JP2021004178A - 抗腫瘍ペプチドおよびその利用 - Google Patents

抗腫瘍ペプチドおよびその利用 Download PDF

Info

Publication number
JP2021004178A
JP2021004178A JP2019116906A JP2019116906A JP2021004178A JP 2021004178 A JP2021004178 A JP 2021004178A JP 2019116906 A JP2019116906 A JP 2019116906A JP 2019116906 A JP2019116906 A JP 2019116906A JP 2021004178 A JP2021004178 A JP 2021004178A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amino acid
acid sequence
cmtm4
synthetic peptide
seq
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019116906A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7329173B2 (ja
Inventor
菜穂子 ベイリー小林
Nahoko BAILEYKOBAYASHI
菜穂子 ベイリー小林
徹彦 吉田
Tetsuhiko Yoshida
徹彦 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toagosei Co Ltd filed Critical Toagosei Co Ltd
Priority to JP2019116906A priority Critical patent/JP7329173B2/ja
Priority to US16/889,020 priority patent/US11603395B2/en
Publication of JP2021004178A publication Critical patent/JP2021004178A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7329173B2 publication Critical patent/JP7329173B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/001Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof by chemical synthesis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/52Cytokines; Lymphokines; Interferons
    • C07K14/521Chemokines
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/01Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif
    • C07K2319/10Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif containing a tag for extracellular membrane crossing, e.g. TAT or VP22

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

【課題】少なくとも一種の腫瘍細胞の増殖を抑制する合成ペプチドを提供すること。【解決手段】本発明によって提供される合成ペプチドは、(1)CMTM4-TM関連配列;および(2)細胞膜透過性ペプチドとして機能するアミノ酸配列;をともに備え、総アミノ酸残基数が100以下の合成ペプチドである。【選択図】なし

