JP2021008287A - キャップおよびキャップの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スリットを備えていても、部品点数の増大を防ぐ。【解決手段】キャップ1は、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、天壁部12に吐出孔20が形成された有頂筒状のキャップ本体11と、キャップ本体11と一体に形成され、吐出孔20を閉塞する弾性片26と、を備え、弾性片26には、弾性片26を上下方向に貫き、弾性片26が弾性変形することで開閉するスリットが形成され、弾性片26が天壁部12よりも薄く、弾性片26の外周縁が吐出孔20の内周面に連結され、弾性片26の外周縁の上方および下方のうちの少なくとも一方には、吐出孔20の内周面によって形成され、天壁部12の上面または下面に連なるとともに弾性片26よりも上下方向に大きい段部20aが連なっている。【選択図】図2

Description

本発明は、キャップおよびキャップの製造方法に関する。
従来から、下記特許文献1に記載のキャップが知られている。このキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、天壁部に吐出孔が形成された有頂筒状のキャップ本体と、キャップ本体に組み付けられたスリット弁と、を備えている。
特開2019−64680号公報
しかしながら、前記従来のキャップでは、部品点数を削減することに改善の余地があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、スリットを備えていても、部品点数の増大を防ぐことができるキャップを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、天壁部に吐出孔が形成された有頂筒状のキャップ本体と、前記キャップ本体と一体に形成され、前記吐出孔を閉塞する弾性片と、を備え、前記弾性片には、前記弾性片を上下方向に貫き、前記弾性片が弾性変形することで開閉するスリットが形成され、前記弾性片が前記天壁部よりも薄く、前記弾性片の外周縁が前記吐出孔の内周面に連結され、前記弾性片の外周縁の上方および下方のうちの少なくとも一方には、前記吐出孔の内周面によって形成され、前記天壁部の上面または下面に連なるとともに前記弾性片よりも上下方向に大きい段部が形成されているキャップ。
キャップが容器本体に取り付けられた状態で、容器本体の内圧や内容物の流動圧が弾性片に作用すると弾性片が弾性変形する。これにより、スリットが拡開して吐出孔から内容物が吐出される。内圧や流動圧の弾性片への作用が停止すると、弾性片が復元変形してスリットが閉塞される。
このキャップによれば、弾性片がキャップ本体と一体に形成されている。よって、スリットを備えたキャップを、部品点数を増大させずに得ることができる。
また段部が、弾性片の外周縁の上方および下方のうちの少なくとも一方に形成されている。かつ、この段部が、弾性片よりも上下方向に大きい。したがって、内容物を吐出孔から吐出するときに、内容物を段部に沿って流し、内容物の吐出を安定させることができる。
前記弾性片の厚さが、0.05mm以上0.2mm以下であってもよい。
弾性片の厚さが、0.05mm以上0.2mm以下である。よって、吐出を確実に安定させることができる。
すなわち、弾性片の厚さが0.05mm未満の場合、弾性片の弾性力(復元変形力)が低くなりすぎる。そのため、内容物を吐出した後、弾性片が復元変形するときに、内容物の液切れが悪くなり内容物が弾性片に残留し易くなる。結果として、吐出が安定しなくなる。
一方、弾性片の厚さが0.2mm超の場合、弾性片の弾性力(復元変形力)が高くなりすぎる。そのため、吐出させるために高い内圧や流動圧が必要となり、安定した吐出が難しくなる。
前記段部が、前記弾性片の外周縁の上方に形成され、かつ、前記天壁部の上面に連なってもよい。
段部が、弾性片の外周縁の上方に形成され、かつ、天壁部の上面に連なる。よって、弾性片(スリット)を通過したした後の内容物の流れを、段部によって安定させることができる。したがって、内容物の吐出をより安定させることができる。
外周部が前記キャップ本体に埋め込まれるとともに中央部が前記吐出孔を通して上方に露出する弾性膜を更に備え、前記弾性片は、前記弾性膜の中央部を下方から覆った状態で支持し、前記スリットは、前記弾性膜および前記弾性片を上下方向に貫き、前記弾性膜および前記弾性片が弾性変形することで開閉してもよい。
