉じ、加圧機構10を動作させることにより、閉鎖空間内の加圧液の圧力を増大させる機構となっている。
加圧機構10は、その動作圧をコントロール可能に構成されており、当該構成により、閉鎖空間内の圧力を安定的かつ容易に可変可能となっている。より好適には、圧力容器02の内部には、閉鎖空間内の圧力をモニタすることが可能な圧力センサ(図示省略)が設置されており、この計測値をもとに、加圧ポート12に供給する作動空気圧力がフィードバック制御されるよう構成されている。当該構成により、より正確に加圧機構10の動作圧、延いては閉鎖空間内の圧力をコントロールすることが可能となる。
また、加圧液と被加工物80とを分離する目的で、すなわち、圧力容器02と載置ベース03を嵌合し開閉弁20,30を閉じたときに形成される閉鎖空間と、被加工物80とを隔てる膜として、本実施形態では、図1に示したように、圧力容器02の下端部に固定した可撓膜61を有するが、後述する第2実施形態に係る液体加圧加工処理装置のように、被加工物80を覆って載置ベース03の上面部に設置した可撓膜61を有するものでもよい。いずれも、載置ベース03は、載置ベース03の上面に開口し、載置ベース03の内部を通って、載置ベース03の外部に連通し、載置ベース03と可撓膜61との間の空気を排気(好適には真空排気)する手段を有する。詳細には、可撓膜61の端部を固定する可撓膜クランプ60を載置ベース03の上面の端部に密着させた状態で、載置ベース03と可撓膜61との間の空気を、載置ベース03の上面の開口部から載置ベース03の外部に連通した第三の流路08を経由して、排気ポート04から排気することにより、真空排気を可能にしている。排気ポート04には、真空ポンプが接続されている。
加圧膜として可撓膜61を使用する本実施形態では、上述した構成により、可撓膜61と、被加工物80を載置した載置ベース03並びに被加工物80との間の残留空気の排除ができる。
なお、作業工程は増えるものの、可撓膜を可撓膜クランプで固定する代わりに、袋状にした可撓膜に被加工物80を内包させ、袋の内部を真空状態にして密閉し、載置ベース03に載置して、可撓膜クランプなしでもよい。さらには、被加工物への液体含浸などの処理の場合には、被加工物80と含侵液とを袋状の部材に真空密閉し、加圧液により加圧することで、処理することも可能である。
本実施形態では、上述したように、小型化可能な加圧処理装置の機構と、漏洩リスクを低減できる排液機構と、効率よく高圧化できるための残留空気排除の機構と、膜使用時の残留空気の排除の機構を有する。
本実施形態では、加圧液の供給を行う外部の加圧液制御系と圧力容器との間に設置する開閉弁を、圧力容器に直接装備するとともに、加圧液を増圧する加圧機構も圧力容器に直接装備するので、高い圧力の生じる配管系を排除できる。また、一体的に構成した圧力容器、加圧機構、開閉弁の内部構造を、重力を利用して空気の残留しにくい形状としてあるので、装置の一体化ができ、これにより、加圧機構の小型化が実現でき、装置の小型化と安全性向上を実現できる。
また、圧力容器の内部上面が傾斜しているので、圧力容器内に加圧液を注入した際に空気が残留しにくくなり、相乗的に被加工物を効率よく加圧でき、したがって、装置の小型化と安全性をさらに高めることができる。
さらに、本実施形態では、加圧液を循環できる構成にし、圧力容器の最下部から加圧液を排除する形態であるので、被加工物を取出す際に被加工物の周囲に加圧液が残留することを抑制できる。すなわち、本実施形態では、内部側面の最下部に開口部を有する流路を設けてあるので、加圧液を排出しやすく、被加工物を取出す際に被加工物の周囲に加圧液が残留することを抑制し、加圧液の漏洩リスクを低減でき、また、被加工物が加圧液に曝露されるリスクを低減できる。また、加圧液の残留を抑制した状態で圧力容器と載置ベースが安全に離隔できる。
[処理方法]
図1から図7により、第1実施形態に係る液体加圧加工処理プロセスを説明する。第1実施形態に係る液体加圧加工処理プロセスでは、上述した第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置を使用する。
第1実施形態に係る液体加圧加工処理プロセスは、概略的には、被加工物80を載置した載置ベース03と、載置ベース03と対向して配置された圧力容器02とを嵌合させて内部空間を形成し、被加工物80を可撓膜61で覆った状態で圧力容器02(又は載置ベース03)に形成された第二の流路06から加圧液を内部空間に注入し、圧力容器02に形成された第一の流路07から内部空間の残留空気を排出し、圧力容器02(又は載置ベース03)に装着された開閉弁20,30を閉じて内部空間を密閉することにより、該内部空間を加圧液で満たされた閉鎖空間とし、圧力容器02(又は載置ベース03)に設けられた加圧機構10により閉鎖空間内の加圧液を加圧して、被加工物80を加圧処理し、加圧処理後、内部空間の加圧液を排出するものである。
