JP2020176953A - 鋼管用水圧試験のシール機構および鋼管用水圧試験機 - Google Patents

鋼管用水圧試験のシール機構および鋼管用水圧試験機 Download PDF

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【課題】弁体の円滑な摺動が可能な鋼管用水圧試験のシール機構を提供する。【解決手段】鋼管内に高圧水を充填して液漏れの有無を判定する鋼管用水圧試験において、高圧水を鋼管内に封止させるシール機構12であって、高圧水を流通させる流路41を備えるケーシング40と、ケーシング40に対して摺動して、流路41を開閉させる弁体42と、ケーシング40に対する弁体42の摺動部分を封止して、流路41と外部とを遮断するパッキン51を備え、パッキン51の高圧水と接する側にアダプタ部材53を配置し、アダプタ部材53に、高圧水をパッキン51まで流通させる導通路を形成したことを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、鋼管内に高圧水を充填して液漏れの有無を判定する鋼管用水圧試験に関する。
例えばUO鋼管等の鋼管の品質に関する規格の一つに、鋼管用水圧試験がある。鋼管用水圧試験は、鋼管内に水を充填し、さらに高圧水の供給により水圧を上昇させ、規定の水圧に一定時間保持して、鋼管の欠陥による水漏れの有無等を判定するものである。例えば特許文献1には、このような水圧試験を行うための水圧試験機において、油圧作動油として水−グリコール系油圧作動油を用い、表面処理鋼管の洗浄および水圧試験に使用する媒体液に混入する水−グリコール系油圧作動油の混合限界を5%以下にする技術が開示されている。
特開平06−138011号公報
しかしながら、鋼管用水圧試験において鋼管内に充填される高圧水には、鋼管に付着していた油成分や埃などの汚染物質が混入している。また、高圧水は循環して使用されることも多く、初めは汚れていなくても使用回数が多くなると共に徐々に汚染の度合いが高くなっていく。汚染度の高い水で鋼管用水圧試験を行うと、高圧水に接して配置されるアダプタ部材や弁体のパッキンに汚染物質が付着して詰まった状態となって、パッキンの内圧が高くなって摺動抵抗が大きくなり、弁体の作動不良を生ずる恐れがあった。例えば、鋼管用水圧試験の終了時には、鋼管内に充填されていた高圧水が抜き取られ、鋼管内を封止していた弁が開放されることとなる。ところが、高圧水が抜き取られた後もパッキンの内圧が逃げずに高圧のままとなり、弁体の円滑な摺動が妨げられる懸念があった。
したがって本発明の目的は、弁体の円滑な摺動が可能な鋼管用水圧試験のシール機構を提供することにある。
上記問題を解決するため、本発明によれば、鋼管内に高圧水を充填して液漏れの有無を判定する鋼管用水圧試験において、高圧水を鋼管内に封止させるシール機構であって、高圧水を流通させる流路を備えるケーシングと、前記ケーシングに対して摺動して、前記流路を開閉させる弁体と、前記ケーシングに対する前記弁体の摺動部分を封止して、前記流路と外部とを遮断するパッキンを備え、前記パッキンの高圧水と接する側にアダプタ部材を配置し、前記アダプタ部材に、高圧水を前記パッキンまで流通させる導通路を形成したことを特徴とする、鋼管用水圧試験機のシール機構が提供される。
このシール機構において、前記アダプタ部材に形成された前記導通路は、スリット溝であっても良い。また、前記アダプタ部材に形成された前記導通路は、貫通孔であっても良い。また、前記アダプタ部材に形成された前記導通路は、スリット溝と貫通孔の両方であっても良い。
また、本発明によれば、鋼管内に高圧水を充填して液漏れの有無を判定する鋼管用水圧試験機であって、鋼管の管端部に取り付けられて高圧水を鋼管内に封止させるシール機構が、上記のシール機構であることを特徴とする、鋼管用水圧試験機が提供される。
本発明のシール機構にあっては、アダプタ部材に高圧水をパッキンまで流通させる導通路が形成されているので、高圧水を鋼管内に封止させた際に高圧となったパッキンの内圧を、導通路を通じてケーシング内の流路に速やかに逃がすことができる。このため、本発明によれば、パッキンの内圧が逃げずに高圧のままとなることによる弁体の摺動不良が解消され、弁体の円滑な摺動が可能となり、弁が閉じたままとなってしまう事態を解消できる。
