JP2021004323A - エチレン・プロピレン・ジエンゴム発泡体、及びその製造方法 - Google Patents

エチレン・プロピレン・ジエンゴム発泡体、及びその製造方法 Download PDF

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拓弥 島田
眞中 将一
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Abstract

【課題】低密度であり、しかも、耐フォギング性が良好な発泡体を提供する。【解決手段】ゴム発泡体は、見かけ密度が、0.05〜0.3g/cm3である。ゴム発泡体は、エチレン・プロピレン・ジエンゴム100重量部と、有機系発泡剤5〜40重量部と、無機系発泡剤2〜20重量部と、尿素系発泡助剤0.5〜1.7重量部と、が含有されている組成物の発泡体である。組成物には、有機系発泡剤として、少なくともアゾ系化合物が含有されている。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車ガラス等の高温揮発昇華物の付着による曇り(フォギング)の防止に好適なエチレン・プロピレン・ジエンゴム発泡体、及びその製造方法に関する。
ゴム発泡体は、その軽量性、柔軟性、クッション性や圧縮性から、クッション材、パット材、気密や止水等のシール材、断熱材、防音材として、家電等の室内用品から自動車等の乗り物、住宅等の建築物などの広い分野に使用されている。
しかしながら、ゴム系発泡体を、自動車用のフロント、リア、ウインドウ、ランプ等の各種ガラスの周辺、透明なプラスチック部分の周辺、住宅用複合ガラス周辺、プラズマデイスプレイの周辺、又は太陽光パネル周辺等におけるシール材などとして用いた場合に、ガラス板、又は透明プラスチック板に、汚染による曇りが生じるという問題があった。
そこで、特許文献1では、ゴム系ポリマー、加硫剤、アゾジカルボンアミド、尿素系発泡助剤、及び40℃での動粘度が1〜1000mm/秒で、かつ引火点が200℃以下のプロセスオイルを少なくとも成分とする混和物の加硫発泡体からなるゴム系発泡体が提案されている。
しかし、特許文献1の発泡体では、密度を低くすると、フォギング性が悪化するという課題があった。
また、特許文献2では、エチレン・プロピレン・ジエンゴム100重量部に対して、有機系発泡剤0.1〜40重量部、無機系発泡剤2〜40重量部、発泡助剤(尿素系助剤)2〜40重量部を配合した後、加硫発泡して得られるエチレン・プロピレン・ジエンゴム連続気泡発泡体が提案されている。この発泡体では、尿素系助剤が原因で尿素結晶付着によるフォギングが生じる課題がある。そこで、この技術において、尿素系助剤を少なくすることも考えられる。しかし、尿素系助剤を少なくすると、2次発泡において、重曹分解によるガスのガス抜けを起こすことから、低密度発泡品が得られないという課題があった。
特開2001−139715号公報 特開2006−182796号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、低密度であり、しかも、耐フォギング性が良好な発泡体を提供することを目的とする。本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕見かけ密度が、0.05〜0.3g/cmのゴム発泡体であって、
エチレン・プロピレン・ジエンゴム 100重量部と、
有機系発泡剤 5〜40重量部と、
無機系発泡剤 2〜20重量部と、
尿素系発泡助剤 0.5〜1.7重量部と、
が含有されるとともに、前記有機系発泡剤として、少なくともアゾ系化合物が含有されている組成物の発泡体である、ゴム発泡体。
本発明のゴム発泡体は、低密度であり、しかも、耐フォギング性が良好である。
ここで、本開示の望ましい例を示す。
〔2〕前記有機系発泡剤として、ヒドラジド系化合物が更に含まれている、〔1〕に記載のゴム発泡体。
〔3〕下記試験条件による蓋に用いたガラス板のヘイズ値が20%以下である、〔1〕又は〔2〕に記載のゴム発泡体。
試験条件:ゴム発泡体のスキン層を除去して、縦100mm横50mm厚さ10mmの試験片を作製し、その後、開口部内径40mm底部内径70mm高さ170mmのガラス瓶の底に前記試験片を配置し、前記ガラス瓶を80℃のシリコーンオイルバス(オイルの深さ110mm)に浸し、次いで、前記ガラス瓶の前記開口部に前記ガラス板を配置することにより前記開口部に蓋をして、20時間放置した後、ヘイズメータを用いて前記ガラス板のヘイズを測定する。