Description

本発明は、腫瘍細胞の増殖を抑制し得る人為的に合成された抗腫瘍ペプチドとその利用に関する。詳しくは、CLFK (chemokine-like factor)-like MARVEL transmembrane domain containing family member 4(CMTM4)のトランスメンブレン領域を構成するアミノ酸配列と、膜透過性ペプチド配列とを備える合成ペプチドの利用に関する。
主ながんの治療方法としては、手術、放射線療法、および、化学(薬物)療法の、いわゆる「三大がん治療」が挙げられる。近年ではこれに加えて、免疫機構のはたらきを利用した、がんの「免疫療法」を発展させるための研究が盛んに行われている。
がん化した細胞(がん細胞、腫瘍細胞)は、生体内においては異物として認識され、免疫監視機構によって排除され得る。しかしながら、腫瘍細胞は、ある種の分子(例えば、タンパク質および脂質等)を発現し、免疫監視機構による攻撃を回避していることが、種々の研究により明らかにされている。具体的には、例えば、腫瘍細胞の表面には、「PD−L1(Programmed cell death-1 ligand -1:B7−H1ともいう。)」が発現することがある。PD−L1を発現する腫瘍細胞は、PD−L1の受容体であるPD−1を発現する免疫細胞(例えば、T細胞等)の機能を抑制し得ることが知られている。例えば、PD−1とPD−L1との相互作用を遮断すると、PD−L1による免疫細胞の抑制が解除されることとなる。これによって、免疫細胞は腫瘍細胞を攻撃できるようになる。そして、特許文献1では、抗PD−L1抗体の投与によって、一部の腫瘍の増殖が抑制されることが確認されている。また、抗PD−L1抗体の効果は臨床的にも認められている。
一方、腫瘍微小環境に関する研究も、精力的に進められている。具体的には、例えば、非特許文献1および非特許文献2のように、腫瘍細胞内(腫瘍細部の内部、および、細胞膜を含む。)でPD−L1と相互作用する分子が研究されている。そして、これら非特許文献では、腫瘍細胞の表面におけるPD−L1の発現は、例えばCMTM4およびCMTM6という膜タンパク質によって促進され得ることが示されている。
WO2004/004771
Identification of CMTM6 and CMTM4 as PD-L1 protein regulators., Mezzadra, et. al., 2017, Nature, 549, 106-110 Novel regulators of PD-L1 expression in cancer: CMTM6 and CMTM4-a new avenue to enhance the therapeutic benefits of immune checkpoint inhibitors., Imamovic and Vranic, 2017, Annals of Translational Medicine, 5, 467
ところで、抗PD−L1抗体を用いると、例えば転移によって切除不能となったがんであっても一定の治療効果が得られる場合がある。しかしながら、高価な抗体を主成分とする薬剤を使用することにより、がん医療にかかるコストが深刻な問題となっている。
そこで本発明は、高価な抗体を使用する抗腫瘍剤とは異なる構成かつ抗腫瘍(抗がん)性能を有する合成ペプチドを提供することを課題(目的)として創出されたものである。
本発明者は、各生物種、特に哺乳類において発現される膜タンパク質CLFK (chemokine-like factor)-like MARVEL transmembrane domain containing family member 4(CMTM4)のトランスメンブレン(TM)領域に着目した。そして、驚くべきことに、CMTM4のTM領域を構成する4つのアミノ酸配列と、従来知られた細胞膜透過性ペプチド(CPP;cell penetrating peptide)を構成するアミノ酸配列とを組み合わせた合成ペプチドが、種々の腫瘍細胞に対して優れた抗腫瘍性(抗がん性)を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、ここで開示される合成ペプチドは、少なくとも一種の腫瘍細胞の増殖を抑制する合成ペプチドであって、以下の(1)および(2)に示すアミノ酸配列:
(1)膜タンパク質であるCMTM4(CLFK (chemokine-like factor)-like MARVEL transmembrane domain containing family member 4)のトランスメンブレン(TM)領域を構成するアミノ酸配列であって、以下のi)〜iv)に示すいずれかのCMTM4−TM関連配列:
i)CMTM4の、N末端から1番目のTM領域を構成するアミノ酸配列;
または、該アミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加された改変アミノ酸配列;
ii)CMTM4の、N末端から2番目のTM領域を構成するアミノ酸配列;
または、該アミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加された改変アミノ酸配列;
iii)CMTM4の、N末端から3番目のTM領域を構成するアミノ酸配列;
または、該アミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加された改変アミノ酸配列;
iv)CMTM4の、N末端から4番目のTM領域を構成するアミノ酸配列;
または、該アミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加された改変アミノ酸配列;および、
(2)膜透過性ペプチド(CPP)として機能するアミノ酸配列(CPP関連配列);
をともに備えることを特徴とする。
好ましい一態様では、ここで開示される合成ペプチドは、総アミノ酸残基数が100以下である。製造コスト、合成のしやすさ、取り扱い性の観点からは、総アミノ酸残基数が80以下(例えば、70以下)であるものがさらに好ましい。
あるいは、上記(1)に示すアミノ酸配列と、(2)に示すアミノ酸配列とが全体の80個数%以上(より好ましくは90個数%以上、例えば100個数%)を占めるような合成ペプチドは、ここで開示される合成ペプチドの内の特に好適な一態様である。
好ましい一態様では、上記CMTM4−TM関連配列が、配列番号1〜4のいずれかに示すアミノ酸配列を有する。
さらに、ここで開示される合成ペプチドの好適な他の一態様では、上記CPP関連配列が、ポリアルギニン(特に限定しないが、典型的には、5個以上9個以下のアルギニン残基から構成される)、または、配列番号25〜42のいずれかに示すアミノ酸配列、又は、該アミノ酸配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加された改変アミノ酸配列であることを特徴とする。
例えば、
(i)配列番号1〜4のいずれかに示すアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列について1個または複数個(例えば2個または3個)のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加された改変アミノ酸配列;および
(ii)ポリアルギニン、または、配列番号25〜42のうちのいずれかに示すアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列について1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換または付加された改変アミノ酸配列;
をともに備える合成ペプチドが好適例として挙げられる。
ここで開示される合成ペプチドの好適な他の一態様では、上記CPP関連配列が、上記CMTM4-TM関連配列のN末端あるいはC末端側に隣接する。あるいは、10個以下(好ましくは5個以下、例えば1個または2個)のアミノ酸残基からなるリンカーを介して配置される。
好ましい一態様では、ここで開示される合成ペプチドは、配列番号43〜46のいずれかに示すアミノ酸配列を有することを特徴とする。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの合成ペプチド(抗腫瘍ペプチド)と、薬学上許容され得る少なくとも一種の担体とを備える、少なくとも一種の腫瘍細胞の増殖を抑制する抗腫瘍組成物を提供する。
かかる組成物は、ここで開示される合成ペプチドを含むことにより、抗腫瘍剤(抗がん剤を包含する。以下同じ。)としての利用、あるいは新たな抗腫瘍剤の開発のための材料として利用することができる。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの合成ペプチド(抗腫瘍ペプチド)を、対象とする腫瘍細胞に対して(例えば生体外=インビトロにおいて、或いは、生体内=インビボにおいて)、少なくとも1回供給することを特徴とする、少なくとも一種の腫瘍細胞の増殖を抑制する方法を提供する。
かかる構成の方法では、ここで開示される合成ペプチドを腫瘍細胞に供給することによって、該腫瘍細胞の増殖(好ましくはさらに腫瘍、癌組織の増大)を阻止若しくは抑制することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項(例えばここで開示される合成ペプチドの一次構造や鎖長)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチドの化学合成法、細胞培養技法、ペプチドを成分とする薬学的組成物の調製に関するような一般的事項)は、細胞工学、生理学、医学、薬学、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、遺伝学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の説明では、アミノ酸を1文字表記(但し配列表では3文字表記)で表す。