弾性片が弾性膜を支持している。これにより、弾性膜を弾性片によって補強することができる。したがって、例えば、弾性片がなく弾性膜だけを備えるキャップに比べて、容器本体の内圧や内容物の流動圧の作用によって、弾性膜が過度に変形することを抑えることができる。つまり、容器本体の内圧や内容物の流動圧の作用時における弾性片および弾性膜の変形を安定させることができる。
前記天壁部は、前記口部上に配置された環部と、前記環部の内周縁から隆起するとともに前記吐出孔が形成された隆起部と、を備え、前記弾性膜の外周部は、前記環部および前記隆起部に埋め込まれていてもよい。
弾性膜の外周部が、環部および隆起部に埋め込まれている。これにより、弾性膜をキャップ本体に対して強く固定することができる。
前記弾性膜および前記弾性片は、下方に向けて凸となる球面状に形成されていてもよい。
弾性膜および弾性片が、下方に向けて凸となる球面状に形成されている。これにより、弾性膜および弾性片の復元変形時における内容物の液切れ性を高めることができる。
環状に形成されるとともに前記キャップ本体に埋め込まれ、内周縁が前記段部に露出する弾性膜を更に備え、前記弾性膜の内周縁は、前記弾性片の外周縁の上方または下方に配置されていてもよい。
本発明に係るキャップの製造方法は、前記キャップを製造するキャップの製造方法であって、前記キャップ本体と、前記弾性片と、前記キャップ本体と一体に形成され前記吐出孔の形成予定部に配置された除去予定部と、を備える連結体に、前記弾性膜が埋め込まれてなる中間成形物を形成する中間成形物形成工程と、前記中間成形物から前記除去予定部を除去して前記吐出孔を形成する除去工程と、前記スリットを形成するスリット形成工程と、を有する。
この方法によれば、前述したキャップを確実に製造することができる。
前記中間成形物形成工程では、前記弾性膜をインサート品として前記連結体を射出成形することで前記中間成形物を形成し、前記連結体のゲート痕は、前記除去予定部に形成されてもよい。
連結体のゲート痕が、除去予定部に形成される。したがって、除去工程において除去予定部を中間成形物から除去することで、キャップにゲート痕が残らない。よって、例えば、キャップの外観性を高めることができる。
本発明によれば、スリットを備えていても、部品点数の増大を防ぐことができる。
本発明の一実施形態に係るキャップを含むキャップ付き容器の一部分を示す縦断面図である。 図1に示す縦断面図の拡大図である。 図1に示すキャップを展開した状態を示す縦断面図である。 図3に示すキャップの上面図である。 図1に示すキャップの製造過程で成形される第1中間成形物の縦断面図である。 図5に示す第1中間成形物の上面図である。 図5に示す第1中間成形物から除去予定部を除去する除去工程を説明する図である。 図1に示すキャップの製造過程で成形される第2中間成形物の縦断面図である。 図8に示す第2中間成形物の上面図である。 本発明の第1変形例に係るキャップを含むキャップ付き容器の一部分を示す縦断面図である。 本発明の第2変形例に係るキャップを縦断面図である。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るキャップ1を含むキャップ付き容器2について説明する。
図1に示されるように、キャップ付き容器2は、容器本体Wと、キャップ1と、を備える。容器本体Wには、内容物が収容されている。容器本体Wの口部W1には、キャップ1が螺着される雄ねじ部が形成されている。容器本体Wの口部W1は、フィルムFによって閉塞されている。フィルムFは、口部W1の上端開口縁に、剥離可能に固着されている。なおフィルムFは、破断可能であってもよい。また、フィルムFや前記雄ねじ部がなくてもよい。
本実施形態のキャップ1は、図1から図4に示されるように、内容物が収容される容器本体Wの口部W1に装着される有頂筒状のキャップ本体11と、キャップ本体11の天壁部12を開閉する蓋体13と、キャップ本体11と蓋体13とを連結するヒンジ部14と、を備える。キャップ本体11、蓋体13、およびヒンジ部14は、同一材料で一体に形成されている。
図示の例では、蓋体13は有頂筒状に形成されており、蓋体13およびキャップ本体11は共通軸と同軸に配設されている。以下、この共通軸を中心軸線Oといい、中心軸線Oに沿う軸方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。軸方向のうち、蓋体13の頂壁部15側を上側といい、キャップ本体11の周壁部16の開放端側を下側という。
