以下、本発明を実施するための形態について図1から図9を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る丁合・中入れ装置100の外観を示す概略斜視図である。図1中に示すようにXYZ座標系を取る。以下の説明では、各図における、矢印X軸方向を右方向や下流側と称し、反対方向を左方向や上流側と称し、矢印Y軸方向を前方側と称し、反対方向を後方側と称し、矢印Z軸方向を上方側と称し、反対方向を下方側と称する場合もある。
丁合・中入れ装置100は、丁合機構10、新聞供給機構(紙葉類供給機構)20、新聞捌き機構(紙葉類搬送機構)30、新聞開き機構(紙葉類開き機構)40、重ね機構50、および、昇降機構60を有する。新聞供給機構20は丁合機構10の左方向前方に隣接している。新聞捌き機構30は丁合機構10の左方向前方から前方に延在して隣接しているとともに、新聞供給機構20の下側に隣接している。新聞開き機構40は丁合機構10の前方に隣接しているとともに、新聞捌き機構30の右方向に隣接している。重ね機構50は、丁合機構10の前方に隣接しているとともに、新聞開き機構40の右方向に隣接している。昇降機構60は、重ね機構50の右方向に隣接しているとともに、丁合機構10の右方向前方に隣接している。
丁合・中入れ装置100の各機構10、20、30、40、50、60は、地面に固定されていることが好適であるが、移動可能であってもよい。丁合・中入れ装置100の各機構10、20、30、40、50、60は、図示しない制御部によってその動作タイミングなどが制御される。
丁合・中入れ装置100は、制御部によって、数種類の折込チラシtを重ねて折り紙Sで挟んだ丁合束T(図2参照)を作成する丁合モード、予め用意した複数組の丁合束Tを1組ずつ取り出して新聞(紙葉類)P(図3C参照)に中入れする中入れモード、或いは、数種類の折込チラシtを重ねた丁合束Tを作成すると同時に、この丁合束Tを新聞Pに中入れする丁合・中入れモードで動作される。
丁合モードでは、制御部は、丁合機構10、重ね機構50、および昇降機構60を動作させる。中入れモードおよび丁合・中入れモードでは、制御部は、丁合機構10、新聞供給機構20、新聞捌き機構30、新聞開き機構40、重ね機構50、および昇降機構60を動作させる。丁合・中入れ装置100は、丁合・中入れモードでは、折り畳まれた複数組の新聞P等の紙葉類のそれぞれの間に、折込チラシt等を丁合しながら丁合された丁合束T等の紙葉類を挟むことができる。
丁合機構10は、Z軸方向に長い略直方体形状の筐体1を有する。筐体1のY軸方向に沿った前面側および背面側(図示せず)には、Z軸方向に並んだ複数段の給紙トレイ2が設けられている。各給紙トレイ2は、筐体1の内側に向けて下方に傾斜して取り付けられている。各給紙トレイ2には、数種類の折込チラシtが複数枚重ねて投入される。複数の給紙トレイ2を介して同じ種類の折込チラシtを投入することもできる。なお、筐体1の前方側の最下段にある給紙トレイ2aは、折り紙S(図2参照)を投入するための給紙トレイとして割り当てられている。折り紙Sは、折込チラシtの一種であってもよい。
丁合機構10は、各給紙トレイ2から適宜のタイミングで取り出した複数種の折込チラシtを丁合し、最下段にある給紙トレイ2aから給紙される折り紙Sで挟む。このように、丁合機構10は、折り紙Sの間に複数種の折込チラシtを挟んだ折込チラシの束、すなわち、丁合束T(図2参照)をつくる。丁合機構10は、筐体1の前面側の給紙トレイ2aのさらに下側に設けた排出口(図示せず)から重ね機構50に丁合束Tを排出可能である。重ね機構50にZ軸方向(鉛直方向)に積み重ねられた丁合束Tは、所定量(所定重ね高さや、所定部数)になった時点、又は、丁合機構10から重ね機構50への丁合束Tの排出が終わった時点で昇降機構60に送られる。
図2は、丁合機構10の排出口から重ね機構50に排出された丁合束Tの一例を示す外観斜視図である。丁合束Tは、その排出方向(Y軸方向)の先端T1側を折り紙Sの折り目S1側に配置した状態でY軸方向に排出される。なお、本実施形態では、折り紙Sの排出方向に沿った一端S2(排出方向から見た右端部)が複数枚の折込チラシtの端部T2と略揃った状態で丁合束Tを排出するように、折り紙SのX軸方向に沿った給紙位置を調整可能となっている。
新聞Pは、図3Aに示すように、例えばA1サイズの新聞紙を複数枚重ねた状態から中央の実線(折り目)F1で図示矢印のように2つ折りにし、A2サイズとする。図3Bに示すように、A2サイズの2つ折りの複数枚の新聞紙を中央の実線(折り目)F2で矢印のように2つ折りにし、A3サイズ(図3C参照)とする。したがって、図3Cに示すように、A3サイズの新聞Pは4つ折りにされている。折り目F1、F2は、搬送される新聞Pの端部(端面)となる。なお、符号P1は、新聞Pの一面(フロントページ)となる部位の上側を示し、符号P2は新聞Pの一面となる部位の下側を示す。
図1に示す新聞供給機構20では、図3Cに示す新聞Pの折り目F2を鉛直方向下側に、折り目F1を右側に配置して立位にする。そして、Y軸方向に重ねた状態で複数部の新聞Pが投入部21に投入される。投入部21に投入される新聞Pの姿勢は、図3Cに示す折り目F2を下にした状態が維持される。すなわち、複数部の新聞Pは、後述する新聞捌き機構30へ送り込まれた際に後述する上流ベルト(第1の搬送路)31の上面(第1の搬送面)31aに接触する下側P2を新聞供給機構20の後方に向けた姿勢でY軸方向に重ねられて投入部21へ投入される。
新聞供給機構20は、投入部21を介して重ねて投入された複数部の新聞Pのうち最も後方の新聞Pから順に下方へ取り出す。このとき、最も後方の新聞Pの下側P2に接触した2本の取り出しベルト22、22を下方に走行させ、当該新聞Pの折り目F2を先頭にして下方に取り出す。新聞Pは、1部だけでなく、2、3部等、複数部がまとめて取り出される場合もある。投入部21から取り出された新聞Pは、投入部21の下方に配置された新聞捌き機構30へ送り込まれる。そして、新聞捌き機構30へ送り込まれた新聞Pは、図3Cに示す状態に寝かされる。このため、新聞供給機構20は、Y軸方向に重ねた新聞PがZ軸方向に重ねられるように、新聞Pを新聞捌き機構30に送り込む。
図4は、新聞捌き機構30の構成を示す概略図であり、図5は、図4の新聞捌き機構30を上方から見た平面図である。
新聞捌き機構30は、新聞供給機構20から新聞Pの折り目F2を先頭にして送り込まれた新聞Pを一旦、新聞供給機構20の下側の位置で図3Cに示す寝かされた状態で鉛直方向(Z軸方向)に積み重ねる。新聞捌き機構30で一度に積み重ねられる新聞Pの部数は変動し得る。新聞捌き機構30で積み重ねられる新聞Pの部数は新聞供給機構20に立位で載置される部数よりも少ない。
新聞捌き機構30は、下側の新聞Pから1部ずつ分離して取り出し、取り出した新聞Pを新聞開き機構40へ搬送する。新聞捌き機構30による新聞Pの搬送方向はX軸方向(上流側から下流側)であり、新聞供給機構20による新聞Pの供給方向と直交する。
新聞開き機構40は、丁合機構10の排出口に対してY軸方向に隣接した位置に配設されている。新聞開き機構40は、新聞捌き機構30によって1部ずつ取り出された新聞Pの上側P1(図3C参照)を図示しない吸着部材に吸着させて上方に開く。新聞Pの上側P1を吸着する位置は、折り目F2と反対側の端辺近くで且つ折り目F1に近いX軸方向下流側の部位である。吸着部材には、新聞Pの上側P1に負圧を作用させるための吸着孔が設けられており、この吸着孔に図示しないブロアの吸気側の端部が接続されている。そして、ブロアを動作させることにより、新聞Pの上側P1が吸着部材に吸着される。
新聞開き機構40は、吸着部材を上下方向に移動させる図示しない駆動機構を有する。新聞開き機構40は、吸着部材によって吸着して上方に開いた状態の新聞Pの上側P1を乗せる図示しないガイド板を有する。
新聞捌き機構30及び新聞開き機構40において、新聞Pは、図3Cに示す折り目F2がY軸方向の前方に配置され、折り目F1が第1の搬送方向の下流側に配置され、且つ下側P2が後述する下流ベルト(第2の搬送路)32の上面(第2の搬送面)32aに接触した状態で第1の搬送方向に移動される。このため、新聞開き機構40において、新聞Pの上側P1が吸着部材によって吸着されると、上側P1が下側P2から分離されて持ち上げられ、下側P2と上側P1の間に隙間ができる。ガイド板は、新聞捌き機構30の下流ベルト32による新聞Pの搬送を伴ってこの隙間に挿入される。
