JP2021003065A - ブドウ果皮の剥離方法 - Google Patents

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【課題】ブドウ果実の果皮を果肉の風味を維持して安全に剥離できるブドウ果実の果皮剥離方法を提供する。【解決手段】表面がワックス層で覆われた果皮を有するブドウ果実の果皮をアルカリ処理することなく剥離する際に、複数の前記ブドウ果実をポリグリセリン脂肪酸エステル含有水に浸漬し、前記ブドウ果実の少なくとも一部の果皮に裂傷を生じさせる浸漬処理を施した後、熱水に浸漬して前記果皮の裂傷を拡張する裂傷拡張処理を施し、次いで、前記裂傷拡張処理したブドウ果実を、前記果皮を形成するペクチン及び/又はセルロースを分解する酵素を含有する酵素含有液に浸漬し、前記果皮を果肉から剥離する酵素剥離処理を施す。【選択図】なし

Description

本発明は、ブドウ果実の果皮を果肉の風味を損ねることなく安全に且つ簡単に剥離して粒状のブドウ果肉を得ることのできるブドウ果皮の剥離方法に関するものである。
ケーキ等の菓子に利用される粒状のブドウ果肉は、ブドウ果実の果皮を剥離して得ている。従来、ブドウ果実の果皮の剥離は、工業的には、80℃以上の苛性ソーダ溶液にブドウ果実を浸漬処理することによって行っていた。しかし、高温の苛性ソーダ溶液へのブドウ果実の浸漬作業は、作業者にとって危険を伴う作業である。しかも、得られた粒状のブドウ果肉に微量の苛性ソーダ成分が残存していても、ブドウ果肉の風味を著しく損ねるため、苛性ソーダ溶液に浸漬処理して得た粒状のブドウ果肉に十分な洗浄を行うことが必要となる。しかしながら、洗浄により風味成分が洗い流されて洗浄後の粒状のブドウ果肉の風味が低下するおそれがある。また、粒状のブドウ果肉の生産コストも高くなる。
このような苛性ソーダを使用せずにブドウ果皮の剥離方法として、下記特許文献1には、ブドウ果実に対して、グリセリン脂肪酸エステルとレシチンからなる群から選択される少なくとも1種類の界面活性剤含有溶液に浸漬する界面活性剤処理と、炭酸水素ナトリム水溶液に浸漬するアルカリ処理とを独立かつ連続して行う方法が提案されている。
特許第6034912号公報
前述した特許文献1記載の方法によれば、界面活性剤処理によりブドウ果皮に細かな傷を生じさせ、この傷をアルカリ処理により更に拡大して開裂状とすることにより、流水処理やエア処理で果皮を粒状の果肉から簡単に剥離できるとされている。また、アルカリ処理では、苛性ソーダよりも人体に対する危険性の小さい炭酸水素ナトリウム(重曹)を用いることができ、安全にブドウ果皮を剥離できる。
しかし、本発明者等の検討によれば、炭酸水素ナトリウム(重曹)を用いたアルカリ処理を施している以上、得られた粒状のブドウ果肉の洗浄を十分に行うことが必要である。微量の炭酸水素ナトリムが残存しているブドウ果肉は、炭酸水素ナトリムの呈する苦みにより風味が損なわれるからである。一方、粒状のブドウ果肉に微量の炭酸水素ナトリムが残存しないように十分に洗浄すると、果肉の風味成分が洗い流されて風味が低下するおそれがある。また、このように果肉の洗浄を過剰に行うと、最終的に得られる粒状のブドウ果肉の生産コストが高くなる。
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、ブドウ果実の果皮を果肉の風味を維持して安全に剥離できるブドウ果実の果皮剥離方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた本発明に係るブドウ果実の果皮剥離方法は、表面がワックス層で覆われた果皮を有するブドウ果実の果皮をアルカリ処理することなく剥離する際に、複数の前記ブドウ果実をポリグリセリン脂肪酸エステル含有水に浸漬し、前記ブドウ果実の少なくとも一部の果皮に裂傷を生じさせる浸漬処理を施した後、熱水に浸漬して前記果皮の裂傷を拡張する裂傷拡張処理を施し、次いで、前記裂傷拡張処理したブドウ果実を、前記果皮を形成するペクチン及び/又はセルロースを分解する酵素を含有する酵素含有液に浸漬し、前記果皮を果肉から剥離する酵素剥離処理を施すことを特徴とするものである。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、Hydrophilic Lipophilic Balance値(HLB価)が12〜18のものを好適に用いることができる。
