JP2021005071A - 車両用表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】多視点ディスプレイを使用した上で、虚像の品質を向上させることができる車両用表示装置を提供すること。【解決手段】車両用表示装置10は、多視点ディスプレイ30と、光学系機構70とを備えている。平面表示パネル32は、レンチキュラレンズ34の焦点距離D0よりも短い位置であって、且つ視認者Mn側からレンチキュラレンズ34を通過した光Fが、平面鏡40、凹面鏡及び表示部から構成される光学系機構70の光学焦点面FHに結像する位置に配置されている。さらに、レンチキュラレンズ34は、光学焦点面FHの上下方向にて、視認者Mnの位置から光が出射された場合に光学系機構70及びレンチキュラレンズ34を通過した光が光学焦点面FH上に結像するように、平面表示パネル32に対向する面がレンチキュラレンズ34の上下方向で凹レンズ形状又は凸レンズ形状である。【選択図】図6
Description
本発明は、車両の表示部に光を投射し情報を提供することができる車両用表示装置に関する。
一部の車両には、ウィンドシールド等を表示部として表示部に光を投射することにより、運転者(視認者)に必要な情報を提供する表示装置(ヘッドアップディスプレイ装置)が搭載されている。このような、表示装置の従来技術として特許文献1に開示される技術がある。
特許文献1に示される表示装置は、光を出射する投射器と、この投射器から出射された光が通過するスクリーンと、これらの投射器及びスクリーンを収納しているケースと、を備えている。
投射器は、DMD(Digital Mirror Device)等の光学素子を備えるプロジェクタである。スクリーンは、投射器から出射される光の結像位置に配置されている、透過型のスクリーンである。スクリーンの光が通過する面は、投射器の光を出射する面に対して、傾いて設けられている。即ち、スクリーンは、投射器から出射される光の光軸に対して、傾いて設けられている。
スクリーンの光が通過する面が、投射器の光を出射する面に対して傾いて設けられていることにより、奥行きのある虚像を運転者に認識させることができる。
特許文献1の表示装置は、投射器、スクリーン、折り返しミラー、凹面鏡、カバーガラス、外装、制御部とからなる。投射器は、映像をスクリーンに投射し、このスクリーンで反射された映像は、凹面鏡で拡大された後、ウィンドシールドへ出射される。
ところで、表示装置の取付位置には様々な機器が配置されるため、表示装置を小型化することができれば好ましい。しかし、特許文献1の表示装置では、スクリーンを斜めに傾けて配置する必要があるため、斜めに配置したスクリーンの分奥行が長くなることで表示装置全体が大きくなる。そこで本発明者らは、斜めのスクリーンを配置することなく、同等の立体像を生成する多視点ディスプレイを使用して表示装置を小型化することを想起するに至った。
一般的には、多視点ディスプレイは、平面表示パネルとレンチキュラレンズとを有し、視認者の視点(目)の位置に応じた複数の映像を画素で構成している。
図1を参照する。図1は、一般的な多視点ディスプレイの作用を説明する図である。多視点ディスプレイ101単体では車両の左右方向(図中Leは左、Riは右を示す)において、多視点ディスプレイ101の画素P1は、視認者の視点E1の位置に応じた映像を生成している。また画素P2は視点E2に応じた映像を生成し、画素P3は視点E3に応じた画素を生成している。
図2を参照する。図2は、一般的な車両用表示装置要部の構成を説明する図である。多視点ディスプレイ101を車両で使用する場合、車両用表示装置100は、平面表示パネル102及びレンチキュラレンズ103からなる多視点ディスプレイ101の他に、光を通すレンズ104、光を単純反射する平面鏡105、集光するように反射する凹面鏡(不図示)及び映像(以下、虚像という)が表示されるウィンドシールド等の表示部(不図示)から構成される光学系機構106が必要となる。通常、レンチキュラレンズ103の焦点面に平面表示パネル102が配置されており、平面表示パネル102からの光は、レンチキュラレンズ103を通し、光学系機構106を介して虚像を生成し視認される。しかし、多視点ディスプレイ101を車両で使用すると、光学系機構106の影響により光学系機構106を通して虚像を見た場合の距離感と、多視点ディスプレイ101を直視した場合の距離感とが一致せず、例えば図1に示す視点E1の位置で本来視認できないはずの画素P2の虚像が視認されるなど、他の視点の位置用の虚像が視認され虚像の品質が低下しうることが分かった。
