以下、本発明の実施の形態に係る日射遮蔽装置1について図面を参照しながら説明する。以下の説明において、本実施の形態に係る日射遮蔽装置1は、不図示の窓枠の上縁付近に取り付けられる。また、本実施の形態に係る日射遮蔽装置1は、遮蔽部材の一例であるスラットを開閉するブラインドとして説明する。
[日射遮蔽装置の概略構成]
本発明の一実施の形態に係る日射遮蔽装置1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る日射遮蔽装置1の構成を概略的に示す正面図である。図2は、日射遮蔽装置1の操作ユニット70の構成を概略的に示す斜視図である。図3は、日射遮蔽装置1の操作ユニット70の構成を概略的に示す部分分解斜視図である。図4は、操作ユニット70の構成を概略的に示す分解斜視図である。
図1乃至図4に示すように、日射遮蔽装置1は、遮蔽部材10と、遮蔽部材10を昇降する昇降コード20と、昇降コード20を介して遮蔽部材10を支持するヘッドボックス30と、ヘッドボックス30内に回転可能に支持された昇降軸40と、昇降軸40により回転して昇降コード20を巻き取り、遮蔽部材10を昇降させる巻取ドラムユニット50と、操作コード60の引き出し操作により昇降軸40を回転させる操作ユニット70と、を備える。操作ユニット70は、操作コード60を巻き取るリールドラム71と、操作コード60をリールドラム71に巻き取る方向に付勢する付勢部材としてのリールばね705とを備える。また、日射遮蔽装置1は、リールドラム71の回転力を昇降軸40に伝達する伝達状態と非伝達にする非伝達状態を選択的に切り替えるとともに、遮蔽部材10が自重により降下する方向の昇降軸40の回転を規制するクラッチユニット73とを備える。また、日射遮蔽装置1は、リールドラム71とクラッチユニット73との間に設けられ、リールドラム71の回転をクラッチユニット73にのみ伝達するワンウェイクラッチ74と、ヘッドボックス30内に回転可能に支持され、回転に応じて遮蔽部材10に取り付けられているラダーコード75を上下に相対可動させ遮蔽部材10の開閉を行うチルト軸76とを備える。さらに、日射遮蔽装置1は、操作コード60が挿通され回転力が入力される入力部としての入力ギア771を有し、回転力をチルト軸76に伝達してチルト軸76を回転させる回転伝達部77と、を備える。
日射遮蔽装置1は、巻取ドラムユニット50の巻取ドラム51と同一軸である軸線A上に設けられ、回転伝達部77からの回転力がチルト軸76を通じて伝達される第1チルトギア54及び、ラダードラムとしての第2チルトギア55を備える。
ここで、第2チルトギア55は、クラッチユニット73と巻取ドラム51との間において昇降軸40を回転可能に挿通する昇降軸挿通孔551を有する。
回転伝達部77は、入力ギア771から入力された回転力をチルト軸76に伝達するギア部材として、第1ベベルギア772、第2ベベルギア773、第1平歯車774、第2平歯車775を有している。
チルト軸76は、昇降軸40と平行であり昇降軸40と離間した位置に設けられている。以下、日射遮蔽装置1の構成について、具体的に説明する。
なお、以下の説明において、図1における日射遮蔽装置1の遮蔽部材10及びヘッドボックス30の長手方向(横方向、幅方向)をX軸方向、X軸に直交する図面を貫く方向(奥行方向)をY軸方向、X軸に直交する複数の遮蔽部材10の積層方向(縦方向、高さ方向)をZ軸方向と定める。
遮蔽部材10は、その一例として、日射遮蔽装置1に複数のスラット11及び最下層のスラット11の下層に設けられているボトムレール12により構成されている。スラット11及びボトムレール12は、昇降コード20及びラダーコード75によって支持されている。スラット11及びボトムレール12は、昇降コード20を巻き上げまたは巻き戻すことによってZ軸方向に昇降する。また、スラット11は、ラダーコード75が傾動することによって回転する。
[操作ユニット]
次に、日射遮蔽装置1が備える操作ユニット70について説明する。
図5は、操作ユニット70のリールドラム71の構成を概略的に示す斜視図である。図6は、操作ユニット70のリールシャフト770の構成を概略的に示す斜視図である。図7は、リールシャフト770の構成を概略的に示す斜視図である。図8は、操作ユニット70の第2ベベルギア773の構成を概略的に示す斜視図である。図9は、操作ユニット70の第1平歯車774の構成を概略的に示す斜視図である。図10は、操作ユニット70のリールシャフト770、第2ベベルギア773、及び第1平歯車774の組付け状態を示す斜視図である。図11は、操作ユニット70の構成を概略的に示す正面図である。図12は、操作ユニット70の構成を概略的に示す側面図である。図13は、操作ユニット70のA−A断面図である。図14は、操作ユニット70のB−B断面図である。
図2乃至図4に示すように、操作ユニット70は、第1ケース701、第2ケース702、回転伝達部77、リールドラム71、リールドラムカバー72、ワンウェイクラッチ74、及びドラムキャップ741を備える。回転伝達部77は、リールシャフト770と、操作コード60が挿通される後述する棒状の入力部の回転動作を昇降軸40と平行であり昇降軸40と離間した位置に設けられているチルト軸76に伝達する下記のギア部材とを備える。回転伝達部77は、上述のギア部材として、入力ギア771、第1ベベルギア772、第2ベベルギア773、第1平歯車774、及び、第2平歯車775を有している。
図3及び図4に示すように、第1ケース701と第2ケース702は、内部にリールばね705と、回転伝達部77の構成要素、すなわち、リールシャフト770、入力ギア771の先端部、第1ベベルギア772、第2ベベルギア773、第1平歯車774、及び、第2平歯車775を収容している。第1ケース701と第2ケース702は、嵌め合わせて止輪703及び止輪706により固定されることで、回転伝達部77の上述の構成要素を収容する筐体を構成している。
図6及び図7に示すように、リールシャフト770は、軸状の部材である。リールシャフト770は、一端から長手方向の他端に向かって延びる先割れ状に形成されているスリット部7701と、一端において周方向へ凸状に形成されているボス部7702とを備える。また、リールシャフト770は、他端において周方向に十字状に形成されている十字凸部7703と、他端において長手方向に突出して設けられている丸凸部7704とを備える。
