JP2021001148A - 月経前又は月経中の不眠症治療剤 - Google Patents

月経前又は月経中の不眠症治療剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、月経前又は月経時における不眠に対して有効な治療剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の加味逍遙散エキスを含む月経前又は月経中の不眠症治療剤によると、月経前の不眠及び月経時における不眠の両方に対して有効な治療剤が提供される。例えば、月経前だけでなく月経中においても睡眠時間に対する覚醒時間の割合を減少させることができ、更に、月経中において睡眠時間に対する深睡眠時間の割合を増加させることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、月経周期変動による不眠を改善する、月経前又は月経中の不眠症治療剤に関する。
女性の体調は、女性ホルモンの影響を強く受ける。生殖期の女性では、女性ホルモンであるエストロゲン及びプロゲステロンの推移による特有の月経周期がある。特に月経前の高体温期においては、プロゲステロンの分泌量が増加し、エストロゲンは排卵期ほど高くはないが78〜252pg/ml程度は分泌されており(非特許文献1、非特許文献2)、この特有のホルモン状態に起因して、月経前症候群(PMS)による不調を訴える女性が多い。PMSの主要な症状の1つとして月経前不眠症が挙げられる。そして、月経前不眠症の原因には、プロゲステロンによる体温上昇作用が関与している(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。また、直腸温が下降している位相において睡眠が起こりやすいことが知られている(非特許文献6)ところ、月経期、卵胞期、黄体期前期及び黄体期後期のうち、直腸温による体温リズムは黄体期後期で振幅が小さくなる(非特許文献5)ため、睡眠が起こりやすい下降位相が十分に得られない。このため、月経前の特に黄体期後期においては不眠症状が顕著になる。月経前不眠症に対する薬物療法としては、少量の超短時間−短時間型睡眠薬の処方がなされている(非特許文献3)が、月経前不眠症は、月経の開始と共に解消される。
一方、女性が更年期に差し掛かると、エストロゲン及びプロゲステロンが減少し、エストロゲンについては閉経後には39pg/ml以下に低下する(非特許文献1、非特許文献2)。更年期においては、このような女性ホルモンの分泌量が低下する特有のホルモン状態に起因して、不定愁訴を訴える女性が多い。このような不定愁訴の主要な症状の1つとして不眠症が挙げられる。そして、更年期における不眠症の原因には、エストロゲン量の低下が関与している(非特許文献3、非特許文献5、非特許文献7)。更年期における不眠症に対する薬物療法としては、少量のエストロゲン補充療法、当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸などの漢方薬の服用(非特許文献3、非特許文献8)が挙げられる。この中でも、加味逍遙散の具体的な作用としては、卵巣摘出ラットにおける血中エストロゲンをわずかに増加させる作用があることが報告されている(非特許文献9)。つまり、加味逍遙散が更年期における睡眠障害を改善する作用は、エストロゲンを増加させることによるものと考えられている。
産科と婦人科、2006年、1号、133−140 臨床検査事業、Vol.13−05 C−02、平成25年2月 バイオメカニズム学会誌、Vol.29,No.4、2005、205−209 ねむりと医療、Vol.4,No.1、2011、13−16 診断と治療、Vol.92,No.7、2004(115)、1207−1212 日薬理誌、129、400〜403(2007) 保険医療科学、2015、Vol.64,No.1、33−40 沖縄医報、Vol.47,No.2、2011、87−90 Phil漢方、No.53、2015、12−15
前述の通り、加味逍遙散は更年期の不眠に対して用いられてきたが、月経前の不眠に対して特別には用いられてこなかった。これは、更年期の不眠症の原因(エストロゲンの低減)と月経前の不眠症の原因(プロゲステロンの増加)とが本質的に異なっていること、及び、更年期の不眠に対して用いられてきた加味逍遙散がエストロゲン量をわずかに増加させる作用により不眠を解消する作用機序を有することに対して、月経前のエストロゲン値がそもそも更年期のエストロゲン値のように低値でないことから、更年期の不眠に適用される加味逍遙散が月経前の不眠に対して奏功するとの合理的な認識が無かったためである。
そこで、本発明は、月経前の不眠、特に不眠が顕著となる黄体期後期における不眠に対して有効な治療剤を提供することを目的とする。
