JP2021004566A - 排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒の端面詰まりの原因物質を主に物理的に除去することが可能となる排気浄化装置を提供する。【解決手段】排気浄化装置100は、エンジン1の排気通路12に設けられたDOC14aと、エンジン本体2とDOC14aとの間の排気通路12を流れる排気ガスを含む入口ガスの入口ガス圧力に少なくとも基づいて、DOC14aの入口側の端面の詰まりを認識する端面詰まり認識部32と、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガスの流量を増加させる流量制御部33と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、排気浄化装置に関する。
従来の排気浄化装置として、触媒の排気ガス流入側の端面詰まりの原因物質(デポジット等)を、触媒の入口温度を高めて酸化除去することを図る技術が知られている(例えば特許文献1)。
酸化除去といった主に化学的に原因物質を除去する手法にあっては、化学変化を進展させるために一定時間を要する。よって、上記従来技術において酸化除去を十分に行うためには、触媒の入口温度を高めた状態を一定時間維持することが要される。しかしながら、一般的に触媒の入口温度を高める際には、一時的に燃費が悪化する傾向がある。そのため、上記従来技術では、燃費が悪化した状態が一定時間維持されてしまい、燃料消費量の増大を招くおそれがある。
本発明は、触媒の端面詰まりの原因物質を主に物理的に除去することが可能となる排気浄化装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る排気浄化装置は、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒と、内燃機関と排気浄化触媒との間の排気通路を流れる排気ガスを含む入口ガスの入口ガス圧力に少なくとも基づいて、排気浄化触媒の入口側の端面の詰まりを認識する端面詰まり認識部と、端面詰まり認識部によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガスの流量を増加させる流量制御部と、を備える。
本発明の一態様に係る排気浄化装置では、端面詰まり認識部によって端面の詰まりが認識された場合に、流量制御部によって、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガスの流量が増加される。これにより、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガス圧力が上昇する。入口ガス圧力の上昇に応じて、端面の詰まりの原因物質に作用する力が増大するため、入口ガスが原因物質を端面から吹き飛ばし易くなる。したがって、本発明の一態様に係る排気浄化装置によれば、触媒の端面詰まりの原因物質を主に物理的に除去することが可能となる。
一実施形態において、入口ガス圧力と、排気通路における排気浄化触媒の下流側の出口ガスの出口ガス圧力と、の差圧を検出する差圧検出部を備え、端面詰まり認識部は、差圧が所定の判定閾値以上となった場合に詰まりを認識してもよい。この場合、原因物質で覆われた端面の面積が増加するに従って差圧が大きくなることを利用し、詰まりを認識することができる。
一実施形態において、流量制御部は、差圧が所定の目標差圧以上となるように、流量を増加させてもよい。この場合、目標差圧以上となる入口ガス圧力に応じた大きさの力を原因物質に作用させることができる。
一実施形態において、内燃機関の吸入空気量を検出する吸気量検出部を更に備え、端面詰まり認識部は、吸入空気量が大きくなるに従って判定閾値を大きくしてもよい。この場合、排気浄化触媒の流通抵抗に起因して、吸入空気量が大きくなるに従って入口ガス圧力が上昇することを考慮して、より適切な判定閾値を用いて詰まりを認識することができる。
一実施形態において、内燃機関は、内燃機関と排気浄化触媒との間の排気通路を流れる排気ガスの一部を還流させるEGR装置と、内燃機関と排気浄化触媒との間に設けられたターボチャージャを有し、ターボチャージャは、タービン側に可変ノズルを有しており、流量制御部は、端面詰まり認識部によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて排気ガスの還流を抑制するようにEGR装置を制御すると共に、端面詰まり認識部によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて可変ノズルのノズル開度を閉じるようにターボチャージャを制御してもよい。この場合、端面詰まり認識部によって端面の詰まりが認識された場合に、ターボチャージャの制御による吸入空気量の増加を介して、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガスの流量を増加することができる。また、端面詰まり認識部によって端面の詰まりが認識された場合に、EGR装置の制御による排気ガスの還流量の低減を介して、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガスの流量を増加することができる。
一実施形態において、内燃機関は、車両に搭載されており、車両は、内燃機関の出力の駆動輪への伝達を調整する伝達部を有し、端面詰まり認識部によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて伝達を抑制するように伝達部を制御する伝達制御部を備えてもよい。この場合、ターボチャージャの制御により増加した吸入空気量に応じて、内燃機関の出力が増加したとしても、当該出力の駆動輪への伝達が抑制される。その結果、車両の駆動力の変動を抑制しつつ、触媒の端面詰まりを改善することが可能となる。