前記浸漬処理では、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.1〜5.0質量%で且つ温度が0〜40℃の含有水に、前記ブドウ果実を前記含有水に30分〜24時間浸漬することが好ましい。
前記裂傷拡張処理では、80℃以上の熱水に前記浸漬処理を施したブドウ果実を5秒〜90秒浸漬することが好ましい。
前記酵素として、プロトペクチナーゼ、セルラーゼ及びヘミセルラーゼを主たる組成とする複合酵素を好適に用いることができる。
前記酵素剥離処理では、前記浸漬処理を施した前記ブドウ果実を、前記酵素の含有量が0.01〜1.0質量%で且つ温度が0〜60℃の前記酵素含有液に10分〜20時間浸漬することが好ましい。
前記ブドウ果実として、巨峰又は巨峰近縁種を好適に用いることができる。
本発明に係るブドウ果実の果皮剥離方法によれば、酵素剥離処理を終了したブドウ果肉に簡単な洗浄を施すことで足り、過剰な洗浄で風味成分が洗い流されることを防止でき、良好な風味を呈する粒状のブドウ果肉を安価に得ることができる。また、苛性ソーダ等のアルカリ成分を用いたアルカリ処理を施すことを要しないから、粒状のブドウ果肉を安全に得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
本発明の対象とするブドウ果実は、房及び果軸から取り外された状態のものであって、品種には特に制限はないが、果皮を剥いて食することが多い品種、例えば果皮が黒色系の品種が好ましく、特に巨峰又は巨峰近縁種が好ましい。巨峰近縁種としては、ピオーネ、藤稔、ナガノパープルを挙げることができる。また、ブドウ果実は、果梗部(へた)に青みや赤みが残る未熟状態であっても、全体が黒色となって完熟状態であってもよい。
ブドウ果実は、果肉を包み込む果皮の表面がワックス層で覆われている。このようなブドウ果実に対し、本発明では、複数のブドウ果実をポリグリセリン脂肪酸エステルの含有水に浸漬する浸漬処理を施す。この浸漬処理により、浸漬した複数のブドウ果実の少なくとも一部の果皮に裂傷を生じさせることができる。この浸漬処理では、完熟状態のブドウ果実の果皮に裂傷が生じ易い。一方、未熟状態のブドウ果実の果皮には、この浸漬処理で裂傷が生じ難い傾向があるが、浸漬処理した複数のブドウ果実のうち、一部に裂傷が生じていればよい。
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルには、ジグリセリン脂肪酸エステルを含む。これらポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えばジグリセリンカプリレート、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンミリスチレート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレート、ジグリセリンベヘネート、ジグリセリンカプレート、ポリグルセリンカプリレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンミリスチレート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンベヘネート、ポリグリセリンカプレート、ポリグリセリンポリリシノレート等が挙げられる。具体的には、ポエムDL−100、ポエムDM−100、ポエムDS−100A、ポエムDO−100V、リケマールS−100、リケマールB−100、リケマールL−71−D、リケマールO−71−D(E)、ポエムJ−4081V、ポエムJ−0021、ポエムJ−0081HV、ポエムJ−0381V、ポエムPR−100(いずれも商品名:理研ビタミン株式会社製)、リョートー(登録商標)ポリグリエステルCE−19D、リョートー(登録商標)ポリグリエステルL−10D、リョートー(登録商標)ポリグリエステルL−7D、リョートー(登録商標)ポリグリエステルSWA−10D(いずれも商品名:三菱ケミカルフーズ株式会社製)、サンソフトQ−14S、サンソフトQ−12S(いずれも商品名:太陽化学株式会社製)等が挙げられる。