キャップ本体11の周壁部16の内周面に、口部W1に螺着される雌ねじ部が形成されている。なお、キャップ本体11は、口部W1に打栓により嵌合されてもよい。
キャップ本体11の天壁部12の下面は、口部W1の上端開口縁(フィルムF)に周方向の全域にわたって連続して密に当接している。キャップ本体11と口部W1とが密に当接することにより、キャップ本体11と口部W1との間のシール性が確保される。
天壁部12は、口部W1上に配置された環部17と、環部17の内周縁から隆起する有頂筒状の隆起部18と、を備える。隆起部18は、中心軸線Oと同軸に配設され、円筒状に形成されている。隆起部18は、上方に向かうに従い縮径している。
隆起部18の頂壁19には、吐出孔20が形成されている。吐出孔20は、頂壁19を軸方向に貫通する。吐出孔20は、軸方向から見た平面視において、中心軸線Oと同軸の円形状に形成されている。なお図示の例では、吐出孔20の外径は、頂壁19の外径よりも小さく、隆起部18が有頂筒状に形成されているが、吐出孔20の外径が頂壁19の外径と同一であり、言い換えると、隆起部18が頂壁19を有さない筒状(周壁21のみを有する筒状)であってもよい。
蓋体13の頂壁部15の下面に、下方に向けて突出し、隆起部18の周壁21に着脱可能に嵌合した嵌合筒24が形成されている。嵌合筒24の内周面は、周方向の全域にわたって隆起部18の周壁の外周面に密に当接している。
図1および図2に示すように、本実施形態では、キャップ1は、弾性膜25と、弾性片26と、を更に備えている。
弾性膜25は、例えば、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)やナイロンなどの熱可塑性樹脂(樹脂材料)により形成されている。弾性膜25の外周部27は、キャップ本体11に埋め込まれている。弾性膜25の中央部28は、吐出孔20を通して上方に露出している。弾性膜25は、隆起部18の頂壁19の下面よりも上方に位置している。
図2に示されるように、弾性膜25の外周部27は、環部17および隆起部18に埋め込まれている。弾性膜25の外周縁27a(弾性膜25のうち、最外周に位置する部分)は、環部17内に位置している。弾性膜25の外周部27は、径方向の外側から内側に向かうに従い、まず、径方向に延びて環部17を通過し、その後、上方に立ち上がり隆起部18の周壁21を通過し、さらに、再び径方向に延びて隆起部18の頂壁19を通過する。弾性膜25は、環部17において、環部17の上面よりも下面の近くに配置されている。弾性膜25は、隆起部18の周壁21において、周壁21の外周面よりも内周面の近くに配置されている。弾性膜25は、隆起部18の頂壁19において、頂壁19の上面よりも下面の近くに配置されている。
弾性膜25は、環部17の下面、隆起部18の周壁21の内周面および頂壁19の下面に沿って延びている。ここで、弾性膜25が環部17の下面に沿って延びていることには、弾性膜25が環部17の下面に完全に平行である場合だけでなく、弾性膜25と環部17の下面との間の距離が、径方向の位置によらず実質的に同等(前記距離の最小値に対して10%以内に収まる)場合を含む。弾性膜25が隆起部18の周壁21の内周面に沿って延びること、弾性膜25が頂壁19の下面に沿って延びることも同様である。
弾性片26は、キャップ本体11と同一材料で一体に形成されている。弾性片26は、キャップ本体11、蓋体13、およびヒンジ部14とともに、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などの熱可塑性樹脂(樹脂材料)によって一体に形成されている。図示の例では、弾性膜25と弾性片26とは異なる材料で形成されている。
弾性片26は、弾性膜25を下方から覆った状態で支持する。弾性片26は、軸方向を向く板状に形成されている。弾性片26の外周縁は、吐出孔20の内周面に連結されている。弾性片26の上面は、弾性膜25の下面に接触(面接触)している。弾性片26と弾性膜25とは、互いに積層していて積層体を形成している。なお弾性片26の上面は、弾性膜25の下面に固着していてもしていなくてもよい。弾性片26と弾性膜25とは、互いに相溶性の高い材質で形成されていても、互いに相溶性の低い材質で形成されていてもよい。
弾性片26および弾性膜25(積層体)は、吐出孔20を閉塞している。弾性片26および弾性膜25(積層体)は、天壁部12よりも薄い。弾性膜25および弾性膜25全体での厚さ(積層体の厚さ、積層体の軸方向の大きさ)は、例えば、50μm〜200μmとすることができる。弾性片26の厚さは、弾性膜25の厚さと同等であってもよく、弾性片26は、弾性膜25より厚くてもよく薄くてもよい。本実施形態では、弾性片26の厚さtが、0.05mm以上0.2mm以下であり、天壁部12よりも薄い。
