JP2021009941A - 基板吸着機構およびそれを備えた半導体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】より簡単な構造によって半導体ウェハを吸着することができる基板吸着機構と、その吸着機構を備えた半導体製造装置とを提供する。【解決手段】基板吸着機構1は、静電チャック部2とフレーム15と加減圧室17とを備えている。静電チャック部2は、円形静電チャック3a、第1環状静電チャック3bおよび第2環状静電チャック3cによって構成される静電チャック3とヒンジ7とを備えている。ヒンジ7は、静電チャック3における加減圧室17に臨む側の全面を覆うように、静電チャック3に装着されている。加減圧室17への流体の吸排出によって、静電チャック3に載置される半導体ウェハの面と交差する方向の静電チャック3の動きが許容される。【選択図】図2
Description
本発明は、基板吸着機構およびそれを備えた半導体製造装置に関する。
半導体装置の製造工程では、主に半導体ウェハの表面に種々のプロセスを施すことによって半導体素子および配線等が形成されることになる。半導体ウェハへのプロセスは、半導体製造装置によって行われる。半導体製造装置では、半導体ウェハのプロセスに対応した適正なウェハ保持機構が採用されている。たとえば、大気圧のもとで行われるプロセスには、真空吸着式のウェハ保持機構が採用されている。一方、減圧下で行われるプロセスには、静電チャック方式のウェハ保持機構が採用されている。
一般的に、静電チャック方式による半導体ウェハの吸着力は、真空吸着方式による半導体ウェハの吸着力よりも弱い。このため、半導体ウェハが変形している場合には、ウェハ保持機構と半導体ウェハとの間に生じた隙間によって、半導体ウェハがウェハ保持機構に確実に吸着されず、吸着不良が発生する場合がある。
このような吸着不良を解消するウェハ保持機構が提案されている。たとえば、特許文献1では、半導体ウェハの変形量を測定する計測部を備えたウェハ保持機構が提案されている。このウェハ保持機構では、計測部によって測定された半導体ウェハの変形量に基づいて、周方向および径方向に複数に分割された静電チャックを、変形した半導体ウェハに沿うように昇降させ、半導体ウェハと静電チャックとの隙間を小さくすることで、吸着不良を抑制している。
半導体ウェハの変形は、半導体製造装置によるプロセスによって半導体ウェハに生じる残留応力が要因とされる。プロセスには、たとえば、成膜プロセス、エッチングプロセス、注入プロセス等がある。
成膜プロセスは、たとえば、化学気相成長装置またはスパッタ装置によって行われる。エッチングプロセスは、たとえば、ドライエッチング装置またはウェットエッチング装置によって行われる。注入プロセスは、たとえば、イオン注入装置によって行われる。
一般的に、これらのプロセスによって、半導体ウェハには、局所的なダメージが与えられるというよりは、むしろ、半導体ウェハの全面にダメージが与えられることになる。このため、半導体ウェハに生じる残留応力は、ほぼ、同心円状に分布すると考えられる。このため、半導体ウェハの変形態様としては、2つの変形態様がある。一つは、上に向かって凸となるように変形する態様である。他の一つは、下に向かって凸となるように変形する態様である。
本発明は、このような半導体ウェハの変形態様を考慮して、より簡単な構造によって半導体ウェハを吸着することができる基板吸着機構を提供することを一の目的とし、そのような基板吸着機構を備えた半導体製造装置を提供することを他の目的とする。
本発明に係る基板吸着機構は、基板を吸着する基板吸着機構であって、フレームと静電チャック部と流体室とを有している。静電チャック部は、フレームに配置され、基板が載置される。流体室は、フレームと静電チャック部との間に形成され、静電チャック部に正圧および負圧を及ぼす。静電チャック部は、静電チャックと弾性部材とを備えている。静電チャックは、環状に分割された複数の環状静電チャックを含み、載置された基板を吸着する。弾性部材は、静電チャックに装着され、静電チャック部に載置された基板の面と交差する方向の静電チャックの動きを許容する。
本発明に係る半導体製造装置は、上述した基板吸着機構を備えている。
本発明に係る基板吸着機構によれば、基板が載置される静電チャック部は、環状に分割された複数の環状静電チャックを含み、載置された基板を吸着する静電チャックと、載置された基板の面と交差する方向の静電チャックの動きを許容する弾性部材とを備えている。これにより、従来の基板吸着機構に比べてより簡単な構造で、より安価に、変形した基板を吸着することができる。
本発明に係る半導体製造装置によれば、上述した基板吸着機構を適用することで、より簡単な構造で、より安価に、変形した基板を吸着することができる。
実施の形態1.