本発明で採用するポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、Hydrophilic Lipophilic Balance値(HLB値)が12〜18のものが好ましい。このHLB値は、HLB=20(1−S/N)の式で計算される値である。式中、Sはエステルのけん化値であり、Nは脂肪酸中和値である。
HLB値が12〜18のポリグリセリン脂肪酸エステルは、具体的にリョートー(登録商標)ポリグリエステルSWA―15D(商品名:三菱ケミカルフーズ株式会社製)、リョートー(登録商標)ポリグリエステルSWA―10D(商品名:三菱ケミカルフーズ株式会社製)、リョートー(登録商標)ポリグリエステルSFS―10DB(商品名:三菱ケミカルフーズ株式会社製)、リョートー(登録商標)ポリグリエステルO―15D(商品名:三菱ケミカルフーズ株式会社製)、リョートー(登録商標)ポリグリエステルM―10D(商品名:三菱ケミカルフーズ株式会社製)、リョートー(登録商標)ポリグリエステルM―7D(商品名:三菱ケミカルフーズ株式会社製)、リョートー(登録商標)ポリグリエステルCE―19D(商品名:三菱ケミカルフーズ株式会社製)、リョートー(登録商標)ポリグリエステルL―10D(商品名:三菱ケミカルフーズ株式会社製)、リョートー(登録商標)ポリグリエステルL―7D(商品名:三菱ケミカルフーズ株式会社製)、SYグリスターMSW−7S(商品名:阪本薬品工業株式会社製)、SYグリスターMO−7S(商品名:阪本薬品工業株式会社製)、SYグリスターMO−5S(商品名:阪本薬品工業株式会社製)、SYグリスターMCA−750(商品名:阪本薬品工業株式会社製)、SYグリスターML−750(商品名:阪本薬品工業株式会社製)、SYグリスターML−500(商品名:阪本薬品工業株式会社製)、SYグリスターMM−750(商品名:阪本薬品工業株式会社製)、ポエムJ−0021(商品名:理研ビタミン株式会社製)、ポエムJ−0081HV(商品名:理研ビタミン株式会社製)、NIKKOL Hexaglyn 1−L(商品名:日光ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL DECAGLYN 1−L(商品名:日光ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL DECAGLYN 1−M(商品名:日光ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL DECAGLYN 1−OV(商品名:日光ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL DECAGLYN 1−SV(商品名:日光ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL DECAGLYN 1−50SV(商品名:日光ケミカルズ株式会社製)、サンソフトQ−12S(商品名:太陽化学株式会社製)、サンソフトQ−14S(商品名:太陽化学株式会社製)等を挙げることができる。
これらポリグリセリン脂肪酸エステルのうちでは、ポリグリセリンラウレートであって、HLB値が17であるリョートー(登録商標)ポリグリエステルL−7D(商品名:三菱ケミカルフーズ株式会社製)、HLB値が15.5であるサンソフトQ−12S(商品名:太陽化学株式会社製)、或いはポリグリセリンモノミリスチレートであって、HLB値が14.5であるサンソフトQ−14S(商品名:太陽化学株式会社製)が特に好ましい。