本発明によれば、触媒の端面詰まりの原因物質を主に物理的に除去することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1は、実施形態の排気浄化装置を備えた車両の概略構成図である。図2は、第1実施形態の排気浄化装置100を備えたエンジンシステムの概略構成図である。図1及び図2に示されるように、排気浄化装置100は、例えば車両60に搭載されたエンジン(内燃機関)1に適用される。車両60は、特に限定されないが、例えば乗用車、バス、トラック等である。車両60は、エンジン1の出力の駆動輪61,62への伝達を調整する自動変速機(伝達部)63を有している。自動変速機63は、例えば、内部にクラッチ機構を含んでいる。クラッチ機構は、摩擦部材の接続、切断、及びスリップにより、エンジン1の出力の駆動輪61,62への伝達を調整することができる。
図1は、実施形態の排気浄化装置を備えた車両の概略構成図である。図2は、第1実施形態の排気浄化装置100を備えたエンジンシステムの概略構成図である。図1及び図2に示されるように、排気浄化装置100は、例えば車両60に搭載されたエンジン(内燃機関)1に適用される。車両60は、特に限定されないが、例えば乗用車、バス、トラック等である。車両60は、エンジン1の出力の駆動輪61,62への伝達を調整する自動変速機(伝達部)63を有している。自動変速機63は、例えば、内部にクラッチ機構を含んでいる。クラッチ機構は、摩擦部材の接続、切断、及びスリップにより、エンジン1の出力の駆動輪61,62への伝達を調整することができる。
エンジン1は、一例としてコモンレール式の4気筒直列ディーゼルエンジンである。エンジン1は、シリンダブロック及びシリンダヘッド等で構成されたエンジン本体2を備えている。エンジン本体2には、4つのシリンダ3が設けられている。各シリンダ3には、燃焼室4内に燃料を噴射するインジェクタ5が配設されている。各インジェクタ5は、コモンレール6に接続されている。インジェクタ5には、コモンレール6に貯留された高圧燃料が供給される。
エンジン本体2には、燃焼室4内に空気を吸入するための吸気通路7がインテークマニホールド8を介して接続されている。吸気通路7には、吸入空気の流れ方向上流側から順にエアクリーナ9、ターボチャージャ21のコンプレッサ23、インタークーラ10、及びスロットルバルブ11が設けられている。スロットルバルブ11は、例えば電子制御バタフライバルブであり、エンジン1の吸入空気量を調整することができる。
エンジン本体2には、燃焼室4で燃焼後の排気ガスを排出するための排気通路12がエキゾーストマニホールド(排気通路)13を介して接続されている。排気通路12には、排気浄化触媒として、例えば、DOC[Diesel Oxidation Catalyst]14aと、DPF[Diesel Particulate Filter]14bとが設けられている。なお、排気浄化触媒として、DPF14bの下流側にSCR[Selective Catalytic Reduction]が設けられていてもよい。
エンジン1は、燃焼後の排気ガスの一部を排気再循環(EGR)ガスとして燃焼室4内に還流するEGRユニット(EGR装置)15を備えている。EGRユニット15は、吸気通路7とエキゾーストマニホールド13とを繋ぐように設けられている。ここでのEGRユニット15は、エンジン本体2とDOC14aとの間のエキゾーストマニホールド13を流れる排気ガスを還流させる。EGRユニット15は、EGRガスを流通させるEGR通路16と、EGRガスの還流量を調整するEGRバルブ17と、EGRガスを冷却するEGRクーラ18と、EGRクーラ18をバイパスするバイパス通路19と、EGRガスの流路をEGRクーラ18側又はバイパス通路19側に切り替える切替弁20とを有している。
エンジン1は、エンジン本体2とDOC14aとの間に設けられたターボチャージャ21を備えている。ターボチャージャ21は、排気通路12側に配設されたタービン22と、吸気通路7側に配設されたコンプレッサ23とを有している。
ターボチャージャ21は、可変容量式ターボチャージャとして構成されている。ターボチャージャ21は、タービン22側に可変ノズル22aを有している。可変ノズル22aは、周知の構成を有しており、タービンハウジングのスクロール通路から排出通路に流れる排気ガスの向き及び流速を調整可能に構成されている(図示省略)。
タービン22では、例えば、ある可変ノズル22aの開度に対して可変ノズル22aの開度が閉じ側に変化すると、タービン22の回転数が増加するように排気ガスの向き及び流速が調整される。また、ある可変ノズル22aの開度に対して可変ノズル22aの開度が開き側に変化すると、タービン22の回転数が減少するように排気ガスの向き及び流速が調整される。可変ノズル22aの開度は、後述のECU[Electronic Control Unit]30によって制御される(詳しくは後述)。
排気浄化装置100は、エンジン1の吸気脈動音を低減するために、吸気脈動の共鳴を抑制するように可変ディフューザベーン21a及び可変ノズル22aの制御を行うECU30を備えている。図3は、図2の排気浄化装置のECU30に関する構成を示すブロック図である。図2及び図3に示されるように、排気浄化装置100は、エンジン回転数センサ24と、アクセルセンサ25と、エアフロセンサ(吸気量検出部)26と、差圧センサ(差圧検出部)27と、ECU30と、を備えている。ECU30には、上記各センサ24〜27、EGRバルブ17、可変ノズル22a、スロットルバルブ11、及びインジェクタ5が接続されている。
エンジン回転数センサ24は、例えばエンジン1のクランクシャフトの回転数をエンジン1の回転数(以下、エンジン回転数という)として検出する検出器である。エンジン回転数センサ24は、検出したエンジン回転数の検出信号をECU30に送信する。
アクセルセンサ25は、例えば車両60のアクセルペダルに併設されている。アクセルセンサ25は、例えば運転者が車両60を運転している場合のエンジン1の負荷として、アクセルペダルのアクセル開度を検出する。アクセルセンサ25は、検出したアクセル開度の検出信号をECU30に送信する。
エアフロセンサ26は、エンジン1の吸入空気量を検出する検出器である。エアフロセンサ26は、例えば吸気通路7におけるエアクリーナ9とコンプレッサ23との間に設けられている。エアフロセンサ26は、検出した吸入空気量の検出信号をECU30に送信する。
差圧センサ27は、排気通路12におけるDOC14aの上流側の入口ガスの圧力(入口ガス圧力)と、排気通路12におけるDOC14aの下流側の出口ガスの圧力(出口ガス圧力)と、の差圧を検出する検出器である。差圧センサ27は、例えば、圧力を伝搬可能な一対の管を介して排気通路12におけるDOC14aの上流側及び下流側のそれぞれに接続されている。差圧センサ27は、検出した差圧の検出信号をECU30に送信する。