弾性片26の外周縁の上方および下方のうちの少なくとも一方には、段部20aが形成されている。段部20aは、吐出孔20の内周面によって形成され、天壁部12の上面または下面に連なる。図示の例では、弾性片26の上面(積層体の上面)は、隆起部18の頂壁19(天壁部12)の上面よりも下方に位置し、弾性片26の外周縁の上方に段部20aが形成されている。段部20aは、弾性膜25に上方から連なり、かつ、頂壁19の上面に連なる。段部20aは、弾性片26よりも上下方向に大きい。言い換えると、段部20aの高さTは、弾性片26の厚さtよりも大きい。
なお図示の例では、弾性片26の下面は、隆起部18の頂壁19の下面と面一に形成され、弾性片26の外周縁の下方には段部が形成されていない。しかしながら、弾性片26の下面が頂壁19の下面よりも上方に位置していて、頂壁19の下面に連なる段部が形成されていてもよい。この場合、弾性片26の外周縁の上方に段部20aが形成されていなくてもよい。
図4に示すように、弾性膜25および弾性片26には、スリット30が形成されている。スリット30は、弾性膜25および弾性片26を上下方向に貫き、弾性膜25および前記弾性片26が弾性変形することで開閉する。軸方向から見た平面視において、スリット30は、弾性膜25および弾性片26それぞれで同等の形状である。平面視において、スリット30は、中心軸線Oを中心とする放射状に形成されている。図示の例では、スリット30は、平面視十字状であるが、例えば、吐出態様や内容物の性状などによって、平面視一文字状など、他の形態に変更してもよい。
次に、上記キャップ1を製造する方法(キャップ1の製造方法)について説明する。
この製造方法では、まず、図5および図6に示すような第1中間成形物40(中間成形物)を形成する中間成形物形成工程を実施する。第1中間成形物40は、連結体45と、連結体45に埋め込まれた前記弾性膜25と、を備えている。連結体45は、前記キャップ本体11、前記蓋体13、前記ヒンジ部14に加え、除去予定部41を備えている。
連結体45(キャップ本体11、蓋体、ヒンジ部および除去予定部41)は、同一材料(例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などの熱可塑性樹脂(樹脂材料))で一体に形成されている。連結体45は、射出成形体であり、中間成形物形成工程では、弾性膜25をインサート品として連結体45を射出成形することで第1中間成形物40を形成する。
除去予定部41は、吐出孔20の形成予定部に配置されている。言い換えると、第1中間成形物40の連結体45から除去予定部41が除去されることで、吐出孔20が形成される。除去予定部41には、ゲート痕43が形成されている。図示の例では、除去予定部41には、上方に向けて突出する突部42が設けられている。ゲート痕43は、突部42の先端に設けられている。
成型工程の後、図7から図9に示すように、第1中間成形物40から除去予定部41を除去して吐出孔20を形成する除去工程を実施する。
除去工程では、まず図7に示すように、キャップ本体11に対して下方から受け治具51を差し込む。受け治具51は、上端面が平らな棒状である。受け治具51の外径は、隆起部18の頂壁19の外径と同等である。受け治具51は、隆起部18内に差し込まれ、隆起部18の頂壁19(除去予定部41)を下方から支持する。
また除去工程では、抜き刃52を、除去予定部41に上方から対向させる。抜き刃52は、円筒状に形成されている。抜き刃52の端面は、連結体45を切断可能な刃部53となっている。受け治具51によって支持された第1中間成形物40に対して、抜き刃52を、キャップ本体11と同軸に配置した状態でキャップ本体11の上方から接近させる。抜き刃52の刃部53が連結体45(除去予定部41)に押し当てられることで、除去予定部41が隆起部18から切断される。
このように、除去工程において除去予定部41を第1中間成形物40から除去することで、キャップ1にゲート痕43が残らない。よって、例えば、キャップ1の外観性を高めることができる。
その後、図8および図9に示すように、除去予定部41を隆起部18から分離することで第2中間成形物60が形成される。第2中間成形物60は、第1中間成形物40から除去予定部41が取り除かれてなる。