また、車両の上下方向において、例えば上下方向の中央部分を基準にして車両用表示装置のセッティングを行うと、上下の部位において本来視認できないはずの虚像を視認しうる問題が生じた。これは、上下方向において光学系機構の光学焦点面が湾曲していることに起因するものであることが分かり、このため上下方向における虚像の品質が低下しうるものであった。
本発明は、多視点ディスプレイを使用した上で、虚像の品質を向上させることができる車両用表示装置を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明では、複数の画素が交互に並んで光を出射する平面表示パネル、及び、略半円筒形状の複数のシリンドリカルレンズを互いに平行に並べてなるレンチキュラレンズ、を有する多視点ディスプレイと、
この多視点ディスプレイから出射される光を制御する制御部と、
前記多視点ディスプレイから出射された光を単純反射する平面鏡、この平面鏡によって反射された光を集光するように反射する凹面鏡、及び、この凹面鏡によって反射された光が投射される表示部、を含む光学系機構と、を有し、視認者に虚像を認識させる車両用表示装置において、
前記平面表示パネルは、この平面表示パネルの上下方向の中央部分にて、
前記レンチキュラレンズの焦点距離よりも短い位置であって、且つ、
前記視認者の位置から出射され前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が結像する面を光学焦点面とした場合に、この光学焦点面上に結像する位置に配置されており、
前記レンチキュラレンズは、前記光学焦点面の上下方向にて、前記視認者の位置から光が出射された場合に前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が前記光学焦点面上に結像するように、前記平面表示パネルに対向する面が前記レンチキュラレンズの上下方向で凹レンズ形状又は凸レンズ形状であることを特徴とする車両用表示装置が提供される。
この多視点ディスプレイから出射される光を制御する制御部と、
前記多視点ディスプレイから出射された光を単純反射する平面鏡、この平面鏡によって反射された光を集光するように反射する凹面鏡、及び、この凹面鏡によって反射された光が投射される表示部、を含む光学系機構と、を有し、視認者に虚像を認識させる車両用表示装置において、
前記平面表示パネルは、この平面表示パネルの上下方向の中央部分にて、
前記レンチキュラレンズの焦点距離よりも短い位置であって、且つ、
前記視認者の位置から出射され前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が結像する面を光学焦点面とした場合に、この光学焦点面上に結像する位置に配置されており、
前記レンチキュラレンズは、前記光学焦点面の上下方向にて、前記視認者の位置から光が出射された場合に前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が前記光学焦点面上に結像するように、前記平面表示パネルに対向する面が前記レンチキュラレンズの上下方向で凹レンズ形状又は凸レンズ形状であることを特徴とする車両用表示装置が提供される。
請求項2に係る発明では、好ましくは、多視点ディスプレイは、ライトフィールドディスプレイである。
請求項3に係る発明では、複数の画素が交互に並んで光を出射する平面表示パネル、及び、略半円筒形状の複数のシリンドリカルレンズを互いに平行に並べてなるレンチキュラレンズ、を有する多視点ディスプレイと、
この多視点ディスプレイから出射される光を制御する制御部と、
前記多視点ディスプレイから出射された光が投射される表示部、を含む光学系機構と、を有し、視認者に虚像を認識させる車両用表示装置において、
前記平面表示パネルは、この平面表示パネルの上下方向の中央部分にて、
前記レンチキュラレンズの焦点距離よりも短い位置であって、且つ、
前記視認者の位置から出射され前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が結像する面を光学焦点面とした場合に、この光学焦点面上に結像する位置に配置されており、