このような液体加圧加工処理プロセスによれば、装置の一体化と、これによる装置の小型化と、安全性向上を実現しながら加圧時の空気の残留を防止しつつ加圧処理後に加圧液の残留を軽減でき、よって、被加工物を効率よく加圧でき、加圧液の漏洩リスクが低減でき、また被加工物が加圧液に曝露されるリスクを低減できる。
以下、第1実施形態に係る液体加圧加工処理プロセスについて、より具体的に説明する。
(ステップ1)
図1のように圧力容器02が載置ベース03と離隔した状態において、載置ベース03の上面に、被加工物80が載置される。圧力容器02と可撓膜61とは、開閉弁以外の部分が閉鎖された空間が形成されている。このとき、かかる空間は常圧である。
(ステップ2)
図2は、本発明の第1実施形態に係る液体加圧加工処理方法の説明図Aである。ステップ2では、有蓋筒状の圧力容器02と圧力容器02の底側に配置し被加工物80を載置した載置ベース03とを嵌合する。ステップ1の状態から、移動機構50により、圧力容器02が下降すると、図2に示すように、圧力容器02は載置ベース03に嵌合し、さらに、ロッドクランプ52を締め付けると、直動ロッド51は軸方向の移動が拘束され、圧力容器02と載置ベース03の嵌合状態が保持される。また、被加工物80は、上述した空間内ではなく、載置ベース03と可撓膜61との間に密閉され、上述した空間とは隔てられ、圧力容器02内は、可撓膜61内と可撓膜61外の2つの空間に分離される。本ステップでは、被加工物80は、開口部が内壁最下部に設けてある第二の流路06と開口部が内壁最上部に設けてある第一の流路07を備え内部上面が傾斜した圧力容器02と、可撓膜61を隔てて載置ベース03に載置される。
(ステップ3)
図3は、本発明の第1実施形態に係る液体加圧加工処理方法の説明図Bである。ステップ2の状態から、載置ベース03に設けられた第三の流路08を経由し、可撓膜61と載置ベース03の間に残留する空気が、排気ポート04から吸引される。その結果、被加工物80の周辺は減圧状態となり、図3に示したように、可撓膜61が被加工物80の表面形状に沿い、密着した状態となる。被加工物80を減圧された環境下に置くことで接着界面等に残留する微細な気泡が排除される。
(ステップ4)
ステップ3に続くステップ4では、被加工物80を可撓膜61で覆った状態で、圧力容器02の内部側面の最下部に開口部を有する第二の流路06から加圧液を圧力容器02内に注入する。詳細には、図3の状態において、開閉弁20の給排ポート24から、圧力容器02の内部に向かって、加圧液が注入される。加圧液は、圧力容器02の壁面流路である第二の流路06を通り、可撓膜61の近傍の第二の流路06の開口部から、圧力容器02の内部を満たしていく。加圧液が圧力容器02の壁面上面に達すると、圧力容器02の内部に残留している空気は、内部上壁面の傾斜に沿って移動し、開閉弁30の接続流路である第一の流路07から、給排ポート34に接続された外部の加圧液制御回路(図示省略)に排気される。加圧液の注入をさらに続けると、圧力容器02の内部は常圧の加圧液で完全に満たされる。
(ステップ5)
次のステップ5では、圧力容器02の内部側面の最上部に開口部を有する第一の流路07から圧力容器02内の残留空気を排出する。図4は、本発明の第1実施形態に係る液体加圧加工処理方法の説明図Cである。本ステップでは、ステップ4で残留空気が排除され給排ポート24からの注入を継続した状態で、加圧機構10の減圧ポート13に作動空気を送気し、加圧ピストン11を最上部まで移動する。加圧ピストン11の下部の空間は常圧の加圧液で満たされた状態である。
(ステップ6)
ステップ5の後、ステップ6では、圧力容器02の外部側面に装着された開閉弁20,30を閉じて圧力容器02内を密閉することにより加圧液で満たされた閉鎖空間を形成する。詳細には、開閉弁20の閉操作ポート22、および開閉弁30の閉操作ポート32に、作動空気を送気し、それぞれのスプールが圧力容器側に移動することにより、加圧液の流路と給排ポートとの間が遮断され、圧力容器02と可撓膜61とで囲まれて形成される空間は加圧液で満たされ開閉弁20,30を閉じることで密閉状態となる。図5は、本発明の第1実施形態に係る液体加圧加工処理方法の説明図Dである。図5は、スプール21,31が第二の流路06、第一の流路07と給排ポート24,34との接続を遮断した状態を示す。
(ステップ7)