ここで、入口ガスは、エンジン1とDOC14aとの間の排気通路12を流れる排気ガスを含んでいる。入口ガスの流量とは、DOC14aに流入するガスの流量を意味し、EGR通路16を介して還流された排気ガスの流量は含まない。DOC14aに流入するガスとは、DOC14aの上流側の端面に圧力を作用させるガスに対応する。
ECU30は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、CAN[Controller Area Network]通信回路等を有する電子制御ユニットである。ECU30では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。ECU30は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。
ECU30は、EGRバルブ17に制御信号を送信することで、EGRガスの還流量を調整するようにEGRバルブ17の開度を制御する。
ECU30は、可変ノズル22aに制御信号を送信することで、タービンハウジングのスクロール通路から排出通路に流れる排気ガスの向き及び流速を調整するように可変ノズル22aの開度を制御する。
ECU30は、スロットルバルブ11に制御信号を送信することで、エンジン1の吸入空気量を調整するようにスロットルバルブ11の開度を制御する。
ECU30は、インジェクタ5に制御信号を送信することで、燃焼室4への燃料噴射量及び燃料噴射時期を調整するようにインジェクタ5を制御する。
ECU30は、機能的構成として、エンジン状態取得部31と、端面詰まり認識部32と、流量制御部33と、伝達制御部34と、を有している。
エンジン状態取得部31は、上記各センサ24〜27の検出結果に基づいて、エンジン状態を取得する。エンジン状態取得部31は、エンジン状態として、例えば、エンジン回転数センサ24で検出されたエンジン回転数、アクセルセンサ25で検出されたアクセル開度、エアフロセンサ26で検出された吸入空気量、及び、差圧センサ27で検出された差圧を取得する。
エンジン状態取得部31は、エンジン回転数及びアクセル開度に応じて、公知の手法によりエンジン1の燃料噴射量、燃料噴射時期、及び目標空燃比を算出してもよい。ここでの燃料噴射量、燃料噴射時期、及び目標空燃比は、エンジン回転数及びアクセル開度に応じて要求される要求トルクを実現するための通常運転時の指令値ともいうことができる。
エンジン状態取得部31は、エンジン回転数及びアクセル開度に応じて、EGRバルブ17のバルブ開度を算出する。EGRバルブ17のバルブ開度は、例えば、エンジン回転数及び燃料噴射量を軸とするマップで規定されていてもよい。エンジン状態取得部31は、エンジン回転数及びアクセル開度に応じて、可変ノズル22aのノズル開度を算出する。可変ノズル22aのノズル開度は、例えば、エンジン回転数及び燃料噴射量を軸とするマップで規定されていてもよい。ここでのEGRバルブ17のバルブ開度、及び可変ノズル22aのノズル開度は、エンジン回転数及びアクセル開度に応じて要求される要求トルクを実現するための通常運転時の指令値ともいうことができる。
端面詰まり認識部32は、入口ガスの入口ガス圧力に少なくとも基づいて、DOC14aの入口側の端面の詰まりを認識する。ここでの端面詰まり認識部32は、差圧センサ27で検出された差圧に基づいて、DOC14aの入口側の端面(図示省略)の詰まりを認識する。
DOC14aの入口側の端面とは、DOC14aを構成する触媒貴金属を担持する担体の端面である。担体は、例えば円柱状のセラミック製であり、その両底面に複数の開口がハニカム状に形成されている。DOC14aの入口側の端面は、例えば円柱状の一対の底面のうち、排気ガスの流れ方向上流側の底面を意味する。つまり、DOC14aの入口側の端面は、複数の開口を有する。
端面の詰まりとは、DOC14aの入口側の端面の一定面積以上がデポジットで覆われることにより、端面の一定面積において複数の開口が閉塞されている状態を意味する。ここでは、排気浄化触媒のうち最も上流側にDOC14aが設けられていることから、DOC14aの入口側の端面にデポジットが堆積し易い。デポジットは、端面の詰まりの原因物質であり、エンジン本体2から排出された排気ガス中の煤が、排気ガス中の未燃燃料(つまり炭化水素)をバインダ成分として互いに固着されて形成され得る。そのため、エンジン1の高負荷運転時よりも、エンジン1の低負荷運転時の方が、デポジットが形成され易い。
端面詰まり認識部32は、例えば、差圧センサ27で検出された差圧が所定の判定閾値以上となった場合に詰まりを認識する。判定閾値は、端面の詰まりを認識するための差圧の閾値である。判定閾値は、例えば、DOC14aの入口側の端面の一定面積がデポジットで覆われている状態に相当する差圧である。端面の一定面積は、例えば、端面の面積の50%〜80%の範囲のうちの所定の値とすることができる。なお、差圧センサ27で検出された差圧は、入口ガス圧力と出口ガス圧力との差圧である。つまり、差圧は、入口ガスの入口ガス圧力に少なくとも基づいていると言える。
端面詰まり認識部32は、吸入空気量が大きくなるに従って判定閾値を大きくしてもよい。端面詰まり認識部32は、例えば、図4のように設定された判定閾値を用いてもよい。
図4は、判定閾値の一例を示す図である。図4では、横軸に吸入空気量が示され、縦軸に差圧が示されている。図4において、実線L1は、端面の詰まりが生じていない状態での差圧であり、一点鎖線L2は、端面の詰まりが生じている状態での差圧であり、破線THは、判定閾値である。実線L1としては、端面の面積の0%がデポジットで覆われた状態(DOC14aの新品状態)での入口ガス圧力であってもよい。一点鎖線L2としては、端面の面積の90%がデポジットで覆われた状態での入口ガス圧力であってもよい。
図4に示されるように、破線THは、実線L1と一点鎖線L2との間を通るように設定される。実線L1及び一点鎖線L2では、DOC14aにおける流通抵抗に起因して、吸入空気量が大きくなるに従って入口ガス圧力が上昇するため、差圧の値が大きくなる。したがって、判定閾値を示す破線THは、吸入空気量が大きくなるに従って、差圧の値が大きくなるように設定される。図4の例では、破線THは、下に凸の曲線を呈するように設定されている。破線THは、その他、例えば実線L1と一点鎖線L2との間で右上がりとなる直線を呈するように設定されてもよい。