前記レンチキュラレンズは、前記光学焦点面の上下方向にて、前記視認者の位置から光が出射された場合に前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が前記光学焦点面上に結像するように、前記平面表示パネルに対向する面が前記レンチキュラレンズの上下方向で凹レンズ形状又は凸レンズ形状であることを特徴とする車両用表示装置が提供される。
この多視点ディスプレイから出射される光を制御する制御部と、
前記多視点ディスプレイから出射された光が投射される表示部、を含む光学系機構と、を有し、視認者に虚像を認識させる車両用表示装置において、
前記平面表示パネルは、この平面表示パネルの上下方向の中央部分にて、
前記レンチキュラレンズの焦点距離よりも短い位置であって、且つ、
前記視認者の位置から出射され前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が結像する面を光学焦点面とした場合に、この光学焦点面上に結像する位置に配置されており、
前記レンチキュラレンズは、前記光学焦点面の上下方向にて、前記視認者の位置から光が出射された場合に前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が前記光学焦点面上に結像するように、前記平面表示パネルに対向する面が前記レンチキュラレンズの上下方向で凹レンズ形状又は凸レンズ形状であることを特徴とする車両用表示装置が提供される。
請求項4に係る発明では、好ましくは、前記レンチキュラレンズは、前記複数のシリンドリカルレンズが、上下方向に対して横方向に傾斜した斜め方向に向けて配置されてなる。
請求項1及び3に係る発明では、多視点ディスプレイは、複数の画素が交互に並んで光を出射する平面表示パネル、及び、略半円筒形状の複数のシリンドリカルレンズを互いに平行に並べてなるレンチキュラレンズを有する。多視点ディスプレイから出射された光を、単純反射する平面鏡及び集光するように反射する凹面鏡を介して表示部に投射し、視認者に虚像を認識させる。平面表示パネルを、この平面表示パネルの上下方向の中央部分にて、レンチキュラレンズの焦点距離よりも短い位置であって、且つ視認者側からレンチキュラレンズを通過した光が、平面鏡、凹面鏡及び表示部から構成される光学系機構の光学焦点面に結像する位置に配置したので、左右方向における光学系機構を通して虚像を見た場合の距離感と、多視点ディスプレイを直視した場合の距離感とが一致する。
さらに、レンチキュラレンズは、光学焦点面の上下方向にて、視認者の位置から光が出射された場合に光学系機構及びレンチキュラレンズを通過した光が光学焦点面上に結像するように、平面表示パネルに対向する面がレンチキュラレンズの上下方向で凹レンズ形状又は凸レンズ形状であるので、上下の部位においても光学系機構を通して虚像を見た場合の距離感と、多視点ディスプレイを直視した場合の距離感とが一致する。このため、所定の画素からの光が、左右上下いずれの位置でも視認者の所定の視点位置以外に外れることがなく、所定の視点位置にのみ虚像を生成することができ、高品質な虚像を得ることができる。このように、本発明の車両用表示装置では、多視点ディスプレイを使用し、装置全体を小型化した上で、虚像の品質を向上させることができる。
請求項2に係る発明では、多視点ディスプレイは、ライトフィールドディスプレイであるので、ウィンドシールド(表示部)の直下に配置することができ、従来技術のような斜めに傾けて配置されたスクリーンが不要となり、光軸に沿った奥行を短くすることが可能となり、表示装置の小型化を図ることができる。
請求項4に係る発明では、レンチキュラレンズは、複数のシリンドリカルレンズが、上下方向に対して横方向に傾斜した斜め方向に向けて配置されてなる。シリンドリカルレンズを斜めに配置することにより、虚像上で色の付いた縞模様が見える「モアレ」と呼ばれる現象の発生を抑制できる。これにより、表示装置の商品性を高めることができる。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。尚、説明中、左右とは、車内の乗員(視認者)を基準として左右をいい、前後とは車両の進行方向を基準として前後をいう。また、図中Leは左、Riは右、Frは前、Rrは後、Upは上、Dnは下、を示している。