〔4〕前記アゾ系化合物、及び前記無機系発泡剤の配合割合は、重量比で、前記アゾ系化合物/前記無機系発泡剤の値が0.5以上0.9以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のゴム発泡体。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のゴム発泡体の製造方法であって、
第1温度にて前記組成物を加硫発泡する第1加硫発泡工程と、
前記第1加硫発泡工程にて得られた予備発泡体を第2温度にて加硫発泡する第2加硫発泡工程と、を備え、
前記第1加硫発泡工程では、前記組成物を加熱した型に接触させた状態で前記組成物を加熱し、
前記第2加硫発泡工程では、前記予備発泡体を熱風にて加熱することを特徴とするゴム発泡体の製造方法。
以下、本開示を詳しく説明する。なお、"x〜y"という範囲を示す表記は、特に断りが無い限り、当該範囲にxとyが入るものとする。
1.ゴム発泡体
ゴム発泡体は、見かけ密度が、0.05〜0.3g/cmである。ゴム発泡体は、エチレン・プロピレン・ジエンゴム100重量部と、有機系発泡剤5〜40重量部と、無機系発泡剤2〜20重量部と、尿素系発泡助剤0.5〜1.7重量部と、が含有されている組成物の発泡体である。組成物には、有機系発泡剤として、少なくともアゾ系化合物が含有されている。
(1)ゴム発泡体の見かけ密度
ゴム発泡体の見かけ密度は、シール部の隙をなくし、止水性、気密性等を確保するための柔軟性を得る観点から、0.05〜0.3g/cmであり、0.06〜0.2g/cmが好ましく、0.07〜0.09g/cmがより好ましい。
なお、ゴム発泡体の見かけ密度は、JIS K 6767に準じた測定方法で測定される。
(2)組成物
組成物は、エチレン・プロピレン・ジエンゴム100重量部と、有機系発泡剤5〜40重量部と、無機系発泡剤2〜20重量部と、尿素系発泡助剤0.5〜1.7重量部と、を含んで構成されている。
組成物の各成分について説明する。
(2.1)エチレン・プロピレン・ジエンゴム(以下、EPDMと省略することがある。)
エチレン・プロピレン・ジエンゴムは、エチレン、プロピレン及びジエン類の共重合によって得られるゴムであり、エチレン−プロピレン共重合体に、更にジエン類を共重合させて不飽和結合を導入することにより、加硫剤による加硫を可能としている。ジエン類は、特に限定されないが、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン等が用いられる。
(2.2)有機系発泡剤
有機系発泡剤には、少なくともアゾ系化合物が含有されている。アゾ系化合物としては、特に限定されないが、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン等の1種以上が好適に例示される。
有機系発泡剤は、密度低下に伴う発泡剤増量において、フォギング原因物質(尿素系化合物)を抑制する観点から、ヒドラジド系化合物を更に含むことが好ましい。ヒドラジド系化合物としては、特に限定されないが、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、2,4−トルエンジスルホニルヒドラジド、p,p−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)エーテル、ベンゼン−1,3−ジスルホニルヒドラジド、アリルビス(スルホニルヒドラジド)等の1種以上が好適に例示される。
有機系発泡剤は、その他の有機系発泡剤を含んでいてもよい。その他の有機系発泡剤は、特に限定されないが、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DTP)、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリニトロソトリメチルトリアミン等のN−ニトロソ系化合物、例えば、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等のセミカルバジド系化合物、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等のフッ化アルカン、例えば、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾール等のトリアゾール系化合物が用いられる。
有機系発泡剤としては、加熱膨張性の物質がマイクロカプセル内に封入された熱膨張マイクロカプセル(熱膨張性微粒子)等を用いてもよい。熱膨張マイクロカプセルとしては、例えば、マイクロスフェア(商品名:F100S、FN−80、松本油脂社製)などの市販品を用いてもよい。
