JP2021008910A - 軸固定構造 - Google Patents

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【課題】保持部材に圧入される軸が圧入方向と反対方向にずれることを抑制できる、軸固定構造を提供する。【解決手段】ユニットケース2にシャフト挿通穴12による円筒面13と貫通穴15とが形成されている。円筒面13には、ステータシャフト3の圧入部21が圧入される。貫通穴15には、ねじ25がねじ込まれる。貫通穴15は、円筒面13で開放されており、ねじ25は、円筒面13から突出して、その先端部が圧入部21の周面に形成された溝23に受け入れられる。【選択図】図3

Description

本発明は、保持部材に保持される軸を保持部材に固定する構造に関する。
たとえば、自動変速機を搭載した車両では、エンジンなどの駆動源からの動力がトルクコンバータを介して自動変速機に伝達される。
トルクコンバータは、ポンプインペラとタービンランナとの間にステータが配置された構成を有している。駆動源からの動力によりポンプインペラが回転すると、ポンプインペラからタービンランナに向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナのブレードで受けられて、タービンランナが回転する。そして、タービンランナの回転が自動変速機に伝達されることにより、トルクコンバータによる自動変速機への動力の伝達が達成される。ステータが設けられていることにより、タービンランナからポンプインペラに戻されるオイルの流れがポンプインペラの回転を加速する方向に偏向され、ポンプインペラの回転トルクが増幅される。
ステータは、ステータシャフトにワンウエイベアリングにより保持されている。そして、ステータシャフトは、たとえば、トルクコンバータおよび自動変速機を収容するユニットケースに固定される。ステータシャフトをユニットケースに固定的に保持させる方式として、ステータシャフトの外周面にローレットを形成し、そのローレットが形成された部分をユニットケースに圧入する方式が知られている。
特開2008−208892号公報
その方式では、ステータシャフトに入力される捻り荷重(回転方向の荷重)に対して、その荷重を受け持つことができる。しかしながら、ステータシャフトには、ステータがオイルの流れを受けることによる振れ回り荷重や油圧により、軸方向の荷重が発生する。そのため、ステータシャフトがユニットケースへの圧入方向と反対方向にずれるおそれがある。
本発明の目的は、保持部材に圧入される軸が圧入方向と反対方向にずれることを抑制できる、軸固定構造を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る軸固定構造は、保持部材に保持される軸を保持部材に固定する構造であって、保持部材には、軸が圧入される円筒面と、円筒面で開放される円柱状の貫通穴とが形成されており、貫通穴には、タッピンねじがねじ込まれ、軸の周面には、貫通穴にねじ込まれたタッピンねじの先端部を受け入れる溝が形成されている。
この構造では、保持部材に円筒面および貫通穴が形成されている。円筒面には、軸が圧入される。貫通穴には、タッピンねじがねじ込まれる。貫通穴は、円筒面で開放されており、タッピンねじは、円筒面から突出して、その先端部が軸の周面に形成された溝に受け入れられる。そのため、軸に圧入方向と反対方向の軸方向荷重が加わったときに、タッピンねじがストッパとなって、軸が圧入方向と反対方向にずれることを抑制できる。
また、タッピンねじが貫通穴にねじ込まれるので、貫通穴の内周面に雌ねじが形成され、その雌ねじ形成後のスプリングバックにより、雌ねじとタッピンねじとの隙間がなくなって耐緩み性が生じる。そのため、緩み防止のための接着剤の塗布が不要であり、材料コストおよび工程数の低減を図ることができる。
本発明の他の局面に係る軸固定構造は、保持部材に保持される軸を保持部材に固定する構造であって、保持部材には、軸が圧入される円筒面と、円筒面で開放される円柱状の貫通穴とが形成されており、貫通穴は、円筒面の中心線の方向に対して傾斜する方向に延び、貫通穴には、平面状の先端面を有するねじがねじ込まれ、軸の周囲には、貫通穴にねじ込まれたねじの先端部を受け入れる溝が形成され、溝は、貫通穴の中心線と直交する当接面を有している。
この構造では、保持部材に円筒面および貫通穴が形成されている。円筒面には、軸が圧入される。貫通穴には、ねじがねじ込まれる。貫通穴は、円筒面で開放されており、ねじは、円筒面から突出して、その先端部が軸の周面に形成された溝に受け入れられる。そのため、軸に圧入方向と反対方向の軸方向荷重が加わったときに、ねじがストッパとなって、軸が圧入方向と反対方向にずれることを抑制できる。