本発明の基本構成について説明する。図3に示すように、ヘッドアップディスプレイ(以下、車両用表示装置という)10は、例えば、車両Veに搭載され、車体の前部にあるウィンドシールド(表示部)WSに光を投射する。ウィンドシールドWSに光が投射されることにより、運転者(視認者)Mnは、ウィンドシールドWSの前方に虚像Vが投影されているように認識する。
車両用表示装置10により投影される虚像Vは、上部が車両Veの前方側に傾いている。この上部が傾いた虚像Vに車速やナビゲーション情報等の情報を含ませることにより、運転者Mnは走行時に必要な情報を得ることができる。
車両用表示装置10は、ケース20と、このケース20に収納され光を出射する多視点ディスプレイ(ライトフィールドディスプレイ)30と、この多視点ディスプレイ30から出射された光が通過する光学系レンズ41と、この光学系レンズを通過した光を反射する平面鏡40と、この平面鏡40が反射した光を表示部(ウィンドシールド)WSに向かって反射する凹面鏡50と、この凹面鏡50の上方に配置されたカバーガラス60と、多視点ディスプレイ30が出射する光を制御する制御部12と、を有している。光学系レンズ41、平面鏡40、凹面鏡50、カバーガラス60及び表示部WS等から光学系機構70が構成されている。
ケース20が車両Veに取り付けられることで、多視点ディスプレイ30がウィンドシールドWSの直下に配置されている。ケース20は、遮光性を有する合成樹脂によって形成されている。このため、ケース20は、外部から多視点ディスプレイ30に入射した光が、車室内に反射することを防ぐ遮光部である、ということができる。更には、ケース20の内壁20aを遮光部ということもできる。
図3及び図4に示すように、多視点ディスプレイ30は、複数の画素31が交互に並んで光を出射する平面表示パネル32と、所定方向に延びている半円筒形状のシリンドリカルレンズ33が複数並んだレンチキュラレンズ34と、を有している。
平面表示パネル32は、例えばバックライト32aと、液晶パネル32bとからなることで、シリンドリカルレンズ33に向かって光を出射する画素31を複数有している。尚、平面表示パネル32が出射する光は、各画素31が出射する光の束である。
各画素31は、赤・緑・青の副画素により構成されている。副画素が発光することにより、各シリンドリカルレンズ33に向かって光が出射される。尚、各副画素の発光を組み合わせることで、画素31から出射される光の明度、色相、彩度を異ならせることができる。
レンチキュラレンズ34は、例えば透明なポリカーボネートの平板状のベース板部33aと、このベース板部33aに所定方向に延びて複数配列され画素31から出射された光が通過するシリンドリカルレンズ33と、を有している。シリンドリカルレンズ33が延びている所定方向は、視認者Mnの視点の縦方向である。このように縦方向に延びている複数のシリンドリカルレンズ33は、それぞれ横に周期的に並んで配置されている。
また、レンチキュラレンズ34は、ベース板部33a上に、横断面に関して集光する縦長のシリンドリカルレンズ33が横(左右)に並ぶように切削加工したものである。これにより、シリンドリカルレンズ33はいわゆるカマボコ形状(D字状)であり、縦長のカマボコ形状のシリンドリカルレンズ33が横に並んで配置されたものがレンチキュラレンズ34となる。また、レンチキュラレンズ34の平面表示パネル32に対向する面(レンチキュラレンズ34の裏面、ベース板部33a)は、上下方向において凹レンズ形状に形成されている。
このような形状とすることで、レンチキュラレンズ34は、各画素31から出射された光を所定方向に屈折させる。レンチキュラレンズ34は、ケース20の外部からレンチキュラレンズ34に入射した外光を遮光部としての内壁20aに向かって反射するよう、内壁20a側に傾けられている。レンチキュラレンズ34は、例えば、フューズドシリカ、光学ガラス、プラスチック等からなる。
ベース板部33aは、平面表示パネル32の光を出射する面に対して平行に設けられている。シリンドリカルレンズ33の出射側の断面形状は、例えば、凸形状、球面形状及び非球面形状等からなる。各シリンドリカルレンズ33は、各画素31に対応して設けられ、各画素31から出射された光を屈折させる。