組成物に含まれる有機系発泡剤の配合割合は、低密度であり、かつ、耐フォギング性が良好なゴム発泡体を得るため、尿素系分解生成物の発生を抑制する観点から、EPDM100重量部に対して、5〜40重量部であり、7〜20重量部であることが好ましく、8〜12重量部であることがより好ましい。なお、この「有機系発泡剤の配合割合」は、有機系発泡剤が2種以上の場合には、全ての有機系発泡剤の合計の配合割合を意味している。
また、有機系発泡剤としてのアゾ系化合物の配合割合は、EPDM100重量部に対して、5〜8重量部が好ましい。
また、有機系発泡剤として、ヒドラジド系化合物が含まれている場合には、ヒドラジド系化合物の配合割合は、EPDM100重量部に対して、3〜8重量部が好ましい。
(2.3)無機系発泡剤
無機系発泡剤は、特に限定されない。無機系発泡剤として、例えば、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩、例えば、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素塩、例えば、アジド類、その他公知の無機系発泡剤が用いられる。好ましくは、炭酸水素塩が用いられ、更に好ましくは、炭酸水素ナトリウムが用いられる。上記した無機系発泡剤は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
無機系発泡剤の配合割合は、シール部の隙をなくして、止水性、気密性等を確保できる柔軟性の高い低密度なゴム発泡体とし、かつ、良好な耐フォギング性及び良好なシール性を有する密度のゴム発泡体とする観点から、EPDM100重量部に対して、2〜20重量部であり、更には、5〜20重量部が好ましい。
(2.4)有機系発泡剤、及び無機系発泡剤の組合せ
有機系発泡剤、及び無機系発泡剤の組合せは、アゾ系化合物を有機系発泡剤として用いれば、特に限定されない。好適な組合せは、アゾ系化合物、ヒドラジド系化合物、及び炭酸塩の組合せである。より好適な組合せは、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、及び炭酸水素ナトリウムの組合せである。
(2.5)アゾ系化合物、及び無機系発泡剤の配合割合
アゾ系化合物、及び無機系発泡剤の配合割合は、重量比で、アゾ系化合物/無機系発泡剤の値が0.1以上0.9以下であることが好ましい。
この比の値を0.1以上とすることで、ゴム発泡体の見かけ密度を0.3g/cm以下とすることができる。
他方、この比の値を0.9以下とすることで、良好なフォギング性を確保して、ヘイズ値が20%以下とすることができる。
(2.6)尿素系発泡助剤
尿素系発泡助剤は、尿素を主成分とするものであり、例えば、永和化成工業社製のセルペーストK−5、セルペースト101等が例示される。なお、主成分とは、含有率(重量%)が90重量%以上(100重量%以下)の物質をいう。
尿素系発泡助剤の配合割合は、フォギングの発生を抑制するという観点から、EPDM100重量部に対して、1.7重量部以下が好ましく、1.3重量部以下がより好ましい。他方、尿素系発泡助剤の配合割合は、ゴム発泡体の見かけ密度を0.05〜0.3g/cmとする観点から、EPDM100重量部に対して、0.5重量部以上が好ましく、0.8重量部以上がより好ましい。これらの観点から、尿素系発泡助剤の配合割合は、EPDM100重量部に対して、0.5〜1.7重量部が好ましく、0.8〜1.3重量部がより好ましい。
(2.7)その他の成分
ゴム発泡体は、上述のEPDM、有機系発泡剤、無機系発泡剤、及び尿素系発泡助剤が含有されている組成物を発泡することによって得ることができる。
組成物には、上述のEPDM、有機系発泡剤、無機系発泡剤、及び尿素系発泡助剤以外の成分として、充填剤、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤を配合することができる。この場合には、ゴム発泡体は、充填剤、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤を配合した組成物を、加硫及び発泡(加硫発泡)することによって得ることができる。