本発明の実施形態にかかる鋼管用水圧試験機の概略を示すブロック図である。 本発明の実施形態にかかるシール機構の説明図であり、流路が開かれた状態を示す。 本発明の実施形態にかかるシール機構の説明図であり、流路が閉じられた状態を示す。 本発明の実施形態にかかるシール機構におけるパッキンとアダプタ部材を説明するための部分拡大図である。 アダプタ部材の平面図である。 アダプタ部材の部分拡大平面図である。 図6中のX−Xにおけるアダプタ部材の部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態の一例を、図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
鋼管用水圧試験機1において、試験体である鋼管Sは、長手方向を水平にした状態で設置され、鋼管Sの両端の開口はヘッドストック2とテールストック3で挟持される。ヘッドストック2には給水管10が接続され、テールストック3には排水管11が接続される。排水管11には、シール機構12が設けられており、シール機構12が開かれると、鋼管S内から排水された水が排水管11を通って給水タンク13に戻される。
給水タンク13の水は、満水用ポンプ21、昇圧用ポンプ22、圧力保持用ポンプ23の3種類のポンプに供給され、それぞれのポンプから順次、鋼管Sの内部に給水されるように接続されている。
満水用ポンプ21は、給水タンク13から供給された水を常圧の状態で鋼管Sに供給し、鋼管Sの内部を満水状態にするものである。満水用ポンプ21と鋼管Sとは低圧水供給管31で接続され、低圧水供給管31は途中から三方弁32を介して分岐し、昇圧用ポンプ22に接続されている。
昇圧用ポンプ22は、油圧機器24により油圧駆動され、満水用ポンプ21から供給された水を所定の水圧の高圧水として第一の高圧水供給管33へ供給する油圧水変換コンバータタイプのものが用いられる。昇圧用ポンプ22の能力としては、吐出圧力が水圧試験の規定圧力よりも低く、吐出量が多いものが好ましい。
圧力保持用ポンプ23は、給水タンク13から供給された水を、高圧水の状態で第二の高圧水供給管34へ供給する。この実施の形態では、第二の高圧水供給管34は、昇圧用ポンプ22と鋼管Sとを接続する第一の高圧水供給管33の途中に接続されている。圧力保持用ポンプ23には、例えばプランジャーポンプ等、昇圧用ポンプ22よりも吐出圧力の能力が高く吐出量が小さいものが用いられる。第二の高圧水供給管34の途中には、圧力調整用リリーフ弁25が接続されている。圧力調整用リリーフ弁25は、鋼管S内の水圧を検知している圧力計14からの信号を受けて弁の開閉を行い、所定圧力以上の圧力が検知されると弁が開き、圧力保持用ポンプ23から吐出される水を給水タンク13に逃がす。圧力調整用リリーフ弁25を流れる水の容量を、圧力保持用ポンプ23の水の最大吐出量と同じかそれ以上とすることで、圧力保持用ポンプ23からの給水を停止させずに、鋼管S内を常に規定の圧力に保持することができる。なお、圧力調整用リリーフ弁25としては、直動テーパタイプのものが好適である。
シール機構12は、高圧水を鋼管Sの内部に封止させるものであり、排水管11に取り付けられている。シール機構12のケーシング40の内部には、排水管11を通る高圧水を流通させる流路41が形成されている。また、ケーシング40には、ケーシング40に対して摺動して、流路41を開閉させる円柱形状の弁体(ラム)42が装着されている。
弁体42には、駆動手段としてのシリンダー43が取り付けられており、このシリンダー43の稼働により、図2に示すように、弁体42が流路41内から引き抜かれると、流路41が開かれて排水管11内を高圧水が流れる状態となる。一方、シリンダー43の稼働により、図3に示すように、弁体42が流路41内に押し込まれると、流路41が閉じられて高圧水の流れが遮断され、高圧水が鋼管S内に封止された状態となる。
鋼管S内の高圧水を確実に封止できるように、ケーシング40に対する弁体42の摺動部分には、パッキン50、51が設けられている。一方のパッキン50は、弁体42が流路41内に押し込まれた際に弁体42の周側面に密着して流路41を塞ぐ封止手段である。図2に示すように、弁体42が流路41内から引き抜かれた際には、弁体42の周側面が一方のパッキン50から離れることにより、流路41が開かれた状態となる。このパッキン50は、例えば弁体42の周側面を囲むリング状のゴム製Vパッキンを複数積層した構成である。
他方のパッキン51は、図2、3に示すように、弁体42が流路41内から引き抜かれた際と弁体42が流路41内に押し込まれた際のいずれの場合も弁体42の周側面に常に密着して、ケーシング40の内部の流路41と外部とを遮断している封止手段である。このパッキン51は、例えば弁体42の周側面を囲むリング状のゴム製Vパッキンとリング状の銅製Vパッキンを複数積層した構成である。