ここで、多視点ディスプレイ30が出射する光とは、各画素31(平面表示パネル32)から出射された光であってレンチキュラレンズ34を通過した光のことをいう。つまり、各画素31から出射された光がレンチキュラレンズ34を通過することによって、多視点ディスプレイ30から光が出射される、ということができる。
レンチキュラレンズ34を光軸Fに対して傾斜して配置することにより、外光Gが入射した場合に、多視点ディスプレイ30の表面で反射した光が視点に戻らないようにすることができる。なお、便宜上、模式的に示した図面での多視点ディスプレイ30の傾斜角は大きくしたが、実際の傾斜角は、外光Gが入射した場合に多視点ディスプレイ30の表面で反射した光が視点に戻らないようにする程度の小さな角度である。
平面鏡40は、平面部分を有するように成形した樹脂、例えばポリカーボネートに、金属、例えばアルミを蒸着したミラーであり、光を単純反射するものである。
凹面鏡50は、凹面を有するように成形した樹脂、例えばポリカーボネートに、金属、例えばアルミを蒸着したミラーであり、平行光を集光するように反射するものである。
カバーガラス60は、透明な樹脂、例えばポリカーボネートのフィルムである。ケース20は,前述の全ての部分を収容する筐体である。
制御部12は、マイクロプロセッサとそれを動作させる為の各種電子部品、基板、ケースからなり、装置外部から入力される車両情報やユーザーの入力を処理し、それに基づいて映像を適切に表示するように多視点ディスプレイ30を制御する。具体的には、制御部12は、レンチキュラレンズ34を通過した光がウィンドシールドWSに投射されるように、多視点ディスプレイ30が出射する光の方向を制御する。つまり、制御部12は、レンチキュラレンズ34を通過した光が所定方向に向かうよう各画素31が出射する光を制御する。
運転者Mnは、多視点ディスプレイ30から出射された光がウィンドシールドWSに投射されることにより、角度がθだけ前方に傾いた虚像Vが投影されているよう認識する。このような虚像Vは、視点ごとに異なる映像が投影される。つまり、奥行きのある虚像Vを運転者Mnに視認させるためには、多視点ディスプレイ30が、視点ごとに適切な視差が付いた映像を投影する必要がある。
制御部12は、多視点ディスプレイ30がレンチキュラレンズ34の一端から他端に亘って連続して結像位置の異なる光を出射し、上部が前方に傾いた虚像Vが視認されるよう、各画素31が出射する光を制御する。更に、制御部12は、各画素31から出射される光を制御して、レンチキュラレンズ34から出射される光の結像位置を自由に変化させることもできる。これにより、虚像Vの傾き角度を自由に変えることができる。制御部12が各画素31から出射される光を制御することで、運転者Mnの視認する任意の虚像Vが投影される。
次に実施例に示す車両用表示装置10の要部について説明する。なお、図5では車両用表示装置10の要部を平面視で模式的に示している。
図5は平面表示パネル32の上下方向の中央部分における光軸及び左右方向に沿った断面を模式的に示す平断面図である。図5に示すように、車両用表示装置10は、多視点ディスプレイ30と、光学系機構70とを備えている。多視点ディスプレイ30は、平面表示パネル32と、レンチキュラレンズ34とを備えている。光学系機構70は、光学系レンズ41と、平面鏡40とを備えている。なお、光Fは本来平面鏡40で反射するものであるが、模式図での説明の便宜上、光Fが平面鏡40を通過しているように記載している。
また、光学系機構70による焦点面(以下、光学焦点面という)FHは、視認者Mnの目から光Fを放った場合のレンチキュラレンズ34を通った結像位置と定義する。レンチキュラレンズ34(多視点ディスプレイ30)の像面Iは、光学焦点面FHと一致している。なお、説明の便宜上、図面上ではレンチキュラレンズ34(多視点ディスプレイ30)の像面Iと、光学焦点面FHとが若干ずれているが、本来的には一致しているものとする。
レンチキュラレンズ34の焦点面(以下、レンチキュラレンズ焦点面という)FLは、光学焦点面FHとレンチキュラレンズ34との間に位置している。レンチキュラレンズ34からレンチキュラレンズ焦点面FLまでの距離は、レンチキュラレンズ34の焦点距離D0でもある。平面表示パネル32は、レンチキュラレンズ焦点面FLよりも、距離d1だけレンチキュラレンズ34側に移動した位置に配置されている。