入力ギア771は、一端に第1ベベルギア772と嵌合可能なベベルギア7711が設けられていて、他端に後述する操作ポール部のユニバーサルジョイントが接続可能なポール接続部7712が設けられている軸状の部材である。入力ギア771は、ベベルギア7711が設けられている一端側が操作ユニット70の長手方向と直交するように配置されている。入力ギア771は、ベベルギア7711が設けられている一端側が第1ケース701及び第2ケース702に収容されている。入力ギア771は、ポール接続部7712が設けられている他端側が第1ケース701及び第2ケース702から外部に露出している。入力ギア771は、ポール接続部7712から入力された回転力を第1ベベルギア772に伝達する。入力ギア771は、長手方向に設けられているコード通過孔7713に操作コード60を挿通することができる。
第1ベベルギア772は、第1ケース701及び第2ケース702の内部に設けられている。第1ベベルギア772は、入力ギア771及び第2ベベルギア773に噛み合うように形成されている。つまり、第1ベベルギア772は、入力ギア771の回転力を第2ベベルギア773に伝達する。
図2乃至図4に示すように、第2ベベルギア773は、第1ケース701及び第2ケース702の内部に設けられている。図8に示すように、第2ベベルギア773は、第2ベベルギア本体7731が第1ベベルギア772に噛み合うように形成されている。また、第2ベベルギア773は、軸線A方向の一端に、後述する第1平歯車774の嵌合部と嵌合可能な嵌合部7732を備える。さらに、第2ベベルギア773は、軸線の中心部に軸線A方向に沿う貫通孔7733を備える。第2ベベルギア773は、第1ベベルギア772を介した入力ギア771の回転力を第1平歯車774に伝達する。
図2乃至図4に示すように、第1平歯車774は、第1平歯車本体7741が第2平歯車775と噛み合うように形成されている。図9に示すように、第1平歯車774は、軸線A方向の一端に、第2ベベルギア773の嵌合部7732と嵌合可能な嵌合部7742を備える。さらに、第1平歯車774は、軸線の中心部に軸線A方向に沿う貫通孔7743を備える。第1平歯車774は、第1ベベルギア772及び第2ベベルギア773を介した入力ギア771の回転力を第2平歯車775に伝達する。
図10に示すように、操作ユニット70において、第2ベベルギア773の嵌合部7732と第1平歯車774の嵌合部7742とが嵌合することで、第2ベベルギア773と第1平歯車774は、一体となって回転可能である。また、操作ユニット70において、リールシャフト770は、第2ベベルギア773の貫通孔7733と第1平歯車774の貫通孔7743に対して、クリアランスが設けられている。このため、リールシャフト770は、第2ベベルギア773と第1平歯車774の双方に干渉することなく回転可能である。
第2平歯車775は、図2乃至図4に示すように、第1ケース701及び第2ケース702の内部において、第1平歯車774の上側に設けられていて、第1平歯車774の第1平歯車本体7741と噛み合っている。第2平歯車775は、回転中心に図1に示したチルト軸76と嵌合可能なチルト軸嵌合部7751が設けられている。
図5に示すように、リールドラム71は、円筒状の部材である。リールドラム71は、十字状の十字凹部711と、十字凹部711の中央部に凹穴状の穴部712と、を一方の側面に有する。
図11及び図13に示すように、操作ユニット70において、リールドラム71は、操作ポール部から入力ギア771に設けられているコード通過孔7713及び第1ケース701及び第2ケース702を通って操作コード60を巻き取っている。リールドラム71は、入力ギア771側からワンウェイクラッチ74側(−X軸方向)に向かって縮径するテーパー状に形成されている。また、リールドラム71は、長手方向において回転伝達部77(+X軸方向)側の端部の外周部分を囲むようにリールドラムカバー72が設けられている。
リールドラムカバー72は、リールドラム71の長手方向において回転伝達部77側の外周部に面する内周部721と、リールドラム71の他端側、つまり長手方向においてワンウェイクラッチ74側の端部に設けられているコード案内部722とを備える。内周部721は、外周面が−X軸方向にテーパー状に形成されているリールドラム71との間で、操作コード60の送り方向に傾斜する面を構成している。コード案内部722は、リールドラムカバー72の内周部721の径方向において操作コード60の太さ1本以上2本未満のクリアランスが設けられている凹部である。
ドラムキャップ741は、リールドラム71の長手方向他端側(−X軸方向、クラッチユニット73側)に設けられている。ドラムキャップ741は、ワンウェイクラッチ74を収容するワンウェイクラッチ収容部7411と、リールドラム71の嵌合凹部713に嵌合される嵌合凸部7412とを有する。ドラムキャップ741は、嵌合凸部7412によりリールドラム71の嵌合凹部713に嵌合されることで、リールドラム71と一体で回転可能である。
ワンウェイクラッチ74は、リールドラム71の操作コード60引き出し方向(図16に示すR1方向)への回転のみクラッチユニット73を介して昇降軸40に伝達する。ワンウェイクラッチ74は、外周面がドラムキャップ741のワンウェイクラッチ収容部7411に圧入されることで、リールドラム71と一体で回転可能となっている。
図4及び図14に示すように、リールばね705は、例えば金属などの板状の弾性部材を渦巻き状に巻くことで形成されている。リールばね705は、ヘッドボックス30の端部のうち、操作ユニット70が設けられている側の端部に設けられている。リールばね705は、一端部7051が第1ケース701と第2ケース702との嵌合部分に設けられている第1隙間部7011及び第2隙間部7021に係止されている。また、リールばね705は、他端部7052がリールシャフト770のスリット部7701に固定されている。リールばね705は、リールドラム71と同一の回転軸において軸線A方向でリールドラム71と異なる位置に配置されている。リールばね705は、操作コード60をリールドラム71に巻き取る方向に付勢する。