このようなポリグリセリン脂肪酸エステルの含有水に浸漬する浸漬処理は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.1〜5.0質量%(好ましくは0.1〜3.0質量%、更に好ましくは0.2〜1.0質量%)で且つ温度が0〜40℃(好ましくは5〜30℃)の含有水に、ブドウ果実を30分〜24時間(好ましくは8〜20時間、更に好ましくは10〜18時間)浸漬することが好ましい。
この浸漬処理により、複数のブドウ果実の少なくとも一部の果皮に裂傷が生じる。この裂傷は、含有水中の親水性を有するポリグリセリン脂肪酸エステルによりワックス層の少なくとも一部が親水部となり、含有水との浸透圧の関係から、含有水中の水分が親水部を介して果肉内に吸収されたことにより、果肉が膨張して生じたものと推察される。
果皮に生じる裂傷は、果皮全体が黒色となって完熟状態のブドウ果実では生じ易く、果梗部に青みや赤みが残る未熟状態のブドウ果実では生じ難い傾向があるが、一部のブドウ果実の果皮に裂傷が生じていれば問題ない。果皮に裂傷が肉眼で視認できないブドウ果実であっても、微細な裂傷が果皮に生じているものと推察される。
このような浸漬処理により、果皮に目視可能な裂傷若しくは微細な裂傷が生じたブドウ果実を熱水に浸漬することにより、果肉の膨張並びに果皮の収縮を利用し、果皮に生じていた裂傷を拡張することができる。この裂傷拡張処理では、80℃以上(好ましくは90℃以上、更に好ましくは沸騰状態)の熱水に、5秒〜90秒(好ましくは10秒〜60秒、更に好ましくは15秒〜45秒)浸漬することが好ましい。
裂傷拡張処理を施して果皮の裂傷を拡張したブドウ果実を、必要に応じて冷却した後、果皮を形成するペクチン及び/又はセルロースを分解する酵素を含有する酵素含有液に浸漬する酵素浸漬処理を施す。この酵素浸漬処理により、果皮を果肉から簡単に剥離できる。酵素が果皮を分解しつつ、果皮の裂傷部分から侵入した酵素が果皮直下の果肉の一部も分解することにより、果皮を果肉から簡単に剥離できるものと推察される。
果皮を形成するペクチン及び/又はセルロースを分解する酵素のうち、ペクチンを分解する酵素としては、プロトペクチンからのペクチン生成を触媒するプロトペクチナーゼ、ペクチンを加水分解してペクチン酸を生成する反応を触媒するペクチンエステラーゼ(ペクターゼ)、ペクチン酸の加水分解に作用するペクチンポリガラクツロナーゼ(ペクチナーゼ)等を挙げることができる。このペクチナーゼは、高等植物の細胞壁に含まれているペクチンを分解する酵素群の総称であり、主なものとして次の3種の酵素に分類される。ポリガラクツロナーゼ(ペクチン酸を加水分解する)、ペクチンリアーゼ(ペクチン酸を脱離反応で分解する)、ペクチンエステラーゼ(ペクチンのメチルエステル結合を分解する)等が挙げられる。
セルロースを分解する酵素としては、セルラーゼやヘミセルラーゼを挙げることができる。セルラーゼは、一種類の酵素ではなく、数種類のセルラーゼの総称であり、これらの酵素群が協調してセルロースを分解する。天然セルロースがグルコースにまで分解される機作には、次の3種類のセルラーゼが関与していると考えられている。Cx-酵素(CMCase)非結晶構造のセルロースにランダムに作用してポリマーを加水分解し、セロデキストリン、セロビオース、グルコースを生成する)、C1-酵素(アビセラーゼ)(結晶構造のセルロースに作用して非還元末端からセロビオース単位で切断する作用)、β-グルコシダーゼ(セロビオースをグルコースに分解)等が挙げられる。また、 ヘミセルラーゼは、ヘミセルロースを加水分解する酵素の総称である。ヘミセルロースとは、植物組織からアルカリ抽出される多糖類の総称であり、主な多糖類として、キシラン、アラビノキシラン、キシログルカン及びグルコマンナンがある。これらの多糖類を加水分解する酵素を一般的にヘミセルラーゼと称する。代表的な酵素名として、キシラナーゼ、ガラクタナーゼがあげられる。