本明細書中で引用されている全ての文献の全ての内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
本明細書において「腫瘍」とは、広義に解釈される用語であり、癌腫及び肉腫或いは血液や造血組織の病変(白血病、リンパ腫等)を含む腫瘍一般(典型的には悪性腫瘍)をいう。また、「腫瘍細胞」とは、「がん細胞」と同義であり、そのような腫瘍を形成する細胞であって、典型的には周辺の正常組織とは無関係に異常に増殖を行うに至った細胞(所謂がん化した細胞)をいう。従って、特別に規定しない限り、正常細胞ではなく腫瘍細胞(がん細胞)に区分される細胞であれば、該細胞の起源や性状に関わりなく腫瘍細胞と呼称される。上皮性腫瘍(扁平上皮癌、腺癌等)、非上皮性腫瘍(各種の肉腫、骨肉腫等)、各種の細胞腫(神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫等)、リンパ腫、メラノーマ等を構成する細胞は、ここでいう腫瘍細胞に包含される典型例である。
また、本明細書において「合成ペプチド」とは、そのペプチド鎖がそれのみ独立して自然界に安定的に存在するものではなく、人為的な化学合成あるいは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造され、所定の組成物中で安定して存在し得るペプチド断片をいう。ここで「ペプチド」とは、複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されないが、典型的には全アミノ酸残基数が概ね100以下(好ましくは80以下、より好ましくは70以下、特に好ましくは50以下)のような比較的分子量の小さいものをいう。
また、本明細書において「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。
なお、本明細書中に記載されるアミノ酸配列は、常に左側がN末端側であり右側がC末端側である。
本明細書において所定のアミノ酸配列に対して「改変アミノ酸配列」とは、当該所定のアミノ酸配列が有する機能(例えば抗腫瘍活性や細胞膜透過性能)を損なうことなく、1個から数個(典型的には9個以下、好ましくは5個以下)のアミノ酸残基、例えば、1個、2個または3個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列をいう。例えば、1個、2個または3個のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative amino acid replacement)によって生じた配列(例えば塩基性アミノ酸残基が別の塩基性アミノ酸残基に置換した配列:例えばリジン残基とアルギニン残基との相互置換)、あるいは、所定のアミノ酸配列について1個、2個または3個のアミノ酸残基が付加(挿入)した若しくは欠失した配列等は、本明細書でいうところの改変アミノ酸配列に包含される典型例である。従って、ここで実施例として開示される合成ペプチドには、各配列番号のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列で構成される合成ペプチドに加え、各配列番号のアミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が置換(例えば、上記の同類置換)、欠失又は付加された改変アミノ酸配列であって、同様に抗腫瘍活性を示すアミノ酸配列からなる合成ペプチドを包含する。
ここで開示される人為的に合成される合成ペプチドは、腫瘍細胞の増殖を抑制すること(即ち、抗腫瘍活性)が本発明者によって見出された天然には存在しない短鎖のペプチドであり、上述する2種のアミノ酸配列、即ち、
(1)CMTM4−TM関連配列、および、
(2)CPP関連配列、
をともに備えることで特徴付けられるペプチドである。
ここで、CMTM4−TM関連配列とは、CMTM4(CLFK (chemokine-like factor)-like MARVEL transmembrane domain containing family member 4)を構成するタンパク質のTM領域を構成するアミノ酸配列またはその改変アミノ酸配列であって、抗腫瘍活性を有するアミノ酸配列のことをいう。
CMTM4は、典型的には234程度のアミノ酸残基からなる膜タンパク質であり、4つのTM領域を有する(UniProtKB−Q8IZR5)。上掲の非特許文献1および非特許文献2には、CMTM4は、腫瘍細胞においてPD−L1の発現を促進する機能を有することが示されている。
しかしながら、CMTM4のTM領域それ自体が、抗腫瘍活性を有することは見出されておらず、かかるペプチド領域のアミノ酸配列を合成し、該配列にCPPを付加することにより、人為的に合成された抗腫瘍ペプチドが得られることは、本願出願当時、全く予想されていないことであった。
例えば、CMTM4をコードする遺伝子(cDNAである場合を包含する。)の情報ならびにアミノ酸配列情報は、種々の公的な国際機関の知識ベース(データベース)にアクセスすることにより取得することができる。例えば、Universal Protein Resource (UniProt)において、種々の生物種由来のCMTM4の全アミノ酸配列情報ならびにTM領域のアミノ酸配列情報を得ることができる。当該データベースによると、少なくともヒト、マウス、ラット、チンパンジー、ハムスター、サル等の哺乳類におけるCMTM4の情報を取得することができる。
本発明の実施に当たって好ましく使用される上記(1)に係るCMTM4−TM関連配列は、例えば配列番号1〜4にそれぞれ示されている。
具体的には、配列番号1のアミノ酸配列は、ヒト由来のCMTM4のN末端から1番目のTM領域を構成する合計21アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号2のアミノ酸配列は、ヒト由来のCMTM4のN末端から2番目のTM領域を構成する合計21アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号3のアミノ酸配列は、ヒト由来のCMTM4のN末端から3番目のTM領域を構成する合計21アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号4のアミノ酸配列は、ヒト由来のCMTM4のN末端から4番目のTM領域を構成する合計21アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
なお、上記配列番号1〜4には、ヒト由来のCMTM4のTM配列を示したが、当該配列はあくまでも例示であり、利用可能なアミノ酸配列はこれに限定されない。
例えば、配列番号5のアミノ酸配列は、マウス由来のCMTM4(UniProtKB−Q8CJ61)のN末端から1番目のTM領域を構成する合計21アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号6のアミノ酸配列は、マウス由来のCMTM4のN末端から2番目のTM領域を構成する合計21アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号7のアミノ酸配列は、マウス由来のCMTM4のN末端から3番目のTM領域を構成する合計21アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号8のアミノ酸配列は、マウス由来のCMTM4のN末端から4番目のTM領域を構成する合計21アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号9のアミノ酸配列は、ラット由来のCMTM4(UniProtKB−D4A110)のN末端から1番目のTM領域を構成する合計18アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号10のアミノ酸配列は、ラット由来のCMTM4のN末端から2番目のTM領域を構成する合計24アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号11のアミノ酸配列は、ラット由来のCMTM4のN末端から3番目のTM領域を構成する合計23アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号12のアミノ酸配列は、ラット由来のCMTM4のN末端から4番目のTM領域を構成する合計22アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号13のアミノ酸配列は、チンパンジー由来のCMTM4(UniProtKB−A0A2R9AGF5)のN末端から1番目のTM領域を構成する合計19アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号14のアミノ酸配列は、チンパンジー由来のCMTM4のN末端から2番目のTM領域を構成する合計29アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号15のアミノ酸配列は、チンパンジー由来のCMTM4のN末端から3番目のTM領域を構成する合計23アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号16のアミノ酸配列は、チンパンジー由来のCMTM4のN末端から4番目のTM領域を構成する合計22アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号17のアミノ酸配列は、ハムスター由来のCMTM4(UniProtKB−A0A1U7R0V6)のN末端から1番目のTM領域を構成する合計18アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号18のアミノ酸配列は、ハムスター由来のCMTM4のN末端から2番目のTM領域を構成する合計24アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号19のアミノ酸配列は、ハムスター由来のCMTM4のN末端から3番目のTM領域を構成する合計23アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号20のアミノ酸配列は、ハムスター由来のCMTM4のN末端から4番目のTM領域を構成する合計22アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号21のアミノ酸配列は、ミドリザル由来のCMTM4(UniProtKB−A0A0D9QX78)のN末端から1番目のTM領域を構成する合計19アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号22のアミノ酸配列は、ミドリザル由来のCMTM4のN末端から2番目のTM領域を構成する合計29アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号23のアミノ酸配列は、ミドリザル由来のCMTM4のN末端から3番目のTM領域を構成する合計23アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号24のアミノ酸配列は、ミドリザル由来のCMTM4のN末端から4番目のTM領域を構成する合計22アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
上記配列番号1〜24に示されるアミノ酸配列は、いずれも抗腫瘍ペプチドとして採用され得る。
本発明の実施にあたって、より高い抗腫瘍効果を実現するためには、CMTM4−TM関連配列として、CMTM4のN末端から3番目または4番目のTM領域を構成するアミノ酸配列またはその改変アミノ酸配列を採用することが好ましい。また、CMTM4のN末端から3番目のTM領域を構成するアミノ酸配列またはその改変アミノ酸配列を採用することがさらに好ましい。
ここで開示される合成ペプチドを構築するために使用されるCPPとして機能するアミノ酸配列(即ち、CPP関連配列)として、従来公知の種々のCPPを採用することができる。例えば、3個以上、好ましくは5個以上であって11個以下、好ましくは9個以下のアルギニン残基からなる、いわゆるポリアルギニン(Rn)は、ここで用いられるCPPとして好適である。その他、公知である種々のCPPを採用することができる。
特に限定するものではないが、配列番号25〜42にCPPとして機能するアミノ酸配列の好適例を示す。具体的には、以下のとおりである。
配列番号25のアミノ酸配列は、FGF2(塩基性線維芽細胞増殖因子)由来の合計14アミノ酸残基から成るNoLS(核小体局在シグナル:Nucleolar localization signal)に対応する。
配列番号26のアミノ酸配列は、核小体タンパク質の1種(ApLLP)由来の合計19アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号27のアミノ酸配列は、HSV−1(単純ヘルペスウイルス タイプ1)のタンパク質(γ(1)34.5)由来の合計16アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号28のアミノ酸配列は、HIC(human I-mfa domain-containing protein)のp40タンパク質由来の合計19アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号29のアミノ酸配列は、MDV(Marek病ウイルス)のMEQタンパク質由来の合計16アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号30のアミノ酸配列は、アポトーシスを抑制するタンパク質であるSurvivin- deltaEx3由来の合計17アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号31のアミノ酸配列は、血管増殖因子であるAngiogenin由来の合計7アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号32のアミノ酸配列は、核リンタンパク質であってp53腫瘍抑制タンパク質と複合体を形成するMDM2由来の合計8アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号33のアミノ酸配列は、ベータノダウイルスのタンパク質であるGGNNVα由来の合計9アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号34のアミノ酸配列は、NF−κB誘導性キナーゼ(NIK)由来の合計7アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号35のアミノ酸配列は、Nuclear VCP-like protein由来の合計15アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号36のアミノ酸配列は、核小体タンパク質であるp120由来の合計18アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号37のアミノ酸配列は、HVS(ヘルペスウイルスsaimiri)のORF57タンパク質由来の合計14アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号38のアミノ酸配列は、細胞内情報伝達に関与するプロテインキナーゼの1種であるヒト内皮細胞に存在するLIMキナーゼ2(LIM Kinase 2)の第491番目のアミノ酸残基から第503番目のアミノ酸残基までの合計13アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号39のアミノ酸配列は、IBV(トリ伝染性気管支炎ウイルス:avian infectious bronchitis virus)のNタンパク質(nucleocapsid protein)に含まれる合計8アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号40のアミノ酸配列は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス:Human Immunodeficiency Virus)のTATに含まれるタンパク質導入ドメイン由来の合計9アミノ酸配列から成る膜透過性モチーフに対応する。
配列番号41のアミノ酸配列は、上記TATを改変したタンパク質導入ドメイン(PTD4)の合計11アミノ酸配列から成る膜透過性モチーフに対応する。
配列番号42のアミノ酸配列は、ショウジョウバエ(Drosophila)の変異体であるAntennapediaのANT由来の合計18アミノ酸配列から成る膜透過性モチーフに対応する。
これらのうち、特にNoLSやTATに関連するアミノ酸配列(又はその改変アミノ酸配列)が好ましい。例えば、配列番号38や配列番号39に示すようなNoLS関連のCPP配列、或いは配列番号40〜42のTATやANT関連のCPP配列は、ここで開示される合成ペプチドを構築するために好適に用いることができる。
そして、配列番号25〜42の配列について1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加されたCPPとして機能する改変アミノ酸配列もまた、ここで開示される合成ペプチドを構築するために好適に用いることができる。
ここで開示される合成ペプチドのペプチド鎖(アミノ酸配列)は、上述したように、
(1)CMTM4−TM関連配列、および、
(2)CPP関連配列
を備えておればよく、例えば、CPP関連配列は、CMTM4−TM関連配列の、相対的にN末端側あるいはC末端側に配置されていればよい。
また、CMTM4−TM関連配列とCPP関連配列とは隣接して配置されていることが好ましい。
具体的には、CMTM4−TM関連配列とCPP関連配列との間に、両配列部分に包含されないアミノ酸残基が存在しないことが好ましい。或いは、リンカーが存在していても、上の2つの配列をつなぐリンカーとしては、10個以下(より好ましくは5個以下、例えば1個または2個のアミノ酸残基)であることが好ましい。
少なくとも一種の腫瘍細胞の増殖を抑制し得る抗腫瘍活性を失わない限りにおいて、CMTM4−TM関連配列とCPP関連配列を構成するアミノ酸配列以外の配列(アミノ酸残基)部分を含み得る。