本ステップでは、圧力容器02の内部上面を貫通して設けられた加圧機構10により閉鎖空間内の加圧液を加圧して、可撓膜61で覆われた被加工物を加圧処理する。詳細には、まず、図5に示した状態で、加圧機構10の加圧ポート12に作動空気を送気する。その結果、加圧ピストン11の上端面には、作動空気の圧力が作用し、加圧ピストン11が下降するため、圧力容器02の内部の空間が加圧され、したがって、該空間を満たす加圧液が圧縮され加圧される。圧力容器02と可撓膜61とで囲まれた範囲は閉じた開閉弁20,30と加圧機構10により密閉されており、このとき密閉された空間すなわち閉鎖空間は加圧状態である。図6は、本発明の第1実施形態に係る液体加圧加工処理方法の説明図Eである。図6は、加圧ピストン11が徐々に下へ押し込まれている状態を示す。加圧ピストン11が下方へ移動した体積分だけ圧力容器02の内部の空間が加圧され、したがって、該空間を満たす加圧液にかかる圧力が増加する。図示はしていないが、圧力容器02の内部に圧力センサを設置し、この計測値をもとに、加圧ポート12に供給する作動空気圧力を制御すれば、加圧液を所望の圧力に制御することが可能である。この状態を所定の時間保持し、加圧加工処理が完了する。被加工物80は、加圧加工処理中、加圧液が含まれる空間とは可撓膜61によって隔てられている。被加工物80には、均一な加圧力が付与され、接着層等の密着性が向上し、したがって加工品質が向上する。
(ステップ8)
加圧加工処理を完了した後、圧力容器02の内部側面の最下部に開口部を有する第二の流路06から加圧液を排出する。図6に示した状態から、開閉弁20と30とを開状態にし、開閉弁30の給排ポート34から、低圧の空気を送気し、開閉弁20の給排ポート24から加圧液を排液する。給排ポート24は、圧力容器02内部に加圧液を注入するポートであるとともに圧力容器02内部から加圧液を排出するポートである。開閉弁20に接続されている圧力容器02の流路は、可撓膜61に接した最下部に開口部を設けているため、加圧液を十分に排除することが可能である。また同時に、加圧機構10の加圧ピストン11は最下部まで下降し、図2に示した状態に復帰する。
(ステップ9)
図2に示した状態から、圧力容器02を上昇させ、図1に示した状態にして、被加工物80を取り出す。
本実施形態によれば、被加工物を効率よく加圧でき、被加工物を取出す際に、加圧液の漏洩リスクを低減でき、また、被加工物の周囲に加圧液が残留することを抑制し被加工物が加圧液に曝露されるリスクを低減できる。可撓膜61の上に加圧液が残留しにくいため、被加工物を取出す際に可撓膜61が万一破損しても、加圧液が漏洩するリスクと、被加工物が加圧液に曝露されるリスクが低減される。したがって、可撓膜の破断リスクの大きい被加工物(例えば、凹凸が多いプリント基板等)でも、微細な被加工物の複雑な表面形状に倣う薄い可撓膜の使用をすることができる。
以上の説明では、加圧機構10の作動に空気圧を使用した例を示したが、液圧あるいは電動の方式を用いることもできる。また、開閉弁20および30は、空気圧駆動を想定した弁構造について説明を行ったが、液圧での駆動、あるいは一般の電磁弁、ボールねじ機構、ラックアンドピニオン機構等の種々の手段を用いることも可能である。
圧力容器02を上下動させる移動機構50は、空気圧シリンダ機構や電動のリニア駆動機構を用いることが可能である。ただし、これらの直動機構には位置検出センサが設けられているものとする。移動機構50のロッドクランプ52は、空気圧作動形式のものが使用できる。あるいは、圧力容器02と載置ベース03との間に、専用のクランプ機構を設けることも可能である。さらに、作動空気制御系、加圧液制御系については、一般の流体制御回路が使用でき、詳細の説明を省略する。
[効果]
本実施形態によれば、載置ベースと圧力容器が嵌合することにより被加工物を加圧処理するチャンバ(圧力容器と載置ベースとが嵌合され開閉弁が閉じられたときに形成される閉鎖空間)を形成し、そのチャンバに加圧機構を直接取り付けてあるので、不要な配管や圧力ポンプ等を排除し小型化できる。本実施形態によれば、載置ベースと圧力容器が離隔することにより、被加工物の取り出しを容易にできる。
本実施形態によれば、加圧処理後、チャンバの内部を排液することにより載置ベースと圧力容器が離隔した際、加圧液の漏洩を防ぐことができる。本実施形態によれば、排液しやすい構造として、第二の流路をチャンバ最下部、第一の流路をチャンバ最上部に設けてあるので、チャンバに満たされた加圧液は給気排気口から空気を入れることにより、空気圧と重力を利用して給液排液口から排出される。チャンバ内に加圧液が残留していなければ加圧液漏洩のリスクは低くなる。
加圧機構を小型化するためには、加圧液を注入する際、チャンバ内の残留空気の排除が重要となるところ、本実施形態によれば、チャンバ上面を最上部にある給気排気口(第一の流路)に向けた傾斜とすることにより、チャンバ内の空気を排除することができる。本実施形態によれば、空気を排除した状態で、加圧機構により加圧を行うことにより、効率よく加圧することができ、効率が良くなったことにより加圧機構の小型化ができる。