しかも、貫通穴が円筒面の中心線の方向に対して傾斜し、溝が貫通穴の中心線と直交する当接面を有しているので、その当接面に貫通穴にねじ込まれたねじの先端面を当接させることができる。ねじの先端面が溝の当接面に当接することにより、ねじと軸との間のがたがなくなるので、軸が圧入方向と反対方向にずれることを一層抑制できる。
いずれの軸固定構造においても、軸の外周面にローレットが形成されて、そのローレットが形成された部分が保持部材の貫通穴に圧入されることが好ましい。これにより、軸に捻り荷重が加わったときに、その捻り荷重をローレットの圧入部分で受け持つことができる。そのため、軸が捻り方向にずれることをより抑制できる。
本発明によれば、保持部材に圧入される軸が圧入方向と反対方向にずれることを抑制できる。
本発明の一実施形態に係る軸固定構造が適用された変速ユニットの一部を示す斜視図である。 変速ユニットの一部をトルクコンバータの回転軸線方向の一方側から見た図である。 図2に示される切断面線A−Aにおけるステータシャフトおよびユニットケースの断面図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<軸固定構造>
図1は、本発明の一実施形態に係る軸固定構造が適用された変速ユニット1の一部を示す斜視図である。
変速ユニット1は、ユニットケース2内にトルクコンバータと自動変速機とを収容し、エンジンなどの駆動源からの動力を変速するユニットである。トルクコンバータは、ポンプインペラとタービンランナとの間にステータが配置された構成を有しており、ステータは、ステータシャフト3にワンウエイベアリングにより保持されている。ステータシャフト3は、ユニットケース2に固定されている。
図2は、変速ユニット1の一部をトルクコンバータの回転軸線方向の一方側から見た図である。図3は、図2に示される切断面線A−Aにおけるユニットケース2およびステータシャフト3の断面図である。
ユニットケース2には、部分的に厚みを大きくすることにより厚肉部11が形成されている。厚肉部11には、シャフト挿通穴12がトルクコンバータの回転軸線方向(以下、単に「回転軸線方向」という。)に貫通して形成されている。シャフト挿通穴12は、中心線が回転軸線方向に延びる円筒面13を有している。また、厚肉部11は、回転軸線方向の一方側の端部14がその一方側に向けて縮径した円錐台状に形成されている。
また、ユニットケース2には、円柱状の貫通穴15が形成されている。貫通穴15は、回転軸線方向に対して傾斜して延びている。そして、貫通穴15は、円筒面13と円錐台状の端部14の周面との間を貫通し、その両端が円筒面13と端部14の周面とで開放されている。
ステータシャフト3は、略円筒状に形成されており、その一端部は、ユニットケース2のシャフト挿通穴12の直径よりも僅かに大きい外径を有する圧入部21として形成されている。ステータシャフト3は、シャフト挿通穴12に回転軸線方向の一方側、つまりユニットケース2の端部14が形成されている側から、圧入部21と反対側の端部をシャフト挿通穴12に向けて、シャフト挿通穴12に挿通される。そして、圧入部21がシャフト挿通穴12に圧入される。
圧入部21の周面には、シャフト挿通穴12に対する圧入方向の上流側(圧入部21がシャフト挿通穴12に圧入された状態における回転軸線方向の一方側)の端部に、たとえば、ステータシャフト3の中心線方向に延びる多数の突条からなるローレット22が形成されている。そのため、圧入部21がシャフト挿通穴12に圧入されるときに、シャフト挿通穴12の円筒面13がローレット22によるローレット加工を受ける。
また、圧入部21の周面には、溝23が形成されている。溝23は、当接面24を有する断面略V字状をなしている。当接面24は、圧入部21がシャフト挿通穴12に圧入された状態で貫通穴15の中心線に対して直交する平面に形成されている。
圧入部21がシャフト挿通穴12に圧入される際、溝23が貫通穴15と重なるように、ステータシャフト3の回転位置が調整される。そして、溝23が貫通穴15に重なる位置まで圧入部21がシャフト挿通穴12に圧入されると、貫通穴15にねじ25がねじ込まれる。ねじ25は、タッピンねじであって、ねじ頭を有していないいもねじである。ねじ25の両端は、略平面に形成されており、一方側の端面には、たとえば、工具を嵌合させるための角穴(たとえば、六角穴または六角星穴)が形成されている。ねじ25は、角穴が形成されている端面と反対側の端面を貫通穴15内に向けて、貫通穴15にねじ込まれる。このとき、貫通穴15の内周面に雌ねじが塑性成形され、そのセルフタップ後には、スプリングバックにより雌ねじとねじ25のねじ山との間の隙間がなくなる。ねじ25は、シャフト挿通穴12の円筒面13から突出し、先端面が溝23の当接面24に当接するまでねじ込まれる。