充填剤は、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウムなど)、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸、及びその塩類、クレー、タルク、雲母粉、ベントナイト、シリカ、アルミナ、アルミニウムシリケート、アセチレンブラック、アルミニウム粉等の無機系充填剤、例えば、コルクなどの有機系充填剤、その他公知の充填剤が用いられる。これら充填剤は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。好ましくは、炭酸カルシウムが用いられる。充填剤の配合割合は、特に限定されないが、例えば、ゴム発泡体100重量部に対して、30〜200重量部、好ましくは、50〜90重量部である。
軟化剤は、特に限定されないが、例えば、乾性油類、動植物油類(例えば、アマニ油など)、石油系オイル類(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等)、アスファルト類、低分子量ポリマー類、有機酸エステル類(例えば、フタル酸エステル(例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP))、リン酸エステル、高級脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸エステル等)、増粘付与剤等が用いられる。これら軟化剤は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。好ましくは、石油系オイル類やアスファルト類が用いられる。
軟化剤の配合割合は、特に限定されないが、EPDM100重量部に対して、20〜300重量部、好ましくは、50〜200重量部である。
加硫剤は、特に限定されないが、例えば、硫黄、硫黄化合物類(例えば、4,4'-ジチオジモルホリン等)、セレン、酸化マグネシウム、一酸化鉛、有機過酸化物類(例えば、クメンペルオキシド等)、ポリアミン類、オキシム類(例えば、p−キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム等)、ニトロソ化合物類(例えば、p−ジニトロソベンジン等)、樹脂類(例えば、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物等)、アンモニウム塩類(例えば、安息香酸アンモニウム等)等が用いられる。これら加硫剤は、単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。ゴム発泡体の加硫性に起因する耐久性などの物性などの観点から、好ましくは、硫黄が用いられる。また、加硫剤の配合割合は、その種類によって加硫効率が異なるため、適宜選択すればよいが、例えば、硫黄では、EPDM100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは、0.5〜3重量部である。
加硫促進剤としては、例えば、チアゾール類(例えば、2―メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等)、ジチオカルバミン酸類(例えば、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等)、グアニジン類(例えば、ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン等)、スルフェンアミド類(例えば、ベンゾチアジル−2−ジエチルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等)、チウラム類(例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等)、キサントゲン酸類(例えば、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛等)、アルデヒドアンモニア類(例えば、アセトアルデヒドアンモニア、ヘキサメンチレンテトラミン等)、アルデヒドアミン類(例えば、n−ブチルアルデヒドアニリン、ブチルアルデヒドモノブチルアミン等)、チオウレア類(例えば、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレアなど)等が用いられる。このような加硫促進剤は、単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。加硫速度などの観点から、好ましくは、ジチオカルバミン酸類が用いられる。