本実施形態によれば、被加工物と加工液を分離することにより貼り合わせや転写をすることができる。チャンバ内の給液排液口(第二の流路)直下に可撓性の膜(可撓膜)を加圧膜として設置することにより、被加工物と加圧液を分離できる。また、分離された被加工物側の空間を減圧することにより、可撓膜が被加工物へ密着し、可撓膜と被加工物の間の残留気体を排除することができる。さらには、被加工物と被着体の間の空気を除去し、気泡のない貼り合わせや微細パターンの転写を可能とするための準備となる。そこへ加圧機構によりチャンバ内の加圧液を加圧することにより、その目的、すなわち、貼り合わせや転写、を達成する。また、可撓膜が万一破断した場合でも、上述したように排液することにより、被加工物が加工液に曝露するリスクが低減される。
本実施形態によれば、加圧液の残留を抑制した状態で圧力容器と載置ベースが安全に離隔できる。
本実施形態によれば、圧力容器と開閉弁と加圧機構が一体であり、圧力容器の内部上面が傾斜しており、内壁最下部に流路を有するので、第一に、加圧時に高圧となる領域を加圧加工処理部に極力限定して、装置の一体化を実現し、これにより、装置の小型化と安全性向上を可能とし、第二に、被加工物を取出す際に被加工物の周囲に加圧液が残留することを抑制し、加圧液の漏洩リスク、被加工物が加圧液に曝露されるリスクを低減できる。
従来は外部に配管設備を要したところ、本実施形態では、高圧にさらされる配管が圧力容器と一体化され、配管を含めたサイズが小型化し、配管が高圧になると高まる漏洩リスクや破断リスクも低減される。本実施形態では、一体化により小型化が実現し、かつ、小型ながら高圧にでき、かつ安全である。
可撓膜と被加工物との間に残留空気がある場合、加圧効率が悪くなる。また、被加工物同士の間に残留空気がある場合、被加工物同士の間にボイドとして残る。そのため、残留空気を排除する必要がある。本実施形態では、載置ベースの第三の流路から真空引きをすることにより、可撓膜と載置ベースの間の残留空気を排除することで、加圧効率の向上をはかることができ、加圧機構の小型化を実現するとともに、被加工物同士のボイドを排除することができる。
なお、本実施形態では可撓膜を有するが、被加工物に接触しても問題のない加圧液である場合や、圧力容器を加圧する加圧液で被加工物の含浸加工を行う場合等では、膜は不要である。
[変形例]
なお、第1実施形態では、ベース01及び載置ベース03が水平で圧力容器02の内部上面が鉛直方向に傾斜しているが、第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置の変形例として、図7に示すように圧力容器02を含む流路系全体を適度な角度で傾斜させることでも、加圧液を注入する際の残留空気を排除することが可能である。第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置の変形例では、載置ベース03の上面が、第二の流路06の開口部近傍側を最下部として鉛直方向に対して傾斜している。載置ベース03を圧力容器02と嵌合したときに、第二の流路06の開口部の真下になる部分が低くなっており、したがって、圧力装置内の液が第二の流路06の開口部付近に集まり、排液しやすい。第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置の変形例では、排液能力が高く、加圧液の漏洩リスクが低減され、被加工物が加圧液に曝露されるリスクが低減される。
図7は、本発明の第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置の変形例の全体構成説明図である。本変形例では、圧力容器02は全体が傾斜し、載置ベース03が、圧力容器02の傾斜方向と同じ方向に傾斜している。詳細には、据付床面に対し、流路系全体、すなわち、ベース01、載置ベース03、圧力容器02、開閉弁20,30、移動機構50等が、10度、同じ方向に傾斜している。傾斜角度は5〜20度が好ましいが、これに限定されない。ベース01及び載置ベース03は5〜20度程度傾斜しても、被加工物80は、排気ポート04で被加工物80裏面側の空気を吸い出して被加工物80を載置ベース03に密着させたり周りにホルダを設けることにより、ずれる等の問題は生じない。本変形例では、加圧機構10も圧力容器02の傾斜方向と同じ方向に傾斜している。本変形例によれば、圧力容器02の傾斜により排液力が増すので、上述した第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置の効果に加え、排液能力がさらに向上する。
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態に係る液体加圧加工処理装置の全体構成説明図である。本実施形態においては、被加工物80を覆って載置ベース03の上面部に設置した可撓膜61を有する。圧力容器02の下端部は開放状態で、可撓膜61はない。その他の構成は第1実施形態と同様である。圧力容器02と載置ベース03が離隔されている状態でも、被加工物を可撓膜で覆った状態である。