次に、操作ユニット70の作用、動作について説明する。
図15は、操作ユニット70のA−A拡大断面図である。図15に示すように、操作ユニット70において、リールシャフト770は、第1ケース701及び第2ケース702を閉じた状態において、操作ユニット70の軸線A方向から+X軸方向に挿通される。リールシャフト770は、第1ケース701及び第2ケース702に挿通されることで、第1ケース701及び第2ケース702内の第2ベベルギア773の貫通孔7733及び第1平歯車774の貫通孔7743を貫通する。貫通孔7733及び貫通孔7743を貫通したリールシャフト770は、スリット部7701がリールばね705の他端部7052に係合される。スリット部7701がリールばね705の他端部7052に係合されたリールシャフト770は、ボス部7702が第1ケース701及び第2ケース702外側に突出するとスリット部7701が径方向外側に開き、リールシャフト770の抜けが防止されている。
リールドラムカバー72は、内周部721が、リールドラム71との間で傾斜する面を構成しているため、操作コード60がリールドラム71に巻き取られる際に、巻送りを補助することができる。コード案内部722は、操作コード60がリールドラム71に巻き取られる際に、リールドラム71の外周部分との間に設けられているクリアランスにより、操作コード60同士が重なった状態で巻き取られないように整列して巻き付くように操作コード60を保持して案内することができる。
図16は、操作ユニット70のD−D断面図である。図16に示すように、操作ユニット70において、操作コード60が引き出されると、リールドラム71とリールシャフト770は、反時計回り(図16における矢印R1方向)に回転される。このとき、リールシャフト770に固定されているリールばね705(図13参照)は、圧縮される。その後、作業者が操作コード60を離すと、リールばね705に加わった圧縮力が解かれることでリールばね705が時計回り(図16における矢印R2方向)に巻き戻る方向に付勢される。リールばね705がR2方向に付勢することにより、リールばね705の他端部7052が取り付けられているリールシャフト770、及び、リールシャフト770と連結されているリールドラム71もR2方向に回転する。リールドラム71がR2方向に回転することで、操作コード60がリールドラム71に巻き取られる。
[巻取ドラムユニット]
次に、日射遮蔽装置1が備える巻取ドラムユニット50について説明する。図1に示すように、日射遮蔽装置1は、2つの巻取ドラムユニット50を備える。日射遮蔽装置1において、2つの巻取ドラムユニット50は、ヘッドボックス30の内部で操作ユニット70及びクラッチユニット73の長手方向左側に配置されている。2つの巻取ドラムユニット50は、昇降軸40で連結されている。なお、日射遮蔽装置1において、巻取ドラムユニット50の数は特に限定されない。
図17は、日射遮蔽装置1の巻取ドラムユニット50の構成を概略的に示す斜視図である。図17に示すように、日射遮蔽装置1の巻取ドラムユニット50は、巻取ドラム51、巻取ドラムケース52、巻取ドラムカバー53、第1チルトギア54、第2チルトギア55、ギアマウント56、及びマウントカバー57を備える。
図18は、巻取ドラムユニット50の構成を概略的に示す分解斜視図である。図19は、巻取ドラムユニット50の断面図である。
図18及び図19に示すように、巻取ドラム51は、軸線A方向を長手方向とする略円筒形状に形成されている。巻取ドラム51には、日射遮蔽装置1の遮蔽部材10が取り付けられていて、昇降コード20を巻き取ることで遮蔽部材10の昇降を行うことができる。巻取ドラム51は、−X軸方向の端部(一端)にドラムキャップ512を取り付けるためのドラムキャップ取付部511が設けられている。ドラムキャップ512は、巻取ドラム51を巻取ドラムケース52に軸支させるために、巻取ドラム51よりも縮径された円筒形状に形成されている。巻取ドラム51は、+X軸方向(他端)に巻取ドラム51を巻取ドラムケース52に軸支させるために巻取ドラム51よりも縮径された円筒形状に形成されている軸部514が設けられている。巻取ドラム51は、軸部514側から−X軸方向(ドラムキャップ512側)に向かって縮径するテーパー状に形成されている。巻取ドラム51は、軸線A方向の中心部に、一端と他端とを貫通する貫通孔515が設けられている。
巻取ドラムケース52は、一方(上側)が開蓋された矩形の箱形状に形成されている。巻取ドラムケース52は、軸線A方向を長手方向とする一端に設けられていてドラムキャップ512を軸支するドラムキャップ支持部521を備える。また、巻取ドラムケース52の他端には、巻取ドラム51の軸部514を軸支する軸部支持部522を備える。
巻取ドラムカバー53は、巻取ドラムケース52の軸部支持部522の上に取り付けられている。巻取ドラムカバー53は、内周面に設けられ巻取ドラム51の軸部514に面する第1内周部531と、巻取ドラム51の他端側、つまり長手方向においてドラムキャップ512側の端部に設けられているコード案内部532と、内周面に設けられ巻取ドラムの外周面に向かい合う第2内周部533を備える。第2内周部533は、巻取ドラム51の外周面との関係において昇降コード20の送り方向である巻取ドラム51の長手方向に傾斜する面を構成している。コード案内部532は、巻取ドラム51の第1内周部531の径方向において昇降コード20の太さ1本以上2本未満のクリアランスが設けられている凹部である。
第1チルトギア54は、図19に示すように、軸孔541に軸線Aと平行に設けられているチルト軸76が挿通されていて、チルト軸76と一体で回転可能である。第1チルトギア54は、第2チルトギア55と噛み合って回転可能な平歯車である。つまり、第1チルトギア54は、チルト軸76の回転力を第2チルトギア55に伝達する歯車である。