このように、平面表示パネル32は、この平面表示パネル32の上下方向の中央部分にて、レンチキュラレンズ34の焦点距離D0よりも短い位置であって、且つ、視認者Mnに位置から出射され、平面鏡40、凹面鏡(図3参照)及び表示部WS(図3参照)から構成される光学系機構70、及びレンチキュラレンズ34を通過した光が結像する面を光学焦点面FHとした場合に、この光学焦点面FH上に結像する位置に配置されている。
図6に示すように、上下方向において、光学焦点面FHが平面表示パネル32側に膨らむように湾曲している。レンチキュラレンズ焦点面FLが、光学焦点面FH側に膨らむように湾曲している。図4及び図6に示すように、レンチキュラレンズ34は、光学焦点面FHの上下方向にて、視認者Mnの位置から光が出射された場合に光学系機構70及びレンチキュラレンズ34を通過した光Fが光学焦点面FH上に結像するように、平面表示パネル32に対向する面がレンチキュラレンズ34の上下方向で凹レンズ形状に形成されている。
このように、レンチキュラレンズ34の平面表示パネル32に対向する面が、レンチキュラレンズ34の上下方向で凹レンズ形状に形成されたことで、上下方向で湾曲している光学系機構70の光学焦点面FHの上下方向全ての位置で、レンチキュラレンズ34(多視点ディスプレイ30)の像面Iが一致する。このため、車両の上下方向において、例えば上下方向の中央部分を基準にして車両用表示装置10のセッティングを行った場合でも、上下の部位において本来視認できないはずの虚像Vを視認する問題が生じず、上下の部位における虚像Vの品質が向上する。
次に本発明の作用を説明する。
図3に示すように、基本作用として、多視点ディスプレイ30が生成する立体像Lは、光学系レンズ41を通過して平面鏡40によって凹面鏡50へ反射され、凹面鏡50によってカバーガラス60へ拡大・反射され、カバーガラス60を透過してウィンドシールドWSによって視認者Mnへ拡大・反射され、視認者Mnの視点において虚像Vとして観察される。
図5に示すように、本発明の要部の作用として、左右方向において、仮に視認者Mnの目から出射した光は、光学系機構70を通過し、さらにレンチキュラレンズ34(多視点ディスプレイ30)を通過して、光学焦点面FHで結像する。すなわち、レンチキュラレンズ34(多視点ディスプレイ30)の像面Iが光学焦点面FHに一致する。このため、光学系機構70を通して虚像V(図3参照)を観察した場合の距離感と、多視点ディスプレイ30を直視した場合の距離感とが一致し、例えば図1に示した画素P1の光は視点E1の位置でのみ視認され、画素P2からの光がE1で視認されることなない。
図6に示すように、本発明の要部の作用として、上下方向において、仮に視認者Mnの目から出射した光は、光学系機構70を通過し、さらにレンチキュラレンズ34(多視点ディスプレイ30)を通過して、光学焦点面FHで結像する。すなわち、レンチキュラレンズ34(多視点ディスプレイ30)の像面Iが光学焦点面FHに一致する。このため、光学系機構70を通して虚像V(図3参照)を観察した場合の距離感と、多視点ディスプレイ30を直視した場合の距離感とが、上部、中央部、下部の全ての位置で一致しする。
次に、本発明の効果を説明する。
以上に述べたように、平面表示パネル32を、この平面表示パネル32の上下方向の中央部分にて、レンチキュラレンズ34の焦点距離D0よりも短い位置であって、且つ視認者Mn側からレンチキュラレンズ34を通過した光Fが、平面鏡40、凹面鏡50及び表示部WSから構成される光学系機構70の光学焦点面FHに結像する位置に配置したので、光学系機構70を通して虚像を見た場合の距離感と、多視点ディスプレイ30を直視した場合の距離感とが一致する。
さらに、レンチキュラレンズ34は、光学焦点面FHの上下方向にて、視認者Mnの位置から光が出射された場合に光学系機構70及びレンチキュラレンズ34を通過した光Fが光学焦点面FH上に結像するように、平面表示パネル32に対向する面がレンチキュラレンズ34の上下方向で凹レンズ形状であるので、上下の部位においても光学系機構70を通して虚像を見た場合の距離感と、多視点ディスプレイ30を直視した場合の距離感とが一致する。このため、所定の画素31からの光が、左右上下いずれの位置でも視認者Mnの所定の視点位置以外に外れることがなく、所定の視点位置にのみ虚像を生成することができ、高品質な虚像Vを得ることができる。このように、本発明の車両用表示装置10では、多視点ディスプレイ30を使用し、装置全体を小型化した上で、虚像Vの品質を向上させることができる。