ここで開示される合成ペプチドは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が100以下であることが適当であり、80以下が好ましく、70以下(例えば25から45程度のペプチド鎖)が好ましい。このような鎖長の短いペプチドは、化学合成が容易であり、容易に合成ペプチドを提供することができる。特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はヘリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。
合成したペプチド全体のアミノ酸配列に対するCMTM4−TM関連配列およびCPP関連配列の占める割合は、抗腫瘍活性を失わない限り特に限定されないが、当該割合は概ね80個数%以上が望ましく、90個数%以上が好ましい。なお、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、抗腫瘍活性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部または全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。
好ましくは、ここで開示される合成ペプチドは、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、合成ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させることができる。例えば、合成ペプチドのC末端をCPP関連配列部分が構成するとき、該配列部分のC末端アミノ酸残基をアミド化することが好ましい。一方、合成ペプチドのC末端をCMTM4−TM関連配列部分が構成するとき、該配列部分のC末端アミノ酸残基をアミド化することが好ましい。好ましい他の一態様では、例えば配列番号43〜46のアミノ酸配列を有する合成ペプチドのC末端アミノ酸残基をアミド化して、合成ペプチドの安定性を向上することができる。
ここで開示される合成ペプチドは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。
ここで開示される合成ペプチドは、市販のペプチド合成機を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。
或いは、遺伝子工学的手法に基づいて合成ペプチドを生合成により作製してもよい。即ち、所望する合成ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のポリヌクレオチド(典型的にはDNA)を合成する。そして、合成したポリヌクレオチド(DNA)と該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からペプチドを単離し、必要に応じてリフォールディング、精製等を行うことによって、目的の合成ペプチドを得ることができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち合成ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の(株)セルフリーサイエンスから入手可能)が市販されている。
ここで開示される合成ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。即ち、設計したアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、合成ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。また、ポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
こうして得られるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、合成ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
ここで開示される合成ペプチドは、腫瘍細胞の増殖を抑制(或いは阻害)する用途の組成物(即ち、抗腫瘍剤等の薬学的な抗腫瘍組成物)の有効成分として好適に使用し得る。なお、合成ペプチドは、抗腫瘍活性を失わない限りにおいて塩の形態であってもよい。例えば、常法に従って通常使用されている無機酸又は有機酸を付加反応させることにより得られ得る合成ペプチドの酸付加塩を使用することができる。従って、本明細書および特許請求の範囲に記載の「ペプチド」は、かかる塩形態のものを包含する。
ここで開示される抗腫瘍組成物は、有効成分である合成ペプチドの抗腫瘍活性を失わない限りにおいて、使用形態に応じて薬学(医薬)上許容され得る種々の担体を含み得る。例えば、希釈剤、賦形剤等としてペプチド医薬において一般的に使用される担体を適用し得る。
ここで開示される抗腫瘍組成物の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、典型的には、水、生理学的緩衝液、種々の有機溶媒が挙げられる。適当な濃度のアルコール(エタノール等)水溶液、グリセロール、オリーブ油のような不乾性油であり得る。あるいはリポソームであってもよい。また、抗腫瘍組成物に含有させ得る副次的成分としては、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、色素、香料等が挙げられる。
抗腫瘍組成物(抗腫瘍剤)の典型的な形態として、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル、軟膏、水性ジェル剤等が挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水または適当な緩衝液(例えばPBS)等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。
なお、合成ペプチド(主成分)および種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の組成物(薬剤)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。この書籍の全内容は本明細書中に参照として援用されている。
ここで開示される抗腫瘍組成物(合成ペプチド)の適用対象細胞は、腫瘍細胞(がん細胞)であれば特に制限されず、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物に発生する種々のタイプの腫瘍細胞に対して適用可能である。例えば、多くの種類の扁平上皮がんや腺がんが含まれる。例えば、メラノーマ、肺がん(非小細胞肺がん及び小細胞肺がん、肺胞基底上皮腺がん等)、腎臓がん等のがん細胞、或いはまた、乳がん、大腸がん、すい臓がん、基底細胞がん等の皮膚がん、神経芽細胞腫(神経芽腫)、網膜芽細胞腫、褐色細胞腫その他の細胞腫を構成する細胞が挙げられる。
がん治療において、例えばがん転移が認められると、患者は手術療法を選択できなくなる場合がある。具体的には、例えば、メラノーマは、初期であれば手術による切除が可能である。しかし、メラノーマは転移性が強いため、発見時には切除不能となっている場合がある。また、腎臓がんは、腹部エコー等によって早期発見される症例が増えてきたが、切除不能となってから発見される症例も少なくはない。ここで開示される抗腫瘍組成物(合成ペプチド)は、メラノーマおよび腎臓がん等を構成する腫瘍細胞に対して好ましく適用することができる。これによって、メラノーマや腎臓がんの治療の選択肢を増やすことができる。
ここで開示される抗腫瘍組成物は、従来のペプチド製剤と同様、その形態および目的に応じた方法や用量で使用することができる。例えば、液剤として、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射によって患者(即ち生体)の患部(典型的には悪性腫瘍組織)に所望する量だけ投与することができる。あるいは、錠剤等の固体形態のものや軟膏等のゲル状若しくは水性ジェリー状のものを、直接所定の組織(即ち腫瘍細胞を含む組織や器官等の患部)に投与することができる。あるいは、錠剤等の固体形態のものは経口投与することができる。経口投与の場合は、消化管内での消化酵素分解を抑止すべくカプセル化や保護(コーティング)材の適用が好ましい。
あるいは、生体外(インビトロ)において培養している腫瘍細胞(培養細胞株、又は生体から摘出された細胞塊又は組織又は器官である場合を包含する。)に対し、ここで開示される抗腫瘍組成物の適当量(即ち合成ペプチドの適当量)を、少なくとも1回、対象とする培養細胞(組織等)の培地に供給するとよい。1回当たりの供給量および供給回数は、培養する腫瘍細胞の種類、細胞密度(培養開始時の細胞密度)、継代数、培養条件、培地の種類、等の条件によって異なり得るため特に限定されないが、培地中の合成ペプチド濃度が概ね3μM以上100μM以下の範囲内、好ましくは5μM以上50μM以下(例えば6.25μM以上25μM以下)の範囲内となるように、1回、2回またはそれ以上の複数回添加することが好ましい。
ここで開示される抗腫瘍組成物の、インビトロにおける抗腫瘍活性の評価方法としては、特に限定されないが、一例として、腫瘍細胞および正常細胞の生存率に基づく抗腫瘍指標を算出する方法等が挙げられる。
具体的には、例えば、テトラゾリウム塩を用いた従来公知の細胞増殖測定用試薬を用いた試験を行うことによって、上記抗腫瘍指標を算出することができる。好ましい一態様では、まず、腫瘍細胞の培養液中に、ここで開示される抗腫瘍組成物を添加して所定期間(例えば24時間以上72時間以下)培養し、腫瘍細胞の生存率A(%)を算出する。また、同じ条件で培養した正常細胞の生存率B(%)を算出する。そして、このように算出した腫瘍細胞および正常細胞の生存率に基づく抗腫瘍指標を、例えば、以下の式(1);