実施の形態1に係る基板吸着機構の一例について説明する。
実施の形態1に係る基板吸着機構の一例について説明する。
図1、図2および図3に示すように、基板吸着機構1は、静電チャック部2と、フレーム15と、流体室としての加減圧室17とを備えている。静電チャック部2は、フレーム15に配置されている。フレーム15は、底部15aと外周部15bとを有する。加減圧室17は、フレーム15と静電チャック部2との間に形成されている。
静電チャック部2は、環状に分割された複数の環状静電チャックを含み、載置された半導体ウェハを吸着する静電チャック3と、弾性部材としてのヒンジ7とを備えている。静電チャック3は、たとえば、円形静電チャック3a、第1環状静電チャック3bおよび第2環状静電チャック3cによって構成される。円形静電チャック3aには、内部電極5aが配置されている。第1環状静電チャック3bには、内部電極5bが配置されている。第2環状静電チャック3cには、内部電極5cが配置されている。内部電極5a、5b、5cは、静電チャック制御部19に電気的に接続されている。
加減圧室17は、底部15a、外周部15bおよび静電チャック部2によって仕切られた空間に形成されている。フレーム15の底部15aには、加減圧室17に連通する、流体の吸排口16が設けられている。吸排口16には、流体が流れる配管23が接続されている。配管23は、流体吸排制御部21に繋がっている。
ヒンジ7は、静電チャック3における加減圧室17に臨む側の全面を覆うように、静電チャック3に装着されている。ヒンジ7は、フレーム15の外周部15bに支持されている。ヒンジ7は、加減圧室17と外部とをシールするシール材としての機能を有する。
第1環状静電チャック3bと第2環状静電チャック3cとの間に位置するヒンジ7の部分には、加減圧室17が位置する側から反対側に向かって折り込まれる態様で切り込み部7aが形成されている。円形静電チャック3aと第1環状静電チャック3bとの間に位置するヒンジ7の部分にも切り込み部7a(図2参照)が形成されている。
切り込み部7aが形成されていることで、加減圧室17への流体の吸排出によって、静電チャック3に載置される半導体ウェハ(図示せず)の面と交差する方向の静電チャック3の動きが容易になる。このとき、ヒンジ7における外周部分はフレーム15の外周部15bに支持されているため、ヒンジ7における中央部に位置する部分が、半導体ウェハの面と交差する方向に動くことになる。この場合、ヒンジ7は、ダイヤフラムとしての機能を有することになる。まず、図4の上段に示すように、加減圧室17内の圧力が、基板吸着機構1の周辺の圧力と同じ圧力の定常状態では、静電チャック部2は変形していない。
図2および図4の中段に示すように、流体が、吸排口16より加減圧室17へ吸入されると、加減圧室17内の圧力が、基板吸着機構1の周辺の圧力よりも高くなる正圧状態になる。正圧状態では、ヒンジ7および静電チャック3を含む静電チャック部2が、上に向かって凸となるように変形する。
一方、図2および図4の下段に示すように、流体が、吸排口16より加減圧室17から排出されると、加減圧室17内の圧力が、基板吸着機構1の周辺の圧力よりも低くなる負圧状態になる。負圧状態では、ヒンジ7および静電チャック3を含む静電チャック部2が、下に向かって凸となるように変形する。
静電チャック部2では、ほぼ同心円状に3つに分割された静電チャック3を例に挙げて説明したが、2つ以上に分割されていればよい。分割する数が増えるにしたがって、変形した半導体ウェハに、静電チャック3をより正確に沿わせることができる。静電チャック3としては、半導体ウェハの想定される変形した形状の曲率に合わせられるように、半導体ウェハの径方向位置に応じて、静電チャック3の径方向の長さを変えて分割することが望ましいが、等間隔に分割した静電チャック3を適用してもよい。