このようにケーシング40の内部の流路41と外部とを遮断しているパッキン51の上方(ケーシング40の外部となる側)には、弁体42の周側面を囲むリング状の押え部材52が配置され、パッキン51の下方(ケーシング40の内部であり、高圧水と接する側)には、弁体42の周側面を囲むリング状のアダプタ部材53が配置されている。
図4に示すように、押え部材52は、ケーシング40にねじ結合で固定されている。この押え部材52によってパッキン51の上方への抜け出しが防止されている。
また、アダプタ部材53の下面には段部55が設けられており、この段部55が、ケーシング40に設けられた段部56で押えられることにより、アダプタ部材53の落下が防止されている。そして、アダプタ部材53によってパッキン51の下方への抜け落ちが防止されている。
アダプタ部材53には、ケーシング40の内部の流路41を流れる高圧水をパッキン51まで流通させる二種類の導通路60、61が形成されている。一方の導通路60は、アダプタ部材53の内面側に形成されたスリット溝である。このスリット溝からなる導通路60により弁体42の周側面に沿って形成された空隙を通ることにより、ケーシング40の内部の流路41を流れる高圧水がパッキン51の下面側まで流通することができる。
また、このスリット溝からなる導通路60は、アダプタ部材53の上面まで形成され、アダプタ部材53の外面側まで達している。このため、このスリット溝からなる導通路60を通じて、高圧水がパッキン51の全幅方向に渡って流通することができる。
他方の導通路61は、アダプタ部材53の内部を上下に貫通する貫通孔である。この貫通孔からなる導通路61は、アダプタ部材53の上面において、スリット溝からなる導通路60の位置に開口している。このため、この貫通孔からなる導通路61を通じて、高圧水がパッキン51の下面側まで流通し、更に、パッキン51の全幅方向に渡って流通することができる。
鋼管用水圧試験機1において、水圧試験開始時には、鋼管Sを所定位置に設置した後、先ず、低圧水供給管31の三方弁32を満水用ポンプ21から鋼管Sに給水される向きに開き、満水用ポンプ21から鋼管Sへ水を供給する。鋼管Sの内部が満水になった後、シール機構12において、流路41内から弁体42を引き抜いて流路41を開いた状態で、一定時間、例えば数秒間程度そのまま給水し、余分な水を鋼管Sの排水管11から排水して、鋼管S内部の空気を抜く。
その後、鋼管S内の空気が抜かれた状態で、シール機構12において、弁体42を流路41内に押し込み、流路41を閉じて鋼管S内を封止した状態にする。
次に、低圧水供給管31の三方弁32を昇圧用ポンプ22側へ切り替えて、満水用ポンプ21から昇圧用ポンプ22に給水する。さらに、油圧機器24により昇圧用ポンプ22を油圧駆動し、昇圧用ポンプ22からの吐出水量を調整して、所定の高圧水を、第一の高圧水供給管33から鋼管Sの内部に供給する。例えば、水圧試験の規定圧力を60MPaとし、昇圧用ポンプ22からの給水は、油圧の脈動等によって規定圧力を超えることがないレベル、例えば44MPa程度になるまで行われる。このとき、鋼管S内の水圧に応じて、昇圧用ポンプ22の吐出圧力を段階的に切り替えて給水するようにしてもよい。
鋼管S内が所定の圧力(例えば44MPa)に達すると、昇圧用ポンプ22の弁35を閉じ、圧力保持用ポンプ23からの給水に切り替えて、水圧の調整を行う。圧力保持用ポンプ23からの給水は、例えば44MPaから規定の60MPaになるまで行われる。鋼管S内の水圧が60MPaに達すると、圧力調整用リリーフ弁25が開き、圧力保持用ポンプ23から供給される水は、圧力調整用リリーフ弁25を介して給水タンク13に戻される。圧力調整用リリーフ弁25は、スプリングにより弁の開閉が行われるため、水圧試験の規定の圧力Prに近い圧力Pcrになると、それ以降少しずつ弁が開き始め、少しずつ弁から水が排出されて、鋼管S内の圧力の上昇が緩やかになる。したがって、ハンチング等により一時的に規定の圧力Prを超えることなくPrに到達できる。そして、圧力計14からの信号により、鋼管S内が所定の圧力Prになったことが検知されると、圧力調整用リリーフ弁25が開放され、圧力保持用ポンプ23から供給される水は、全て圧力調整用リリーフ弁25を介して給水タンク13へ戻される。すなわち、圧力Prに達すると、圧力保持用ポンプ23からの給水が続いている状態でも、速やかに鋼管Sへの給水が止まり、圧力Prを超えることがない。一方、鋼管S内の圧力が下がったときには、圧力調整用リリーフ弁25が閉じ、圧力保持用ポンプ23からの給水を鋼管S内に速やかに送ることができる。したがって、極めて正確に規定圧力Prを保持することができる。