本発明では、酵素として、ペクチンを選択的に分解する酵素やセルロースを選択的に分解する酵素を単独で用いてもよいが、ペクチン及びセルロースの両者を分解する酵素を用いることが好ましい。この両者を分解する酵素としては、プロトペクチナーゼ、セルラーゼ及びヘミセルラーゼを主たる組成とする複合酵素を好適に用いることができる。例えば、協和化成株式会社製のアクレモセルラーゼKM(商品名)、IGAバイオリサーチ株式会社製のプロトペクチナーゼIGA−C(商品名)を挙げることができる。
尚、アクレモセルラーゼKM(商品名)は、アクレモニウム属菌が産生したアクレモニウムセルラーゼを含有する酵素である。
このような酵素を用いた酵素浸漬処理では、少なくとも一部の果皮に開裂が生じたブドウ果実を、酵素の含有量が0.01〜1.0質量%(好ましくは0.03〜0.5質量%、更に好ましくは0.05〜0.25質量%)で且つ温度が0〜60℃(好ましくは15〜40℃、更に好ましくは20〜30℃)の酵素含有液に10分〜20時間(好ましくは30分〜5時間、更に好ましくは1時間〜3時間)浸漬する。
この酵素浸漬処理を終了した酵素含有液には、粒状のブドウ果肉と果皮とが併存するが、シャワー等の流水処理やエアーを吹き付けるエアー処理、ラバーやブラシで軽く擦る等の簡単な処理で両者を分離できる。分離された粒状のブドウ果肉は、その風味を損ねない程度に簡単な流水洗浄を施すことにより、ブドウ果肉に付着している酵素をある程度除去できる。この状態のブドウ果実は直ちに食することができる。
但し、流水洗浄で酵素をある程度除去したブドウ果肉には、微量の酵素が付着しており、放置するとブドウ果肉が褐変したり果実の分解が進行することがあるから、酵素失活処理を施すことが好ましい。酵素失活処理は、ブドウ果肉を75〜86℃に加熱処理すること、或いは、ブドウ果肉を水に浸漬して、水が沸騰するまで加熱処理することにより行うことができる。
尚、ブドウ果肉をシロップ漬等の二次加工品とする場合、ブドウ果肉を浸漬したシロップ液等に施す加熱殺菌処理において酵素失活処理を兼ねてもよい。
このように本発明に係るブドウ果皮の剥離方法は、アルカリ処理を採用しなかったので、安全に且つブドウ果実の風味を十分に有している粒状のブドウ果肉を得ることができる。得られた粒状のブドウ果肉は、そのまま或いはシロップ漬にして菓子等の材料に提供できる。
以下、本発明を適用する実施例と、本発明適用外の比較例とを記載する。
(実施例1)
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてのサンソフトQ−14S(商品名:太陽化学株式会社製)を60℃程度のお湯で一旦溶解し、規定濃度まで水で希釈して水溶液とした。この水溶液中のポリグリセリン脂肪酸エステルの濃度は0.3質量%である。この水溶液にブドウ果実(巨峰)を浸漬し、10℃以下に保持されている冷蔵庫内に一晩(概ね16時間)載置して浸漬処理を施した。このような浸漬処理を施したブドウ果実は、その一部に果皮の裂傷が生じていた。
水溶液から取り出したブドウ果実を沸騰浴中に30秒間浸漬して裂傷拡張処理を施した後、酵素含有量0.1質量%の酵素液(使用酵素:協和化成株式会社製のアクレモセルラーゼKM(商品名))に浸漬し、液温を25℃に保持しつつ2時間静置して酵素浸漬処理を施した。酵素浸漬処理が終了したブドウ果実は、果皮に大きな開裂が生じているものと、外観上、果皮に開裂が生じていないものとが混在していた。このようなブドウ果実は流水中で果皮を剥離・除去する流水洗浄を施して、粒状のブドウ果肉を得た。流水洗浄を施しても外観上果皮の開裂がないブドウ果実については、果皮をつまむ程度の作業により簡単に果皮の除去が可能であった。得られた粒状のブドウ果肉は、ブドウ特有の風味、食感を有するものであった。
(比較例1)