第2チルトギア55は、巻取ドラム51と同一軸上に設けられている平歯車である。第2チルトギア55は、昇降軸40が非接触で挿通可能な昇降軸挿通孔551が設けられている。つまり、昇降軸挿通孔551が設けられていることにより、第2チルトギア55は、昇降軸40とは独立して回転可能である。第2チルトギア55は、チルト軸76の回転動作をラダーコード75に伝達するラダードラムとして機能する。第2チルトギア55は、チルト軸76を回動させて遮蔽部材10の向きを変更するためにスラット11及びボトムレール12の前後方向(Z軸方向)に2本並んで取り付けられているラダーコード75が固定されている。このため、第2チルトギア55は、自身の回転力をラダーコード75に伝達することで、ラダーコード75が固定されている遮蔽部材10のスラット11が回転しスラット11の向きが変わる。
ギアマウント56は、第1チルトギア54を回転可能に軸支する第1軸支部561、及び、第2チルトギア55を回転可能に軸支する第2軸支部562を有している。
チルト軸76は、第1チルトギア54の軸孔541を通り、第1チルトギア54と一体となって回転可能である。チルト軸76が回転されると、第1チルトギア54が回転し、第1チルトギア54と噛み合わされている第2チルトギア55も回転する。第2チルトギア55が回転することで、第2チルトギア55に係止されているラダーコード75が動く。日射遮蔽装置1において、ラダーコード75が動くことにより、ラダーコード75に取り付けられている遮蔽部材10のスラット11が回転する。
次に、巻取ドラムユニット50の作用、動作について説明する。
巻取ドラムユニット50において、巻取ドラム51は、昇降軸40により操作ユニット70から伝達された回転力により、昇降コード20を巻き取りまたは繰り出して、遮蔽部材10を上下方向に昇降させることができる。
巻取ドラムユニット50において、巻取ドラムカバー53は、第1内周部531が、巻取ドラム51の長手方向に傾斜する面を有しているため、昇降コード20が巻取ドラム51に巻き取られる際に、昇降コード20の巻送りを補助することができる。コード案内部532は、昇降コード20が巻取ドラム51に巻き取られる際に、巻取ドラム51の外周部分との間に設けられているクリアランスにより、昇降コード20同士が重なった状態で巻き取られないように整列して巻き付くように昇降コード20を保持して案内することができる。
また、巻取ドラムユニット50において、チルト軸76、第1チルトギア54、及び、第2チルトギア55により、ラダーコード75を介して遮蔽部材10のスラット11を回転(チルト)させることができる。
以上説明したように、巻取ドラムユニット50によれば、日射遮蔽装置1における遮蔽部材10の巻き取りまたは繰り出し、及び、回転動作を1つのユニットで行うことができる。つまり、巻取ドラムユニット50によれば、構成要素の小型化を実現することができる。
[クラッチユニット]
次に、日射遮蔽装置1が備えるクラッチユニット73について説明する。図1に示すように、日射遮蔽装置1において、クラッチユニット73は、ヘッドボックス30の内部で軸線A方向において操作ユニット70と巻取ドラムユニット50との間に配置されている。
図20は、日射遮蔽装置1のクラッチユニット73の構成を概略的に示す斜視図である。図21は、クラッチユニット73の構成を概略的に示す断面図である。図22は、クラッチユニット73の構成を概略的に示す分解斜視図である。クラッチユニット73は、図20乃至図22に示すように、操作ユニット70のワンウェイクラッチ74に連結される第1伝達側回転部26と、昇降軸40に連結された第1被伝達側回転部28と、カムドラム21と、クラッチケース200と、クラッチケース200の内面に形成され、クラッチボール220を軸線A方向に所定範囲内で移動可能に保持する保持溝201、クラッチボール220と、を備えている。
第1伝達側回転部26は、第1駆動軸260と、第1駆動軸260とスプライン結合されたクラッチバネ筒230と、クラッチバネ240と、クラッチバネ筒230の先端に固定された伝達側噛合盤231と、を備えている。
第1駆動軸260は、入力部ユニット733のワンウェイクラッチ74に連結され、操作コード60を一方向に引く操作により第1の回転方向(反時計回りの方向)R1に回転する。クラッチバネ筒230は、第1駆動軸260とスプライン結合されており、第1駆動軸260とともに回転し、かつ第1駆動軸260に沿って軸線A方向に相対的に移動可能である。
クラッチバネ筒230の外周面には、クラッチバネ240が巻着されている。クラッチバネ240は、その弾力によって、常時はクラッチバネ筒230の外周面を締め付けており、クラッチバネ筒230が回転すると一体に回転する。
第1駆動軸260は、先端に伝達側噛合盤231を備えたクラッチバネ筒230とともに、カムドラム21内に、回転可能に装入されている。カムドラム21の基端部が切り欠かれて形成された係合部に、クラッチバネ240の一端部が係合している。
カムドラム21は、クラッチバネ240の一端部を介して、クラッチバネ筒230とともに回転可能であり、かつクラッチバネ240が緩んだ際にはクラッチバネ筒230に対して相対的に回転可能であり、さらに、第1駆動軸260に対して相対的に軸線A方向に移動可能である。
クラッチケース200は、ヘッドボックス30に固定されている(図1参照)。カムドラム21は、その基端にカムカバー250が装着され、第1駆動軸260及びクラッチバネ筒230とともに、クラッチケース200内に、回転可能に装入されている。
カムドラム21の外周面には、周回りに無端状にカム溝210が形成されており、クラッチケース200の内面には保持溝201が形成されている。そして、カム溝210と保持溝201に、クラッチボール220が転動可能に嵌合されている。
第1被伝達側回転部28は、第1被駆動軸280と、第1被駆動軸280の基端に固定された被伝達側噛合盤282と、を備えている。被伝達側噛合盤282を備えた第1被駆動軸280の基端側は、クラッチケース200及びカムドラム21内に回転可能に装入されている。第1被駆動軸280の先端側は、連結具290で昇降軸40に連結されていて、昇降軸40とともに回転する。
図24は、クラッチユニット73のカムドラム21の展開図で作用を説明する図であり、(a)は解除状態を示し、(b)は噛み合い状態を示す。また、図24は、クラッチユニット73のカムドラム21の展開図で作用を説明する図であり、(a)は停止状態を示し、(b)は保持状態を示す。