上述したように、折込チラシtを重ねて折り紙Sで挟んだ丁合束Tは、丁合機構10の排出口から1部ずつ排出される。丁合束Tは、下流ベルト32の上方の中入れ位置に向けて送り込まれる。新聞開き機構40のガイド板は、この中入れ位置の上方に配置され、新聞Pの上側P1を下から支える。このため、丁合機構10の排出口から排出された丁合束Tは、新聞Pの下側P2と上側P1の間に挿入される。
外観は図3Cに示す新聞Pと同じで、厚さが丁合束Tの分だけ厚い、新聞Pの間に丁合束Tを挟んだ組紙Kは、重ね機構50のスタッカ51(図1参照)に集積される。重ね機構50は、スタッカ51に集積した組紙KのX軸方向の一端を叩く図示しないX軸方向叩き板、および集積した組紙KのY軸方向の一端を叩く図示しないY軸方向叩き板を有する。これら2枚の叩き板は、図示しないリンク機構を介して図示しないモータに接続されており、X軸方向叩き板はX軸方向に振動し、Y軸方向叩き板はY軸方向に振動する。
昇降機構60は、重ね機構50のX軸方向下流側に隣接して配置した受トレイ61を有する。受トレイ61を昇降移動させる機構は、丁合機構10の筐体1内に配置されている。つまり、筐体1内には、受トレイ61をZ軸方向に沿って上下に移動させる図示しないモータが設けられている。
重ね機構50において集積されて端辺を揃えられた複数組の組紙Kは、重ね機構50の搬出機構52によってX軸方向の下流の昇降機構60の受トレイ61上へ移載される。そして、複数の組紙Kが昇降機構60によって上昇されて、作業員が取り出しやすい高さまで移動される。昇降機構60が昇降する高さは適宜に設定可能である。
図4及び図5に示す新聞供給機構20は、投入部21を介して重ねて投入した複数部の新聞Pを1部ずつ、又は、複数部ずつ新聞捌き機構30へ供給する供給ローラ24を有する。供給ローラ24は、X軸方向に離間した2組のローラ対を有する。各ローラ対は、新聞Pを間に挟んでモータ211(図6参照)により回転する2つのローラ部を有する。供給ローラ24のY軸方向の前方斜め下には、新聞捌き機構30の上流ベルト31が配置されている。供給ローラ24は、新聞Pの折り目F2が上流ベルト31の上面31aに突き当たる角度で新聞Pを供給可能な位置関係で配置されている。供給ローラ24を介して供給される新聞Pは、所定の向き(折り目F2がY軸方向の前方に配置され、折り目(紙葉類の端部)F1がX軸方向の下流側に配置され、且つ下側P2が後述する下流ベルト32の上面(第2の搬送面)32aに接触した状態)に、上流ベルト31の上面31a上に積み重ねられる。
図4及び図5に示すように、新聞捌き機構30は、上流ベルト31と下流ベルト32とを有する。上流ベルト31には、新聞供給機構20から向きを揃えた状態で供給された新聞Pを所定の位置に積み重ねられる。上流ベルト31は、所定の位置に積み重ねられた新聞Pを第1の搬送方向(X軸方向に沿って上流側から下流側)に搬送可能である。積み重ねられた新聞Pは、所定の位置から下流に向けて、塊として移動する。下流ベルト32は、上流ベルト31の第1の搬送方向(X軸方向の下流側)に隣接し、新聞Pを新聞開き機構40に向けて搬送可能である。
上流ベルト31は、それぞれY軸方向に延設されてX軸方向に離間した一対のベルトローラ31b、31cに掛け回されて無端状に張設されているゴム製のベルトである。一対のベルトローラ31b、31cは図6に示すモータ214により動作される。上流ベルト31の上面31aと新聞Pの一面の下側P2との間の摩擦係数は、新聞P同士の間の摩擦係数に比べて大きい。上流ベルト31は、その上面31aがXY平面(水平面)と平行になる姿勢で設けられている。上流ベルト31は、その上面31aが第1の搬送方向に走行する。ここで言う上面31aとは、上流ベルト31の表面が走行の途中で上方に向く上流ベルト31の外側表面を指す。上流ベルト31の全ての表面が上面31aになり得る。
一対のベルトローラ31b、31cが適宜に駆動されることにより、上流ベルト31が第1の搬送方向に走行する。上流ベルト31が第1の搬送方向に走行している場合、上流ベルト31の上面31aの所定の位置に載置された新聞Pには、上流ベルト31の上面31aとの間に生じる摩擦力によって、搬送力が与えられる。したがって、上流ベルト31の上面31aの所定の位置に載置された新聞Pは、上流ベルト31の走行によって第1の搬送方向に搬送される。
下流ベルト32は、例えば1対が、Y軸方向に互いに離間して配置されている。下流ベルト32は、それぞれY軸方向に延設されてX軸方向に離間したベルトローラ32b(下流側のベルトローラは図示せず)に掛け回されて無端状に張設されているゴム製のベルトである。ベルトローラ32b(下流側のベルトローラは図示せず)は、図6に示すモータ215により動作される。下流ベルト32の上面32aと新聞Pの一面の下側P2との間の摩擦係数が新聞P同士に比べて大きい。下流ベルト32の第1の搬送方向の下流側の端部は図示を省略している。Y軸方向の後方に配置した下流ベルト32のY軸方向後方の縁は、上流ベルト31のY軸方向後方の縁と面一に配置されている。また、Y軸方向の前方に配置した下流ベルト32のY軸方向の前方の縁は、上流ベルト31のY軸方向前方の縁と面一に配置されている。Y軸方向後方の下流ベルト32のY軸方向の幅は、Y軸方向前方の下流ベルト32の幅と同一である。Y軸方向後方の下流ベルト32のY軸方向の幅は、Y軸方向前方の下流ベルト32の幅と異なっていてもよい。
下流ベルト32は、その1対の上面32aがXY平面(水平面)と平行になる姿勢で設けられている。下流ベルト32は、1対の上面32aが第1の搬送方向に同じ速度で走行する。下流ベルト32の上面32aは、上流ベルト31の上面31aと略同じ平面内に配置されている。ここで言う上面32aとは、下流ベルト32の表面が走行の途中で上方に向く下流ベルト32の外側表面を指す。下流ベルト32の全ての表面が上面32aになり得る。下流ベルト32の上面32aは、搬送面として機能する。
ベルトローラ32b(一方のみ図示)が適宜に駆動されることにより、下流ベルト32が第1の搬送方向に走行する。下流ベルト32が第1の搬送方向に走行している場合、下流ベルト32の上面32aに載置された新聞Pには、下流ベルト32の上面32aとの間に生じる摩擦力によって、搬送力が与えられる。したがって、下流ベルト32の上面32aに載置された新聞Pは、下流ベルト32の走行によって第1の搬送方向に搬送される。
図4に示す上流ベルト31の上面31a及び下流ベルト32の上面32aは、図4中の左側(上流側)から右側(下流側)、すなわち第1の搬送方向に動かされるだけでなく、例えば紙詰まり時、緊急時やメンテナンス時には、図4中の右側(下流側)から左側(上流側)、すなわち第2の搬送方向に動かされる。第1の搬送方向及び第2の搬送方向は、ともにX軸方向に沿っているが、互いに反対方向である。
上流ベルト31のY軸方向の前方には、XZ平面と平行に立設された突き当て壁71(図5参照)が配置されている。図4では突き当て壁71を図示していない。突き当て壁71は、供給ローラ24を介して新聞捌き機構30へ送り込まれた新聞Pの折り目(供給方向先端)F2を突き当てて停止させる。このとき、上流ベルト31の上面31aに既に新聞Pが集積されている場合には、新たに送り込まれた新聞PがZ軸方向に重ねられる。
上流ベルト31を間に挟んで突き当て壁71のY軸方向の反対側には、2枚の揃え板72、73が配置されている。揃え板72、73は、XZ平面と平行に配置されるともにX軸方向に互いに離間して配置され、図示しないリンク機構を介してモータ212(図6参照)に接続されている。揃え板72、73は、モータ212によりY軸方向に振動して上流ベルト31の上面31a上に載置された新聞Pの折り目F2と反対側の端辺を叩く。これにより、新聞Pは、突き当て壁71と2枚の揃え板72、73との間で揃えられる。突き当て壁71と2枚の揃え板72、73との間のY軸方向の間隔は、新聞PのY軸方向の幅と略同じである。
上流ベルト31の上方には、供給ローラ24を介して供給されて上流ベルト31の上面31a上に載置される前の新聞Pの一部を下から支える支え板74が配置されている。本実施形態では、上流ベルト31の第1の搬送方向の下流側の端部に近い位置で上流ベルト31の上方に離間した位置に支え板74が配置されている。支え板74は、より具体的には、新聞供給機構20から上流ベルト31の上面31a上に送り込まれる新聞P(図5中に輪郭を破線で図示)のX軸方向の先端辺のうちY軸方向の後方(揃え板72、73側)に片寄った部位を支える位置に配置されている。このため、支え板74は、上流ベルト31の上面31a上に送り込まれる新聞PのX軸方向の先端を部分的に下から支えることができる。