加減圧室17に吸入および排出される流体としては、気体であってもよいし、液体であってもよい。気体の場合には、静電チャック3および配管23等に腐食等の悪影響を与えない気体が望ましく、たとえば、容易に使用できる空気または窒素等が望ましい。液体の場合には、容易に使用できる水またはオイル等が望ましい。
ヒンジ7は、隣り合う一方の静電チャック3と他方の静電チャックとの間に位置する部分に切り込み部7aが形成されていることで、弾性変形がよりしやすくなる。ヒンジ7としては、弾性変形を起こす材料であればよく、静電チャック3の剛性を考慮すると、たとえば、ステンレスまたはアルミニウム合金等の金属が望ましい。
ヒンジ7は、一連の静電チャック3に装着されるように、一体構造とされている。ヒンジ7と静電チャック3とは、接着材によって接合されていてもよいし、ヒンジ7をネジによって、静電チャック3に締結するようにしてもよい。
なお、ヒンジとしては、一体構造のヒンジ7の他に、図5に示すように、個別ヒンジ9でもよい。個別ヒンジ9は、互いに隣り合う静電チャック3と静電チャック3との間に装着されている。個別ヒンジ9は、ネジ13によって静電チャック3に締結されていてもよいし、接着材(図示せず)によって静電チャック3に接着されていてもよい。また、金属製のヒンジ7の他に、弾性部材として、樹脂等の弾性部材を適用することができる。
加減圧室17から流体がリークしたり、加減室内17内に流体が流入するのを阻止するために、個別ヒンジ9と静電チャック3との間には、Oリング11が配置されている。第2環状静電チャック3cとフレーム15の外周部15bとの間には、個別ヒンジ(図示せず)が装着されている。静電チャック部2の外周部分は、フレーム15の外周部15bに支持されている。この場合、Oリング11を含む個別ヒンジ9と静電チャック3とが、加減圧室17と外部とをシールするシール材としての機能を有する。
まず、図2および図6の上段に示すように、加減圧室17内の圧力が、基板吸着機構1の周辺の圧力と同じ圧力の定常状態では、静電チャック部2は変形していない。図2および図6の中段に示すように、流体が、吸排口16より加減圧室17へ吸入(導入)されると、加減圧室17内の圧力が、基板吸着機構1の周辺の圧力よりも高くなる正圧状態になる。正圧状態では、個別ヒンジ9および静電チャック3を含む静電チャック部2が、上に向かって凸となるように変形する。
一方、図2および図6の下段に示すように、流体が、吸排口16より加減圧室17から排出されると、加減圧室17内の圧力が、基板吸着機構1の周辺の圧力よりも低くなる負圧状態になる。負圧状態では、個別ヒンジ9および静電チャック3を含む静電チャック部2が、下に向かって凸となるように変形する。
ヒンジ7または個別ヒンジ9の剛性としては、加減圧室17への流体の吸入と排出とによって、静電チャック部2の中央部に位置する静電チャック3(円形静電チャック3a)が、上下方向に約500μm程度移動するのを許容する程度の剛性が望ましい。また、半導体装置の製造工程に応じて、半導体ウェハの変形量は変わるため、その変形量に応じて、ヒンジ7または個別ヒンジ9の剛性をあらかじめ決めておいてもよい。
静電チャック制御部19は、各静電チャック3に静電力を発生させるだけでなく、各静電チャック3と半導体ウェハとの静電容量を検知する機能を有する。すなわち、内部電極5a、5b、5cに電圧を印加した際に、各静電チャック3と半導体ウェハとの間の静電容量を検知することで、静電チャック3と半導体ウェハとの密着性を判断することができる。