図24及び図25は、クラッチユニット73のカムドラム21の外周面に形成されたカム溝210の展開図である。また、クラッチケース200の内面に静止して設けられた保持溝201を、軸線A方向に移動可能なカムドラム21との軸線A方向の相対的位置を示すために、模式的に示した。
伝達側噛合盤231は、カムドラム21とともに軸線A方向に移動する構成であるが、作用を説明する都合上、図24及び図25に、伝達側噛合盤231をカムドラム21の先端側に付加し模式的に示した。さらに、軸線A方向には移動せず静止して設けられている被伝達側噛合盤282を、伝達側噛合盤231に対向して模式的に示した。
カム溝210は、主要な溝として、周方向に無端状に連続して形成されている巻上溝218(図24及び図25の一点鎖線の経路参照)を備えている。巻上溝218には、基端側(図24及び図25では右側)に湾曲した噛合部216と、カムドラム21の第1の回転方向(巻き上げ方向)とは逆方向に凸状に湾曲した停止部215と、カムドラム21の第1の回転方向に凸状に湾曲した保持部221と、を有する。
噛合部216は、後述するようにカムドラム21に対してクラッチボール220がここに相対的に移動して位置すると、クラッチユニット73の伝達動作を行う。停止部215は、後述するようにクラッチボール220がここに相対的に移動して位置すると、カムドラム21の第1の回転方向(反時計回り)への回転が拘束される。
また、保持部221は、後述するように操作コード60の一方向へ引くことを途中で止めて離すと、クラッチボール220がこの保持部221に入りこみ、遮蔽部材10の自重降下に基づくカムドラム21の第2の回転方向(時計回り)への回転が拘束されて、遮蔽部材10は自重降下しない。
カム溝210は、保持部221の近傍で巻上溝218から分岐した主解除溝222と、噛合部216の近傍で巻上溝218から分岐した副解除溝217と、を有する。主解除溝222は、先端側に向かう傾斜部223とその先の突き当たりである主解除部213を有する。主解除部213は、後記するがクラッチボール220がここに相対的に移動して位置すると、クラッチユニット73は伝達の解除動作を行う(図24(a)参照)。
副解除溝217は、基端側に向かう傾斜部とその先の突き当たりである副解除部219を有する。副解除部219は、後述するがクラッチボール220がここに相対的に移動して位置すると、クラッチユニット73は伝達の解除動作を行う。
クラッチボール220は、第1駆動軸260の回転に伴いカムドラム21が回転すると、保持溝201内で保持溝201の軸線A方向の長さLの範囲内で軸線A方向に移動し、かつカム溝210内を、カムドラム21に対して相対的に移動する。保持溝201の軸線A方向の長さLは、カム溝210における基端側に位置する噛合部216における先端側に位置する解除部(主解除部213、副解除部219)との軸線A方向の間隔Dより小さく形成されている(図24(a)参照)。
クラッチボール220は、保持溝201の一端及び他端まで移動するとそこで拘束され、それ以上は移動できないので、カムドラム21が、拘束されたクラッチボール220に対して相対的に軸線A方向に移動することで、クラッチボール220が主解除部213及び噛合部216まで移動して位置することができる。
その結果、カムドラム21とともに軸線A方向に移動する伝達側噛合盤231を、静止された被伝達側噛合盤282に噛み合わせたり、噛み合わせを解除したりする。
次に、日射遮蔽装置1におけるクラッチユニット73の動作について説明する。
まず、日射遮蔽装置1において、遮蔽部材10を上昇させる際のクラッチユニット73の動作について説明する。動作開始前は、クラッチユニット73は解除された状態、即ち、図24(a)に示すように、第1伝達側回転部26の伝達側噛合盤231と第1被伝達側回転部28の被伝達側噛合盤282は、互いに離れ噛み合いが解除された状態とし、この状態から、操作コード60を一方向に引く操作をして遮蔽部材10を上昇させる動作(昇降コード20を巻き上げる巻き上げ動作)について説明する。
操作コード60を一方向に引いて操作すると、図13に示した操作ユニット70のリールドラム71は、第1の回転方向(反時計回りの方向)に回転する。
この回転は、ワンウェイクラッチ74を介して、クラッチユニット73における第1伝達側回転部26の第1駆動軸260に伝達され、第1駆動軸260は第1の回転方向(本実施例では反時計回りの方向)に回転する。
第1駆動軸260が第1の回転方向(反時計回りの方向)に回転すると、クラッチバネ筒230に巻着されたクラッチバネ240の一端部を介して、カムドラム21を第1の回転方向(反時計回りの方向)に回転する。
図24(a)に示すように、主解除溝222の主解除部213で停止していたクラッチボール220は、カムドラム21に対しては相対的に主解除溝222の主解除部213から傾斜部223を通過し、分岐部214から巻上溝218へと移動し、かつ、保持溝201内を基端側(図24(a)中、右方向)に移動する。
クラッチボール220が保持溝201の基端(図24(a)中、右端)に達すると、それ以上の軸線A方向への移動が拘束されるために、カムドラム21が軸線A方向で先端側に移動する。
すると、カムドラム21とともに軸線A方向に移動するクラッチバネ筒230の伝達側噛合盤231も、軸線A方向で先端側に移動し、図24(b)に示すように、被伝達側噛合盤282と噛み合い、クラッチユニット73は伝達状態となる。
第1駆動軸260の第1の回転方向(反時計回りの方向)の回転は、伝達側噛合盤231及び被伝達側噛合盤282を介して、第1被駆動軸280に伝達され、昇降軸40による遮蔽部材10の上昇(巻き上げ)動作が開始する。
さらに、操作コード60を操作し続けると、カムドラム21は第1の回転方向(反時計回りの方向)に回転を続け、クラッチボール220は図25(a)に示すように停止部215に達する。すると、クラッチボール220は停止部215で拘束されるので、カムドラム21の回転は拘束されて停止する。