腫瘍細胞および正常細胞の生存率に基づく抗腫瘍指標=A/B (1)

によって評価することができる。
即ち、式(1)で得られた値(即ち、腫瘍細胞および正常細胞の生存率に基づく抗腫瘍指標)が例えば0に近いほど、腫瘍細胞に選択的に、優れた抗腫瘍活性を有する抗腫瘍組成物であると評価することができる。そして、当該値は0.8以下であることが好ましく、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.3以下である。
例えば、腫瘍細胞の生存率A(%)は、抗腫瘍組成物を含まない培地(即ち、合成ペプチドを含まない培地)を用いて培養した腫瘍細胞の生存率を100%として算出する。また、正常細胞の生存率B(%)は、抗腫瘍組成物を含まない培地(即ち、合成ペプチドを含まない培地)を用いて培養した正常細胞の生存率を100%として算出する。あるいは、抗腫瘍活性を有しない合成ペプチド(以下、「コントロールペプチド」という。)を含む組成物を用いて同様の試験を行った場合に算出される生存率を100%として、A(%)およびB(%)を算出してもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<試験例1:ペプチド合成>
表1に示す計5種のペプチドを市販のペプチド合成機を用いて製造した。具体的には次のとおりである。
サンプル1は、一実施例として設計されたものであり、ヒトCMTM4のN末端から1番目のTM領域のアミノ酸配列(配列番号1)のC末端側に、CPP関連配列として配列番号38のアミノ酸配列(LIMキナーゼ2)を含む合成ペプチドである(配列番号43)。
サンプル2は、一実施例として設計されたものであり、ヒトCMTM4のN末端から2番目のTM領域のアミノ酸配列(配列番号2)のC末端側に、CPP関連配列として配列番号38のアミノ酸配列(LIMキナーゼ2)を含む合成ペプチドである(配列番号44)。
サンプル3は、一実施例として設計されたものであり、ヒトCMTM4のN末端から3番目のTM領域のアミノ酸配列(配列番号2)のC末端側に、CPP関連配列として配列番号38のアミノ酸配列(LIMキナーゼ2)を含む合成ペプチドである(配列番号45)。
サンプル4は、一実施例として設計されたものであり、ヒトCMTM4のN末端から4番目のTM領域のアミノ酸配列(配列番号2)のC末端側に、CPP関連配列として配列番号38のアミノ酸配列(LIMキナーゼ2)を含む合成ペプチドである(配列番号46)。
サンプル5は、比較例として設計されたものであり、ヒトcomplement factor BのシグナルペプチドのC末端側に、CPP関連配列として配列番号38のアミノ酸配列(LIMキナーゼ2)を含む合成ペプチドである(配列番号47)。
表1:試験した合成ペプチドのアミノ酸配列
Figure 2021004178
上記サンプル1〜5のペプチドはいずれも市販のペプチド合成機を用いてマニュアルどおりに固相合成法(Fmoc法)を実施して合成した。なお、ペプチド合成機の使用態様自体は本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。なお、表1に記載した全ての合成ペプチドは、該当する配列番号のアミノ酸配列を有するペプチドにおいて、C末端アミノ酸のカルボキシル基(−COOH)はアミド化(−CONH)されている。
合成した各サンプルのペプチドは、DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶かし、各サンプルペプチドのストック液(濃度2.5mM)を調製した。
<試験例2:各合成ペプチドの抗腫瘍活性の評価試験(1)>
上記試験例1で合成したサンプル1〜4のペプチドについて、ヒト由来培養腫瘍細胞を対象として抗腫瘍活性を評価した。
具体的には、供試腫瘍細胞として現在市場において入手可能な、ヒトメラノーマ(A2058)細胞株を使用した。また、比較対象としては、正常ヒト乳腺上皮細胞の培養株(MCF−12F)を使用した。なお、各細胞の培養液を以下に示す。
(1)A2058細胞:
2mMのL−グルタミン、0.1mMの非必須アミノ酸(non-essential amino acids)、50ユニット/mLのペニシリン、50μg/mLのストレプトマイシン、及び10%の胎児ウシ血清(FBS;fetal bovine serum)を含むDMEM培地(和光純薬(株)製品)
(2)MCF−12F細胞:
20ng/mLのリコンビナントEGF、10μg/mLのインスリン、0.5μg/mLのヒドロコルチゾン、及び10%のFBSを含むDMEM/F12培地(和光純薬(株)製品)。
試験の詳細は以下のとおりである。
A2058細胞およびMCF−12F細胞をそれぞれ培養し、96穴(ウェル)プレートの1ウェルあたりの細胞数が約5×10個となるように調製した。このときの培地量はウェルあたり100μLとした。
次いで、当該96穴(ウェル)プレートを、COインキュベータ内に配置し、37℃、5%CO条件下で約1日間(21時間〜24時間)のプレインキュベーションを実施した。
その後、評価対象とするいずれかのサンプルペプチドの濃度が6.25μM、12.5μM、および25μMのいずれかとなるように、濃度別にペプチド含有試験培地をそれぞれ調製し、1ウェルあたり90μLとなるように評価対象とする細胞が培養されているウェル(即ち、上記プレインキュベーション後のウェル)に供給した。そして、当該96穴(ウェル)プレートを、COインキュベータ内に戻し、37℃、5%CO条件下で48時間のインキュベーションを実施した。
なお、各ペプチド添加試験区の各ペプチド濃度における試験ウェル数(n)は、いずれも6に設定した。従って、以下の表に示す結果の値は、試験ウェル数6のそれぞれで得た結果の平均値である。
上記48時間のインキュベーション終了後、各ウェルの培地を、ペプチドを含まないフレッシュな培地100μLと交換し、さらに、発色試薬として「水溶性テトラゾリウム塩(WST−8)」を含有する細胞増殖測定用試薬「Cell Counting Kit−8」((株)同仁化学研究所製品)を各ウェルに10μLずつ添加した。その後、当該96穴(ウェル)プレートを、COインキュベータ内に再び戻し、37℃、5%CO条件下で1.5時間〜2時間のインキュベーションを実施した。
インキュベーション終了後、上記試薬を添加した細胞培養液を回収するとともにテトラゾリウム塩の還元に基づく波長450nmの吸光度(波長620nmの吸光度で補正した値:A450−A620)を測定する比色法により、細胞生存率(%)を算出した。具体的には、いずれのサンプルペプチドも含有しない培地で上記48時間のインキュベーションを行った比較試験区の測定値(測定吸光度)を細胞生存率100%とした。そして、A2058細胞の生存率A(%)およびMCF−12F細胞の生存率B(%)を算出した。また、上記式(1)を用いてA2058細胞およびMCF−12F細胞の生存率に基づく抗腫瘍指標を算出することによって、A2058細胞に対する各サンプルペプチドの抗腫瘍活性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2021004178
表2に示す結果から明らかなように、サンプル1〜4の合成ペプチドは、A2058細胞(即ち、腫瘍細胞)の増殖性を低下させた。また、サンプル1〜4のうち、サンプル3およびサンプル4の、A2058細胞およびMCF−12F細胞の生存率に基づく抗腫瘍指標が他のサンプルよりも小さい値であることから、サンプル3およびサンプル4の合成ペプチドを含む抗腫瘍組成物に、より強い抗腫瘍活性を有することが確認された。さらに、サンプル3の抗腫瘍活性は、他のサンプルと比べて顕著に優れていた。なお、6.25μMのサンプル3処理下において、A2058細胞およびMCF−12F細胞の生存率に基づく抗腫瘍指標は0.2未満であった。このように、サンプル3は低い処理濃度においても優れた抗腫瘍活性が認められたため、12.5μMおよび25μMのサンプル3処理下における試験を実施しなかった。即ち、表2中「−」は、試験を実施しなかったことを示している。
A2058細胞はヒトメラノーマ細胞株の中でも悪性度が極めて強く、多くの抗腫瘍組成物に対して耐性を示すことが知られている。しかしながら、上記サンプルペプチドのいずれもが、このようなメラノーマ細胞株に対して優れた抗腫瘍活性(腫瘍細胞増殖阻害活性)を示した。
<試験例3:各合成ペプチドの抗腫瘍活性の評価試験(2)>
上記試験例1のサンプル3について、A2058細胞とは異なるヒトメラノーマ細胞株を対象として抗腫瘍活性を評価した。
具体的には、供試腫瘍細胞として現在市場において入手可能な、ヒトメラノーマ細胞株(SK−MEL5)を使用した。また、比較対象として、上記MCF−12F細胞を使用した。
SK−MEL5細胞の培養には、以下の培地を使用した。
即ち、
1mMのピルビン酸ナトリウム、100ユニット/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、及び10%のFBSを含むE−MEM培地(和光純薬(株)製品)。
試験の詳細は試験例2で述べたとおりである。上記式(1)を用いて算出した、SK−MEL5細胞およびMCF−12F細胞の生存率に基づく抗腫瘍指標を上掲の表2に示す。
表2に示す結果から明らかなように、上記サンプル3の合成ペプチドは、SK−MEL5細胞(即ち、腫瘍細胞)の増殖性を著しく低下させた。これにより、サンプル3の合成ペプチドは、メラノーマの種類によらず、ここで開示される合成ペプチドの適用対象になり得ることを示している。なお、6.25μMのサンプル3処理下において、SK−MEL5細胞およびMCF−12F細胞の生存率に基づく抗腫瘍指標は0.2未満であった。このように、サンプル3は低い処理濃度においても優れた抗腫瘍活性が認められたため、12.5μMおよび25μMのサンプル3処理下における試験を実施しなかった。即ち、表2中「−」は、試験を実施しなかったことを示している。
<試験例4:各合成ペプチドの抗腫瘍活性の評価試験(3)>
上記試験例1のサンプル3およびサンプル4について、異なる腫瘍細胞を対象として抗腫瘍活性を評価した。
具体的には、供試腫瘍細胞として現在市場において入手可能な、ヒト腎臓がん細胞株(CAKI2)を使用した。また、比較対象として、上記MCF−12F細胞を使用した。
CAKI2細胞の培養には、以下の培地を使用した。
即ち、
2mMのL−グルタミン、3,000 mg/Lのグルコース、100ユニット/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、及び10%のウシ胎児血清(FBS)を含むMcCoy’s 5A培地(Gibco(株)製品)。
試験の詳細は試験例2で述べたとおりである。上記式(1)を用いて算出した、CAKI2細胞およびMCF−12F細胞の生存率に基づく抗腫瘍指標を表3に示す。
Figure 2021004178
表3に示す結果から明らかなように、上記サンプル3およびサンプル4の合成ペプチドは、CAKI2細胞(即ち、腫瘍細胞)の増殖性を著しく低下させた。これにより、サンプル3の合成ペプチドは、腫瘍細胞の種類によらず、ここで開示される合成ペプチドの適用対象になり得ることを示している。なお、12.5μMのサンプル3処理下において、CAKI2細胞およびMCF−12F細胞の生存率に基づく抗腫瘍指標は0.1であった。このように、サンプル3は低い処理濃度においても優れた抗腫瘍活性が認められたため、25μMのサンプル3処理下における試験を実施しなかった。即ち、表3中「−」は、試験を実施しなかったことを示している。
<試験例5:各合成ペプチドの抗腫瘍活性の評価試験(4)>
腫瘍細胞を対象として、サンプル1〜4とは全く異なる配列の合成ペプチドを用いて抗腫瘍活性を評価した。
具体的には、サンプル5を処理した場合におけるA2058細胞(腫瘍細胞)の生存率(%)を評価した。
試験の詳細は試験例2で述べたとおりである。なお、サンプル5を含まない培地で同じ時間培養したA2058細胞の生存率を100%として、サンプル5処理下で培養したA2058細胞の生存率(%)を算出した。結果を表4に示す。
Figure 2021004178
表4に示されるように、サンプル5には抗腫瘍活性が全く認められなかった。即ち、抗腫瘍活性が、サンプル1〜4のアミノ酸配列に特異的であることが確認された。そして、サンプル5に係る合成ペプチドは、例えば、抗腫瘍活性の評価試験においてコントロールペプチドとして使用され得ることが確認された。
上記試験例では、ヒト由来の腫瘍細胞を使用して試験を行ったが、ヒト以外の哺乳類由来の腫瘍細胞を対象としても、上記サンプル1〜4の優れた抗腫瘍活性を確認することができる。また、CMTM4−TM関連配列をヒト以外の哺乳類由来の配列で構成しても、各種腫瘍細胞に対して優れた抗腫瘍活性が確認される。
上述したように、ここで開示される合成ペプチドによると、腫瘍細胞の増殖を抑制する(または阻害する)ことができる。このため、本発明によって提供される合成ペプチドを使用することによって、少なくとも一種の腫瘍細胞の増殖を抑制する抗腫瘍組成物(抗腫瘍剤)を提供することができる。
配列番号1〜47 合成ペプチド