また、月経前においては睡眠時間に対する覚醒時間の割合が特に多いため不眠を認識しやすい。一方で、月経時においては、不眠症の原因であるプロゲステロンが激減するため不眠が自然に解消されると認識されている。しかしながら本発明者が月経周期変動による睡眠の質を調査したところ、月経時においては、睡眠時間に対する深睡眠時間の割合が短いことで睡眠の質が低下しており、この変化に気づかず不眠になっていることを見出した。
そこで、本発明は、月経時における不眠に対して有効な治療剤を提供することも目的とする。
本発明者は、月経前の不眠及び月経時における不眠の両方に対して加味逍遙散が有効であることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 加味逍遙散エキスを含む、月経前又は月経中の不眠症治療剤。
項2. 前記加味逍遙散エキスが、トウキ、シャクヤク、ジュツ、ブクリョウ、サイコ、ボタンピ、サンシシ、カンゾウ、ショウキョウ、及びハッカの混合物の抽出エキスである、項1に記載の不眠症治療剤。
項3. 月経前又は月経中において睡眠時間に対する覚醒時間を減少させる、項1又は2に記載の不眠症治療剤。
項4. 月経中において睡眠時間に対する深睡眠時間を増加させる、項1〜3のいずれかに記載の不眠症治療剤。
本発明によれば、月経前の不眠、特に不眠が顕著となる黄体期後期における不眠と、月経時における不眠との両方に対して有効な治療剤が提供される。例えば、月経前だけでなく月経中においても睡眠時間に対する覚醒時間の割合を減少させることができ、更に、月経中において睡眠時間に対する深睡眠時間の割合を増加させることができる。
本発明の不眠治療剤を服用していない月経周期1周目(コントロール)の、睡眠時間、睡眠時間、睡眠時間に対する覚醒時間の割合、睡眠時間に対する浅睡眠時間の割合、及び睡眠時間に対する深睡眠時間の割合を示す。 本発明の不眠治療剤を服用していない場合(コントロール)及び本発明の不眠治療剤を服用した場合それぞれについて、黄体期後期及び月経期の、睡眠時間、睡眠時間に対する覚醒時間の割合、睡眠時間に対する浅睡眠時間の割合、及び睡眠時間に対する深睡眠時間の割合を示す。
不眠症治療剤
本発明の不眠症治療剤は、加味逍遙散エキスを含むことを特徴とする。加味逍遙散エキスの具体的な組成は、原典に基づいていれば特に限定されない。具体的には、加味逍遙散エキスとして、トウキ、シャクヤク、ジュツ、ブクリョウ、サイコ、ボタンピ、サンシシ、カンゾウ、ショウキョウ、及びハッカの混合物の抽出エキスが挙げられる。
加味逍遙散エキスの一例として、トウキ、シャクヤク、ソウジュツ、ブクリョウ、サイコ、ボタンピ、サンシシ、カンゾウ、ショウキョウ、及びハッカの混合物の抽出エキスが挙げられる。これら10種類の生薬の重量混合比(トウキ:シャクヤク:ソウジュツ:ブクリョウ:サイコ:ボタンピ:サンシシ:カンゾウ:ショウキョウ:ハッカ)としては、例えば、2.0〜4.0:2.0〜4.0:2.0〜4.0:2.0〜4.0:2.0〜4.0:1.0〜3.0:1.0〜3.0:0.5〜3.0:0.5〜3.0:1.0〜2.0が挙げられ、好ましくは2.5〜3.5:2.5〜3.5:2.5〜3.5:2.5〜3.5:2.5〜3.5:1.5〜2.5:1.5〜2.5:1.5〜2.5:0.5〜1.5:1.0〜1.5が挙げられる。また、加味逍遙散エキスの他の例として、上述のソウジュツの代わりにビャクジュツを組み合わせたもの(トウキ、シャクヤク、ビャクジュツ、ブクリョウ、サイコ、ボタンピ、サンシシ、カンゾウ、ショウキョウ、及びハッカの混合物の抽出エキス)も挙げられ、それらの生薬の重量混合比(トウキ:シャクヤク:ビャクジュツ:ブクリョウ:サイコ:ボタンピ:サンシシ:カンゾウ:ショウキョウ:及びハッカ)としても、上述と同様である。
上記の加味逍遙散エキスのうち、不眠症改善効果をより良好に得る観点から、トウキ、シャクヤク、ソウジュツ、ブクリョウ、サイコ、ボタンピ、サンシシ、カンゾウ、ショウキョウ、及びハッカの混合物の抽出エキスであることが好ましく、これらの生薬の重量混合比(トウキ:シャクヤク:ソウジュツ:ブクリョウ:サイコ:ボタンピ:サンシシ:カンゾウ:ショウキョウ:ハッカ)としては、2.8〜3.2:2.8〜3.2:2.8〜3.2:2.8〜3.2:2.8〜3.2:1.8〜2.2:1.8〜2.2:1.8〜2.2:0.8〜1.2:1.0〜1.2であることが更に好ましく、3:3:3:3:3:2:2:2:1:1であることが特に好ましい。