支え板74は、Y軸方向に延設された回動軸74aを中心として回動可能に取り付けられている。支え板74は、図4に実線で示すようにZ軸方向に沿う退避位置と、破線で示すように新聞Pを部分的に支える支え位置(図4に破線で示す位置)との間を回動可能である。支え板74は、例えばソレノイド213のON/OFFにより回動軸74aの軸回りに所定の範囲内で動作される。支え板74は、最下部となる新聞Pが上流ベルト31の上面31aの所望の位置に配置されるようにする。
支え板74に対向した位置には、対向板75が配置されている。支え板74と対向板75との間の距離は図3Cに示す新聞PのX軸方向に沿う幅よりも僅かに大きい。そして、対向板75は、突き当て壁71、揃え板72、73、支え板74と協働して、新聞Pを図5中に破線で示す位置に載置することができる。
供給ローラ24の制御と、支え板74の移動制御との関係については、ここでの説明を省略する。
最下部となる新聞Pが新聞供給機構20から新聞捌き機構30の上流ベルト31に向けて送り込まれる場合、仮に、支え板74を作動させず、支え板74を実線で示す退避位置に配置したままにするものとする。この場合、新聞Pの一面の上側P1と上流ベルト31の上面31aとが比較的大きな面積で上流ベルト31の上面31aに接触しながら移動する。このため、新聞Pが上流ベルト31の上面31aとの間の摩擦により引っ掛かる可能性があるため姿勢が乱れやすい。そして、上流ベルト31の上面31a上に載置する新聞Pの姿勢が乱れると、新聞Pを捌く処理精度が低くなるとともに、下流側の新聞開き機構40における処理精度が低くなり、ジャムを生じる可能性が高くなる。
最下部となる新聞Pが新聞供給機構20から新聞捌き機構30の上流ベルト31に向けて送り込まれる場合、支え板74を図4中の破線で示す位置に配置すると、支え板74により当該新聞PのX軸方向の下流側端部(折り目F1)を支える。この場合、当該新聞Pの小口Eを先に上流ベルト31の上面31aに載置し、その後、折り目F1を上流ベルト31の上面31aに載置する。このため、最下部となる新聞Pを上流ベルト31の上面31aに載置する場合、最下部となる新聞Pを、その自重により湾曲させることができる。これにより、上流ベルト31の上面31aに当該新聞Pが載置されるまでの間の当該新聞Pの移動中における、上流ベルト31の上面31aと当該新聞Pの一面の上側P1との間の接触面積を小さくすることができる。このように、上流ベルト31の上面31aと当該新聞Pの一面の上側P1との間の接触面積を小さくすることにより、移動中の当該新聞Pが上流ベルト31の上面31aとの間の摩擦により引っ掛かって当該新聞Pの集積姿勢が乱れる不具合が防止される。
新聞供給機構20の下方の上流ベルト31の上面31aにすでに新聞Pが載置されている場合、支え板74を退避位置に配置する。新聞P同士の摩擦は、上流ベルト31の上面31aと新聞Pの一面の下側P2との間の摩擦よりも十分に小さい。このため、新聞Pをさらに重ねる場合、上流ベルト31の上面31aに引っかかることがない。
新聞捌き機構30は、支え板74よりもX軸方向に沿って下流の位置に、例えば新聞捌き機構30のフレーム30aに対して支持された紙捌きユニット(紙捌き部)33を有する。紙捌きユニット33は、新聞Pが新聞供給機構20から下方の上流ベルト31の上面31aに載置される際に当該新聞Pに干渉する位置にない。このため、供給ローラ24を介して新聞捌き機構30へ送り込まれた新聞Pが後述する傾斜ガイド34及び従動ローラ35に干渉することが防止されている。
紙捌きユニット33は、筐体33a、傾斜ガイド34、従動ローラ35、紙捌きローラ36、滑りフィルム(滑りシート)37を有する。紙捌きユニット33の筐体33aは、所定の範囲内でZ軸方向に移動可能であることが好適である。紙捌きユニット33は、筐体33aを含む全体がZ軸方向に沿って下側に付勢されていてもよく、傾斜ガイド34、従動ローラ35、紙捌きローラ36、滑りフィルム37がそれぞれ個別にZ軸方向に沿って下側に付勢されていてもよい。また、紙捌きユニット33は、筐体33aを含む全体がZ軸方向に沿って下側に付勢されているのに加えて、傾斜ガイド34、従動ローラ35、紙捌きローラ36、滑りフィルム37がそれぞれZ軸方向に沿って下側に付勢されていてもよい。傾斜ガイド34、従動ローラ35、紙捌きローラ36、滑りフィルム37は、各新聞Pの厚さに合わせて、上流ベルト31の上面31aに対する位置が固定されるように調整されてもよい。すなわち、傾斜ガイド34、従動ローラ35、紙捌きローラ36、滑りフィルム37の位置は、適宜に調整される。
ここでは、一例として紙捌きユニット33の傾斜ガイド34、紙捌きローラ36、滑りフィルム37がそれぞれ個別にZ軸方向に沿って下側に付勢されている場合について説明する。傾斜ガイド34、従動ローラ35、紙捌きローラ36、滑りフィルム37はZ軸方向に沿って所定の範囲内を上下に移動可能である。通常、傾斜ガイド34、従動ローラ35、紙捌きローラ36、滑りフィルム37は、付勢力及び/又は重力により、最下部に配置されている。
上流ベルト31の上面31aのZ軸方向の上方で、上流ベルト31を掛け回した第1の搬送方向の下流側のベルトローラ31cの上方の位置には、傾斜ガイド34、及び、従動ローラ35がY軸方向に離間して配設されている。傾斜ガイド34は、ベルトローラ31cの幅方向の中央近傍に配置されていることが好適である。2つの従動ローラ35を用いる場合、従動ローラ35同士はY軸方向に離間し、従動ローラ35間に傾斜ガイド34が配設される。下流ベルト32の上面32aのZ軸方向の上方で、ベルトローラ32bの上方の位置には、紙捌きローラ36、及び、滑りフィルム37が配設されている。
傾斜ガイド34は、上流ベルト31と協働して例えば複数部新聞Pなどの複数の紙葉類の端部(折り目F1)をずらすのに用いる。上流ベルト31は、上流ベルト31の上面31aにZ軸方向に積み重ねられた複数部の新聞Pを塊として搬送する。傾斜ガイド34は、上流ベルト31の上面31aの走行による搬送力を利用して、塊として搬送される複数部の新聞Pのうち、下側の新聞Pの折り目(紙葉類の端部)F1ほど下流側に配置し、複数部の新聞Pの折り目F1を第1の搬送方向にさしみ状にずらす。傾斜ガイド34は、また、下流ベルト32に向けて流す新聞Pの部数(流出量)を調整する。
傾斜ガイド34は、例えばステンレス鋼材など、適宜の剛性を有するとともに、適宜の重量を有する素材により形成されている。図7Aから図8Bに示すように、傾斜ガイド34は、第1の傾斜面34aと、第1の傾斜面34aに対して下端で連続する第2の傾斜面34bとを有する。第1の傾斜面34aは、第1の搬送方向に沿って上流側から下流側に向かうにつれて上側から下側に向かって傾斜する。第1の傾斜面34aは、複数部の新聞(複数組の紙葉類)Pの折り目(端部)F1が当接可能である。第2の傾斜面34bは、第1の搬送方向に沿って上流側から下流側に向かうにつれて下側から上側に向かって傾斜する。第1の傾斜面34a及び第2の傾斜面34bは、それぞれ、Y軸方向に延設されている。第1の傾斜面34a及び第2の傾斜面34bは、それぞれ、XY平面及びYZ平面に対して傾斜している。第1の傾斜面34aの上流ベルト31の上面31aに対する傾斜角度は適宜に設定可能である。第2の傾斜面34bの上流ベルト31の上面31aに対する傾斜角度は適宜に設定可能である。傾斜ガイド34の第1の傾斜面34a、第2の傾斜面34bは平面であっても曲面であってもよい。傾斜ガイド34の第1の傾斜面34a、下端34c、第2の傾斜面34bは図4に示すようにY軸方向を見たときに、略V字状であってもよく、略ハーフパイプ状であってもよい。
傾斜ガイド34は、上下方向に延び、紙捌きユニット33の筐体33aに支持された支持部34dを有する。図7Aから図8B中、支持部34dはYZ平面に平行なプレート状に形成されているが、ロッド状であってもよい。支持部34dは、筐体33aとともに、又は、筐体33aに対して独立して、上下動可能である。このため、傾斜ガイド34は、筐体33aとともに、又は、筐体33aに対して独立して、上下動可能である。傾斜ガイド34の移動方向は、Z軸に沿う方向(第1の搬送方向に直交する方向)であることが好適であるが、第1の搬送方向に交差する方向であればよい。
支持部34dの下端は、第1の傾斜面34aに連続している。支持部34dの下端と第1の傾斜面34aの上端とは、滑らかに形成されている。このため、ある新聞Pの折り目F1が支持部34dに当接した状態から、第1の傾斜面34aに当接した位置に容易に移動する。