端面詰まり認識部32は、詰まりを認識した状態において、差圧センサ27で検出された差圧が判定閾値未満となった場合に、認識していた詰まりが改善されたと認識してもよい。端面詰まり認識部32は、詰まりを認識した状態において、差圧センサ27で検出された差圧が、判定閾値よりも所定のヒステリシスだけ低い改善閾値未満となった場合に、認識していた詰まりが改善されたと認識してもよい。詰まりの改善とは、端面の詰まりの原因となっているデポジットが一定程度で物理的に除去されたことを意味する。詰まりの改善は、必ずしも全てのデポジットが除去されたことを意味しなくてもよい。
流量制御部33は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガスの流量を増加させる。流量制御部33は、例えば、差圧が所定の目標差圧以上となるように、入口ガスの流量を増加させる。目標差圧は、端面のデポジットを物理的に除去するために要される差圧の目標値である。目標差圧は、例えばエンジン1の実機を用いた試験等により、デポジットを物理的に除去できる差圧として設定することができる。目標差圧は、DOC14aの担体の直径、材質、燃料の成分(つまり車両60の仕向け)等に応じて、エンジン1の機種固有の値として設定されてもよい。実機を用いた試験等においてデポジットを物理的に除去できているか否かは、例えばDOC14aを外して端面を目視又はカメラので撮像することにより算出可能なデポジットで覆われた端面の面積に基づいて、判断されてもよい。
入口ガスの流量を増加させるために、具体的には、流量制御部33は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて排気ガスの還流を抑制するようにEGRユニット15のEGRバルブ17を制御する。排気ガスの還流を抑制するためのEGRバルブ17のバルブ開度は、例えば、エンジン回転数及び燃料噴射量を軸とするマップで規定されていてもよい。このマップには、上記通常運転時の指令値と比較して排気ガスの還流を抑制するようなバルブ開度が、エンジン1の実機を用いた試験等により予め設定されている。このマップには、バルブ開度に代えて、上記通常運転時の指令値からのバルブ開度の補正値が規定されていてもよい。
また、流量制御部33は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて可変ノズル22aのノズル開度を閉じるようにターボチャージャ21を制御する。可変ノズル22aのノズル開度は、例えば、エンジン回転数及び燃料噴射量を軸とするマップで規定されていてもよい。このマップには、上記通常運転時の指令値と比較して入口ガスの流量を増加させるような可変ノズル22aのノズル開度が、エンジン1の実機を用いた試験等により予め設定されていてもよい。このマップには、ノズル開度に代えて、上記通常運転時の指令値からのノズル開度の補正値が規定されていてもよい。
流量制御部33は、一例として、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、流量増加処理を1回又は複数回行う。流量増加処理は、上述のEGRバルブ17のバルブ開度及び可変ノズル22aのノズル開度の制御によって、排気ガスの還流が抑制された状態において差圧が所定の目標差圧以上とされる処理である。流量増加処理としては、吸入空気量及び差圧の経時的推移がパルス状となる第1流量増加処理と、吸入空気量及び差圧の経時的推移がステップ状となる第2流量増加処理と、を例示することができる。
吸入空気量及び差圧の経時的推移の具体例を、図5〜図7を参照して説明する。図5は、入口ガスの流量の増加を例示するタイミングチャートである。図5(a)では、横軸に時間が示され、縦軸に差圧が示されている。図5(b)では、横軸に時間が示され、縦軸に吸入空気量が示されている。図5では、エンジン1の所定の定常運転中において、流量制御部33によって第1流量増加処理が1回行われ、その結果、詰まりが改善した例が示されている。
図5に示されるように、時刻t1において、端面詰まり認識部32の認識処理が行われる。時刻t1において、差圧センサ27で検出された差圧が所定の判定閾値以上となっているとする。この場合、端面詰まり認識部32は、時刻t1において詰まりを認識する。これにより、流量制御部33は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識されたとして、当該詰まりが認識される前の時刻t1以前と比べて、入口ガスの流量を増加させる。
流量制御部33は、差圧が所定の目標差圧TH2以上となるように、入口ガスの流量を増加させる。一例として、図5では、流量制御部33は、当該詰まりが認識された時刻t1から差圧が目標差圧TH2以上となるまでの間に、第1流量増加処理を行う。これにより、差圧が目標差圧TH2以上とされ、デポジットが物理的に除去される。その結果、時刻t2の後において、時刻t1の前よりも、デポジットが物理的に除去された分だけ差圧が低下し、差圧が判定閾値TH1未満となる。
差圧が目標差圧TH2以上とされれば、入口ガスの流量の増加勾配は、大きくてもよいし、小さくてもよい。なお、図5の例では、差圧が目標差圧TH2となったときに第1流量増加処理が終了されているが、吸入空気量及び差圧がオーバーシュートしてもよい。
また、図6は、入口ガスの流量の増加を例示する他のタイミングチャートである。図6(a)では、横軸に時間が示され、縦軸に差圧が示されている。図6(b)では、横軸に時間が示され、縦軸に吸入空気量が示されている。図6では、エンジン1の所定の定常運転中において、流量制御部33によって第2流量増加処理が1回行われ、その結果、詰まりが改善した例が示されている。
図6に示されるように、時刻t3において、端面詰まり認識部32の認識処理が行われる。時刻t3において、差圧センサ27で検出された差圧が所定の判定閾値以上となっているとする。この場合、端面詰まり認識部32は、時刻t3において詰まりを認識する。これにより、流量制御部33は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識されたとして、当該詰まりが認識される前の時刻t3以前と比べて、入口ガスの流量を増加させる。