第2実施形態に係る液体加圧加工処理プロセスを次に説明する。第2実施形態に係る液体加圧加工処理プロセスでは、上述した第2実施形態に係る液体加圧加工処理装置を使用する。
本実施形態における操作手順は、図1に示した状態の代わりに図8の状態となる以外は、上述した第1実施形態に係る加圧加工処理プロセスのステップ1からステップ9と同様である。
本実施形態でも、上述した第1実施形態と同様な作用効果を奏する。
[第3実施形態]
図9は、本発明の第3実施形態に係る液体加圧加工処理装置の全体構成説明図である。本実施形態は、第1実施形態で示した構成のうち、加圧機構と1つの開閉弁の機能を合体させ、さらなる小型化を実現するものである。すなわち、第3実施形態に係る液体加圧加工処理装置において第1実施形態に係る液体加圧加工処理装置と異なる点は、加圧機構10に代えて、第一の開閉弁30及び第二の開閉弁20の少なくとも一方(第3実施形態では第一の開閉弁30)に、内部空間の容積を減少させて該内部空間内の加圧液を加圧可能に構成された開閉弁付加圧機構40を採用した点である。
本実施形態の液体加圧加工処理装置は、具体的には、(1)ベース01と、(2)ベース01の上面に固定され、被加工物80を載置する載置ベース03と、(3)載置ベース03の上方に設けられ、内部側面の最上部に開口部を有する第一の流路07と内部側面の最下部に開口部を有する第二の流路06とを備え、内部上面が第一の流路07の開口部側を最上部として鉛直方向に対して傾斜した有蓋筒状の圧力容器02と、(4)圧力容器02の外部側面に装着され、第二の流路06に接続される開閉弁20と、(5)圧力容器02の外部側面に装着され、第一の流路07に接続される開閉弁であり、かつ、圧力容器02と載置ベース03とが嵌合され開閉弁が閉じられたときに形成される閉鎖空間の容積を減少させて閉鎖空間内を加圧する加圧機構でもある開閉弁付加圧機構40と、(6)上端に圧力容器02が固定されベース01を貫通する直動ロッド51と、ベース01の下面に固定され直動ロッド51を任意の位置で保持するロッドクランプ52とを備え、圧力容器02を載置ベース03に対して昇降させることにより離隔あるいは嵌合させる移動機構50と、(7)開閉弁を経由して圧力容器02に加圧液を注入あるいは排出する加圧液制御回路(図示省略)と、(8)被加工物80を覆う膜である可撓膜61とを有する。
加圧機構を兼ねた開閉弁付加圧機構40は、スプールの径を増大して加圧スプール41とし、図1に示した開閉弁30の位置に設置される。なお、第3実施形態では、第1実施形態における第一の開閉弁30の代わりに開閉弁付加圧機構40を設けるものとして説明したが、これに限定されず、第1実施形態における第二の開閉弁20の代わりに開閉弁付加圧機構40を設ける構成としても良いし、第1実施形態における第一の開閉弁30及び第二の開閉弁20に加えて開閉弁付加圧機構40を設ける構成としても良い。
本実施形態では、開閉弁付加圧機構40は、圧力容器02の壁面を貫通して形成された第一の流路07の外壁面に装着され、開閉弁20とは圧力容器02の鉛直中心に対して対向した位置に、圧力容器02の側面から突出するように設けられ、中空の開閉調整室兼加圧室で、内壁面に摺接し摺動可能な加圧スプール41を備え、最も外側に閉操作ポート42、次に開操作ポート43、最も内側すなわち圧力容器側に給排ポート44が設けられている。各ポートは開閉弁付加圧機構40の外側から内部の開閉調整室兼加圧室への貫通穴であり、給排ポート44は圧力容器02の第一の流路07と直結して接続されている。給排ポート44の流路側先端を含む開閉弁付加圧機構40の端部が圧力容器02の壁面内に嵌合されている。開閉弁20の開閉調整室より開閉弁付加圧機構40の開閉調整室兼加圧室の方が大径である。加圧スプール41は、スプール21より大径である中実のピストン状部品である。閉操作ポートの位置に加圧スプールの基端があるときは、給排ポートは流路と繋がった状態となり、開操作ポートの位置に加圧スプールの基端があるときは、流路は塞がれた状態となる。
開閉弁付加圧機構40は、その動作圧をコントロール可能に構成されており、当該構成により、閉鎖空間内の圧力を安定的かつ容易に可変可能となっている。より好適には、圧力容器02の内部には、閉鎖空間内の圧力をモニタすることが可能な圧力センサ(図示省略)が設置されており、この計測値をもとに、閉操作ポート42に供給する作動空気圧力がフィードバック制御されるよう構成されている。当該構成により、より正確に開閉弁付加圧機構40の動作圧、延いては閉鎖空間内の圧力をコントロールすることが可能となる。
圧力容器02は、加圧機構10が不要となるため、壁面上端面を閉じた構造とすることができる。上ヒータ70は圧力容器02の上面全体に取り付けることができる。加圧に必要な加圧機構をさらに小型化でき、加圧すべき加圧液の容積を最小化でき、その結果、加圧液の圧力による配管系の膨張の影響を受けない構造となり、全体がさらにコンパクトに、かつシンプルになり、製造コストもメンテナンスコストも削減できる。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