加味逍遙散エキスは、上述の生薬混合物に対して抽出溶媒を用いて抽出処理することにより得ることができる。具体的には、加味逍遙散エキスの抽出処理に使用される抽出溶媒としては、例えば、水;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール;これらの混合液等の極性溶媒が挙げられ、不眠症改善効果をより良好に得る観点から、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール又はこれらの混合溶媒が挙げられ、不眠症改善効果をより一層良好に得る観点から、水が挙げられる。抽出に供される混合物中の各生薬の大きさは日本薬局方に定める細切程度とし、混合物に対して、約5〜20倍量の抽出溶媒を加え、80〜100℃程度で0.5〜3時間程度撹拌して抽出する方法が挙げられる。抽出後に、遠心分離、濾過等の固液分離に供して固形分を除去することによって得られた抽出液を濃縮したものであり、更に乾燥させたものであってもよい。
本発明の不眠症治療剤中の加味逍遙散エキスの含有量としては、発揮させる不眠症改善効果に応じて適宜調整することができ、例えば、乾燥エキス換算量で50〜80重量%、好ましくは60〜70重量%が挙げられる。
その他の成分
本発明の不眠症治療剤においては、上記加味逍遙散エキスの他に、更に製剤形態に応じた添加剤や基剤を含んでもよい。添加剤及び基剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、等張化剤、可塑剤、分散剤、乳化剤、溶解補助剤、湿潤化剤、安定化剤、懸濁化剤、粘着剤、コーティング剤、光沢化剤、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、低級アルコール類、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、矯味剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの添加剤及び基剤の含有量については、使用する添加剤及び基剤の種類、本発明の深部体温改善剤の製剤形態等に応じて適宜設定される。
添加剤及び基剤としては、具体的には、デンプン、乳糖(例えば乳糖水和物)、カルメロースカルシウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ハイドロタルサイト、無水リン酸水素カルシウム、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポピドンが挙げられ、好ましくは、乳糖(好ましくは乳糖水和物)、カルメロースカルシウム、軽質無水ケイ酸、及びステアリン酸マグネシウムが挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、上記の添加剤及び基剤の含有量については、使用する添加剤及び基剤の種類等に応じて適宜設定される。好ましくは、不眠症治療剤中において、乳糖の含有量(乳糖水和物換算量)としては0.1〜0.5重量%、カルメロースカルシウムの含有量としては5〜10重量%、軽質無水ケイ酸の含有量としては20〜30重量%、ステアリン酸マグネシウムの含有量としては0.5〜1重量%が挙げられる。
また、本発明の不眠症治療剤は、必要に応じて、上記生薬成分以外の他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、制酸剤、健胃剤、消化剤、整腸剤、鎮痙剤、粘膜修復剤、抗炎症剤、鎮吐剤、鎮咳剤、去痰剤、消炎酵素剤、鎮静催眠剤、抗ヒスタミン剤、カフェイン類、強心利尿剤、抗菌剤、血管収縮剤、血管拡張剤、局所麻酔剤、他の生薬末及び/又は他の生薬エキス、ビタミン類等が挙げられる。これらの栄養成分や薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する成分の種類等に応じて適宜設定される。
製剤形態
本発明の不眠症治療剤の製剤形態については、経口投与が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、トローチ剤、チュアブル剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)、丸剤等の固形状製剤;ゼリー剤等の半固形状製剤;液剤、懸濁剤、シロップ剤等の液状製剤が挙げられる。これらの製剤形態の中でも、含有成分の安定性や携帯性等の観点から、好ましくは固形状製剤、より好ましくは錠剤が挙げられる。
製造方法
本発明の不眠症治療剤の製造方法は、上記加味逍遙散エキスと、必要に応じて配合されるその他の成分とを用いて、医薬分野で採用されている通常の製剤化手法に従って製剤化すればよい。
用途