次に、基板吸着機構1による半導体ウェハの吸着の手順の一例について説明する。図7に、フローチャートの一例を示す。図7に示すように、処理が開始されると、ステップS1では、半導体ウェハが基板吸着機構へ搬送される。次に、ステップS2では、静電チャックの内部電極に電圧が印加される。次に、ステップS3では、半導体ウェハが静電チャックに吸着されたか否かが判断される。
半導体ウェハが静電チャックに吸着されたと判断された場合には、吸着動作が完了したとして、処理が終了する。一方、半導体ウェハが静電チャックに吸着されていないと判断された場合には、ステップS4において、加減圧室に流体が徐々に吸入される。次に、ステップS5では、半導体ウェハが静電チャックに吸着されたか否かが判断される。
半導体ウェハが静電チャックに吸着されたと判断された場合には、吸着動作が完了したとして、処理が終了する。一方、半導体ウェハが静電チャックに吸着されていないと判断された場合には、ステップS6において、加減圧室に吸入された流体の量がしきい値(最大値)であるか否かが判断される。
流体の量がしきい値(最大値)を超えていないと判断された場合には、ステップS4〜ステップS6までの処理が繰り返される。ステップS6において、流体の量がしきい値(最大値)に達していると判断された場合には、ステップS7において、加減圧室から流体が徐々に排出される。
次に、ステップS8では、半導体ウェハが静電チャックに吸着されたか否かが判断される。半導体ウェハが静電チャックに吸着されたと判断された場合には、吸着動作が完了したとして、処理が終了する。一方、半導体ウェハが静電チャックに吸着されていないと判断された場合には、ステップS9において、加減圧室から排出された流体の量がしきい値(最大値)であるか否かが判断される。
流体の量がしきい値(最大値)を超えていないと判断された場合には、ステップS7〜ステップS9までの処理が繰り返される。ステップS9において、流体の量がしきい値(最大値)に達していると判断された場合には、半導体ウェハが静電チャックに最終的に吸着されなかったとして、吸着エラーが出力される。
次に、基板吸着機構1による半導体ウェハの吸着の手順の一例について、より具体的に説明する。ここでは、半導体ウェハが、たとえば、下に凸となるように変形している場合を想定して説明する。
まず、図8に示すように、半導体ウェハ31が、基板吸着機構1に搬送される(ステップS1)。次に、静電チャック3の内部電極に電圧が印加される(ステップS2)。次に、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されたか否かが判断される(ステップS3)。ここでは、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されていないと判断されて、次に、図9に示すように、加減圧室17に流体が徐々に吸入される(ステップS4)。
次に、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されたか否かが判断される(ステップS5)。ここでは、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されていないと判断される。次に、加減圧室17に流体を徐々に吸入する処理(ステップS4)、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されたか否かを判断する処理(ステップS5)、加減圧室に吸入される流体の量がしきい値に達しているか否かを判断する処理(ステップS6)が、繰り返して行われる。