第3実施形態に係る液体加圧加工処理プロセスを次に説明する。第3実施形態に係る液体加圧加工処理プロセスでは、上述した第3実施形態に係る液体加圧加工処理装置を使用する。
(ステップ1)
図9に示すように、載置ベース03上に被加工物80がセットされる。
(ステップ2)
図10は、本発明の第3実施形態に係る液体加圧加工処理方法の説明図Aである。本実施形態のステップ2は、第1実施形態のステップ2と同様である。図9に示した状態から、図10に示した状態となる。
(ステップ3)
本実施形態のステップ3は、第1実施形態のステップ3と同様であり、可撓膜61は被加工物80の表面に沿って密着した状態となる。
(ステップ4)
ステップ3に続く本実施形態のステップ4は、被加工物を可撓膜で覆った状態で、圧力容器02の内部側面の最下部に開口部を有する第二の流路06から加圧液を圧力容器02内に注入する。詳細には、第1実施形態のステップ4と同様に、開閉弁20の給排ポート24から、加圧液が圧力容器02に導入され、内部が満たされる。
(ステップ5)
次のステップ5では、圧力容器02の内部側面の最上部に開口部を有する第一の流路07から圧力容器02内の残留空気を排出する。本実施形態のステップ5では、開閉弁付加圧機構40の給排ポート44から、圧力容器02内の残留空気と、余剰の加圧液が排出される。
(ステップ6)
ステップ5の後、ステップ6では、圧力容器02の外部側面に装着された開閉弁20と開閉弁付加圧機構40を閉じて圧力容器02内を密閉することにより加圧液で満たされた閉鎖空間を形成する。本実施形態のステップ6では、開閉弁20の閉操作ポート22に作動空気が送気され、スプール21が圧力容器側に移動することにより、加圧液の第二の流路06と給排ポート24の間が遮断され、開閉弁20が閉状態となる。本実施形態では、加圧機構でもあり開閉弁でもある開閉弁付加圧機構40の閉操作ポート42に作動空気が送気され、加圧スプール41が、圧力容器02側に移動し、開閉弁付加圧機構40の給排ポート44が閉じられる。図11は、本発明の第3実施形態に係る液体加圧加工処理方法の説明図Bである。図11は、被加工物80の周囲が減圧状態になっており、開閉弁20の給排ポート24と開閉弁付加圧機構40の給排ポート44が閉じられた状態を示す。
(ステップ7)
図12は、本発明の第3実施形態に係る液体加圧加工処理方法の説明図Cである。本実施形態のステップ7では、圧力容器02の外部側面に設けられた加圧機構兼開閉弁である開閉弁付加圧機構40により閉鎖空間内の加圧液を加圧して、可撓膜61で覆われた被加工物80を加圧処理する。詳細には、第1実施形態のステップ7と異なり、閉操作ポート42にさらに作動空気を送気し、図12に示したように、加圧スプール41をさらに圧力容器02側に移動して圧力容器内の加圧液を圧縮して加圧する。作動空気の圧力を高めると、加圧スプール41の左端部(基端側)に圧力がかかり、右端面(先端)側すなわち圧力容器側に加圧スプール41が移動する。加圧スプール41が移動した体積分だけ圧力容器02の内部の空間が加圧され、したがって、該空間を満たす加圧液にかかる圧力がその分増加する。図示はしていないが、圧力容器02の内部に圧力センサを設置し、この計測値をもとに、閉操作ポート42に供給する作動空気圧力を制御すれば、加圧液を所望の圧力に制御することが可能である。この状態を所定の時間保持し、加圧加工処理が完了する。
(ステップ8)
加圧加工処理を完了した後、第1実施形態のステップ8と同様に、圧力容器02の内部側面の最下部に開口部を有する第二の流路06から加圧液を排出する。本実施形態では、図12に示した状態から、開閉弁20と開閉弁付加圧機構40とを開状態にし、開閉弁付加圧機構40の給排ポート44から、低圧の空気を送気し、開閉弁20の給排ポート24から加圧液を排液し、図10に示した状態に復帰する。開閉弁20に接続されている圧力容器02の第二の流路06は、可撓膜61に接した最下部に開口部を設けているため、加圧液を十分に排除することが可能である。
(ステップ9)
図10に示した状態から、圧力容器02を上昇させ、図9に示した状態にして、被加工物80を取り出す。
[効果]
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、加圧時に高圧となる領域を加圧加工処理部に極力限定して、一体化を実現できる。これにより、装置の小型化と安全性向上を可能とし、第二に、被加工物を取出す際に被加工物の周囲に加圧液が残留することを抑制し、加圧液の漏洩リスク、被加工物が加圧液に曝露されるリスクを低減できる。