第1の傾斜面34aと第2の傾斜面34bとの境界(下端)34c及びその近傍は、鈍形状に形成されている。傾斜ガイド34の幅方向(Y軸方向)の端部のエッジは、鈍形状に形成されている。このため、新聞Pが上流ベルト31により上流から下流に向かって搬送される際に、傾斜ガイド34の下端34cに新聞Pの一面の上側P1が引っ掛けられるのが抑制される。
傾斜ガイド34の下端34cと上流ベルト31の上面31aとの間の距離は、適宜に設定可能であり、適宜に調整されている。傾斜ガイド34の下端34cは、上流ベルト31の上面31aに当接していてもよく、上方に離間していてもよい。傾斜ガイド34の下端34cと上流ベルト31の上面31aとの間の距離は一例として0mmである。この場合、上流ベルト31の上面31aには、傾斜ガイド34の重力がかけられていてもよく、重力がかけられない程度に筐体33aに支持されていてもよい。傾斜ガイド34の下端34cと上流ベルト31の上面31aとの間の距離は、数mm程度の隙間があってもよい。傾斜ガイド34の下端34cと上流ベルト31の上面31aとの間の距離は、傾斜ガイド34により、鉛直方向に重ねられた複数部の新聞Pの折り目F1の位置を第1の搬送方向にさしみ状にずらすとともに、傾斜ガイド34の下端34cを通して、同時に何部の新聞を下流ベルト32の上面32aに搬送するか、等により、適宜に設定可能である。1部又は複数部の新聞Pが傾斜ガイド34の下側を通る場合、傾斜ガイド34は、1部又は複数部の新聞Pにより、押し退けられる。この場合、傾斜ガイド34は、紙捌きユニット33の付勢力に抗して上側に移動可能である。傾斜ガイド34には、下向きの付勢力がなく、傾斜ガイド34の重量による重力のみが存在していることも好適である。
従動ローラ35の中心軸35aはY軸方向に平行である。従動ローラ35は、適宜の滑り性を有する樹脂材で形成されていることが好適である。従動ローラ35は金属材で形成されていてもよい。従動ローラ35は、紙捌きユニット33の筐体33aに支持され、中心軸35aの軸回りに回転可能である。
従動ローラ35は、重量が調整されている。従動ローラ35は、例えば上流ベルト31に接触して配置されている。従動ローラ35は、ベルトローラ31cに対して適宜の重力を負荷している。このため、従動ローラ35は、上流ベルト31の上面31aを押圧している。ベルトローラ31cと従動ローラ35の間に上流ベルト31が挟まれている。従動ローラ35は、上流ベルト31の上面31aが動く方向に従動して回転する。従動ローラ35は、上流ベルト31の上面31aとの間に新聞Pが挟まれている場合、従動ローラ35が接触している新聞Pの動きに従動して回転する。従動ローラ35は、従動ローラ35の重力により上流ベルト31の上面31aにZ軸方向に積み重ねた複数部の新聞Pを、上流ベルト31に向けて押し付けながら、上流ベルト31と協働して、上流ベルト31の搬送力により下側の新聞Pから上側の新聞Pの順に下流に向けて搬送する。
本実施形態の紙捌きユニット33は、傾斜ガイド34があれば、従動ローラ35を用いなくてもよい。紙捌きユニット33に従動ローラ35を用いない場合、傾斜ガイド34は、Y軸方向にさらに延設されていることが好適である。
上述したように、下流ベルト32は、例えば1対が、Y軸方向に互いに離間して配置されている。紙捌きローラ36及び滑りフィルム37は、1対の下流ベルト32の間に配設されている。後述する搬送ローラ38a,38bも、1対の下流ベルト32の間に配設されている。
紙捌きローラ36は、傾斜ガイド34及び従動ローラ35に対して下流側に離間している。紙捌きローラ36の中心軸36aは、Y軸方向に平行又は略平行である。本実施形態では、紙捌きローラ36の下端36dは、Z軸方向に沿って、下流ベルト32の上面32aよりも上側にあることが好適である。紙捌きローラ36の中心軸36aの位置は、Z軸方向に沿って調整可能である。このため、紙捌きローラ36の下端36dのZ軸に沿った位置は、適宜に調整可能である。
紙捌きローラ36の外周面は、円環状のゴム材で形成されている。紙捌きローラ36の外周面は、滑らかな面として形成されていてもよいが、図5、図7A及び図8Aに示すように、Y軸方向に沿う複数本の溝36bが形成されていることが好適である。紙捌きローラ36は、本実施形態では、通常、回転せず、停止している。一方、紙捌きローラ36は、中心軸36aを支点として、新聞Pの第1の搬送方向と逆方向に回転可能である。このため、紙捌きローラ36はワンウエイクラッチにより、一方向(第1の搬送方向とは反対方向)にのみ回転可能である。紙捌きローラ36は、上流ベルト31の上面31aから下流ベルト32の上面32aに受け渡された新聞Pを、下流ベルト32及び滑りフィルム37と協働して、1部ずつに捌く。下流ベルト32は、新聞Pを1部ずつ下流に搬送する。なお、多部数の新聞Pが次々に当たることで、紙捌きローラ36のゴム材製の溝36bは消耗する。紙捌きローラ36は、新聞Pの第1の搬送方向と反対方向に定期的に回転させ、同じ部位の消耗を防止し、紙捌きローラ36の使用寿命を延ばす。また、紙捌きローラ36が全体的に消耗したら、紙捌きローラ36のゴム材は交換可能である。
図7Aから図8Bに示す滑りフィルム37は、略矩形状に形成されている。滑りフィルム37は、紙捌きローラ36に対して第1の搬送方向の上流側に接触している。滑りフィルム37は、滑りフィルム37に当接された新聞Pを、下流ベルト32の上面32aと協働して、紙捌きローラ36の下端36dに向けて案内する。滑りフィルム37は、例えば、プラスティック製の可撓性を有する板状部材で容易に弾性変形可能であり、比較的新聞Pとの間の摩擦が小さい材料により形成されている。滑りフィルム37と新聞Pと間の摩擦は、紙捌きローラ36の外周面と新聞Pとの間の摩擦よりも小さい。
滑りフィルム37は薄く形成されていることが好適であるが、コシがあって適宜の形状を維持し、食品用ラップフィルムのようにクシャクシャにならないような強度がある。滑りフィルム37のコシは、素材や厚さの選択により適宜に設定可能である。滑りフィルム37の上端は、紙捌きローラ36の中心軸36aよりも上側で紙捌きユニット33の筐体33aに支持されている。滑りフィルム37の下端37bは、紙捌きローラ36の中心軸36aよりも下側の位置に延設されている。
新聞P等による外圧がない場合、滑りフィルム37は、紙捌きローラ36の中心軸36aを含むXY平面の位置又はその近傍で、紙捌きローラ36の外周面に密着していることが好適である。新聞P等による外圧がない場合、滑りフィルム37は、例えばYZ平面に平行である。このとき、滑りフィルム37の下端37bは、紙捌きローラ36の下端36dよりも上側にあってもよく、下側にあってもよい。また、滑りフィルム37の下端37bは、紙捌きローラ36の下端36dとZ軸方向に沿って同一座標の位置にあってもよい。
新聞Pが第1の搬送方向に搬送され、滑りフィルム37の下端37b及びその近傍が新聞Pにより第1の搬送方向に押圧されると、滑りフィルム37が弾性変形し、紙捌きローラ36の外周面に密着する。このように、滑りフィルム37に第1の搬送方向に搬送されている新聞Pから外圧が負荷された場合、滑りフィルム37のうち、紙捌きローラ36の外周面に密着した位置から下側の位置は、紙捌きローラ36の外周面に沿う状態に変形する。新聞Pにより滑りフィルム37に外圧が負荷されている場合、滑りフィルム37の下端37bは、紙捌きローラ36の下端36dよりも上側にある。滑りフィルム37の下端37b、及び、紙捌きローラ36の下端36dの相対位置は、新聞Pであれば、朝刊や夕刊、さらには、朝刊や夕刊のうちでも、厚さによって調整される。このため、紙捌きローラ36の中心軸36a、及び、滑りフィルム37の下端37bは、Z軸方向に適宜の範囲で移動可能である。
上述したように、下流ベルト32の上面32aに対する紙捌きローラ36の下端36dの位置は、例えば新聞Pの厚さによって調整可能である。滑りフィルム37及び紙捌きローラ36は、Z軸方向に一体的に動くことが好適である。紙捌きローラ36を新聞Pの厚さに応じてZ軸方向に上下動させるとき、滑りフィルム37は紙捌きローラ36に従動させることも好適であるし、独立してZ軸方向に移動させることも好適である。
図7B及び図8Bに示すように、下流ベルト32の下流側から上流側を見たとき、紙捌きローラ36のY軸方向に沿う幅方向中央と、滑りフィルム37のY軸方向に沿う幅方向中央とは、同一のZX平面上にある。滑りフィルム37のY軸方向に沿う幅方向端部37a、37a間距離は、紙捌きローラ36のY軸方向に沿う幅方向端部36c、36c間距離よりも小さい。このため、下流ベルト32の下流側から上流側を見たとき、滑りフィルム37のY軸方向に沿う幅方向端部37a、37aに対して、紙捌きローラ36の幅方向端部36c、36cは露出している。言い換えると、下流ベルト32の搬送方向に沿って下流側から上流側を見たとき、滑りフィルム37の幅方向の1対の外縁37a、37aは、紙捌きローラ36により隠れる位置にある。