<作用効果>
以上のように、ユニットケース2にシャフト挿通穴12による円筒面13と貫通穴15とが形成されている。円筒面13には、ステータシャフト3の圧入部21が圧入される。貫通穴15には、ねじ25がねじ込まれる。貫通穴15は、円筒面13で開放されており、ねじ25は、円筒面13から突出して、その先端部が圧入部21の周面に形成された溝23に受け入れられる。そのため、圧入部21に圧入方向と反対方向の圧入部21方向荷重が加わったときに、ねじ25がストッパとなって、圧入部21が圧入方向と反対方向にずれることを抑制できる。
しかも、貫通穴15が回転軸線方向(円筒面13の中心線の方向)に対して傾斜し、溝23が貫通穴15の中心線と直交する当接面24を有しているので、その当接面24に貫通穴15にねじ25込まれたねじ25の先端面を当接させることができる。ねじ25の先端面が溝23の当接面24に当接することにより、ねじ25と圧入部21との間のがたがなくなるので、圧入部21が圧入方向と反対方向にずれることを一層抑制できる。
さらに、圧入部21の外周面にローレット22が形成されており、そのローレット22が形成された部分がユニットケース2の貫通穴15に圧入される。これにより、圧入部21に捻り荷重が加わったときに、その捻り荷重をローレット22の圧入部分で受け持つことができる。そのため、圧入部21が捻り方向にずれることをより抑制できる。
また、ねじ25がタッピンねじであり、そのねじ25が貫通穴15にねじ込まれるので、貫通穴15の内周面に雌ねじが形成され、その雌ねじ形成後のスプリングバックにより、雌ねじとねじ25との隙間がなくなって耐緩み性が生じる。そのため、ねじ25に緩み防止のための接着剤を塗布する必要がなく、その接着剤の塗布にかかる分の材料コストおよび工程数が削減される。
しかも、ねじ25がいもねじであるから、ユニットケース2にねじ頭が着座する座面を形成する必要がないので、その座面の形成にかかる分のコストおよび工程数が削減される。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、ねじ25は、ねじ頭を有するタッピンねじであってもよいし、セルフタップが生じないいもねじであってもよい。また、ねじ25は、ねじ頭を有してセルフタップが生じない一般的なねじであってもよい。ねじ25がタッピンねじでない場合(セルフタップを生じないねじである場合)には、ねじ25に緩み防止のための接着剤が塗布されてもよい。
また、ステータシャフト3をユニットケース2に固定する構造に本発明が適用された場合を例にとったが、本発明は、保持部材に保持される軸を保持部材に固定する構造に広く適用することができる。ただし、ステータシャフト3には、ステータがオイルの流れを受けることによる振れ回り荷重や油圧により、軸方向の荷重が発生するので、ステータシャフト3をユニットケース2に固定する構造に本発明が適用される場合、とくに顕著な効果を奏する。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
2:ユニットケース(保持部材)
3:ステータシャフト(軸)
13:円筒面
15:貫通穴
23:溝
24:当接面
25:ねじ(タッピンねじ)

Claims (2)

  1. 保持部材に保持される軸を前記保持部材に固定する構造であって、
    前記保持部材には、前記軸が圧入される円筒面と、前記円筒面で開放される円柱状の貫通穴とが形成されており、
    前記貫通穴には、タッピンねじがねじ込まれ、
    前記軸の周面には、前記貫通穴にねじ込まれた前記タッピンねじの先端部を受け入れる溝が形成されている、軸固定構造。
  2. 保持部材に保持される軸を前記保持部材に固定する構造であって、
    前記保持部材には、前記軸が圧入される円筒面と、前記円筒面で開放される円柱状の貫通穴とが形成されており、
    前記貫通穴は、前記円筒面の中心線に対して傾斜する方向に延び、
    前記貫通穴には、平面状の先端面を有するねじがねじ込まれ、
    前記軸の周囲には、前記貫通穴にねじ込まれた前記ねじの先端部を受け入れる溝が形成され、
    前記溝は、前記貫通穴の中心線の方向と直交する当接面を有している、軸固定構造。
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