本実施形態では、開閉弁及び加圧機構が圧力容器に直接接続され一体化しているので、外部配管を要せず、さらに、加圧機構が開閉弁に包含されており、したがって、装置のさらなる小型化を実現するとともに、加圧時に高圧となる領域を加圧加工処理部である圧力容器に限定することができ、加圧処理圧力が増大しても配管が破裂する心配がなく、安全性が高い。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。また、上記各実施の形態の構成要素を発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせることができる。
例えば、上述した実施形態に係る液体加圧加工処理プロセスでは、加圧液を増圧し加圧加工するプロセスについて説明してきたが、被加工物80を加熱する必要がある場合は、圧力容器02の上面と、載置ベース03の下面とに、上ヒータ70と、下ヒータ71とを配置し、被加工物80を所望の温度に設定することが可能である。加圧液制御回路内に、加圧液加熱ユニット及び冷却ユニットを設ければ、被加工物80の温度をさらに急速に変化させることも可能である。
上述した実施形態では、載置ベース03の上方に圧力容器02が設けられる縦型の液体加圧加工処理装置を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
上述した実施形態では、第一の流路07の内部空間に臨む開口部が、圧力容器02の内部側面の最上部に設けられるものとして説明したが、これに限定されず、内部空間内の気体を排出させるという機能を阻害しない範囲において、該開口部の位置は任意に変更可能であり、例えば圧力容器02の内部上面に形成される構成としても良い。
上述した実施形態では、第二の流路06の内部空間に臨む開口部が、圧力容器02の内部側面の最下部に設けられるものとして説明したが、これに限定されず、内部空間に対して加圧液を供給するという機能を阻害しない範囲において、該開口部の位置は任意に変更可能であり、例えば載置ベース03に形成される構成としても良い。
上述した実施形態では、圧力容器02の内部上面が第一の流路07の開口部側を最上部として鉛直方向に対して傾斜するものとして説明したが、これに限定されず、圧力容器02の内部上面の一部のみが鉛直方向に対して傾斜する構成や、圧力容器02の内部上面が鉛直方向に対して傾斜せずに平坦な構成など、種々の構成を採用可能である。
上述した実施形態では、開閉弁20,30が圧力容器02の外部側面に装着されるものとして説明したが、これに限定されず、装置本体(圧力容器02又は載置ベース03)に一体に設けられる構成であれば、開閉弁20,30の設置位置は任意に変更可能であり、また、圧力容器02の側壁内に埋め込まれる構成としても良いし、
上述した実施形態では、圧力容器02に加圧機構10又は開閉弁付加圧機構40が設けられるものとして説明したが、これに限定されず、装置本体(圧力容器02又は載置ベース03)が内部空間内に充填された加圧液を加圧可能な構成であれば良く、例えば、閉鎖空間の形成後に圧力容器02を載置ベース03に対して接近させる(又は載置ベース03を圧力容器02に対して接近させる)ことで、閉鎖空間内の加圧液を加圧する構成であっても良い。また、加圧機構10及び開閉弁付加圧機構40の設置位置は、閉鎖空間内の加圧液を加圧するという機能を阻害しない範囲において、任意に変更可能であり、例えば圧力容器02の内部側面や載置ベース03等に設置されても良い。
上述した実施形態では、移動機構50が、直動ロッド51及びロッドクランプ52を備えるものとして説明したが、これに限定されず、載置ベース03及び圧力容器02の少なくとも一方を他方に対して接近又は離隔する方向に相対移動させることが可能な構成であれば、例えば気圧式又は油圧式シリンダ機構、ボールねじ機構、ラックアンドピニオン機構及びトグル機構等の種々の構成を採用することが可能である。なお、移動機構50は、載置ベース03及び圧力容器02が相対移動不能となるよう位置保持(ロック)可能な構成、例えば、閉鎖空間内の圧力(内圧)以上の圧力で載置ベース03及び圧力容器02の少なくとも一方を押さえ込むことで載置ベース03及び圧力容器02の相対移動を規制する構成や、物理的なロック機構等の構成を更に備えることが好ましい。
上述した実施形態では、載置ベース03の上面が、第二の流路06の開口部近傍側を最下部として鉛直方向に対して傾斜しているものとして説明したが、これに限定されず、載置ベース03の上面の一部のみが鉛直方向に対して傾斜する構成や、載置ベース03の上面が鉛直方向に対して傾斜せずに平坦な構成など、種々の構成を採用可能である。
加圧加工処理は、電子部品を含めて多くの分野で用いられており、本発明の応用先は広い。また、加圧液を直接、被加工物に接触できる場合は、可撓膜を排除し、より簡単な装置構成で加圧加工処理を行うことが可能である。
01 ベース
02 圧力容器