流量制御部33は、差圧が所定の目標差圧TH2以上となるように、入口ガスの流量を増加させる。一例として、図6では、流量制御部33は、当該詰まりが認識された時刻t3から差圧が目標差圧TH2以上となるように入口ガスの流量を増加させ、入口ガスの流量を増加させた状態で一定時間維持する第2流量増加処理を行う。これにより、差圧が目標差圧TH2以上とされた状態が一定時間、例えば時刻t4まで維持され、デポジットが物理的に除去される。その結果、時刻t4の後において、時刻t3の前よりも、デポジットが物理的に除去された分だけ差圧が低下し、差圧が判定閾値TH1未満となる。
また、図5において仮に1回の第1流量増加処理ではデポジットが物理的に除去されなかった場合には、図7示されるように、複数回繰り返して第1流量増加処理が行われてもよい。図7は、入口ガスの流量の増加を例示する他のタイミングチャートである。図7(a)では、横軸に時間が示され、縦軸に差圧が示されている。図7(b)では、横軸に時間が示され、縦軸に吸入空気量が示されている。
図7に示されるように、時刻t5において、端面詰まり認識部32の認識処理が行われる。時刻t5において、差圧センサ27で検出された差圧が所定の判定閾値以上となっているとする。この場合、端面詰まり認識部32は、時刻t5において詰まりを認識する。これにより、流量制御部33は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識されたとして、当該詰まりが認識される前の時刻t5以前と比べて、入口ガスの流量を増加させる。
流量制御部33は、差圧が所定の目標差圧TH2以上となるように、入口ガスの流量を増加させる。一例として、図7では、流量制御部33は、当該詰まりが認識された時刻t5から差圧が目標差圧TH2以上となるまでの間に、第1流量増加処理を行う。これにより、差圧が目標差圧TH2以上とされる。図7の例では、1回の第1流量増加処理ではデポジットが物理的に除去されず、一定時間経過後に2回目の第1流量増加処理を行い、それでもデポジットが物理的に除去されず、再び、一定時間経過後に3回目の第1流量増加処理を行う。その結果、時刻t6の後において、時刻t5の前よりも、デポジットが物理的に除去された分だけ差圧が低下し、差圧が判定閾値TH1未満となる。
図1及び図3に戻り、伝達制御部34は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べてエンジン1の出力の駆動輪61,62への伝達を抑制するように自動変速機63を制御する。伝達制御部34は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、流量制御部33によって入口ガスの流量が増加させられているとき、エンジン1の出力の駆動輪61,62への伝達を抑制するように自動変速機63を制御してもよい。
伝達制御部34は、例えば、自動変速機63をニュートラルに切り替えることで、エンジン1の出力の駆動輪61,62への伝達を抑制してもよい。伝達制御部34は、例えば、自動変速機63内部のクラッチ機構の摩擦部材を切断又はスリップとすることにより、エンジン1の出力の駆動輪61,62への伝達を抑制してもよい。
また、伝達制御部34は、自動変速機63の上記制御に代えて、あるいは自動変速機63の上記制御と共に、例えば燃料噴射量の減少、燃料噴射時期の遅角等の手法により、エンジン1の出力を抑制してもよい。
[ECUによる処理]
次に、ECU30による処理の一例について、図8を参照して説明する。図8は、図3のECU30の処理を例示するフローチャートである。ECU30は、エンジン1の暖機後などの一定条件下の運転中(例えば車両60の走行中)において、図8に示される処理を、例えば一定周期ごとに繰り返し実行する。
次に、ECU30による処理の一例について、図8を参照して説明する。図8は、図3のECU30の処理を例示するフローチャートである。ECU30は、エンジン1の暖機後などの一定条件下の運転中(例えば車両60の走行中)において、図8に示される処理を、例えば一定周期ごとに繰り返し実行する。
図8に示されるように、ECU30は、S01において、エンジン状態取得部31により、差圧の取得を行う。ECU30は、S02において、端面詰まり認識部32により、S01で取得した差圧が判定閾値TH1以上であるか否かに基づいて、端面の詰まりの認識を行う。ECU30は、S03において、流量制御部33により、端面の詰まりが端面詰まり認識部32で認識されたか否かの判定を行う。
端面の詰まりが端面詰まり認識部32で認識されたと流量制御部33により判定された場合(S03:YES)、ECU30は、S04において、流量制御部33により、端面の詰まりが認識される前と比べて入口ガスの流量を増加させる。流量制御部33は、例えば、上述のような第1又は第2流量増加処理を、1回又は複数回行う。また、ECU30は、S05において、伝達制御部34により、エンジン1の出力の伝達の抑制を行う。伝達制御部34は、例えば、エンジン1の出力の駆動輪61,62への伝達を抑制するように自動変速機63を制御してもよい。その後、ECU30は、図8の処理を終了する。
一方、端面の詰まりが端面詰まり認識部32で認識されていないと流量制御部33により判定された場合(S03:NO)、ECU30は、そのまま図8の処理を終了する。
以上説明したように、排気浄化装置100では、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、流量制御部33によって、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガスの流量が増加される。これにより、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガス圧力が上昇する。入口ガス圧力の上昇に応じて、端面の詰まりの原因物質のデポジットに作用する力が増大するため、入口ガスがデポジットを端面から吹き飛ばし易くなる。したがって、排気浄化装置100によれば、DOC14aの端面詰まりの原因物質を主に物理的に除去することが可能となる。