最後に、弾性膜25および弾性片26にスリット30を形成するスリット形成工程を実施することで、前記キャップ1が形成される。
以上説明したように、本実施形態に係るキャップ1付き容器によれば、容器本体の内圧や内容物の流動圧が弾性片26に作用すると、弾性片26および弾性膜25が弾性変形する。これにより、スリット30が拡開して吐出孔20から内容物が吐出される。内圧や流動圧の弾性片26への作用が停止すると、弾性片26および弾性膜25が復元変形してスリット30が閉塞される。
前記キャップ1では、弾性膜25がキャップ本体11に埋め込まれ、かつ弾性片26がキャップ本体11と一体に形成されている。よって、スリット30を備えたキャップ1を、部品点数を増大させずに得ることができる。
また、弾性片26が弾性膜25を支持している。これにより、弾性膜25を弾性片26によって補強することができる。したがって、例えば、弾性片26がなく弾性膜25だけを備えるキャップ1に比べて、容器本体Wの内圧や内容物の流動圧の作用によって、弾性膜25が過度に変形することを抑えることができる。つまり、容器本体Wの内圧や内容物の流動圧の作用時における弾性片26および弾性膜25の変形を安定させることができる。
弾性膜25の外周部27が、環部17および隆起部18に埋め込まれている。これにより、弾性膜25をキャップ本体11に対して強く固定することができる。
段部20aが、弾性片26の外周縁の上方および下方のうちの少なくとも一方に形成されている。かつ、この段部20aが、弾性片26よりも上下方向に大きい。したがって、内容物を吐出孔20から吐出するときに、内容物を段部20aに沿って流し、内容物の吐出を安定させることができる。
段部20aが、弾性片26の外周縁の上方に形成され、かつ、天壁部12の上面に連なる。よって、弾性片26(スリット)を通過したした後の内容物の流れを、段部20aによって安定させることができる。したがって、内容物の吐出をより安定させることができる。
弾性片26の厚さが、0.05mm以上0.2mm以下である。よって、吐出を確実に安定させることができる。
すなわち、弾性片26の厚さが0.05mm未満の場合、弾性片26の弾性力(復元変形力)が低くなりすぎる。そのため、内容物を吐出した後、弾性片26が復元変形するときに、内容物の液切れが悪くなり内容物が弾性片26に残留し易くなる。結果として、吐出が安定しなくなる。
一方、弾性片26の厚さが0.2mm超の場合、弾性片26の弾性力(復元変形力)が高くなりすぎる。そのため、吐出させるために高い内圧や流動圧が必要となり、安定した吐出が難しくなる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図10に示す変形例に係るキャップ1A(キャップ付き容器2A)のように、弾性膜25および弾性片26が、下方に向けて凸となる球面状に形成されていてもよい。この場合、弾性膜25および弾性片26の復元変形時における内容物の液切れ性を高めることができる。
さらに、図11に示す変形例に係るキャップ1Bのように、弾性膜25のうち、中央部28に相当する部分がなくてもよい。この場合、弾性膜25は、外周部27に相当する部分のみが残留している。言い換えると、弾性膜25は、環状に形成されるとともにキャップ本体11に埋め込まれ、弾性膜25の内周縁25aが、段部20aに露出している。弾性膜25の内周縁25aは、弾性片26の外周縁の上方に形成され、図示の例では、内周縁25aは、弾性片26に上方から連なっている。
このようなキャップ1Bは、前述した製造方法のうちの除去工程において、除去予定部41とともに、弾性膜25の中央部28を除去することで製造することができる。このように、あえて除去する弾性膜25を連結体45に埋め込んでおくことで、薄肉の弾性片26を容易に形成することができる。すなわち、例えば、弾性片26を0.2mm以下の厚さとする場合、射出成型によって弾性片26のみを単独で成形することは困難となる。
キャップ1の製造方法は前記実施形態に記載した方法に限られない。
天壁部12が隆起部18を備えていなくてもよく、天壁部12が平板状でもよい。
ヒンジ部14がなくてもよい。蓋体13がなくてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
ここで、弾性片26の厚さtについての検証試験を行った。
検証試験では、図11に示す第2変形例に係るキャップ1Bを、弾性片26の厚さtを異ならせて5種類準備した。弾性片26の厚さtは、0.3mm、0.2mm、0.08mm、0.05mm、0.03mmの5種類である。各キャップ1Bについて、吐出性として、安定した吐出の実現の程度を官能評価した。結果を表1に示す。