03 載置ベース
04 排気ポート
06 第二の流路
07 第一の流路
08 第三の流路
10 加圧機構
11 加圧ピストン
12 加圧ポート
13 減圧ポート
20,30 開閉弁
21,31 スプール
22,32 閉操作ポート
23,33 開操作ポート
24 給排ポート
34 給排ポート
40 開閉弁付加圧機構
41 加圧スプール
42 閉操作ポート
43 開操作ポート
44 給排ポート
50 直動機構
51 直動ロッド
52 ロッドクランプ
53 直動軸受
60 可撓膜クランプ
61 可撓膜
70 上ヒータ
71 下ヒータ
80 被加工物

Claims (9)

  1. 被加工物を載置可能な載置ベース、及び、該載置ベースと対向して配置され、該載置ベースと嵌合した状態において該載置ベースとの間に内部空間を形成可能な圧力容器を有する装置本体と、
    前記載置ベース及び前記圧力容器の少なくとも一方を他方に対して接近又は離隔する方向に相対移動させる移動機構と
    を備え、
    前記装置本体は、
    前記内部空間内の気体を排出可能な第一の流路と、該内部空間に対して加圧液を供給可能な第二の流路とが形成され、
    該第一の流路を開閉させる第一の開閉弁と、該第二の流路を開閉させる第二の開閉弁とが設けられており、
    前記内部空間内に充填された加圧液を加圧可能に構成されている
    ことを特徴とする液体加圧加工処理装置。
  2. 前記第一の流路の前記内部空間に臨む開口部は、前記第二の流路の前記内部空間に臨む開口部よりも鉛直方向上方に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体加圧加工処理装置。
  3. 前記圧力容器は、前記載置ベースの鉛直方向上方に配されており、内部上面と内部側面とを有する形状に形成され、
    前記第一の流路の前記内部空間に臨む開口部は、前記圧力容器の前記内部上面又は前記内部側面の上部に形成されており、
    前記第二の流路の前記内部空間に臨む開口部は、前記圧力容器の前記内部側面の下部又は前記載置ベースに形成されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体加圧加工処理装置。
  4. 前記圧力容器の前記内部上面は、前記第一の流路の前記開口部が最上部となるよう鉛直方向に対して傾斜している
    ことを特徴とする請求項3に記載の液体加圧加工処理装置。
  5. 前記装置本体は、前記圧力容器の前記内部上面あるいは前記内部側面を貫通して装着され、前記内部空間の容積を減少させて該内部空間内の加圧液を加圧する加圧機構を有する
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の液体加圧加工処理装置。
  6. 前記第一の開閉弁及び前記第二の開閉弁の少なくとも一方は、前記内部空間の容積を減少させて該内部空間内の加圧液を加圧可能に構成された開閉弁付加圧機構である
    ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の液体加圧加工処理装置。
  7. 前記載置ベースの上面が、前記第二の流路の前記開口部近傍側を最下部として鉛直方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の液体加圧加工処理装置。
  8. 前記被加工物を覆い前記被加工物と加圧液とを分離する膜を有し、
    前記膜が、前記圧力容器の下端部に固定した可撓膜、あるいは前記載置ベースの上面部に設置した可撓膜であって、
    前記載置ベースが、該載置ベースの上面に開口し該載置ベースの内部を通って、該載置ベースの外部に連通し、該載置ベースと前記可撓膜との間の空気を排気する手段を有する
    ことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の液体加圧加工処理装置。
  9. 被加工物を載置した載置ベースと、前記載置ベースと対向して配置された圧力容器とを嵌合させて内部空間を形成し、
    前記被加工物を可撓膜で覆った状態で前記圧力容器又は前記載置ベースに形成された第二の流路から加圧液を前記内部空間に注入し、
    前記圧力容器に形成された第一の流路から前記内部空間の残留空気を排出し、
    前記圧力容器又は前記載置ベースに装着された開閉弁を閉じて前記内部空間を密閉することにより、該内部空間を加圧液で満たされた閉鎖空間とし、
    前記圧力容器又は前記載置ベースに設けられた加圧機構により前記閉鎖空間内の加圧液を加圧して、前記被加工物を加圧処理し、
    加圧処理後、前記内部空間の加圧液を排出する
    ことを特徴とする液体加圧加工処理方法。
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