Claims (7)

  1. 少なくとも一種の腫瘍細胞の増殖を抑制する合成ペプチドであって、
    以下の(1)および(2)に示すアミノ酸配列:
    (1)膜タンパク質であるCMTM4(CLFK (chemokine-like factor)-like MARVEL transmembrane domain containing family member 4)の膜貫通(TM)領域を構成するアミノ酸配列であって、以下のi)〜iv)に示すいずれかのCMTM4−TM関連配列:
    i)CMTM4の、N末端から1番目のTM領域を構成するアミノ酸配列;
    または、該アミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加された改変アミノ酸配列;
    ii)CMTM4の、N末端から2番目のTM領域を構成するアミノ酸配列;
    または、該アミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加された改変アミノ酸配列;
    iii)CMTM4の、N末端から3番目のTM領域を構成するアミノ酸配列;
    または、該アミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加された改変アミノ酸配列;
    iv)CMTM4の、N末端から4番目のTM領域を構成するアミノ酸配列;
    または、該アミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加された改変アミノ酸配列;および、
    (2)細胞膜透過性ペプチド(CPP)として機能するアミノ酸配列(CPP関連配列);
    をともに備え、
    総アミノ酸残基数が100以下である、合成ペプチド。
  2. 前記CMTM4−TM関連配列が、配列番号1〜4のいずれかに示すアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の合成ペプチド。
  3. 前記CPP関連配列が、ポリアルギニン、または、配列番号25〜42のいずれかに示すアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列について1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換又は付加された改変アミノ酸配列である、請求項1または2に記載の合成ペプチド。
  4. 前記CPP関連配列が、前記CMTM4−TM関連配列の、N末端側あるいはC末端側に、隣接して、あるいは10個以下のアミノ酸残基からなるリンカーを介して配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の合成ペプチド。
  5. 配列番号43〜46のいずれかに示すアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の合成ペプチド。
  6. 少なくとも一種の腫瘍細胞の増殖を抑制する抗腫瘍組成物であって、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成ペプチドと、
    薬学上許容され得る少なくとも一種の担体と、
    を備える、抗腫瘍組成物。
  7. 少なくとも一種の腫瘍細胞の増殖を抑制する方法であって、
    インビトロにおいて対象とする腫瘍細胞に対して請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成ペプチドを少なくとも1回供給することを包含する、腫瘍細胞の増殖抑制方法。
JP2019116906A 2019-06-25 2019-06-25 抗腫瘍ペプチドおよびその利用 Active JP7329173B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019116906A JP7329173B2 (ja) 2019-06-25 2019-06-25 抗腫瘍ペプチドおよびその利用
US16/889,020 US11603395B2 (en) 2019-06-25 2020-06-01 Antitumor peptide and use thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019116906A JP7329173B2 (ja) 2019-06-25 2019-06-25 抗腫瘍ペプチドおよびその利用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021004178A true JP2021004178A (ja) 2021-01-14
JP7329173B2 JP7329173B2 (ja) 2023-08-18