ここでは、加減圧室に吸入された流体の量がしきい値に達しても、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されていないため、半導体ウェハ31は、上に凸となるように変形していないと判断される。
次に、図10に示すように、加減圧室17から流体が徐々に排出される(ステップS7)。次に、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されたか否かが判断される(ステップS8)。次に、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されたか否かを判断する処理(ステップS8)が行われる。次に、加減圧室から排出される流体の量がしきい値に達しているか否かを判断する処理(ステップS9)が行われる。
ここでは、ステップS7〜ステップS9を繰り返す間に、下に凸なるように変形した半導体ウェハ31に対して、下に凸となるように静電チャック3が徐々に変形することで、半導体ウェハ31と静電チャック3との隙間が狭まり、図11に示すように、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されたと判断される。
図12に示すように、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されると、加減圧室17内の圧力が大気圧になるまで、加減圧室17内に流体が吸入される。その後、静電チャック3に吸着された半導体ウェハ31は、半導体製造装置において、所望の処理が行われることになる。
上述した基板吸着機構1によれば、環状に分割されてヒンジ7が装着された静電チャック3が、加減圧室17内の圧力によって半導体ウェハ31の面と交差する方向に動くことで、変形した半導体ウェハ31を静電チャック3に吸着させることができる。これにより、従来の基板吸着機構に比べてより簡単な構造で、より安価に、変形した半導体ウェハ31を吸着することができる。
上述した基板吸着機構1では、加減圧室17内の圧力によって、静電チャック3は、上に凸となるように動くか、または、下に凸となるように動くことになる。このとき、上(下)に凸となるように動いた静電チャック3の形状(凸(凹)型形状)を維持するために、ヒンジ7には、伸びが生じる。半導体ウェハ31の変形量が比較的大きい場合には、ヒンジ7の伸びも大きくなる。
このため、変形した半導体ウェハ31が静電チャック3によって吸着された後、加減圧室17内の圧力を大気圧(常圧)にする際には、伸びたヒンジ7によって、半導体ウェハ31には、半導体ウェハ31を歪ませようとする応力が発生する。この応力によって、変形した半導体ウェハ31が損傷を受けることも想定される。
そこで、ヒンジ7に起因する応力を緩和するために、外側に配置されている静電チャックの吸着力を、内側に配置されている静電チャックの吸着力よりも小さくなるように、静電チャック制御部19によって印加する電圧を制御してもよい。この場合には、半導体ウェハ31が、吸着力が弱められた静電チャック3を滑ることになり、ヒンジ7に起因する応力が、半導体ウェハ31に及ぶのを抑制することができる。
なお、上述した吸着手順(フローチャート)では、加減圧室に、まず、流体を吸入させ(ステップS4〜S6)、次に、加減圧室から流体を排出する(ステップS7〜S9)場合について説明したが、この逆の手順でもよい。すなわち、まず、加減圧室から流体を排出し(ステップS7〜S9)、次に、加減圧室に流体を吸入させる(ステップS4〜S6)ようにしてもよい。この手順によれば、半導体ウェハが、下に凸となるように変形している場合に、半導体ウェハを静電チャック3に吸着させるまでの時間を短縮させることができる。
実施の形態2.