この状態で、操作コード60を操作し続け、第1駆動軸260及びクラッチバネ筒230を第1の回転方向(反時計回りの方向)に回転すると、クラッチバネ240の一端部がカムドラム21の係合部に係止しているので、カムドラム21とともにクラッチバネ240の回転は停止し、クラッチバネ240によるクラッチバネ筒230の締め付けが緩む。
そのため、操作コード60を操作して第1駆動軸260の回転を続けると、カムドラム21は回転停止しているが、クラッチバネ筒230はクラッチバネ240に対して滑りながら回転を続け、第1被駆動軸280も回転を続ける。
遮蔽部材10を所望の高さまで上昇させて(巻き上げて)から、操作コード60を一方向に引くことを止めて操作を停止すると、遮蔽部材10の自重により昇降軸40は、巻き取り方向とは逆方向、すなわち、第2の回転方向(時計回りの方向)に回転し、さらに第1被駆動軸280、被伝達側噛合盤282、伝達側噛合盤231、クラッチバネ筒230及びクラッチバネ240を介して、カムドラム21は、第2の回転方向(時計回りの方向)に回転する。
この回転によって、クラッチボール220は、図25(b)に示すように、保持部221内に入り、遮蔽部材10の自重降下によるカムドラム21の第2の回転方向(時計回りの方向)への回転は停止する。これによって、遮蔽部材10を所望の高さまで開いた状態で保持することができる。
次に、巻き上げた状態の遮蔽部材10を降下させる場合は、操作コード60を上昇の際と同じ一方向にわずかに引くと、クラッチユニット73において、クラッチボール220は、図25(b)に示す保持部221から、巻上溝218を進み、主解除溝222との分岐部214又は分岐部214を超える位置まで、カムドラム21に対して相対的に移動する。
そして、操作コード60を一方向に引くことを止めて操作を停止すると、遮蔽部材10の自重により、昇降軸40は第2の回転方向(時計回りの方向)に回転し、第1被駆動軸280、被伝達側噛合盤282、伝達側噛合盤231、クラッチバネ筒230及びクラッチバネ240を介して、カムドラム21を第2の回転方向(時計回りの方向)に回転する。
クラッチボール220は、分岐部214から主解除溝222内に入り傾斜部223から主解除部213へと、カムドラム21に対して相対的に移動しようとするが、保持溝201の先端で軸線A方向の移動は拘束されるので、カムドラム21が基端側に向けて移動する。
図24(a)に示すように、伝達側噛合盤231と被伝達側噛合盤282は互いに離れ、噛み合いは解除される。そして、被伝達側噛合盤282、第1被駆動軸280及び昇降軸40は、自由に回転可能となり、遮蔽部材10は自重で降下して、閉じた状態となる。
伝達側噛合盤231と被伝達側噛合盤282の噛み合いは解除されるので、遮蔽部材10の自重降下による第1被駆動軸280の第2の回転方向(時計回りの方向)の回転は、第1駆動軸260、クラッチバネ筒230及びカムドラム21には伝達されない。
なお、上昇(巻き上げ動作)では前記したとおり、第1伝達側回転部26の伝達側噛合盤231と第1被伝達側回転部28の被伝達側噛合盤282の噛み合いが解除されている状態(図24(a)参照)から、操作コード60を一方向に引く操作をして、図24(b)に示すように噛み合い状態とし、遮蔽部材10を巻き上げる。
このようにして噛み合い状態としてから、すぐ操作コード60の操作を停止すると、カムドラム21が第1の回転方向(反時計回りの方向)に回転して、図示はしないが、クラッチボール220、噛合部216を過ぎてから副解除溝217に入り、その副解除部219で停止する。
これにより、クラッチボール220が主解除溝222内に入った場合(図24(a)参照)と同様に、第1伝達側回転部26の伝達側噛合盤231と第1被伝達側回転部28の被伝達側噛合盤282の噛み合いが解除されている状態となる。
以上説明したように、日射遮蔽装置1において、クラッチユニット73は、操作ユニット70のリールドラム71の回転を、昇降軸40に伝達する状態と、非伝達にする状態を、切り替えるとともに、従来の日射遮蔽装置で使用されているストッパーユニットの機能を有する。
また、以上説明したように、日射遮蔽装置1において、クラッチユニット73は、遮蔽部材10をヘッドボックス30側に畳み上げた位置に保持可能にすることができる。
[操作ポール部]
次に、日射遮蔽装置1が備える操作ポール部90について説明する。図1に示すように、日射遮蔽装置1において、操作ポール部90は、第1ユニバーサルジョイント91及び第2ユニバーサルジョイント92により、操作ユニット70の入力ギア771のポール接続部7712に接続されている。操作ポール部90には、操作ユニット70から引き出された操作コード60が取り付けられている。
図26は、日射遮蔽装置1の操作ポール部90の構成を概略的に示す斜視図である。また、図27は、操作ポール部90の構成を概略的に示す分解斜視図である。また、図28は、操作ポール部90の非操作時における構成を概略的に示す断面図である。
図26乃至図28に示すように、操作ポール部90は、第1ユニバーサルジョイント91、第2ユニバーサルジョイント92、ポール本体93、グリップ94、コードタッセル95、ポールエンド96、及びグリップエンド97を備える。
第1ユニバーサルジョイント91及び第2ユニバーサルジョイント92は、上述したように入力ギア771に対して自在な角度で操作ポール部90を接合することができる自在継手を構成している。第1ユニバーサルジョイント91及び第2ユニバーサルジョイント92は、操作コード60を挿通することができるような孔が設けられている。
ポール本体93は、内部に空間を有し長手方向一端と他端との間で貫通している筒状(例えば図26に示すように6角柱状)の部材である。ポール本体93は、長手方向一端に設けられている一端部931が第2ユニバーサルジョイント92に接続されている。また、ポール本体93は、一端部931の長手方向反対側の他端部932がグリップ94の一端部941に設けられているポール本体挿入孔943に挿入されている。ポール本体93は、他端部932側の外周面に溝933が設けられている。ポール本体93の内周面934の内部には、操作コード60を挿通することができる。