さらに、多視点ディスプレイ30は、外光が入射した場合に表面で反射した光が視点に戻らないようにする程度の小さい傾斜で配置することができるので、光軸Fに沿った方向の奥行きを短くすることができ、車両用表示装置10全体を小型化することができる。
さらに、多視点ディスプレイ30は、ライトフィールドディスプレイであるので、ウィンドシールド(表示部)WSの直下に配置することができ、従来技術のような斜めに傾けて配置されたスクリーンが不要となり、光軸に沿った奥行を短くすることが可能となり、車両用表示装置10の小型化を図ることができる。
さらに、平面表示パネル32の発光画素の位置を制御することにより斜め面の映像を調整できる為、取り付けの公差が緩和され、製造コストを下げることができる。
次に、別態様の実施例に係る多視点ディスプレイ30について説明する。なお、図4に示した多視点ディスプレイ30と同様の構成については符号を流用して説明を省略する。図7の(a)及び(b)に示すように、レンチキュラレンズ34の正面視において、レンチキュラレンズ34では、複数のシリンドリカルレンズ33が、上下方向に対して横方向に傾斜した斜め方向に向けて配置されている。レンチキュラレンズ34は、平面表示パネル32に対向する面がレンチキュラレンズ34の上下方向で凹レンズ形状である。
多視点ディスプレイ30は、複数の画素31が交互に並んで光を出射する平面表示パネル32と、略半円筒形状を呈している複数のシリンドリカルレンズ33が互いに平行に並べられてなるレンチキュラレンズ34と、を有している。
シリンドリカルレンズ33は、レンチキュラレンズ34の上下方向に対して、横方向に傾斜した斜め方向に向けて配置されている。ここで、横方向に傾斜した斜め方向とは、レンチキュラレンズ34の上下方向に沿う軸を0°とした場合に、概ね5°〜30°傾いていることをいう。
なお、図4において、シリンドリカルレンズ33は、レンチキュラレンズ34の上下方向に沿って、上下方向に向けて配置されている。このため、レンチキュラレンズ34の上下方向に沿う軸に対して0°に配置されている、ということができる。
以上に説明した別態様の実施例による多視点ディスプレイ30においても、本発明所定の効果を得ることができる。さらに、レンチキュラレンズ34は、複数のシリンドリカルレンズ33が、上下方向に対して横方向に傾斜した斜め方向に向けて配置されてなる。シリンドリカルレンズ33を斜めに配置することにより、虚像上で色の付いた縞模様が見える「モアレ」と呼ばれる現象の発生を抑制できる。これにより、多視点ディスプレイ30の商品性を高めることができる。
尚、実施例では、レンチキュラレンズ34の平面表示パネル32に対向する面がレンチキュラレンズ34の上下方向で凹レンズ形状となるように形成したが、これに限定されず、光学焦点面FHの上下方向にて、視認者Mnの位置から光が出射された場合に光学系機構70及びレンチキュラレンズ34を通過した光が光学焦点面FH上に結像すれば、レンチキュラレンズ34の平面表示パネル32に対向する面がレンチキュラレンズ34の上下方向で凸レンズ形状としてもよい。
更に、実施例では、レンチキュラレンズ34において、シリンドリカルレンズ33が多視点ディスプレイ30の高さ方向と平行になるように並べたが、図7に示すように、シリンドリカルレンズ33を、レンチキュラレンズ34の上下に対して横方向に斜めに傾けて並べて配置してもよい。
更に、光学系機構70は、平面鏡40を含まなくても良いし、必要に応じて平面鏡40を2枚以上配置しても良い。
更に、本発明による車両用表示装置は、四輪車の他、二輪車又は三輪車に適用されても良い。更には、車両以外の乗り物や建機等にも適用が可能である。
更に、実施例において、表示部はウィンドシールドとして説明されている。しかしながら、本発明による表示装置は、いわゆるコンバイナからなる表示部に光を投射することもできる。
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
本発明の表示装置は、車両に搭載するのに好適である。