ここでは、前述した基板吸着機構1を適用した半導体製造装置の一例について説明する。静電チャック3を備えた基板吸着機構1は、真空下で半導体ウェハに処理を行う半導体製造装置によく使用される。その一例として、イオン注入装置を例に挙げて説明する。
ここでは、前述した基板吸着機構1を適用した半導体製造装置の一例について説明する。静電チャック3を備えた基板吸着機構1は、真空下で半導体ウェハに処理を行う半導体製造装置によく使用される。その一例として、イオン注入装置を例に挙げて説明する。
イオン注入装置では、イオン源から発生させたイオンを高速加速させてイオンビーム化し、半導体ウェハ等のイオン注入の対象物にイオンビームを照射することで、イオンが注入される。
図13に示すように、イオン注入装置51は、イオンビーム生成部53、プロセスチャンバー54および大気搬送部55を備えている。イオンビーム生成部53は、イオン源57とイオンビームライン59とによって構成される。イオン源57は、イオンを発生させる。イオンビームライン59は、発生したイオンを高速加速してイオンビーム化し、必要とされるイオン種に分離してイオンビームを生成する。
プロセスチャンバー54では、イオン注入の対象とされる半導体ウェハ31が、高真空状態の下におかれる。上述した基板吸着機構1は、プロセスチャンバー54内に配置されている。大気搬送部55では、前の工程から搬送されてきた半導体ウェハ31がプロセスチャンバー54へ搬入され、イオン注入処理が完了した半導体ウェハ31がプロセスチャンバー54から搬出される。
次に、イオン注入装置51の動作について簡単に説明する。前の工程が完了した半導体ウェハ31が、大気搬送部55に設置されたロードカセット79に搬送される。大気側搬送ロボット73によって、ロードカセット79内の半導体ウェハが、アライナー77に搬送される。アライナー77では、半導体ウェハの周方向の位置合わせが行われる。半導体ウェハの、たとえば、オリエンテーションフラットまたはノッチ等の周方向位置が、定められた位置に合わせられる。
次に、位置合わせされた半導体ウェハは、大気側搬送ロボット73によって、プロセスチャンバー54に設置されたロードロックチャンバー67に搬送される。イオン注入が行われるプロセスチャンバー54内は、高真空の状態が保たれている。ロードロックチャンバー54内を真空の状態にすることで、半導体ウェハをプロセスチャンバー54内に搬送することができる。
ロードロックチャンバー54内に搬送された半導体ウェハは、真空側搬送ロボット71によって、基板吸着機構1の静電チャック63に載置される。静電チャック63に載置された半導体ウェハ31は、静電チャック63に吸着されて基板吸着機構1に保持される。このとき、半導体ウェハ31の変形量が大きい場合には、搬送エラーが発生するため、上述した手順によって、半導体ウェハ31を静電チャック3に確実に吸着させる。
一般的に、イオンビームライン59は、イオン注入装置51の構成上、水平に設置されるため、イオンビーム61は、水平方向へ引き出される。そのイオンビーム61を半導体ウェハ31にある注入角度をもって照射するためには、イオンビーム61が進む方向と交差する方向に半導体ウェハ31を配置する必要がある。このため、半導体ウェハ31を確実に保持しなければならず、半導体ウェハ32にダメージを与えるおそれがあるメカニカルチャックよりも、静電チャックが多く採用されている。
半導体ウェハ31へのイオン注入が完了すると、基板吸着機構1の静電チャック3に吸着された半導体ウェハ31の吸着状態が解除される。吸着状態が解除された半導体ウェハ31は、真空側搬送ロボット71によって、ロードロックチャンバー69へ搬送される。
ロードロックチャンバー69が大気開放された後、半導体ウェハ31は、大気側搬送ロボット75によって、アンローダカセット81へ搬送される。アンローダカセット81に搬送された半導体ウェハ31は、次の工程へ送られる。こうして、イオン注入装置51による半導体ウェハ31への一連のイオン注入処理が完了する。
上述したイオン注入装置51では、高真空の状態が保持されたプロセスチャンバー54内に、上述した基板吸着機構1が設置されている。これにより、簡単な構造で、安価に、変形した半導体ウェハ31を確実に吸着することができ、半導体製造装置のコストの低減に貢献することができる。
なお、基板吸着機構1は、上述したイオン注入装置51の他に、たとえば、減圧式の化学気相成長装置、スパッタ装置、または、ドライエッチング装置等の真空系の半導体製造装置に適用することができる。
実施の形態3.