また、加硫促進剤の配合割合は、耐ブルーム性、加硫速度などの観点から、例えば、EPDM100重量部に対して、0.5〜10重量部、好ましくは、1〜5重量部である。 なお、加硫促進剤とは反対に、成形加工性の調節などを目的として、例えば、有機酸(例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸等)やアミン類(例えば、N−ニトロソ−ジフェニルアミン、N−ニトロソ−フェニル−β−ナフチルアミン等)等の加硫遅延剤を、適宜配合してもよい。
また、組成物には、例えば、補強材、加硫助剤、滑剤、更には必要に応じて、例えば、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防カビ剤、難燃剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
補強材は、特に限定されないが、例えば、カーボンブラックなどが好ましく用いられ、その配合割合は、例えば、EPDM100重量部に対して、0.1〜80重量部、好ましくは、0.5〜50重量部である。
加硫助剤は、特に限定されないが、例えば、酸化亜鉛などが好ましく用いられ、その配合割合は、EPDM100重量部に対して、例えば、1〜20重量部、好ましくは、2〜10重量部である。 滑剤は、特に限定されないが、例えば、ステアリン酸やそのエステル類等が用いられ、その配合割合は、EPDM100重量部に対して、例えば、0.5〜5重量部、好ましくは、1〜3重量部である。
2.ゴム発泡体の製造方法
ゴム発泡体の製造方法は、第1加硫発泡工程と第2加硫発泡工程と、を備えている。すなわち、ゴム発泡体の製造方法では、1次発泡及び2次発泡の2段発泡をしている。
第1加硫発泡工程は、第1温度にて組成物を加硫発泡する工程である。第2加硫発泡工程は、第1加硫発泡工程にて得られた予備発泡体を第2温度にて加硫発泡する工程である。
第1加硫発泡工程では、組成物を加熱した型に接触させた状態で組成物を加熱する。
第2加硫発泡工程では、予備発泡体を熱風にて加熱する。
なお、組成物の各成分は、第1加硫発泡工程に先だって、ミキシングロール、ニーダ、ミキサー等を用いて混練りすることで混和されることが好ましい。
(1)第1加硫発泡工程
第1加硫発泡工程における加熱温度(第1温度)は、無機系発泡剤を十分に膨張させるとともに、有機系発泡剤の膨張を抑制して、穏やかな加硫をするという観点から90〜120℃が好ましく、95〜110℃がより好ましい。すなわち、第1温度で型成形させることで、ゴムがマイルドに加硫・固化する。その後、後述する第2加硫発泡工程において、有機系発泡剤の分解温度に達し、発泡する。この際、ゴムが加硫・固化しているので、発泡圧とゴムの内部圧力が釣り合い、発泡ガスが抜けず、発泡圧が維持されて、低密度化できる。
第1加硫発泡工程における加熱温時間は、無機系発泡剤を十分に膨張させるとともに、有機系発泡剤の膨張を抑制して、穏やかな加硫をするために、加硫及び発泡のタイミングを最適化する観点から10〜30分が好ましく、15〜25分がより好ましい。
第1加硫発泡工程では、組成物を加熱した型に接触させた状態で組成物を加熱する。すなわち、加熱した型(例えば金型)に組成物を接触させることで、型から熱が組成物に伝わる。なお、第1加硫発泡工程では、組成物のうち型に接触した部分にはスキン層(被膜)が形成される。
第1加硫発泡工程では、一対の金型を用いたプレス成形が好適に採用される。
(2)第2加硫発泡工程
第2加硫発泡工程における加熱温度(第2温度)は、有機系発泡剤を十分に膨張させて、高速な加硫(急激な加硫)をするという高発泡挙動推進の観点から160〜210℃が好ましく、170〜200℃がより好ましい。
第2加硫発泡工程における加熱温時間は、有機系発泡剤を十分に膨張させて、高速な加硫(急激な加硫)をするという観点から10〜40分が好ましく、15〜25分がより好ましい。
第2加硫発泡工程では、予備発泡体を熱風にて加熱する。第2加硫発泡工程では、有機系発泡剤が膨張することで発泡する。この際、第1加硫発泡工程で形成されたスキン層によって、発泡した気泡がゴム発泡体の中に閉じ込められる。その結果、製造されるゴム発泡体は、低密度(見かけ密度:0.05〜0.3g/cm)となる。
(3)任意工程
第2加硫発泡工程の後に、ゴム発泡体を、ロール又は針等を用いて、強制的に連続気泡化してもよい。すなわち、独立気泡のセル膜をクラッシュ(破泡)させてもよい。
なお、以上の説明において、「加硫」は、硫黄による橋架けに限定さることなく、「架橋」と同義として用いられている。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
1.ゴム発泡体の作製