排気浄化装置100は、入口ガス圧力と、排気通路12におけるDOC14aの下流側の出口ガスの出口ガス圧力と、の差圧を検出する差圧センサ27を備える。端面詰まり認識部32は、差圧が所定の判定閾値TH1以上となった場合に詰まりを認識する。これにより、デポジットで覆われた端面の面積が増加するに従って差圧が大きくなることを利用し、詰まりを認識することができる。
排気浄化装置100では、流量制御部33は、差圧が所定の目標差圧TH2以上となるように、入口ガスの流量を増加させる。これにより、目標差圧TH2以上となる入口ガス圧力に応じた大きさの力をデポジットに作用させることができる。
排気浄化装置100は、エンジン1の吸入空気量を検出するエアフロセンサ26を更に備える。端面詰まり認識部32は、吸入空気量が大きくなるに従って判定閾値TH1を大きくする。これにより、DOC14aの流通抵抗に起因して、吸入空気量が大きくなるに従って入口ガス圧力が上昇することを考慮して、より適切な判定閾値TH1を用いて詰まりを認識することができる。
排気浄化装置100では、エンジン1は、エンジン本体2とDOC14aとの間の排気通路12を流れる排気ガスの一部を還流させるEGRユニット15と、エンジン本体2とDOC14aとの間に設けられたターボチャージャ21を有する。ターボチャージャ21は、タービン22側に可変ノズル22aを有しており、流量制御部33は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて排気ガスの還流を抑制するようにEGRユニット15を制御すると共に、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて可変ノズル22aのノズル開度を閉じるようにターボチャージャ21を制御する。これにより、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、ターボチャージャ21の制御による吸入空気量の増加を介して、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガスの流量を増加することができる。また、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、EGRユニット15の制御による排気ガスの還流量の低減を介して、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガスの流量を増加することができる。
排気浄化装置100では、エンジン1は、車両60に搭載されており、車両60は、エンジン1の出力の駆動輪61,62への伝達を調整する自動変速機63を有する。排気浄化装置100は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べてエンジン1の出力の駆動輪61,62への伝達を抑制するように自動変速機63を制御する伝達制御部34を備える。これにより、ターボチャージャ21の制御により増加した吸入空気量に応じて、エンジン1の出力が増加したとしても、当該出力の駆動輪61,62への伝達が抑制される。その結果、車両60の駆動力の変動を抑制しつつ、DOC14aの端面詰まりを改善することが可能となる。
なお、DOC14aの端面詰まりは、高い酸化性能を有するように、DOC14aの担体のセル数(単位:cpsi[cellper square inch])が大きい場合に発生し易い。DOC14aの端面詰まりが発生すると、圧力損失の増加等により、エンジン1の燃費が悪化し得る。排気浄化装置100によれば、端面詰まりに起因する燃費悪化等のデメリットを抑制しつつ、高い酸化性能を有するDOC14aを採用することが可能となる。
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態の排気浄化装置100Aを備えたエンジンシステムの概略構成図である。図9に示されるように、第2実施形態の排気浄化装置100Aは、空気供給装置40を更に備える点で、第1実施形態の排気浄化装置100と異なっている。
図9は、第2実施形態の排気浄化装置100Aを備えたエンジンシステムの概略構成図である。図9に示されるように、第2実施形態の排気浄化装置100Aは、空気供給装置40を更に備える点で、第1実施形態の排気浄化装置100と異なっている。
空気供給装置40は、エンジン本体2とDOC14aとの間の排気通路12に、空気を供給可能に構成されている。空気供給装置40は、ポンプ41と、エアタンク42と、エアバルブ43と、を有している。
ポンプ41は、エアタンク42に接続された外気導入通路に設けられており、エアタンク42に空気を圧送する。エアタンク42は、圧送された空気を貯留する。エアタンク42における空気の圧力は、少なくともエンジン1の低負荷運転(デポジットが形成され易い運転)時における排気通路12のガスの圧力よりも、高くなることが可能となっている。
エアバルブ43は、エアタンク42と排気通路12とを接続する空気供給通路の途中に設けられており、エアタンク42からの空気の供給量を調整する。エアバルブ43の動作は、ECU30Aによって制御される。
図10は、図9の排気浄化装置100AのECU30Aに関する構成を示すブロック図である。図10に示されるように、第2実施形態のECU30Aは、流量制御部33に代えて流量制御部33Aを有しており、エアバルブ43と接続されている点で、第1実施形態のECU30と異なっている。
流量制御部33Aは、流量制御部33と比較して、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べてエアタンク42からの空気の供給量を増加させるようにエアバルブ43を制御する機能を更に有している。この場合、流量増加処理は、エアバルブ43の制御によって、差圧が所定の目標差圧TH2以上とされる処理を含む。流量制御部33Aは、エアバルブ43のみを制御してもよいし、流量制御部33と同様のEGRバルブ17のバルブ開度及び可変ノズル22aのノズル開度の制御を併せて行ってもよい。
このような排気浄化装置100Aでは、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、流量制御部33Aによって、当該詰まりが認識される前と比べて、エアタンク42からの空気の供給によって入口ガスの流量が増加される。そのため、排気浄化装置100と同様に、DOC14aの端面詰まりの原因物質を主に物理的に除去することが可能となる。