水酸化ナトリウムを水に添加して0.5質量%に調整した水酸化ナトリウム溶液を沸騰し、ブドウ果実(巨峰)を添加して15秒間加熱処理した後、水酸化ナトリウム溶液から取り出したブドウ果実を流水洗浄して水酸化ナトリウム成分を除去した。このような水酸化ナトリウム処理を施した多くのブドウ果実に裂傷が確認された。次いで、水酸化ナトリウム処理を施したブドウ果実を、酵素含有量0.1質量%の酵素液(使用酵素:協和化成株式会社製のアクレモセルラーゼKM(商品名))に浸漬し、2時間静置する酵素浸漬処理を施した。その後、酵素浸漬処理を施したブドウ果実に流水洗浄を施して、果皮を剥離・除去してブドウ果肉を得た。得られたブドウ果肉は、水酸化ナトリウム処理によりできた裂傷箇所からの果肉崩壊が顕著であり、ブドウ本来の球形を有していないものが多く、且つブドウ特有の香りの減少や食感の低下があった。
(比較例2)
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてのポエムJ−0081HV(商品名:理研ビタミン株式会社製)を加温した水に溶解し、ポリグリセリン脂肪酸エステルの濃度が2.0質量%の水溶液に調整した。この水溶液にブドウ果実(巨峰)を浸漬し、50℃程度に保持し70分浸漬する浸漬処理を施した。次いで、浸漬処理を施したブドウ果実を、重曹(炭酸水素ナトリウム)0.1質量%濃度の沸騰水溶液中に90秒間浸漬する重曹浸漬処理を施した。重曹浸漬処理を施したブドウ果実を流水中で粗熱を取った。重曹浸漬処理を施したブドウ果実は、果皮に開裂が生じているものと、外観上、果皮に開裂が生じていないものとが混在していた。果皮に開裂が生じているブドウ果実は流水洗浄により剥皮ができ、ブドウ果肉を得ることができた。得られたブドウ果肉はブドウ本来の球形を有していたが、ブドウ特有の香りの減少や食感の低下があった。一方、果皮に開裂が生じてないブドウ果実は、手作業で剥皮を行ったが、果皮と果肉の離れ(実離れ)が悪い部分があり、簡単に剥皮できなかった。
本発明のブドウ果皮の剥離方法で得られた粒状のブドウ果肉は、菓子等の材料に用いることができる。

Claims (7)

  1. 表面がワックス層で覆われた果皮を有するブドウ果実の果皮をアルカリ処理することなく剥離する際に、
    複数の前記ブドウ果実をポリグリセリン脂肪酸エステル含有水に浸漬し、前記ブドウ果実の少なくとも一部の果皮に裂傷を生じさせる浸漬処理を施した後、熱水に浸漬して前記果皮の裂傷を拡張する裂傷拡張処理を施し、
    次いで、前記裂傷拡張処理したブドウ果実を、前記果皮を形成するペクチン及び/又はセルロースを分解する酵素を含有する酵素含有液に浸漬し、前記果皮を果肉から剥離する酵素剥離処理を施すことを特徴とするブドウ果皮の剥離方法。
  2. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、Hydrophilic Lipophilic Balance値(HLB値)が12〜18のものを用いる請求項1に記載のブドウ果皮の剥離方法。
  3. 前記浸漬処理では、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.1〜5.0質量%で且つ温度が0〜40℃の含有水に、前記ブドウ果実を30分〜24時間浸漬する請求項1又は請求項2に記載のブドウ果皮の剥離方法。
  4. 前記裂傷拡張処理では、80℃以上の熱水に、前記浸漬処理を施したブドウ果実を5秒〜90秒浸漬する請求項1〜3のいずれかに記載のブドウ果皮の剥離方法。
  5. 前記酵素としては、プロトペクチナーゼ、セルラーゼ及びヘミセルラーゼを主たる組成とする複合酵素を用いる請求項1〜4のいずれか一項に記載のブドウ果皮の剥離方法。
  6. 前記酵素剥離処理では、前記浸漬処理を施した前記ブドウ果実を、前記酵素の含有量が0.01〜1.0質量%で且つ温度が0〜60℃の前記酵素含有液に10分〜20時間浸漬する請求項1〜5のいずれか一項に記載のブドウ果皮剥離方法。
  7. 前記ブドウ果実として、巨峰又は巨峰近縁種を用いる請求項1〜6のいずれか一項に記載のブドウ果皮の剥離方法。

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