実施の形態3に係る基板吸着機構の一例について説明する。
実施の形態3に係る基板吸着機構の一例について説明する。
図14に示すように、基板吸着機構1では、半導体ウェハ31の変形量を計測する変位計25(25a、25b)が配置されている。なお、これ以外の構成については、図1〜図3に示す基板吸着機構1の構成と同様なので、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
変位計25として、たとえば、レーザ光を使って半導体ウェハ31の中央部の高さ位置を計測する変位計25aと、半導体ウェハ31の外周部の高さ位置を計測する変位計25bとが配置されている。ここでは、2つの変位計25a、25bを例に挙げたが、3つ以上の変位計を配置してもよい。
また、半導体ウェハ31の特定の箇所を計測する他に、たとえば、レーザ干渉計のように、半導体ウェハ31の全面を測定することが可能な測定器を用いてもよい。変位計25によって計測された、半導体ウェハ31の中央部の計測値と、半導体ウェハ31の外周部の計測値との差分値によって、半導体ウェハ31の変形量と変形モードとに関する知見を得ることができる。
次に、基板吸着機構1による半導体ウェハの吸着の手順の一例について説明する。図15に、フローチャートの一例を示す。図15に示すように、処理が開始されると、ステップT1では、半導体ウェハが基板吸着機構へ搬送される。次に、ステップT2では、半導体ウェハの変形量が計測される。次に、ステップT3では、計測された半導体ウェハの計測値に基づいて、半導体ウェハが変形しているか否かが判断される。
半導体ウェハが変形していると判断された場合には、ステップT4において、変形モードが判断される。変形モードとして、半導体ウェハが下に向かって凸となるように変形している場合には、ステップT6において、半導体ウェハの変形量に応じて、加減圧室の流体が排出されて、静電チャック3が、下に向かって凸となるように移動する。次に、ステップT7では、静電チャックの内部電極に電圧が印加される。
一方、ステップT4において、変形モードとして、半導体ウェハが上に向かって凸となるように変形していると判断される場合には、ステップT5において、半導体ウェハの変形量に応じて、加減圧室に流体が吸入されて、静電チャック3が、上に向かって凸となるように移動する。次に、ステップT7では、静電チャックの内部電極に電圧が印加される。
また、ステップT3において、半導体ウェハは変形していないと判断された場合には、直接、ステップT7において、静電チャックの内部電極に電圧が印加される。ステップT7において、静電チャックの内部電極に電圧が印加された後、ステップT8では、半導体ウェハが静電チャックに吸着されたか否かが判断される。
ステップT8において、半導体ウェハが静電チャックに吸着されたと判断された場合には、吸着動作が完了したとして、処理が終了する。一方、半導体ウェハが静電チャックに吸着されていないと判断された場合には、吸着エラーが出力される。また、ステップT3において、半導体ウェハの変形量がしきい値を超えていると判断される場合にも、吸着エラーが出力される。
次に、基板吸着機構1による半導体ウェハの吸着の手順の一例について、より具体的に説明する。ここでは、半導体ウェハが、たとえば、上に凸となるように変形している場合を想定して説明する。
まず、図16に示すように、半導体ウェハ31が、基板吸着機構1に搬送される(ステップT1)。次に、変位計25によって、半導体ウェハ31の変形量が計測される。たとえば、変位計25aによって、半導体ウェハ31の中央部の高さ位置が計測される。変位計25bによって半導体ウェハ31の外周部の高さ位置が計測される。
次に、半導体ウェハ31の中央部の高さ位置と半導体ウェハ31の外周部の高さ位置との差分値が算出される。ここでは、算出された差分値から、半導体ウェハ31は、上に凸となるように変形していると判断される。
次に、図17に示すように、算出された差分値に応じて、加減圧室に流体を吸入し、静電チャック3を、上に向かって凸となるように移動させる。次に、静電チャック3の内部電極に電圧が印加される。
次に、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されたか否かが確認される。半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されたと判断された場合には、図18に示すように、吸着動作が完了したとして、処理が終了する。一方、半導体ウェハ31が静電チャック3に吸着されていないと判断された場合には、吸着エラーが出力される。
上述した基板吸着機構1では、静電チャック3に搬入された半導体ウェハの変形量が、あらかじめ計測されて、変形モードが判断される。その変形量に基づいて、静電チャック3が半導体ウェハ31に沿うように動かされる。これにより、静電チャック3に半導体ウェハが吸着されるまでの時間を大幅に短縮させることができる。