10…車両用表示装置(ヘッドアップディスプレイ)、12…制御部、30…多視点ディスプレイ(ライトフィールドディスプレイ)、31…画素、32…平面表示パネル、33…シリンドリカルレンズ、34…レンチキュラレンズ、40…平面鏡、50…凹面鏡、70…光学系機構、Mn…視認者(運転者)、Ve…車両、V…虚像(像)、WS…表示部(ウィンドシールド)、F…光軸(光)、FH…光学系焦点、FL…レンチキュラレンズ焦点面、I…像面(視認者側からの光がレンチキュラレンズを通過した結像位置)、D0…レンチキュラレンズの焦点距離。
Claims (4)
- 複数の画素が交互に並んで光を出射する平面表示パネル、及び、略半円筒形状の複数のシリンドリカルレンズを互いに平行に並べてなるレンチキュラレンズ、を有する多視点ディスプレイと、
この多視点ディスプレイから出射される光を制御する制御部と、
前記多視点ディスプレイから出射された光を単純反射する平面鏡、この平面鏡によって反射された光を集光するように反射する凹面鏡、及び、この凹面鏡によって反射された光が投射される表示部、を含む光学系機構と、を有し、視認者に虚像を認識させる車両用表示装置において、
前記平面表示パネルは、この平面表示パネルの上下方向の中央部分にて、
前記レンチキュラレンズの焦点距離よりも短い位置であって、且つ、
前記視認者の位置から出射され前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が結像する面を光学焦点面とした場合に、この光学焦点面上に結像する位置に配置されており、
前記レンチキュラレンズは、前記光学焦点面の上下方向にて、前記視認者の位置から光が出射された場合に前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が前記光学焦点面上に結像するように、前記平面表示パネルに対向する面が前記レンチキュラレンズの上下方向で凹レンズ形状又は凸レンズ形状であることを特徴とする車両用表示装置。 - 前記多視点ディスプレイは、ライトフィールドディスプレイであることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 複数の画素が交互に並んで光を出射する平面表示パネル、及び、略半円筒形状の複数のシリンドリカルレンズを互いに平行に並べてなるレンチキュラレンズ、を有する多視点ディスプレイと、
この多視点ディスプレイから出射される光を制御する制御部と、
前記多視点ディスプレイから出射された光が投射される表示部、を含む光学系機構と、を有し、視認者に虚像を認識させる車両用表示装置において、
前記平面表示パネルは、この平面表示パネルの上下方向の中央部分にて、
前記レンチキュラレンズの焦点距離よりも短い位置であって、且つ、
前記視認者の位置から出射され前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が結像する面を光学焦点面とした場合に、この光学焦点面上に結像する位置に配置されており、
前記レンチキュラレンズは、前記光学焦点面の上下方向にて、前記視認者の位置から光が出射された場合に前記光学系機構及び前記レンチキュラレンズを通過した光が前記光学焦点面上に結像するように、前記平面表示パネルに対向する面が前記レンチキュラレンズの上下方向で凹レンズ形状又は凸レンズ形状であることを特徴とする車両用表示装置。 - 前記レンチキュラレンズは、前記複数のシリンドリカルレンズが、上下方向に対して横方向に傾斜した斜め方向に向けて配置されてなることを特徴とする請求項3記載の車両用表示装置。
Applications Claiming Priority (2)
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JP2019117050 | 2019-06-25 |
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JP2020018519A Pending JP2021005071A (ja) | 2019-06-25 | 2020-02-06 | 車両用表示装置 |
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2020
- 2020-02-06 JP JP2020018519A patent/JP2021005071A/ja active Pending
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