(1)実施例1,2,3、及び比較例1,2,4.6,7
表1に示す配合処方で、各種ゴム発泡体を作製した。表1において「有機発泡剤A−ADCA」は「アゾジカルボンアミド」を、「有機発泡剤A−OBSH」は「4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)」を、「有機発泡剤A(熱膨張マイクロカプセル)」は、「マイクロスフェア」をそれぞれ意味している。また、表1において、配合の欄、有機発泡剤の合計、発泡剤(有機・無機)の合計の欄の単位は、全て「重量部」である。
各種ゴム発泡体は次のように作製された。EPDM(三井化学(株)製「EPT4021」)100重量部、炭酸カルシウム(近江化学工業(株)製品、商品名「軽微性炭酸カルシウム」)80重量部、パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製品、商品名「ダイアナプロセスPS−430」)40重量部、カーボンブラック(旭カーボン(株)製品、商品名「旭カーボン#50G」)30重量部、酸化亜鉛(井上石灰工業(株)製品、商品名「酸化亜鉛2種」)10重量部、ステアリン酸(日本油脂(株)製品、商品名「粉末ステアリン酸」)1重量部を配合し、これをバンバリーミキサー用いて混練りした。その後、そのコンパウンドに、更に、硫黄(ランクセス(株)製品、商品名「レノグランS−80E」)1重量部、アゾジカルボンアミド(永和化成工業(株)製品、商品名「EM804A」)表1の所定量、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド):永和化成工業(株)製、商品名「ネオセルボンN1000」)表1の所定量、炭酸水素ナトリウム(永和化成工業(株)製、商品名「FE−507R」)表1の所定量、尿素系発泡助剤(永和化成(株)製、商品名「セルペーストK−5」)表1の所定量、加硫促進剤としてのジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤(大内新興化学(株)製、商品名「ノクセラーPZ」)1.0重量部、チアゾール系加硫促進剤(大内新興化学(株)製、商品名「ノクセラーM」))2重量部を、加え、ミキシングロールで、更に混練りし、ロールにて、シート状に分出しをおこなった。
このシートを100℃の金型にセットして、プレス成形し、15分加熱後、熱風槽に移動し、熱風温度180℃、20分で加熱して、加硫発泡させることにより、ゴム発泡体を得た。すなわち、この製造方法では、第1加硫発泡工程及び第2加硫発泡工程を備えた、2段発泡を採用している。
詳細には、第1加硫発泡工程(表中「1次」と略す)では、シート(組成物)を型に接触させて加熱し、予備発泡体とした。なお、表1及び以下の記載中、「プレス」との記載は、加硫発泡させる際に、型を使用し、シート(組成物)を型に接触させたことを意味する。
第2加硫発泡工程(表中「2次」と略す)では、予備発泡体を熱風で加熱してゴム発泡体とした。なお、表1及び以下の記載中、「オープン」の記載は、加硫発泡させる際に、型を使用せずに開放された状態で、熱風を用いて加熱したことを意味する。
また、表1中、製法の欄において「○」の印は、左の欄に記載した製法に該当することを意味する。
なお、2段発泡後のゴム発泡体は、ロールクリアランス3mmに設定したクラッシングロール機に1回通して、計測用(評価用)のサンプルとした。クラッシング前のゴム発泡体の厚みは、3.5〜5.5mmであり、クラッシング後のゴム発泡体の厚みは、3.5〜6mmであった。
(2)比較例3,5
次の点以外は、実施例1と同様にしてゴム発泡体を作製した。
比較例3、5では、表1の配合で調製したシート状コンパウンドを熱風槽内で、熱風温度100℃で15分加熱した後、熱風温度180℃で20分加熱して、加硫発泡させることにより、ゴム発泡体を得た。すなわち、第1加硫発泡工程では、シート(組成物)を熱風で加熱して予備発泡体とした。第2加硫発泡工程でも、予備発泡体を熱風で加熱してゴム発泡体とした。
(3)実施例4
実施例4では、有機発泡剤として、松本油脂製薬製「商品名マツモトマイクロスフェアーFN−80」を表1に記載の配合で混合したコンパウンドを用いた。サンプルの調製は、発泡剤、加硫促進剤、加硫剤、を除く資材をバンバリーミキサーで混練後、ロールにて、発泡剤、加硫促進剤、加硫剤、とともに、熱膨張マイクロカプセルを混合した。このシートを100℃の金型にセットして、プレス成形し、15分加熱後、熱風槽に移動し、熱風温度180℃、20分で加熱して、加硫発泡させることにより、ゴム発泡体を得た。