Figure 2021008287
表1における吐出性および成形性(後述)の列において、「A」は良好、「B」は可、「C」は不可を意味する。この結果から、吐出性については0.2mm以上0.05mm以下であることで、安定した吐出が実現できることが確認された。
なお、本検証試験において準備した各キャップ1Bは、前述の第2変形例において説明したように、除去工程において、除去予定部41とともに、弾性膜25の中央部28を除去することで製造した。この方法に代えて、弾性膜25を埋め込むことなく、同様のサイズのキャップを射出成型した場合の成形性についても併せて確認した。結果は、表1の成形性の列に示すとおりである。弾性片26の厚さtを0.2mm以下とした場合、弾性膜25を埋め込むことなく、弾性片26を射出成型することは難しいことが確認された。
もっとも、例えば、弾性片26に相当する部分の厚さを0.3mm以上としておき、その部分の一部を切削することで、厚さが0.2mm以下の弾性片26を形成することも可能である。この検証試験は、キャップ1Bの製造方法を限定するためのものではない。
1 キャップ
11 キャップ本体
12 天壁部
15 頂壁部
17 環部
18 隆起部
20 吐出孔
25 弾性膜
26 弾性片
27 外周部
28 中央部
30 スリット
40 第1中間成形物(中間成形物)
41 除去予定部
43 ゲート痕
45 連結体
W 容器本体
W1 口部

Claims (9)

  1. 内容物が収容される容器本体の口部に装着され、天壁部に吐出孔が形成された有頂筒状のキャップ本体と、
    前記キャップ本体と一体に形成され、前記吐出孔を閉塞する弾性片と、を備え、
    前記弾性片には、前記弾性片を上下方向に貫き、前記弾性片が弾性変形することで開閉するスリットが形成され、
    前記弾性片が前記天壁部よりも薄く、前記弾性片の外周縁が前記吐出孔の内周面に連結され、
    前記弾性片の外周縁の上方および下方のうちの少なくとも一方には、前記吐出孔の内周面によって形成され、前記天壁部の上面または下面に連なるとともに前記弾性片よりも上下方向に大きい段部が形成されているキャップ。
  2. 前記弾性片の厚さが、0.05mm以上0.2mm以下である請求項1に記載のキャップ。
  3. 前記段部が、前記弾性片の外周縁の上方に形成され、かつ、前記天壁部の上面に連なる請求項1または2に記載のキャップ。
  4. 外周部が前記キャップ本体に埋め込まれるとともに中央部が前記吐出孔を通して上方に露出する弾性膜を更に備え、
    前記弾性片は、前記弾性膜の中央部を下方から覆った状態で支持し、
    前記スリットは、前記弾性膜および前記弾性片を上下方向に貫き、前記弾性膜および前記弾性片が弾性変形することで開閉する請求項1から3のいずれか1項に記載のキャップ。
  5. 前記天壁部は、前記口部上に配置された環部と、前記環部の内周縁から隆起するとともに前記吐出孔が形成された隆起部と、を備え、
    前記弾性膜の外周部は、前記環部および前記隆起部に埋め込まれている請求項4に記載のキャップ。
  6. 前記弾性膜および前記弾性片は、下方に向けて凸となる球面状に形成されている請求項4または5に記載のキャップ。
  7. 環状に形成されるとともに前記キャップ本体に埋め込まれ、内周縁が前記段部に露出する弾性膜を更に備え、
    前記弾性膜の内周縁は、前記弾性片の外周縁の上方または下方に配置されている請求項1から3のいずれか1項に記載のキャップ。
  8. 請求項4から7のいずれか1項に記載のキャップを製造するキャップの製造方法であって、
    前記キャップ本体と、前記弾性片と、前記キャップ本体と一体に形成され前記吐出孔の形成予定部に配置された除去予定部と、を備える連結体に、前記弾性膜が埋め込まれてなる中間成形物を形成する中間成形物形成工程と、
    前記中間成形物から前記除去予定部を除去して前記吐出孔を形成する除去工程と、
    前記スリットを形成するスリット形成工程と、を有するキャップの製造方法。
  9. 前記中間成形物形成工程では、前記弾性膜をインサート品として前記連結体を射出成形することで前記中間成形物を形成し、
    前記連結体のゲート痕は、前記除去予定部に形成される請求項8に記載のキャップの製造方法。
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