Family

ID=74043625

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019116906A Active JP7329173B2 (ja) 2019-06-25 2019-06-25 抗腫瘍ペプチドおよびその利用

Country Status (2)

Country Link
US (1) US11603395B2 (ja)
JP (1) JP7329173B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7096990B1 (ja) 2022-04-20 2022-07-07 東亞合成株式会社 外来物質導入用構築物およびその利用

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002543848A (ja) * 1999-05-19 2002-12-24 ヒューマン ジノーム サイエンシーズ, インコーポレイテッド Tm4sfレセプター
WO2009093692A1 (ja) * 2008-01-25 2009-07-30 Toagosei Co., Ltd. 人工ペプチド及びその利用

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10161767T1 (de) 2002-07-03 2018-06-07 Honjo Tasuku Immunopotenzierende Zusammensetzungen, die einen Anti-PD-L1 Antikörper enthalten

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002543848A (ja) * 1999-05-19 2002-12-24 ヒューマン ジノーム サイエンシーズ, インコーポレイテッド Tm4sfレセプター
WO2009093692A1 (ja) * 2008-01-25 2009-07-30 Toagosei Co., Ltd. 人工ペプチド及びその利用

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JOURNAL OF EXPERIMENTAL AND CLINICAL CANCER RESEARCH, vol. 34, no. 122, JPN6023012698, 2015, pages 1 - 13, ISSN: 0005031464 *
MOLECULES AND CELLS, vol. 29, no. 4, JPN6023012701, 2010, pages 355 - 361, ISSN: 0005031465 *
NATURE, vol. 549, JPN6023012702, 2017, pages 106 - 110, ISSN: 0005031466 *

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7096990B1 (ja) 2022-04-20 2022-07-07 東亞合成株式会社 外来物質導入用構築物およびその利用
WO2023204138A1 (ja) * 2022-04-20 2023-10-26 東亞合成株式会社 外来物質導入用構築物およびその利用
JP2023159685A (ja) * 2022-04-20 2023-11-01 東亞合成株式会社 外来物質導入用構築物およびその利用

Also Published As

Publication number Publication date
JP7329173B2 (ja) 2023-08-18
US11603395B2 (en) 2023-03-14
US20200407412A1 (en) 2020-12-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6156698B2 (ja) 抗腫瘍ペプチド及びその利用
JP7008400B2 (ja) 抗腫瘍ペプチドおよびその利用
JP5858284B2 (ja) キャリアペプチドフラグメントとその利用
JP7483227B2 (ja) Pd-1シグナル配列を有する抗腫瘍ペプチドおよびその利用
US11603395B2 (en) Antitumor peptide and use thereof
US11472845B2 (en) Antitumor peptide and use thereof
JP6654899B2 (ja) カルレティキュリンの発現促進方法および該方法に用いられる合成ペプチド
JP7194928B2 (ja) 抗腫瘍ペプチドおよびその利用
JP6655011B2 (ja) 細胞の多核化を誘導するペプチドおよびその利用
JP7345753B2 (ja) 抗腫瘍ペプチドおよびその利用
US11505589B2 (en) Antitumor peptide and use thereof
EP2706113B1 (en) Synthetic peptide capable of inducing expression of type-2 tnf receptor and use thereof
JP7498889B2 (ja) Ctla4とb7タンパク質との結合を抑制するペプチドおよびその利用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230406

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230602

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230706

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230719

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7329173

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150