2.評価方法
(1)見かけ密度
見かけ密度は、「1.ゴム発泡体 (1)ゴム発泡体の見かけ密度」の欄に記載の方法により測定した。
(2)50%圧縮荷重
ゴム発泡体の圧縮荷重をJIS K 6767に準じて測定した。ゴム発泡体のスキン層を除去して、厚み約10mmの試験片を作成した。
その後、圧縮試験機を用いて、圧縮速度10mm/分で50%圧縮してから、10秒後の圧縮荷重を測定した。
(3)ヘイズ
ゴム発泡体のスキン層を除去して、縦100mm横50mm厚さ10mmの試験片を作製し、その後、開口部内径40mm底部内径70mm高さ170mmのガラス瓶の底に試験片を配置し、ガラス瓶を80℃のシリコーンオイルバス(オイルの深さ110mm)に浸し、次いで、ガラス瓶の開口部にガラス板を配置することにより開口部に蓋をして、20時間放置した後、ヘイズメータ(スガ試験機株式会社製)を用いてガラス板のヘイズを測定した。
Figure 2021004323
3.結果
結果を表1に併記する。なお、表1において、総合判定の欄の「○」「×」は以下のことを意味する。

「○」:ゴム発泡体の物性が総合的に優れている。すなわち、ゴム発泡体が、低密度であり、耐フォギング性に優れている。また、この場合には、ゴム発泡体の基本特性である、柔軟性、及び低圧縮荷重という特性も兼ね備えている。
「×」:ゴム発泡体の物性が総合的に良くない。すなわち、ゴム発泡体が、密度、耐フォギング性、柔軟性、及び低圧縮荷重のうちの少なくとの1つで劣っている。
(1)実施例1〜4の各要件の充足状況
実施例1〜4のゴム発泡体は、下記要件(a)〜(e)を全て満たしている。
・要件(a):見かけ密度が、0.05〜0.3g/cmである。
・要件(b):エチレン・プロピレン・ジエンゴム100重量部に対して、有機系発泡剤が5〜40重量部配合されている。
・要件(c):エチレン・プロピレン・ジエンゴム100重量部に対して、無機系発泡剤が2〜20重量部配合されている。
・要件(d):エチレン・プロピレン・ジエンゴム100重量部に対して、尿素系発泡助剤が0.5〜1.7重量部配合されている。
・要件(e):有機系発泡剤として、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)が含有されている。
・要件(f):有機系発泡剤として、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)が含有されている。
(2)比較例1〜7の各要件の充足状況
これに対して、比較例1〜7のゴム発泡体は、以下の要件を満たしていない。
比較例1では、要件(a)(d)を満たしてない。
比較例2では、要件(d)を満たしてない。
比較例3では、要件(d)を満たしてない。
比較例4では、要件(d)を満たしてない。
比較例5では、要件(a)を満たしてない。
比較例6では、要件(a)を満たしてない。
比較例7では、要件(c)を満たしてない。
(3)実施例1〜4の結果及び考察
実施例1〜4のゴム発泡体は、総合判定の結果が良好であった。実施例1〜4のゴム発泡体は、1次発泡(プレス成形)、2次発泡(オーブン)で加熱して、製造することで、セル形態が連続気泡になった。これらのゴム発泡体は、柔らかく、低圧縮荷重であり、シール性に優れるとともに、且つ、耐フォギング性に優れていた。
(4)比較例1〜7の結果及び考察
比較例1のゴム発泡体は、尿素系発泡助剤が少ないので、ADCAの発泡分解温度が下がらず、ADCAの発泡の際の分解が不十分となり、見かけ密度が低下できていなかった。また、比較例1のゴム発泡体は、高圧縮荷重であり、ゴム発泡体の基本物性が劣っていた。
比較例2のゴム発泡体は、尿素系発泡助剤が多いので、尿素結晶が原因でフォギングが発生し、ヘイズ値が高かった。
比較例3のゴム発泡体は、尿素系発泡助剤が多いので、尿素結晶が原因でフォギングが発生し、ヘイズ値が高かった。なお、比較例3のゴム発泡体の製造方法では、第1加硫発泡工程(1次)がオープンであり、第2加硫発泡工程(2次)がオープンである。
比較例4のゴム発泡体は、比較例3と第1加硫発泡工程及び第2加硫発泡工程のみが異なる。すなわち、比較例4のゴム発泡体は、第1加硫発泡工程(1次)がプレス成形であり、第2加硫発泡工程(2次)がオープンである。比較例4のゴム発泡体は、尿素系発泡助剤が多いので、尿素結晶が原因でフォギングが発生し、ヘイズ値が高かった。