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態の排気浄化装置100Bを備えたエンジンシステムの概略構成図である。図11に示されるように、第3実施形態の排気浄化装置100Bは、DOC14aの下流側(ここではDPF14bの下流側)の排気ガスの一部を還流するLPL−EGR[Low Pressure Loop Exhaust Gas Recirculation]ユニット50を更に備える点で、第1実施形態の排気浄化装置100と異なっている。なお、LPL−EGRユニット50によって還流される排気ガスを、以下、単にLPL−EGRガスという。
図11は、第3実施形態の排気浄化装置100Bを備えたエンジンシステムの概略構成図である。図11に示されるように、第3実施形態の排気浄化装置100Bは、DOC14aの下流側(ここではDPF14bの下流側)の排気ガスの一部を還流するLPL−EGR[Low Pressure Loop Exhaust Gas Recirculation]ユニット50を更に備える点で、第1実施形態の排気浄化装置100と異なっている。なお、LPL−EGRユニット50によって還流される排気ガスを、以下、単にLPL−EGRガスという。
LPL−EGRユニット50は、エアフロセンサ26とコンプレッサ23との間の吸気通路7と、DPF14bの下流側の排気通路12と、を繋ぐように設けられている。LPL−EGRユニット50は、LPL−EGRガスを流通させるEGR通路 51と、LPL−EGRガスの還流量を調整するEGRバルブ52と、LPL−EGRガスを冷却するEGRクーラ53と、LPL−EGRガスの流路を切り替える切替弁54と、LPL−EGRガスを圧送するポンプ55と、LPL−EGRガスをDOC14aの上流側に戻すための戻し通路56とを有している。切替弁54は、LPL−EGRガスの流路をEGRクーラ53側又は戻し通路56側に切り替える。切替弁54の動作は、ECU30Bによって制御される。
図12は、図11の排気浄化装置100BのECU30Bに関する構成を示すブロック図である。図12に示されるように、第3実施形態のECU30Bは、流量制御部33に代えて流量制御部33Bを有しており、切替弁54と接続されている点で、第1実施形態のECU30と異なっている。
流量制御部33Bは、流量制御部33と比較して、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べてLPL−EGRガスの戻し量を増加させるように切替弁54を制御する機能を更に有している。この場合、流量増加処理は、切替弁54の制御によって、差圧が所定の目標差圧TH2以上とされる処理を含む。流量制御部33Bは、切替弁54のみを制御してもよいし、流量制御部33と同様のEGRバルブ17のバルブ開度及び可変ノズル22aのノズル開度の制御を併せて行ってもよい。
このような排気浄化装置100Bでは、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、流量制御部33Bによって、当該詰まりが認識される前と比べて、LPL−EGRガスがDOC14aの上流側に戻されることによって入口ガスの流量が増加される。そのため、排気浄化装置100と同様に、DOC14aの端面詰まりの原因物質を主に物理的に除去することが可能となる。
[変形例]
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではない。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではない。
上記第1実施形態では、流量制御部33は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、エンジン1の実機を用いた試験等により予め設定されたEGRバルブ17のバルブ開度及び可変ノズル22aのノズル開度に基づいて、流量増加処理を行ったが、現在のエンジン1の運転状態に基づいて、EGRバルブ17と可変ノズル22aのノズル開度とを制御してもよい。
具体的には、流量制御部33は、通常運転時のEGRバルブ17のバルブ開度の指令値に基づいて、EGRユニット15のEGRガスの還流量を認識する。流量制御部33は、エアフロセンサ26の検出値に基づいて、現在の吸入空気量を認識する。流量制御部33は、検出したエンジン回転数、及び、通常運転時の燃料噴射量の指令値によって特定される現在のエンジン1の運転状態において、EGRバルブ17のバルブ開度をどれだけ補正すればEGRガスの還流量がどれだけ変化するかを、所定の物理モデルを用いて推定する。流量制御部33は、検出したエンジン回転数、及び、通常運転時の燃料噴射量の指令値によって特定される現在のエンジン1の運転状態において、可変ノズル22aのノズル開度をどれだけ補正すれば吸入空気量がどれだけ変化するかを、所定の物理モデルを用いて推定する。これらの推定結果を利用して、流量制御部33は、例えば、エンジン1の出力トルクの変化がなるべく小さくなるように入口ガス圧力を目標差圧TH2以上とすることができるような、EGRバルブ17のバルブ開度の補正量と可変ノズル22aのノズル開度の補正量とを、算出してもよい。
上記各実施形態において、流量制御部33による流量増加処理に先だって、流量制御部33は、入口ガスの温度を高くしてもよい。流量制御部33は、入口ガスの温度を高くするために、例えば、燃料噴射時期の遅角等によりエンジン1の燃焼状態を変えてもよい。この場合、バインダ成分としての炭化水素が燃焼してデポジットから除かれるため、残された煤が物理的に除去され易くなる。また、流量制御部33は、入口ガスの温度を高くするために、DPF14bのPM再生モードの処理の実行後に、流量増加処理を行ってもよい。この場合、流量制御部33は、判定閾値TH1よりも小さい予備判定閾値TH3を用いて、差圧が予備判定閾値TH3以上であり且つ判定閾値TH1未満である場合には、すぐには流量増加処理を行わず、DPF14bのPM再生モードの処理の実行タイミングが到来するのを待ってもよい。
上記第1実施形態では、判定閾値TH1は吸入空気量に応じて可変であったが、一定値であってもよい。