なお、紙捌きローラ36及び滑りフィルム37は、Z軸方向の位置を調整可能であるが、Y軸方向及びX軸方向への移動は規制されている。
図4及び図5に示すように、1対の下流ベルト32の間には、搬送ローラ38a,38bが配設されている。搬送ローラ38a,38bはZ軸方向の上下に隣接している。搬送ローラ38a,38bの中心軸はY軸に平行である。搬送ローラ38a,38bは、新聞捌き機構30によって1部ずつに分離した新聞Pを新聞開き機構40へ搬送する。搬送ローラ38a,38bは、モータ216(図6参照)により能動的に動かされる。
次に、新聞捌き機構30の動作について、主に図7Aから図8Bを用いて説明する。
ここでは、上流ベルト31の上面31aに4部など複数部の新聞Pが鉛直方向に重ねられて載置された状態で、上流ベルト31の上面31a及び下流ベルト32の上面32aが同一速度で第1の搬送方向に沿って上流から下流に向かって移動しているものとする。上流ベルト31及び下流ベルト32等の制御フローの一例については後述する。なお、上流ベルト31の上面31a及び下流ベルト32の上面32aの第1の搬送方向への移動速度は、上流ベルト31の上面31aに比べて下流ベルト32の上面32aの方が早くてもよい。
紙捌きローラ36の下端36dは、下流ベルト32の上面32aよりもZ軸に沿って上側にある。紙捌きローラ36の下端36dと下流ベルト32の上面32aとの間のZ軸方向に沿う距離は、1部の新聞Pの厚さよりも大きく、2部の新聞Pの厚さよりも小さい。滑りフィルム37の下端37bは、紙捌きローラ36の下端36d近傍の外周面に当接した状態で、紙捌きローラ36の下端36dよりも僅かに上側にある。紙捌きローラ36の中心軸36aの位置調整、すなわち、下端36dの位置調整は、上流ベルト31及び下流ベルト32の走行を停止した状態で行う。
図4に示すように、傾斜ガイド34の下端34cが上流ベルト31の上面31aに当接しているものとする。このとき、上流ベルト31の上面31aには、傾斜ガイド34の重力が負荷されていてもよく、負荷されていなくてもよい。
新聞供給機構20からの複数部の新聞Pの供給により、適宜に支え板74を動作させながら、上流ベルト31の上面31aの所望の位置に、1部ずつ新聞Pを配置し、又は、複数部の新聞PをZ軸方向に積み重ねる。4部の新聞Pが上流ベルト31の上面31aの所望の位置に、新聞Pの一面の下側P2を下側にした状態で、載置される。
一対のベルトローラ31b、31cを駆動させて上流ベルト31の走行により第1の搬送方向に搬送力を与える。同様に、下流ベルト32の走行により第1の搬送方向に搬送力を与える。Z軸方向に積み重ねた4部(複数部)の新聞Pが同時に上流ベルト31の上面31aを上流側から下流側に搬送される。4部の新聞Pは、塊として、紙捌きユニット33の傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aに当たる。
最下部の新聞Pの折り目F1、下から2番目の新聞Pの折り目F1、さらにはその上側の新聞Pの折り目F1は、上側の新聞Pの折り目F1から傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aに当たる。上流ベルト31の上面31aと最下部の新聞Pの一面の下側P2との摩擦力に比べて、新聞P同士の摩擦力の方が低い。このため、例えば、最下部の新聞Pの折り目F1、下から2番目の新聞Pの折り目F1、さらにはその上側の新聞Pの折り目F1が傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aに当接されると、Z軸方向に積み重ねられた各新聞Pの折り目F1の位置が第1の傾斜面34aにより第1の搬送方向にずらされる。下側の新聞Pの折り目F1ほど、第1の搬送方向の下流側に配置される。したがって、4部の新聞Pの折り目F1は、傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aで、さしみ状にずらされる。なお、傾斜ガイド34の支持部34dは、第1の傾斜面34aよりも上流側にある。支持部34dにも新聞Pの折り目F1が当接し得る。傾斜ガイド34の支持部34dに複数部の新聞Pが当接されている場合、支持部34dに当接されている新聞Pの折り目F1の位置は、第1の搬送方向に沿って同じ位置(X軸の同一座標)にある。
上流ベルト31の上面31aの走行により第1の搬送方向に搬送力が与えられている最下部の新聞Pの折り目F1が傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aに当接され、第1の傾斜面34aを第1の搬送方向に押圧する。このため、第1の傾斜面34aの傾斜角度により、最下部の新聞Pの折り目F1から第1の傾斜面34aに対し、X軸方向(第1の搬送方向)に力が負荷されるだけでなく、Z軸方向(上側)に力が負荷される。ここで、傾斜ガイド34には適宜の重量があり、下側に付勢されている。このため、最下部の新聞Pの折り目F1によって傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aに所定の力を付与するまで、傾斜ガイド34はZ軸に沿って移動しない。一方で、最下部の新聞Pの折り目F1によって傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aに所定の力を超える力を付与している場合、傾斜ガイド34はZ軸に沿って上側に移動する。ここでは、最下部の新聞Pの一面の下側P2と上流ベルト31の上面31aとの間に新聞P間よりも大きな摩擦力が働いている。このため、最下部の新聞Pが上流ベルト31の上面31aの走行による搬送力を受け、最下部の新聞Pの折り目F1が傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aに当接すると、傾斜ガイド34を押し退ける。このとき、傾斜ガイド34は、最下部の新聞Pの厚さ分、上側に移動する。このときも、傾斜ガイド34の移動範囲は、Z軸方向に沿って1部の新聞Pの厚さ分である数ミリmmなど、適宜の範囲に限られる。傾斜ガイド34は、X軸方向及びY軸方向への移動が規制されている。このため、傾斜ガイド34は、傾斜ガイド34と上流ベルト31の上面31aとの間に一度に流入させる新聞Pの流入量を調整する。
図7Aに示すように、最下部の新聞Pは、上流ベルト31の上面31aの下流側に配置された、下流ベルト32の上面32a、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36に向けて搬送される。
傾斜ガイド34において、最下部の新聞Pの小口Eが下から2番目の新聞Pの折り目F1に対して、第1の搬送方向に沿って下流側に搬送されると、下から2番目の新聞Pの折り目F1が重力により上流ベルト31の上面31a上に落下する。このため、下から2番目であった新聞Pが最下部の新聞Pとなり、下から3番目であった新聞Pが下から2番目の新聞Pとなる。このように、上流ベルト31の上面31aにより、最下部の新聞Pの折り目F1から小口Eまで傾斜ガイド34の下端34cを通過すると、下から2番目であった新聞Pが最下部の新聞Pとなり、最下部となった新聞Pは、上述したのと同様に、下流側の下流ベルト32の上面32a、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36に向けて搬送される。このとき、下から3番目から下から2番目となった新聞Pの折り目F1は、傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aに沿って、図7A中の右下の下端34cに向かってずらされる。
このように、上流ベルト31の上面31aに載置されていた4部の新聞Pは、傾斜ガイド34により、塊又は複数部ではなく、最下部となった新聞Pから1部ずつ傾斜ガイド34を超えて下流側に移動される。