比較例5のゴム発泡体は、実施例2と第1加硫発泡工程及び第2加硫発泡工程のみが異なる。すなわち、比較例5のゴム発泡体は、第1加硫発泡工程(1次)がオープンであり、第2加硫発泡工程(2次)もオープンである。比較例5のゴム発泡体は、第1加硫発泡工程(1次)がオープンの状態での加硫であることから、ゴム発泡体の加硫度が弱く、第2加硫発泡工程における発泡剤の分解ガスが抜けてしまい、その結果、見かけ密度が高く、高反発であった。
比較例6のゴム発泡体は、見かけ密度が高く、フォギングが発生し、ヘイズ値が高かった。
比較例7のゴム発泡体は、無機系発泡剤が多く、高圧縮荷重であり、ゴム発泡体の基本物性が劣っていた。
(5)製造方法の相違に関する考察
上述のように実施例2と比較例5では、第1加硫発泡工程及び第2加硫発泡工程のみが異なる。
実施例2は、第1加硫発泡工程(1次)がプレス成形であり、第2加硫発泡工程(2次)がオープンである。実施例2では、第1加硫発泡工程において、加熱した金型に組成物を接触させることで、組成物の表面にスキン層(被膜)が形成される。そして、第2加硫発泡工程(2次)において、有機系発泡剤が膨張して発泡する際、スキン層によって、発泡した気泡がゴム発泡体の中に閉じ込められる。その結果、製造されたゴム発泡体は、見かけ密度が低く、低反発となった。
他方、比較例5は、第1加硫発泡工程(1次)がオープンであり、第2加硫発泡工程(2次)もオープンである。比較例5では、第1加硫発泡工程において、金型を用いないから、組成物の表面にスキン層は形成されない。そして、第2加硫発泡工程(2次)において、有機系発泡剤が膨張して発泡する際、分解ガスが抜けてしまい、その結果、見かけ密度が高く、高反発となった。
このように、第1加硫発泡工程(1次)がプレス成形であり、第2加硫発泡工程(2次)がオープンの場合には、見かけ密度が低く、低反発のゴム発泡体を製造することができることが確認された。
4.実施例の効果
以上の実施例によれば、低密度であり、しかも、耐フォギング性が良好なゴム発泡体を提供することができる。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。

Claims (5)

  1. 見かけ密度が、0.05〜0.3g/cmのゴム発泡体であって、
    エチレン・プロピレン・ジエンゴム 100重量部と、
    有機系発泡剤 5〜40重量部と、
    無機系発泡剤 2〜20重量部と、
    尿素系発泡助剤 0.5〜1.7重量部と、
    が含有されるとともに、前記有機系発泡剤として、少なくともアゾ系化合物が含有されている組成物の発泡体である、ゴム発泡体。
  2. 前記有機系発泡剤として、ヒドラジド系化合物が更に含まれている、請求項1に記載のゴム発泡体。
  3. 下記試験条件による蓋に用いたガラス板のヘイズ値が20%以下である、請求項1又は2に記載のゴム発泡体。
    試験条件:ゴム発泡体のスキン層を除去して、縦100mm横50mm厚さ10mmの試験片を作製し、その後、開口部内径40mm底部内径70mm高さ170mmのガラス瓶の底に前記試験片を配置し、前記ガラス瓶を80℃のシリコーンオイルバス(オイルの深さ110mm)に浸し、次いで、前記ガラス瓶の前記開口部に前記ガラス板を配置することにより前記開口部に蓋をして、20時間放置した後、ヘイズメータを用いて前記ガラス板のヘイズを測定する。
  4. 前記アゾ系化合物、及び前記無機系発泡剤の配合割合は、重量比で、前記アゾ系化合物/前記無機系発泡剤の値が0.5以上0.9以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム発泡体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム発泡体の製造方法であって、
    第1温度にて前記組成物を加硫発泡する第1加硫発泡工程と、
    前記第1加硫発泡工程にて得られた予備発泡体を第2温度にて加硫発泡する第2加硫発泡工程と、を備え、
    前記第1加硫発泡工程では、前記組成物を加熱した型に接触させた状態で前記組成物を加熱し、
    前記第2加硫発泡工程では、前記予備発泡体を熱風にて加熱する、ゴム発泡体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021201056A1 (ja) * 2020-03-31 2021-10-07 積水化学工業株式会社 ポリオレフィン系樹脂発泡体シート及び車輌用内装材
WO2023218901A1 (ja) * 2022-05-11 2023-11-16 サンスター技研株式会社 発泡硬化性組成物

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