本発明の不眠症治療剤は、月経前又は月経中の不眠症の症状を改善する目的で用いられる。月経前とは、月経周期の高体温期又は黄体期と呼ばれる時期をいう。月経前は睡眠時間に対する覚醒時間の割合が特に多いが、本発明の不眠症治療剤によって、月経前における睡眠時間に対する覚醒時間の割合を向上させることができる。なお、本発明の不眠症治療剤の治療対象である月経前の不眠症としては、特に不眠が顕著になる黄体期後半の不眠症であることがより好ましい。また、月経中も睡眠時間に対する覚醒時間の割合が比較的多いが、本発明の不眠症治療剤によって、月経中における睡眠時間に対する覚醒時間の割合も向上させることができる。さらに、月経中は睡眠時間に対する深睡眠時間の割合が短いが、本発明の不眠症治療剤によって、月経中は睡眠時間に対する深睡眠時間の割合を長くし、睡眠の質を向上させることができる。
用量・用法
本発明の不眠症治療剤は、経口投与によって使用される。本発明の不眠症治療剤の用量については、投与対象者の症状の程度等に応じて適宜設定されるが、例えば、ヒト1人に対して1日当たり、加味逍遙散エキスの全生薬成分の原生薬換算量として5〜30g、好ましくは10〜25g、加味逍遙散エキス量(乾燥重量)として1000〜3000mg、好ましくは1400〜2500mg、より好ましくは1600〜2300mgとなる量で、1日1〜4回、好ましくは2〜3回の頻度で服用すればよい。服用時期については、月経前の不眠を解消する目的においては黄体期(月経前)、好ましくは黄体期後期に服用することができ、月経中の不眠を解消する目的においては月経期(月経中)に服用することができる。また、月経中には気づかず不眠になりやすいため、月経前(好ましくは黄体期後期)及び月経中に亘って服用することが好ましい。服用タイミングについては特に制限されず、食前、食後、又は食間のいずれであってもよいが、好ましくは食前又は食間が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[試験例]
(1)不眠症治療剤の調製
表1に示す成分及び配合量の生薬組成物に、重量比で10倍量の水を抽出溶媒として加えて、約100℃で30分撹拌しながら抽出を行った。その後、遠心分離にて抽出液を回収し、減圧濃縮した後に、スプレードライヤーを用いて乾燥させることによって、加味逍遙散エキスを調製した。得られた加味逍遙散エキスを用い、表2に示す組成で錠剤組成物を調製し、打錠して不眠症治療剤の錠剤(360mg/錠)を得た。
(2)被験者及び投薬スケジュール
月経周期がある女性であって、月経前不眠を自覚する5人の女性(20〜30歳)を対象に、睡眠計スリープスキャン(TANITA)を用いて、夜間の睡眠状態を毎日測定した。睡眠状態の測定は、月経周期1周目の黄体期後期から開始し、月経周期2周目の月経期まで行い、各人で各期の体温の平均値をそれぞれ導出し、更に5人で平均した。このうち、月経周期1周目の黄体期後期から月経期は不眠症治療剤を服用しないコントロールとし、月経周期2周目の黄体期後期から月経期に亘って、不眠症治療剤を1回4錠、1日2回、5日間服用させた。なお、月経周期は基礎体温計(TERUMO)を用いて起床前の基礎体温を毎日測定することにより判定し、黄体期後期は、基礎体温が上がった日から月経前日までの日数をカウントして2で割り、その後半の期間として設定した。
(3)結果
月経周期1周目(コントロール)の睡眠時間、睡眠時間に対する覚醒時間の割合、睡眠時間に対する浅睡眠時間の割合、及び睡眠時間に対する深睡眠時間の割合を、図1に示す。図1から明らかなとおり、睡眠時間は月経期でわずかに低下しているものの黄体期後期と大差はない一方で、覚醒時間の割合は黄体期後期で特に増加しており、浅睡眠時間は月経期で特に増加し、深睡眠時間も月経期で特に低下していた。つまり、黄体期後期においては覚醒時間の割合が多いことが不眠を生じさせていたことが分かった。また、月経期においては深睡眠時間の割合が少なく睡眠の質が低下していたことが分かった。
コントロール時及び服用時について、黄体期後期及び月経期の、睡眠時間、睡眠時間に対する覚醒時間の割合、睡眠時間に対する浅睡眠時間の割合、及び睡眠時間に対する深睡眠時間の割合を、図2に示す。図2から明らかなとおり、睡眠時間はコントロールと服用とで変わらなかった一方で、黄体期及び月経期において服用により覚醒時間の割合が飛躍的に低減され、月経期においては服用により浅睡眠時間の割合が低減し且つ深睡眠時間の割合が増加することによって、睡眠の質を向上させることができた。

Claims (4)

  1. 加味逍遙散エキスを含む、月経前又は月経中の不眠症治療剤。
  2. 前記加味逍遙散エキスが、トウキ、シャクヤク、ジュツ、ブクリョウ、サイコ、ボタンピ、サンシシ、カンゾウ、ショウキョウ、及びハッカの混合物の抽出エキスである、請求項1に記載の不眠症治療剤。
  3. 月経前又は月経中において睡眠時間に対する覚醒時間の割合を減少させる、請求項1又は2に記載の不眠症治療剤。
  4. 月経中において睡眠時間に対する深睡眠時間の割合を増加させる、請求項1〜3のいずれかに記載の不眠症治療剤。
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