上流ベルト31の上面31aの移動速度(傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aに対する新聞Pの折り目F1の衝突速度)及び4部の新聞Pの重量等により、傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aを上側に押し退けようとする力が働く。傾斜ガイド34の重量、第1の傾斜面34aの傾斜角度、上流ベルト31の上面31aの移動速度及び傾斜ガイド34のZ軸方向の移動可能距離によっては、図8Aに示すように、最下部の新聞P及び下から2番目の新聞Pが重なった状態で傾斜ガイド34の下端34cの下側を通る可能性がある。
このように、複数部の新聞Pが鉛直方向に重ねられた状態で上流ベルト31の搬送力により搬送されていくとき、傾斜ガイド34により、例えば最下部の新聞Pだけや、最下部の新聞Pに加えて下から2番目の新聞Pなど、部数を調整して下流ベルト32の上面32a、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36に向けて搬送することができる。したがって、例えば鉛直方向に重ねた複数部の紙葉類から1部や2部など、所望の部数ずつ所望の位置に搬送しやすい新聞捌き機構(紙葉類搬送機構)30が提供される。このとき、傾斜ガイド34の下端34cは鈍形状で、傾斜ガイド34の下端34cに接触している新聞Pの一面の上側P1が破られるなどの負荷が防止されている。
傾斜ガイド34に対してY軸方向に隣接する従動ローラ35(図4及び図5参照)は、その新聞Pの一面の上側P1をZ軸方向に沿って下側の上流ベルト31の上面31aを押圧する。従動ローラ35は、新聞Pが搬送されているときの厚さにより、重力に抗して上側に移動される。従動ローラ35は、傾斜ガイド34を通して折り目F1がずらされた状態で搬送される新聞Pの移動によって、X軸方向の上流から下流に向かって従動して回転する。従動ローラ35が新聞Pの移動によって従動している場合、新聞Pの搬送を補助している。また、傾斜ガイド34によって最下部の新聞Pに対して上流側にずらされた新聞Pが上流ベルト31の上面31aの移動によって移動している場合、一旦、新聞Pの一面の上側P1が従動ローラ35により押圧された状態となると、新聞Pの移動に従動して回転し、搬送を補助する。
上流ベルト31、傾斜ガイド34及び従動ローラ35により、複数部の新聞Pは、折り目F1が下側の新聞Pほど、第1の搬送方向に沿って下流側にずらされながら、下流ベルト32の上面32a、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36に向かって順次搬送される。なお、下から2番目の新聞Pを従動ローラ35で押圧している場合、従動ローラ35の動きは下から2番目の新聞Pの動きにしたがって、停止し得る。
最下部の新聞Pは、傾斜ガイド34の下端34cと上流ベルト31の上面31aとの間を通して下流ベルト32の上面32a、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36に向けて搬送される。
下から2番目の新聞Pの折り目F1が傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aに当接された状態で、最下部の新聞Pの折り目F1が傾斜ガイド34を超えて、下流ベルト32の上面32aに到達する。最下部の新聞Pは、下流ベルト32の上面32aに載置された状態で、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36の下側を通して、搬送ローラ38a、38b間に搬送される。このとき、滑りフィルム37の下端37bは滑りフィルム37の弾性力により、紙捌きローラ36の外周面から下側に離され、新聞Pの一面の上側P1に当接している。このため、滑りフィルム37は、新聞Pの一面の上側P1を下側に向けて軽く押さえている。最下部の新聞Pは、新聞開き機構40に搬送される。
下から2番目の新聞Pの折り目F1が傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aに当接された状態で、最下部の新聞Pが新聞開き機構40に向けて搬送され、最下部の新聞Pの小口Eが、下から2番目の新聞Pの折り目F1を超える。下から2番目であった新聞Pは新たな最下部の新聞Pとなる。そして、上流ベルト31の上面31aの走行により与えられる搬送力により、新たな最下部の新聞Pが折り目F1で傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aを押し退ける。新たな最下部の新聞Pは、上流ベルト31の上面31aの下流側に配置された、下流ベルト32の上面32a、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36に向けて搬送される。そして、新たな最下部の新聞Pは、搬送ローラ38a、38b間を通して、新聞開き機構40に搬送される。このようにして、例えば1部ずつの新聞Pが、第1の搬送方向に沿って傾斜ガイド34を超える位置に搬送される。
ここで、上述したように、最下部の新聞Pの小口Eが下から2番目の新聞Pの折り目F1を超える前に、最下部の新聞Pに加えて、下から2番目の新聞Pが傾斜ガイド34を超えて上流ベルト31の上面31aから下流ベルト32の上面32aの位置に受け渡される可能性がある。ここでは、最下部の新聞Pの折り目F1と、下から2番目の新聞Pの折り目F1とが、傾斜ガイド34の第1の傾斜面34aでずらされた距離を保っているとする。
最下部の新聞Pの折り目F1は、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36の下側を通して搬送ローラ38a、38b間に搬送される。
最下部の新聞Pが滑りフィルム37及び紙捌きローラ36の下側を通過しているとき、下から2番目の新聞Pの折り目F1が、滑りフィルム37に当接する。このため、下から2番目の新聞Pの折り目F1は、滑りフィルム37に当接しながら滑って、滑りフィルム37の下端37bに向かう。Z軸方向に沿って下流ベルト32の上面32aと、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36との間は2部の新聞Pの厚さの距離はない。また、下流ベルト32の上面32a間には、空間がある。このため、最下部の新聞P及び下から2番目の新聞Pには、重力がかけられているため、下に凸の状態に曲げられる。また、最下部の新聞P及び下から2番目の新聞Pは、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36で下に凸の状態に押圧される。
最下部の新聞Pは、紙捌きローラ36に接触することなく、下流ベルト32の上面32aによって搬送ローラ38a、38bに向けて搬送される。下流ベルト32の上面32aと紙捌きローラ36の下端36dとの間は、Z軸に沿って1部の厚さを超えているが、2部の厚さよりも小さい。このため、下から2番目の新聞Pの折り目F1及び/又は下から2番目の新聞Pの一面の上側P1は、滑りフィルム37の下端37bを弾性変形させながら紙捌きローラ36の下端36dに近づける。下から2番目の新聞Pの折り目F1及び/又は下から2番目の新聞Pの一面の上側P1は、滑りフィルム37の下端37bよりも下側に下端36dがある紙捌きローラ36に接触する。
ここで、滑りフィルム37の下端37bのY軸方向の両端37a、37aに対して、紙捌きローラ36の複数本の溝36bのいずれかの、Y軸方向の両端36c、36cの下端36dが露出している。このため、紙捌きローラ36の下端36d、下端36dに連続するY軸方向の両端36c、36cの少なくとも3点が滑りフィルム37に対して露出している。下流ベルト32の上面32aに最下部の新聞Pの一面の下側P2が接触した状態で、最下部の新聞Pが下流側に搬送されると、下から2番目の新聞Pの折り目F1又はその周辺は紙捌きローラ36の外周面のいずれかの溝36bに接触し得る。具体的には、紙捌きローラ36のY軸方向の両端36c、36c及びの下端36dで下から2番目の新聞Pに接触し得る。
下流ベルト32の上面32aと最下部の新聞Pとの摩擦力、最下部の新聞Pと下から2番目の新聞Pの摩擦力、及び、紙捌きローラ36で下から2番目の新聞Pの移動を止める力を比較する。最下部の新聞Pと下から2番目の新聞Pとの摩擦力は、最も小さい。下流ベルト32の上面32aと最下部の新聞Pとの摩擦力は、新聞P同士の摩擦力よりも大きい。紙捌きローラ36は、下流ベルト32の上面32aの下流側に向かっては回転しない。紙捌きローラ36で下から2番目の新聞Pの移動を止める力は、下流ベルト32の上面32aと最下部の新聞Pとの摩擦力よりも大きく、最下部の新聞Pと下から2番目の新聞Pの摩擦力よりも大きい。下から2番目の新聞Pの折り目F1が紙捌きローラ36に当接すると、最下部の新聞Pと下から2番目の新聞Pとの間が滑って、下から2番目の新聞Pの移動が止められる。最下部の新聞Pは、下流ベルト32により新聞開き機構40に向けて搬送される。