そして、水圧試験が終了すると、シール機構12において、流路41内から弁体42を引き抜いて流路41を開いた状態にする。これにより、鋼管S内の水は、排水管11から給水タンク13へ排水される。
ここで、このように水圧試験の終了後に、シール機構12において、流路41を開いた状態にする場合、試験中に高圧水に接して配置されるアダプタ部材53やパッキン51に汚染物質が付着して詰まった状態となり、パッキン51の内圧が高くなって摺動抵抗が大きくなるり、弁体42の作動不良を生ずる恐れがあった。また、高圧水が抜き取られた後もパッキン51の内圧が逃げずに高圧のままとなり、弁体42の円滑な摺動が妨げられる懸念があった。
しかるに、本発明の実施の形態に示したシール機構12にあっては、アダプタ部材53に、流路41内の高圧水をパッキン51まで流通させる導通路60、61が形成されているので、高圧水を鋼管S内に封止させた際に高圧となったパッキン51の内圧を、流路41が開かれた際に、導通路60、61を通じてケーシング40内の流路41に速やかに逃がすことができる。この場合、スリット溝からなる導通路60はアダプタ部材53の上面においてアダプタ部材53の外面側まで達しており、さらに、貫通孔からなる導通路61がアダプタ部材53の上面においてスリット溝からなる導通路60の位置に開口しているので、パッキン51の全幅方向に渡って流通することができ、パッキン51の内圧をより速やかに逃がすことができる。その結果、パッキン51の内圧が逃げずに高圧のままとなることによる弁体42の摺動不良が解消され、弁体42の円滑な摺動が可能となり、シール機構12が閉じたままとなってしまう事態を解消できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
以上の実施の形態では、排水管11に設けられたシール機構12に本発明を適用した例を示したが、本発明は、鋼管用水圧試験で用いられる他のシール機構にも同様に適用できる。また、内圧を逃がすパッキン51として、Vパッキンを例示したが、Vパッキンに限らず他の形状、形式のパッキンにも本発明を適用できる。
本発明は、試験体に高圧水を給水する水圧試験に適用できる。
S 鋼管
1 鋼管用水圧試験機
2 ヘッドストック
3 テールストック
10 給水管
11 排水管
12 シール機構
13 給水タンク
14 圧力計
21 満水用ポンプ
22 昇圧用ポンプ
23 圧力保持用ポンプ
24 油圧機器
25 圧力調整用リリーフ弁
31 低圧水供給管
32 三方弁
33 第一の高圧水供給管
34 第二の高圧水供給管
40 ケーシング
41 流路
42 弁体
43 シリンダー
50、51 パッキン
52 押え部材
53 アダプタ部材
55、56 段部
60、61 導通路

Claims (5)

  1. 鋼管内に高圧水を充填して液漏れの有無を判定する鋼管用水圧試験において、高圧水を鋼管内に封止させるシール機構であって、
    高圧水を流通させる流路を備えるケーシングと、
    前記ケーシングに対して摺動して、前記流路を開閉させる弁体と、
    前記ケーシングに対する前記弁体の摺動部分を封止して、前記流路と外部とを遮断するパッキンを備え、
    前記パッキンの高圧水と接する側にアダプタ部材を配置し、
    前記アダプタ部材に、高圧水を前記パッキンまで流通させる導通路を形成したことを特徴とする、鋼管用水圧試験機のシール機構。
  2. 前記アダプタ部材に形成された前記導通路は、スリット溝であることを特徴とする、請求項1に記載の鋼管用水圧試験機のシール機構。
  3. 前記アダプタ部材に形成された前記導通路は、貫通孔であることを特徴とする、請求項1に記載の鋼管用水圧試験機のシール機構。
  4. 前記アダプタ部材に形成された前記導通路は、スリット溝と貫通孔の両方であることを特徴とする、請求項1に記載の鋼管用水圧試験機のシール機構。
  5. 鋼管内に高圧水を充填して液漏れの有無を判定する鋼管用水圧試験機であって、
    鋼管の管端部に取り付けられて高圧水を鋼管内に封止させるシール機構が、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシール機構であることを特徴とする、鋼管用水圧試験機。
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