上記各実施形態では、入口ガス圧力と出口ガス圧力との差圧を検出する差圧センサ27を用いたが、差圧センサ27に代えて、入口ガス圧力を検出するセンサと、出口ガス圧力を検出するセンサと、のそれぞれの検出結果から差圧を取得してもよい。この場合において、出口ガス圧力を検出するセンサに代えて、大気圧の圧力を検出するセンサの検出結果から、入口ガス圧力と大気圧との差圧を取得してもよい。また、差圧に代えて、入口ガス圧力を検出するセンサの検出結果から入口ガス圧力のみを取得してもよい。つまり、端面詰まり認識部32は、入口ガスの入口ガス圧力に少なくとも基づいて、DOC14aの入口側の端面の詰まりを認識すればよい。
上記各実施形態では、排気通路12にDOC14a及びDPF14bが設けられていたが、これらの少なくとも一つが省略されていたり、順番が入れ替わっていたり、一体的に構成されていたりしてもよい。要は、排気通路12において排気ガスの流れ方向の最上流側に設けられた排気浄化触媒については、DOC14aの例と同様にして、上記各実施形態のような端面の詰まりの改善を行うことができる。
上記各実施形態では、入口ガスの流量を増加させるための具体例として、流量制御部33は、EGRユニット15のEGRバルブ17と、可変ノズル22aのノズル開度と、の両方を制御したが、これらの少なくとも一方のみを制御してもよい。EGRユニット15及びターボチャージャ21の少なくとも一方が省略されてもよい。
また、流量制御部33は、入口ガスの流量を増加させるための他の具体例として、スロットルバルブ11を制御してもよい。この場合、流量制御部33は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて吸入空気量を増加させるようにスロットルバルブ11を制御する。このようなスロットルバルブ11の制御としては、例えば、エンジン状態取得部31は、算出した燃料噴射量、燃料噴射時期、及び目標空燃比に基づいて、通常運転時の指令値としてエンジン1の目標吸入空気量を算出しておくと共に、上記通常運転時の指令値と比較して吸入空気量を増加させるような目標吸入空気量の補正値が、エンジン1の実機を用いた試験等により予め設定されていてもよい。また、流量制御部33は、必ずしも、差圧が所定の目標差圧以上となるように流量を増加させなくてもよい。要は、流量制御部33は、端面詰まり認識部32によって端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて入口ガスの流量を増加させればよい。
上記各実施形態では、アクセルセンサ25でエンジン1の負荷を検出したが、その他の車載センサを用いてエンジン1の負荷を検出してもよいし、車両60の車両制御(例えばクルーズコントロール等)からの要求トルクとしてエンジン1の負荷を検出してもよい。
上記各実施形態では、内燃機関としてディーゼルエンジンを例示したが、デポジットが生じ得る燃料で動作するものであれば、例えばガソリンエンジン等、その他の内燃機関であってもよい。車両60においては、自動変速機63が省略されてもよく、この場合、伝達制御部34が省略されてもよい。内燃機関は、必ずしも車両60に搭載されていなくてもよい。
上記第2実施形態と上記第3実施形態とは、互いに組み合わせられてもよい。
1…エンジン(内燃機関)、12…排気通路、13…エキゾーストマニホールド(排気通路)、15…EGRユニット(EGR装置)、21…ターボチャージャ、22a…可変ノズル、26…エアフロセンサ(吸気量検出部)、27…差圧センサ(差圧検出部)、32…端面詰まり認識部、33,33A,33B…流量制御部、34…伝達制御部、60…車両、61,62…駆動輪、63…自動変速機(伝達部)、100,100A,100B…排気浄化装置。
Claims (6)
- 内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒と、
前記内燃機関と前記排気浄化触媒との間の前記排気通路を流れる排気ガスを含む入口ガスの入口ガス圧力に少なくとも基づいて、前記排気浄化触媒の入口側の端面の詰まりを認識する端面詰まり認識部と、
前記端面詰まり認識部によって前記端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて前記入口ガスの流量を増加させる流量制御部と、を備える、排気浄化装置。 - 前記入口ガス圧力と、前記排気通路における前記排気浄化触媒の下流側の出口ガスの出口ガス圧力と、の差圧を検出する差圧検出部を備え、
前記端面詰まり認識部は、前記差圧が所定の判定閾値以上となった場合に前記詰まりを認識する、請求項1に記載の排気浄化装置。 - 前記流量制御部は、前記差圧が所定の目標差圧以上となるように、前記流量を増加させる、請求項2に記載の排気浄化装置。
- 前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸気量検出部を更に備え、
前記端面詰まり認識部は、前記吸入空気量が大きくなるに従って前記判定閾値を大きくする、請求項2又は3に記載の排気浄化装置。 - 前記内燃機関は、前記内燃機関と前記排気浄化触媒との間の前記排気通路を流れる排気ガスの一部を還流させるEGR装置と、前記内燃機関と前記排気浄化触媒との間に設けられたターボチャージャを有し、
前記ターボチャージャは、タービン側に可変ノズルを有しており、
前記流量制御部は、
前記端面詰まり認識部によって前記端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて前記排気ガスの還流を抑制するように前記EGR装置を制御すると共に、
前記端面詰まり認識部によって前記端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて前記可変ノズルのノズル開度を閉じるように前記ターボチャージャを制御する、請求項1〜4の何れか一項に記載の排気浄化装置。 - 前記内燃機関は、車両に搭載されており、
前記車両は、前記内燃機関の出力の駆動輪への伝達を調整する伝達部を有し、
前記端面詰まり認識部によって前記端面の詰まりが認識された場合に、当該詰まりが認識される前と比べて前記伝達を抑制するように前記伝達部を制御する伝達制御部を備える、請求項5に記載の排気浄化装置。
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