最下部の新聞Pの小口Eが下から2番目の新聞Pの折り目F1を超えるまで、下から2番目の新聞Pは、紙捌きローラ36に接触した状態を維持する。最下部の新聞Pの小口Eが下から2番目の新聞Pの折り目F1を超えると、下から2番目の新聞Pは滑りフィルム37の下端部37bの弾性力及び下から2番目の新聞P自体の重力により落下し、紙捌きローラ36の両端36c、36及び下端36dから離される。下から2番目の新聞Pは新たに最下部の新聞Pとなる。最下部となった新聞Pは、下流ベルト32により新聞開き機構40に向けて搬送される。
なお、例えば傾斜ガイド34が存在しない場合、又は、適切に用いられない場合、4部の新聞Pが塊として、同時に下流ベルト32の上面32aに載置される可能性がある。
最下部の新聞Pは、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36の下側を通して搬送ローラ38a、38bの間に搬送される。
最下部の新聞Pが滑りフィルム37及び紙捌きローラ36の下側を通過する際、下から2番目の新聞Pの折り目F1が、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36に当接される。また、下から3番目、4番目の新聞Pの折り目F1が、それぞれ滑りフィルム37に当接される。下から2番目の新聞Pの折り目F1は、滑りフィルム37に当接しながら滑って、滑りフィルム37の下端37bに向かう。最下部の新聞P及び下から2番目の新聞Pは、僅かに下に凸の状態に曲げられながら、下流ベルト32の上面32aと、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36との間に搬送される。下から3番目の新聞Pは下から2番目の新聞Pの上側に載置された状態で、下から3番目の新聞Pの折り目F1が滑りフィルム37に当接した状態を維持する。
最下部の新聞Pは、紙捌きローラ36に接触することなく、下流ベルト32の上面32aによって搬送ローラ38a、38bに向けて搬送される。下から2番目の新聞Pの折り目F1及び/又は下から2番目の新聞Pの一面の上側P1は、滑りフィルム37の下端37b、及び、滑りフィルム37の下端37bよりも下側に下端36dがある紙捌きローラ36に接触する。
下から2番目の新聞Pの折り目F1が紙捌きローラ36に当接すると、最下部の新聞Pと下から2番目の新聞Pとの間が滑って、下から2番目の新聞Pの移動が止められる。下から3番目の新聞Pは、折り目F1が滑りフィルム37に当接した状態で移動が止められる。最下部の新聞Pは、下流ベルト32により新聞開き機構40に向けて搬送される。
最下部の新聞Pの小口Eが下から2番目の新聞Pの折り目F1を超えるまで、下から2番目の新聞Pは、紙捌きローラ36に接触した状態を維持する。最下部の新聞Pの小口Eが下から2番目の新聞Pの折り目F1を超えると、下から2番目の新聞Pは重力により落下し、紙捌きローラ36から離される。このため、下から2番目の新聞Pは新たに最下部の新聞Pとなる。新たに最下部となった新聞Pは、下流ベルト32により新聞開き機構40に向けて搬送される。下から3番目の新聞Pは、新たに下から2番目の新聞Pとなる。下から2番目の新聞Pの折り目F1は、滑りフィルム37に当接しながら滑って、滑りフィルム37の下端37bに向かう。そして、下から2番目の新聞Pの折り目F1は、紙捌きローラ36により移動が止められる。このようにして、複数部が鉛直方向に重ねられた新聞Pの塊は、下流ベルト32、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36により、下側の新聞Pから、上側の新聞の順に、1部ずつ、新聞開き機構40に向けて搬送される。
このようにして、新聞捌き機構30は、上流ベルト31の上面31aに積まれた新聞Pを、第1の搬送方向に沿って新聞捌き機構30の上流から下流の新聞開き機構40に向けて1部ずつ取り出して順次搬送していく。このため、新聞開き機構40より、確実に新聞Pを1部ずつ開くことができ、1部ずつの新聞Pの間に数種類の折込チラシtを重ねた丁合束Tが挟まれる。
新聞Pが比較的薄い夕刊等である場合、比較的厚い朝刊等に比べて、複数部が一緒に流れやすいことが知られている。新聞Pが比較薄い夕刊等である場合、比較的厚い朝刊等を捌く場合に比べて、紙捌きローラ36の下端36d及び滑りフィルム37の下端37bを、捌く新聞Pの厚さに応じて下側に下げた位置に配置することが好適である。この場合、例えば下から2番目の新聞Pは、紙捌きローラ36の溝36bの下端36d(紙捌きローラ36のエッジ36c、36c間の最下部)、及び、下端36dの幅方向端部36c、36cの3点に接触し得る。このため、搬送される新聞Pが比較的薄い場合であっても、最下部の新聞Pに対して、下から2番目の新聞Pが捌かれて、最下部の新聞Pのみが新聞開き機構40に向けて搬送される。
新聞Pが比較的厚い朝刊である場合も、下流ベルト32の上面32a、紙捌きローラ36の下端36d、滑りフィルム37の下端37bの位置を適宜に調整することで、複数部の新聞Pが一緒に新聞開き機構40に向けて搬送されるのが防止される。
以上説明したように、Z軸方向に積み重ねられた複数部の新聞Pは、上流ベルト31により搬送される際に傾斜ガイド34及び上流ベルト31の上面31aにより下側の新聞Pの折り目F1ほど下流側にずらすことができる。そして、下流側に搬送された新聞Pを、下流ベルト32の上面32aと、滑りフィルム37及び紙捌きローラ36とが協働して、最下部の新聞Pを1部ずつ、下流側に搬送することができる。したがって、例えば鉛直方向に重ねた複数部の紙葉類から1部ずつ所望の位置に搬送しやすい紙葉類搬送機構が提供される。
図6は、新聞捌き機構30の動作を制御する制御系のブロック図である。
新聞捌き機構30の制御部200には、上流ベルト31の上面31a上に新聞Pが供給されているか否かを検知するセンサ201、および新聞Pの先端の折り目F1が通過したことを検知するためのセンサ202が接続されている。センサ201、202は、新聞Pが搬送される搬送面と交差する光線を出射する発光部、および発光部から発光された光線を受光する受光部を有する透過型センサである。或いは、センサ201、202は、発光部から出射した光線の反射光を搬送面の同じ側に配置した受光部で受光する反射型センサであってもよい。
制御部200には、供給ローラ24を駆動するモータ211、揃え板72、73を動作させるモータ212、支え板74を動作させるソレノイド213、上流ベルト31を駆動するモータ214、下流ベルト32を駆動するモータ215、および搬送ローラ38a、38bを回転させるモータ216が接続されている。
以下、上述した新聞捌き機構30の制御部200による処理動作について説明する。図9は、新聞捌き機構30の動作を説明するためのフローチャートの一例である。なお、ここでは、支え板74を動作させるソレノイド213の制御動作については説明を省略する。
制御部200は、センサ201を介して上流ベルト31の上面31aに新聞Pが載置されているか否かを判断する(ステップST1)。このとき、制御部200は、センサ201の発光部から出射した光線が受光部で受光された場合に上流ベルト31の上面31a上に新聞Pが無いと判断し、受光部で光線を受光しない場合に新聞Pが上面31a上に載置されていると判断する。
センサ201を介して新聞Pの無しを判断(ステップST1;NO)すると、新聞供給機構20から上流ベルト31の上面31aへの新聞Pの載置を待機する。
センサ201を介して新聞Pが上流ベルト31の上面31aに載置されていると判断(ステップST1;YES)すると、モータ214、215、216を動作させて上流ベルト31及び下流ベルト32(搬送ローラ38a、38bを含む)を第1の搬送方向に動作させる(ステップST2)。
センサ202を介して、搬送ローラ38a、38bを所定の時間間隔内に各新聞Pが通過したと判断(ステップST3;YES)すると、搬送ローラ38a、38bを所定の時間間隔内に各新聞Pが通過したかの判断を繰り返す。センサ202を介して、搬送ローラ38a、38bを所定の時間間隔内に各新聞Pが通過していないと判断(ステップST3;NO)すると、上流ベルト31及び下流ベルト32(搬送ローラ38a、38bを含む)の動作を停止する。