なお、各実施の形態において説明した基板吸着機構1については、必要に応じて種々組み合わせることが可能である。
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、静電チャックを適用した基板吸着機構に有効に利用される。
1 基板吸着機構、2 静電チャック部、3 静電チャック、3a 円形静電チャック、3b 第1環状静電チャック、3c 第2環状静電チャック、5a、5b、5c 内部電極、7 ヒンジ、7a 切り込み部、9 個別ヒンジ、11 Oリング、13 ネジ、15 フレーム、15a 底部、15b 外周部、16 吸排口、17 加減圧室、19 静電チャック制御部、21 流体吸排制御部、23 配管、25、25a、25b 変位計、31 半導体ウェハ、51 イオン注入装置、53 イオンビーム生成部、54 プロセスチャンバー、55 大気側搬送部、57 イオン源、59 イオンビームライン、61 イオンビーム、67、69 ロードロックチャンバー、71 真空側搬送ロボット、73、75 大気側搬送ロボット、77 アライナー、79 ロードカセット、81 アンロードカセット。
Claims (9)
- 基板を吸着する基板吸着機構であって、
フレームと、
前記フレームに配置され、前記基板が載置される静電チャック部と、
前記フレームと前記静電チャック部との間に形成され、前記静電チャック部に正圧および負圧を及ぼす流体室と
を有し、
前記静電チャック部は、
環状に分割された複数の環状静電チャックを含み、載置された前記基板を吸着する静電チャックと、
前記静電チャックに装着され、前記静電チャック部に載置された前記基板の面と交差する方向の前記静電チャックの動きを許容する弾性部材と
を備えた、基板吸着機構。 - 前記弾性部材は、前記静電チャックにおける前記流体室に臨む側の全面に装着された、請求項1記載の基板吸着機構。
- 前記弾性部材は、複数の前記環状静電チャックにおける、隣り合う一の環状静電チャックと他の環状静電チャックとの間に装着され、
前記弾性部材は、前記一の環状静電チャックと前記他の環状静電チャックのそれぞれに密着するシール部材を含む、請求項1記載の基板吸着機構。 - 前記弾性部材は、ヒンジを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の基板吸着機構。
- 前記ヒンジは金属である、請求項4記載の基板吸着機構。
- 前記静電チャック部に載置された前記基板の変形量を計測する変位計が配置された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板吸着機構。
- 前記変位計は、前記静電チャック部に載置された前記基板の中心部の第1高さ位置と、前記基板の外周部の第2高さ位置との差分値を計測する、請求項6記載の基板吸着機構。
- 前記第1高さ位置と前記第2高さ位置との差分値に基づいて、前記基板が、下に向かって凸となるように反っているか、上に向かって凸となるように反っているかが判断され、
前記基板が、下に向かって凸となるように反っていると判断された場合には、前記静電チャック部に負圧が及ぶように、前記流体室から流体が排出され、前記静電チャックが前記基板に沿うように移動した時点で、前記基板が前記静電チャックに吸着され、
前記基板が、上に向かって凸となるように反っていると判断された場合には、前記静電チャック部に正圧が及ぶように、前記流体室へ流体が導入され、前記静電チャックが前記基板に沿うように移動した時点で、前記基板が前記静電チャックに吸着される、請求項7記載の基板吸着機構。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の基板吸着機構を備えた、半導体製造装置。
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---|---|---|---|
JP2019123344A JP2021009941A (ja) | 2019-07-02 | 2019-07-02 | 基板吸着機構およびそれを備えた半導体製造装置 |
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JP2021012981A (ja) * | 2019-07-09 | 2021-02-04 | 日本特殊陶業株式会社 | 基板保持装置 |
-
2019
- 2019-07-02 JP JP2019123344A patent/JP2021009941A/ja active Pending
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