グリップ94は、内部に空間を有している筒状(例えば図26に示すように一端部941側が切頭された略円錐状)の部材である。グリップ94は、長手方向一端に設けられている一端部941にポール本体93を挿入して接続するためのポール本体挿入孔943が設けられている。また、グリップ94は、一端部941の長手方向反対側の他端部942が内部の空間と連通している。グリップ94の内周面944の内部には、操作コード60を挿通することができる。
コードタッセル95は、内部に空間を有している筒状(例えば図26に示すように一端部951側が切頭された略円錐状)の部材である。コードタッセル95は、長手方向一端に設けられている一端部951がグリップ94の他端部942と接する。コードタッセル95の一端部951には、操作コード60を挿通するための挿通孔952が設けられている。また、コードタッセル95は、一端部951の裏面で操作ポール部90の端部に設けられている結び目61により操作コード60の抜けを防止している。
図27に示すように、ポールエンド96は、円環の一部に外周面960と内周面961とを繋ぐ切欠部962が設けられているC字状の部材である。ポールエンド96は、内周面961が切欠部962からポール本体93の溝933に嵌合される。
グリップエンド97は、円環の一部に外周面970と内周面971とを繋ぐ切欠部972が設けられているC字状の部材である。グリップエンド97は、外周面970がグリップ94の内周面944に嵌合される。グリップエンド97の内周面971の内径は、ポール本体93の外径よりも大きい。また、ポール本体93の溝933には、グリップ94の内周面944の内径よりも小径な外周面960を有するポールエンド96が嵌合されている。このため、ポール本体93は、グリップ94の内周面944の内部の一端部941とグリップエンド97との間において移動可能である。
次に、操作ポール部90の動作について説明する。
図29は、操作ポール部90の非操作時における構成を概略的に示す拡大断面図である。図28及び図29に示すように、操作ポール部90において、操作ユニット70を操作していない状態(非操作時)では、操作コード60が操作ユニット70から引っ張られている。このため、操作ポール部90では、グリップ94の他端部942とコードタッセル95の一端部951とが接するとともに、グリップ94の内周面944の内部に嵌合しているグリップエンド97とポールエンド96とが接している。
図30は、操作ポール部90の操作時における動作を概略的に示す断面図である。図30に示すように、操作者がコードタッセル95を図33における下方に引っ張ると、操作コード60が操作ユニット70から引き出されて、操作ユニット70のリールドラム71が回転する。リールドラム71が回転することによって、その回転力は、クラッチユニット73及び昇降軸40を介して巻取ドラムユニット50に伝達して、昇降コード20が巻き上げられることで、遮蔽部材10が上昇する。
図31は、操作ポール部90の降下操作時における動作を概略的に示す断面図である。図31に示すように、日射遮蔽装置1において、遮蔽部材10を降下させる際には、グリップ94とともにコードタッセル95をポール本体93の軸線A方向下方に引き下げる。コードタッセル95が引き下げられることで、操作コード60も所定量が引き出されるため、操作ユニット70のリールドラム71が所定角度回転する。この所定の操作により、クラッチユニット73において、クラッチボール220は、カムドラム21の主解除部213(図25(a)参照)に入る。
以上説明したように、操作ポール部90によれば、日射遮蔽装置1における遮蔽部材10の降下操作は、グリップ94を引くという簡易な操作によって実現することができるため、日射遮蔽装置1における遮蔽部材10の操作性を向上させることができる。
また、操作ポール部90によれば、グリップ94の可動量を大きくすれば、グリップ94を操作することにより遮蔽部材10の昇降操作を行うことができる。
[実施形態の効果]
以上説明したように、日射遮蔽装置1の操作ユニット70は、操作コード60を巻き取り遮蔽部材10の昇降を行うためのリールドラム71、リールばね705、クラッチユニット73、及びワンウェイクラッチ74と、操作コード60が取り付けられている操作ポール部90により遮蔽部材10の向きを変える開閉を行うためのチルト軸76及び回転伝達部77と、を備える。このため、日射遮蔽装置1によれば、1本の操作コード60を上下方向に操作して遮蔽部材10の昇降を行い、操作ポール部90を回転させることによりスラット11の回転操作が可能となる。
また、日射遮蔽装置1によれば、1本の操作コード60で昇降操作が可能であるため、2本の操作コードを備える日射遮蔽装置と異なり操作コード60が引っかかることを抑えることができる。
また、日射遮蔽装置1は、操作コード60が入力ギア771、操作ポール部90のポール本体93の内部に収容されている。このため、日射遮蔽装置1によれば、遮蔽部材10を畳み上げた状態でも操作コード60が垂れ下がることを抑制できるため、意匠性を向上することができる。
また、日射遮蔽装置1は、第2チルトギア55が、巻取ドラム51と同一軸である軸線A上に設けられ、クラッチユニット73と巻取ドラム51との間において昇降軸40を回転可能に挿通する昇降軸挿通孔551を有する。このため、日射遮蔽装置1によれば、ヘッドボックス30の内部において構成要素をコンパクトに収容することができる。
[動作例]
次に、以上説明したように構成されている、日射遮蔽装置1の動作の一例について説明する。
[昇降操作]
日射遮蔽装置1における遮蔽部材10の昇降操作について説明する。
図30に示したように、作業者によりコードタッセル95が引かれると、コードタッセル95に固定された操作コード60は、操作ユニット70のリールドラム71から引き出される。
操作コード60がリールドラム71から引き出されることにより、操作ユニット70のリールドラム71は、図16に示したように、反時計回りR1に回転する。リールドラム71が回転することにより、リールドラム71に接続したリールシャフト770も反時計回りR1に回転する。このとき、リールシャフト770のスリット部7701に取り付けられたリールばね705が巻かれることで、リールばね705に付勢力が蓄えられる。