搬送ローラ38a、38bを所定の時間間隔内に各新聞Pが通過していない場合、紙詰まりが生じたか、予定枚数の新聞Pを搬送し終えたことになる。このため、いずれにしても、上流ベルト31及び下流ベルト32の搬送が停止される。新聞供給機構20に新聞Pが存在する場合、その新聞Pが新聞捌き機構30に供給され、再び、新聞Pが新聞開き機構40に向けて搬送される。
以上、供給ローラ24を介して新聞供給機構20から上流ベルト31へ送り込まれる新聞Pが無くなるまで、新聞捌き機構30が処理を繰り返すことにより、集積した複数部の新聞Pを確実に分離して新聞開き機構40に向けて搬送することができる。
仮に、1部の新聞Pが紙捌きローラ36及び滑りフィルム37の近辺で紙が詰まった場合、新聞捌き機構30の上流ベルト31及び下流ベルト32(搬送ローラ38a、38bを含む)の動作を停止するだけでなく、丁合・中入れ装置100の動作全体を止めることが好適である。そして、例えば手動で、新聞捌き機構30に詰まりを生じさせた新聞Pを抜きとる。このとき、紙捌きローラ36を、下流ベルト32の上面32aの第1の搬送方向とは反対に回転させる。傾斜ガイド34には、第2の傾斜面34bが形成されている。そして、傾斜ガイド34の下端34cは、鈍形状に形成されている。このため、詰まりを生じた新聞Pを、上流ベルト31の上面31aと傾斜ガイド34の下端34cとの間を通して抜き取る際に、その抜き取られる新聞Pが傾斜ガイド34に引っかかるのが抑制される。
上述した実施形態では、紙捌きユニット33、すなわち、傾斜ガイド34、紙捌きローラ36、滑りフィルム37が下側に付勢されている例について説明した。新聞Pの厚さに応じて、紙捌きローラ36、滑りフィルム37の下端37bの位置を固定してもよい。また、新聞Pの厚さに応じて、傾斜ガイド34の下端34cの位置を固定してもよい。
上述した実施形態では、丁合・中入れ装置100が新聞捌き機構(紙葉類捌き機構)30を有する例について説明した。丁合機構を省いた中入れ装置に上述した新聞捌き機構(紙葉類捌き機構)30を適用することができることはもちろんである。なお、中入れ装置は、折り畳まれた複数組の新聞P等の紙葉類のそれぞれの間に、丁合された丁合束T等の紙葉類を挟むことができる装置である。
ここでは、紙葉類として新聞Pについて説明したが、冊子など他の紙葉類についても、上述した新聞捌き機構30と同様の構成を有する紙葉類搬送機構を用いることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
紙葉類搬送機構の一態様は、搬送面を有する搬送路と、傾斜ガイドとを有する。搬送面には、複数組の紙葉類が鉛直方向に重ねられて載置される。搬送路は、搬送面で複数組の紙葉類を第1の搬送方向に搬送する。傾斜ガイドは、搬送面のうち複数組の紙葉類が載置された部位よりも第1の搬送方向に沿って下流側にある。傾斜ガイドは、下端部が搬送面に当接される、又は、搬送面に対して上方に配置される。傾斜ガイドは、傾斜面を有する。前記第1の搬送面での前記第1の搬送方向への搬送により、前記複数組の紙葉類の前記端部が前記第1の傾斜面に当接されたとき、前記第1の傾斜面は、前記紙葉類の前記端部の位置を前記第1の搬送方向に沿ってずらすことが可能である。前記複数組の紙葉類の前記端部が前記第1の傾斜面に当接した状態で、前記第1の搬送面で前記複数組の紙葉類を前記第1の搬送方向に搬送させるとき、前記傾斜ガイドの前記第1の傾斜面が前記傾斜ガイドの重量による重力、又は、前記傾斜ガイドの重量による重力及び前記傾斜ガイドに負荷される下向きの付勢力に抗して、前記複数組の紙葉類の前記端部に押し退けられて、前記傾斜ガイドが前記第1の搬送方向に交差する上方に移動され、前記複数組の紙葉類のうち、少なくとも最下部の紙葉類が前記傾斜ガイドに対して下流側に搬送される。
紙葉類搬送機構の他の一態様は、搬送面を有する搬送路と、紙捌きローラと、弾性変形可能なフィルムとを有する。搬送面には、複数組の紙葉類が鉛直方向に重ねられて載置される。搬送路は、搬送面で複数組の紙葉類を第1の搬送方向に搬送する。紙捌きローラは、搬送面よりも上方の位置に第1の搬送方向と直交する方向に中心軸がある。紙捌きローラは、第1の搬送方向への回転が防止されている。フィルムは、紙捌きローラに対して第1の搬送方向の上流で接触する。紙捌きローラは、前記紙捌きローラの下端と搬送面との間意の距離が前記複数組の紙葉類の1部の厚さよりも大きく、2部の厚さよりも小さい状態に調整可能である。搬送面の第1の搬送方向に沿って下流側から上流側を見たとき、フィルムの下端は、紙捌きローラの下端により隠れる位置にあり、かつ、前記フィルムの幅方向の1対の外縁に対して、前記紙捌きローラの下端の幅方向端部が露出する。前記搬送面での前記第1の搬送方向への搬送により、前記複数組の紙葉類のうち最下部の紙葉類が前記フィルム及び前記紙捌きローラの下側を通過しているとき、前記フィルムは、前記紙捌きローラの中心軸よりも下側の位置で前記紙捌きローラの外周面に当接し、前記複数組の紙葉類のうち下から2番目の紙葉類は、前記紙捌きローラの前記下端、及び、前記下端の幅方向端部の3点で接触し得る。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下、出願時特許請求の範囲の内容を付記する。
[付記]
[付記1]
複数組の紙葉類が鉛直方向に重ねられて載置される第1の搬送面を有し、前記第1の搬送面で前記複数組の紙葉類を第1の搬送方向に搬送する第1の搬送路と、
前記第1の搬送面のうち前記複数組の紙葉類が載置された部位よりも前記第1の搬送方向に沿って下流側にあり、前記第1の搬送面に当接される、又は、前記第1の搬送面に対して上方に配置される傾斜ガイドと
を備え、
前記傾斜ガイドは、前記第1の搬送面の前記第1の搬送方向に向かうにつれて上側から下側に向かって傾斜し、前記複数組の紙葉類の前記第1の搬送方向の下流側の端部が当接可能な第1の傾斜面を有し、
前記傾斜ガイドは、前記第1の傾斜面を前記第1の搬送方向に交差する上方に移動可能であり、
前記複数組の紙葉類の前記端部が前記第1の傾斜面に当接されたとき、前記第1の傾斜面は、前記紙葉類の前記端部の位置を前記第1の搬送方向に沿ってずらすことが可能である、紙葉類搬送機構。
[付記2]
前記傾斜ガイドは、前記傾斜ガイドの前記第1の傾斜面の下端から前記第1の搬送路の前記第1の搬送方向に向かうにつれて下側から上側に向かって傾斜する第2の傾斜面を有する、付記1に記載の紙葉類搬送機構。
[付記3]
前記第1の搬送路に対し前記第1の搬送方向に沿って下流側に隣接し、前記第1の搬送面に平行な第2の搬送面を有し、前記第1の搬送面から受け渡された前記紙葉類を前記第2の搬送面で前記第1の搬送方向に搬送可能な第2の搬送路と、
前記第2の搬送面よりも上方の位置に前記第1の搬送方向と直交する方向に中心軸があり、前記第1の搬送方向への回転が防止された紙捌きローラと、
前記紙捌きローラに対して上流に隣接し、弾性変形可能なフィルムと
を有し、
前記紙捌きローラは、前記第2の搬送面に対する上下方向の位置を調整可能であり、 前記第2の搬送面の前記第1の搬送方向に沿って下流側から上流側を見たとき、前記第1の搬送方向に直交する前記フィルムの幅方向の1対の外縁は、前記紙捌きローラにより隠れる位置にある、付記1もしくは付記2に記載の紙葉類搬送機構。
[付記4]
前記第2の搬送面の前記第1の搬送方向に沿って下流側から上流側を見たとき、前記フィルムの下端は、前記紙捌きローラにより隠れる位置にある、付記3に記載の紙葉類搬送機構。
[付記5]
複数組の紙葉類が鉛直方向に重ねられて載置される搬送面を有し、前記搬送面で前記複数組の紙葉類を第1の搬送方向に搬送する搬送路と、
前記搬送面よりも上方の位置に前記第1の搬送方向と直交する方向に中心軸があり、前記第1の搬送方向への回転が防止された紙捌きローラと、
前記紙捌きローラに対して前記第1の搬送方向の上流に隣接し、弾性変形可能なフィルムと
を有し、
前記紙捌きローラは、前記搬送面に対する上下方向の位置を調整可能であり、
前記搬送面の前記第1の搬送方向に沿って下流側から上流側を見たとき、前記第1の搬送方向に直交する前記フィルムの幅方向の1対の外縁は、前記紙捌きローラにより隠れる位置にあり、かつ、前記フィルムの下端は、前記紙捌きローラにより隠れる位置にある、紙葉類搬送機構。
[付記6]
前記紙捌きローラの外周面は、ゴム材で形成され、
前記紙捌きローラの外周面には、前記第1の搬送方向と直交する向きに延設された複数の溝が形成されている、付記3ないし付記5のいずれか1に記載の紙葉類搬送機構。