一方、リールドラム71の−X軸方向の側面に設けられている嵌合凹部713に取付けられたドラムキャップ741もリールドラム71とともに回転する。ドラムキャップ741には、ワンウェイクラッチ74が嵌合されている。このワンウェイクラッチ74により、リールドラム71の回転は、クラッチユニット73の第1駆動軸260に伝達される。
クラッチユニット73は、第1駆動軸260が回転して上述したクラッチユニット73の動作が行われることにより、昇降軸40への回転力の伝達、非伝達、及び、遮蔽部材10の保持が可能となる。ここで、昇降軸40への回転力の伝達、非伝達、遮蔽部材10の保持の各状態は、操作ポール部90のコードタッセル95から引き出される操作コード60の距離により選択される。
クラッチユニット73を介して昇降軸40が回転することにより、巻取ドラムユニット50は、巻取ドラム51がボトムレール12に固定された昇降コード20を巻き取り、遮蔽部材10を昇降させる。遮蔽部材10を降下方向(−Z軸方向)に移動させるために昇降軸40が回転する際には、図1に示すスピードコントローラー80が作動し、遮蔽部材10の降下速度を制動させながら降下させる。
クラッチユニット73において伝達側噛合盤231と被伝達側噛合盤282との切り離しが行われた際には、昇降軸40と第1駆動軸260とは、切り離されている。このため、昇降軸40の回転は操作ユニット70に伝達されない。
図28に示したように、操作ポール部90における操作コード60の引き出し方向の力を緩めると、リールドラム71及びリールシャフト770は、リールばね705が発揮する弾性力により、図16に示したように時計回りR2に回転する。リールドラム71が時計回りR2に回転することにより、操作コード60は、リールドラム71に巻き取られる。このとき、操作コード60は、リールドラムカバー72の内周部721にガイドされてリールドラム71に整列して巻き送られる。
リールドラム71の時計回りR2の回転は、ワンウェイクラッチ74により、クラッチユニット73の第1駆動軸260へは伝達されない。つまり、操作コード60を戻すことによるリールドラム71の時計回りR2への回転は、巻取ドラムユニット50の巻取ドラム51に伝達されない。
以上より、日射遮蔽装置1は、遮蔽部材10の昇降操作において、操作コード60を操作ポール部90から一定量以上引き出すことで遮蔽部材10が上昇し、操作コード60を操作ポール部90に戻すことでクラッチユニット73の働きにより上昇位置を保持することができる。
また、日射遮蔽装置1は、遮蔽部材10を降下させる場合に、操作コード60を操作ポール部90から少し引くと、クラッチユニット73の動作により昇降軸40と第1駆動軸260が切り離されたあと、昇降軸40がボトムレール12の自重により回転して降下する。
[チルト操作]
日射遮蔽装置1における遮蔽部材10のチルト操作について説明する。
操作者が操作ポール部90のグリップ94を操作ポール部90の長手方向を軸方向として回転させると、操作ポール部90の第1ユニバーサルジョイント91及び第2ユニバーサルジョイント92により連結された操作ユニット70の入力ギア771が回転する。
入力ギア771の回転は、回転伝達部77のギア部材、すなわち、第1ベベルギア772、第2ベベルギア773、第1平歯車774、及び第2平歯車775へと伝達される。第2平歯車775は、回転軸の中心にチルト軸76が挿入されている。このため、入力ギア771から入力された回転力は、チルト軸76に伝達される。
チルト軸76の回転力は、巻取ドラムユニット50の第1チルトギア54に伝達される。第1チルトギア54の回転力は、第2チルトギア55に伝達される。第2チルトギア55には、スリット部552によりラダーコード75の縦糸の先端が固定されている。このため、第2チルトギア55が回転することで、ラダーコード75の前後縦糸は、上下方向(Z軸方向)に相対移動し、ラダーコード75に取り付けられているスラット11が回転される。
ここで、リールシャフト770は、図10あるいは図13などに示したように、第2ベベルギア773の貫通孔7733、及び、第1平歯車774の貫通孔7743の内部に接触することなく挿通されている。このため、回転伝達部77のギア部材の回転は、リールシャフト770に影響することなく、チルト軸76のみを単独で回転させることができる。
[グリップによる降下操作]
日射遮蔽装置1において、グリップ94を操作することによる遮蔽部材10の降下操作について説明する。
上述したように、遮蔽部材10の降下操作は、コードタッセル95を用いて操作コード60を少量引くことにより可能であるが、グリップ94を引き下げることでも可能である。
図28に示したように、操作コード60を操作していない状態において、コードタッセル95の一端部951は、リールばね705の戻り力により、グリップ94の他端部942に当接した状態にある。つまり、この状態において、コードタッセル95は、ポール本体93に対するグリップ94の可動範囲内において、グリップ94を押し上げた位置になっている。
以上の状態でグリップ94を引き下げると、図31に示したように、グリップ94の内部においてポールエンド96がグリップ94の内周面944の上端に接触し、コードタッセル95を所定量のみ引き下げることができる。このとき、グリップ94を引き下げることによるコードタッセル95の移動量は、クラッチユニット73において昇降軸40を切り離すために必要な量となっている。
以上のように、日射遮蔽装置1は、グリップ94を掴み引き下げるという簡易な操作により、遮蔽部材10を降下させることができる。また、日射遮蔽装置1は、遮蔽部材10を降下させるために操作コード60を引く量を一定にすることができるため、確実に降下操作を行うことができる。つまり、日射遮蔽装置1は、例えば操作コード60を引きすぎてしまうことでクラッチユニット73におけるカムドラム21の位置が保持位置まで行ってしまうことを回避できる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る日射遮蔽装置に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。例えば、日射遮蔽装置1において、スラットの素材、枚数、及び寸法は限定されない。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。